JP2001099686A - 光監視装置および光ファイバセンサ - Google Patents

光監視装置および光ファイバセンサ

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JP2001099686A
JP2001099686A JP28016599A JP28016599A JP2001099686A JP 2001099686 A JP2001099686 A JP 2001099686A JP 28016599 A JP28016599 A JP 28016599A JP 28016599 A JP28016599 A JP 28016599A JP 2001099686 A JP2001099686 A JP 2001099686A
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optical fiber
optical
debris flow
monitoring target
monitoring
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Masato Kurii
正人 栗井
Kazuya Ogata
和也 緒方
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巡視等を行うこと無く、山間部等に存在する
監視対象領域での土石流の発生等を安全かつリアルタイ
ムに監視できる技術の開発が求められていた。 【解決手段】 崩壊の可能性のある地山斜面3等にて生
じる土石流10等である監視対象物を、その予想される
移動経路に設定された監視対象領域2に設置された光フ
ァイバセンサ11a、11bにて検知することで、土石
流等の発生を検知できる光監視装置1、並びに、前記監
視対象物からの押圧力を受圧部材13で受けて光ファイ
バに曲げ等の変形あるいは破断を生じさせるようになっ
ている光ファイバセンサ11bを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地山斜面等から所
定の監視対象領域への土石流や雪崩の流入等を光により
監視する光監視装置および光ファイバセンサに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】土石流や雪崩等の自然災害の防災管理
は、日常あるいは非常時の巡視等に頼っていることが一
般的である。土石流等の災害による被害発生を回避する
には巡視等を頻繁に行って状況を把握する必要がある。
例えば山間部での土石流等の発生が発見されたら、下方
に居住する住民や通行者への警報発令等を迅速に行う必
要がある。山間部での土石流の発生の可能性の高い箇所
には砂防ダム等の防災設備が設けられており、下方の居
住地域等の土石流災害を防止するが、小規模の土石流に
よって砂防ダムが埋まった所で新たな土石流の発生によ
り砂防ダムの容量を超える大量の土砂が崩落・流入する
と、砂防ダムを乗り越えて大規模災害の原因になる可能
性がある。このため、小規模の土石流の発生も正確かつ
迅速に把握する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、居住地
域から遠い山地内で生じた土石流は巡視以外に確認が困
難であり、ましてや山地等の広大な監視対象領域につい
て巡視による綿密な点検を短時間で行うことは極めて困
難であるのが実情である。また、土石流の発生の可能性
が高い監視位置のみを巡視するにしても、巡視が必要な
監視位置が広大な山地の複数箇所に散在する場合では、
これら監視位置間の移動時間等により短時間の巡視は困
難である。しかも、土石流等によって道路が不通になっ
てしまうと監視位置への移動自体が困難になり、特に地
震等により広域に災害が発生すると、監視位置への移動
が事実上不可能になってしまう。日常の巡視でも、土石
流等が生じやすい斜面の近く等では、巡視自体に危険が
伴うといった問題もある。悪天候下や夜間の巡視も危険
が伴う作業であり、しかも、視界が悪い等の悪条件によ
り巡視効率が低下する等の問題がある。特に地震等の広
域災害では、人命救助作業や住民避難等のための道路等
の迅速な確保が必要となるが、前述のように巡視が困難
な状況下では土石流等の発生状況の把握や、使用可能な
道路等の把握が困難であり、人命救助作業や住民避難等
が停滞するおそれがある。
【0004】前記問題に鑑みて、例えば土石流等の予兆
現象の把握には斜面への歪み計の設置やITV等の撮像
装置を用いた監視設備の設置等が考えられるが、これら
対策はいずれも設置位置近傍のポイント観測に留まるも
のであり、広大な山地全体や斜面全体にわたって常時監
視することはできない。特に、ITV等の撮像装置を用
いた監視設備では、大雨等の悪天候下では監視範囲が狭
くなるため多数設置を余儀無くされ、コスト増大を招く
といった欠点がある。また、防災のために監視設備の設
置を特に必要とする地域は、山間部等の気象変化の激し
い地域であることが多く、前述したITV等を含む各種
の電気的監視装置では、落雷等による誘導電流の影響を
受けて故障しやすいといった問題もある。建物等が密集
している都市部では監視のための視界の確保そのものが
困難であるから、ITV等の撮像装置を用いた監視設備
では多数設置を余儀無くされ、コストが増大する。この
ため、広大な監視対象領域にわたって土石流等の発生を
監視できる低コストの技術の開発が求められていた。
【0005】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、監視対象領域が広大であっても、土石流等の発生
を安全かつ迅速に把握でき、災害による被害発生の防
止、防災対策の迅速な実施、復旧作業の迅速化、効率化
等に役立てることができる光監視装置および光ファイバ
センサを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明では、例えば地山斜面の土塊が崩壊して生じ
た土石流や雪塊の崩壊により生じた雪崩等の監視対象物
から作用する押圧力を利用して光ファイバセンサによっ
て光ファイバに曲げ等の変形あるいは破断を生じさせ、
この光ファイバの変形や破断を検知することで、現場か
ら離れた所からでも土石流や雪崩等の発生を確実に把握
する技術を提案する。
【0007】本発明では、監視対象領域に光ファイバセ
ンサを設置し、監視対象領域に到達した監視対象物によ
る光ファイバセンサの設置箇所の異常、すなわち、監視
対象物が監視対象領域に到達したことを監視する(異常
の監視)。前記異常の監視は、光ファイバセンサに組み
込まれている光ファイバが破断、曲げ等の変形を受けた
ことを検出することでなされる。光ファイバの変形や破
断等は、監視対象物から作用する押圧力によって光ファ
イバセンサが駆動されることで生じ、光パルス試験器か
らの入射光の戻り光の観測結果から検出することができ
る。光パルス試験器は、光ファイバに対して試験光の入
射と戻り光の観測とを行う(光試験)。
【0008】周知の通り、光ファイバに光を入射する
と、当該光ファイバの破断箇所やコネクタ接続箇所での
フレネル反射光や、光ファイバの密度等の微小な不均一
による光の散乱(レイリー散乱)によって生じた後方散
乱光が光ファイバの入射端に戻ってくることが知られて
おり、光パルス試験器(いわゆるOTDR)から光ファ
イバへ試験光を入射してから戻り光を受光するまでの時
間(以下、「戻り時間」)を計測することで、破断点の
位置(光パルス試験器からの距離)を把握できる。光フ
ァイバからは、通常、レイリー散乱光の後方散乱光等の
光ファイバ固有の光散乱等による戻り光のみが観測され
るが、例えば、この光ファイバが破断すると、光パルス
試験器から破断点までのレイリー散乱光の後方散乱光
と、破断点からの強いフレネル反射光とが光パルス試験
器にて観測され、破断点以後の光ファイバからのレイリ
ー散乱光の後方散乱光が観測されなくなる。これによ
り、光ファイバの破断が検出されるとともに、フレネル
反射光の戻り光の戻り時間から破断点の位置を把握する
ことができる。光ファイバが破断されなくても、光ファ
イバが変形する場合、例えば、光ファイバが急激に折り
曲げられ(曲げ変形)、この折れ曲がり箇所での光損失
の増大を観測することで、折れ曲がり箇所を検出するこ
とが可能である。また、光ファイバの断面方向への潰れ
等によっても、光損失が増大が観測される。すなわち、
光パルス試験器にて戻り光の強度が急変化が観測される
箇所(光パルス試験器への戻り光の戻り時間)から、光
ファイバの折れ曲がり等の変形箇所の存在や、その位置
を把握できる。
【0009】本発明に係る光ファイバセンサ(請求項
1、2の光監視装置に適用される光ファイバセンサ並び
に請求項3記載の光ファイバセンサ)は、監視対象物か
らの押圧力によって光ファイバに曲げ等の変形や破断を
生じさせる。この光ファイバセンサは、監視対象物に予
想される移動経路を含む監視対象領域に設置されるの
で、したがって、光パルス試験器により、前記光ファイ
バの変形や破断等を検出することで、土石流や雪崩等の
発生を検知できる。しかも、戻り光の戻り時間から、監
視対象領域への土石流や雪崩等の流入位置等を把握でき
る。光ファイバの破断は、光ファイバの破断点からのフ
レネル反射光や損失増大の観測によって検出され、光フ
ァイバの曲げは曲げ発生箇所での損失増大の観測により
検出される。
【0010】例えば、光ファイバセンサの光ファイバが
破断して破断点からのフレネル反射光が観測されたり、
折れ曲がり箇所等での損失増大が観測されたり、破断点
以後の光ファイバからの戻り光が観測されなくなると、
この光ファイバセンサの設置箇所に、崩落した監視対象
物が到達したことが検出される。また、光パルス試験器
に光ファイバセンサを複数接続した場合には、フレネル
反射光やその他の戻り光の戻り時間等から、光ファイバ
センサ毎に、光ファイバの破断位置を把握することも可
能であり、これにより、崩落した監視対象物の到達位置
を把握することが可能である。破断点における破断され
た光ファイバの断面形状によっては、充分な強度のフレ
ネル反射光が発生しないことがあるが、破断点以後の光
ファイバからの戻り光の有無や、損失増大等をも観測す
ることで、破断点の有無や、光ファイバ変形箇所の有無
を確実に把握できる。このように、本発明では、光ファ
イバの破断や折れ曲がり等の変形箇所等を検出すること
で、監視対象物の崩落発生を検出でき、しかも、光パル
ス試験器への戻り光の戻り時間等から光ファイバの破断
点の位置や折れ曲がり箇所等の位置を計測することで、
土石流や雪崩等の発生位置や、監視対象領域における監
視対象物の到達位置を把握できる。また、監視対象領域
内の複数箇所に光ファイバセンサを配置しておくと、監
視対象領域内に侵入した監視対象物の分布等を把握する
ことも可能である。
【0011】請求項1記載の発明は、地山斜面等から所
定の監視対象領域への土石流や雪崩の流入等を光により
監視する光監視装置であって、土石流等である監視対象
物に予想される移動経路を含む監視対象領域に、前記監
視対象物から作用する押圧力によって光ファイバに曲げ
等の変形あるいは破断を生じさせる光ファイバセンサが
設置されていることを特徴とする。請求項2記載の発明
は、請求項1記載の光監視装置において、前記光ファイ
バセンサが、前記監視対象物に予想される移動経路に沿
った複数箇所に連設されていることを特徴とする。請求
項3記載の発明は、地山斜面等から所定の監視対象領域
への土石流や雪崩の流入等を光により監視する光ファイ
バセンサであって、土石流等である監視対象物に予想さ
れる移動経路を含む監視対象領域に設置されて前記監視
対象物からの押圧力を受圧する複数の受圧部材と、それ
ぞれ別の前記受圧部材に設けられて光ファイバを保持す
る光ファイバ保持部とを備え、同一の光ファイバの長手
方向の異なる位置を保持する一対の前記光ファイバ保持
部同士を互いに近接させ、前記受圧部材間の相対変位に
より前記光ファイバに曲げ等の変形あるいは破断を生じ
させるようになっていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明に係る1実施の形
態の光監視装置1および光ファイバセンサ11a、11
bを、山間部に存在する谷部である監視対象領域2に隣
接する地山斜面3の土石流発生を監視するシステムに適
用した例を示す。なお、監視対象領域2としては、谷部
のみらなず、その周囲を含む領域とすることも可能であ
るが、本実施の形態では谷部自体を監視対象領域として
設定しており、本実施の形態中、監視対象領域2を谷部
2と称することもある。
【0013】なお、光ファイバセンサ11a、11bに
組み込まれる光ファイバ12としては、例えば、コア径
数μm〜10μm程度、径125μmのシングルモード
光ファイバが採用される。また、光パルス試験器50で
あるOTDRとしては、例えば、試験光波長1310n
m、パルス幅10ns以上(出来るだけ細かく)、空間
分解能2m以上(出来るだけ短く)の高分解能形のもの
を採用する。
【0014】図1では、光監視装置1の監視対象物の一
例として、谷部2に臨む地山斜面3に発生した土石流1
0を例示している。この光監視装置1は、地山斜面3間
の溝状の谷部である監視対象領域2に張り巡らすように
して布設した光ファイバケーブル5の長手方向複数箇所
に光ファイバセンサ11a、11bを組み立て、前記光
ファイバケーブル5内に収納されている光ファイバを前
記監視対象領域2外側の安全地帯に設けられた監視所6
に設置された光パルス試験器8により前記光ファイバの
光試験(試験光の入射・戻り光の観測)を行って該光フ
ァイバの曲げ変形や破断等の異常の有無を検出すること
で、土石流10の発生等を検知するようになっている。
光パルス試験器8は、前述の監視所6のように、土石流
10の影響を受けない安全な所に設置されるので、土石
流10の監視を安全に行うことができる。また、光パル
ス試験器8の設置位置は、監視対象領域2から数kmあ
るいは数十km以上離れた所であっても良く、そのよう
な遠隔地からでも広大な監視対象領域2での土石流10
の発生(監視対象領域2への流入)等をリアルタイムで
把握できる。谷部2は土石流10の移動経路を構成する
ため、したがって、この谷部2への土石流10の流入を
光ファイバセンサ11a、11bで検出することで、土
石流10の発生を検知できる。また、土石流10は、谷
部2を上流側から下流側へ(図1中紙面上奥から下手前
へ)流れ下るため、この谷部2に沿った複数箇所に設け
られた光ファイバセンサ11a、11bで土石流10を
検知することで、監視対象領域2内での土石流10の到
達位置、存在分布等を把握できる。
【0015】なお、監視所6では、光パルス試験器8に
は光スイッチ7aを介して複数本の光ファイバケーブル
が選択的に切替接続され、光パルス試験器8に対する光
ファイバケーブルの接続を切り替えつつ光試験を行うこ
とで、1台の光パルス試験器8により複数本の光ファイ
バケーブルの光ファイバについて曲げ変形や破断を監視
できるようになっている。光スイッチ7aを介して光パ
ルス試験器8に対して接続される複数本の光ファイバケ
ーブルは、同一の監視対象領域2に布設されるものであ
っても良いが、異なる監視対象領域に布設されるもので
あっても良く、後者であれば、1台の光パルス試験器8
により複数の監視対象領域での土石流の流入を監視でき
る。光試験自体の所要時間は短いので、前記切替接続と
光試験とを連続的に行うことで、実質的に各監視対象領
域の常時監視が可能である。
【0016】光ファイバケーブル5は、溝状の谷部2の
延在方向に垂直な幅方向一側(図1中左側)の地山斜面
3裾部に沿って引き通すようにして布設して引通部5a
を形成し、逆側(図1中右側)の地山斜面3裾部に臨む
谷部2側部と谷部2の底部(以下「谷部底部4」)との
間に連続するS字状に湾曲布設することで、該谷部2の
延在方向複数箇所に多段に設けられた各光ファイバセン
サ11bに引き込むとともに、逆側(図1中右側)の地
山斜面3裾部に沿って断続的な渡り部5bを形成する。
渡り部5bは、光ファイバケーブル5の各光ファイバセ
ンサ11bに引き込まれた部分同士の間を接続するよう
になっている。
【0017】光ファイバセンサ11aは、引通部5aや
渡り部5bの長手方向複数箇所をアンカー9により地山
に固定して構成され、地山斜面3に生じた土石流10に
よってアンカー9間の光ファイバケーブル5に急激な曲
げが与えられたり破断されるようになっている。光ファ
イバセンサ11bの具体的構成は後述する。これら光フ
ァイバセンサ11a、11bはいずれも谷部2側部や底
部4の土中に例えば数十cm程度の深さで埋設すること
を基本とする(図1では、設置位置を明示するため、実
線で示した)。これにより、土石流10とは関係の無い
落石や動物の接触、人の接触等による光ファイバセンサ
11a、11bの誤作動を防止できる。光ファイバセン
サ11a、11bの覆土の厚さ(被り)は、30〜50
cm程度とすることが好ましい。なお、引通部5aや渡
り部5bに適用される光ファイバセンサとしては、光フ
ァイバセンサ11aに代えて、光ファイバセンサ11b
であっても良い。この場合、光ファイバセンサ11bの
受圧面積は光ファイバセンサ11aよりも広い(図2並
びに後述の説明を参照)ことから、地山斜面3から監視
対象領域2に到達した土石流10が小規模であっても確
実に検知できる。
【0018】光ファイバセンサ11aは、地山斜面3を
流れ下る土石流10の移動経路に設置することで、発生
した土石流10の押圧力を利用して光ファイバケーブル
5(光ファイバ)に曲げや破断を生じさせるものであ
り、その設置位置は図1に限定されない。図1では、光
ファイバセンサ11aは、溝状の谷部2の長手方向に沿
って数mから数十mの間隔で連設されているが、いずれ
にしても光ファイバセンサ11aの設置位置は、斜面3
に存在する特に土石流10の発生の可能性の高い領域
(以下「崩落監視領域3a」)下方とする。詳細には、
崩落監視領域3aからの土塊の崩落等によって生じる土
石流10は、地山斜面3に存在する起伏や小さい谷等に
よって移動経路を予想できることが多いため、この場合
には、光ファイバセンサ11aは斜面3での土石流10
の移動経路上となる位置に設置する。また、地山斜面3
に土石流10の移動経路を決めるような起伏等が無けれ
ば、光ファイバセンサ11aの設置位置は単純に崩落監
視領域3a下方とすれば良い。光ファイバセンサ11a
は、必ずしも谷部2長手方向に沿って連設する必要は無
く、斜面3に存在する崩落監視領域3aの直下に近接設
置することも可能である。この場合には、複数の崩落監
視領域3aに対応してそれぞれ設置した光ファイバセン
サ11a設置位置を結ぶようにして斜面3に光ファイバ
ケーブル5を引き回すようにして布設し、この光ファイ
バケーブル5に光ファイバセンサ11aを組み立てる。
【0019】図2および図3(a)、(b)、(c)
は、光ファイバセンサ11bの一例を示す。図1に示す
ように光ファイバセンサ11bは前記谷部2を横断する
ように設置された壁状であり、図2および図3(a)、
(b)、(c)に示すようにコンクリートブロック等で
あるブロック状の受圧部材13を複数縦横に連設して構
築した壁体14と、この壁体14を構成する受圧部材1
3に設けられて前記光ファイバケーブル5を保持する光
ファイバ保持部15とを備えて構成されている。壁体1
4を構成する受圧部材13間は強固に連結せず、斜面3
から谷部2に流入したり谷部2を流れ下る土石流10の
押圧力によって相対変位可能にしておく。但し、壁体1
4は谷部底部4の土中に埋設状態とすることで壁状を維
持している。また、光ファイバセンサ11bは、谷部底
部4の土砂を削り取るような土石流10の作用によって
受圧部材13間に容易に相対変位が生じることが好まし
い。互いに別の受圧部材13に設けられて同一の光ファ
イバケーブル5の長手方向の異なる位置を保持する一対
の前記光ファイバ保持部15を互いに近接させてなる光
ファイバ変形部16a、16bは、前記受圧部材13間
の相対変位により前記光ファイバケーブル5に曲げ等の
変形あるいは破断を生じさせる。
【0020】具体的には、光ファイバセンサ11bで
は、壁体14の谷部2下流側に向けられた光ファイバ取
付面17に布設した光ファイバケーブル5を光ファイバ
保持部15によって保持している。光ファイバ取付面1
7に布設する光ファイバケーブル5は1本に限らず、複
数本であっても良い。図2では、それぞれ谷部2を横断
するようにして光ファイバ取付面17に布設した2本の
光ファイバケーブル5を、受圧部材13に設けた光ファ
イバ保持部15によって保持している。光ファイバケー
ブル5や光ファイバ変形部16a、16bを壁体14の
谷部2下流側に向けられた光ファイバ取付面17に設置
した構成では、例えば谷部2下流へ向かって転落する落
石が光ファイバ変形部16a、16bを直撃することを
壁体14が防ぐため、土石流10発生とは関係の無い落
石等による光ファイバセンサ11bの誤作動を防止でき
る。なお、壁体14内部に光ファイバケーブル5や光フ
ァイバ変形部16a、16bを設置した構成でも、同様
に誤作動を防止できる。
【0021】光ファイバ保持部15は光ファイバケーブ
ル5を収納保持する管状であり、光ファイバ変形部16
a、16bでは、同一直線上に連通させた一対の光ファ
イバ保持部15に光ファイバケーブル5を引き通し、各
光ファイバ保持部15に光ファイバケーブル5を保持す
る。光ファイバ変形部16aは、水平方向に隣接された
各受圧部材13(縦目地13a両側の受圧部材13)に
それぞれ設けられた光ファイバ保持部15を近接配置し
て連通させたものである。光ファイバ変形部16bは、
上下方向に隣接された各受圧部材13(横目地13bの
両側の受圧部材13)にそれぞれ設けられた光ファイバ
保持部15を近接配置して連通させたものである。
【0022】図2(a)〜(c)に示すように、この光
ファイバセンサ11bでは、谷部2を流れ下ろうとする
土石流10の押圧力によって壁体14を構成する受圧部
材13間に位置ずれが生じたり、壁体14が崩壊したり
すると、光ファイバ変形部16a、16bにて近接配置
された光ファイバ保持部15間の位置ずれ(相対変位)
によって、光ファイバケーブル5に曲げ変形を与えたり
破断させる。図2(b)に示すように、光ファイバ変形
部16aでは、縦目地13aの両側の受圧部材13の一
方が他方の受圧部材13に対して谷部2下流側へ位置ず
れを生じることで、一対の光ファイバ保持部15間に連
通されている光ファイバケーブル5にせん断力が作用し
て、光ファイバケーブル5内の光ファイバに曲げ変形や
破断を生じる。図2(c)に示すように、光ファイバ変
形部16bでは、横目地13bの両側の受圧部材13の
一方が他方の受圧部材13に対して谷部2下流側へ位置
ずれを生じることで、一対の光ファイバ保持部15間に
連通されている光ファイバケーブル5にせん断力が作用
して、光ファイバケーブル5内の光ファイバに曲げ変形
や破断を生じる。
【0023】なお、壁体14を構成する各受圧部材13
の土石流10からの押圧力による挙動(変位)は複雑で
あり、図2(a)、(b)、(c)に示したような挙動
に限定されないが、縦目地13aに組み立てられる光フ
ァイバ変形部16aおよび横目地13bに組み立てられ
る光ファイバ変形部16bをそれぞれ壁体14に複数設
けることで、いずれかの光ファイバ変形部16a、16
bにて光ファイバケーブル5内の光ファイバに与えられ
た曲げ変形や破断を検出して、土石流10が光ファイバ
センサ11bに到達したことを確実に検知できる。
【0024】この光監視装置1では、光パルス試験器8
(図1参照)を用いた光ファイバの光試験によって、光
ファイバケーブル5内の光ファイバの曲げ変形や破断を
検出することで、いずれかの光ファイバセンサ11a、
11bに土石流10が到達したことを検知でき、土石流
10の発生を把握できる。しかも、光ファイバの光試験
による戻り光の戻り時間から、光ファイバの曲げ変形箇
所や破断箇所の位置(光パルス試験器8からの距離)を
計測することで、光ファイバケーブル5の光ファイバに
曲げ変形や破断を生じさせた光ファイバセンサ11a、
11bを特定できるので、これにより、土石流10の発
生位置や、土石流10の到達位置等を把握することがで
きる。光ファイバケーブル5の光ファイバの光試験結
果、光ファイバケーブル5の光ファイバに曲げ変形や破
断を生じさせた光ファイバセンサ11a、11bの位置
等の情報は、光パルス試験器8に接続された表示部7b
(図1参照)に表示されるため、監視対象領域2内への
土石流10の流入状況等を容易に把握できる。
【0025】例えば、図1に示すように、地山斜面3に
生じた土石流10が斜面3を流れ下って谷部2に到達す
ると、まず、土石流10からの押圧力を受けた光ファイ
バセンサ11aにて光ファイバケーブル5内の光ファイ
バに曲げ変形や破断を生じたことを光ファイバの光試験
で検出することで、土石流10の発生を検知できる。し
かも、戻り光の戻り時間から、光ファイバの曲げ変形箇
所や破断箇所の位置を把握することで、土石流10を検
知した光ファイバセンサ11a(土石流10を検知した
光ファイバセンサ11aの内、光パルス試験器15から
最も近いもの)を特定でき、これにより、土石流10の
到達位置を把握できる。土石流10の発生位置が斜面3
の下部であれば、把握できた前記到達位置が土石流10
の発生位置とほぼ一致する。
【0026】谷部2に流入して谷部2下流へ流れ下る土
石流10は、その強力な力により谷部底部4や側部の土
砂を削り取るため、光ファイバセンサ11bを構成する
受圧部材13に変位を生じさせたり、複数の受圧部材1
3からなる壁体14を変形させたり破壊する。したがっ
て、光ファイバセンサ11bにて光ファイバケーブル5
内の光ファイバに曲げ変形や破断を生じたことを光ファ
イバの光試験で検出することで、土石流10の到達を検
知でき、しかも、戻り光の戻り時間から、光ファイバに
曲げ変形や破断を生じさせた光ファイバセンサ11b
(土石流10を検知した光ファイバセンサ11bの内、
光パルス試験器15から最も近いもの)を特定すること
ができる。光ファイバセンサ11bは、土石流10の移
動経路である谷部2の上流から下流にわたって複数箇所
に連設されているから、谷部2への土石流10の流入位
置や、谷部2下流へ流れ下る土石流10の到達位置を把
握できる。
【0027】ところで、本実施の形態では、図4に示す
ように、光ファイバケーブル5としては、保護管12a
内に2本の光ファイバ12を収納した構造が採用され、
1本の保護管12aの両端からそれぞれ挿入された光フ
ァイバ12が保護管12aのほぼ全長にわたって収納さ
れている。各光ファイバ12は光スイッチ7aを介して
光パルス試験器8と接続される。また、保護管12a内
にはジェリー12cが充填されており、各光ファイバ1
2は振動すること無く安定に収納される。保護管12a
の長手方向両端部12dには防水処理等が施される。
【0028】保護管12aとしては、光ファイバケーブ
ルに多用されているポリエチレン等の樹脂製外皮であっ
ても良いが、金属等の塑性変形可能な素材であっても良
い。金属性の保護管12aとしては、腐食による強度低
下等が生じない素材であることが好ましく、例えばステ
ンレス管等を採用することが適している。但し、ステン
レス管等の金属管を採用する場合でも、湾曲布設等の必
要性に鑑みて、現場にて容易に湾曲変形可能なものを採
用することが好ましい。本実施の形態では、φ2.0程
度のステンレス管を採用している。塑性変形性能を有す
る保護管12aは、一旦変形すると人為的に変形を戻さ
ない限り変形状態が維持されるから、例えば、変位途中
の受圧部材13から何等かの原因で光ファイバ変形部1
6a、16bが離脱してしまい、保護管12aを変形さ
せる外力が除去されても、保護管12aの変形はそのま
ま維持されるため、保護管12aの変形により光ファイ
バ12に一旦変形与えられていれば、その状態が維持さ
れることとなり、光試験により異常を検出できる。
【0029】各光ファイバセンサ11a、11bは1本
の光ファイバケーブル5に組み立てられているから、前
述のように2本の光ファイバ12を収納した構造の光フ
ァイバケーブル5を採用すると、各光ファイバ12の光
試験により監視対象領域2に到達したり流入した土石流
10の存在範囲を把握できる。例えば、一方の地山斜面
3のみから引通部5aを横切るようにして谷部2に流入
した土石流10がいずれの光ファイバセンサ11bにも
達していなければ、各光ファイバ12の光試験により谷
部2に流入した土石流10の幅方向両側(移動方向に垂
直の方向両側)の光ファイバセンサ11aを特定するこ
とができ、これにより土石流10の流入幅を把握でき
る。この流入幅から谷部2への土石流10の流入量の概
略を把握することも可能である。谷部2に流入した前記
土石流10が光ファイバセンサ11bによっても検知さ
れると、前記土石流10の幅方向両側の光ファイバセン
サ11aの内、一方の光ファイバ12の光試験によって
特定された光ファイバセンサ11aと、他方の光ファイ
バ12の光試験によって特定された光ファイバセンサ1
1b(土石流10を検知した光ファイバセンサ11bの
内の光パルス試験器15から最も近いもの)の両光ファ
イバセンサ11a、11bに土石流10が到達している
こととなり、監視対象領域2に流入した土石流10の下
端位置を把握できる。
【0030】他方の斜面4のみから渡り部5bを横切る
ようにして土石流10が谷部2に流入した場合は、土石
流10がいずれの光ファイバセンサ11bにも達してい
なければ、渡り部5bに組み立てられた光ファイバセン
サ11aの内、土石流10の幅方向両側の光ファイバセ
ンサ11aが、光ファイバケーブル5内の2本の光ファ
イバ12の光試験によって特定され、土石流10の流入
幅を把握できる。また、谷部2に流入して流れ下った前
記土石流10が光ファイバセンサ11bに到達して光フ
ァイバケーブル5の光ファイバ12に曲げ変形や破断を
生じさせると、一方の光ファイバ12の光試験によっ
て、土石流10を検知した光ファイバセンサ11aの内
の光パルス試験器8から最も近いものが特定され、他方
の光ファイバ12の光試験によって、土石流10を検知
した光ファイバセンサ11bの内の光パルス試験器8か
ら最も近いものが特定されるため、両光ファイバセンサ
11a、11bの位置によって土石流10の流入範囲を
把握できる。
【0031】谷部2の両側の地山斜面3から谷部2に土
石流10が流入した場合、この土石流10によって光フ
ァイバセンサ11bにて光ファイバケーブル5内の光フ
ァイバ12に曲げ変形や破断が生じていなければ、光フ
ァイバケーブル5内の各光ファイバ12の光試験によっ
て、引通部5aおよび渡り部5bにて土石流10を検知
した光ファイバセンサ11aを特定することで、谷部2
の幅方向(長手方向に垂直の方向。図1中左右)両側の
土石流10の流入位置をそれぞれ把握できる。谷部2に
流入して流れ下った前記土石流10によって、光ファイ
バセンサ11bでも光ファイバケーブル5内の光ファイ
バ12に曲げ変形や破断が生じれば、土石流10を検知
した光ファイバセンサ11bを特定することで、土石流
10の下端位置を把握できる。
【0032】このように、この光監視装置1では、監視
対象領域2に布設した1本の光ファイバケーブル5に収
納した光ファイバ12の曲げ変形や破断を監視すること
で、監視対象領域2への土石流10の流入位置や、流入
範囲、移動方向先端位置(谷部2を流れ下る土石流10
の下端位置)を把握できる。また、監視対象領域2に布
設する光ファイバケーブル5が1本で済むので、布設作
業を効率良く行うことができ、コスト的にも有利である
といった利点がある。
【0033】図5は、光ファイバセンサ11bの壁体1
4を構成する受圧部材13間の位置ずれ(相対変位)の
検出に適用可能な別態様の光ファイバ変形部20を示す
図であって、(a)は正常時(壁体14に部分的な変位
や変形が生じていない)、(b)は受圧部材13間の変
位によって光ファイバ12に曲げを生じた状態、(c)
は受圧部材13間の変位によって光ファイバ12に破断
を生じた状態を示す。図5(a)に示すように、光ファ
イバ変形部20は隣接する受圧部材13の間に設置さ
れ、それぞれアンカー30により異なる受圧部材13に
固定された一対の連結部材31、32を備えている。各
連結部材31、32にそれぞれ設けられた光ファイバ保
持部31a、32aは、光ファイバ12の長手方向の異
なる位置(保護管12aの長手方向に異なる位置)にて
光ファイバケーブル5の保護管12aを保持して互いに
近接されている。
【0034】図5(a)において、光ファイバ保持部3
1a、32aはプレート状の連結部材31、32の縁部
を保護管12aを収納する管状に湾曲成形したものであ
り、両連結部材31、32は、前記保護管12aを中心
としてそれぞれ相対回転自在のヒンジ構造になってい
る。それぞれの中心軸線を同一直線上に配置した各光フ
ァイバ保持部31a、32aに保護管12aが収納され
て自由な移動が規制されることで、保護管12aに収納
されている光ファイバ12も自由な移動が規制されるた
め、不用意に振動等が与えられる心配が無い。この光フ
ァイバ変形部20は、一方の連結部材31の互いに離間
した2箇所に設けられた一対の光ファイバ保持部31a
の間に確保された空間33に、他方の連結部材32から
突出状態に設けられた光ファイバ保持部32aを挿入
し、各光ファイバ保持部31a、32aの中心軸線を同
一直線上に揃えた状態で、これら光ファイバ保持部31
a、32aに保護管12aを連通させて組み立てられ
る。連結部材31側の二つの光ファイバ保持部31aは
中心軸線が同一直線上に揃えた状態で固定になっている
ので、光ファイバ変形部20の組み立て時には、連結部
材31側の両光ファイバ保持部31aの中心軸線に別の
連結部材32側の光ファイバ保持部32aの中心軸線を
一致させることになる。これにより、各光ファイバ保持
部31a、32aに連通された保護管12a並びに保護
管12a内の光ファイバ12は、両光ファイバ保持部3
1a、32aの中心軸線に沿って延在することとなる。
【0035】隣接する受圧部材13間に位置ずれが生じ
ていない時(初期状態)には、各光ファイバ保持部31
a、32aの中心軸線が同一直線上に揃った状態が維持
され、保護管12a並びに光ファイバ12には曲げ等の
変形は与えられない(図5(a)参照)。しかし、隣接
する受圧部材13間に位置ずれが生じ、これに一体的に
前記連結部材31、32間が相対変位すると、まず、保
護管12a並びに光ファイバ12に変形が与えられ(図
5(b)参照)、相対変位量が大きいと保護管12aの
変形が大きくなり(あるいは破断する)、光ファイバ1
2が破断される(図5(c)参照)。
【0036】図5(a)、(b)、(c)においては、
一方の連結部材31の一対の光ファイバ保持部31a
が、前記光ファイバ12の長手方向に対して直交する方
向(2つの光ファイバ保持部31aの中心軸線に直交す
る方向)に他方の連結部材32の移動をガイドするガイ
ド手段として機能するため、光ファイバ12に対して
は、せん断方向への変形力のみが与えられる。これによ
り、隣接する受圧部材13間に互いに離間する方向に位
置ずれが生じると、その相対変位量によって光ファイバ
12に曲げや破断が生じる。また、図5(a)、
(b)、(c)においては、連結部材31、32はプレ
ート状であるから、前記光ファイバ12の長手方向に対
する直交方向への連結部材31、32間の互い離間する
相対変位は、各連結部材31、32の板厚を除くいずれ
の方向にも可能である。このため、例えば、隣接する一
対の受圧部材13の内の一方が地山斜面3から押し出さ
れる方向(谷部2下流側)に変位した場合でも、同様
に、受圧部材13間の相対変位量が光ファイバ12の曲
げや破断に作用する。
【0037】図5(a)に示すように、この光ファイバ
変形部20の一方の連結部材31の一部を切り欠いた形
状の空間33は、他方の連結部材32の光ファイバ保持
部32aと略一致する大きさであり、初期状態では、連
結部材31の支圧部34に光ファイバ保持部32aが突
き当てられて、空間33奥部へ光ファイバ保持部32a
が押し込まれる方向への連結部材31、32間の相対変
位、すなわち、連結部材31、32同士が接近したり互
いに重なるような相対変位は生じない。したがって、こ
の光ファイバ変形部20では、連結部材31、32間が
離間する相対変位や、連結部材31、32が相対的に回
転(保護管12aや光ファイバ12の長手方向を中心と
する回転)するような相対変位が可能であり、このよう
な変位を生じる壁体14の変形等を検出できる。なお、
光ファイバセンサの構成は適宜設計変更可能であり、例
えば、両連結部材の光ファイバ保持部が、それぞれ相手
側の連結部材の光ファイバ保持部以外の部分と干渉しな
い構造を採用すれば、連結部材同士が接近して互いに重
なるような相対変位も可能となり、隣接する受圧部材1
3間が接近する変位も検出できることとなる。
【0038】隣接する受圧部材13間の変位には、水平
方向に隣接する受圧部材13間の接近、離間のほか、上
下に隣接する受圧部材13間の接近、離間等も存在す
る。このため、図6に示すように、光ファイバ12を収
納した保護管12a(光ファイバケーブル5)は、監視
対象領域である壁体14表面近傍を湾曲させつつ、水平
方向に隣接する受圧部材13間の縦目地13aや上下に
隣接する受圧部材13間の横目地13b等に沿って布設
し、長手方向各所に光ファイバ変形部20を設置し、上
下または左右に隣接する受圧部材13間でも変位を光フ
ァイバ変形部20で検出できるようにする。また、図示
していないが、土圧等による受圧部材13自体の変形の
可能性がある箇所にも、適宜、光ファイバ変形部20を
設置することで、これを検出できる。
【0039】図2(a)〜(c)に示した光ファイバ変
形部16a、16bや、図5に示した光ファイバ変形部
20は、ITV等の撮像装置を要するセンサに比べて構
造が簡単であり、部品点数も少ないため、製造が容易で
あり低コスト化できる。しかも、小型化が容易であるた
め、狭隘な設置場所でも設置可能である。監視対象物に
対する取り付けは、連結部材31、32のアンカー固定
等のみであるので非常に簡単であり、設置数が多くなっ
ても、短時間で簡単に施工できる利点がある。
【0040】前記光監視装置1は、監視対象領域2に布
設した光ファイバケーブル5に、光ファイバセンサ11
a、11bを組み立てるだけで簡単に構成でき、監視対
象領域2が広大であっても土石流10の流入を、監視対
象領域2から離れた安全な所に設置した一箇所の監視所
6にて監視することができる。しかも、監視所6では、
表示部7bに表示される情報や、異常箇所の検知(土石
流10検知)時に発報される警報等により、土石流10
の発生や、土石流10の流入位置、谷部2を流れ下った
土石流10の到達位置等を即座に把握できるので、迅速
な防災対策をとることが可能となる等の即応性が得られ
る。また、この光監視装置1では、ITV等のように視
界確保の問題等も無く、土石流10を効率良く検知でき
る。
【0041】さらに、光監視装置1は、光パルス試験器
8や表示部7b等以外には電気的作動部が無く、光ファ
イバセンサ11a、11b等は落雷等による誘導電流の
影響を受ける心配が無いため、光パルス試験器8や付属
の計器等のみ誘導電流の影響を受けないように保護して
おけば、落雷の可能性の大きい山間部等に設置しても、
監視性能を損なうことは無く、設置場所の自由度が大幅
に向上する。
【0042】なお、本発明は、前記実施の形態に限定さ
れず、例えば、光監視装置を構成する光ファイバの監視
対象領域での引き回し形態等や、光ファイバセンサの構
成の詳細等は適宜変更可能であることは言うまでもな
い。光ファイバセンサを構成する光ファイバ保持部とし
ては、光ファイバケーブルを収納する管状に限定され
ず、光ファイバケーブルを把持する把持爪等の構成も採
用可能である。また、受圧部材は、コンクリートブロッ
クに限定されず、樹脂や金属等からなるプレート等の各
種構成が採用可能であり、さらに、その形状も適宜変更
可能である。例えば、コンクリートブロック製の受圧部
材であっても、隣接する受圧部材間の当接用の突起を有
して受圧部材間の接触面積を少なくした構成等であれ
ば、相対変位に要する監視対象物からの押圧力が小さく
て済み、検知感度を向上できる。このように、光ファイ
バセンサでは、監視対象物の種類、監視対象物からの予
想される押圧力等に対応して優れた検知性能を確保する
ことも容易である前記実施の形態の光ファイバセンサ1
1bでは、それぞれ別の受圧部材に設けられた一対の光
ファイバ保持部を互いに近接・連通させて光ファイバを
保持する光ファイバ変形部16a、16b、20を備え
てなる構成を示したが、光ファイバセンサを構成する光
ファイバ変形部としては、例えば、それぞれ別々の受圧
部材に設けられた3以上の光ファイバ保持部を互いに近
接・連通させて同一の光ファイバを保持した構成等、各
種構成を含む。すなわち、3以上の光ファイバ保持部を
互いに近接・連通させた構成の光ファイバ変形部におい
ても、光ファイバに曲げ等の変形や破断を生じさせるの
は、一対の連結部材の光ファイバ保持部間であるものと
考えられ、このような構成も本発明に含まれる。本発明
の光監視装置並びに光ファイバセンサの監視対象は、土
石流に限定されず、例えば地山斜面等から崩落した雪
塊、氷塊、岩石等であっても良い。また、監視対象物と
しては地山斜面を流れ下るものに限定されず、例えば、
砂防ダム等から溢れ出た土石流や雪崩等であっても良
く、この場合にも、監視対象物に予想される移動経路を
含む監視対象領域への監視対象物の流入を検知すること
で、防災に役立てることができる。光ファイバセンサと
しては、必ずしも土中に埋設する必要は無く、地上に露
出状態に設けることも可能であり、この場合は、移動に
よる地表の掘削量の比較的少ない雪塊、氷塊、岩石等の
検知に有効である。
【0043】
【発明の効果】請求項1記載の光監視装置は、土石流等
である監視対象物が監視対象領域に流入して、該監視対
象領域内に設置されている光ファイバセンサを押圧駆動
し、光ファイバに曲げ等の変形あるいは破断を生じさせ
たことを、光ファイバの光試験により把握することによ
って、土石流等の発生を検知するようになっているの
で、監視対象領域から離れた安全な場所からでも、光フ
ァイバに入射した試験光の戻り光の観測によって土石流
等の発生を安全かつリアルタイムで検知することができ
る。しかも、監視対象領域の複数箇所に設置した光ファ
イバセンサを、光ファイバの光試験により一箇所で監視
可能であるから、監視対象領域が広大であっても効率良
く監視できるといった優れた効果を奏する。
【0044】請求項2記載の光監視装置によれば、前記
光ファイバセンサが、前記監視対象物に予想される移動
経路に沿った複数箇所に連設されているため、光ファイ
バの光試験によって、監視対象物を検知した光ファイバ
センサを特定することで、監視対象物の位置を把握する
ことができ、防災対策に役立てることができるといった
優れた効果を奏する。
【0045】請求項3記載の光ファイバセンサによれ
ば、監視対象領域に到達した監視対象物からの押圧力を
受圧した受圧部材間に生じた相対変位によって、互いに
近接された一対の光ファイバ保持部に保持された光ファ
イバに曲げ等の変形あるいは破断を生じさせる構造であ
り、電気的機構を必要としないため、落雷等による誘導
電流の影響を受けず、山間部等の環境の厳しい設置場所
でも、長期にわたって優れた検知性能を維持できる。ま
た、監視対象領域に流入した監視対象物を直接的に検知
するので、監視のための視界の確保等の問題が無く、し
かも、構造も簡単であるので低コスト化できる。さら
に、受圧部材の構成等を変更することで、監視対象物の
種類、監視対象物からの予想される押圧力等に対応して
優れた検知性能を確保することも容易であるといった優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態の光監視装置を示す正
面図である。
【図2】 本発明に係る1実施の形態の光ファイバセン
サを示す図であって、図1の光監視装置に適用される光
ファイバセンサの一例を示す斜視図である。
【図3】 図2の光ファイバセンサの作用を示す図であ
って、(a)は監視対象物の押圧力によって変形された
壁体を示す斜視図、(b)は縦目地に適用された光ファ
イバ変形部を示す斜視図、(c)は横目地に適用された
光ファイバ変形部を示す斜視図である。
【図4】 図2の光ファイバセンサに適用される光ファ
イバケーブルの一例を示す断面図である。
【図5】 図2の光ファイバセンサを構成する光ファイ
バ変形部の他の例を示す拡大図であって、(a)は正常
時(壁体に部分的な変位や変形が生じていない)、
(b)は受圧部材間の変位によって光ファイバに曲げを
生じた状態、(c)は受圧部材間の変位によって光ファ
イバに破断を生じた状態を示す。
【図6】 図5の光ファイバ変形部を用いた光ファイバ
センサの構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…光監視装置、2…移動経路,監視対象領域(谷
部)、3…地山斜面、10…土石流、11a,11b…
光ファイバセンサ、12…光ファイバ、13…受圧部
材、15、31a,32a…光ファイバ保持部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F065 AA01 AA65 CC00 DD00 DD06 FF31 FF58 GG08 LL02 NN01 PP01 SS03 SS13 2F076 BA15 BB08 BD06 BE09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地山斜面(3)等から所定の監視対象領
    域(2)への土石流(10)や雪崩の流入等を光により
    監視する光監視装置であって、 土石流等である監視対象物に予想される移動経路を含む
    監視対象領域に、前記監視対象物から作用する押圧力に
    よって光ファイバ(12)に曲げ等の変形あるいは破断
    を生じさせる光ファイバセンサ(11a、11b)が設
    置されていることを特徴とする光監視装置(1)。
  2. 【請求項2】 前記光ファイバセンサが、前記監視対象
    物に予想される移動経路に沿った複数箇所に連設されて
    いることを特徴とする請求項1記載の光監視装置。
  3. 【請求項3】 地山斜面(3)等から所定の監視対象領
    域(2)への土石流(10)や雪崩の流入等を光により
    監視する光ファイバセンサであって、 土石流等である監視対象物に予想される移動経路を含む
    監視対象領域に設置されて前記監視対象物からの押圧力
    を受圧する複数の受圧部材(13)と、それぞれ別の前
    記受圧部材に設けられて光ファイバ(12)を保持する
    光ファイバ保持部(15、31a、32a)とを備え、
    同一の光ファイバの長手方向の異なる位置を保持する一
    対の前記光ファイバ保持部同士を互いに近接させ、前記
    受圧部材間の相対変位により前記光ファイバに曲げ等の
    変形あるいは破断を生じさせるようになっていることを
    特徴とする光ファイバセンサ(11b)。
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