JP2001098262A - 抗酸化物及び抗酸化物組成物並びにその製造方法 - Google Patents

抗酸化物及び抗酸化物組成物並びにその製造方法

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JP2001098262A
JP2001098262A JP27751099A JP27751099A JP2001098262A JP 2001098262 A JP2001098262 A JP 2001098262A JP 27751099 A JP27751099 A JP 27751099A JP 27751099 A JP27751099 A JP 27751099A JP 2001098262 A JP2001098262 A JP 2001098262A
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antioxidant
bamboo
compound
solvent
extraction
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JP27751099A
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Nobuji Nakatani
延二 中谷
Yasue Kikuzaki
泰枝 菊崎
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Original Assignee
TAKEKKUSU TECHNO KK
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  • Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な抗酸化物及び抗酸化物組成物を提供す
る。 【構成】 竹、少なくとも竹茹含む部分を、予め塩化メ
チレン等の非水系溶媒で抽出処理をした残渣から、アセ
トン、エタノールなどの水系溶媒を用いて、次の構造式
で示されるヘディオトールC(化合物1)、ヘディオトー
ルD(化合物2)、エリスロ−ブドゥレノールC(化合物
3)、ヘディオティソールA(化合物4)、ヘディオティ
ソールB(化合物5)を単離し、若しくはこれらからなる
群から選ばれた少なくとも1種若しくは2種以上含む抗
酸化物組成物を得る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として食品等の
各種物品に適用可能な抗酸化物及びこれらを含有する抗
酸化組成物並びにその製造方法に関する。より具体的に
言うと、竹茹から得られた新たな抗酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】竹は、従来から生活用品の材料として親
しまれているが、これを食用に用いることは、タケノコ
を食材の一つとして用いられている他は、漢方薬として
用いられている程度である。また、漢方薬としての利用
も、人体に対する効用は十分に解明されておらず、今日
においても、竹が如何なる成分を有するか否か、竹の有
する成分が如何なる用途に有用であるか等について明ら
かにされていないのが現状である。
【0003】他方、今日の食品加工、流通の現場におい
ては、α−トコフェロール等の各種抗酸化物を食品に添
加したり、噴霧したりして、食品の鮮度を保持する試み
がなされているものの、α−トコフェロールでは、未だ
充分な鮮度保持効果が得られておらず、より高い性能を
示す抗酸化物(抗酸化剤)が望まれていた。
【0004】このような状況の下、本願発明者らは、竹
を素材にして鋭意研究した結果、竹の抽出成分が抗酸化
作用を示すことを見出し、特許出願を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、さら
に鋭意研究を続けた結果、竹の抽出成分中に新たな抗酸
化作用を示す化合物を見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、抗酸化
物用途としてのヘディオトールC又は抗酸化物用途とし
てのヘディオトールD、抗酸化物用途としてのエリスロ
−ブドゥレノールC、抗酸化物用途としてのヘディオテ
ィソールA、さらに抗酸化物用途としてのヘディオティ
ソールBが提供される。
【0007】また、本発明に係る抗酸化物組成物は、ヘ
ディオトールC、ヘディオトールD、エリスロ−ブドゥ
レノールC、ヘディオティソールA、ヘディオティソー
ルBからなる群から選択されたいずれか1種若しくは2
種以上を含むことを特徴としている。
【0008】この抗酸化物組成物は、例えば、竹若しく
は竹茹から抽出することにより得られるものであり、よ
り具体的にはエタノール、メタノール、アセトン、酢酸
エチル、水などの水系溶媒を用いて抽出することにより
得られる。
【0009】本発明に係る抗酸化物組成物の製造方法
は、竹若しくは竹茹から、塩化メチレンなどの非水系溶
媒を用いて抽出残渣を得た後、請求項7若しくは8記載
の抗酸化物組成物を得ることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る抗酸化物用途のヘデ
ィオトールC、ヘディオトールD、エリスロ−ブドゥレ
ノールC、ヘディオティソールA、ヘディオティソール
Bはそれぞれ以下に示す構造式で表される。これらの5
つの化合物は、α−トコフェロールとほぼ同等の抗酸化
活性を有するものであり、以下に述べるような方法によ
り、竹、好ましくは竹茹から効率よく抽出されるもので
ある。
【0011】
【化1】
【0012】これら5つの化学名を以下に示す。 化合物1:2-{4-[(1,2-erythro)-2-hydroxy-2-(4-hydro
xy-3-methoxyphenyl)-1-(hydroxymethyl)ethoxy]-3,5-d
imethoxyphenyl}-6-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)furof
uran 化合物2:2-{4-[(1,2-threo)-2-hydroxy-2-(4-hydroxy
-3-methoxyphenyl)-1-(hydroxymethyl)ethoxy]-3,5-dim
ethoxyphenyl}-6-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)furofur
an 化合物3:2-{4-[(1,2-erythro)-2-hydroxy-2-(4-hydro
xy-3-methoxyphenyl)-1-(hydroxymethyl)ethoxy]-3,5-d
imethoxyphenyl}-6-(4-hydroxy-3,5-dimethoxyphenyl)f
urofuran 化合物4:2,6-di{4-[(1,2-erythro)-2-hydroxy-2-(4-h
ydroxy-3-methoxyphenyl)-1-(hydroxymethyl)ethoxy]-
3,5-dimethoxyphenyl}furofuran 化合物5:2-{4-[(1,2-erythro)-2-hydroxy-2-(4-hydro
xy-3-methoxyphenyl)-1-(hydroxymethyl)ethoxy]-3,5-d
imethoxyphenyl}-6-{4-[(1,2-threo)-2-hydroxy-2-(4-h
ydroxy-3-methoxyphenyl)-1-(hydroxymethyl)ethoxy]-
3,5-dimethoxyphenyl}furofuran
【0013】本発明に用いることのできる竹としては、
日本やアジア地域に広く分布している種々の竹を利用し
得るが、中でも、孟宗竹、真竹、破竹などが好ましく用
いられる。
【0014】また竹全体を用いて抽出することが可能で
あるが、抽出作業の困難さを考慮すると、抽出に用いる
部位は、表皮から約0.1〜0.5mmの範囲の竹茹と呼
ばれる部位を用いるのが好ましい。この竹茹は、緑色の
竹の表皮層と、白ないしクリーム色の肉質部との間に位
置した黄緑色の部位であり、上記の各物質が多量に含ま
れている。これに対して肉質部には糖が多く、上記各物
質の含有率が低い。従って、他の部位(具体的には、表
皮層と竹茹と肉質部とを含んだ竹の全体、表皮層及び竹
茹の部位、竹茹及び肉質部の部位)と共に利用してよい
が、少なくとも竹茹の部位を抽出の対象とすることが好
ましく、最も望ましくは、竹茹の部位のみを抽出の対象
とすることである。
【0015】本発明に係る抗酸化物は、アセトンやエタ
ノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセト
ン、酢酸エチル、水及びこれらの有機溶媒と水との混液
等の各種水系溶媒で抽出されるものであって、これらの
抽出物を分離精製して単離される。
【0016】本発明においては、まず抽出精製する前
に、予め塩化メチレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩
化炭素等の非水系溶媒で不要成分を除去させておくのが
好ましい。この場合に、特に塩化メチレンを用いて不要
成分を除去することにより、脱脂、脱色及び脱臭を同時
に行える点で好ましい。
【0017】こうして前処理された竹茹から、上記エタ
ノールやアセトンなどの水系溶媒を用いて抽出される。
このとき一種類の水系溶媒を用いて1回だけ抽出するこ
ともできるが、むしろ2種以上の溶媒を用いて複数回分
配などを繰り返すことによって、純度を高めていくのが
望ましい。この際、例えば図1に示すフローチャートに
示すように、塩化エチレンなどの非水系溶媒を用いて不
要成分を除去した竹茹残渣を70%アセトン水溶液で抽
出し、さらに当該抽出物を塩化メチレンなどの非水溶媒
と水系溶媒とによる分配を繰り返して、純度を高めるこ
とができる。なお、本発明において、水系溶媒とは一般
的な意味で用いられるものであって、水をある程度溶解
させることができる溶媒をいい、非水系溶媒とは当該水
系溶媒と二相を形成できる溶媒をいうものとする。ま
た、水系溶媒には、酢酸エチルのように水と自由に混合
できないものが除かれることを意味するものではない。
もちろん、これらの溶媒は、本発明の目的物質を好適に
抽出し、不要成分を効率よく除去できるものが選択され
るのは言うまでもない。また、収率を挙げるために、竹
茹(若しくは前処理後の残渣)を複数回同一抽出溶媒にて
抽出した後、その後の精製に供するのが望ましい。
【0018】抽出に際しては、抽出効率を高めるため
に、竹の抽出対象部位を、チップ状さらには粉末状にす
るのが望ましい。例えば、竹茹のみを抽出対象とする場
合では、竹の表皮をはぎ取り、竹茹の部位を鉋で削って
小片状に切断した後乾燥し、さらに微粉砕機で粉末化す
る。また、円筒研磨機を用いて竹を切削刃に対して相対
的に回転させ、軸方向に移動させる。これにより、まず
表皮のみが研磨されるが、この研磨粉は捨てる。さら
に、研磨することによって、竹茹部位の研磨が行われる
ため、この部分の研磨粉を集塵機で集める。このような
方法を例示し得るが、この方法に限らず、少なくとも竹
茹の部位を含んで、最も望ましくは、竹茹の部位のみか
らチップさらには粉末を得て、抽出の対象とし、前記の
溶媒に浸漬する。もちろん、竹全体を粉末状にして抽出
することとしてもよいが、不純物が多くなり、経済的な
方法ではない。
【0019】抽出方法は、溶媒を用いた抽出方法の常法
に従えばよいが、その一例を挙げると、上記の粉末状等
の抽出対象物を溶媒に浸漬することである。このとき、
抽出対象物と溶媒との比率は、抽出が可能な範囲で適宜
設定すればよく、例えばエタノールによって直接抽出す
る場合や前処理後の残渣を用いる場合においては、抽出
対象物と溶媒との重量比を1対2〜5程度とするのが適
当である。また、浸漬時間は1〜5日程度とすればよい
が、この時間についても、抽出効率を考慮して適宜変更
することができる。尚、浸漬中に撹拌することも、抽出
効率上好ましい。また、抽出時に溶媒が沸騰しない程度
に加温して抽出すれば、より抽出効率を挙げることがで
きる。これらの諸条件は、各抽出段階によっても異なる
ものであり、各抽出段階毎、経験的に最適条件が求めら
れるものである。
【0020】こうして、エタノールなどによる抽出液や
塩化メチレンなどの非水系溶媒と水系溶媒とによる分配
などを繰り返して得られた水系溶媒画分中には、本発明
に係る抗酸化物が1種だけでなく2種以上が多量に含ま
れるようになる。従って、この粗抽出液や当該水系溶媒
画分をそのまま抗酸化物含有液(抗酸化物組成物)として
利用することも可能であって、さらに、各工程中の中間
段階の状態でも、本発明に係る抗酸化物組成物としての
利用も可能である。但し、エタノール抽出液や水系溶媒
画分(以下、抽出液と称する。)に、アセトンやメタノー
ル、酢酸エチルなど食品衛生上有害な溶媒を用いた場合
には、留去などにより当該有害な溶媒を除去して用いる
必要がある。また、食して害のないエタノール等の溶媒
を用いた場合には、完全に除去してしまう必要はなく、
10〜90%、より望ましくは30〜70%除去するだ
けで良い。尚、減圧濃縮によりエタノール等の溶媒を5
0%除去された抽出液は、オイル状をなしている。
【0021】さらに、上記エタノール抽出液や水系溶媒
画分を活性炭等による多孔質体の吸着作用によって、さ
らに不純物を除去し、脱色を図るのが好ましい。具体的
には、上記の分離した抽出液中に活性炭を投入し、必要
に応じて撹拌した後、フィルターろ過にて活性炭を除去
する。そして、その後必要に応じて抽出溶媒を減圧濃縮
する。
【0022】上記の濃縮処理等の処理がなされた抽出液
(若しくは抽出物)は、そのまま使用してもよいが、水で
希釈してもよく、また、エタノールその他の薬剤を添加
して用いてもよい。添加する薬剤として、物性の長期安
定化を図ると共に、水との混合性を高めるために、界面
活性剤や乳化剤を用いることができる。また、pH調整
剤によって全体を弱酸性に調整してもよい。また、使用
する対象物への浸透性を高めるために、浸透剤や湿潤剤
を添加してもよい。
【0023】また、上記の抽出液(抽出物)は、エタノー
ル等の溶媒を100%除去し、濃縮乾固物として利用す
ることも当然可能であり、さらには、増量化剤として粉
体に吸着させて粉末化したり、フリーズドライやスプレ
ードライによって粉体化し、固体状の抗酸化物組成物と
して用いることもできる。
【0024】使用方法としては、液体で使用する方法と
粉末状等の固体としての使用に大別し得る。液体として
使用する場合の例としては、上記したように水等で希釈
した処理液あるいは、種々の薬剤を添加して得られた処
理液中に、直接、食品を数秒乃至数分間浸漬する。ま
た、練り食品等を対象とする場合には、混練中に抽出液
を直接添加しても、上記の各処理液を添加してもよい。
さらに処理液を噴霧して用いることもできる。また、固
体として使用する場合の例としては、上記のように処理
して得られた粉体を直接、和菓子、パン、ハム等の原材
料に混入添加して使用することができる。さらに、粉体
などの固体状で貯蔵移送して、用時水等に溶解して処理
液を作製したのち、液状として使用することもできる。
また、ジュースなどの液状の食品を対象とする場合に
は、食品中に液体状若しくは固体状の抗酸化物組成物を
混入して用いることもできる。
【0025】本発明に係る抗酸化物は、上記の水系溶媒
画分をさらに精製することにより得られる。具体的に
は、例えば上記の70%アセトン水溶液抽出液からアセ
トンを留去した抽出残渣(抽出液)に酢酸エチルを加え、
上記抽出液と分配を行なう。こうして、酢酸エチル可溶
画分及び水可溶画分及び残渣とに分画する。これらの画
分のうち、酢酸エチル画分を濃縮して、抗酸化物として
用いることもできるが、さらに分離精製処理を行なう。
【0026】当該分離精製方法としては、例えば、シリ
カゲルや珪藻土、セルロースなどの吸着性を利用したカ
ラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高
速液体クロマトグラフィーなどによって分離・分取した
後、溶媒を揮散させて、本発明に係る上記抗酸化物を得
ることができる。このとき用いる担体、溶出溶媒等の精
製条件は、適宜実験的によって決定される。さらに、こ
れらと別の分離精製方法を組み合わせることにしてもよ
いのはもちろんである。
【0027】こうして分離精製された抗酸化物はそのま
まで用いることもできるが、水やエタノールなどの溶媒
に溶解した後上記方法と同様にして用いることにしても
よく、また、抗酸化活性を阻害しない、例えばデンプン
や小麦粉などの適当な賦形剤と混合して、抗酸化物組成
物として提供できるものである。もちろん、当該抗酸化
組成物には、上記したように、予め界面活性剤や乳化
剤、pH調整剤、浸透剤、湿潤剤などを添加しておき、
対象物への使用をしやすいようにして、提供するのが望
ましい。
【0028】
【実施例】次に下記実施例に基づき、本発明について図
1及び図2に従ってさらに詳細に説明する。まず、3年
ものの孟宗竹の表皮(約0.1mm厚)を鉋状の切削具に
よって切削除去した。次に、同切削具で0.2mm厚で
切削することによって、竹茹を得た。得られた竹茹を乾
燥し、微粉砕機で粉末化した。得られた粉末984g
に、塩化メチレンを加えて2日間浸漬した。その後、こ
れをろ過し、図1に示すように塩化メチレン抽出液と、
残渣とを得た。次に、この残渣に70v/v%アセトン
水溶液1500mlで3回抽出してアセトン抽出液を得
た。その後、当該アセトン抽出液を減圧濃縮してアセト
ンを留去した後、水を含んだ残渣に塩化メチレン500
mlを加え、塩化メチレン可溶画分と水可溶画分とに分
配した。次いで、水可溶画分に酢酸エチル500mlを
加え、酢酸エチル可溶画分及び水可溶画分並びに残渣と
に分配した。
【0029】このようにして得た酢酸エチル可溶画分を
用いて、さらに分離精製を行った。まず、当該酢酸エチ
ル可溶画分から酢酸エチルを留去して得た抽出物(9.9
g)を、アセトンを溶出溶媒とし、セファデックスLH
−20を担体としたカラムクロマトグラフィによって図
2に示すように5つのフラクション(Fr.1〜Fr.5)に分画
し、各フラクションの抗酸化活性を測定した。なお、図
2中の表示量はアセトンなどの溶出溶媒を留去した後の
残留物量を示す。
【0030】次に最も分取量の多かった第1のフラクシ
ョン(Fr.1)を用いて、さらに分離精製を行った。当該第
1フラクションからアセトンを留去し、残留物をイソプ
ロパノール可溶画分(2.1g)とイソプロパノール不溶
画分(3.2g)とに分画した。このイソプロパノール不
溶画分を、塩化メチレン・メタノール混液(容量比9
0:10)を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフ
ィーを行い、次にベンゼン・アセトン混液(容量比6
0:40)を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフ
ィー、さらにメタノール・水混液(容量比50:50)を
溶出溶媒とするODSを用いた逆相カラムクロマトグラ
フィーによって、抗酸化活性を示す5つの化合物(化合
物1〜化合物5)を単離した。
【0031】これら5つの化合物について、1H−NM
R、13C−NMR及びSIMS並びに化合物1について
は、HMQC及びHMBCによって、各化合物について
の構造式を決定した。
【0032】図3〜図8はそれぞれこれら化合物の上記
機器分析データの一部を示す図であって、図3は化合物
1についての1H−NMR、13C−NMR及びSIMS
データ、図4は化合物1についてのHMBCデータ、図
5〜図8はそれぞれ化合物2〜5についての各種機器分
析データである。
【0033】化合物1は、図3に示すように分子量58
4の物質であり、1H−NMR、13C−NMR測定の結
果、2個の1,3,4置換されたフェニル基、1個の
1,3,4,5置換されたフェニル基及び4個のメトキ
シ基の存在が確認された。さらに、H−H COSY測
定により、1個の1,2,3-propanetriol及び2個の1,3-pr
opanediolの存在も確認された。
【0034】次に、3個のフェニルプロパノイドがどの
ように結合しているのかを決定するために、HMQC及
びHMBCの測定を行なったところ、7位の水素と2
位、6位、8位、9´位の炭素、7´位の水素と2´
位、6´位、8´位、9位の炭素にそれぞれC−Hのロ
ングレンジカップリングが認められ、化合物1はフロフ
ラン型リグナンと判明した。もう1個のフェニルプロパ
ノイドは1−アリールグリセロールで、NMRのケミカ
ルシフトより8´´位と4位がエーテル結合しているこ
とが分かった。また、1H−NMR、13C−NMRのケ
ミカルシフトより、エリスロ体であると決定し、本化合
物1はセスキリグナン ヘディオトールC(hedyotol
C)と同定した。
【0035】化合物2は、図5に示すように、化合物1
と同様に分子量584の物質であり、各種スペクトルデ
ータから化合物1の異性体と推定された。次に、両化合
物のNMRスペクトルの相違から、1−アリールグリセ
ロール部分に違いが認められた。また、1H−NMR、
13C−NMRのケミカルシフトより、スレオ体であると
決定し、本化合物2はセスキリグナン ヘディオトール
D(hedyotol D)と同定した。
【0036】化合物3は、図6に示すように、SIMS
から化合物1より分子量が30大きい分子量614の物
質であり、各種スペクトルデータから化合物1の類縁体
と推定された。次に、NMRスペクトルから、化合物1
に比べてメトキシ基1個多い物質であることが分かっ
た。2´位、6´位のプロトンのシグナルが6.68p
pmに2H分のシングレットで観測されたことより、5
´位にメトキシ基が結合していることが判明し、本化合
物3はセスキリグナン ブドゥレノールC(buddlenol
C)と同定した。また、1H−NMR、13C−NMRのケ
ミカルシフトより、1−アリールグリセロール部分はエ
リスロ体であると決定し、本化合物3は、エリスロ−ブ
ドゥレノールC(erythro-buddlenol C)と同定した。
【0037】化合物4は、図7に示すように、SIMS
から分子量810の物質であり、フロフラン型リグナン
と推定され、化合物3にもう一つ1−アリールグリセロ
ールが結合した物質であることが分かった。また、13
−NMRより、炭素18個のシグナルが観測されたこと
より、本化合物は対称体であることが判明した。さら
に、1H−NMR、13C−NMRのケミカルシフトよ
り、2個の1−アリールグリセロール部分はそれぞれエ
リスロ体であると決定し、本化合物4はジリグナンヘデ
ィオティソールA(hedyotisol A)と同定した。
【0038】化合物5は、図8に示すように、各種スペ
クトルデータから化合物4の異性体と推定した。次に、
1H−NMR、13C−NMRのケミカルシフトより、2
個の1−アリールグリセロール部分の一方はエリスロ体
で、もう一方がスレオ体であると決定し、ジリグナン
ヘディオティソールB(hedyotisol B)と同定した。こ
れらの化合物1〜5は、それぞれ竹茹からは始めて見出
されたものである。
【0039】〔抗酸化活性〕次に、得られた化合物1〜
5を用いて、抗酸化活性を測定した。抗酸化活性とし
て、1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH)のラジ
カル捕捉活性を測定した。試料添加濃度はそれぞれ20
μM、DPPHの濃度は100μMとし、試料を添加し
て20℃で30分間放置した後のDPPHラジカルの減
少量を、517nmにおける吸光度を測定することによ
って求めた。なお、比較対照としてα−トコフェロール
(α-toc.)及び合成抗酸化剤であるBHTを用いた。こ
の結果を図9に示すが、5つの化合物は、それぞれ30
〜40%のラジカル捕捉能を有しており、α−トコフェ
ロールとほぼ同等であり、BHTよりも強い抗酸化活性
を示した。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、α−トコフェロールと
ほぼ同等な抗酸化活性を有する新たな抗酸化物を提供す
ることができる。特に竹若しくは竹茹という食しても安
全な自然物から抽出された安全な抗酸化物及びそれらを
含有する抗酸化物組成物を提供できる。
【0041】これらの抗酸化物や抗酸化物組成物は、エ
タノールやアセトン、水などの水系溶媒によって抽出精
製されるが、予め塩化メチレンなどの非水系溶媒によっ
て抽出残渣を得て、前処理を施しておくことにより、そ
の後の抽出作業を容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の一例を示すフローチャ
ートである。
【図2】図1のフローチャートの続図である。
【図3】化合物1についての1H−NMR、13C−NM
R及びSIMSデータである。
【図4】図4は化合物1についてのHMBCデータであ
る。
【図5】化合物2についての各種機器分析データであ
る。
【図6】化合物3についての各種機器分析データであ
る。
【図7】化合物4についての各種機器分析データであ
る。
【図8】化合物5についての各種機器分析データであ
る。
【図9】本発明に係る抗酸化物の抗酸化活性を示す図表
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中谷 延二 大阪府大阪市東淀川区東中島1丁目17番5 号640 (72)発明者 菊崎 泰枝 大阪府大阪市平野区平野本町4丁目8番23 号 Fターム(参考) 4B018 LB01 LB06 LB08 MD48 ME06 MF01 MF06 4B021 LW04 LW06 MC03 MK05 MK17 MP01 MP02 MP03 4H025 AA82 AC04 BA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗酸化物用途としてのヘディオトール
    C。
  2. 【請求項2】 抗酸化物用途としてのヘディオトール
    D。
  3. 【請求項3】 抗酸化物用途としてのエリスロ−ブドゥ
    レノールC。
  4. 【請求項4】 抗酸化物用途としてのヘディオティソー
    ルA。
  5. 【請求項5】 抗酸化物用途としてのヘディオティソー
    ルB。
  6. 【請求項6】 ヘディオトールC、ヘディオトールD、
    エリスロ−ブドゥレノールC、ヘディオティソールA、
    ヘディオティソールBからなる群から選択されたいずれ
    か1種若しくは2種以上を含むことを特徴とする抗酸化
    物組成物。
  7. 【請求項7】 前記抗酸化物組成物は、竹若しくは竹茹
    から抽出されたことを特徴とする請求項6記載の抗酸化
    物組成物。
  8. 【請求項8】 エタノール、メタノール、アセトン、酢
    酸エチル、水などの水系溶媒を用いて抽出したことを特
    徴とする請求項7記載の抗酸化物組成物。
  9. 【請求項9】 竹若しくは竹茹から、塩化メチレンなど
    の非水系溶媒を用いて抽出残渣を得た後、請求項7若し
    くは8記載の抗酸化物組成物を得ることを特徴とする抗
    酸化組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006116433A (ja) * 2004-10-21 2006-05-11 Food Techs Co Ltd 竹の抽出方法、および抗菌剤、抗酸化剤
JP2016044139A (ja) * 2014-08-22 2016-04-04 学校法人東京電機大学 タケ類抽出物及び新規配糖体

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