JP2001097901A - フェノール、メチルエチルケトン及びアセトンの製造方法 - Google Patents

フェノール、メチルエチルケトン及びアセトンの製造方法

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JP2001097901A
JP2001097901A JP2000294583A JP2000294583A JP2001097901A JP 2001097901 A JP2001097901 A JP 2001097901A JP 2000294583 A JP2000294583 A JP 2000294583A JP 2000294583 A JP2000294583 A JP 2000294583A JP 2001097901 A JP2001097901 A JP 2001097901A
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ポンペツキー ヴェルナー
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Werner Dr Kleinloh
クラインロー ヴェルナー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クメン−及びs−ブチルベンゼンを含有する
混合物の酸化及び酸化の際に生じたクメン−及びs−ブ
チルベンゼンヒドロペルオキシドのホック分解によりフ
ェノール、MEK及びアセトンを、全体で利用可能な生
成物に関して改善された収率で製造する方法を提供する
こと 【解決手段】 フェノール、メチルエチルケトン及びア
セトンを製造するにあたり、s−ブチルベンゼン及びク
メンを含有する混合物を分子酸素を含有するガスで酸化
し、酸化の際に生じたs−ブチルベンゼンヒドロペルオ
キシド及びクメンヒドロペルオキシドをホック分解する
方法において、s−ブチルベンゼン及びクメンを含有す
る混合物中のクメン含有量が3〜15質量%であること
を特徴とするフェノール、メチルエチルケトン及びアセ
トンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、s−ブチルベンゼ
ンヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドを
含有する混合物のホック分解(Hocksche Spaltung)に
よりフェノール、メチルエチルケトン(省略形:ME
K)及びアセトンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノールは広範囲の用途を有する重要
な化学原料である。フェノールは溶剤としての使用の他
に、特にフェノール樹脂、ビスフェノール−A、ε−カ
プロラクタム、アジピン酸、アルキルフェノール及び可
塑剤の製造のために使用される。
【0003】フェノールを適当なヒドロペルオキシドの
ホック分解により製造することは公知である。この場
合、ヒドロキシ化合物としてのフェノールの他に併産品
(Koppelprodukt)としてカルボニル化合物が生じ、こ
のカルボニル化合物は経済的理由から適当な利用を示さ
なければならない。
【0004】フェノールは今日では主にクメンヒドロペ
ルオキシドのホック分解により得られ、その際、併産品
としてアセトンが生じる。アセトンは同様に多様な使用
可能性があり、つまり例えば溶剤として又は特にメチル
メタクリレートの製造のために使用される。
【0005】フェノール及びアセトンの製造のためのい
わゆるこのクメン法の場合、まずクメンを特に空気又は
酸素で酸化させクメンヒドロペルオキシドにし、このク
メンヒドロペルオキシドは未反応のクメンの分離により
通常60〜85質量%まで蒸留により濃縮した後、引き
続き触媒として有利に硫酸を用いる酸触媒作用のもとで
フェノール及びアセトンに分解される。クメン法に関す
る包括的知識は、例えばWeissermel/Arpe, Indstrielle
Organische Chemie,第2版, Verlag Chemie,1978又はU
llmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vo
l. A 19, p. 302 ff., VCH Verlaggesellschaft, 1991
に記載されている。このクメン法の新規の更なる展開
は、特にクメンヒドロペルオキシド−分解の分野及び副
生成物の生成及びエネルギー消費の減少のための分解生
成物の後処理に該当する、例えばEP−0589588
A1、EP−0670296A1又はWO97/069
05参照。
【0006】公開明細書のEP−0548986A1
は、フェノール及び併産品としてメチルエチルケトン
(省略してMEK)の製造方法において、s−ブチルベ
ンゼンを酸化してs−ブチルベンゼンヒドロペルオキシ
ドにし、このs−ブチルベンゼンヒドロペルオキシドの
ホック分解によりフェノール及びMEKにする製造方法
を教示している。MEKはアセトンと共に工業的に重要
なケトンの一つであり、これは特に塗料及び樹脂溶剤と
して使用される。EP−0548986A1において出
発材料として、主にエチルヒドロペルオキシド、カルボ
ン酸及びフェノール不含の又は主にスチレン性化合物不
含の又はメチルベンジルアルコール不含のs−ブチルベ
ンゼンを使用することが提案されている。この使用材料
にあわせた特別な付加的処理工程を有する適当なプロセ
スの実施により、特に不所望な副生成物の分離の改善が
達成される。それにより、酸化速度に不利な影響を及ぼ
さずに未反応のs−ブチルベンゼンを酸化工程に返送で
きる。
【0007】公開明細書のEP−0578194A2
も、s−ブチルベンゼンからのフェノール及びMEKの
製造方法に関している。通常の方法工程である酸化、濃
縮及び分解に引き続き、特別な処理工程、特に蒸留によ
り分離されたMEKフラクションのアルカリ洗浄工程を
有する方法が記載されており、それにより高純度のME
Kが得られる方法が記載されている。
【0008】米国特許第4532360号明細書から
は、s−ブチルベンゼンからフェノール及びMEKの製
造のためにも使用できる直接的な1工程の方法が公知で
ある。この場合、s−ブチルベンゼンの酸化は臭化水素
又は塩化水素並びに酸化セリウム、トリフェニルボレー
ト、ボロントリホスフェート及び水のグループからの少
なくとも1種の添加物の存在で実施され、それによりs
−ブチルベンゼンヒドロペルオキシドのフェノール及び
MEKへの直接分解が行われる。
【0009】1987年5月26日発行の特許公報JP
−62−114922は、s−ブチルベンゼンをクメン
又はクメンヒドロペルオキシドの存在で分子酸素含有ガ
スで酸化することによるフェノール、アセトン及びME
Kを同時に製造する方法を記載している。JP−62−
114922によると、s−ブチルベンゼンのs−ブチ
ルベンゼンヒドロペルオキシドへの酸化は比較的緩慢
で、この酸化はs−ブチルベンゼンに、65〜85質量
%のクメンヒドロペルオキシドを含有するのクメンヒド
ロペルオキシド−濃縮物5〜60質量%、有利に5〜3
0質量%を添加することによるか又はs−ブチルベンゼ
ンに50質量%を上回り、有利に30〜70質量%のク
メンを添加(その際、質量%の数値はクメンの場合s−
ブチルベンゼンの含有量に対する)することにより著し
く促進される。さらに、s−ブチルベンゼンの酸化の際
に大量に生じる不所望な副生成物のアセトフェノンの形
成は減少される。従って、短時間に有用生成物のフェノ
ール、アセトン及びMEKの高い収量が達成される。酸
化自体は90℃〜145℃の温度で、2〜21bar
(絶対)の圧力で行われる。JP−62−114922
からの方法のもう一つの利点は、酸化速度のs−ブチル
ベンゼン中のイソブチルベンゼン含有量への依存性が減
少することにある。
【0010】本発明のきっかけとなる若干の研究が示し
ているように、この方法の場合、酸化の間に反応混合物
のクメン成分もしくはクメンヒドロペルオキシド成分に
よって多量のジメチルフェニルカルビノールが生成され
る。同時に、酸化において生成されたs−ブチルベンゼ
ンヒドロペルオキシドの特定の割合の分解により2−フ
ェニルブタノールが生じる。両方のアルコールはヒドロ
ペルオキシドの酸触媒による分解の際に相応するスチレ
ン化合物のα−メチルスチレン、フェニルブテン−2及
びフェニルブテン−1に変換され、その際、この高い濃
度のスチレン化合物は著しい残留物の発生が生じる。こ
れはスチレン化合物から生成されるダイマー及びα−メ
チルスチレンとフェノールもしくはフェニルブテンとフ
ェノールとの(継続)反応で生成されるアルキルフェノ
ールの発生の増大から生じる。このJP−62−114
922による方法は、つまり前記の割合のクメン又はク
メンヒドロペルオキシドをs−ブチルベンゼンに添加す
ることにより酸化速度が改善されかつアセトフェノン形
成は抑制されるが、それにより他の副生成物が増加し、
この副生成物はアセトフェノンとは異なり、どんな場合
でも残留物として費用をかけて廃棄しなければならな
い。ダイマーのスチレン性化合物とは反対に、通常のク
メン法の場合にはアセトフェノンを有用生成物として単
離し、市販することも通常である、例えばUS−455
9110又はRoempp Lexikon Chemie, 10. Auflage, Ba
nd 1, 1996(見出し語:アセトフェノン)参照。従っ
て、高いアセトフェノン含有量はダイマーのスチレン性
化合物の高い含有量とは異なり必然的な不可避な欠点で
あるとはいえないが、これら全ての副生成物はフェノー
ル、MEK及びアセトンの収率を低下させ、それにより
これらを原則的にはできる限り少ない範囲内で形成させ
るのが好ましい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、クメン−及びs−ブチルベンゼンを含有する混合物
の酸化及び酸化の際に生じたクメン−及びs−ブチルベ
ンゼンヒドロペルオキシドのホック分解によりフェノー
ル、MEK及びアセトンを、全体で利用可能な生成物に
関して改善された収率で製造する方法を提供することで
あった。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題は、本発明によ
り請求項1に従って、クメン及びs−ブチルベンゼンを
含有する混合物を分子酸素を含むガスを用いて酸化し、
酸化の際に生成されたクメンヒドロペルオキシド及びs
−ブチルベンゼンヒドロペルオキシドのホック分解する
ことによりフェノール、MEK及びアセトンを製造する
にあたり、クメン及びs−ブチルベンゼンを含有する酸
化混合物中のクメン含有量が3〜15質量%であること
を特徴とするフェノール、メチルエチルケトン及びアセ
トンの製造方法により解決される。有利には、この混合
物中のクメン含有量は3〜10質量%、特に有利に5〜
10質量%である。この混合物は有利にクメン及びs−
ブチルベンゼンだけからなる。
【0013】意想外に、JP−62−114922と比
較して、本発明の場合、s−ブチルベンゼン酸化の際に
より高い酸化速度を達成するために、クメンをs−ブチ
ルベンゼンへ少量で添加することで十分であることが見
出された。同時にわずかなクメン添加により副生成物ス
ペクトルは有利に影響される。すでに述べたように、若
干の研究によりクメン−及びs−ブチルベンゼンを含有
する混合物の酸化の際に、生成したクメンヒドロペルオ
キシドの分解によりかなりの量のジメチルフェニルカル
ビノールが生成し、このジメチルフェニルカルビノール
は残留物発生に対して特に重要である、それというのも
引き続く酸触媒によるヒドロペルオキシドの分解におい
て反応して市場価値のない副生成物、例えばダイマーの
スチレン化合物及びアルキルフェノールが生じ、それに
より純粋な収量の損失を意味し、これらはせいぜい熱的
に利用することができるにすぎないためである。本発明
により酸化の際の減少されたクメン添加により、従って
わずかなクメンヒドロペルオキシド含有量により、酸化
生成物中のカルビノール含有量及びひいては結果として
廃棄しなければならない市場価値のない副生成物の発生
を減少させる。従って、本発明によるとクメンヒドロペ
ルオキシドを酸化反応混合物へ直接添加することも望ま
しくない。わずかなクメン含有量の結果、JP−62−
114922からの反応結果と比較して反応条件に応じ
て著しいアセトフェノン形成が生じることができる。こ
のことは一般に受け入れられる、それというのもアセト
フェノンは、クメン法から当業者に公知の方法で、ホッ
ク分解からの生成物流の後処理により単離でき及び有益
に市販されるためである。本発明による方法の適用によ
り、フェノール、アセトン及びMEKについての収量が
全体で低下するのと同程度の量のアセトフェノンが生成
される場合、アセトフェノンが有用物質として有利に単
離され、その結果使用可能な生成物に関する収量はいず
れにせよ向上する。
【0014】アセトフェノンは、特に塗料及び樹脂用の
高沸点溶剤として使用され;これはさらに例えば製剤工
業における合成用の出発物質としても利用される。アセ
トフェノンについての供給源はRoempp-Lexikon Chemie,
10. Auflage, Band 1, 1996によると単に、ベンゼンを
アセチルクロリド及びアルミニウムクロリドの加熱並び
にクメン法における副生成物としての形成である。
【0015】本発明による方法は、クメン及びs−ブチ
ルベンゼンを含有する混合物の反応の際の製造条件を、
依然として高い酸化速度と共になお熱的にだけしか利用
できない残留物の発生を減少させるように改善する。
【0016】本発明により酸化において使用した、クメ
ン及びs−ブチルベンゼンを含有する混合物は、貯蔵タ
ンク中に貯蔵できるか又は酸化反応器中へ導入する直前
に別々の供給源から混合することにより製造できる。s
−ブチルベンゼン又はクメンを含有する物質流を酸化反
応器中へ別々に供給し、そこで混合することも可能であ
る。それぞれ高純度のクメン及びs−ブチルベンゼンか
らなる混合物だけを使用するのが有利である。酸化反応
器として一般にクメン法において公知の気泡塔反応器が
用いられる。この酸化はクメン法と同様に有利に触媒な
しで100℃〜140℃の温度で、1〜20bar(絶
対)の圧力で分子酸素含有ガスの存在で、一般に酸化生
成物中に30重量%までのペルオキシドの総含有量が含
まれるまで行われる。分子酸素含有ガスとして有利に空
気又は酸素が使用される。酸化生成物の残りの成分はペ
ルオキシドの他に主に未反応のs−ブチルベンゼン及び
クメンが含まれる、それというのも有利に高い純度のs
−ブチルベンゼン/クメン−混合物が使用されるためで
ある。さらに、酸化の際に生成された副生成物が含まれ
る。これには、前記したように、特にジメチルフェニル
カルビノール、アセトフェノン及び2−フェニルブタノ
ールが挙げられる。慣用のクメン法と同様に酸化生成物
流は直接又は中間貯蔵器として容器を介して濃縮ユニッ
トへ供給することができ、その濃縮ユニット中で有利に
真空下で未反応のs−ブチルベンゼン及び/又はクメン
の分離によりs−ブチルベンゼンヒドロペルオキシドの
含有量を65質量%まで及び/又はクメンヒドロペルオ
キシドの含有量を10質量%まで高める。分離されたs
−ブチルベンゼン及び/又はクメンは有利に場合により
さらに浄化した後に酸化工程に返送される。
【0017】濃縮工程からの物質流は、本発明により有
利に均一相中で酸触媒を用いて、有利に硫酸を用いて行
われる分解工程に供給される。ここでs−ブチルベンゼ
ンヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドを
反応させて主にフェノール、MEK及びアセトンにす
る。適当な分解反応器及び反応条件は、EP−0589
588A1又はWO97/06905から推知すること
ができる。分解生成物はこれらの特許明細書の方法と同
様に、若干の他の副生成物の含有量を減少させるために
後温度処理を行うのが有利である。引き続き、有用生成
物のフェノール、MEK及びアセトンを単離するため
に、当業者に周知のクメン法と同様の方法で分解生成物
を有利な蒸留による後処理が行われる。この場合、アセ
トフェノン含有の高沸点フラクションが生じ、このフラ
クションからアセトフェノンは、例えばUS−4559
110による方法により又は高沸点物の熱的クラッキン
グ及び蒸留による後処理により単離することができる。
アセトフェノンは残留物を減少させる有用生成物として
得ることもできる。
【0018】本発明による方法は、ここで概説した主要
な方法工程に限定されず、むしろクメン法から公知の全
ての変法は本発明による方法の適性を試験することがで
きる。本発明で重要なのは、この場合、酸化速度を高
め、かつ副生成物形成を減少させるために、s−ブチル
ベンゼン及びクメンを含有する使用混合物を用いた酸化
工程を常に3〜15質量%のクメン含有量で維持するこ
とである。このように使用物質のs−ブチルベンゼン及
びクメンに対して95%を上回る有用生成物のフェノー
ル、MEK及びアセトンの分解−収率を達成することが
できる。
【0019】本発明による方法は、次の実施例により詳
説されるが、本発明はこの実施例に制限されない。
【0020】比較例1:s−ブチルベンゼン85質量%
及びクメンヒドロペルオキシド15質量%を含有する混
合物を酸素でサーモスタット制御可能な気泡塔反応器中
で酸化させた。反応温度は132℃であった。30分
後、90分後及び120分後に反応器から試料を取り出
し、s−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド(省略形:
BHP)及びクメンヒドロペルオキシド(省略形:CH
P)並びに副生成物に関する含有量を調査した。この結
果を表1に示した(カルビノールはジメチルフェニルカ
ルビノールを表す)。
【0021】
【表1】
【0022】比較例2:比較例1と同じ条件下で、s−
ブチルベンゼンと、s−ブチルベンゼン含有量に対して
50質量%のクメンとからなる混合物を酸化した。試料
の取り出しは、150分後及び180分後に行った。こ
の結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】例3(本発明):比較例1と同じ条件下
で、s−ブチルベンゼン95質量%及びクメン5質量%
からなる混合物を酸化した。270分後、300分後及
び330分後に、酸化生成物中の比較例1で試験した材
料の含有量を測定した。この結果を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】比較例1及び2との比較は本質的に長い酸
化時間にもかかわらず酸化におけるカルビノールの含有
量は減少し、アセトフェノン生成は適度にだけ比較的多
く生じる。従って、本発明による酸化は残留物形成に関
して有利に作用する、それというのもアセトフェノンが
有用物質として得られるためである。比較例1及び2と
比較して、副生成物である2−フェニルブタノール、カ
ルビノール及びプロピオフェノンの概略的割合は比較可
能なBHP含有量の場合に明らかに低い。
【0027】例4(本発明):比較例1と同様の条件下
で、s−ブチルベンゼン90質量%及びクメン10質量
%からなる混合物を酸化した。300分後及び330分
後に酸化生成物中の比較例1で調査した物質の含有量を
測定した。この結果を表4に示した。
【0028】
【表4】
【0029】比較例1及び2と比較して、本質的により
長い酸化時間にもかかわらず、酸化生成物中のカルビノ
ールの含有量は明らかに低い。アセトフェノンを有用物
質として単離する場合、それにより残留物量は持続的に
減少する。
【0030】比較例5:例3及び4と同様の条件下で、
純粋なs−ブチルベンゼンを酸化した。330分後に表
5に示した値が測定された。
【0031】
【表5】
【0032】例3及び4と比較して酸化生成物中で約1
1質量%の明らかに減少したs−ブチルベンゼンヒドロ
ペルオキシド含有量によって本発明による方法の場合に
高い酸化速度が明らかに証明された。
【0033】例6(本発明):s−ブチルベンゼン95
%及びクメン5%からなる混合物を、132℃で酸素を
用いてサーモスタット制御可能な気泡塔反応器中で酸化
した。5.5時間の酸化時間の後に、酸化生成物はGC
−分析によりCHP1.14質量%、s−ブチルベンゼ
ンヒドロペルオキシド18.5質量%を含有した。この
混合物を引き続き高真空中で濃縮し、その際生じた濃縮
物はGC分析によりCHP3.49質量%及びs−ブチ
ルベンゼンヒドロペルオキシド58.18質量%を含有
していた。留出物として生じた炭化水素混合物は、CH
Pとして計算して過酸化物を1質量%より少なく含有し
ていた。この濃縮物は引き続き50℃で、アセトン中の
又はアセトン、MEK、フェノール及び炭化水素からな
る試験分解生成物中に溶かした硫酸2000ppmの存
在で単相分解(einphasigen Spaltung)で分解した。
【0034】分解収率はGC分析の評価によりアセトン
について95%を上回り、MEKに対して95%を上回
りかつフェノールに対して95%を上回った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 49/10 C07C 49/10 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 オットー ゲルリッヒ ドイツ連邦共和国 グラートベック メス ターフェルト 3 (72)発明者 ヴェルナー クラインロー ドイツ連邦共和国 ハルテルン イム ハ ートカンプ 2

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール、メチルエチルケトン及びア
    セトンを製造するにあたり、s−ブチルベンゼン及びク
    メンを含有する混合物を分子酸素を含有するガスで酸化
    し、酸化の際に生じたs−ブチルベンゼンヒドロペルオ
    キシド及びクメンヒドロペルオキシドをホック分解する
    方法において、s−ブチルベンゼン及びクメンを含有す
    る混合物中のクメン含有量が3〜15質量%であること
    を特徴とするフェノール、メチルエチルケトン及びアセ
    トンの製造方法。
  2. 【請求項2】 混合物中のクメン含有量が3〜10質量
    %である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 混合物中のクメン含有量が5〜10質量
    %である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の混合物がそれぞれ高い純度のs−
    ブチルベンゼン及びクメンからなる、請求項1から3ま
    でのいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 酸化を100〜140℃の温度で、1〜
    20bar(絶対)の圧力で行う、請求項1から4まで
    のいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 分子酸素を含有するガスが空気である、
    請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 酸化生成物を分解の前に蒸留によりs−
    ブチルベンゼン又はクメン又はその両方の分離により濃
    縮する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 分離されたs−ブチルベンゼン又はクメ
    ン又はその両方を再び酸化反応に供給する、請求項7記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 分解混合物が均一である、請求項1から
    8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】 分解を酸触媒作用により行う、請求項
    1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 【請求項11】 酸触媒として硫酸を用いる請求項10
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 アセトフェノンを分解生成物混合物か
    ら単離する、請求項1から11までのいずれか1項記載
    の方法。
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