JP2004240188A - 化合物、位相差板および円偏光板 - Google Patents
化合物、位相差板および円偏光板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004240188A JP2004240188A JP2003029555A JP2003029555A JP2004240188A JP 2004240188 A JP2004240188 A JP 2004240188A JP 2003029555 A JP2003029555 A JP 2003029555A JP 2003029555 A JP2003029555 A JP 2003029555A JP 2004240188 A JP2004240188 A JP 2004240188A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- anisotropic layer
- optically anisotropic
- general formula
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 COc(cc1)ccc1C(Oc(cc1)ccc1C(Oc(cc1)ccc1C(ON*)=O)=O)=O Chemical compound COc(cc1)ccc1C(Oc(cc1)ccc1C(Oc(cc1)ccc1C(ON*)=O)=O)=O 0.000 description 4
Images
Abstract
【課題】広帯域で配向欠陥の少ない位相差板および円偏光板を提供する。
【解決手段】透明支持体と、該支持体の上方に、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπである第1の光学異方性層と、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有し、前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層の少なくとも一方が、下記一般式(I)(A1およびA2はそれぞれ−CO−O−または−O−CO−;B1およびB2はそれぞれ重合性基を含む基;X1〜X3はそれぞれ置換基;l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である)で表される化合物を含むことを特徴とする位相差板、および該位相差板と偏光膜とを有する円偏光板である。
一般式(I)
【化1】
【選択図】 なし
【解決手段】透明支持体と、該支持体の上方に、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπである第1の光学異方性層と、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有し、前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層の少なくとも一方が、下記一般式(I)(A1およびA2はそれぞれ−CO−O−または−O−CO−;B1およびB2はそれぞれ重合性基を含む基;X1〜X3はそれぞれ置換基;l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である)で表される化合物を含むことを特徴とする位相差板、および該位相差板と偏光膜とを有する円偏光板である。
一般式(I)
【化1】
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型液晶表示装置、光ディスクの書き込み用のピックアップ、あるいは反射防止膜に利用されるλ/4板として有効な広帯域位相差板、および該位相差板と偏光膜を貼り合せて製造された円偏光板に関するものである。さらに、本発明は上記位相差板および円偏光板の作製に有用な化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
λ/4板は、非常に多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4を達成しているものがほとんどである。液晶性化合物を塗布することにより形成された層を2層積層することによって、広帯域λ/4板を提供する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。これらの2層塗布型λ/4板においては、ディスコチック液晶が用いられているが、ディスコチック液晶は波長分散が大きいため、充分な広帯域性を実現することができない。またディスコチック液晶はΔnが比較的小さいので、所望のレターデーションを得るためには、光学異方性層の膜厚を厚くする必要があり、配向欠陥が生じやすい。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−91741号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、波長分散が小さく、Δnの大きい棒状重合性液晶を用いて作製した広帯域の位相差板および円偏光板を提供することを課題とする。また、本発明は、広帯域で、且つ配向欠陥が少なく、着色が少なく、安定的な作製が可能な位相差板および円偏光板を提供する。さらに、本発明は、位相差板および円偏光板の作製に有用な新規な化合物を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段によって解決された。
[1] 透明支持体と、該支持体の上方に、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπである第1の光学異方性層と、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有し、前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層の少なくとも一方が、下記一般式(I)で表される化合物から形成される層であることを特徴とする位相差板。
【0006】
一般式(I)
【化7】
【0007】
(式中、A1およびA2はそれぞれ−CO−O−または−O−CO−であり、B1およびB2はそれぞれ重合性基を含む基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0008】
[2] 前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層が、前記一般式(1)で表される化合物から形成される層である[1]に記載の位相差板。
[3] 一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される[1]または[2]に記載の位相差板。
【0009】
一般式(II)
【化8】
【0010】
(式中、B1およびB2はそれぞれ、重合性基を含む基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0011】
[4] 一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される[1]〜[3]のいずれかに記載の位相差板。
【0012】
一般式(III)
【化9】
【0013】
(式中、Y1およびY2はそれぞれ単結合またはアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0014】
[5] 透明支持体と、該透明支持体の上方に、下記一般式(III)で表される化合物から形成される光学異方性層とを含む位相差板。
【0015】
一般式(III)
【化10】
【0016】
(式中、Y1およびY2はそれぞれ単結合またはアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0017】
[6] 透明支持体と、該透明支持体の上方に、下記一般式(IV)で表される化合物から形成される光学異方性層とを含む位相差板。
【0018】
一般式(IV)
【化11】
【0019】
(式中、Y1およびY2はそれぞれアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l1、m1およびn1のうち1つが1で、2つが0である。)
【0020】
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の位相差板と偏光膜とを有する円偏光板。
[8] 下記一般式(IV)で表される化合物。
【0021】
一般式(IV)
【化12】
【0022】
(式中、Y1およびY2はそれぞれアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l1、m1およびn1のうち1つが1で、2つが0である。)
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[棒状液晶性化合物]
本発明の位相差板は、第1の光学異方性層と第2の光学異方性層を有し、各層が棒状液晶化合物から形成されていることを特徴とする。前記第1および第2の光学異方性層の少なくとも1つは、下記一般式(I)で表される重合性棒状液晶化合物を含む。一般に、棒状液晶性化合物は、ディスコチック液晶化合物よりもΔnが高いため、薄い膜厚で、必要なレタデーションを達成できるが、特に、前記一般式(I)で表される化合物は、重合性棒状液晶化合物の中でも、有機溶剤に対する溶解性が高い、重合による配向の固定性が良い、波長分散が小さい、ネマチック相温度範囲が広い、紫外線による着色が少ない、紫外線に対する安定性が高いなどの点において、優れた性質を有する。
【0024】
一般式(I)
【化13】
【0025】
一般式(I)で表される化合物のうち好ましいのは、下記一般式(II)で表される化合物であり、より好ましいのは下記一般式(III)で表される化合物であり、さらに好ましいのは下記一般式(IV)で表される化合物である。
一般式(II)
【化14】
【0026】
一般式(III)
【化15】
【0027】
一般式(IV)
【化16】
【0028】
以下に一般式(I)〜(IV)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(I)〜(IV)中、X1〜X3はそれぞれ置換基である。該置換基としは、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基(ビシクロアルキル基等の多環構造も含む)を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基(ビシクロアルケニル基等の多環構造も含む)を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基が特に好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基が最も好ましい。
【0029】
前記一般式(I)〜(III)中、l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数であるが、それぞれ0〜2が好ましく、0〜1が、さらに好ましい。中でも、溶解性と液晶性との両立のために、l、mおよびnのうち2つが0で、残り1つが1であること最も好ましい。前記一般式(III)において、l=n=0で且つm=1であることが最も好ましい。l、mおよびnが2以上の整数の場合、X1〜X3のそれぞれは同じでもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式(IV)中、l1、m1およびn1のうち少なくとも1つが1で、2つが0である。l1、m1およびn1が2以上の整数の場合、X1〜X3のそれぞれは同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
前記一般式(I)および一般式(II)中、B1およびB2はそれぞれ重合性基を含む基を表す。B1およびB2はそれぞれ、重合性基で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基であるのが好ましい。B1およびB2に含まれる炭素数は、1〜15個が好ましく、1〜10個がより好ましい。B1およびB2はそれぞれ、重合性基以外の置換基を有していてもよい。その場合の置換基の例は、X1〜X3の例として挙げたものと同じである。
【0031】
B1およびB2が有する重合性基は、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。重合性エチレン性不飽和基の例としては下記の(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
【0032】
【化17】
【0033】
式中、Rは水素原子または置換基を表すが、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。中でも(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環性重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタン基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
【0034】
前記一般式(III)および(IV)中、Y1およびY2はそれぞれ、アルキレン基である。Y1およびY2はそれぞれ、炭素数1〜9のアルキレン基であるのが好ましく、炭素数2〜7のアルキレン基であるのがより好ましい。Y1およびY2の少なくとも一つは、炭素数2〜3のアルキレン基であるのが好ましい。
前記一般式(III)および(IV)中、P1およびP2はそれぞれ重合性基である。好ましい範囲は、前記B1およびB2に含まれる重合性基について述べたものと同一である。
【0035】
前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物の具合例を以下に示すが、本発明で用いられる液晶化合物はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化18】
【0037】
【化19】
【0038】
【化20】
【0039】
【化21】
【0040】
前記一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物は、Macromlecules 1995,28,3313−3327;特開平11−322678号公報等に記載された方法に従い合成できる。また、一般式(IV)で表される化合物も、置換もしくは無置換のヒドロキシベンズアルデヒドおよびヒドロキシ安息香酸を用いて、上記と同様の合成法にて合成できる。
【0041】
一般式(IV)で表される化合物は、置換もしくは無置換のヒドロキシベンズアルデヒドや、置換もしくは無置換のヒドロキシ安息香酸から容易に合成できる、化合物(IV−a)および化合物(IV−b)を反応させて合成することができる。反応させる化合物(IV−a)と化合物(IV−b)のモル比は、2:1〜1:2が好ましく、1:1.2〜1.2:1がより好ましい。その際、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を共存させることが好ましい。塩基は化合物(IV−a)に対して0.5〜5当量がこの好ましく1〜1.2当量がより好ましい。反応の際、ジメチルアミノピリジンなどの触媒を加えることが好ましい。反応に際して溶媒を用いることが好ましく、溶媒の例としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、2−ブタノン、アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。反応温度は−10℃〜120℃が好ましく、0℃〜70℃が、より好ましい。反応時間は0.1時間〜24時間が好ましく、0.5時間〜5時間が、より好ましい。化合物(IV−a)は対応するカルボン酸(Z=OH)から合成することができるが、合成した化合物(IV−a)は単離してもよいし、単離せずにそのまま次の反応に用いてもよい。
【0042】
【化22】
【0043】
(IV−a)、(IV−b)、及び(IV)式中、Y1、Y2はそれぞれ、アルキレン基であり、P1、P2はそれぞれ重合性基基である。X1〜X3はそれぞれ置換基である。l1、m1およびn1のうちの1つが1で2つが0である。Zはクロル原子、メタンスルホニルオキシ基などの離脱性基である。
【0044】
前記第1および第2の光学異方性層中における前記一般式(I)で表される化合物の含有量は特に限定されないが、実質的に前記一般式(I)の化合物のみを含むことが好ましく、適宜添加剤等を含有していてもよい。
本発明において、前記第1および第2の光学異方性層を形成するのに用いられる棒状液晶性化合物は、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。複数種を混合する場合の比率は任意である。二種以上の棒状液晶性化合物を併用する場合は、前記一般式(I)で表される化合物以外の棒状液晶性化合物を用いることもできる。併用可能な重合性棒状液晶化合物としては、例えば、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年);Advanced Materials 5巻、107頁(1993年);米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、同11−513019号および特願2001−64627号の各公報および各明細書などに記載の化合物の中から選んで用いることができる。
【0045】
なお、本発明では、前記第1および第2の光学異方性層のいずれかが、前記一般式(I)で表される化合物から形成される層であればよく、前記第1および第2の光学異方性層のいずれかが、他の棒状液晶性化合物から形成されていてもよい。前記第1および第2の光学異方性層の双方が前記一般式(I)で表される化合物から形成されているのが好ましく、双方の光学異方性層が同一の化学構造式を有する前記一般式(I)で表される化合物を含んでいるのがより好ましい。
【0046】
[第1および第2の光学異方性層の形成]
前記第1および第2の光学異方性層は、前記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物、および所望により後述する重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜等の上に塗布することで形成することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0047】
前記第1および第2の光学異方性層において、棒状液晶性化合物は実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。従って、配向させた前記棒状液晶性化合物は、配向状態を維持して固定するのが好ましく、固定化を前記棒状液晶性化合物が有する重合性基の重合反応により実施することがより好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0048】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。棒状液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0049】
前記第1および第2の光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
【0050】
[配向膜]
前記棒状液晶性化合物を配向させるためには配向膜を用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
【0051】
配向膜に使用するポリマーの種類は、用いる棒状液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定する。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。
【0052】
配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて棒状液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま棒状液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフイルム(または透明支持体)上に転写してもよい。配向状態の固定された棒状液晶性化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。そのため、本発明の位相差板では、配向膜は必須ではない。
【0053】
[透明支持体]
本発明の位相差板は、前記第1および第2の光学異方性層を支持する支持体を有する。用いる支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。また、透明支持体は波長分散が小さいポリマーフイルムを用いることが好ましく、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。また、透明支持体は光学異方性が小さいことも好ましく、具体的には、面内レタデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0054】
前記透明支持体に使用可能なポリマーには、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により作製することが好ましい。前記透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(配向膜、光学異方性層等)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0055】
位相差板の作製に際しては、透明支持体として、ロール状に巻きつけられた長尺状の形態のものを用いてもよいし、長方形のシート状の形態のものを用いることもできる。前記第1および第2の光学異方性層を形成する前に、所望の大きさに切断してもよいが、生産性の点では、前記第1および第2の光学異方性層を積層した後に所望の大きさに切断するのが好ましい。特に、前記ロール状の形態の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、所望の大きさに切断するのが好ましい。
【0056】
[位相差板の光学的性質]
本発明において、前記第1の光学異方性層は、波長550nmにおける位相差が実質的にπであり、前記第2の光学異方性層は、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である。特定波長(λ)において位相差πを達成するには、特定波長(λ)において測定した光学異方性層のレタデーション値をλ/2に調整すればよい。特定波長(λ)において位相差π/2を達成するには、特定波長(λ)において測定した光学異方性層のレタデーション値をλ/4に調整すればよい。可視領域のほぼ中間の波長である550nmにおいて、位相差πまたはπ/2を達成していることが好ましい。すなわち、第1の光学異方性層(A)は、波長550nmで測定したレタデーション値が200nm〜350nmであることが好ましく、240nm〜300nmであることがより好ましい。第2の光学異方性層(B)は、波長550nmで測定したレタデーション値が100nm〜180nmであることが好ましく、120nm〜150nmであることがより好ましい。
【0057】
本明細書では、レタデーション値は、光学異方性層の法線方向から入射した光に対する面内のレタデーション値を意味する。具体的には、下記式により定義される値である。
レタデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxおよびnyは光学異方性層の面内の主屈折率であり、そしてdは光学異方性層の厚み(nm)である。
【0058】
本発明の位相差板は、偏光膜と組み合わせることによって、広い波長領域で円偏光を近似的に達成することができる。円偏光の達成についてのポアンカレ球による説明については、特開平10−68816号公報に記載されている。
【0059】
本発明では、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜であることが好ましい。
本明細書において、「実質的に60゜」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、8゜未満であることが好ましく、6゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
【0060】
[位相差板の構成]
図1は、本発明の位相差板の一例の構成を示す模式図である。図1の位相差板は、透明支持体(S)および第1の光学異方性層(A)に加えて、さらに第2の光学異方性層(B)を有する。第1の光学異方性層(A)の位相差はπである。第2の光学異方性層(B)の位相差は、π/2である。透明支持体(S)の長手方向と第1の光学異方性層(A)の遅相軸(a)とのなす角は30°である。第2の光学異方性層(B)の遅相軸(b)と第1の光学異方性層(A)の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。図1に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。
【0061】
[円偏光板]
本発明の位相差板は、反射型液晶表示装置において使用されるλ/4板、光ディスクの書き込み用のピックアップに使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として、特に有利に用いることができる。λ/4板は、一般に偏光膜と組み合わせた円偏光板として使用される。よって、位相差板と偏光膜とを組み合わせた円偏光板として構成しておくと、容易に反射型液晶表示装置のような用途とする装置に組み込むことができる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜は、一般に両側に保護膜を有する。ただし、本発明では、透明支持体を偏光膜の片側の保護膜として機能させることができる。透明支持体とは別に保護膜を用いる場合は、保護膜として光学的等方性が高いセルロースエステルフイルム、特にトリアセチルセルロースフィルムを用いることが好ましい。
【0062】
[円偏光板の構成]
図2は、本発明の円偏光板の一例の構成を示す模式図である。図2に示す円偏光板は、図1に示した透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)に加えて、さらに偏光膜(P)を有する。偏光膜の偏光透過軸(p)は透明支持体(S)の長手方向(s)のなす角は45°であり、偏光透過軸と光学異方性層(A)の遅相軸(a)のなす角は15°であり、図1と同様に、光学異方性層(A)の遅相軸(a)と光学異方性層(B)の遅相軸(b)とのなす角は60°である。図2に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。
【0063】
なお、本明細書において「広域帯λ/4」とは、具体的には、波長450nm、550nmおよび650nmで測定したレタデーション値/波長の値が、いずれも0.2〜0.3の範囲内であることを意味する。レタデーション値/波長の値は、0.21〜0.29の範囲内であることが好ましく、0.22〜0.28の範囲内であることがより好ましく、0.23〜0.27の範囲内であることがさらに好ましく、0.24〜0.26の範囲内であることが最も好ましい。
【0064】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0065】
例示化合物(I−21)の合成
【化23】
【0066】
メタンスルホニルクロリド 11.46g(100ミリモル)をテトラヒドロフラン 50mlに加え、−3℃に冷却した。そこにテトラヒドロフラン 40mlに、(21−a)26.43g(100ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン 14.2g(110ミリモル)を加えた溶液を反応液を0℃以下に保ちながら滴下した。0℃で15分間攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミン 14.2g(110ミリモル)とジメチルアミノピリジン 1.22g(10ミリモル)および3−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド 15.66g(100ミリモル)を加えた。室温で2時間攪拌した後、希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、化合物(21−b)26.0g(65ミリモル)を得た。
【0067】
化合物(21−b)22g(55ミリモル)を酢酸エチル 60mlとアセトニトリル 240mlに溶解し、攪拌しながら、リン酸二水素ナトリウム 1.56g(13ミリモル)を20mlの水に溶解させたもの、35%過酸化水素水、亜塩素酸ナトリウム 6.3g(59ミリモル)を50mlに溶解したもの、を順次滴下した。滴下後、12時間放置し、析出した結晶をろ取し、化合物(21−c)18.1g(43ミリモル)を得た。
メタンスルホニルクロリド 1.15g(10ミリモル)をテトラヒドロフラン 10mlに加え、−3℃に冷却した。そこにテトラヒドロフラン 10mlに、(21−c)4.19g(10ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン 1.42g(11ミリモル)を加えた溶液を反応液を0℃以下に保ちながら滴下した。0℃で15分間攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミン 1.42g(11ミリモル)とジメチルアミノピリジン 0.12g(1ミリモル)および化合物(21−d)2.64g(10ミリモル)を加えた。室温で2時間攪拌した後、希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、化合物(I−21)2.72g(4.18モル)を得た
【0068】
NMR(CDCl3):δ=8.35(s、1H)、8.32〜8.12(m、5H)、7.45(d、1H)、7.34(d、2H)、7.00(d、2H)6.43(d、2H)、6.13(dd、2H)、5.83(d、2H)、4.39(t、2H)、4.25(m、4H)、4.09(t、2H)、2.10〜1.70(m、8H)
相転位温度:Cr 63℃ N 85℃ I
【0069】
[実施例1]
厚さ100μm、幅150mm、長さ20mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。配向膜(下記構造式のポリマー)の希釈液を透明支持体の片面に連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手30°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
【0070】
配向膜
【化24】
【0071】
配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して、厚さ2.2μmの光学的異方性層(A−1)を形成した。光学的異方性層は透明支持体の長手方向に対して左手30°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレタデーション値(Re550)は265nmであった。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶性化合物(I−3) 30.0質量%
下記の光重合開始剤 0.9質量%
下記の増感剤 0.3質量%
下記の添加剤 0.06質量%
クロロホルム 68.74質量%
【0072】
光重合開始剤
【化25】
【0073】
増感剤
【化26】
【0074】
添加剤
【化27】
【0075】
上記で用いた配向膜用塗布液を光学的異方性層(A−1)の上に連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、該配向膜を、光学的異方性層の遅相軸に対し右手60°であり、かつ実施例1で作製した位相差板の長手方向に対し右手30°になるように連続的にラビング処理を施した。
【0076】
該配向膜の上に、下記の組成の塗布液を、バーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して厚さ1.1μm光学的異方性層(B−1)を形成し、位相差板を作製した。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物(I−3) 20.0質量%
実施例1の光重合開始剤 0.6質量%
実施例1の増感剤 0.2質量%
実施例1の添加剤 0.04質量%
クロロホルム 79.16質量%
【0077】
[実施例2]
実施例1の光学異方性層(A−1)の塗布液を下記組成に変更し、同様にして厚さ2.3μmの光学異方性層(A−2)を作製した。光学的異方性層は透明支持体の長手方向に対して左手30°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレタデーション値(Re550)は265nmであった。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物(I−21) 30.0質量%
実施例1−1の光重合開始剤 0.9質量%
実施例1−1の増感剤 0.3質量%
実施例1−1の添加剤 0.06質量%
クロロホルム 68.74質量%
【0078】
次に、実施例1の光学異方性層(B−1)塗布液を下記組成に変更した以外は同様にして、厚さ1.1μmの光学的異方性層(B−2)を形成し、位相差板を作製した。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物(I−21) 20.0質量%
実施例1の光重合開始剤 0.6質量%
実施例1の増感剤 0.2質量%
実施例1の添加剤 0.04質量%
クロロホルム 79.16質量%
【0079】
[比較例1]
厚さ100μm、幅150mm、長さ20mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。ステロイド変性ポリアミック酸の稀釈液を透明支持体の片面に連続塗布し、厚さ0.5μmの垂直配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手30°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して厚さ3.2μmの光学的異方性層(A)を形成した。光学的異方性層Aは透明支持体の長手方向に対して左手30°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレタデーション値は228nmであった。
光学異方性層塗布液組成
下記ディスコチック液晶化合物 32.6質量%
セルロースアセテートブチレート 0.7質量%
下記の変性トリメチルプロパンアクリレート 3.2質量%
実施例1の光重合開始剤 1.1質量%
実施例1の増感剤 0.4質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
【0080】
【化28】
【0081】
形成した光学異方性層Aの上に、実施例1で用いた配向膜の希釈液を連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、該配向膜を、光学的異方性層Aの遅相軸に対し右手60°であり、位相差板の長手方向に対し右手30°になるように連続的にラビング処理を施した。
【0082】
該配向膜の上に、下記の組成の塗布液を、バーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して厚さ1.1μmの光学的異方性層(B)を形成した。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物A 9.2質量%
棒状液晶化合物B 9.0質量%
上記の変性トリメチルプロパンアクリレート 1.0質量%
実施例1の光重合開始剤 0.6質量%
実施例1の増感剤 0.2質量%
クロロホルム 80.0質量%
【0083】
【化29】
【0084】
[実施例3]
PVAフィルムをヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し屈曲させ、以降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後、テンターから離脱した。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
さらに、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レタデーション値3.0nm)と貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して有効幅650mmの偏光板を得た。
得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は43.7%、偏光度は99.97%であった。さらに特開2002−86554号公報の図8の如く、310×233mmサイズに裁断したところ、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得ることができた。
【0085】
次に、図3に示す様に、上記作製したヨウ素系偏光フィルム91の片面上に、実施例1で作製した位相差板96を設け、もう一方の面上にケン化処理した防眩性反射防止フィルム97を貼り合わせて、円偏光板92を作製した。このとき、偏光膜と位相差板の長手方向が一致するように貼り合わせて、円偏光板を作製した。
【0086】
[実施例4]
実施例2で作製した位相差板を用いて、実施例3と同一の偏光フィルム91を用い、図3と同一の構成の円偏光板93を作製した。
[比較例2]
比較例1で作製した位相板を用いて、実施例3と同一の偏光フィルム91を用い、図3と同一の構成の円偏光板94を作製した。
【0087】
得られた円偏光板92〜94について、偏光膜側から光(測定波長は450nm、550nm、および650nm)を照射し、通過した光の位相差(レタデーション値:Re)を測定した。結果を下記表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に示す様に、本発明の構成に従えば比較例よりも広帯域の円偏光板が作製できる。また、比較例の位相差板では光学異方性層(A)の膜厚が大きいために、配向欠陥が多数生じたが、本発明の位相差板では、配向欠陥は実質的に生じなかった。
【0090】
[実施例5]
ガラス板を透明支持体として用い、実施例1と同様にして配向膜を形成した。ラビング処理した後、実施例2で光学異方性層B−2を作製するのに用いた塗布液をスピンコートし、ホットステージで透明点まで(62℃)まで加熱し、10℃降温して(48℃)、窒素雰囲気下、大面積露光に適した ハロゲンランプ(短波長フィルターなし)を用いて紫外線照射すると、均一なレタデーション(178nm、測定波長550nm)を有する無色の位相差板が得られた。
【0091】
[実施例6]
(反射型液晶表示装置の作製)
市販の反射型液晶表示装置(カラーザウルス MI−310,シャープ(株)製)の偏光板と位相差板を剥ぎとり、代わりに作製した円偏光板を取り付けた。
作製した反射型液晶表示装置について、目視で評価したところ、実施例1、実施例2および比較例1で作製した位相差板由来のいずれの円偏光板を用いても、白表示、黒表示、そして中間調のいずれにおいても、色味がなく、ニュートラルグレーが表示されていることがわかった。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定した。実施例1で作製した位相差板由来の円偏光板を用いたときの正面からのコントラスト比は8であり、実施例2で作製した位相差板由来の円偏光板を用いたときの正面からのコントラスト比は6であり、比較例で作製した位相差板由来の円偏光板を用いたときの正面からのコントラスト比は4であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、広帯域で配向欠陥の少なく、着色の少ない位相差板およびコントラスト比が良好な円偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相差板の一例の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の円偏光板の一例をの構成を示す模式図である。
【図3】実施例で作製した円偏光板の断面概略図である。
【符号の説明】
S 透明支持体
A 第1の光学異方性層
B 第2の光学異方性層
s 透明支持体の長手方向
a 第一の光学異方性層の遅相軸
b 第2の光学異方性層の遅相軸
c1 棒状液晶性化合物
c2 棒状液晶性化合物
91 実施例3で作製した偏光膜
92 実施例1の位相差板を用いた円偏光板
96 実施例1で作製した位相差板
97 防眩性反射防止フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型液晶表示装置、光ディスクの書き込み用のピックアップ、あるいは反射防止膜に利用されるλ/4板として有効な広帯域位相差板、および該位相差板と偏光膜を貼り合せて製造された円偏光板に関するものである。さらに、本発明は上記位相差板および円偏光板の作製に有用な化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
λ/4板は、非常に多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4を達成しているものがほとんどである。液晶性化合物を塗布することにより形成された層を2層積層することによって、広帯域λ/4板を提供する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。これらの2層塗布型λ/4板においては、ディスコチック液晶が用いられているが、ディスコチック液晶は波長分散が大きいため、充分な広帯域性を実現することができない。またディスコチック液晶はΔnが比較的小さいので、所望のレターデーションを得るためには、光学異方性層の膜厚を厚くする必要があり、配向欠陥が生じやすい。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−91741号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、波長分散が小さく、Δnの大きい棒状重合性液晶を用いて作製した広帯域の位相差板および円偏光板を提供することを課題とする。また、本発明は、広帯域で、且つ配向欠陥が少なく、着色が少なく、安定的な作製が可能な位相差板および円偏光板を提供する。さらに、本発明は、位相差板および円偏光板の作製に有用な新規な化合物を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段によって解決された。
[1] 透明支持体と、該支持体の上方に、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπである第1の光学異方性層と、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有し、前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層の少なくとも一方が、下記一般式(I)で表される化合物から形成される層であることを特徴とする位相差板。
【0006】
一般式(I)
【化7】
【0007】
(式中、A1およびA2はそれぞれ−CO−O−または−O−CO−であり、B1およびB2はそれぞれ重合性基を含む基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0008】
[2] 前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層が、前記一般式(1)で表される化合物から形成される層である[1]に記載の位相差板。
[3] 一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される[1]または[2]に記載の位相差板。
【0009】
一般式(II)
【化8】
【0010】
(式中、B1およびB2はそれぞれ、重合性基を含む基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0011】
[4] 一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される[1]〜[3]のいずれかに記載の位相差板。
【0012】
一般式(III)
【化9】
【0013】
(式中、Y1およびY2はそれぞれ単結合またはアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0014】
[5] 透明支持体と、該透明支持体の上方に、下記一般式(III)で表される化合物から形成される光学異方性層とを含む位相差板。
【0015】
一般式(III)
【化10】
【0016】
(式中、Y1およびY2はそれぞれ単結合またはアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数である。)
【0017】
[6] 透明支持体と、該透明支持体の上方に、下記一般式(IV)で表される化合物から形成される光学異方性層とを含む位相差板。
【0018】
一般式(IV)
【化11】
【0019】
(式中、Y1およびY2はそれぞれアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l1、m1およびn1のうち1つが1で、2つが0である。)
【0020】
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の位相差板と偏光膜とを有する円偏光板。
[8] 下記一般式(IV)で表される化合物。
【0021】
一般式(IV)
【化12】
【0022】
(式中、Y1およびY2はそれぞれアルキレン基であり、P1およびP2はそれぞれ重合性基であり、X1〜X3はそれぞれ置換基である。l1、m1およびn1のうち1つが1で、2つが0である。)
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[棒状液晶性化合物]
本発明の位相差板は、第1の光学異方性層と第2の光学異方性層を有し、各層が棒状液晶化合物から形成されていることを特徴とする。前記第1および第2の光学異方性層の少なくとも1つは、下記一般式(I)で表される重合性棒状液晶化合物を含む。一般に、棒状液晶性化合物は、ディスコチック液晶化合物よりもΔnが高いため、薄い膜厚で、必要なレタデーションを達成できるが、特に、前記一般式(I)で表される化合物は、重合性棒状液晶化合物の中でも、有機溶剤に対する溶解性が高い、重合による配向の固定性が良い、波長分散が小さい、ネマチック相温度範囲が広い、紫外線による着色が少ない、紫外線に対する安定性が高いなどの点において、優れた性質を有する。
【0024】
一般式(I)
【化13】
【0025】
一般式(I)で表される化合物のうち好ましいのは、下記一般式(II)で表される化合物であり、より好ましいのは下記一般式(III)で表される化合物であり、さらに好ましいのは下記一般式(IV)で表される化合物である。
一般式(II)
【化14】
【0026】
一般式(III)
【化15】
【0027】
一般式(IV)
【化16】
【0028】
以下に一般式(I)〜(IV)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(I)〜(IV)中、X1〜X3はそれぞれ置換基である。該置換基としは、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基(ビシクロアルキル基等の多環構造も含む)を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基(ビシクロアルケニル基等の多環構造も含む)を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基が特に好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基が最も好ましい。
【0029】
前記一般式(I)〜(III)中、l、mおよびnはそれぞれ0〜4の整数であるが、それぞれ0〜2が好ましく、0〜1が、さらに好ましい。中でも、溶解性と液晶性との両立のために、l、mおよびnのうち2つが0で、残り1つが1であること最も好ましい。前記一般式(III)において、l=n=0で且つm=1であることが最も好ましい。l、mおよびnが2以上の整数の場合、X1〜X3のそれぞれは同じでもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式(IV)中、l1、m1およびn1のうち少なくとも1つが1で、2つが0である。l1、m1およびn1が2以上の整数の場合、X1〜X3のそれぞれは同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
前記一般式(I)および一般式(II)中、B1およびB2はそれぞれ重合性基を含む基を表す。B1およびB2はそれぞれ、重合性基で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基であるのが好ましい。B1およびB2に含まれる炭素数は、1〜15個が好ましく、1〜10個がより好ましい。B1およびB2はそれぞれ、重合性基以外の置換基を有していてもよい。その場合の置換基の例は、X1〜X3の例として挙げたものと同じである。
【0031】
B1およびB2が有する重合性基は、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。重合性エチレン性不飽和基の例としては下記の(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
【0032】
【化17】
【0033】
式中、Rは水素原子または置換基を表すが、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。中でも(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環性重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタン基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
【0034】
前記一般式(III)および(IV)中、Y1およびY2はそれぞれ、アルキレン基である。Y1およびY2はそれぞれ、炭素数1〜9のアルキレン基であるのが好ましく、炭素数2〜7のアルキレン基であるのがより好ましい。Y1およびY2の少なくとも一つは、炭素数2〜3のアルキレン基であるのが好ましい。
前記一般式(III)および(IV)中、P1およびP2はそれぞれ重合性基である。好ましい範囲は、前記B1およびB2に含まれる重合性基について述べたものと同一である。
【0035】
前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物の具合例を以下に示すが、本発明で用いられる液晶化合物はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化18】
【0037】
【化19】
【0038】
【化20】
【0039】
【化21】
【0040】
前記一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物は、Macromlecules 1995,28,3313−3327;特開平11−322678号公報等に記載された方法に従い合成できる。また、一般式(IV)で表される化合物も、置換もしくは無置換のヒドロキシベンズアルデヒドおよびヒドロキシ安息香酸を用いて、上記と同様の合成法にて合成できる。
【0041】
一般式(IV)で表される化合物は、置換もしくは無置換のヒドロキシベンズアルデヒドや、置換もしくは無置換のヒドロキシ安息香酸から容易に合成できる、化合物(IV−a)および化合物(IV−b)を反応させて合成することができる。反応させる化合物(IV−a)と化合物(IV−b)のモル比は、2:1〜1:2が好ましく、1:1.2〜1.2:1がより好ましい。その際、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を共存させることが好ましい。塩基は化合物(IV−a)に対して0.5〜5当量がこの好ましく1〜1.2当量がより好ましい。反応の際、ジメチルアミノピリジンなどの触媒を加えることが好ましい。反応に際して溶媒を用いることが好ましく、溶媒の例としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、2−ブタノン、アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。反応温度は−10℃〜120℃が好ましく、0℃〜70℃が、より好ましい。反応時間は0.1時間〜24時間が好ましく、0.5時間〜5時間が、より好ましい。化合物(IV−a)は対応するカルボン酸(Z=OH)から合成することができるが、合成した化合物(IV−a)は単離してもよいし、単離せずにそのまま次の反応に用いてもよい。
【0042】
【化22】
【0043】
(IV−a)、(IV−b)、及び(IV)式中、Y1、Y2はそれぞれ、アルキレン基であり、P1、P2はそれぞれ重合性基基である。X1〜X3はそれぞれ置換基である。l1、m1およびn1のうちの1つが1で2つが0である。Zはクロル原子、メタンスルホニルオキシ基などの離脱性基である。
【0044】
前記第1および第2の光学異方性層中における前記一般式(I)で表される化合物の含有量は特に限定されないが、実質的に前記一般式(I)の化合物のみを含むことが好ましく、適宜添加剤等を含有していてもよい。
本発明において、前記第1および第2の光学異方性層を形成するのに用いられる棒状液晶性化合物は、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。複数種を混合する場合の比率は任意である。二種以上の棒状液晶性化合物を併用する場合は、前記一般式(I)で表される化合物以外の棒状液晶性化合物を用いることもできる。併用可能な重合性棒状液晶化合物としては、例えば、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年);Advanced Materials 5巻、107頁(1993年);米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、同11−513019号および特願2001−64627号の各公報および各明細書などに記載の化合物の中から選んで用いることができる。
【0045】
なお、本発明では、前記第1および第2の光学異方性層のいずれかが、前記一般式(I)で表される化合物から形成される層であればよく、前記第1および第2の光学異方性層のいずれかが、他の棒状液晶性化合物から形成されていてもよい。前記第1および第2の光学異方性層の双方が前記一般式(I)で表される化合物から形成されているのが好ましく、双方の光学異方性層が同一の化学構造式を有する前記一般式(I)で表される化合物を含んでいるのがより好ましい。
【0046】
[第1および第2の光学異方性層の形成]
前記第1および第2の光学異方性層は、前記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物、および所望により後述する重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜等の上に塗布することで形成することができる。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0047】
前記第1および第2の光学異方性層において、棒状液晶性化合物は実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。従って、配向させた前記棒状液晶性化合物は、配向状態を維持して固定するのが好ましく、固定化を前記棒状液晶性化合物が有する重合性基の重合反応により実施することがより好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0048】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。棒状液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0049】
前記第1および第2の光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
【0050】
[配向膜]
前記棒状液晶性化合物を配向させるためには配向膜を用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
【0051】
配向膜に使用するポリマーの種類は、用いる棒状液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定する。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。
【0052】
配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて棒状液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま棒状液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフイルム(または透明支持体)上に転写してもよい。配向状態の固定された棒状液晶性化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。そのため、本発明の位相差板では、配向膜は必須ではない。
【0053】
[透明支持体]
本発明の位相差板は、前記第1および第2の光学異方性層を支持する支持体を有する。用いる支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。また、透明支持体は波長分散が小さいポリマーフイルムを用いることが好ましく、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。また、透明支持体は光学異方性が小さいことも好ましく、具体的には、面内レタデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0054】
前記透明支持体に使用可能なポリマーには、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により作製することが好ましい。前記透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(配向膜、光学異方性層等)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0055】
位相差板の作製に際しては、透明支持体として、ロール状に巻きつけられた長尺状の形態のものを用いてもよいし、長方形のシート状の形態のものを用いることもできる。前記第1および第2の光学異方性層を形成する前に、所望の大きさに切断してもよいが、生産性の点では、前記第1および第2の光学異方性層を積層した後に所望の大きさに切断するのが好ましい。特に、前記ロール状の形態の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、所望の大きさに切断するのが好ましい。
【0056】
[位相差板の光学的性質]
本発明において、前記第1の光学異方性層は、波長550nmにおける位相差が実質的にπであり、前記第2の光学異方性層は、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である。特定波長(λ)において位相差πを達成するには、特定波長(λ)において測定した光学異方性層のレタデーション値をλ/2に調整すればよい。特定波長(λ)において位相差π/2を達成するには、特定波長(λ)において測定した光学異方性層のレタデーション値をλ/4に調整すればよい。可視領域のほぼ中間の波長である550nmにおいて、位相差πまたはπ/2を達成していることが好ましい。すなわち、第1の光学異方性層(A)は、波長550nmで測定したレタデーション値が200nm〜350nmであることが好ましく、240nm〜300nmであることがより好ましい。第2の光学異方性層(B)は、波長550nmで測定したレタデーション値が100nm〜180nmであることが好ましく、120nm〜150nmであることがより好ましい。
【0057】
本明細書では、レタデーション値は、光学異方性層の法線方向から入射した光に対する面内のレタデーション値を意味する。具体的には、下記式により定義される値である。
レタデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxおよびnyは光学異方性層の面内の主屈折率であり、そしてdは光学異方性層の厚み(nm)である。
【0058】
本発明の位相差板は、偏光膜と組み合わせることによって、広い波長領域で円偏光を近似的に達成することができる。円偏光の達成についてのポアンカレ球による説明については、特開平10−68816号公報に記載されている。
【0059】
本発明では、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜であることが好ましい。
本明細書において、「実質的に60゜」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、8゜未満であることが好ましく、6゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
【0060】
[位相差板の構成]
図1は、本発明の位相差板の一例の構成を示す模式図である。図1の位相差板は、透明支持体(S)および第1の光学異方性層(A)に加えて、さらに第2の光学異方性層(B)を有する。第1の光学異方性層(A)の位相差はπである。第2の光学異方性層(B)の位相差は、π/2である。透明支持体(S)の長手方向と第1の光学異方性層(A)の遅相軸(a)とのなす角は30°である。第2の光学異方性層(B)の遅相軸(b)と第1の光学異方性層(A)の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。図1に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。
【0061】
[円偏光板]
本発明の位相差板は、反射型液晶表示装置において使用されるλ/4板、光ディスクの書き込み用のピックアップに使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として、特に有利に用いることができる。λ/4板は、一般に偏光膜と組み合わせた円偏光板として使用される。よって、位相差板と偏光膜とを組み合わせた円偏光板として構成しておくと、容易に反射型液晶表示装置のような用途とする装置に組み込むことができる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜は、一般に両側に保護膜を有する。ただし、本発明では、透明支持体を偏光膜の片側の保護膜として機能させることができる。透明支持体とは別に保護膜を用いる場合は、保護膜として光学的等方性が高いセルロースエステルフイルム、特にトリアセチルセルロースフィルムを用いることが好ましい。
【0062】
[円偏光板の構成]
図2は、本発明の円偏光板の一例の構成を示す模式図である。図2に示す円偏光板は、図1に示した透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)に加えて、さらに偏光膜(P)を有する。偏光膜の偏光透過軸(p)は透明支持体(S)の長手方向(s)のなす角は45°であり、偏光透過軸と光学異方性層(A)の遅相軸(a)のなす角は15°であり、図1と同様に、光学異方性層(A)の遅相軸(a)と光学異方性層(B)の遅相軸(b)とのなす角は60°である。図2に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性化合物(c1およびc2)を含む。
【0063】
なお、本明細書において「広域帯λ/4」とは、具体的には、波長450nm、550nmおよび650nmで測定したレタデーション値/波長の値が、いずれも0.2〜0.3の範囲内であることを意味する。レタデーション値/波長の値は、0.21〜0.29の範囲内であることが好ましく、0.22〜0.28の範囲内であることがより好ましく、0.23〜0.27の範囲内であることがさらに好ましく、0.24〜0.26の範囲内であることが最も好ましい。
【0064】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0065】
例示化合物(I−21)の合成
【化23】
【0066】
メタンスルホニルクロリド 11.46g(100ミリモル)をテトラヒドロフラン 50mlに加え、−3℃に冷却した。そこにテトラヒドロフラン 40mlに、(21−a)26.43g(100ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン 14.2g(110ミリモル)を加えた溶液を反応液を0℃以下に保ちながら滴下した。0℃で15分間攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミン 14.2g(110ミリモル)とジメチルアミノピリジン 1.22g(10ミリモル)および3−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド 15.66g(100ミリモル)を加えた。室温で2時間攪拌した後、希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、化合物(21−b)26.0g(65ミリモル)を得た。
【0067】
化合物(21−b)22g(55ミリモル)を酢酸エチル 60mlとアセトニトリル 240mlに溶解し、攪拌しながら、リン酸二水素ナトリウム 1.56g(13ミリモル)を20mlの水に溶解させたもの、35%過酸化水素水、亜塩素酸ナトリウム 6.3g(59ミリモル)を50mlに溶解したもの、を順次滴下した。滴下後、12時間放置し、析出した結晶をろ取し、化合物(21−c)18.1g(43ミリモル)を得た。
メタンスルホニルクロリド 1.15g(10ミリモル)をテトラヒドロフラン 10mlに加え、−3℃に冷却した。そこにテトラヒドロフラン 10mlに、(21−c)4.19g(10ミリモル)とジイソプロピルエチルアミン 1.42g(11ミリモル)を加えた溶液を反応液を0℃以下に保ちながら滴下した。0℃で15分間攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミン 1.42g(11ミリモル)とジメチルアミノピリジン 0.12g(1ミリモル)および化合物(21−d)2.64g(10ミリモル)を加えた。室温で2時間攪拌した後、希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、化合物(I−21)2.72g(4.18モル)を得た
【0068】
NMR(CDCl3):δ=8.35(s、1H)、8.32〜8.12(m、5H)、7.45(d、1H)、7.34(d、2H)、7.00(d、2H)6.43(d、2H)、6.13(dd、2H)、5.83(d、2H)、4.39(t、2H)、4.25(m、4H)、4.09(t、2H)、2.10〜1.70(m、8H)
相転位温度:Cr 63℃ N 85℃ I
【0069】
[実施例1]
厚さ100μm、幅150mm、長さ20mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。配向膜(下記構造式のポリマー)の希釈液を透明支持体の片面に連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手30°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
【0070】
配向膜
【化24】
【0071】
配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して、厚さ2.2μmの光学的異方性層(A−1)を形成した。光学的異方性層は透明支持体の長手方向に対して左手30°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレタデーション値(Re550)は265nmであった。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶性化合物(I−3) 30.0質量%
下記の光重合開始剤 0.9質量%
下記の増感剤 0.3質量%
下記の添加剤 0.06質量%
クロロホルム 68.74質量%
【0072】
光重合開始剤
【化25】
【0073】
増感剤
【化26】
【0074】
添加剤
【化27】
【0075】
上記で用いた配向膜用塗布液を光学的異方性層(A−1)の上に連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、該配向膜を、光学的異方性層の遅相軸に対し右手60°であり、かつ実施例1で作製した位相差板の長手方向に対し右手30°になるように連続的にラビング処理を施した。
【0076】
該配向膜の上に、下記の組成の塗布液を、バーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して厚さ1.1μm光学的異方性層(B−1)を形成し、位相差板を作製した。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物(I−3) 20.0質量%
実施例1の光重合開始剤 0.6質量%
実施例1の増感剤 0.2質量%
実施例1の添加剤 0.04質量%
クロロホルム 79.16質量%
【0077】
[実施例2]
実施例1の光学異方性層(A−1)の塗布液を下記組成に変更し、同様にして厚さ2.3μmの光学異方性層(A−2)を作製した。光学的異方性層は透明支持体の長手方向に対して左手30°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレタデーション値(Re550)は265nmであった。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物(I−21) 30.0質量%
実施例1−1の光重合開始剤 0.9質量%
実施例1−1の増感剤 0.3質量%
実施例1−1の添加剤 0.06質量%
クロロホルム 68.74質量%
【0078】
次に、実施例1の光学異方性層(B−1)塗布液を下記組成に変更した以外は同様にして、厚さ1.1μmの光学的異方性層(B−2)を形成し、位相差板を作製した。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物(I−21) 20.0質量%
実施例1の光重合開始剤 0.6質量%
実施例1の増感剤 0.2質量%
実施例1の添加剤 0.04質量%
クロロホルム 79.16質量%
【0079】
[比較例1]
厚さ100μm、幅150mm、長さ20mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。ステロイド変性ポリアミック酸の稀釈液を透明支持体の片面に連続塗布し、厚さ0.5μmの垂直配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手30°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して厚さ3.2μmの光学的異方性層(A)を形成した。光学的異方性層Aは透明支持体の長手方向に対して左手30°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレタデーション値は228nmであった。
光学異方性層塗布液組成
下記ディスコチック液晶化合物 32.6質量%
セルロースアセテートブチレート 0.7質量%
下記の変性トリメチルプロパンアクリレート 3.2質量%
実施例1の光重合開始剤 1.1質量%
実施例1の増感剤 0.4質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
【0080】
【化28】
【0081】
形成した光学異方性層Aの上に、実施例1で用いた配向膜の希釈液を連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、該配向膜を、光学的異方性層Aの遅相軸に対し右手60°であり、位相差板の長手方向に対し右手30°になるように連続的にラビング処理を施した。
【0082】
該配向膜の上に、下記の組成の塗布液を、バーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに波長300nm以下をフィルターでカットした水銀キセノンランプで照射して厚さ1.1μmの光学的異方性層(B)を形成した。
光学異方性層塗布液組成
棒状液晶化合物A 9.2質量%
棒状液晶化合物B 9.0質量%
上記の変性トリメチルプロパンアクリレート 1.0質量%
実施例1の光重合開始剤 0.6質量%
実施例1の増感剤 0.2質量%
クロロホルム 80.0質量%
【0083】
【化29】
【0084】
[実施例3]
PVAフィルムをヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し屈曲させ、以降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後、テンターから離脱した。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
さらに、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レタデーション値3.0nm)と貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して有効幅650mmの偏光板を得た。
得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は43.7%、偏光度は99.97%であった。さらに特開2002−86554号公報の図8の如く、310×233mmサイズに裁断したところ、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得ることができた。
【0085】
次に、図3に示す様に、上記作製したヨウ素系偏光フィルム91の片面上に、実施例1で作製した位相差板96を設け、もう一方の面上にケン化処理した防眩性反射防止フィルム97を貼り合わせて、円偏光板92を作製した。このとき、偏光膜と位相差板の長手方向が一致するように貼り合わせて、円偏光板を作製した。
【0086】
[実施例4]
実施例2で作製した位相差板を用いて、実施例3と同一の偏光フィルム91を用い、図3と同一の構成の円偏光板93を作製した。
[比較例2]
比較例1で作製した位相板を用いて、実施例3と同一の偏光フィルム91を用い、図3と同一の構成の円偏光板94を作製した。
【0087】
得られた円偏光板92〜94について、偏光膜側から光(測定波長は450nm、550nm、および650nm)を照射し、通過した光の位相差(レタデーション値:Re)を測定した。結果を下記表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に示す様に、本発明の構成に従えば比較例よりも広帯域の円偏光板が作製できる。また、比較例の位相差板では光学異方性層(A)の膜厚が大きいために、配向欠陥が多数生じたが、本発明の位相差板では、配向欠陥は実質的に生じなかった。
【0090】
[実施例5]
ガラス板を透明支持体として用い、実施例1と同様にして配向膜を形成した。ラビング処理した後、実施例2で光学異方性層B−2を作製するのに用いた塗布液をスピンコートし、ホットステージで透明点まで(62℃)まで加熱し、10℃降温して(48℃)、窒素雰囲気下、大面積露光に適した ハロゲンランプ(短波長フィルターなし)を用いて紫外線照射すると、均一なレタデーション(178nm、測定波長550nm)を有する無色の位相差板が得られた。
【0091】
[実施例6]
(反射型液晶表示装置の作製)
市販の反射型液晶表示装置(カラーザウルス MI−310,シャープ(株)製)の偏光板と位相差板を剥ぎとり、代わりに作製した円偏光板を取り付けた。
作製した反射型液晶表示装置について、目視で評価したところ、実施例1、実施例2および比較例1で作製した位相差板由来のいずれの円偏光板を用いても、白表示、黒表示、そして中間調のいずれにおいても、色味がなく、ニュートラルグレーが表示されていることがわかった。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定した。実施例1で作製した位相差板由来の円偏光板を用いたときの正面からのコントラスト比は8であり、実施例2で作製した位相差板由来の円偏光板を用いたときの正面からのコントラスト比は6であり、比較例で作製した位相差板由来の円偏光板を用いたときの正面からのコントラスト比は4であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、広帯域で配向欠陥の少なく、着色の少ない位相差板およびコントラスト比が良好な円偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相差板の一例の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の円偏光板の一例をの構成を示す模式図である。
【図3】実施例で作製した円偏光板の断面概略図である。
【符号の説明】
S 透明支持体
A 第1の光学異方性層
B 第2の光学異方性層
s 透明支持体の長手方向
a 第一の光学異方性層の遅相軸
b 第2の光学異方性層の遅相軸
c1 棒状液晶性化合物
c2 棒状液晶性化合物
91 実施例3で作製した偏光膜
92 実施例1の位相差板を用いた円偏光板
96 実施例1で作製した位相差板
97 防眩性反射防止フィルム
Claims (8)
- 透明支持体と、該支持体の上方に、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπである第1の光学異方性層と、配向した棒状液晶化合物から形成され、波長550nmにおける位相差が実質的にπ/2である第2の光学異方性層とを有し、前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層の少なくとも一方が、下記一般式(I)で表される化合物から形成される層であることを特徴とする位相差板。
一般式(I)
- 前記第1の光学異方性層および第2の光学異方性層が、前記一般式(1)で表される化合物から形成される層である請求項1に記載の位相差板。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差板と偏光膜とを有する円偏光板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003029555A JP2004240188A (ja) | 2003-02-06 | 2003-02-06 | 化合物、位相差板および円偏光板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003029555A JP2004240188A (ja) | 2003-02-06 | 2003-02-06 | 化合物、位相差板および円偏光板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004240188A true JP2004240188A (ja) | 2004-08-26 |
Family
ID=32956701
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003029555A Pending JP2004240188A (ja) | 2003-02-06 | 2003-02-06 | 化合物、位相差板および円偏光板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004240188A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007178680A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Fujifilm Corp | 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 |
JP2012251138A (ja) * | 2011-05-09 | 2012-12-20 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 重合性モノマー化合物、液晶組成物及び液晶表示装置 |
CN103351315A (zh) * | 2013-07-03 | 2013-10-16 | 北京化工大学 | 一种通用的磺酰氯制备方法 |
JP2016006543A (ja) * | 2013-08-09 | 2016-01-14 | 住友化学株式会社 | 光学フィルム |
JP2016040603A (ja) * | 2013-08-09 | 2016-03-24 | 住友化学株式会社 | 光学フィルム |
-
2003
- 2003-02-06 JP JP2003029555A patent/JP2004240188A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007178680A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Fujifilm Corp | 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 |
JP2012251138A (ja) * | 2011-05-09 | 2012-12-20 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 重合性モノマー化合物、液晶組成物及び液晶表示装置 |
CN103351315A (zh) * | 2013-07-03 | 2013-10-16 | 北京化工大学 | 一种通用的磺酰氯制备方法 |
JP2016006543A (ja) * | 2013-08-09 | 2016-01-14 | 住友化学株式会社 | 光学フィルム |
JP2016040603A (ja) * | 2013-08-09 | 2016-03-24 | 住友化学株式会社 | 光学フィルム |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102525256B1 (ko) | 액정 화합물 및 광학 필름, 그리고 광학 필름의 제조 방법 | |
TWI461412B (zh) | 光學薄膜、相位差板、橢圓偏光板、液晶顯示裝置以及化合物 | |
KR100655677B1 (ko) | 투명 보호막, 편광막, 투명 지지체, 및 액정성 분자로부터형성된 광학적 이방성 층을 갖는 타원 편광판 | |
JP5133396B2 (ja) | レターデーションと厚みが制御されたセルロースアセテートフイルムを用いた偏光板 | |
JP5391682B2 (ja) | 化合物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法 | |
JP4694929B2 (ja) | 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置 | |
JP4721747B2 (ja) | 高分子膜、液晶配向膜、位相差板及び液晶表示装置 | |
WO2017154907A1 (ja) | 着色組成物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置 | |
JP2009179563A (ja) | 化合物、液晶組成物及び異方性材料 | |
JP2004004550A (ja) | 光学補償シート、偏光板および画像表示装置 | |
JP2009062508A (ja) | 液晶組成物、及び光学異方性膜 | |
JP2001021720A (ja) | 位相差板および円偏光板 | |
JP4285919B2 (ja) | 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 | |
JP4316131B2 (ja) | 光学補償フイルムの製造方法 | |
JP2007121595A (ja) | 光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置 | |
JP2001100039A (ja) | セルロースエステルフイルム、光学補償シートおよび楕円偏光板 | |
JP4378023B2 (ja) | 円偏光板および反射型液晶表示装置 | |
JP2004240188A (ja) | 化合物、位相差板および円偏光板 | |
JP4355406B2 (ja) | 光学補償シートの製造方法 | |
JP4267191B2 (ja) | 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2005165308A (ja) | 光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置 | |
JP2007279421A (ja) | 光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置 | |
JP4944744B2 (ja) | セルロースエステルフイルムの製造方法 | |
JP2004077720A (ja) | 位相差板および円偏光板 | |
JP2007219193A (ja) | 光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置 |