JP2001101626A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及びその製造方法

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JP2001101626A
JP2001101626A JP27696299A JP27696299A JP2001101626A JP 2001101626 A JP2001101626 A JP 2001101626A JP 27696299 A JP27696299 A JP 27696299A JP 27696299 A JP27696299 A JP 27696299A JP 2001101626 A JP2001101626 A JP 2001101626A
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Akihiro Maesaka
明弘 前坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイアス層へのセンス電流の分流を防ぐ。 【解決手段】 バイアス層5を形成するときに、磁性結
晶粒子と、非磁性絶縁物質とを同時にスパッタする。こ
のように、同時にスパッタすることにより、バイアス層
5絶縁性が大きくなり、コンダクタンスが下がる。これ
により、リード電極層6に流れるセンス電流が、バイア
ス層5へ分流することを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極オーバーラッ
プ構造を備える磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気抵抗効果素子(以下、M
R素子と称する。)の磁気抵抗効果を利用して、磁気記
録媒体に記録された信号を読み取る磁気抵抗効果型磁気
ヘッド(以下、MRヘッドと称する。)が利用されてい
る。
【0003】上述したようなMR素子は、抵抗素子の一
種であり、外部磁界の変化に応じて電気抵抗が変化す
る。MR素子は、磁気抵抗効果膜(以下、MR薄膜と称
する。)と、電極とを備えている。MRヘッドでは、M
R素子の電気抵抗が磁気記録媒体からの信号磁界に応じ
て変化することを利用して、磁気記録媒体に記録された
磁気信号を読み取る構成とされている。
【0004】ところで、近年では、小型であり且つ大容
量である磁気記録媒体が望まれている。これに伴い、磁
気記録媒体では、例えば記録トラック幅を狭くする手法
が採用されている。
【0005】一方、MRヘッドでは、磁気記録媒体の狭
トラック化による信号出力の低下を防止するために、従
来から用いられている異方性磁気抵抗効果(AMR:An
isotropic Magneto-Resistivity)を利用したMR素子
に代わり、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto-
Resistivity)を利用したMR素子を用いることが注目
されている。上述したような磁気記録媒体とMRヘッド
との改良により、磁気記録媒体の高記録密度化はますま
す進んでいる。
【0006】MRヘッドにおいて、MR素子の構造の一
つとして、図10に示すような電極オーバーラップ構造
が挙げられる。電極オーバーラップ構造を有するMR素
子100は、MR薄膜101上に電極102をオーバー
ラップさせる構造とされている。電極オーバーラップ構
造においては、一対の電極102の端部におけるMR薄
膜101の幅が、トラック幅となる。
【0007】上述したMR素子100においては、セン
ス電流がMR薄膜101の端部にも分流してしまうた
め、バルクハウゼンノイズを十分に取り除くことが不可
能であった。そこで、実際には、図11に示すような、
特開平3−125311号公報、特開平7−57223
号公報、特開平7−302414号公報などで提案され
たされた、いわゆるアバットジャンクション構造を有す
るMR素子110が、多用されていた。このアバットジ
ャンクション構造を図11に示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の高密度記
録化に伴ってヘッドにおける狭トラック化が進むにつれ
て、再び電極オーバーラップ構造が見直されるようにな
った。その理由の一つとして、アバットジャンクション
構造を有するMR素子110においては、バイアス層と
の接合部であるMR薄膜111の端部112a,112
bに、磁界感度が弱まる鈍感領域が生じることが挙げら
れる。狭トラック化が進むと、この鈍感領域の占める割
合が大きくなり、MR素子110全体の磁界感度が弱く
なるため、十分な再生出力を得ることができなくなる。
【0009】そこで、図12に示すような、アバットジ
ャンクション構造を取り入れた電極オーバーラップ構造
120が、検討されるようになった。しかしながら、こ
のときには、センス電流は、矢印Aで示されたようにM
R素子121に流れるのみならず、矢印B及び矢印Cで
示したように、バイアス層122と、下地層123とに
分流してしまう。このため、電極によって規定されたト
ラック幅以外のところで信号を拾ってしまい、オフトラ
ック特性の劣化、及び再生幅のばらつきなどが生じてし
まう。
【0010】本発明は、このような従来の実状に鑑みて
提案されたものであり、バイアス層の材料を改良するこ
とにより、安定に動作することができる磁気抵抗効果素
子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る磁気抵抗効果素子は、基板上に薄膜
状に形成された磁気抵抗効果膜と、上記磁気抵抗効果膜
の長手方向に形成され、且つ上記磁気抵抗効果膜の長手
方向の両端部に磁気的に接続された一対のバイアス層
と、これらバイアス層の直上にそれぞれ薄膜状に形成さ
れ、且つ上記磁気抵抗効果膜にオーバーラップして形成
された一対のリード電極とを備える。そして、上記バイ
アス層は、磁性結晶粒子間に非磁性絶縁物質が満たされ
てなる。
【0012】以上のように構成された本発明に係る磁気
抵抗効果素子は、バイアス層の絶縁性が向上するため、
センス電流がバイアス層に分流することを防ぐことが可
能となる。
【0013】また、本発明に係る磁気抵抗効果素子の製
造方法は、磁気抵抗効果膜形成工程と、バイアス層形成
工程と、電極層形成工程とを有する。磁気抵抗効果膜形
成工程では、磁気抵抗効果膜を基板上に所定の幅で形成
する。バイアス層形成工程では、上記磁気抵抗効果膜の
両端部に、磁性結晶粒子と、非磁性絶縁物質とを同時に
スパッタすることによって、バイアス層を形成する。電
極層形成工程では、上記バイアス層上に導電性材料によ
って電極層を形成する。この電極層は、磁気抵抗効果膜
上にオーバーラップして形成される。
【0014】以上のような本発明に係る磁気抵抗効果素
子の製造方法によれば、バイアス層の絶縁性が高く、バ
イアス層にセンス電流が分流することを防ぐことが可能
な磁気抵抗効果素子を製造することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、図
1に示すような磁気抵抗効果素子1(以下、MR素子1
という。)について説明する。なお、以下の説明で用い
る図面は、各部の特徴をわかりやすく図示するために、
特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各部
材の寸法の比率が実際と同じであるとは限らない。
【0016】また、以下では、MR素子1を構成する各
薄膜の構成や材料等について例示するが、本発明は、例
示するMR素子1に限定されるものではなく、所望とす
る目的や性能に応じて各薄膜の構成や材料等を選択すれ
ばよい。
【0017】まず、本発明を適用したMR素子1の構造
について説明する。
【0018】MR素子1は、図1に示すように、基板2
と、MR薄膜3と、一対の下地層4a,4bと、一対の
バイアス層5a,5bと、一対のリード電極層6a,6
bとからなる。なお、以下の説明では、一対の下地層4
a,4bと、一対のバイアス層5a,5bと、一対のリ
ード電極層6a,6bとを、それぞれまとめて単に下地
層4、バイアス層5、リード電極層6と称することとす
る。
【0019】MR薄膜3は、基板2上に形成されてい
る。MR薄膜3の長手方向の両端部には、下地層4が形
成されている。下地層4上には、それぞれバイアス層5
と、リード電極層6とが順次積層されている。このバイ
アス層5は、MR薄膜3と略同一面を構成するように形
成されている。
【0020】MR薄膜3は、第1の強磁性膜(フリー
層)と、非磁性膜と、第2の強磁性膜(ピン層)と、反
強磁性膜とが基板側から順次積層された構造を持つ、い
わゆるスピンバルブ膜である。MR薄膜3においては、
ピン層の磁化方向が、反強磁性膜からのバイアス磁界に
よって固定されており、フリー層の磁化方向が、信号磁
界に応じて回転する構成とされている。
【0021】なお、MR薄膜3は、スピンバルブ膜に限
定されるものではない。MR薄膜3は、従来から知られ
ているような、いわゆるAMRやGMR等の各種膜構成
により形成されていればよい。
【0022】下地層4は、Crを含む合金、NiPを含
む材料、又はTiとWとを含む材料によって形成されて
いる。下地層4は、バイアス層5として使用される磁性
結晶粒子の結晶構造を、後述するように(011)配向
とするために設けられる。
【0023】下地層4を設けることにより、バイアス層
5として使用される磁性結晶粒子の結晶構造を(01
1)配向とすると、バイアス層5の保磁力を向上させる
ことが可能となる。
【0024】バイアス層5は、MR薄膜3に対してバイ
アス磁界を印加するとともに、このMR薄膜3の磁区を
単磁区化するための機能を有している。また、バイアス
層5は、それぞれMR薄膜3の両端部と磁気的に接続さ
れている。バイアス層5は、磁性結晶粒子間に非磁性絶
縁物質が満たされてなる膜から形成される。
【0025】磁性結晶粒子としては、Coを含む金属合
金が使用される。例としては、Co−Pt−Cr系合
金、Co−Pt系合金、Co−Ni−Pt系合金、Co
−Cr−Ta系合金、Co−Pt−Cr−Ta系合金な
どが挙げられる。
【0026】Coを含む金属合金は、結晶磁気異方性エ
ネルギーが大きい。また、スパッタして成膜するときに
制御しやすい。このため、Coを含む金属合金をスパッ
タしてバイアス層5を形成することにより、バイアス層
5は、保磁力が高くなる。
【0027】また、非磁性絶縁物質としては、Si酸化
物、Si窒化物、金属酸化物、金属窒化物が使用され
る。例としては、SiO2、Si23、Si34、Al2
3、MgO、Ta23などが挙げられる。
【0028】このような非磁性絶縁物質を、上述した金
属合金と同時にスパッタしてバイアス層5を形成するこ
とによって、バイアス層5の絶縁性が向上する。また、
これらの非磁性絶縁物質は、スパッタして成膜するとき
に制御しやすい。
【0029】バイアス層5は、従来は、磁性結晶粒子の
みから形成されていた。しかしながら、上述したように
磁性結晶粒子間に非磁性絶縁物質が満たされてなる膜構
造によって形成されることにより、絶縁性が向上する。
絶縁性が向上することにより、電流はバイアス層5に対
して流れにくくなる。また、磁性物質であるため、MR
薄膜3に対して、バイアス磁界を印加することは可能と
なる。
【0030】リード電極層6は、導電性金属材料によっ
て薄膜状に形成されている。このリード電極層6は、M
R薄膜3上にオーバーラップして形成されている。言い
換えると、リード電極層6の端部6c,6dが、MR薄
膜3上に形成されている。また、リード電極層6は、M
R薄膜3と電気的に接続されている。MR素子1におい
ては、このリード電極層6を介して、MR薄膜3に対し
てセンス電流が供給される。
【0031】以上の説明からも明らかなように、本発明
を適用したMR素子1においては、バイアス層5が、磁
性結晶粒子間に非磁性絶縁物質が満たされてなる膜構造
によって形成されている。このため、リード電極層6に
流れるセンス電流が下地層4と、バイアス層5とに分流
することを防ぐことが可能となり、オフトラック特性の
劣化と、再生幅のばらつきとが抑制される。
【0032】つぎに、本発明を適用したMR素子1の製
造方法について説明する。
【0033】先ず、基板上にMR薄膜3を形成する。次
に、このMR薄膜3の両端に下地層4を形成する。次
に、この下地層4の上に、磁性結晶粒子と、非磁性絶縁
物質とを同時にスパッタすることによって、バイアス層
5を形成する。このバイアス層5は、MR薄膜3と略同
一面を構成するように形成する。次に、バイアス層5上
にリード電極層6を形成する。このリード電極層6は、
MR薄膜3上にオーバーラップするように形成する。
【0034】バイアス層5は、上述したように、磁性結
晶粒子と、非磁性絶縁物質とを同時にスパッタして製造
する。磁性結晶粒子と、非磁性絶縁物質とを同時にスパ
ッタする方法としては、例えば、図2に示すような複合
型ターゲット20を用いる方法が挙げられる。複合型タ
ーゲット20は、図2に示すように、磁性結晶粒子によ
って形成された第1のターゲット21の上面に、この第
1のターゲット21よりも小さく、且つ非磁性絶縁物質
によって形成された第2のターゲット22が、所定の配
列で配置されてなる。
【0035】第1のターゲット21としてCo75Pt12
Cr13を使用し、第2のターゲット22としてSiO2
を使用した場合に得られたバイアス層5の保磁力及びコ
ンダクタンスと、第2のターゲット22の数との相関関
係を示したグラフが、図3である。
【0036】図3からわかるように、この場合には、第
2のターゲット22の数を2個以上且つ8個以下配置し
たときに、バイアス層5は、その保磁力が高くなり、且
つコンダクタンスが低くなることがわかる。
【0037】特に、第2のターゲット22を、2個以上
配置して同時スパッタをおこなうことによりバイアス層
5を形成した場合には、バイアス層5のコンダクタンス
が減少することがわかる。言い換えると、バイアス層5
の電気的な絶縁性が大きくなっていることがわかる。ま
た、このとき、バイアス層5は、約2kOeの保磁力を
示すことがわかる。したがって、バイアス層5は、MR
薄膜3に対して縦バイアス磁界を与えるのに十分な保磁
力を有している。
【0038】以下では、実際に、バイアス層5を上述し
たように作製し、このバイアス層5についてTEM(Tu
nnnel Effect Microscope)により解析をおこなった結
果について説明する。
【0039】先ず、磁性結晶粒子としてCo75Pt12
13だけをスパッタして成膜したバイアス層5における
結晶構造30の断面を、TEMで解析した。その結果を
図4に模式的に示す。この結果から、この場合には、C
75Pt12Cr13の結晶粒31は柱状であることがわか
る。
【0040】また、このバイアス層5の下地側に、少な
くともCr、NiP、又はTiとWとを含む材料により
形成した下地層4を成膜すると、Co75Pt12Cr13
結晶粒31は、hcp(011)配向を示すことが確認
された。
【0041】次に、第2のターゲット22として、Si
2チップを2個以上且つ8個以下配置することによ
り、磁性結晶粒子と、非磁性絶縁物質とを同時にスパッ
タしてバイアス層5を形成した。この場合におけるバイ
アス層5の結晶構造40の断面を、TEMで解析した。
その結果を図5に模式的に示す。この結果から、Co75
Pt12Cr13の結晶粒41は柱状であることがわかる。
【0042】また、このバイアス層5の下地側に、少な
くともCr、NiP、TiとWとを含む材料により形成
した下地層4を成膜すると、Co75Pt12Cr13の結晶
粒41は、hcp(011)配向を示すことが確認され
た。
【0043】ところで、このときの結晶構造40は、図
4で示した結晶構造30とは異なり、柱状に形成された
Co75Pt12Cr13の結晶粒41の結晶粒界に、SiO
2からなる非磁性絶縁物質42が満たされている構造と
なっていた。また、このとき、バイアス層5は、約2k
Oeの保磁力を得ることが可能であった。この場合、結
晶粒界に非磁性絶縁物質42が存在することによって、
結晶粒41間の強磁性的交換結合を遮断する効果がある
ため、高い保磁力を有することが可能になると考えられ
る。
【0044】また、図5に示すような結晶構造40によ
って形成したバイアス層5の平面像をTEMで解析し
た。その結果を図6に示す。このとき、結晶粒41の結
晶粒径は約15nmであり、結晶粒界に存在する非磁性
絶縁物質42の厚みは約1nmであった。
【0045】また、バイアス層5の結晶粒41内のED
Sスペクトルと、結晶粒界付近のEDSスペクトルとを
測定した。この結果を、図7と、図8とに示す。図7か
ら、結晶粒41内には、Co,Cr,Ptが多く含まれ
ていることがわかる。図8から、結晶粒界付近には、結
晶粒41内にも含まれているCo,Cr,Ptのほか
に、Si,Oが多く含まれていることがわかる。図7
と、図8とを比較した結果、SiO2は、結晶粒界のみ
に存在し、結晶粒41内においては存在していないこと
がわかる。
【0046】なお、バイアス層5において、Co75Pt
12Cr13の結晶粒41は、上述したようにhcp(01
1)配向とするよりも、c軸が完全に面内に分布するh
cp(110)配向とすることが望ましい。これによ
り、バイアス層5の保磁力を更に向上させることが可能
になる。
【0047】しかしながら、Co75Pt12Cr13の結晶
粒41をhcp(110)配向とする場合には、バイア
ス層5を成膜するときに基板加熱を行う必要がある。そ
のため、熱に弱いMR薄膜3の両端にバイアス層5を作
製する場合には、基板加熱を行わずに、結晶粒41をh
cp(011)配向としてバイアス層5を形成する必要
がある。
【0048】次に、第2のターゲット22として、Si
2チップを12個より多く配置して同時スパッタを行
うことにより、バイアス層5を形成した。この場合にお
けるバイアス層5における結晶構造50の断面を、TE
Mで解析した。その結果を図9に模式的に示す。
【0049】この結果から、このときのCo75Pt12
13の結晶構造50は、いわゆるグラニュラー構造であ
り、SiO2からなる非磁性絶縁物質52中に、5〜1
0nm程度の球状であるCo75Pt12Cr13の結晶粒5
1が、ランダムに分散した構造とされていることがわか
った。また、このとき、バイアス層5は、上述したよう
な結晶構造40とされたときよりも保磁力が小さいこと
が確認された。
【0050】以下では、バイアス層5を図9に示すよう
な結晶構造50としたときに、保磁力が低下してしまう
ことについて説明する。
【0051】グラニュラー構造をもつグラニュラー磁性
膜は、はじめに、S. H. Lioud(S. H. Lioud and C. L.
Chen, Appl. Phys. Lett. 52 (6), 8 Feb. 1998)らによ
り提案された。その後、グラニュラー磁性膜を用いた薄
膜磁気記録媒体に関する報告が、特開平9−50618
号公報、特開平9−147342号公報、特開平10−
92640号公報などで示されている。
【0052】このグラニュラー磁性膜は、非磁性絶縁物
質中に分散されている磁性結晶粒子が小さいことと、こ
の磁性結晶粒子の結晶配向がランダムであることとが原
因となって、保磁力が小さい。このグラニュラー磁性膜
は、特開平9−147342号公報、特開平10−92
460号公報に示されているように、400℃以上で熱
処理を施すことにより、磁性結晶粒子の径を大きくし
て、保磁力を大きくすることが可能となる。
【0053】しかしながら、本発明に係る場合のよう
に、熱に弱いMR薄膜3の両端にバイアス層5を形成す
るときには、高温での熱処理を施すことができないた
め、このバイアス層5をグラニュラー膜によって形成す
ることは、適当ではない。
【0054】また、バイアス層5は、非磁性絶縁物質の
存在する割合が大きくなると、飽和磁化が著しく低下し
てしまう。したがって、MR薄膜3に印加できる縦バイ
アス磁界が小さくなってしまうため、バイアス層5を図
9に示すような結晶構造50で形成することは適当では
ない。
【0055】以上の説明からも明らかなように、本発明
を適用したMR素子1の製造方法においては、磁性結晶
粒子と、非磁性絶縁物質とを同時にスパッタすることに
よってバイアス層5を形成している。このことにより、
上述したように、バイアス層5を保磁力が高く、且つコ
ンダクタンスが低くなるように形成することが可能とな
る。これにより、MR素子1においては、リード電極層
6を介してセンス電流を供給するときに、このセンス電
流が下地層4と、バイアス層5とに分流することを防ぐ
ことが可能となる。
【0056】したがって、例えば、MR素子1を磁気抵
抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッドと称する。)に
適用した場合には、オフトラック特性が良好になるとと
もに、再生幅のばらつきを抑制することが可能となる。
【0057】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用したMR素子においては、バイアス層の絶縁性
が向上したために、リード電極に流れるセンス電流がバ
イアス層に分流することを防ぐことが可能となる。その
結果、十分なオフトラック特性が得られるとともに、再
生幅のばらつきを抑えることが可能となる。
【0058】また、本発明を適用したMR素子の製造方
法においては、バルクハウゼンノイズが生じず、且つ高
感度であるMR素子を製造することが可能となる。これ
により、MRヘッドの再生動作が安定化し、MRヘッド
を製造するときの歩留まりを向上させることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したMR素子の断面図である。
【図2】複合型ターゲットの断面図である。
【図3】SiO2チップの数と、MR素子の保磁力及び
コンダクタンスとの相関関係を示した図である。
【図4】SiO2チップを添加しない場合において、バ
イアス層の断面をTEMにより解析した結果を示した模
式図である。
【図5】SiO2チップを2個以上且つ8個以下添加し
た場合において、バイアス層の断面をTEMにより解析
した結果を示した模式図である。
【図6】SiO2チップを2個以上且つ8個以下添加し
た場合において、バイアス層の平面をTEMにより解析
した結果を示した図である。
【図7】バイアス層の結晶粒内のEDSスペクトルを示
した図である。
【図8】バイアス層の結晶粒界のEDSスペクトルを示
した図である。
【図9】SiO2チップを8個以上添加した場合におい
て、バイアス層の断面をTEMにより解析した結果を示
した模式図である。
【図10】従来の電極オーバーラップ構造を採用したM
R素子の断面図である。
【図11】アバットジャンクション構造を採用したMR
素子の断面図である。
【図12】従来の電極オーバーラップ構造を採用したM
R素子におけるセンス電流の経路を示した模式図であ
る。
【符号の説明】
1 MR素子、2 基板、3 MR薄膜、4 下地層、
5 バイアス層、6リード電極層、

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に薄膜状に形成された磁気抵抗効
    果膜と、上記磁気抵抗効果膜の長手方向に形成され、且
    つ上記磁気抵抗効果膜の長手方向の両端部に磁気的に接
    続された一対のバイアス層と、これらバイアス層の直上
    にそれぞれ薄膜状に形成され、且つ上記磁気抵抗効果膜
    にオーバーラップして形成された一対のリード電極とを
    備え、 上記バイアス層は、磁性結晶粒子間に非磁性絶縁物質が
    満たされてなることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 上記磁性結晶粒子は、Coを含む金属合
    金によって形成されていることを特徴とする請求項1記
    載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 上記磁性結晶粒子は、Co−Pt系合
    金、Co−Pt−Cr系合金、Co−Ni−Pt系合
    金、又はCo−Pt−Cr−Ta系合金によって形成さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果
    素子。
  4. 【請求項4】 上記非磁性絶縁物質は、Si酸化物、S
    i窒化物、金属酸化物、又は金属窒化物であることを特
    徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 上記バイアス層の基板側に、一対の下地
    層を備えることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効
    果素子。
  6. 【請求項6】 上記下地層は、少なくともCr、Ni
    P、又はTiとWとを含む材料によって形成されている
    ことを特徴とする請求項5記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 磁気抵抗効果素子を製造するに際し、磁
    気抵抗効果膜を基板上に所定の幅で形成する磁気抵抗効
    果膜形成工程と、 上記磁気抵抗効果膜の両端部に、磁性結晶粒子と、非磁
    性絶縁物質とを同時にスパッタすることによって、バイ
    アス層を形成するバイアス層形成工程と、 上記バイアス層上に、磁気抵抗効果膜にオーバーラップ
    している電極層を、導電性材料によって形成する電極層
    形成工程とを有することを特徴とする磁気抵抗効果素子
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記バイアス層形成工程の前段に、上記
    磁気抵抗効果膜の両端部に下地層を形成する下地層形成
    工程を有することを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗
    効果素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006156661A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Alps Electric Co Ltd 薄膜磁気抵抗素子及びその製造方法並びに薄膜磁気抵抗素子を用いた磁気センサ

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