JP2001098982A - 内燃機関の空燃比制御装置及び触媒劣化判定装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置及び触媒劣化判定装置

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JP2001098982A
JP2001098982A JP2000039979A JP2000039979A JP2001098982A JP 2001098982 A JP2001098982 A JP 2001098982A JP 2000039979 A JP2000039979 A JP 2000039979A JP 2000039979 A JP2000039979 A JP 2000039979A JP 2001098982 A JP2001098982 A JP 2001098982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒の酸素吸蔵量の目標吸蔵量を最大酸素吸
蔵量に対応させて更新し、排気浄化率の良い空燃比制御
を行うことのできる内燃機関の空燃比制御装置を提供す
る。 【解決手段】 本発明の内燃機関の空燃比制御装置は、
内燃機関1の排気通路7に配設された酸素吸蔵作用を有
する触媒20と、触媒20に吸蔵されている酸素吸蔵量
を推定する吸蔵量推定手段18,24と、触媒20の酸
素吸蔵量の目標値を設定する目標値設定手段18と、吸
蔵量推定手段18,24によって推定される酸素吸蔵量
が目標値設定手段18によって設定された目標値となる
ように吸入空燃比を制御する吸入空燃比制御手段18と
を備えており、目標値設定手段18が、吸蔵量推定手段
18,24によって推定された酸素吸蔵量の履歴に基づ
いて、酸素吸蔵量の目標値を更新することを特徴として
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の空燃比
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気ガス内の窒素酸化物NO
x、一酸化炭素CO、炭化水素HCなどの有害物質は、排気
通路上に配設された三元触媒によって浄化されている
(ディーゼルエンジンでは、上述した有害物質に加えて
粒子状物質も浄化する四元触媒も用いられる)。この触
媒の酸素吸蔵作用に着目して有害物質の浄化率をより一
層向上させるために、この酸素吸蔵作用を効果的に利用
するための空燃比制御が従来から検討されている。この
ような酸素吸蔵作用に着目した空燃比制御装置として
は、特開平9-310635号公報に記載のものなどがある。特
開平9-310635号公報に記載の空燃比制御装置は、三元触
媒に吸蔵される酸素吸蔵量が予め設定された目標吸蔵量
に一致するように空燃比制御を行うものであった。
【0003】この空燃比制御装置においては、三元触媒
に吸蔵させる酸素の目標吸蔵量は一定値に固定されてい
る。具体的には、三元触媒に流入する排気ガス(入ガ
ス)の排気空燃比がリーンの時に三元触媒によって吸蔵
し得る酸素吸蔵マージンと、排気空燃比がリッチの時に
三元触媒から放出し得る酸素放出マージンとがほぼ等し
くなるように、三元触媒の吸蔵し得る酸素吸蔵能力の半
分を目標吸蔵量として固定的に設定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】触媒に実際に吸蔵され
ている酸素吸蔵量は、入ガスの量やその排気空燃比から
比較的精度良く求めることが可能である。しかし、酸素
吸蔵能力は種々の条件によって大きく影響を受けるの
で、実際には常に変化している。このため、上述したよ
うに目標吸蔵量を固定的に設定している場合には、常に
変化している酸素吸蔵能力に対して、実際の酸素吸蔵量
が多くなりすぎたり、少なくなりすぎたりする場合が生
じることが危惧される。酸素吸蔵能力に対して実際の酸
素吸蔵量が多くなりすぎれば、入ガスの排気空燃比がリ
ーンとなった場合に窒素酸化物NOxを充分に還元できな
い。これとは反対に、酸素吸蔵能力に対して実際の酸素
吸蔵量が少なくなりすぎれば、入ガスの排気空燃比がリ
ッチになった場合に一酸化炭素COや炭化水素HCを充分に
酸化できない。
【0005】従って、本発明の目的は、触媒の酸素吸蔵
量の目標吸蔵量を変動する酸素吸蔵能力に対応させて更
新し、排気浄化率の良い空燃比制御を行うことのできる
内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、内燃機関の排
気通路に配設された酸素吸蔵作用を有する触媒と、触媒
に吸蔵されている酸素吸蔵量を推定する吸蔵量推定手段
と、触媒の酸素吸蔵量の目標値を設定する目標値設定手
段と、吸蔵量推定手段によって推定される酸素吸蔵量が
目標値設定手段によって設定された目標値となるように
吸入空燃比を制御する吸入空燃比制御手段とを備えてお
り、目標値設定手段が、吸蔵量推定手段によって推定さ
れた酸素吸蔵量の履歴に基づいて、酸素吸蔵量の目標値
を設定することを特徴としている。
【0007】本発明によれば、触媒によって実際に吸蔵
した酸素吸蔵量の履歴に基づいて、酸素吸蔵量の目標値
を設定(新規設定・更新設定)するので、酸素吸蔵量の
目標値が常に最適な値に維持される。この結果、触媒に
吸蔵される酸素吸蔵量を常に最適な範囲に維持でき、排
気ガスの浄化を好適に行うことができる。
【0008】ここで、触媒の下流側の排気空燃比を検出
する下流側空燃比検出手段をさらに備えており、下流側
空燃比検出手段によって検出された排気空燃比が所定の
空燃比となったときに吸蔵量推定手段によって推定され
た酸素吸蔵量に基づいて、目標値設定手段が目標値を設
定することが好ましい。触媒の下流側の排気空燃比を検
出することによって、触媒の酸素吸蔵状態を検出するこ
とができる。触媒の下流側の排気空燃比が所定の空燃比
となったとき、即ち、触媒の酸素吸蔵状態が所定の状態
となったときに、酸素吸蔵量の目標値を設定(新規設定
・更新設定)するようにすれば、目標値をより正確に適
正な値に維持することができる。
【0009】また、ここで、触媒の下流側の排気空燃比
を検出する下流側空燃比検出手段をさらに備えており、
下流側空燃比検出手段によって検出された排気空燃比が
所定範囲外となった場合は、吸蔵量推定手段による酸素
吸蔵量の推定を禁止することが好ましい。触媒の下流側
の排気空燃比を検出することによって、触媒の酸素吸蔵
状態を検出することができる。触媒の下流側の排気空燃
比が所定範囲外となったとき、即ち、触媒の酸素吸蔵状
態が所定範囲外となったときに酸素吸蔵量の推定を禁止
することによって、実際には酸素の吸蔵・放出が行われ
ていない場合(あるいは酸素吸蔵量の推定精度の低い状
態にある場合)に酸素吸蔵量を更新してしまうことを防
止できる。この結果、酸素吸蔵量の履歴が正確になり、
排気ガスの浄化をより好適に行うことができる。
【0010】また、ここで、吸蔵量推定手段は、触媒に
吸蔵されている酸素吸蔵量を、ある時点での酸素吸蔵量
を基準にした上限値及び下限値の差分として把握し、目
標値設定手段は、下流側空燃比検出手段の検出結果に基
づいて触媒の酸素吸蔵量の上限値及び下限値を設定し、
設定した上限値及び下限値から目標値を設定することが
好ましい。このようにされていると、目標値が上限値及
び下限値の基準近傍に設定されることになり、目標値が
大きく変動することがなくなる。目標値の変動が少ない
ので、制御が行い易くなり、酸素吸蔵量の推定時に異常
が生じても、その影響度を小さくすることもできる。
【0011】さらに、ここで、吸蔵量推定手段は、下流
側空燃比検出手段によって検出された排気空燃比がある
所定の空燃比となったときに上限値を設定し、また、下
流側空燃比検出手段によって検出された排気空燃比が他
の所定の空燃比となったときに下限値を設定することが
好ましい。このようにすれば、酸素吸蔵量をより正確に
設定でき、より正確な目標値を設定することができる。
【0012】あるいは、ここで、触媒の酸素吸蔵能力を
学習値として記憶・更新する酸素吸蔵能力学習手段をさ
らに備え、吸蔵量推定手段は、下流側空燃比検出手段に
よって検出された排気空燃比がある所定の空燃比となっ
たときに上限値又は下限値の何れか一方を設定すると共
に、設定された上限値又は下限値の何れか一方と触媒の
状態と酸素吸蔵能力学習手段によって学習された学習値
とに基づいて他方を設定することが好ましい。このよう
にすれば、酸素吸蔵量をより正確に設定できるだけでな
く、より早期に目標値を設定することができる。
【0013】また、ここで、触媒の下流側の排気空燃比
を検出する下流側空燃比検出手段と、触媒の劣化を判定
する触媒劣化判定手段とをさらに備えており、下流側空
燃比検出手段によって検出された排気空燃比が所定の空
燃比となったときに吸蔵量推定手段によって推定された
酸素吸蔵量に基づいて、触媒劣化判定手段が触媒の劣化
を判定することが好ましい。触媒の酸素吸蔵能力は、触
媒の劣化度合いによって変動するので、触媒の酸素吸蔵
量の履歴から触媒の劣化を判定することができる。ま
た、触媒の下流側の排気空燃比を検出することによっ
て、触媒の酸素吸蔵状態を検出することができる。この
ため、触媒の下流側の排気空燃比が所定の空燃比となっ
たとき、即ち、触媒の酸素吸蔵状態が所定の状態となっ
たときに、触媒の劣化を判定するようにすれば、その劣
化判定をより正確に行うことができる。
【0014】あるいは、触媒の劣化を判定する触媒劣化
判定手段と、触媒の温度を検出する触媒温度検出手段と
をさらに備えており、触媒劣化判定手段が、吸蔵量推定
手段によって推定された酸素吸蔵量の履歴と触媒温度検
出手段によって検出された触媒の温度とから、触媒の劣
化を判定することが好ましい。触媒の酸素吸蔵能力は、
触媒の劣化度合いによって変化し、触媒の温度にも依存
する。このため、触媒の下流側の排気空燃比が所定の空
燃比となったとき、即ち、触媒の酸素吸蔵状態が所定の
状態となったときに、触媒の温度を参照しつつ触媒の酸
素吸蔵量の履歴から触媒の劣化を判定するようにすれ
ば、その劣化判定をより正確に行うことができる。
【0015】さらに、触媒の上流側の排気空燃比を検出
する上流側空燃比検出手段と、触媒の下流側の排気空燃
比を検出する下流側空燃比検出手段とをさらに備え、上
流側空燃比検出手段の検出結果が正常で、かつ、下流側
空燃比検出手段の検出結果が正常でない場合には、上流
側空燃比検出手段の検出結果に基づいて内燃機関の燃料
噴射量のフィードバック制御を行うことが好ましい。各
空燃比検出手段が正常でない場合とは、故障している場
合や、各空燃比検出手段が酸素センサであるときに活性
状態に達していない場合などである。このようにすれ
ば、下流側空燃比検出手段が正常でない場合でも、上流
側空燃比制御手段に基づく燃料噴射量のフィードバック
制御を行うことによって排気空燃比を制御し、排気ガス
中の有害物質を低減させることができる。
【0016】ここで、上流側空燃比検出手段の検出結果
が正常で、かつ、下流側空燃比検出手段の検出結果が正
常でない場合でも、吸蔵量推定手段が、上流側空燃比検
出手段の検出結果に基づいて触媒に吸蔵されている酸素
吸蔵量を推定することが好ましい。このようにすれば、
下流側空燃比検出手段が正常な状態になったと同時に、
酸素吸蔵量の履歴に基づいてその目標値を更新すること
ができる。この結果、酸素吸蔵量の目標値が常に最適な
値に維持され、触媒に吸蔵される酸素吸蔵量を常に最適
な範囲に維持でき、排気ガスの浄化を好適に行うことが
できる。
【0017】またさらに、触媒の下流側の排気空燃比を
検出する下流側空燃比検出手段と、触媒の酸素吸蔵能力
を推定する吸蔵能力推定手段とをさらに備え、吸蔵能力
推定手段は、下流側空燃比検出手段の応答遅れを考慮し
つつ、下流側空燃比検出手段の検出結果に基づいて触媒
の酸素吸蔵能力を更新することも好ましい。このように
すれば、下流側空燃比検出手段に応答遅れがある場合で
あっても、酸素吸蔵能力をより正確に推定することがで
き、排気ガスの浄化を好適に行うことができる。
【0018】ここで、触媒の上流側の排気空燃比を検出
する上流側空燃比検出手段をさらに備え、吸蔵量推定手
段は、上流側空燃比検出手段の検出結果に基づいて触媒
に吸蔵される酸素量を積算する際になまし処理を行いつ
つ触媒の酸素吸蔵量を推定し、吸蔵能力推定手段は、吸
蔵量推定手段によってなまし処理された酸素吸蔵量と下
流側空燃比検出手段の検出結果とに基づいて触媒の酸素
吸蔵能力を更新することによって、下流側空燃比検出手
段の応答遅れを考慮することが好ましい。このように、
なまし処理によって応答遅れを考慮すれば、触媒の酸素
吸蔵能力をより正確に推定することができ、排気ガスの
浄化を好適に行うことができる。
【0019】あるいは、触媒の上流側の排気空燃比を検
出する上流側空燃比検出手段をさらに備え、吸蔵量推定
手段は、上流側空燃比検出手段の検出結果に基づいて触
媒に吸蔵される酸素量を積算する際に、上流側空燃比検
出手段から下流側空燃比検出手段への排気ガスの移動時
間に相当するディレイ処理を行いつつ触媒の酸素吸蔵量
を推定し、吸蔵能力推定手段は、吸蔵量推定手段によっ
てディレイ処理された酸素吸蔵量と下流側空燃比検出手
段の検出結果とに基づいて触媒の酸素吸蔵能力を更新す
ることによって、下流側空燃比検出手段の応答遅れを考
慮してもよい。このように、ディレイ処理によって応答
遅れを考慮すれば、触媒の酸素吸蔵能力をより正確に推
定することができ、排気ガスの浄化を好適に行うことが
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】実施形態の説明の前に、触媒の酸
素吸蔵作用について簡単に説明する。
【0021】以下に説明する実施形態においては触媒と
して三元触媒を用いており、この三元触媒は、セリア(C
eO2)等の成分を有し、排気ガス中の酸素を吸蔵・放出す
る性質を有している。この三元触媒は、入ガスの排気空
燃比がリーンの時は、排気ガス中の酸素を吸蔵して還元
雰囲気寄りの状態を形成させ、余剰の窒素酸化物NOxを
還元して排気ガス浄化を促進する。一方、この三元触媒
は、入ガスの排気空燃比がリッチの時は、吸蔵しておい
た酸素を放出して、余剰の一酸化炭素COや炭化水素HCを
酸化して排気ガス浄化を促進する。このように、三元触
媒の酸素を吸蔵・放出する性質を利用して、排気ガスの
浄化率を向上させることができる。
【0022】このとき、上述したように、三元触媒がそ
の酸素吸蔵能力の限界まで酸素を吸蔵していれば、入ガ
スの排気空燃比がリーンとなったときに酸素を吸蔵する
ことができなくなり、排気ガス中の窒素酸化物NOxを充
分に浄化できなくなる。一方、三元触媒が酸素を放出し
きって酸素を全く吸蔵していなければ、入ガスの排気空
燃比がリッチとなったときに酸素を放出することができ
ないので、排気ガス中の一酸化炭素COや炭化水素HCを充
分に浄化できなくなる。このため、入ガスの排気空燃比
がリーンとなってもリッチとなっても対応できるよう
に、三元触媒の酸素吸蔵量が常に酸素吸蔵能力のほぼ半
分となるように目標値を設定し、酸素吸蔵量をこの目標
値となるように維持することが好ましい。
【0023】しかし、上述したように、三元触媒の酸素
吸蔵能力は、その温度や劣化状態などの様々な要因に依
存しており、常に変動している。このため、以下に説明
する実施形態の空燃比制御装置においては、変動する酸
素吸蔵能力に対応させて目標値を設定し、三元触媒の酸
素吸蔵量をこの目標値に維持するように空燃比を制御す
る。本発明の内燃機関の空燃比制御装置の一実施形態に
ついて、図面を参照しつつ以下に説明する。図1に、本
実施形態の空燃比制御装置を有する内燃機関の構成図を
示す。
【0024】本実施形態の空燃比制御装置は、内燃機関
であるエンジン1の空燃比を制御するものである。エン
ジン1は、図1に示されるように、点火プラグ2によっ
て各シリンダ3内の混合気に対して点火を行うことによ
って駆動力を発生する。エンジン1の燃焼に際して、外
部から吸入した空気は吸気通路4を通り、インジェクタ
5から噴射された燃料と混合され、混合気としてシリン
ダ3内に吸気される。シリンダ3の内部と吸気通路4と
の間は、吸気バルブ6によって開閉される。シリンダ3
の内部で燃焼された混合気は、排気ガスとして排気通路
7に排気される。シリンダ3の内部と排気通路7との間
は、排気バルブ8によって開閉される。
【0025】吸気通路4上には、シリンダ3内に吸入さ
れる吸入空気量Gaを調節するスロットルバルブ9が配設
されている。このスロットルバルブ9には、その開度を
検出するスロットルポジションセンサ10が接続されて
いる。また、吸気通路4上には、アイドル時(スロット
ルバルブ9の全閉時)にバイパス通路11を介してシリ
ンダ3に供給される吸入空気量Gaを調節するエアバイパ
スバルブ12も配されている。さらに、吸気通路4上に
は、吸入空気量Gaを検出するためのエアフローメーター
13も取り付けられている。エアフローメーター13
は、吸入空気の温度を検出する吸気温センサとしても機
能する。
【0026】エンジン1のクランクシャフト近傍には、
クランクシャフトの位置を検出するクランクポジション
センサ14が取り付けられている。クランクポジション
センサ14の出力からは、シリンダ3内のピストン15
の位置や、エンジン回転数NEを求めることもできる。ま
た、エンジン1には、エンジン1のノッキングを検出す
るノックセンサ16や冷却水温度を検出する水温センサ
17も取り付けられている。
【0027】これらの点火プラグ2、インジェクタ5、
スロットルポジションセンサ10、エアバイパスバルブ
12、エアフローメーター13、クランクポジションセ
ンサ14、ノックセンサ16、水温センサ17やその他
のセンサ類は、エンジン1を総合的に制御する電子制御
ユニット(ECU)18と接続されており、ECU18
からの信号に基づいて制御され、あるいは、検出結果を
ECU18に対して送出している。ECU18には、ア
クセル開度を検出するアクセルポジションセンサ19
や、排気通路7上に配設された三元触媒20の温度を測
定する触媒温度検出手段としての触媒温度センサ21、
チャコールキャニスタ22によって捕集された燃料タン
ク内での蒸発燃料を吸気通路4上にパージさせるパージ
コントロールバルブ23も接続されている。
【0028】また、ECU18には、三元触媒20の上
流側に取り付けられた上流側空燃比センサ24及び、三
元触媒20の下流側に取り付けられた下流側空燃比セン
サ25も接続されている。上流側空燃比センサ24は、
三元触媒20の上流側空燃比を検出する上流側空燃比検
出手段として機能し、下流側空燃比センサ25は、三元
触媒20の下流側空燃比を検出する下流側空燃比検出手
段として機能する。本実施形態においては、これらの空
燃比センサ24,25は、それぞれの取付位置における
排気ガス中の酸素濃度から排気空燃比を検出するO2
ンサ(酸素センサ)である。なお、これらの空燃比セン
サ24,25は、所定の温度(活性化温度)以上となら
なければ正確な検出を行えないため、早期に活性化温度
に昇温されるように、ECU18から供給される電力に
よって昇温される。
【0029】さらに、ECU18は、内部に演算を行う
CPUや演算結果などの各種情報量を記憶するRAMや
バッテリによってその記憶内容が保持されるバックアッ
プRAM等を有している。そして、これらによって、E
CU18の内部には、三元触媒20に吸蔵されていると
推定される酸素吸蔵量O2SUMを算出する吸蔵量算出部1
8aや、インジェクタ5によって噴射する燃料噴射量を
算出する燃料算出部18b、酸素吸蔵量O2SUMの履歴か
ら三元触媒20の劣化を判定する触媒劣化判定部18c
が構築されていると言える。なお、吸蔵量算出部18a
は、酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMmax及び下限値O2SUM
minを記憶しておく上下限値記憶部としても機能する。
即ち、ECU18は、三元触媒20に吸蔵されている酸
素量を酸素吸蔵量O2SUMとして推定する吸蔵量推定手段
や、三元触媒20の劣化を判定する触媒劣化判定手段と
して機能する。
【0030】以下に、上述した空燃比制御装置によっ
て、三元触媒20の酸素吸蔵量O2SUMを好適な値に維持
するフィードバック制御について説明する。説明を容易
にするために、本制御における各制御量の時間的変化の
例を図2に示す。
【0031】酸素吸蔵量O2SUMは、上流側空燃比センサ
24によって検出される三元触媒20の上流側の排気空
燃比AFと理論空燃比AFstとの差ΔAF=(AF-AFst)から、三
元触媒20に吸蔵される、あるいは、三元触媒20から
放出される酸素の吸蔵・放出量O2ADを推定し、これを積
算していくことによって得られる。ここでは、吸蔵・放
出量O2ADが正の値の時は酸素が三元触媒20に吸蔵さ
れ、負の値の時は酸素が放出されるものとする。まず、
酸素吸蔵量O2SUMの算出について、図3に示されるフロ
ーチャートに基づいて説明する。
【0032】なお、本実施形態においては、酸素吸蔵量
O2SUMは、ある時点(例えばイグニションオン時)を基
準(O2SUM=0)として算出される。即ち、酸素吸蔵量O2S
UMは、三元触媒20に酸素が吸蔵される場合は加算さ
れ、放出される場合は減算される。上述したある時点で
三元触媒20が既に酸素を吸蔵している場合もあるの
で、酸素吸蔵量O2SUMは正の値だけでなく、負の値も取
り得る。
【0033】まず、上流側空燃比センサ24によって三
元触媒20への入ガスの排気空燃比AFを検出し、この排
気空燃比AFと理論空燃比AFstとの差ΔAF=(AF-AFst)をE
CU18において求める。一方、エアフローメーター1
3によって吸入空気量Gaを検出し、この吸入空気量Gaと
空燃比差ΔAFとから、三元触媒20に吸蔵・放出される
酸素の吸蔵・放出量O2ADを算出する(ステップ10
0)。この吸蔵・放出量O2ADの算出は、ECU18内の
マップから求めても良いし、ECU18に記憶させた計
算式を用いて算出しても良い。
【0034】ステップ100の後、下流側排気空燃比の
リーンフラグXleanがオンで、かつ、算出した吸蔵・放
出量O2ADが正の値であるか否かを判定する(ステップ1
10)。なお、下流側排気空燃比のリーンフラグXlean
及びリッチフラグXrichについては追って詳述するが、
リーンフラグXlean及びリッチフラグXrichは、三元触媒
20の下流側の排気空燃比がリーンの時はリーンフラグ
Xleanがオンとされ、リッチの時はリッチフラグXrichが
オンとされるものである。
【0035】ステップ110において、下流側排気空燃
比のリーンフラグXleanがオンということは、三元触媒
20からの出ガスの排気空燃比がリーンで酸素量が余剰
であるということである。また、吸蔵・放出量O2ADが正
の値であるということは、三元触媒20への入ガスに
は、吸蔵し得る酸素が含まれている状態であると言え
る。従って、ステップ110が肯定される場合は、三元
触媒20への入ガスには吸蔵し得る酸素が含まれている
にもかかわらず、三元触媒20は既に限界まで酸素を吸
蔵しており、それ以上酸素を吸蔵できない状態である。
【0036】このため、ステップ110が肯定される場
合は、そのままこのルーチンを終了し、三元触媒20の
酸素吸蔵量O2SUMを更新しない。ステップ110が肯定
されているときに酸素吸蔵量O2SUMを更新してしまう
と、実際には吸蔵できない酸素を吸蔵したとしてしまう
ので、このように酸素吸蔵量O2SUMの更新を禁止する。
ステップ110が否定される場合は、今度は、下流側排
気空燃比のリッチフラグXrichがオンで、かつ、算出し
た吸蔵・放出量O2ADが負の値であるか否かを判定する
(ステップ120)。
【0037】下流側排気空燃比のリッチフラグXrichが
オンということは、三元触媒20からの出ガスの排気空
燃比がリッチで酸素量が不足している状態ということで
ある。また、吸蔵・放出量O2ADが負の値であるというこ
とは、三元触媒20への入ガスの排気空燃比がリッチで
あり三元触媒20が吸蔵している酸素を放出させて排気
ガスを浄化すべき状態であると言える。従って、ステッ
プ120が肯定される場合は、三元触媒20への入ガス
は三元触媒20から放出される酸素によって浄化される
状態であるにもかかわらず、三元触媒20は既に酸素を
放出しきっており、それ以上酸素を放出することができ
ない状態である。
【0038】このため、ステップ120が肯定される場
合は、それ以上、三元触媒20の酸素吸蔵量O2SUMを更
新しない。ステップ120が肯定されているときに酸素
吸蔵量O2SUMを更新してしまうと、実際には放出できな
い酸素を放出したとしてしまうので、このように酸素吸
蔵量O2SUMの更新を禁止する。ステップ120も否定さ
れた場合は、上述したように、入ガス中に吸蔵できる酸
素があるのに酸素を吸蔵しきっている状態や酸素を放出
すべきであるのに酸素を放出しきっている状態ではない
ので、算出された吸蔵・放出量O2ADを用いて酸素吸蔵量
O2SUMを更新する(ステップ130)。
【0039】このように、酸素吸蔵量O2SUMを吸蔵・放
出量O2ADを用いて更新する(ステップ110又はステッ
プ120が肯定される場合は更新は禁止されるが)こと
によって、三元触媒20に吸蔵されている酸素量を常に
正確に推定することができる。このようにして生成され
た酸素吸蔵量O2SUMの履歴が、図2のタイミングチャー
トの上段に示されている。逐次更新される酸素吸蔵量O2
SUMは、ECU18の吸蔵量算出部18aに記憶され
る。
【0040】次いで、酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMma
x及び下限値O2SUMminの算出について、図4に示すフロ
ーチャートに基づいて説明する。
【0041】なお、上述したように酸素吸蔵量O2SUMが
ある時点を基準としているため、本実施形態において
は、上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminもこの時点を基
準とする。即ち、酸素吸蔵量O2SUMの基準(O2SUM=0)が
規定される時点では、O2SUMmax=O2SUMmin=0である。
【0042】まず、図2のタイミングチャート中の下段
に示されるように、下流側空燃比センサ25の出力電圧
VO2が、予め定められたリーン側閥値Vlean(ここでは、
具体的には0.3V)未満であるか否かを判定する(ステッ
プ200)。出力電圧VO2がリーン側閥値Vlean未満であ
るということは、三元触媒20がその酸素吸蔵能力の限
界まで酸素を吸蔵しているので、それ以上吸蔵すること
ができない状態であると考えられる。このため、ステッ
プ200が肯定される場合は、酸素吸蔵量O2SUMが上限
に達しているとして、その時点の酸素吸蔵量O2SUMを上
限値O2SUMmaxとしてECU18内の吸蔵量算出部18a
に記憶する。また、三元触媒20の下流側排気空燃比の
状態を示すフラグについては、リーンフラグXleanをオ
ンにセットし、リッチフラグXrichをオフにセットする
(ステップ210)。
【0043】ステップ200が否定される場合は、下流
側空燃比センサ25の出力電圧VO2が、予め定められた
リッチ側閥値Vrich(ここでは、具体的には0.7V)を超
えているか否かを判定する(ステップ220)。出力電
圧VO2がリッチ側閥値Vrichを超えているということは、
三元触媒20が酸素を吸蔵しておらず、それ以上酸素を
放出できない状態であると考えられる。このため、ステ
ップ220が肯定される場合は、酸素吸蔵量O2SUMが下
限に達しているとして、その時点の酸素吸蔵量O2SUMを
下限値O2SUMminとしてECU18内の吸蔵量算出部18
aに記憶する。また、三元触媒20の下流側排気空燃比
の状態を示すフラグについては、リーンフラグXleanを
オフにセットし、リッチフラグXrichをオンにセットす
る(ステップ230)。
【0044】ステップ220が否定される場合は、下流
側空燃比センサ25の出力電圧VO2が、リーン側閥値Vle
anとリッチ側閥値Vrichとの間にある(Vlean≦VO2≦Vri
ch)ので、三元触媒20からの出ガスの排気空燃比はリ
ーンでもリッチでもなく、理論空燃比近傍にあるとみな
せる。この場合は、リーンフラグXlean・リッチフラグX
rich共オフにする(ステップ240)。
【0045】上述したように、酸素吸蔵量O2SUMの履歴
が逐次更新され、この履歴と下流側空燃比センサ25の
出力とから上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminが更新さ
れていく。このため、上限値O2SUMmaxと下限値O2SUMmin
との差(O2SUMmax-O2SUMmin)をとれば、三元触媒20の
吸蔵し得る最大限の酸素量(酸素吸蔵能力に相当する吸
蔵量)を得ることができる。そして、三元触媒20の吸
蔵し得る最大限の酸素量(O2SUMmax-O2SUMmin)は、上述
したように三元触媒20の温度などに依存して変動して
いるが、上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminが常に更新
されるので、常に最適な値に維持される。そして、この
上限値O2SUMmaxと下限値O2SUMminとの差(O2SUMmax-O2SU
Mmin)を算出するECU18は、酸素吸蔵能力を推定す
る吸蔵能力推定手段としても機能している。
【0046】次いで、上述した上限値O2SUMmax及び下限
値O2SUMminから酸素吸蔵量O2SUMの目標値O2SUMrefを設
定し、この目標値O2SUMrefから燃料噴射量の補正係数KA
Fを算出する制御について説明する。この制御を示すフ
ローチャートを図5に示す。
【0047】まず、エアフローメーター13によって検
出される吸入空気量Gaが予め設定された閥値C1未満であ
り、かつ、クランクポジションセンサ14によって検出
されるエンジン回転数NEが予め設定された閥値C2未満で
あるか否かを判定する(ステップ300)。ステップ3
00が肯定される場合は、エンジン1が、三元触媒20
の酸素吸蔵量O2SUMに基づく燃料噴射量のフィードバッ
ク制御範囲内の軽負荷領域で運転されていると判断する
ことができる。この場合は、酸素吸蔵量O2SUMの目標値O
2SUMrefを、上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminとの平
均値(O2SUMmax+O2SUMmin)/2に設定する(ステップ31
0)。
【0048】これらの演算はECU18内において行わ
れる。即ち、ECU18は、目標値設定手段としても機
能している。このように目標値O2SUMrefを設定すること
によって、三元触媒20の酸素吸蔵マージンと酸素放出
マージンとをほぼ等しくすることができ、酸素を吸蔵さ
せる場合と酸素を放出させる場合との何れにも等しく対
応し得る状態を目標とすることになる。
【0049】一方、ステップ300が否定される場合
は、エンジン1が、三元触媒20の酸素吸蔵量O2SUMに
基づく燃料噴射量のフィードバック制御範囲内の高負荷
領域で運転されていると判断することができる。この場
合は、酸素吸蔵量O2SUMの目標値O2SUMrefを、上述した
平均値(O2SUMmax+O2SUMmin)/2よりも下限値O2SUMmin寄
りの値に設定する(ステップ320)。ここでは、目標
値O2SUMrefを、(O2SUMmax×0.4+O2SUMmin×0.6)として
求めている。このようにフィードバック領域内の高負荷
寄りの状態では、目標値O2SUMrefを下限値O2SUMmin寄り
に設定する理由は、以下に述べる理由による。
【0050】このような高負荷領域でエンジン1が運転
される場合は、排気ガス中の窒素酸化物NOxの量が低負
荷領域で運転される場合よりも多くなる。このため、三
元触媒20が酸素を吸蔵しきってそれ以上酸素を吸蔵で
きない状態になると、三元触媒20によって窒素酸化物
NOxを還元させにくくなり、窒素酸化物NOxを充分に浄化
できなくなってしまう。このため、高負荷寄りの領域で
は、三元触媒20の酸素吸蔵マージンを多めにとり、即
ち、目標値O2SUMrefを下限値O2SUMmin寄りに設定し、三
元触媒20が酸素を吸蔵しきってそれ以上酸素を吸蔵で
きない状態となるのを防止して窒素酸化物NOxを確実に
浄化するようにしている。
【0051】ステップ310又はステップ320におい
て目標値O2SUMrefが設定されたら、その時点での酸素吸
蔵量O2SUMと目標値O2SUMrefとのズレ量O2SUMerを算出す
る(ステップ330)。次いで、このズレ量O2SUMerに
基づいて、燃料噴射制御に用いる補正係数KAFをRAM
18内に記憶されたマップから求める(ステップ34
0)。この補正係数KAFを用いて燃料噴射量を補正する
ことによって、三元触媒20の酸素吸蔵量O2SUMが目標
値O2SUMrefとなるようにフィードバック制御される。
【0052】上述した補正係数KAFを用いた燃料噴射量
の補正について簡単に述べる。まず、実際にインジェク
タ5によって噴射される燃料噴射量(あるいは、燃料噴
射のためのインジェクタ5の開弁時間)TAUは、ECU
18内において以下の式によって決定される。TAU=TAUP
×KAF×α+βここで、TAUPは、吸入空気量Gaとエンジン
回転数NEとから求められる基本燃料噴射量である。この
基本燃料噴射量TAUPを上述した酸素吸蔵量O2SUMのフィ
ードバック制御に関する補正係数KAFやその他の各種補
正係数α,βで補正することによって、最終的な燃料噴
射量TAUが決定される。上述した補正係数α,βの一例
としては、空燃比フィードバック係数FAFがよく知られ
ている。
【0053】この燃料噴射量TAUを制御することによっ
てエンジン1の吸入空燃比が制御される。ここでは、E
CU18は吸入空燃比を制御する吸入空燃比制御手段と
しても機能している。なお、上述した補正係数KAF以外
の各種補正係数α,βについての詳しい説明は省略す
る。このように補正係数KAFを用いて燃料噴射量を補正
することによって、三元触媒20の酸素吸蔵量O2SUMが
目標値O2SUMrefとなるようにフィードバック制御が行わ
れる。
【0054】本実施形態においては、ある時点での酸素
吸蔵量O2SUMを基準(O2SUM=0)に対して酸素吸蔵量O2SUM
の履歴を更新しているので、酸素吸蔵量O2SUMは、この
基準に対して正の値も負の値も取り得る。酸素吸蔵量O2
SUMを正側及び負側で更新させて、その上限値O2SUMmax
及び下限値O2SUMminの平均値近傍に目標値O2SUMrefを設
定するようにすると、この目標値O2SUMrefは基準(O2SUM
=0)近傍に設定されることになって大きく変動しない。
即ち、このように上限値O2SUMmaxと下限値O2SUMminを用
いて目標値O2SUMrefを設定する場合は、目標値O2SUMref
が大きく変動することがなくなり、酸素吸蔵量O2SUMや
目標値O2SUMrefなどを格納するECU18内のRAMの
ダイナミックレンジを確保しやすいという利点がある。
また、上限値O2SUMmaxと下限値O2SUMminを用いて目標値
O2SUMrefを設定することによって目標値O2SUMrefの変動
が小さくなれば、もし仮に酸素吸蔵量O2SUMの演算に異
常が生じた場合でも、その影響度を小さく(誤補正にな
る危険性を低く)することができるという利点もある。
【0055】上述した実施形態の空燃比制御装置によれ
ば、三元触媒20が実際に吸蔵したと推定される酸素吸
蔵量O2SUMの履歴に基づいて、上限値O2SUMmax及び下限
値O2SUMminを介して、酸素吸蔵量O2SUMの目標値O2SUMre
fを更新する。このため、この目標値O2SUMrefは常に最
適な値に維持され、三元触媒20に吸蔵される酸素量を
常に最適な範囲に維持でき、排気ガスの浄化を好適に行
うことができる。
【0056】また、上述した実施形態においては、下流
側空燃比センサ25によって検出した排気空燃比が所定
の空燃比となり、即ち、下流側空燃比センサ25の出力
がリーン側閥値Vlean又はリッチ側閥値Vrichとなり、酸
素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMmax又は下限値O2SUMminが
更新されたときに目標値O2SUMrefが更新される。下流側
空燃比センサ25の出力がリーン側閥値Vlean又はリッ
チ側閥値Vrichとなったということは、三元触媒20が
酸素を吸蔵しきっている、又は、放出しきっている状態
であると判断できる。このようなときに目標値O2SUMref
を更新しするので、目標値O2SUMrefをより正確に適正な
値に維持することができる。その結果、排気ガスの浄化
をより好適に行うことができる。
【0057】さらに、上述した実施形態においては、下
流側空燃比センサ25によって検出した排気空燃比が所
定範囲外の空燃比となり、即ち、下流側空燃比センサ2
5の出力がリーン側閥値Vlean未満である間又はリッチ
側閥値Vrichを超えている間は、酸素吸蔵量O2SUMの更新
が禁止される。下流側空燃比センサ25の出力がリーン
側閥値Vlean未満である間又はリッチ側閥値Vrichを超え
ている間は、三元触媒20が酸素を吸蔵しきってそれ以
上吸蔵し得ない場合、又は、放出しきってそれ以上放出
し得ない状態であると判断できる。このため、三元触媒
20の酸素吸蔵量O2SUMは変動し得ない状態にあるの
で、その更新を禁止し、酸素吸蔵量O2SUMの履歴をより
正確なものとすることができる。その結果、排気ガスの
浄化をより好適に行うことができる。
【0058】また、本実施形態においては、上述した上
限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminを用いて、三元触媒2
0の劣化判定も行う。三元触媒20が吸蔵し得る最大の
酸素量は、劣化するにつれて少なくなる。また、ある時
点での三元触媒20が吸蔵し得る最大の酸素量は、その
温度が高いほど多くなる。このため、図6に示されるよ
うにマップを作成し、ある温度下にある三元触媒20の
上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminから(O2SUMmax-O2SU
Mmin)を算出して図6中にプロットする。「正常」の領
域内にプロットされれば、三元触媒20はまだ劣化して
いないと判定でき、「劣化」の領域内にプロットされる
ようであれば、三元触媒20が吸蔵し得る最大の酸素量
が低下しているとして劣化と判定できる。
【0059】また、この三元触媒20の劣化判定は、下
流側空燃比センサ25によって検出した排気空燃比が所
定の空燃比となり、即ち、下流側空燃比センサ25の出
力がリーン側閥値Vlean又はリッチ側閥値Vrichとなり、
酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMmax又は下限値O2SUMmin
が更新されたときに行うことが好ましい。このようにす
れば、上限値O2SUMmax又は下限値O2SUMminが最新の値に
更新されたときに三元触媒の劣化判定を行うことになる
ため、より正確にその判定を行うことができる。
【0060】さらに、三元触媒20が吸蔵し得る酸素量
は、上述したように三元触媒20の温度に依存するの
で、上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminも三元触媒20
の温度に依存するといえる。このため、三元触媒20の
劣化を判定するに際しては、単に、上限値O2SUMmax及び
下限値O2SUMminから求めた(O2SUMmax-O2SUMmin)によっ
てのみではなく、さらに三元触媒20の温度も参照して
判定することが好ましい。三元触媒20の温度も参照し
て劣化判定を行えば、より正確に判定を行うことができ
る。
【0061】本発明の空燃比制御装置は、上述した実施
形態のものに限定されない。例えば、上述した実施形態
においては、ある時点での酸素吸蔵量O2SUMを基準(O2SU
M=0)に対して酸素吸蔵量O2SUMの履歴を更新した。この
ため、酸素吸蔵量O2SUMは、正の値も負の値も取り得る
ものであった。しかし、三元触媒20が酸素を放出しき
った状態を常に検出できるようであれば、この点を基準
(O2SUM=0)にしてもよい。この場合は、酸素吸蔵量O2SUM
は正の値のみをとることになり、上限値O2SUMmaxのみが
設定されることになる。このように、上限値O2SUMmaxと
下限値O2SUMminとで制御せずに、上限値O2SUMmax側のみ
で制御することも考え得る。
【0062】また、上述した実施形態においては、上流
側空燃比センサ24の出力から酸素吸蔵量O2SUMを更新
したが、これに限定されるものではない。例えば、吸入
空気量Gaと燃料噴射量TAUとから三元触媒20の酸素吸
蔵量O2SUMを更新するなど、他の手法によってもよい。
【0063】上述した図2に基づく説明は、上流側空燃
比センサ24及び下流側空燃比センサ25の双方が活性
化温度に達している場合である。しかし、これらの空燃
比センサ24,25は、たとえ電力の供給によって強制
的に昇温されたとしても、エンジン始動(イグニッショ
ンオン)後に活性化温度となるまでにはある程度の時間
がかかる。なお、空燃比センサ24,25の昇温は、上
述した電力による昇温のほか、排気ガスの温度によって
も昇温される。このため、排気通路上においてエンジン
1の燃焼室に近い(排気ガス温度の高い)上流側空燃比
センサ24の方が下流側空燃比センサ25よりも早期に
活性化温度に達する。
【0064】言い換えれば、イグニッションオン後に
は、空燃比センサ24,25の双方とも活性化温度に達
していない場合や、上流側空燃比センサ24は活性化温
度に達しているが下流側空燃比センサ25は活性化温度
に達していない場合も生じ得る。既に説明したように、
上流側空燃比センサ24が活性化していなければ酸素吸
蔵量O2SUMは推定できないし、下流側空燃比センサ25
が活性化していなければ、酸素吸蔵能力の変動に応じて
酸素吸蔵量O2SUMの更新停止や上限値O2SUMmax、下限値O
2SUMmin及び目標値O2SUMrefの更新を行うことができな
い。
【0065】そこで、イグニションオン後に空燃比セン
サ24,25がまだ活性化していない状態での制御つい
て以下にいくつかの具体例(例1、例2、例3)を説明
する。
【0066】(例1:図7)イグニッションオンからま
ず上流側空燃比センサ24が活性化し、次いで、下流側
空燃比センサ25が活性化するときの図2相当図を図7
に示す。まず、イグニッションオン直後には、空燃比セ
ンサ24,25は活性温度に達していないので、三元触
媒20の上流側でも下流側でも排気空燃比を検出するこ
とができない。このため、イグニッションオン直後に
は、排気空燃比に基づく燃料噴射量のフィードバック制
御は行われない(図7の期間A参照)。次いで、まず上
流側空燃比センサ24が活性化すると、上流側空燃比セ
ンサ24の出力結果に基づいて、酸素吸蔵量O2SUMが推
定・積算される。また、この酸素吸蔵量O2SUMの積算に
伴って、その上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminが更新
される(図7の期間B参照)。酸素吸蔵量O2SUM、上限
値O2SUMmax及び下限値O2SUMminの推定方法は、図2に基
づく説明時において説明したのとほぼ同様である。
【0067】ただし、この期間Bにおいては、まだ下流
側空燃比センサ25は活性化していないので、下流側空
燃比センサ25に基づいて酸素吸蔵量O2SUMの積算が停
止されることはない。下流側空燃比センサ25の検出結
果から三元触媒20の状態を反映させることはできない
が、上流側空燃比センサ24が活性化しているので酸素
吸蔵量O2SUMを推定することは可能である。そこで、こ
のように、下流側空燃比センサ25が活性化するのを待
たずに酸素吸蔵量O2SUMの推定を行っておくことによっ
て、下流側空燃比センサ25が活性化した時点で、上述
した目標値O2SUMrefを用いたより正確な制御が可能とな
る。
【0068】また、この期間Bにおいては、活性化して
正常な状態にある上流側空燃比センサ24の出力に基づ
いて、燃料噴射量のフィードバック制御が行われる。こ
こでは、上流側空燃比センサ24によって検出される排
気空燃比に基づいて、空燃比フィードバック補正係数FA
Fを用いた空燃比フィードバック補正制御と、その他の
補正制御(吸気温補正や暖機補正、始動後増量補正、高
負荷増量補正など)とが行われる。このように、上流側
空燃比センサ24の検出結果に基づく燃料噴射量のフィ
ードバック制御を行うことによって、期間Bでの排気ガ
ス中の有害物質を低減することができる。
【0069】そして、下流側空燃比センサ25が活性化
したところで、上述した目標値O2SUMrefを設定し、補正
係数KAFを用いて燃料噴射量のフィードバック制御を行
う(図7の期間C参照)。この時点で、酸素吸蔵量O2SU
Mとその上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminは積算・更
新されているので、より正確な目標値O2SUMrefを設定す
ることができ、三元触媒20の酸素吸蔵量O2SUMに基づ
いてより的確な燃料噴射量制御を行うことができる。な
お、このとき、補正係数KAFを用いた燃料噴射量のフィ
ードバック制御に、空燃比フィードバック補正係数FAF
やその他の補正係数を用いた燃料噴射量制御を併用する
ことも可能である。
【0070】図7に示される制御を、図8に示したフロ
ーチャートを用いて説明する。図8に示される制御ルー
チンは、所定時間(例えば数ミリ秒)毎に繰り返し実行
される。なお、イグニッションオン時には既に説明した
リッチフラグXrich及びリーンフラグXleanは双方ともオ
フにセットされる。そして、リッチフラグXrich及びリ
ーンフラグXleanは、下流側空燃比センサ25が活性化
し、その検出結果によって変更されるまではオフを維持
する。即ち、図4に示すルーチンは、下流側空燃比セン
サ25の活性化後に実行される。
【0071】まず、上流側空燃比センサ24が正常であ
るか(活性化しているか)否かを判定する(ステップ4
00)。上流側空燃比センサ24が活性化していない場
合は、燃料噴射量のフィードバック制御は行われない
(ステップ460)。上流側空燃比センサ24が活性化
している場合は、その出力に基づいて酸素吸蔵量O2SUM
を積算・更新する(ステップ410)。これについて
は、図3に基づいて説明した通りである。なお、上述し
たように、下流側空燃比センサ25が活性化する以前に
は、リッチフラグXrich及びリーンフラグXleanは双方と
もオフであるため、酸素吸蔵量O2SUMの更新が停止され
ることはなく、常に積算・更新される。
【0072】次いで、積算された酸素吸蔵量O2SUMに基
づいて、その上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminが更新
される(ステップ420)。このとき、下流側空燃比セ
ンサ25が活性化していれば、図4に示されるルーチン
に従って上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminが更新され
るが、下流側空燃比センサ25が活性化していない場合
は、単純にイグニッションオン以降に酸素吸蔵量O2SUM
の最大値が上限値O2SUMmaxとされ、最小値が下限値O2SU
Mminとされる。
【0073】ステップ420の後、下流側空燃比センサ
25が正常であるか(活性化しているか)否かを判定す
る(ステップ430)。下流側空燃比センサ25が活性
化していれば、上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminから
目標値O2SUMrefを求め、これに基づく補正係数KAFを用
いた燃料噴射量のフィードバック制御を行う(ステップ
440)。上述したように、このとき、補正係数KAFを
用いたフィードバック制御以外の燃料噴射制御(空燃比
フィードバック補正制御などを含む)を併用してもよ
い。
【0074】しかし、下流側空燃比センサ25が活性化
していない場合、即ちステップ430が否定される場合
は、上流側空燃比センサ24の出力にのみ基づいて、燃
料噴射量のフィードバック制御が行われる(ステップ4
50)。ここでは、上流側空燃比センサ24の出力にの
み基づく燃料噴射量のフィードバック制御として、上流
側空燃比センサ24の出力から空燃比フィードバック補
正係数FAFを設定し、この空燃比フィードバック補正係
数FAFに基づく空燃比フィードバック制御を行ってい
る。なお、この場合も、他の燃料噴射量制御(暖機補正
など)を併用することが可能である。
【0075】上述した実施形態では、空燃比センサ2
4,25が活性である場合を正常な状態、不活性である
場合を正常でない状態の例として説明した。しかし、下
流側空燃比センサ25が故障しているような場合も、下
流側空燃比センサ25が正常でない場合であり、このよ
うな場合にも、上述した実施形態と同様の制御を行うこ
とができる。
【0076】このように、下流側空燃比センサ25が活
性化する以前から酸素吸蔵量O2SUMを積算・更新し、そ
の上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminを更新しておくこ
とによって、下流側空燃比センサ25が活性化状態にな
ったと同時に、より的確な目標値O2SUMrefを設定するこ
とができる。この結果、補正係数KAFを用いたフィード
バック制御の開始初期から、排気ガスの浄化をより好適
に行うことができる。また、下流側空燃比センサ25が
活性化する以前は、上流側空燃比センサ24の出力に基
づいて燃料噴射量のフィードバック制御が行なわれるの
で、補正係数KAFを用いたフィードバック制御が行われ
ていなくても、排気ガス中の有害物質を低減させること
ができる。
【0077】(例2:図9)イグニッションオンの後、
まず上流側空燃比センサ24が活性化し、次いで、下流
側空燃比センサ25が活性化するときの図2・図7相当
図を図9に示す。まず、イグニッションオン直後には、
空燃比センサ24,25は活性温度に達していないの
で、三元触媒20の上流側でも下流側でも排気空燃比を
検出することができない。このため、イグニッションオ
ン直後には、排気空燃比に基づく燃料噴射量のフィード
バック制御は行われない(図9の期間A参照)。その
後、まず上流側空燃比センサ24が活性化すると、上流
側空燃比センサ24の出力結果に基づいて、酸素吸蔵量
O2SUMが推定・積算が開始される(図9の期間B前半の
期間b1参照)。酸素吸蔵量O2SUMの推定方法は、図2
に基づく説明時において説明したのと同様である。
【0078】その後、下流側空燃比センサ25が活性化
し、酸素吸蔵量O2SUMが推定・積算時に、下流側空燃比
センサ25の出力がリーン側閥値Vlean未満となった
り、リッチ側閥値Vrichを超えたときは、酸素吸蔵量O2S
UMの更新は停止される。この酸素吸蔵量O2SUMの更新停
止については、図2に基づく説明時において既に述べた
とおりである。
【0079】そして、下流側空燃比センサ25の出力が
リーン側閥値Vlean未満となったときには、酸素吸蔵量O
2SUMの更新が停止されるだけでなく、酸素吸蔵量O2SUM
の上限値O2SUMmaxが新規に設定される。また、下流側空
燃比センサ25の出力がリッチ側閥値Vrichを超えたと
きには、酸素吸蔵量O2SUMの更新が停止されるだけでな
く、酸素吸蔵量O2SUMの下限値O2SUMminも新規に設定さ
れる。図9に示した例では、まず最初に下流側空燃比セ
ンサ25の出力がリッチ側閥値Vrichとなり、酸素吸蔵
量O2SUMの上限値O2SUMmaxが設定され、その後に下流側
空燃比センサ25の出力がリーン側閥値Vleanとなり、
酸素吸蔵量O2SUMの下限値O2SUMminが設定されている。
【0080】ここで、酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMma
x及び下限値O2SUMminの双方が揃わないと、酸素吸蔵量O
2SUMの目標値O2SUMrefが設定できないので、上限値O2SU
Mmax及び下限値O2SUMminの双方が設定される以前(図9
の期間B)は、上流側空燃比センサ24による吸入空燃
比のフィードバック制御が行われる。このため、期間B
の後半の期間b2のように、上流側空燃比センサ24及
び下流側空燃比センサ25の双方が活性化していても、
上流側空燃比センサ24と下流側空燃比センサ25の双
方を用いた吸入空燃比のフィードバック制御(即ち、目
標値O2SUMrefに基づいて設定される燃料噴射量の補正係
数KAFを用いたフィードバック制御)が行われない状態
が存在する。
【0081】期間Bにおいては、上流側空燃比センサ2
4によって検出される排気空燃比に基づいて、空燃比フ
ィードバック補正係数FAFを用いた空燃比フィードバッ
ク補正制御と、その他の補正制御(吸気温補正や暖機補
正、始動後増量補正、高負荷増量補正など)とが行われ
る。このように、上流側空燃比センサ24の検出結果に
基づく燃料噴射量のフィードバック制御を行うことによ
って、期間Bでの排気ガス中の有害物質を低減すること
ができる。
【0082】そして、酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMma
x及び下限値O2SUMminの双方が設定されると同時に目標
値O2SUMrefが設定される。なお、上限値O2SUMmax及び下
限値O2SUMminに基づいて目標値O2SUMrefを設定する手法
は、上述した図2に基づく説明時に述べたのと同様の手
法による。目標値O2SUMrefが設定されてからは、目標値
O2SUMrefに基づいて設定される燃料噴射量の補正係数KA
Fを用いたフィードバック制御に移行する(図9の期間
C参照)。なお、このとき、補正係数KAFを用いた燃料
噴射量のフィードバック制御に、空燃比フィードバック
補正係数FAFやその他の補正係数を用いた燃料噴射量制
御を併用することも可能である。
【0083】下流側空燃比センサ25の出力がリーン側
閥値Vlean未満であるときは、三元触媒20がその酸素
吸蔵能力の限界まで酸素を吸蔵している状態であること
は既に説明した。反対に、下流側空燃比センサ25の出
力がリッチ側閥値Vrichを超えているときは、三元触媒
20が酸素を全く吸蔵していない(放出しきっている)
状態であることも既に説明した。即ち、このようなとき
に酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMmi
nを新規に設定することによって、上限値O2SUMmax及び
下限値O2SUMminを非常に正確に設定することができる。
【0084】この例2のような制御を行うと、例1のよ
うな制御よりも、より正確に目標値O2SUMref、即ち、補
正係数KAFに基づく吸入空燃比のフィードバック制御を
開始することができる。しかし、補正係数KAFに基づく
吸入空燃比のフィードバック制御を開始自体は、例1の
制御よりも遅くなると思われる。そこで、より正確、か
つより早期に目標値O2SUMref、即ち、補正係数KAFに基
づく吸入空燃比のフィードバック制御を開始するため
に、次に説明する例3のような手法も考えられる。
【0085】(例3:図10)イグニッションオンの
後、まず上流側空燃比センサ24が活性化し、次いで、
下流側空燃比センサ25が活性化するときの図2・図7
・図9相当図を図10に示す。この例では、下流側空燃
比センサ25の出力が、リーン側閥値Vlean未満となる
かリッチ側閥値Vrichを超えるまで、即ち、酸素吸蔵量O
2SUMの上限値O2SUMmax又は下限値O2SUMminの何れか一方
が新規に設定されるまでは、上述した図9に示す例2と
全く同様である。このため、それまでの詳しい説明は省
略する。
【0086】本例では、下流側空燃比センサ25の出力
に基づいて酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMmax又は下限
値O2SUMminの何れか一方が新規に設定された時点で、そ
の新規に設定された値から他方の値を学習値に基づいて
決定する。図10においては、下流側空燃比センサ25
の出力に基づいて酸素吸蔵量O2SUMの下限値O2SUMminが
新規に設定され、これと同時に、新規に設定された下限
値O2SUMminから上限値O2SUMmaxを推定して新規に設定し
ている。
【0087】ここで、下限値O2SUMminから上限値O2SUMm
axを推定する際には、ECU18に記憶された学習値が
用いられる。この学習値は、それ以前の下限値O2SUMmin
及び上限値O2SUMmaxの変化を学習して逐次記憶・更新し
ている値であり、ここでは、三元触媒20の温度と(上
限値O2SUMmax−下限値O2SUMmin)との関係のマップとし
てECU18内に記憶された値を用いている。即ち、E
CU18は、酸素吸蔵能力学習手段としても機能する。
三元触媒20の酸素吸蔵能力(即ち、上限値O2SUMmaxと
下限値O2SUMminとの差分:以下、ΔO2SUMとも言うこと
とする)は常に変化しているが、ここでは、三元触媒2
0の温度と関係付け、三元触媒20がある温度のときの
酸素吸蔵能力を学習値としてECU18内に記憶・更新
している。学習値の更新時には、なまし処理などが行わ
れても良い。この学習値は、バックアップRAM内に記
憶され、イグニッションがオフにされても保持される。
【0088】図10に示す場合を例に具体的に説明す
る。まず、下流側空燃比センサ25の出力が、リッチ側
閥値Vrichを超えた時点で、酸素吸蔵量O2SUMから、その
下限値O2SUMminが新規に設定される。このとき、触媒温
度センサ21によって三元触媒20の温度を検出し、E
CU18内に保存されている学習値のマップ内から、検
出された三元触媒20の温度に対応する酸素吸蔵能力Δ
O2SUMを取り出す。そして、O2SUMmin+ΔO2SUM=O2SUMmax
として、上限値O2SUMmaxを設定する。
【0089】このようにすると、下限値O2SUMmin及び上
限値O2SUMmaxがほぼ同時に設定されるので、目標値O2SU
Mrefもほぼ同時に設定される。目標値O2SUMrefが設定さ
れた後は、目標値O2SUMrefに基づいて設定される燃料噴
射量の補正係数KAFを用いたフィードバック制御に移行
する(図10の期間C参照)。なお、このとき、補正係
数KAFを用いた燃料噴射量のフィードバック制御に、空
燃比フィードバック補正係数FAFやその他の補正係数を
用いた燃料噴射量制御を併用することも可能である。
【0090】さらにその後に、下流側空燃比センサ25
の出力がリーン側閥値Vlean未満となったときには、上
限値O2SUMmaxは、今度は下限値O2SUM及び学習値から求
められるのではなく、積算・更新されている酸素吸蔵量
O2SUMに基づいて更新される。なお、上限値O2SUMmax及
び下限値O2SUMの双方が設定されてから以降は、その差
分がΔO2SUMが三元触媒20の温度を関連付けられて、
逐次学習値として更新保存される。
【0091】この例3のような制御を行うと、上限値O2
SUMmax又は下限値O2SUMminの何れか一方が、下流側空燃
比センサ25の出力に基づいて正確に設定される。そし
て、その設定された値と学習値とに基づいて、他方の値
も正確に設定することができる。学習値は、それ以前の
酸素吸蔵能力に基づいて逐次学習しているものなので、
一方の値を正確に設定できれば、他方の値を正確に設定
することができる。このようにすることによって、より
正確、かつ、より早期に、目標値O2SUMref、即ち、補正
係数KAFに基づく吸入空燃比のフィードバック制御を開
始することができる。
【0092】次に、下流側空燃比センサ25の応答遅れ
を考慮する場合について説明する。下流側空燃比センサ
25としてどのようなセンサを選択するか、あるいは、
上流側空燃比センサ24及び下流側空燃比センサ25の
設置状態にもよるが、下流側空燃比センサ25の検出結
果に、応答遅れが生じる場合も懸念される。ここでは、
このような応答遅れが生じる場合の応答遅れを考慮した
制御について説明する。
【0093】下流側空燃比センサ25の応答遅れとして
は、以下の二つの事象が主として考えられる。一つは、
下流側空燃比センサ25自体の応答遅れである。ここで
は下流側空燃比センサ25として酸素センサを用いてい
るが、排気ガスが下流側空燃比センサ25の検出部に来
たときに、排気ガス中の酸素量に基づいて検出結果を出
力するが、この間に僅かではあるが時間がかかる。ここ
で言う応答遅れとは、このタイムラグのことである。
【0094】もう一つは、既に説明した上述の制御は、
上流側空燃比センサ24の出力に基づいて酸素吸蔵量O2
SUMを積算・更新するが、酸素吸蔵量O2SUMの更新停止や
上下限値O2SUMmax、O2SUMminの更新は下流側空燃比セン
サ25の出力に基づいている。しかし、実際には、上流
側空燃比センサ24によって検出された排気ガスは、三
元触媒20を通過し、下流側空燃比センサ25に達した
ところで下流側空燃比センサ25によって検出される。
即ち、上流側空燃比センサ24から下流側空燃比センサ
25に排気ガスが移動するのに僅かではあるが時間がか
かり、これが上流側空燃比センサ24に対する下流側空
燃比センサ25の応答遅れとして作用してしまう。
【0095】このような下流側空燃比センサ25の応答
遅れを考慮した制御を行うことによって、酸素吸蔵能力
(上限値O2SUMmaxと下限値O2SUMminとの差)をより正確
に推定することができ、排気ガスの浄化を好適に行うこ
とができる。以下に、上述した応答遅れを考慮した制御
例として、いわゆる「なまし処理」を用いた例と「ディ
レイ処理」とを用いた例との二例を説明する。
【0096】まず、いわゆる「なまし処理」を用いた例
について説明する。「なまし処理」とは、実際に検出さ
れた値をそのまま適用せず、その前回値を用いて影響度
を低減させ(なまし)た後に今回値として適用する処理
である。ここでは、この「なまし処理」を酸素吸蔵能力
の推定に用いて、応答遅れによる影響を低減させる。本
制御を行った場合の図2相当図を図11に示す。
【0097】図11に示されるように、本実施形態にお
いては、上述した実施形態と同様に、上流側空燃比セン
サ24の出力に基づいて酸素の吸蔵・放出量O2ADを求
め、これを積算することによって、まず酸素吸蔵量O2SU
Mrawを生成する。ここでは、この酸素吸蔵量O2SUMrawに
対しては、下流側空燃比センサ25の出力に応じた更新
停止は行わない。そして、この酸素吸蔵量O2SUMrawに対
して、なまし処理と下流側空燃比センサ25の出力に応
じた更新停止とを適用して、酸素吸蔵量O2SUMを生成す
る。
【0098】ここでは、なまし処理は、以下の式を用い
て行っている。(今回のO2SUM)=(前回のO2SUM)+(O2SUMra
w-前回のO2SUM)/(なまし係数)。なお、なまし係数は、
1を超える数である。例として適当な数値を入れて考え
てみる。前回のO2SUMが10、O2SUMrawが20、なまし係数
が2である場合を考える。なまし処理を行わないでO2SUM
rawをそのまま適用してしまうと20であるが、上述した
式を用いて計算すると今回のO2SUMは15になり、なまし
処理されることになる。
【0099】なお、同時に下流側空燃比センサ25の出
力に基づいて、推定される酸素吸蔵量O2SUMの更新停止
も行われる。また、このなまし処理の行われた酸素吸蔵
量O2SUMに基づいて、上限値O2SUMmax、下限値O2SUMmin
及び目標値O2SUMrefが決定・更新される。そして、この
目標値O2SUMrefから補正係数KAFを設定して、燃料噴射
量のフィードバック制御を行う。
【0100】上述した制御を、図12に示すフローチャ
ートを用いて説明する。まず、上流側空燃比センサ24
の検出結果に基づいて、吸蔵・放出量O2ADを算出する
(ステップ500)。次いで、算出した吸蔵・放出量O2
ADを積算して、酸素吸蔵量O2SUMrawを生成する(ステッ
プ510)。さらに、この酸素吸蔵量O2SUMrawに対して
なまし処理を行って、酸素吸蔵量O2SUMを生成する(ス
テップ520)。ここで、酸素吸蔵量O2SUMの生成に際
し、下流側空燃比センサ25の出力結果に応じて更新停
止を行うことは上に述べた通りである。生成された酸素
吸蔵量O2SUMに基づく上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMmi
nの更新、並びに、これらから求められる目標値O2SUMre
f及び補正係数KAFに基づく燃料噴射量のフィードバック
制御については、図2に基づく説明と同様であるので、
詳しい説明は省略する。
【0101】なお、この「なまし処理」を用いた制御で
は、酸素吸蔵量O2SUMのゲイン幅が小さくなるという特
性がある。しかし、目標値O2SUMrefは、酸素吸蔵量O2SU
Mの上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminの平均値近傍に
設定されるため、酸素吸蔵量O2SUMのゲイン幅が小さく
なることにはほとんど影響を受けない。
【0102】次に、「ディレイ処理」を用いた例につい
て説明する。「ディレイ処理」とは、実際に検出された
値をそのまま直ぐに適用せず、一定の時間をおいてから
適用する処理である。ここでは、この「ディレイ処理」
を酸素吸蔵能力の推定に用いて、応答遅れによる影響を
低減させる。本制御を行った場合の図2相当図を、図1
3に示す。
【0103】図13に示されるように、図11に示され
る場合と同様に、上流側空燃比センサ24の出力に基づ
いて酸素の吸蔵・放出量O2ADを求め、これを積算するこ
とによって、まず酸素吸蔵量O2SUMrawを生成する。ここ
でも、この酸素吸蔵量O2SUMrawに対しては、下流側空燃
比センサ25の出力に応じた更新停止は行わない。そし
て、この酸素吸蔵量O2SUMrawをECU18内のRAMな
どに一旦格納する。そして、排気ガスが上流側空燃比セ
ンサ24から下流側空燃比センサ25まで移動するのに
対応する時間後に、再度RAMから格納してあった酸素
吸蔵量O2SUMrawを取り出して、下流側空燃比センサ25
の出力に応じた更新停止を適用して、酸素吸蔵量O2SUM
を生成する。
【0104】このとき、下流側空燃比センサ25の出力
に応じた更新停止終了時には、更新停止終了時の酸素吸
蔵量O2SUMとディレイ処理によって新たに取り出された
酸素吸蔵量O2SUMrawとが一致しない場合がある。この場
合は、取り出した酸素吸蔵量O2SUMrawが更新停止中の酸
素吸蔵量O2SUM以下であれば、取り出した酸素吸蔵量O2S
UMrawを新しい酸素吸蔵量O2SUMとして更新する。取り出
した酸素吸蔵量O2SUMrawが更新停止中の酸素吸蔵量O2SU
Mよりも大きければ、取り出した酸素吸蔵量O2SUMrawが
更新停止中の酸素吸蔵量O2SUMとなるまで、酸素吸蔵量O
2SUMは更新停止中の値を維持する。このように生成され
た酸素吸蔵量O2SUMの基づいて、上限値O2SUMmax、下限
値O2SUMmin及び目標値O2SUMrefが決定・更新される。そ
して、この目標値O2SUMrefから補正係数KAFを設定し
て、燃料噴射量のフィードバック制御を行う。
【0105】上述した制御を、図14に示すフローチャ
ートを用いて説明する。まず、上流側空燃比センサ24
の検出結果に基づいて、吸蔵・放出量O2ADを算出する
(ステップ600)。次いで、算出した吸蔵・放出量O2
ADを積算して、酸素吸蔵量O2SUMrawを生成する(ステッ
プ610)。生成した酸素吸蔵量O2SUMrawをRAMに一
旦格納し、所定時間後に再度取り出すディレイ処理を行
って、酸素吸蔵量O2SUMを生成する(ステップ62
0)。ここで、酸素吸蔵量O2SUMの生成に際し、下流側
空燃比センサ25の出力結果に応じた更新停止を行うこ
とは上に述べた通りである。生成された酸素吸蔵量O2SU
Mに基づく上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminの更新、
並びに、これらから求められる目標値O2SUMref及び補正
係数KAFに基づく燃料噴射量のフィードバック制御につ
いては、図2に基づく説明と同様であるので、詳しい説
明は省略する。
【0106】なお、下流側空燃比センサ25の応答遅れ
を考慮した上述した二つの実施形態では、なまし処理や
ディレイ処理を行った後の酸素吸蔵量O2SUMから目標値O
2SUMref及び補正係数KAFが設定され、これに基づいて燃
料噴射量のフィードバック制御が行われた。しかし、上
限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminの更新にはなまし処理
やディレイ処理を行った後の酸素吸蔵量O2SUMを用い、
燃料噴射量のフィードバック制御のための補正量(補正
係数KAFなど)の決定に際しては、なまし処理やディレ
イ処理を行う前の酸素吸蔵量O2SUMrawを用いてもよい。
このようにすれば、三元触媒20の変動する酸素吸蔵能
力(上限値O2SUMmax及び下限値O2SUMminの差)をより正
確に推定しつつ、直接的かつ最新の排気ガス状態に基づ
いて燃料噴射量のフィードバック制御を行うことができ
る。
【0107】また、上述した実施形態では、なまし処理
とディレイ処理とを独立して適用したが、これらを併用
することも可能である。このように、下流側空燃比セン
サ25の応答遅れを考慮することによって、三元触媒2
0の変動する酸素吸蔵能力をより正確に推定することが
でき、排気ガスの浄化を好適に行うことができる。
【0108】
【発明の効果】本発明の内燃機関の空燃比制御装置は、
触媒と、触媒に吸蔵されている酸素吸蔵量を推定する吸
蔵量推定手段と、この酸素吸蔵量の目標値を設定する目
標値設定手段と、酸素吸蔵量が設定された目標値となる
ように吸入空燃比を制御する吸入空燃比制御手段とを備
え、目標値設定手段が吸蔵量推定手段によって推定され
た酸素吸蔵量の履歴に基づいて酸素吸蔵量の目標値を更
新する。このため、本発明の内燃機関の空燃比制御装置
によれば、触媒によって実際に吸蔵した酸素吸蔵量の履
歴に基づいて、酸素吸蔵量の目標値を更新するので、酸
素吸蔵量の目標値が常に最適な値に維持され、触媒に吸
蔵される酸素吸蔵量を常に最適な範囲に維持できる。こ
の結果、排気ガスの浄化を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空燃比制御装置の一実施形態を有する
内燃機関を示す断面図である。
【図2】三元触媒の酸素吸蔵量O2SUMと、その目標値O2S
UMref、及び、下流側空燃比センサ出力の様子を示すタ
イミングチャートである。
【図3】酸素吸蔵量O2SUMの更新制御のフローチャート
である。
【図4】酸素吸蔵量O2SUMの上限値O2SUMmax及び下限値O
2SUMminの更新制御を示すフローチャートである。
【図5】酸素吸蔵量O2SUMの目標値O2SUMrefの更新制御
及び燃料噴射量の補正係数KAFの算出に関すフローチャ
ートである。
【図6】三元触媒の劣化判定に用いるマップである。
【図7】イグニションオン後の図2相当図(例1)であ
る。
【図8】上・下流側酸素センサの状態に基づく空燃比フ
ィードバック制御を示すフローチャートである。
【図9】イグニションオン後の図2相当図(例1)であ
る。
【図10】イグニションオン後の図2相当図(例1)で
ある。
【図11】なまし処理を行った場合の図2相当図であ
る。
【図12】なまし処理を行う場合の酸素吸蔵量推定制御
のフローチャートである。
【図13】ディレイ処理を行った場合の図2相当図であ
る。
【図14】ディレイ処理を行う場合の酸素吸蔵量推定制
御のフローチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、18…ECU(吸蔵量推定
手段、目標値設定手段、吸入空燃比制御手段、触媒劣化
判定手段、吸蔵能力推定手段、酸素吸蔵能力学習手
段)、20…三元触媒(触媒)、21…触媒温度センサ
(触媒温度検出手段)、24…上流側空燃比センサ(吸
蔵量推定手段)、24…上流側空燃比センサ、25…下
流側空燃比センサ(下流側空燃比検出手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 314 F02D 45/00 314R (72)発明者 加古 純一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 DA10 DA25 DA27 DA30 EA04 EA11 EB06 EB08 EB16 EB17 EB25 EC03 FA07 FA10 FA20 FA25 FA27 FA30 FA33 FA38 3G091 AB05 AB06 BA01 BA14 BA27 BA33 CB02 DA10 DB01 DB06 DB10 DC02 DC03 EA01 EA05 EA07 EA16 EA18 EA34 FB09 FC01 HA36 HA37 3G301 HA14 JA13 JA21 JB01 JB09 MA01 MA11 NA01 NA04 NA08 NB02 NB11 NB15 NC01 NC02 ND02 ND13 ND22 NE17 NE19 NE22 PA01Z PA11Z PA14Z PC08Z PD03A PD09A PD09Z PD12B PD12Z PE01Z PE03Z PE08Z PF03Z PF16Z

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気通路に配設された酸素吸
    蔵作用を有する触媒と、 前記触媒に吸蔵されている酸素吸蔵量を推定する吸蔵量
    推定手段と、 前記触媒の酸素吸蔵量の目標値を設定する目標値設定手
    段と、 前記吸蔵量推定手段によって推定される酸素吸蔵量が前
    記目標値設定手段によって設定された目標値となるよう
    に吸入空燃比を制御する吸入空燃比制御手段とを備えて
    おり、 前記目標値設定手段が、前記吸蔵量推定手段によって推
    定された酸素吸蔵量の履歴に基づいて、酸素吸蔵量の目
    標値を設定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記触媒の下流側の排気空燃比を検出す
    る下流側空燃比検出手段をさらに備えており、 前記下流側空燃比検出手段によって検出された排気空燃
    比が所定の空燃比となったときに前記吸蔵量推定手段に
    よって推定された酸素吸蔵量に基づいて、前記目標値設
    定手段が前記目標値を設定することを特徴とする請求項
    1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】 前記触媒の下流側の排気空燃比を検出す
    る下流側空燃比検出手段をさらに備えており、 前記下流側空燃比検出手段によって検出された排気空燃
    比が所定範囲外となった場合は、前記吸蔵量推定手段に
    よる酸素吸蔵量の推定を禁止することを特徴とする請求
    項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】 前記吸蔵量推定手段は、前記触媒に吸蔵
    されている酸素吸蔵量を、ある時点での酸素吸蔵量を基
    準にした上限値及び下限値の差分として把握し、 前記目標値設定手段は、前記下流側空燃比検出手段の検
    出結果に基づいて前記触媒の酸素吸蔵量の上限値及び下
    限値を設定し、設定した上限値及び下限値から前記目標
    値を設定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機
    関の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】 前記吸蔵量推定手段は、前記下流側空燃
    比検出手段によって検出された排気空燃比がある所定の
    空燃比となったときに前記上限値を設定し、また、前記
    下流側空燃比検出手段によって検出された排気空燃比が
    他の所定の空燃比となったときに前記下限値を設定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の空燃比制
    御装置。
  6. 【請求項6】 前記触媒の酸素吸蔵能力を学習値として
    記憶・更新する酸素吸蔵能力学習手段をさらに備え、 前記吸蔵量推定手段は、前記下流側空燃比検出手段によ
    って検出された排気空燃比がある所定の空燃比となった
    ときに前記上限値又は前記下限値の何れか一方を設定す
    ると共に、設定された前記上限値又は前記下限値の何れ
    か一方と前記触媒の状態と前記酸素吸蔵能力学習手段に
    よって学習された学習値とに基づいて他方を設定するこ
    とを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3の何れか一項に記載の内燃
    機関の空燃比制御装置によって前記触媒の劣化を判定す
    る内燃機関の触媒劣化判定装置であって、 前記触媒の下流側の排気空燃比を検出する下流側空燃比
    検出手段と、前記触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手
    段とをさらに備えており、 前記下流側空燃比検出手段によって検出された排気空燃
    比が所定の空燃比となったときに前記吸蔵量推定手段に
    よって推定された酸素吸蔵量に基づいて、前記触媒劣化
    判定手段が前記触媒の劣化を判定することを特徴とする
    内燃機関の触媒劣化判定装置。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置によって前記触媒の劣化を判定する内燃機関の触媒
    劣化判定装置であって、 前記触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段と、前記触
    媒の温度を検出する触媒温度検出手段とをさらに備えて
    おり、 前記触媒劣化判定手段が、前記吸蔵量推定手段によって
    推定された酸素吸蔵量の履歴と前記触媒温度検出手段に
    よって検出された前記触媒の温度とから、前記触媒の劣
    化を判定することを特徴とする内燃機関の触媒劣化判定
    装置。
  9. 【請求項9】 前記触媒の上流側の排気空燃比を検出す
    る上流側空燃比検出手段と、前記触媒の下流側の排気空
    燃比を検出する下流側空燃比検出手段とをさらに備え、 前記上流側空燃比検出手段の検出結果が正常で、かつ、
    前記下流側空燃比検出手段の検出結果が正常でない場合
    には、前記上流側空燃比検出手段の検出結果に基づいて
    前記内燃機関の燃料噴射量のフィードバック制御を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制
    御装置。
  10. 【請求項10】 前記上流側空燃比検出手段の検出結果
    が正常で、かつ、前記下流側空燃比検出手段の検出結果
    が正常でない場合でも、前記吸蔵量推定手段が、前記上
    流側空燃比検出手段の検出結果に基づいて前記触媒に吸
    蔵されている酸素吸蔵量を推定することを特徴とする請
    求項9に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  11. 【請求項11】 前記触媒の下流側の排気空燃比を検出
    する下流側空燃比検出手段と、前記触媒の酸素吸蔵能力
    を推定する吸蔵能力推定手段とをさらに備え、 前記吸蔵能力推定手段は、前記下流側空燃比検出手段の
    応答遅れを考慮しつつ、前記下流側空燃比検出手段の検
    出結果に基づいて前記触媒の酸素吸蔵能力を更新するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置。
  12. 【請求項12】 前記触媒の上流側の排気空燃比を検出
    する上流側空燃比検出手段をさらに備え、 前記吸蔵量推定手段は、前記上流側空燃比検出手段の検
    出結果に基づいて前記触媒に吸蔵される酸素量を積算す
    る際になまし処理を行いつつ前記触媒の酸素吸蔵量を推
    定し、 前記吸蔵能力推定手段は、前記吸蔵量推定手段によって
    なまし処理された酸素吸蔵量と前記下流側空燃比検出手
    段の検出結果とに基づいて前記触媒の酸素吸蔵能力を更
    新することによって、前記下流側空燃比検出手段の応答
    遅れを考慮することを特徴とする請求項11に記載の内
    燃機関の空燃比制御装置。
  13. 【請求項13】 前記触媒の上流側の排気空燃比を検出
    する上流側空燃比検出手段をさらに備え、 前記吸蔵量推定手段は、前記上流側空燃比検出手段の検
    出結果に基づいて前記触媒に吸蔵される酸素量を積算す
    る際に、前記上流側空燃比検出手段から前記下流側空燃
    比検出手段への排気ガスの移動時間に相当するディレイ
    処理を行いつつ前記触媒の酸素吸蔵量を推定し、 前記吸蔵能力推定手段は、前記吸蔵量推定手段によって
    ディレイ処理された酸素吸蔵量と前記下流側空燃比検出
    手段の検出結果とに基づいて前記触媒の酸素吸蔵能力を
    更新することによって、前記下流側空燃比検出手段の応
    答遅れを考慮することを特徴とする請求項11に記載の
    内燃機関の空燃比制御装置。
  14. 【請求項14】 前記下流側空燃比検出手段の応答遅れ
    が、前記下流側空燃比検出手段自体の特性に起因するも
    の、前記下流側空燃比検出手段までの排気ガスの移動遅
    れに起因するもの、又は、これらの双方に起因するもの
    であることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の
    空燃比制御装置。
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