JP2001100028A - 光学補償シートおよび光学補償シートの製造方法 - Google Patents

光学補償シートおよび光学補償シートの製造方法

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JP2001100028A
JP2001100028A JP27674099A JP27674099A JP2001100028A JP 2001100028 A JP2001100028 A JP 2001100028A JP 27674099 A JP27674099 A JP 27674099A JP 27674099 A JP27674099 A JP 27674099A JP 2001100028 A JP2001100028 A JP 2001100028A
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秀幸 西川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シンナモイル基を側鎖に有するディスコティ
ック液晶性分子から形成された光学的異方性層の光重合
時に、シンナモイル基の光反応を抑え、光学的な異方性
を保持したまま配向を固定化することが可能な光学補償
シートの製造方法、光学補償シートおよびSTN型液晶
表示装置を提供すること。 【解決手段】 透明支持体上に、側鎖にシンナモイル基
を有するディスコティック液晶性分子からなる塗布層を
形成し、配向処理して配向液晶性分子層とした後、該配
向液晶性分子層に紫外線を照射して重合させることによ
って、配向状態を保持させながら該液晶性分子の配向を
固定して光学的異方性層を形成することからなる光学補
償シートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明支持体上にデ
ィスコティック液晶性分子から形成された光学的異方性
層を有する光学補償シート、光学補償シートの製造方法
およびSTN型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、液晶セル、二枚の偏光
板、および液晶セルと二枚の偏光板との間に設けられる
一枚または二枚の光学補償シート(位相差板)からな
る。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚
の基板、および液晶分子に電圧を加えるための電極層か
らなる。液晶表示装置では、液晶分子の複屈折性のた
め、表示画像がイエローグリーンまたはイエローに着色
する。表示画像の着色は、白黒表示でもカラー表示でも
不都合である。光学補償シートは、このような着色を解
消して、明るい鮮明な画像を得るために用いられる。光
学補償シートにはまた、液晶セルの視野角を拡大する機
能を付与する場合もある。光学補償シートとしては、延
伸複屈折フイルムが従来から使用されていた。
【0003】一方、延伸複屈折フイルムからなる光学補
償シートに代えて、透明支持体上にディスコティック液
晶性分子等の液晶性分子を含む光学的異方性層を有する
光学補償シートを使用することが提案され、既にディス
コティック液晶性分子を含む光学的異方性層を有する光
学補償シートは実用化されている。光学的異方性層は、
ディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態
を固定することにより形成する。ディスコティック液晶
性分子は、一般に大きな複屈折率を有する。そして、デ
ィスコティック液晶性分子には、多様な配向形態があ
る。ディスコティック液晶性分子を用いることで、従来
の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性
質を有する光学補償シートを製造することが可能にな
る。ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シー
トについては、特開平6−214116号公報、米国特
許5583679号、同5646703号、ドイツ特許
公報3911620A1号の各明細書に記載がある。
【0004】特開平7−306317号公報および特開
平9−104866号公報には、光学補償シートに必要
とされる良好なドメイン合一性を有するトリフェニレン
系ディスコティック液晶性分子として、2,3,6,
7,10,11−ヘキサ[4−(4−アクリロイルオキ
シヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ]トリフェニレン
が開示されている。
【0005】一方、光学補償シートの面内レターデーシ
ョン(△nd)は、補償しようとする液晶セルに合わせ
る必要がある。面内レターデーション(△nd)は、光
学的異方性層の屈折率異方性(△n;ディスコティック
液晶性分子の長軸の屈折率と短軸の屈折率との差)と膜
厚(d)との積で表される。しかし、光学補償シートを
形成する光学的異方性層の屈折率異方性(△n)が小さ
い場合、膜厚は非常に厚くなり、現行技術でこの膜厚を
達成することは困難である。よって、大きな屈折率異方
性が求められることになる。屈折率異方性が大きけれ
ば、膜厚は薄くて足りる。膜厚が薄いほど、光学補償シ
ートに適した分子配向状態を得ることができ、また光学
的異方性層を形成するディスコティック液晶性分子の使
用量を抑えることができる。
【0006】しかし、特開平7−306317号公報等
に記載のトリフェニレン系ディスコティック液晶性分子
から形成される光学的異方性層の屈折率異方性は、必ず
しも充分に大きな値を有するとは言い難い。
【0007】本発明者は、より大きな屈折率異方性を発
現するディスコティック液晶性分子として、2,3,
6,7,10,11−ヘキサ[4−(4−アクリロイル
オキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)トリフェニ
レンを見出しているが、後に、当該液晶性分子は、光重
合の際にトランス体からシス体への異性化反応を起こす
という問題点を有することが分かった。このことは、側
鎖にシンナモイル基を有するディスコティック液晶性分
子から形成された塗布膜に光照射を行うと、光学的な異
方性を消失することを表す。
【0008】しかし、側鎖にシンナモイル基を有するデ
ィスコティック液晶性分子は、大きな屈折率異方性を有
するだけでなく、簡便なルートによって合成できる点で
非常に魅力的な化合物である。そこで、光学的な異方性
を保持したまま、当該液晶性分子の配向を固定すること
が可能な光重合の方法が開発できれば、その価値は大き
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、側鎖にシン
ナモイル基を有するディスコティック液晶性分子から形
成された光学的異方性層の光重合反応時に、シンナモイ
ル基の光反応を抑え、光学的異方性を保持したまま、該
ディスコティック液晶性分子の配向を固定することが可
能な光学補償シートの製造方法、その製造方法によって
作製された光学補償シート、およびその光学補償シート
を備えたSTN型液晶表示装置を提供することを、その
課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明支持体上
に、下記一般式(I):
【0011】
【化2】
【0012】[式中、A1およびA2は、互いに独立に、
水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のア
ルキル基、および炭素原子数が1乃至12のアルコキシ
基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表し;Z
は、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル
基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子
数が2乃至13のアシル基、および炭素原子数が1乃至
12のアルキルアミノ基、および炭素原子数が2乃至1
3のアシルオキシ基からなる群より選ばれる原子もしく
は基を表し;Lは、−O−、−CO−、−S−、−NH
−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、
アリーレン基、およびこれらの組み合わせからなる群よ
り選ばれる二価の連結基を表し;Qは、重合性基を表
し;aは、1乃至5の整数を表し;そして、bは、0乃
至4の整数を表す;但し、aとbとの和は、1乃至5の
整数である]で表されるディスコティック液晶性分子か
らなる塗布層を形成し、配向処理して配向液晶性分子層
とした後、該配向液晶性分子層に紫外線を照射して重合
させることによって、配向状態を保持させながら該液晶
性分子の配向を固定して光学的異方性層を形成すること
からなる光学補償シートの製造方法にある。
【0013】本発明の光学補償シートの製造方法の好ま
しい態様は以下の通りである。 (1)配向液晶性分子層が、光重合開始剤を含み、そし
て、光重合開始剤がその紫外線極大吸収波長において液
晶性分子の紫外線極大吸収波長と15nm以上異なるも
のであることを特徴とする光学補償シートの製造方法。 (2)光重合開始剤が、330乃至400nmの波長の
範囲の紫外線に対するモル吸光係数が50乃至5000
00の範囲にある光重合開始剤であることを特徴とする
光学補償シートの製造方法。 (3)200乃至320nmの波長の範囲、325乃至
340nmの波長の範囲および360乃至500nmの
波長の範囲における紫外線の透過率が、それぞれ、0%
以下、50%以下、50%以上である紫外線用フィルタ
ーを用いて、紫外線照射を行うことを特徴とする光学補
償シートの製造方法。 (4)紫外線の照射を、配向液晶性分子層内の液晶性分
子の結晶相が等方性液体に転移する温度より10℃低い
温度乃至250℃の範囲にて、配向液晶性分子層を加熱
しながら行うことを特徴とする光学補償シートの製造方
法。
【0014】本発明は、また、本発明の光学補償シート
の製造方法によって製造された光学補償シートにもあ
る。
【0015】本発明は、さらに、STN型液晶セル、そ
の両側のそれぞれに配置された偏光板、およびSTN型
液晶セルと一方または両方の偏光板との間に配置された
光学補償シートからなるSTN型液晶表示装置であっ
て、該光学補償シートが、液晶セルに近い側に光学的異
方性層を配置した本発明の光学補償シートであることを
特徴とするSTN型液晶表示装置にもある。
【0016】
【発明の実施の形態】[光学補償シートの製造方法]本
発明の光学補償シートは、図1(本発明の代表的なST
N型液晶表示装置の特徴的な構成部分を示す図)に示す
ように、透明支持体(23)上に、前記記載の一般式
(I)のディスコティック液晶性分子(21a〜21e)
から形成された光学的異方性層を有する光学補償シート
である。光学的異方性層は、ディスコティック液晶性分
子を含む塗布液を透明支持体上に塗布し(好ましくは、
垂直配向膜(22)上に塗布する)、塗布層を形成し、
配向処理して配向液晶性分子層とした後、該配向液晶性
分子層に光線を照射して重合させることによって、配向
状態を保持させながら該液晶性分子の配向を固定して形
成する。以下、特に断らない場合を除いて、ディスコテ
ィック液晶性分子は、一般式(I)で表されるディスコテ
ィック液晶性分子を意味する。
【0017】固定化は、一般式(I)で表されるディスコ
ティック液晶性分子に導入した重合性基の重合反応によ
り実施することが好ましい。重合は、光線(本発明で
は、紫外線)を照射して、光重合反応によって行う。そ
のため、ディスコティック液晶性分子を含む塗布液中に
は、光重合開始剤を含む。しかし、該ディスコティック
液晶性分子の側鎖に含まれるシンナモイル基は、光線に
対して活性であるため、通常の光重合の条件下では、該
ディスコティック液晶性分子の副反応を伴う結果、光学
的に異方性のある膜は作製し難い。本発明では、上記の
問題を解決するべく、以下の二つの方法、[1]光重合
開始剤の紫外線極大吸収波長とディスコティック液晶性
分子の紫外線極大吸収波長との差が15nm以上である
光重合開始剤を使用する方法、[2]紫外線の照射を、
ディスコティック液晶性分子の結晶相が等方性液体に転
移する温度より10℃以上低い温度にて実施する方法、
によって光学補償シートを作製する。
【0018】以下、上記の方法をこの順に分説する。
【0019】[1]特定の光重合開始剤を用いる方法 シンナモイル基以外の側鎖を有するディスコティック液
晶性分子の重合については、特開平8−27284公報
に記載がある。光重合開始剤の例としては、一般的に
は、α−カルボニル化合物(米国特許2367661
号、同2367670号の各明細書記載)、アシロイン
エーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α
−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許27
22512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特
許3046127号、同2951758号の各明細書記
載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノ
フェニルケトンとの組み合わせ(米国特許354936
7号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物
(特開昭60−105667号公報、米国特許4239
850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物
(米国特許4212970号明細書記載)を挙げること
ができる。
【0020】ディスコティック液晶性分子の紫外線吸収
波長は、側鎖のシンナモイル基に由来し、ほとんどのデ
ィスコティック液晶性分子の紫外線極吸収波長は、30
0乃至320nmの範囲にある。従って、本発明で好ま
しく用いられる光重合開始剤としては、光重合開始剤の
紫外線極大吸収波長がこの範囲に存在しないものを用い
る。即ち、光重合開始剤としては、光重合開始剤の紫外
線極大吸収波長がこの範囲と15nm以上異なるものを
用いることが好ましく、20nm以上異なるものを用い
ることが特に好ましい。
【0021】上記の光重合開始剤としては、330乃至
400nmの波長の範囲(好ましくは、350乃至40
0nmの波長の範囲)の紫外線に対するモル吸光係数
(ε)が50乃至500000の範囲(好ましくは、1
00乃至300000の範囲)にあるものを用いること
が特に好ましい。即ち、光重合開始剤の紫外線主吸収あ
るいは副吸収の何れが、330乃至400nmの波長の
範囲に存在していてもよい。
【0022】以下に、本発明で特に好ましく用いられる
光重合開始剤を示す。
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】重合用の光線としては、紫外線を用いる。
紫外線による光重合開始剤を用いるラジカル重合やカチ
オン重合は、一般的に極めて重合速度が大きく、製造工
程における生産性の点で好ましい。ラジカル光源として
は、低圧水銀ランプ、高圧放電ランプあるいはショート
アーク放電ランプを用いることが好ましく、高圧放電ラ
ンプを用いることが特に好ましい。
【0037】高圧放電ランプを用いて光重合を行う場合
には、350乃至400nmの波長の範囲の紫外線に対
する(主吸収あるいは副吸収の)モル吸光係数(ε)が
50乃至500000の範囲にある光重合開始剤を用い
ることが好ましく、330nm乃至400nmの波長の
範囲の紫外線に対するモル吸光係数(ε)が50乃至3
00000の範囲にある光重合開始剤を用いることが特
に好ましい。
【0038】光重合開始剤の使用量は、ディスコティッ
ク液晶性分子を含む塗布液の固形分の0.01乃至20
重量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5重量
%の範囲にあることが特に好ましい。ディスコティック
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いるこ
とが好ましいが、その照射エネルギーは、20mJ/c
2乃至50J/cm2であることが好ましく、100乃
至2000mJ/cm2であることが特に好ましい。光
重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施し
てもよい。
【0039】紫外線照射の際に、特定の範囲の波長の紫
外線を選択的に透過あるいは除去、または紫外線の強度
を一様に下げる機能を有する紫外線用フィルターを用い
てもよい。
【0040】紫外線用フィルターは、紫外線の透過率が
200乃至320nmの波長の範囲において0%、32
5乃至340nmの波長の範囲において50%以下、か
つ360乃至500nmの波長の範囲において50%以
上であるものを用いることが好ましく、紫外線の透過率
が280乃至320nmの波長の範囲において0%、か
つ360乃至500nmの波長の範囲において70%以
上であるものを用いることが特に好ましい。即ち、光重
合反応を効率的に行うには、360乃至500nmの波
長の範囲における紫外線の透過が重要である。このよう
な性質を有する紫外線用フィルターとしては、化学フィ
ルター(溶液フィルター)、ガラスフィルターおよび干
渉フィルターを挙げることができるが、ガラスフィルタ
ーを用いることが特に好ましい。ガラスフィルターの材
質としては、シリカゲル、ソーダ石灰、石英、バイコー
ル、コーニング社製ガラスあるいはパイレックスを用い
ることが好ましい。ラジカル光源として、低圧水銀灯を
用いる場合には、ソーダ石灰、石英あるいはバイコール
(特に好ましくは、ソーダ石灰)を、高圧水銀灯を用い
る場合には、パイレックスを用いることが好ましい。
【0041】[2]特定の温度下での紫外線照射による
方法 紫外線照射は、ディスコティック液晶性分子および光重
合性開始剤を含む塗布液を透明支持体上(好ましくは、
透明支持体上に有する垂直配向膜上)に塗布し、形成し
た塗布層を配向処理して配向液晶性分子層とし、配向液
晶性分子層のディスコティック液晶性分子がディスコテ
ィックネマティック(ND)相から等方性液体に転移す
る温度(以下、「TN-1点」という)よりも、10℃低
い温度乃至250℃の範囲にて、配向液晶性分子層を加
熱しながら行うことが好ましい(配向液晶性分子層その
ものの温度を、TN-1点よりも10℃低い温度乃至20
0℃の範囲に設定して行うことが特に好ましい)。ディ
スコティック液晶性分子は、塗布層を昇温して配向液晶
性分子層にするに伴い、結晶相からディスコティックネ
マティック(ND)相に転移するが、その温度を「T
N点」とすると、TN点乃至TN点よりもさらに20℃高
い温度の範囲にて紫外線照射を行うことがさらに好まし
い。TN点よりも低い温度にて、紫外線照射を行うこと
が特に好ましい。TN点よりも低い温度の場合には、配
向液晶性分子層のディスコティック液晶性分子はガラス
状態を呈している。ガラス状態では、光学的な異方性を
消失する原因となるディスコティック液晶性分子の光反
応が抑えられるからである。
【0042】上記記載の[1]および[2]の方法は、
併用してもよい。併用することによって、製造された光
学補償シートの光学的異方性層の屈折率異方性(△n)
は、大きくなる。本発明の光学補償シートは、STN型
液晶セルを用いる液晶表示装置において特に有効であ
る。
【0043】[光学的異方性層]配向液晶性分子層に
は、下記一般式(I)で表されるディスコティック液晶
性分子(トリフェニレン環の側鎖Rが結合してなる液晶
性分子)を含む。
【0044】
【化16】
【0045】上記式中、A1は、水素原子、ハロゲン原
子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、および炭素
原子数が1乃至12のアルコキシ基からなる群より選ば
れる原子もしくは基を表す。A2は、水素原子、ハロゲ
ン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、および
炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基からなる群より
選ばれる原子もしくは基を表す。A1およびA2は、互い
に独立に、水素原子、メチル基、エチル基もしくはメト
キシ基であることが好ましい。
【0046】Zは、ハロゲン原子(F、Cl、Br
等)、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子
数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至1
3のアシル基、炭素原子数が2乃至12のアルキルアミ
ノ基および炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基か
らなる群より選ばれる原子もしくは基を表す。炭素原子
数が1乃至12のアルキル基としては、炭素原子数が1
乃至8のアルキル基であることが好ましく、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、n−ペンチル基もしくはn
−ヘプチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が
1乃至12のアルコキシ基としては、メチル基、2−メ
トキシエトキシ基もしくはビニルオキシ基であることが
好ましい。炭素原子数が2乃至13のアシル基として
は、アセチル基であることが好ましい。炭素原子数が2
乃至12のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ
基、エチルアミノ基もしくはジメチルアミノ基であるこ
とが好ましく、ジメチルアミノ基であることが特に好ま
しい。炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基として
は、アセチルオキシ基もしくはアクリロイル基であるこ
とが特に好ましい。
【0047】トリフェニレンに重合性基を直結させる
と、重合反応において配向状態を保つことが困難にな
る。そこで、トリフェニレンと重合性基との間に連結基
Lを導入する。Lは、−O−、−CO−、−NH−、−
S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン
基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせからなる
群より選ばれる二価の連結基を表す。Lは、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、
−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群よ
り選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基で
あることが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、
アルキニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−
からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み
合わせた基であることが特に好ましい。アルキレン基の
炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アル
ケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好
ましい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至12で
あることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6
乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケ
ニレン基、アルキニレン基およびアリーレン基は、置換
基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキ
シ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0048】Lの例を以下に示す。左側がフェニル基の
置換基として何れかの炭素原子に結合し、右側が後述す
る重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基、ア
ルケニレン基もしくはアルキニレン基を意味し、ARは
アリーレン基を意味する。
【0049】L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO− L11:−O−AL− L12:−O−AL−O− L13:−O−AL−O−CO−
【0050】L14:−O−AL−O−CO−NH−AL
− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
O− L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−A
L−O−CO− L21:−S−AL− L22:−S−AL−O− L23:−S−AL−O−CO− L24:−S−AL−S−AL− L25:−S−AR−AL−
【0051】AL(アルキレン基、アルケニレン基もし
くはアルキニレン基)に、不斉炭素原子を導入すると、
ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させ
ることができる。不斉炭素原子を含むAL*の例を以下
に挙げる。左側がトリフェニレン環側であり、右側が重
合性基(Q)側である。*印を付けた炭素原子が不斉炭
素原子である。光学活性は、SとRのいずれでもよい。
【0052】AL*1:−CH2 CH2 −C*HCH3
−CH2 CH2 CH2 − AL*2:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 − AL*3:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 − AL*4:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*5:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
−CH2 − AL*6:−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −C*H
CH3 − AL*7:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
− AL*8:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 − AL*9:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 − AL*10:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 − AL*11:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
− AL*12:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 − AL*13:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 − AL*14:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 − AL*15:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
【0053】AL*16:−CH2 −C*HCH3 − AL*17:−C*HCH3 −CH2 − AL*18:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 CH2 − AL*19:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 CH2 − AL*20:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 CH2 CH2 − AL*21:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 CH2 − AL*22:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 CH2 CH2 − AL*23:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*24:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*25:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*26:−C*HCH3 −(CH2 8 − AL*27:−CH2 −C*HCH3 −(CH2 8 − AL*28:−CH2 −C*HCH2CH3 − AL*29:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 − AL*30:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 CH
2
【0054】AL*31:−CH2 −C*HCH2CH3
−CH2 CH2 CH2 CH2 − AL*32:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH2
CH2 − AL*33:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH2
CH2 CH2 CH2 − AL*34:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH2
CH2 − AL*35:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH2
CH2 CH2 CH2 − AL*36:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 − AL*37:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 CH2
2 − AL*38:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 − AL*39:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*40:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2 − AL*41:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2
2 CH2 − AL*42:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 − AL*43:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*44:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2 − AL*45:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2 CH
2 CH2
【0055】Qは、重合性基を表す。Qの例を以下に示
す。
【0056】
【化17】
【0057】Qは、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エ
ポキシ基(Q8)またはアジリジニル基(Q9)である
ことが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好
ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であ
ることが最も好ましい。なお、複数のLとQの組み合わ
せは、異なっていてもよいが、同一であることが好まし
い。二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用し
てもよい。例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有す
る分子と有していない分子を併用することができる。ま
た、重合性基を有している分子と有していない分子とを
併用してもよい。不斉炭素原子を有し重合性基を有して
いない分子と、重合性基を有し不斉炭素原子を有してい
ない分子とを併用することが特に好ましい。この場合
は、重合性基を有し不斉炭素原子を有していない分子の
みがディスコティック液晶性分子として機能し、不斉炭
素原子を有し重合性基を有していない分子はカイラル剤
として機能していると考えることもできる。
【0058】aは、1乃至5の整数(好ましくは、1)
を表し、bは、0乃至4の整数を表す。但し、aとbと
の和は、1乃至5の整数である。
【0059】好ましいディスコティック液晶性分子の具
体例を以下に示す。但し、nは、ディスコティック液晶
性分子(T1)において0乃至15の整数を、ディスコ
ティック液晶性分子(T2)乃至(T7)において0乃
至12の整数を、ディスコティック液晶性分子(T8)
において0乃至4の整数を、ディスコティック液晶性分
子(T13)において4乃至8の整数をそれぞれ表す。
Xは、重合性基(Q8)、−O−CO−CH=CH2
−O−CO−C(CH3)=CH2および−O−CH=C
2を表す。ディスコティック液晶性分子(T8)乃至
(T21)において、側鎖Rが結合する円盤状コアは、
下記式で表されるトリフェニレンである。
【0060】
【化18】
【0061】
【化19】
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】R11およびR12は、それぞれ一般式(I)の
1、A2と同様であり、R13およびR14は、何れもZと
同様である。
【0067】
【化24】
【0068】ディスコティック液晶性分子を含む配向液
晶性分子層は、後述する垂直配向膜を用いて、ディスコ
ティック液晶性分子を配向させて得られる。配向の態様
は、ディスコティック液晶性分子の円盤面(トリフェニ
レン)を、垂直配向膜に対して実質的に垂直(50乃至
90度の範囲の平均傾斜角)に配向させたものであるこ
とが好ましい。ディスコティック液晶性分子は、垂直配
向状態のまま、配向液晶性分子層光学的異方性層内で固
定され、光学的異方性層を形成することが好ましい。
【0069】配向液晶性分子層には、ディスコティック
液晶性分子の実質的な垂直(ホモジニアス)かつ均一な
配向のため、含フッ素界面活性剤またはセルロースエス
テルを添加することも好ましい。
【0070】含フッ素界面活性剤は、フッ素原子を含む
疎水性基、ノニオン性、アニオン性、カチオン性あるい
は両性の親水性基および任意に設けられる連結基からな
る。一つの疎水性基と一つの親水性基からなる含フッ素
界面活性剤は、下記式で表わされる。 Rf−L5 −Hy 式中、Rfは、フッ素原子で置換された一価の炭化水素
基であり、L5 は、単結合または二価の連結基であり、
そして、Hyは親水性基である。上記のRfは、疎水性
基として機能する。炭化水素基は、アルキル基またはア
リール基であることが好ましい。アルキル基の炭素原子
数は3乃至30であることが好ましく、アリール基の炭
素原子数は6乃至30であることが好ましい。炭化水素
基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子
で置換されている。フッ素原子で、炭化水素基に含まれ
る水素原子の50%以上を置換することが好ましく、6
0%以上を置換することがより好ましく、70%以上を
置換することがさらに好ましく、80%以上を置換する
ことが最も好ましい。残りの水素原子は、さらに他のハ
ロゲン原子(例、F、Cl、Br)で置換されていても
よい。含フッ素界面活性剤は、ディスコティック液晶性
分子の量の0.01乃至30重量%の範囲であることが
好ましく、0.05乃至10重量%であることがさらに
好ましく、0.1乃至5重量%であることがさらに好ま
しい。
【0071】セルロースエステルとしては、セルロース
の低級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。セルロ
ースの低級脂肪酸エステルにおける「低級脂肪酸」と
は、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子
数は、2乃至5であることが好ましく、2乃至4である
ことがさらに好ましい。脂肪酸には置換基(例、ヒドロ
キシ)が結合していてもよい。二種類以上の脂肪酸がセ
ルロースとエステルを形成していてもよい。セルロース
の低級脂肪酸エステルの例には、セルロースアセテー
ト、セルロースプロピオネート、セルロースブチレー
ト、セルロースヒドロキシプロピオネート、セルロース
アセテートプロピオネートおよびセルロースアセテート
ブチレートが含まれる。セルロースアセテートブチレー
トが特に好ましい。セルロースアセテートブチレートの
ブチリル化度は、30%以上であることが好ましく、3
0乃至80%であることがさらに好ましい。セルロース
アセテートブチレートのアセチル化度は、30%以下で
あることが好ましく、1乃至30%であることがさらに
好ましい。セルロースエステルは、0.005乃至0.
5g/m2 の範囲の量で使用することが好ましく、0.
01乃至0.45g/m2 の範囲であることがより好ま
しく、0.02乃至0.4/m2 の範囲であることがさ
らに好ましく、0.03乃至0.35/m2 の範囲であ
ることが最も好ましい。また、ディスコティック液晶性
分子の量の0.1乃至5重量%の量で使用することも好
ましい。
【0072】ディスコティック液晶性分子、重合開始剤
および必要に応じて他の添加剤を含む塗布液の調製に使
用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホル
ムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシ
ド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素
(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、
クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸
メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチル
エチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、
1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハラ
イドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を
併用してもよい。
【0073】塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出
しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング
法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティン
グ法、バーコーティング法)により実施できる。
【0074】光学的異方性層の厚さは、0.1乃至50
μmであることが好ましく、1乃至30μmであること
がさらに好ましく、5乃至20μmであることが最も好
ましい。なお、液晶表示装置に光学補償シートを二枚用
いる場合は、一枚使用する場合に必要とされる光学的異
方性層の厚さ(上記の好ましい範囲)の半分の厚さでよ
い。
【0075】光学的異方性層内のディスコティック液晶
性分子の平均傾斜角度は、50乃至90度である。傾斜
角度は、なるべく均一であることが好ましい。ただし、
傾斜角度が光学的異方性層の厚み方向に沿って連続して
変化しているならば、若干の変動があっても問題ない。
【0076】ディスコティック液晶性分子のねじれの角
度(ツイスト角)は、STN型液晶セルのツイスト角
(一般に180乃至360度、好ましくは180度を越
えて270度まで)に応じて、類似(なるべく±10度
以内)の角度となるように調整することが好ましい。液
晶表示装置に光学補償シートを一枚用いる場合は、ディ
スコティック液晶性分子のねじれ角は、180乃至36
0度の範囲であることが好ましい。液晶表示装置に光学
補償シートを二枚用いる場合は、ディスコティック液晶
性分子のねじれ角は、90乃至180度の範囲であるこ
とが好ましい。光学補償シートをSTN型液晶表示装置
に用いる場合、光学的異方性層の複屈折率の波長依存性
(Δn(λ))は、STN型液晶セルの液晶の複屈折率
の波長依存性に近い値であることが好ましい。
【0077】[垂直配向膜]本発明者の研究によれば、
ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させ
るためには、配向膜に含まれるポリマーの主鎖よりも側
鎖の機能が重要である。具体的には、ポリマーの官能基
により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより
液晶性分子を立てた状態にする。配向膜の表面エネルギ
ーを低下させる官能基としては、炭素原子数が10乃至
100の炭化水素基が有効である。炭化水素基を配向膜
の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖ではなく側
鎖に導入する。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族環基、
芳香族性複素環基またはそれらの組み合わせである。脂
肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよ
い。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であっ
てもよい)またはアルケニル基(シクロアルケニル基で
あってもよい)であることが好ましい。芳香族環および
芳香族性複素環は、置換基を有していてもよい。芳香族
環としては、ベンゼン環であることが好ましい。芳香族
性複素環は、一般に五員または六員の不飽和複素環であ
る。炭化水素基の炭素原子数は、10乃至100である
ことが好ましく、10乃至60であることがさらに好ま
しく、10乃至40であることが最も好ましい。置換基
としては、ハロゲン原子、カルボキシル、シアノ、ニト
ロ、カルバモイル、スルファモイル、アルキル基、シク
ロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル
基、アシルオキシ基、アルキル置換カルバモイル基、ア
ルキル置換スルファモイル基、アミド基、スルホンアミ
ド基およびアルキルスルホニル基が含まれる。
【0078】炭化水素基は、ステロイド基を有すること
が好ましい。ステロイド基には、上記の配向膜の表面エ
ネルギーを低下させる機能に加えて、排除体積効果もあ
る。排除体積効果を配向膜に付与すると、表面エネルギ
ーの低下効果と相乗して、液晶性分子を立てた状態にす
る。ステロイド基を有する炭化水素基の炭素原子数は、
18乃至100であることが好ましく、19乃至60で
あることがさらに好ましく、20乃至40であることが
最も好ましい。炭化水素基は、芳香族環を2乃至4個有
することも好ましく、ビフェニル基あるいはトラン基を
有することが特に好ましい。炭化水素基は、フッ素原子
置換炭化水素基を有することも好ましい。フッ素原子置
換炭化水素基は、フッ素原子で置換された脂肪族基、芳
香族基またはそれらの組み合わせである。好ましいは脂
肪族基および芳香族基は、上記と同様である。フッ素原
子置換炭化水素基の炭素原子数は、1乃至100である
ことが好ましく、10乃至60であることがさらに好ま
しく、10乃至40であることが最も好ましい。
【0079】ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造(ポリ
アミック酸を含む)、変性ポリビニルアルコール、また
はポリアクリル酸共重合体(ポリメタクリル酸共重合体
を含む)であることが好ましく、変性ポリビニルアルコ
ール、またはポリアクリル酸共重合体(ポリメタクリル
酸共重合体を含む)であることが特に好ましい。ポリミ
ドは、一般に、テトラカルボン酸とジアミンとの縮合反
応により合成する。二種類以上のテトラカルボン酸ある
いは二種類以上のジアミンを用いて、コポリマーに相当
するポリイミドを合成してもよい。
【0080】以下、変性ポリビニルアルコールおよびポ
リアクリル酸共重合体についてこの順に説明する。
【0081】炭化水素基を有する変性ポリビニルアルコ
ールは、炭素原子数が10乃至100の炭化水素基を有
する繰り返し単位を2乃至80モル%の範囲で含むこと
が好ましく、3乃至70モル%の範囲で含むことが特に
好ましい。好ましい炭化水素変性ポリビニルアルコール
を、下記式(PVc)表す。 (PVc) −(VAl)x−(HyC)y−(VA
c)z− 式中、VAlは、ビニルアルコール繰り返し単位であ
り;HyCは、炭素原子数が10乃至100の炭化水素
基を有する繰り返し単位であり;VAcは、酢酸ビニル
繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ま
しくは25乃至90モル%)であり;yは、2乃至80
モル%(好ましくは3乃至70モル%)であり;そし
て、zは、0乃至30モル%(好ましくは2乃至20モ
ル%)である。好ましい炭素原子数が10乃至100の
炭化水素基を有する繰り返し単位(HyC)を、下記式
(II)(HyC−I)および(III)(HyC−II)で表
す。
【0082】
【化25】
【0083】式中、L1は、−O−、−CO−、−SO2
−、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれ
らの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を
表す。L2は、単結合あるいは−O−、−CO−、−S
2−、−NH−、アルキレン基、アリーレン基および
それらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結
基を表す。R1およびR2は、それぞれ、炭素原子数が1
0乃至100の炭化水素基(ステロイド基、フッ素置換
炭化水素基、ビフェニル基あるいはトラン基であること
が好ましく、ステロイド基、ビフェニル基あるいはトラ
ン基であることがさらに好ましく、ビフェニル基あるい
はトラン基であることが特に好ましい)である。
【0084】上記アルキレン基は、分岐または環状構造
を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1
乃至30であることが好ましく、1乃至15であること
がさらに好ましく、1乃至12であることが最も好まし
い。上記アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレン
であることが好ましく、フェニレンであることがさらに
好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。
アリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレ
ン基の置換基の例には、ハロゲン原子、カルボキシル、
シアノ、ニトロ、カルバモイル、スルファモイル、アル
キル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチ
オ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキル置換カルバ
モイル基、アルキル置換スルファモイル基、アミド基、
スルホンアミド基およびアルキルスルホニル基が含まれ
【0085】炭化水素変性ポリビニルアルコールの末端
に、繰り返し単位とは異なる基が結合していてもよい。
末端基の例には、アルキルチオ基が含まれる。前記[光
学的異方性層]で説明した重合性基を変性ポリビニルア
ルコールに導入してもよい。重合性基を有する変性ポリ
ビニルアルコールと重合性基を有するディスコティック
液晶性分子とを併用すると、変性ポリビニルアルコール
とディスコティック液晶性分子とを、液晶層と配向膜と
の界面を介して化学的に結合させることができる。これ
により、配向膜を用いた液晶素子の耐久性を改善するこ
とができる。
【0086】変性ポリビニルアルコールの重合度は、2
00乃至5000であることが好ましく、300乃至3
000であることが特に好ましい。変性ポリビニルアル
コールの分子量は、9000乃至200000であるこ
とが好ましく、13000乃至130000であること
が特に好ましい。二種類以上の変性ポリビニルアルコー
ルを併用してもよい。変性ポリビニルアルコールを架橋
させて使用することもできる。
【0087】炭化水素基を含むポリアクリル酸共重合体
(またはポリメタクリル酸共重合体)は、下記式(IV)
で表される。
【0088】
【化26】
【0089】上記式中、R21は、水素原子もしくはメチ
ル基を表す(R21がHのときは、ポリアクリル酸共重合
体を、R21がメチル基のときは、ポリメタクリル酸共重
合体を表す)。R22は、水素原子、ハロゲン原子および
炭素原子数1乃至6のアルキル基からなる群より選ばれ
る原子もしくは基を表す。炭素原子数1乃至6のアルキ
ル基としては、メチル基であることが特に好ましい。
【0090】L0は、−O−、−CO−、−NH−、−
SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン
基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二
価の連結基を表す。上記アルケニレン基は、分岐または
環状構造を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原
子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至16
であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最
も好ましい。上記アルキレン基、上記アリーレン基、お
よびそのアリーレン基が有する置換基については、変性
ポリビニルアルコールで説明したものと同様である。
【0091】R0は、炭素原子数が10乃至100の炭
化水素基を表す。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族環
基、芳香族性複素環基またはそれらの組み合わせであ
る。
【0092】Mは、水素原子、アルカリ金属原子および
置換基を有していてもよいアンモニウム基からなる群よ
り選ばれる原子もしくは基を表す。COOM基がこのよ
うな親水性基であることによって、ポリアクリル酸共重
合体(あるいはポリメタクリル酸共重合体)は水溶性を
示し、水性溶媒を用いて配向膜を形成することが可能と
なる。
【0093】cは、10乃至95モル%(好ましくは、
20乃至90モル%であり、特に好ましくは25乃至9
0モル%)である。dは、5乃至90モル%(好ましく
は、10乃至80モル%であり、特に好ましくは10乃
至70モル%)である。
【0094】前記[光学的異方性層]で説明した重合性
基をポリアクリル酸共重合体(またはポリメタクリル酸
共重合体)に導入してもよい。重合性基を有するポリア
クリル酸共重合体(またはポリメタクリル酸共重合体)
と重合性基を有する液晶性分子とを併用すると、ポリア
クリル酸共重合体(またはポリメタクリル酸共重合体)
と液晶性分子とを、液晶層と配向膜との界面を介して化
学的に結合させることができる。重合性基は、側鎖に重
合性基を有する繰り返し単位としてポリアクリル酸共重
合体(またはポリメタクリル酸共重合体)に導入する
か、あるいは、前記の炭化水素基を有する繰り返し単位
またはフッ素原子を含む繰り返し単位に重合性基を導入
する。
【0095】ポリアクリル酸共重合体(またはポリメタ
クリル酸共重合体)を架橋させて使用することもでき
る。架橋反応は、配向膜の塗布液の塗布と同時または塗
布後に実施することが好ましい。架橋剤については、山
下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」(大成社)
に詳細が記載されている。架橋剤の使用量は、配向膜の
塗布量の0.1乃至20重量%であることが好ましく、
0.5乃至15重量%であることがさらに好ましい。な
お、未反応のまま配向膜中に残存する架橋剤の量は、配
向膜の塗布量の1.0重量%以下であることが好まし
く、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0096】配向膜の厚さは、0.1乃至10μmであ
ることが好ましい。配向膜の形成において、ラビング処
理を実施することが好ましい。ラビング処理は、上記の
ポリアクリル酸共重合体(またはポリメタクリル酸共重
合体)を含む膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こ
することにより実施する。配向膜を用いて液晶性分子を
実質的に垂直に配向させてから、その配向状態のまま液
晶性分子を固定して光学的異方性層を形成し、光学的異
方性層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固
定された液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維
持することができる。
【0097】[透明支持体]光学補償シートの透明支持
体としては、光学的異方性が小さいポリマーフイルムを
用いることが好ましい。支持体が透明であるとは、光透
過率が80%以上であることを意味する。光学的異方性
が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(R
e)が20nm以下であることが好ましく、10nm以
下であることがさらに好ましく、5nm以下であること
が最も好ましい。また、厚み方向のレターデーション
(Rth)は、100nm以下であることが好ましく、5
0nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下
であることが最も好ましい。面内レターデーション(R
e)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞ
れ下記式で定義される。 Re=(nx1−ny1)×d1 Rth=[{(nx1+ny1)/2}−nz1]×d1 式中、nx1およびny1は、透明支持体の面内屈折率で
あり、nz1は透明支持体の厚み方向の屈折率であり、
そしてd1は透明支持体の厚さである。
【0098】ポリマーの例には、セルロースエステル、
ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含ま
れる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロ
ースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も
好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法
により形成することが好ましい。
【0099】透明支持体の厚さは、20乃至500μm
であることが好ましく、50乃至200μmであること
がさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層
(接着層、配向膜あるいは光学的異方性層)との接着を
改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電
処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処
理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下
塗り層)を設けてもよい。
【0100】[液晶表示装置]図1は、本発明の代表的
なSTN型液晶表示装置の特徴的な構成部分を示す図で
あり、STN型液晶表示装置の電圧無印加(オフ)の画
素部分における液晶セル内の棒状液晶性分子の配向状態
と光学的異方性層内のディスコティック液晶性分子の配
向状態とを模式的に示している。
【0101】図1に示すように、液晶セルは、上基板
(11)の下側の配向膜(12)と下基板(15)の上
側の配向膜(14)との間に、棒状液晶性分子(13a
〜13e)を封入して形成した液晶層を有する。配向膜
(12、14)と液晶層に添加したカイラル剤との機能
により、棒状液晶性分子(13a〜13e)は、図1に
示すように、ねじれ配向している。なお、図1では省略
したが、液晶セルの上基板(11)と下基板(15)
は、それぞれ、電極層を有する。電極層は、棒状液晶性
分子(13a〜13e)に電圧を印加する機能を有す
る。STN型液晶セルの印加電圧が0であると(電圧無
印加時)、図1に示すように、棒状液晶性分子(13a
〜13e)は、配向膜(12、14)の面とほぼ平行
(水平方向に)に配向している。そして、棒状液晶性分
子(13a〜13e)は、厚み方向に沿ってねじれなが
ら、水平面内で螺旋を巻く(図1では、13aから13
eまで反時計回りにほぼ240度)ような方向に配向し
ている。なお、STN型液晶セルの電圧印加(オン)時
には、液晶セル内の中央部分の棒状液晶性分子(13b
〜13d)は、電圧無印加(オフ)時と比較して、より
垂直に配向(電場方向と平行に再配列)する。但し、配
向膜(12、14)近傍の棒状液晶性分子(13a、1
3e)の配向状態は、電圧を印加しても実質的に変化し
ない。
【0102】液晶セル(1)の下側に、光学補償シート
(2)が配置されている。図1に示す光学補償シート
(2)は、透明支持体(23)上に、垂直配向膜(2
2)および光学的異方性層(21)をこの順に有する。
光学的異方性層(21)は、ディスコティック液晶性分
子(21a〜21e)を配向させ、その配向状態で液晶
性分子を固定して得られた層である。本発明では、図1
に示すように、ディスコティック液晶性分子(21a〜
21e)を、垂直配向膜(22)の面に対して実質的に
垂直に配向させる。そして、図1に示すように、ディス
コティック液晶性分子(21a〜21e)は、厚み方向
に沿ってねじれながら、水平面内で螺旋を巻く(図1で
は、21aから21eまで時計回りにほぼ240度)よ
うな方向に配向させることが好ましい。図1では、棒状
液晶性分子とディスコティック液晶性分子とが、13a
と21e、13bと21d、13cと21c、13dと
21b、そして13eと21aのそれぞれが対応する関
係になっている。すなわち、棒状液晶性分子13aをデ
ィスコティック液晶性分子21eが光学的に補償し、以
下同様に、棒状液晶性分子13eを、ディスコティック
液晶性分子21aが光学的に補償する。それぞれの対応
関係については、図2で説明する。
【0103】図2は、液晶セルの棒状液晶性分子と、そ
れを光学補償する関係にある光学補償シートのディスコ
ティック液晶性分子について、それぞれの屈折率楕円体
を示す模式図である。液晶セル(1)の棒状液晶性分子
の屈折率楕円体(13)は、配向膜に平行な面内の屈折
率(13x、13y)と液晶セルの厚み方向の屈折率
(13z)により形成される。STN型液晶セルでは、
配向膜に平行な面内の一方向の屈折率(13x)が大き
な値となり、それに垂直な方向の面内の屈折率(13
y)と液晶セルの厚み方向の屈折率(13z)は、小さ
な値となる。そのため、屈折率楕円体(13)は、図2
に示すようなラグビーボールを横に寝かせた形状にな
る。このように球状ではない屈折率楕円体を有する液晶
セルでは、複屈折性に角度依存性が生じる。この角度依
存性を、光学補償シート(2)を用いて解消する。
【0104】この棒状液晶性分子を光学補償する関係に
ある光学補償シートのディスコティック液晶性分子の屈
折率楕円体(21)も、垂直配向膜に平行な面内の屈折
率(21x、21y)と光学的異方性層の厚み方向の屈
折率(21z)により形成される。本発明では、ディス
コティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させること
で、垂直配向膜に平行な面内の一方向の屈折率(21
x)が小さな値となり、それに垂直な方向の面内の屈折
率(21y)と光学的異方性層の厚み方向の屈折率(2
1z)は、大きな値となる。そのため、屈折率楕円体
(21)は、図2に示すような円盤を立てた形状にな
る。以上の関係から、液晶セル(1)に生じたレターデ
ーションを、光学補償シート(2)により相殺すること
ができる。すなわち、棒状液晶性分子の屈折率(13
x、13y、13z)、ディスコティック液晶性分子の
屈折率(21x、21y、21z)、ディレクターの方
向が同じである棒状液晶性分子層の厚み(13t)およ
びディスコティック液晶性分子層の厚み(21t)を、
以下の式を満足するように液晶表示装置を設計すれば、
液晶セルの角度依存性を解消できる。 │(13x−13y)×13t│=│(21x−21
y)×21t│ │(13x−13z)×13t│=│(21x−21
z)×21t│
【0105】図3は、代表的なSTN型液晶表示装置の
断面模式図である。図3に示す液晶表示装置は、STN
型液晶セル(1)、液晶セルの両側に設けられた一対の
偏光板(3)、液晶セルと偏光板との間に配置された一
対の光学補償シート(2)およびバックライト(BL)
からなる。光学補償シート(2)は、一方にのみ配置し
てもよい。液晶セル(1)は、上基板(11)の下側の
配向膜(12)と下基板(15)の上側の配向膜(1
4)との間に液晶(13)を封入した構造を有する。光
学補償シート(2)は、透明支持体(23)上に、垂直
配向膜(22)および光学的異方性層(21)をこの順
に有する。偏光板(3)は、偏光膜(31)と保護膜
(32)とからなる。図3に示す装置では、光学補償シ
ート(2)の透明支持体(23)が、偏光膜(31)の
他方の側の保護膜としても機能している。
【0106】STN型液晶表示装置は、STN型液晶セ
ル、液晶セルの片側または両側に配置された一枚または
二枚の光学補償シートおよびそれらの両側に配置された
一対の偏光板からなる。液晶セルの棒状液晶性分子の配
向方向とディスコティック液晶性分子の配向方向との関
係は、光学補償シートに最も近い液晶セルの棒状液晶性
分子のディレクタ(棒状分子の長軸方向)と、液晶セル
に最も近い光学補償シートのディスコティック液晶性分
子のディレクタ(円盤状コア平面の法線方向)とが、液
晶セルの法線方向から見て、実質的に同じ向き(±10
度未満)になるように配置することが好ましい。光学補
償シートの透明支持体を、偏光膜の液晶セル側の保護膜
としても機能させることができる。その場合は、透明支
持体の遅相軸(屈折率が最大となる方向)と偏光膜の透
過軸とが実質的に垂直または実質的に平行(±10度未
満)になるように配置することが好ましい。
【0107】
【実施例】[製造例1]2,3,6,7,10,11−
ヘキサキス[4−(4−アクリロイルオキシブチルオキ
シ)シンナモイルオキシ]トリフェニレン(C−4)の
合成
【0108】
【化27】
【0109】(1)4−(4−ヒドロキシブチルオキ
シ)ケイ皮酸の合成 1Lの三ツ口フラスコに、p−ヒドロキシベンズアルデ
ヒド(40.0g、328ミリモル)、4−クロロブチ
ルアセテート(54.3g、360ミリモル)、炭酸カ
リウム(45.3g、32.8ミリモル)およびジメチ
ルホルムアミド(150mL)を仕込み、120℃で3
時間攪拌した。冷却後、反応混合物に水を加え、酢酸エ
チルで抽出した。溶媒を留去後、得られた油溶物に、マ
ロン酸(40.8g、392ミリモル)、ピロリジン
(10mL)およびピリジン(200mL)を加え、1
20℃で2時間攪拌した。60℃に冷却後、メタノール
(200mL)と40量%水酸化カリウム水溶液(20
0mL)を加え、さらに60℃で2時間攪拌した。次い
で、冷却後、反応混合物を、水(4L)に濃塩酸(33
0mL)を溶かした塩酸水溶液に注ぎ、析出した結晶を
濾別した。得られた結晶は、アセトニトリルで再結晶化
を行い、標題化合物を得た(65.6g、収率:85
%)。
【0110】(2)4−(4−アクリロイルオキシブチ
ルオキシ)ケイ皮酸の合成 500mLの三ツ口フラスコに、上記(1)で得られた
化合物(20.0g、84.6ミリモル)、N,N−ジ
メチルアニリン(14.3g、118ミリモル)、アク
リル酸クロリド(9.6mL、118ミリモル)、ニト
ロベンゼン(0.1g)およびテトラヒドロフラン(1
40mL)を仕込み、60℃で3時間攪拌した。冷却
後、希塩酸水溶液に反応混合物を注ぎ、析出した結晶を
濾別した。得られた粗結晶に、ジメチルアセトアミド
(30mL)、トリエチルアミン(12mL)およびニ
トロベンゼン(0.1g)を加え、60℃で30分間攪
拌した。冷却後、希塩酸水溶液に反応混合物を注ぎ、析
出した結晶を濾別した。得られた結晶をアセトニトリル
と水との混合溶媒で再結晶化を行い、標題化合物を得た
(20.0g、収率:81%)。
【0111】(3)2,3,6,7,10,11−ヘキ
サキス[4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)
シンナモイルオキシ]トリフェニレン(C−4)の合成 500mLの三ツ口フラスコに、メタンスルホニルクロ
リド(31.6g、276ミリモル)、ニトロベンゼン
(0.24g)およびテトラヒドロフラン(180m
L)を仕込み、0℃に冷却した。この溶液に、上記
(2)で得られた化合物(80.0g、276ミリモ
ル)およびジイソプロピルエチルアミン(39.2g、
304ミリモル)のテトラヒドロフラン(180mL)
溶液を滴下した。0℃で1時間攪拌後、その反応混合液
にジイソプロピルエチルアミン(35.7g、276ミ
リモル)および4−ジメチルアミノピリジン(3.4
g、28ミリモル)を添加し、次いで、2,3,6,
7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン
(8.1g、25ミリモル)のテトラヒドロフラン(8
0mL)懸濁液を添加した。室温で、12時間攪拌後、
反応混合液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を
留去後、油状物をカラムクロマトグラフィーにて精製
し、標題化合物を得た(42.4g、87%)。1 H−NMR(CDCl3)δ; 1.85(24H,brs) 3.95(12H,brs) 4.25(12H,brs) 5.80(6H,d) 6.10(6H,dd) 6.40(6H,d) 6.50(6H,d) 6.70(12H,d) 7.30(12H,d) 7.85(6H,d) 8.25(6H,s)
【0112】ディスコティック液晶性分子C−4の相転
移温度を偏光顕微鏡によって測定したところ、結晶相か
らND(ディスコティックネマティック)相への相転移
温度、ND相から等方性液体への相転移温度は、それぞ
れ、124℃、222℃であった。ディスコティック液
晶性分子C−4の紫外線吸収スペクトルを図1に示す。
ディスコティック液晶性分子C−4は、約320nmに
紫外線極大吸収(λmax)を有する。
【0113】下記実施例で用いる光重合開始剤A、B、
CおよびDの紫外線吸収スペクトルをそれぞれ、図2、
3、4、5に示す。光重合開始剤Aのλmaxは、約34
0.6nm(濃度:2.49×10-5モル/L、ε:3
6716)、光重合開始剤Bのλmaxは、約297.2
nm(濃度:3.76×10-4モル/L、ε:332
4)、光重合開始剤Cのλmaxは、約318.6nm
(濃度:4.47×10-5モル/L、ε:2216
2)、そして;光重合開始剤Dのλmaxは、約305.
6nm(濃度:6.15×10-5モル/L、ε:184
14)であった。
【0114】《実施例系1》光重合開始剤に関する検討 [実施例1] (配向膜の形成)下記式で表される変性ポリビニルアル
コールをN−メチルピロリドンとメチルエチルケトンと
の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5重量
%溶液を調製した。
【0115】
【化28】
【0116】上記溶液を、厚さ1.1mmのガラス板に
バーコータを用いて塗布した。塗布層に、80℃に加熱
した空気を10分間吹き付け、塗布層を乾燥した。次い
で、塗布層表面を長手方向に沿ってラビング処理して配
向膜を形成した。
【0117】(光学補償シートの作製)製造例1で得ら
れたディスコティック液晶性分子C−4(1.0g)
に、下記式で順に表される光重合可塑剤(0.10
g)、アセチル化度3.0%、ブチリル化度50.0
%、数平均分子量40000のセルロースアセテートブ
チレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル
社製)(10mg)および光重合開始剤A(30mg)
を加え、これをメチルエチルケトンに溶解して、固形分
30重量%の光学的異方性層塗布液を調製した。
【0118】
【化29】
【0119】
【化30】
【0120】次いで、前記の光学的異方性層塗布液を配
向膜上にバーコータを用いて塗布し、ディスコティック
液晶性分子の塗布膜を形成させた。次に、表面温度を1
60℃に加熱した金属ローラに、上記塗布膜を支持体側
にて1分間接触させ、塗布膜を配向状態にした。次に、
紫外線照射装置(ULTORA−VIOLETPROD
UCTS社製、UVL−58(16W))を使用し、1
60℃の金属ローラ上で10秒間紫外線を露光させ、光
学的異方性層を作製した。この光学補償シートの光学的
異方性層を偏光顕微鏡下で観察したところ、ディスコテ
ィック相起源の配向の固定が確認された。また、540
nmにおける正面のレターデーションをセナルモン法を
用いて測定し、光学的異方性層の屈折率異方性(△n)
を求めたところ、0.066であった。
【0121】[実施例2]下記式で表される光重合開始
剤Bを用いる以外は、実施例1と同様な操作を行い、光
学補償シートを作製した。この光学補償シートの光学的
異方性層を偏光顕微鏡下で観察したところ、ディスコテ
ィック相起源の配向の固定が確認された。また、540
nmにおける正面のレターデーションをセナルモン法を
用いて測定し、光学的異方性層の△nを求めたところ、
0.064であった。
【0122】
【化31】
【0123】実施例1および2の結果より、光学的異方
性層塗布液中に含有される光重合開始剤の紫外線吸収波
長が光重合開始剤によって異なるため、側鎖にシンナモ
イル基を有するディスコティック液晶性分子の光学的異
方性を保持したまま配向を固定するには、シンナモイル
基に由来する約300乃至約320nmの波長の範囲に
紫外線極大吸収を持たない光重合開始剤を用いることが
好ましいことが分かる
【0124】[実施例3]塗布膜を配向状態にした後
に、塗布膜の前方に厚さ11.5mmのソーダ石灰ガラ
ス(紫外線の透過率;280乃至320nmの波長の範
囲において0%、かつ360乃至500nmの波長の範
囲において70%以上である)を用いて、紫外線を露光
させる操作を行う以外は実施例1と同様にして、光学補
償シートを作製した。この光学補償シートを偏光顕微鏡
下で観察したところ、光学的異方性を保持しており、光
学的異方性層の△nを求めたところ0.865であっ
た。
【0125】[実施例4]下記式で表される光重合開始
剤Cを用いる以外は実施例3と同様にして光学補償シー
トを作製した。この光学補償シートを偏光顕微鏡下で観
察したところ、光学的異方性を保持しており、光学的異
方性層の△nを求めたところ0.70であった。
【0126】
【化32】
【0127】[実施例5]下記式で表される光重合開始
剤Dを用いる以外は実施例3と同様にして光学補償シー
トを作製した。この光学補償シートを偏光顕微鏡下で観
察したところ、光学的異方性を保持していたが、250
℃で加熱すると、配向の固定が行われていないことが認
められた。
【0128】
【化33】
【0129】実施例3、4および5より、ソーダ石灰ガ
ラスが、シンナモイル基に由来する約300乃至約32
0nmの波長の範囲の紫外線吸収を極力抑えることによ
って、光学的異方性の消失を招く光反応を抑えることが
できたことが分かる。
【0130】[実施例6]光学的異方性層塗布液に、下
記式で表されるカイラル剤(15mg)を加えた以外は
実施例1と同様にして光学補償シートを作成した。
【0131】
【化34】
【0132】得られた光学補償シートの△ndを波長5
50nmにおいて測定したところ、440nmであっ
た。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角
は、120度であった。膜厚は、別途測定を行い、6.
7μmであった。この光学補償シートを用いて、図3に
示す構造のSTN型液晶表示装置を作製した。液晶セル
と光学補償シートとが接する面で、液晶セルの棒状液晶
性分子の配向方向と光学補償シートのディスコティック
液晶性分子の配向方向とを一致させた。出射側偏光板の
吸収軸と液晶セルの出射側の棒状液晶性分子の配向方向
との角度は、45度に調節した。入射側偏光板の吸収軸
と出射側偏光板の吸収軸とは直交するように配置した。
得られたSTN型液晶表示装置に電圧を印加したとこ
ろ、ノーマリーブラックモードになった。視角特性を測
定したところ、コントラスト比が5以上の角度範囲が左
右で120度以上、上下で150度以上得られた。
【0133】《実施例系2》紫外線に対する露光温度の
検討 [実施例7] (配向膜の形成)下記式で表される変性ポリビニルアル
コールをN−メチルピロリドンとメチルエチルケトンと
の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5重量
%溶液を調製した。
【0134】
【化35】
【0135】上記溶液を、厚さ1.1mmのガラス板に
バーコータを用いて塗布した。塗布層に、80℃に加熱
した空気を10分間吹き付け、塗布層を乾燥した。次い
で、塗布層表面を長手方向に沿ってラビング処理して配
向膜を形成した。
【0136】(光学補償シートの作製)製造例1で得ら
れたディスコティック液晶性分子C−4(1.0g)
に、下記式で順に表される光重合可塑剤(0.10
g)、アセチル化度3.0%、ブチリル化度50.0
%、数平均分子量40000のセルロースアセテートブ
チレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル
社製)(10mg)および光重合開始剤A(30mg)
を加え、これをメチルエチルケトンに溶解して、固形分
30重量%の光学的異方性層塗布液を調製した。
【0137】
【化36】
【0138】
【化37】
【0139】次いで、前記の光学的異方性層塗布液を配
向膜上にバーコータを用いて塗布し、ディスコティック
液晶性分子の塗布膜を形成させた。次に、表面温度を1
60℃に加熱した金属ローラに、上記塗布膜を支持体側
にて1分間接触させ、塗布膜を配向状態にした。次い
で、その塗布膜を表面温度が30℃の金属ローラに1分
間接触させ、紫外線照射装置(ULTORA−VIOL
ETPRODUCTS社製、UVL−58(16W))
を使用し、160℃の金属ローラ上で10秒間紫外線を
露光させ、光学的異方性層を作製した。この光学補償シ
ートの光学的異方性層を偏光顕微鏡下で観察したとこ
ろ、ディスコティック相起源の配向の固定が確認され
た。また、540nmにおける正面のレターデーション
をセナルモン法を用いて測定し、光学的異方性層の屈折
率異方性(△n)を求めたところ、0.135であっ
た。
【0140】[実施例8]下記式で表される光重合性開
始剤Bを用いる以外は、実施例7と同様にして光学補償
シートを作製した。この光学補償シートを偏光顕微鏡下
で観察したところ、光学的異方性層は、ディスコティッ
ク相起源の配向の固定が確認された。また、光学的異方
性層の△nを求めたところ、0.130であった。
【0141】
【化38】
【0142】[実施例9]下記式で表される光重合性開
始剤Cを用いる以外は、実施例7と同様にして光学補償
シートを作製した。この光学補償シートを偏光顕微鏡下
で観察したところ、光学的異方性層は、ディスコティッ
ク相起源の配向の固定が確認された。また、光学的異方
性層の△nを求めたところ、0.110であった。
【0143】
【化39】
【0144】実施例7、8および9より、塗布膜の紫外
線に対する露光を、塗布膜中のディスコティック液晶性
分子のND相への相転移点(製造例1で記載したよう
に、124℃)以下で行うことにより、光学補償シート
の光学的異方性が保持され、光学的異方性層の△nの値
が向上することが分かった。
【0145】[実施例10]光学的異方性層塗布液に、
下記式で表されるカイラル剤(15mg)を加えた以外
は実施例7と同様にして光学補償シートを作成した。
【0146】
【化40】
【0147】得られた光学補償シートの△ndを波長5
50nmにおいて測定したところ、440nmであっ
た。また、ディスコティック液晶性分子のツイスト角
は、120度であった。膜厚は、別途測定を行い、3.
3μmであった。この光学補償シートを用いて、図3に
示す構造のSTN型液晶表示装置を作製した。液晶セル
と光学補償シートとが接する面で、液晶セルの棒状液晶
性分子の配向方向と光学補償シートのディスコティック
液晶性分子の配向方向とを一致させた。出射側偏光板の
吸収軸と液晶セルの出射側の棒状液晶性分子の配向方向
との角度は、45度に調節した。入射側偏光板の吸収軸
と出射側偏光板の吸収軸とは直交するように配置した。
得られたSTN型液晶表示装置に電圧を印加したとこ
ろ、ノーマリーブラックモードになった。視角特性を測
定したところ、コントラスト比が5以上の角度範囲が左
右で120度以上、上下で150度以上得られた。
【0148】
【発明の効果】本発明者は研究の結果、光重合時に使用
する光重合開始剤として、側鎖にシンナモイル基を有す
るディスコティック液晶性分子のそのシンナモイル基に
由来する紫外線極大吸収波長に対して、20nm以上乖
離した極大吸収波長を有する光重合開始剤を用いること
によって、該ディスコティック液晶性分子から形成され
た光学的異方性層を含む光学補償シートを製造すること
に成功した。また、本発明者は研究の結果、透明支持体
上の配向液晶性分子層に対する紫外線照射を、該ディス
コティック液晶性分子の液晶相から等方性液体に転移す
る温度(TN-1点)よりも10℃以上低い温度(好まし
くは、該ディスコティック液晶性分子のガラス状態温
度)にて行うことによって、該ディスコティック液晶性
分子から形成された光学的異方性層を含む光学補償シー
トを作製することに成功した。上記記載の性質を有する
光重合開始剤を使用することに加えて、紫外線照射をT
N-1点よりも10℃以上低い温度にて実施することによ
り、該光学的異方性層の屈折率異方性(△n)を向上さ
せることも可能となった。このように、STN型液晶表
示装置に適した光学補償シートを製造することが可能と
なったので、該光学補償シートをSTN型液晶表示装置
に用いることによって、高コントラストの鮮明な画像を
得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的なSTN型液晶表示装置の特徴
的な構成部分を示す図である。
【図2】液晶セルの棒状液晶性分子と、それを光学補償
する関係にある光学補償シートのディスコティック液晶
性分子について、それぞれの屈折率楕円体を示す模式図
である。
【図3】図3は、本発明の代表的なSTN型液晶表示装
置の断面模式図である。
【図4】ディスコティック液晶性分子C−4の紫外線吸
収スペクトルである。
【図5】光重合開始剤Aの紫外線吸収スペクトルであ
る。
【図6】光重合開始剤Bの紫外線吸収スペクトルであ
る。
【図7】光重合開始剤Cの紫外線吸収スペクトルであ
る。
【図8】光重合開始剤Dの紫外線吸収スペクトルであ
る。
【符号の説明】
1 液晶セル 2 光学補償シート 3 偏光板 11 液晶セルの上基板 12、14 液晶セルの配向膜 13 液晶または屈折率楕円体 13a〜13e 棒状液晶性分子 15 液晶セルの下基板 21 光学的異方性層またはその屈折率楕円体 21a〜21e ディスコティック液晶性分子 22 垂直配向膜 23 透明支持体 31 偏光膜 32 保護膜 BL バックライト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA42 BB49 BC02 BC05 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 FC23 GA06 HA10 4H027 BA08 BA14 BB04 BD07 BD20 BE06 DM03 DM05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に、下記一般式: 【化1】 [式中、A1およびA2は、互いに独立に、水素原子、ハ
    ロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、お
    よび炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基からなる群
    より選ばれる原子もしくは基を表し;Zは、ハロゲン原
    子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数
    が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13
    のアシル基、および炭素原子数が1乃至12のアルキル
    アミノ基、および炭素原子数が2乃至13のアシルオキ
    シ基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表し;L
    は、−O−、−CO−、−S−、−NH−、アルキレン
    基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、
    およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価
    の連結基を表し;Qは、重合性基を表し;aは、1乃至
    5の整数を表し;そして、bは、0乃至4の整数を表
    す;但し、aとbとの和は、1乃至5の整数である]で
    表されるディスコティック液晶性分子からなる塗布層を
    形成し、配向処理して配向液晶性分子層とした後、該配
    向液晶性分子層に紫外線を照射して重合させることによ
    って、配向状態を保持させながら該液晶性分子の配向を
    固定して光学的異方性層を形成することからなる光学補
    償シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 配向液晶性分子層が、光重合開始剤を含
    み、そして、光重合開始剤がその紫外線極大吸収波長に
    おいて液晶性分子の紫外線極大吸収波長と15nm以上
    異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の光
    学補償シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 光重合開始剤が、330乃至400nm
    の波長の範囲の紫外線に対するモル吸光係数が50乃至
    500000の範囲にある光重合開始剤であることを特
    徴とする請求項2に記載の光学補償シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 200乃至320nmの波長の範囲、3
    25乃至340nmの波長の範囲および360乃至50
    0nmの波長の範囲における紫外線の透過率が、それぞ
    れ、0%以下、50%以下、50%以上である紫外線用
    フィルターを用いて、紫外線照射を行うことを特徴とす
    る請求項1に記載の光学補償シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 紫外線の照射を、配向液晶性分子層内の
    液晶性分子の結晶相が等方性液体に転移する温度より1
    0℃低い温度乃至250℃の範囲にて、配向液晶性分子
    層を加熱しながら行うことを特徴とする請求項1に記載
    の光学補償シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の内の何れかの項に記載
    の製造方法によって製造された光学補償シート。
  7. 【請求項7】 STN型液晶セル、その両側のそれぞれ
    に配置された偏光板、およびSTN型液晶セルと一方ま
    たは両方の偏光板との間に配置された光学補償シートか
    らなるSTN型液晶表示装置であって、該光学補償シー
    トが、液晶セルに近い側に光学的異方性層を配置した請
    求項6に記載の光学補償シートであることを特徴とする
    STN型液晶表示装置。
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