JP2001097777A - 多孔質炭化珪素焼結体、ハニカムフィルタ、セラミックフィルタ集合体 - Google Patents
多孔質炭化珪素焼結体、ハニカムフィルタ、セラミックフィルタ集合体Info
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Abstract
ムフィルタを提供すること。 【解決手段】 このハニカムフィルタ9は柱状であっ
て、多孔質組織を構成する炭化珪素結晶粒子16同士が
ネック部17によって結合された焼結体からなる。粒径
が5μm〜20μmの結晶粒子16は、焼結体中に30
%以上含まれる。結晶粒子16のネック部17は、0.
1mm四方の範囲内に20個〜150個存在している。
Description
からなる複数のフィルタを接着して一体化した構造のセ
ラミックフィルタ集合体、及びそれの製造に使用可能な
ハニカムフィルタ、多孔質炭化珪素焼結体に関するもの
である。
増加しており、それに比例して自動車の内燃機関から出
される排気ガスの量も急激な増加の一途を辿っている。
特にディーゼルエンジンの出す排気ガス中に含まれる種
々の物質は、汚染を引き起こす原因となるため、現在で
は世界環境にとって深刻な影響を与えつつある。また、
最近では排気ガス中の微粒子(ディーゼルパティキュレ
ート)が、ときとしてアレルギー障害や精子数の減少を
引き起こす原因となるとの研究結果も報告されている。
つまり、排気ガス中の微粒子を除去する対策を講じるこ
とが、人類にとって急務の課題であると考えられてい
る。
種の排気ガス浄化装置が提案されている。一般的な排気
ガス浄化装置は、エンジンの排気マニホールドに連結さ
れた排気管の途上にケーシングを設け、その中に微細な
孔を有するフィルタを配置した構造を有している。フィ
ルタの形成材料としては、金属や合金のほか、セラミッ
クがある。セラミックからなるフィルタの代表例として
は、多孔質コーディエライト製や多孔質炭化珪素製のハ
ニカムフィルタが知られている。
て延びる多数のセルを有している。排気ガスがフィルタ
を通り抜ける際、そのセル壁によって微粒子がトラップ
される。その結果、排気ガス中から微粒子が除去され
る。また、トラップされた微粒子を加熱して燃やすこと
により、フィルタが再生されるようになっている。
ディエライトを用いたハニカムフィルタは、熱伝導率が
低いため、焼結体内に温度差が生じやすく、相対的に低
温となった部分に微粒子の燃え残りが生じやすいという
欠点があった。また、その原因は、板状結晶からなるコ
ーディエライトでは、結晶粒子の結合部分の形状が鋭角
的であり、結晶粒子同士の接触面積が極端に小さいこと
にある、と考えられていた。
ィルタの場合には、燃え残りの発生という欠点に加え、
熱応力によるクラックの発生という問題もあった。本発
明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的
は、多孔質であるにもかかわらず高熱伝導率の多孔質炭
化珪素焼結体を提供することにある。
くてしかも強度に優れたハニカムフィルタ、セラミック
フィルタ集合体を提供することにある。
めに、請求項1に記載の発明では、多孔質組織を構成す
る炭化珪素結晶粒子同士がネック部によって結合された
焼結体であって、粒径が5μm〜20μmの結晶粒子が
焼結体中に30%以上含まれるとともに、前記結晶粒子
のネック部が0.1mm四方の範囲内に20個〜150
個存在していることを特徴とする多孔質炭化珪素焼結体
をその要旨とする。
て、前記焼結体の熱伝導率は20W/mK〜75W/m
Kであるとした。請求項3に記載の発明では、多孔質組
織を構成する炭化珪素結晶粒子同士がネック部によって
結合された焼結体からなる柱状ハニカムフィルタであっ
て、粒径が5μm〜20μmの結晶粒子が焼結体中に3
0%以上含まれるとともに、前記結晶粒子のネック部が
0.1mm四方の範囲内に20個〜150個存在してい
ることを特徴とするハニカムフィルタをその要旨とす
る。
構成する炭化珪素結晶粒子同士がネック部によって結合
された焼結体からなる複数の角柱状ハニカムフィルタを
構成部材として用い、それらの外周面同士をセラミック
質シール材層を介して接着することにより、前記各ハニ
カムフィルタを一体化してなる集合体であって、粒径が
5μm〜20μmの結晶粒子が焼結体中に30%以上含
まれるとともに、前記結晶粒子のネック部が0.1mm
四方の範囲内に20個〜150個存在していることを特
徴とするセラミックフィルタ集合体をその要旨とする。
る。請求項1,2に記載の発明によると、結晶粒子のネ
ック部が0.1mm四方の範囲内に20個〜150個存
在していることから、組織の緻密化による気孔率の低下
を回避しつつ熱伝導率を高くすることができる。ネック
部の個数が20個/0.1mm2未満であると、大きな
接触面積をもって結合される結晶粒子の比率が減り、熱
伝導率が小さくなってしまう。逆に、ネック部の存在数
が150個/0.1mm2を超えると、熱伝導率が高く
なる反面、組織の緻密化が進むことによる気孔率の低下
が避けられなくなる。
K〜75W/mKであることがよい。熱伝導率が小さす
ぎると、焼結体内部に温度差が生じやすくなり、クラッ
クをもたらす原因となる大きな熱応力の発生につながっ
てしまう。逆に、熱伝導率を高くしようとすると、製造
が困難となり、安定的な材料供給が難しくなる。
粒子のネック部が0.1mm四方の範囲内に20個〜1
50個存在していることから、組織の緻密化による気孔
率の低下を回避することができ、高い濾過能力が付与さ
れる。また、熱伝導率を高くすることができるため、燃
え残りが発生しにくくなり、熱応力によるクラックの発
生も防止される。
形態のディーゼルエンジン用の排気ガス浄化装置1を、
図1〜図6に基づき詳細に説明する。
装置1は、内燃機関としてのディーゼルエンジン2から
排出される排気ガスを浄化するための装置である。ディ
ーゼルエンジン2は、図示しない複数の気筒を備えてい
る。各気筒には、金属材料からなる排気マニホールド3
の分岐部4がそれぞれ連結されている。各分岐部4は1
本のマニホールド本体5にそれぞれ接続されている。従
って、各気筒から排出された排気ガスは一箇所に集中す
る。
料からなる第1排気管6及び第2排気管7が配設されて
いる。第1排気管6の上流側端は、マニホールド本体5
に連結されている。第1排気管6と第2排気管7との間
には、同じく金属材料からなる筒状のケーシング8が配
設されている。ケーシング8の上流側端は第1排気管6
の下流側端に連結され、ケーシング8の下流側端は第2
排気管7の上流側端に連結されている。排気管6,7の
途上にケーシング8が配設されていると把握することも
できる。そして、この結果、第1排気管6、ケーシング
8及び第2排気管7の内部領域が互いに連通し、その中
を排気ガスが流れるようになっている。
の中央部が排気管6,7よりも大径となるように形成さ
れている。従って、ケーシング8の内部領域は、排気管
6,7の内部領域に比べて広くなっている。このケーシ
ング8内には、ハニカムフィルタ9が収容されている。
8の内周面との間には、断熱材10が配設されている。
断熱材10はセラミックファイバを含んで形成されたマ
ット状物であり、その厚さは数mm〜数十mmである。
断熱材10は熱膨張性を有していることがよい。ここで
いう熱膨張性とは、弾性構造を有するため熱応力を解放
する機能があることを指す。その理由は、ハニカムフィ
ルタ9の最外周部から熱が逃げることを防止することに
より、再生時のエネルギーロスを最小限に抑えるためで
ある。また、再生時の熱によってセラミックファイバを
膨張させることにより、排気ガスの圧力や走行による振
動等のもたらすセラミックフィルタ集合体9の位置ずれ
を防止するためである。
ィルタ9は、上記のごとくディーゼルパティキュレート
を除去するものであるため、一般にディーゼルパティキ
ュレートフィルタ(DPF)と呼ばれる。図2等に示さ
れるように、本実施形態のハニカムフィルタ9は円柱状
である。
の一種である多孔質炭化珪素焼結体製である。炭化珪素
焼結体を採用した理由は、他のセラミックに比較して、
とりわけ強度、耐熱性及び熱伝導性に優れるという利点
があるからである。
施形態のハニカムフィルタ9は、いわゆるハニカム構造
を備えている。ハニカム構造を採用した理由は、微粒子
の捕集量が増加したときでも圧力損失が小さいという利
点があるからである。ハニカムフィルタ9には、断面略
正方形状をなす複数の貫通孔12がその軸線方向に沿っ
て規則的に形成されている。各貫通孔12は薄いセル壁
13によって互いに仕切られている。セル壁13の外表
面には、白金族元素(例えばPt等)やその他の金属元
素及びその酸化物等からなる酸化触媒が担持されてい
る。各貫通孔12の開口部は、いずれか一方の端面9
a,9bの側において封止体14(ここでは多孔質炭化
珪素焼結体)により封止されている。従って、端面9
a,9b全体としてみると市松模様状を呈している。そ
の結果、ハニカムフィルタ9には、断面四角形状をした
多数のセルが形成されている。セルの密度は200個/
インチ前後に設定され、セル壁13の厚さは0.3mm前
後に設定され、セルピッチは1.8mm前後に設定されて
いる。多数あるセルのうち、約半数のものは上流側端面
9aにおいて開口し、残りのものは下流側端面9bにお
いて開口している。
〜50μm、さらには5μm〜20μmであることが好
ましい。平均気孔径が1μm未満であると、微粒子の堆
積によるハニカムフィルタ9の目詰まりが著しくなる。
一方、平均気孔径が50μmを越えると、細かい微粒子
を捕集することができなくなるため、捕集効率が低下し
てしまう。
0%、さらには40%〜60%であることが好ましい。
気孔率が30%未満であると、ハニカムフィルタ9が緻
密になりすぎてしまい、内部に排気ガスを流通させるこ
とができなくなるおそれがある。一方、気孔率が70%
を越えると、ハニカムフィルタ9中に空隙が多くなりす
ぎてしまうため、強度的に弱くなりかつ微粒子の捕集効
率が低下してしまうおそれがある。
いてハニカムフィルタ9の熱伝導率は、20W/mK〜
75W/mKであることがよく、さらには30W/mK
〜70W/mKであることが特によい。熱伝導率が小さ
すぎると、ハニカムフィルタ9内に温度差が生じやすく
なり、クラックをもたらす原因となる大きな熱応力の発
生につながってしまう。逆に、熱伝導率を高くしようと
すると、製造が困難となり、安定的な材料供給が難しく
なる。
本実施形態のハニカムフィルタ9では、多孔質組織を構
成する炭化珪素結晶粒子16同士が、いわゆるネック部
17によって結合されている。ここでネック部17と
は、炭化珪素の固相焼結によって粒界に生じる構造を指
す。本実施形態のハニカムフィルタ9では、ネック部1
7の外表面が、なめらかな曲線状になっている。なお、
参考として図6に焼結体のSEM写真を載せる。
以上であることがよく、さらには3μm〜100μm、
特には5μm〜20μmであることがよい。曲率半径が
3μmよりも小さいと、結晶粒子16同士の接触面積が
大きくならず、結晶粒子16間の結合強度を十分に向上
できなくなるからである。具体的にいうと、45MPa
以上の曲げ強度をハニカムフィルタ9に付与できなくな
るからである。逆に、曲率半径が100μm以上になる
と、ハニカムフィルタ9が緻密になりすぎてしまい、内
部に排気ガスを流通させることができなくなる。従っ
て、濾過能力が低下してしまう。
の任意箇所における0.1mm四方の範囲内に、20個
〜150個存在していることが必要である。単位面積あ
たりのネック部17の個数は、30個/0.1mm2〜
120個/0.1mm2であることが好ましく、50個
/0.1mm2〜100個/0.1mm2であることがよ
り好ましい。
2未満であると、大きな接触面積をもって結合される結
晶粒子16の比率が減り、熱伝導率が20W/mKより
も小さくなってしまう。従って、ハニカムフィルタ9内
における燃え残りの発生や、熱応力によるクラックの発
生を確実に防止することができなくなる。逆に、ネック
部17の存在数が150個/0.1mm2を超えると、
75W/mKという高い熱伝導率を実現することができ
る反面、組織の緻密化が進むことによる気孔率の低下が
避けられなくなる。従って、ハニカムフィルタ9内に排
気ガスを流通させることができなくなり、濾過能力が低
下してしまう。
30μmのものの存在率は30%以上であることがよ
く、特には35%〜80%であることがよい。その理由
は、熱伝導率の向上にとって有利に働くからである。ま
た、焼結体における炭化珪素結晶粒子16の平均粒径は
5μm〜15μm程度であることがよい。
る手順を説明する。まず、押出成形工程で使用するセラ
ミック原料スラリー、端面封止工程で使用する封止用ペ
ーストをあらかじめ作製しておく。
素粉末に有機バインダ及び水を所定分量ずつ配合し、か
つ混練したものを用いる。封止用ペーストとしては、炭
化珪素粉末に有機バインダ、潤滑剤、可塑剤及び水を配
合し、かつ混練したものを用いる。
均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末を用いて作製される
ことが望ましい。より具体的にいうと、平均粒径が15
μm前後の大粉と平均粒径が1μm前後の微粉とを混合
して用いることが望ましい。その理由は、所定量の微粉
の存在によってネック焼結が促進される結果、単位面積
あたりのネック部17の数が確実に増え、かつネック部
17の曲率半径も大きくなるからである。
成形機に投入し、かつ金型を介してそれを連続的に押し
出す。その後、押出成形されたハニカム成形体を等しい
長さに切断し、円柱状のハニカム成形体切断片を得る。
さらに、切断片の各セルの片側開口部に所定量ずつ封止
用ペーストを充填し、各切断片の両端面を封止する。
して本焼成を行って、ハニカム成形体切断片及び封止体
14を完全に焼結させることにより、所望のハニカムフ
ィルタ9が完成する。
300℃に設定し、かつ焼成時間を0.1時間〜5時間
に設定している。また、焼成時の炉内雰囲気を不活性雰
囲気とし、そのときの雰囲気の圧力を常圧としている。
なお、焼成温度は前記範囲内において極力高めに設定さ
れることが望ましい。このような温度設定によってネッ
ク焼結が促進され、単位面積あたりのネック部17の数
の増加、及びネック部17の曲率半径の増大が図れるか
らである。
粒子トラップ作用について簡単に説明する。ケーシング
8内に収容されたハニカムフィルタ9には、上流側端面
9aの側から排気ガスが供給される。第1排気管6を経
て供給されてくる排気ガスは、まず、上流側端面9aに
おいて開口するセル内に流入する。次いで、この排気ガ
スはセル壁13を通過し、それに隣接しているセル、即
ち下流側端面9bにおいて開口するセルの内部に到る。
そして、排気ガスは、同セルの開口を介してハニカムフ
ィルタ9の下流側端面9bから流出する。しかし、排気
ガス中に含まれる微粒子はセル壁13を通過することが
できず、そこにトラップされてしまう。その結果、浄化
された排気ガスがハニカムフィルタ9の下流側端面9b
から排出される。浄化された排気ガスは、さらに第2排
気管7を通過した後、最終的には大気中へと放出され
る。また、トラップされた微粒子は、ハニカムフィルタ
9の内部温度が所定の温度に達すると、前記触媒の作用
により着火して燃焼するようになっている。
型炭化珪素粉末51.5重量%と、平均粒径0.5μm
のα型炭化珪素粉末22重量%とを湿式混合し、得られ
た混合物に有機バインダ(メチルセルロース)と水とを
それぞれ6.5重量%、20重量%ずつ加えて混練し
た。次に、前記混練物に可塑剤と潤滑剤とを少量加えて
さらに混練したものを押出成形することにより、ハニカ
ム状の生成形体を得た。具体的には、α型炭化珪素粉末
として、平均粒径が10μmのもの(屋久島電工株式会
社製、商品名:C−1000F)と、平均粒径が0.5
μmのもの(屋久島電工株式会社製、商品名:GC−1
5)とを用いた。
用いて乾燥した後、成形体の貫通孔12を多孔質炭化珪
素焼結体製の封止用ペーストによって封止した。次い
で、再び乾燥機を用いて封止用ペーストを乾燥させた。
端面封止工程に続いて、この乾燥体を400℃で脱脂し
た後、さらにそれを常圧のアルゴン雰囲気下において2
250℃で約3時間焼成した。その結果、多孔質炭化珪
素焼結体製のハニカムフィルタ9を得た。各ハニカムフ
ィルタ9の直径は100mmに設定し、長さは200mmに
設定した。
フィルタ9の組織をSEMで観察した。この調査による
と、ネック部17が、なめらかで曲線的な形状になって
いることが確認された。また、SEM写真に基づいてネ
ック部17の外表面の曲率半径を測定したところ、その
平均値は約10μmであった。粒径が5μm〜20μm
の結晶粒子16は、焼結体中に約60%ほど含まれてい
た。
所に0.1mm四方のエリアを設定し、各エリア内に存
在するネック部17の個数をカウントし、それらの平均
値を求めた。その結果、実施例では単位面積あたりのネ
ック部17の個数は約100個/0.1mm2であっ
た。即ち、大きな接触面積をもって結合される結晶粒子
16の比率が高かった。
率(W/mK)を従来公知の方法により測定したとこ
ろ、その測定値は約70W/mKであった。従って、こ
のハニカムフィルタ9には極めて高い熱伝導性が付与さ
れていた。また、ハニカムフィルタ9をケーシング8内
に収容して一定期間使用をした。その結果、ハニカムフ
ィルタ9内に温度差ができにくく、ハニカムフィルタ9
に何らクラックは発生しなかった。 (比較例1)比較例1では、基本的には実施例と同様
に、炭化珪素粉末を用いてハニカムフィルタ9を製造す
ることとした。ハニカムフィルタ9の寸法等は実施例と
等しくした。ただし、ここではα型炭化珪素粉末として
平均粒径が15μm前後のものを1種のみを用い、かつ
焼成温度をやや低めに設定した。
は、それほどなめらかで曲線的な形状にはなっておら
ず、曲率半径の平均値は約1μm程度であった。単位面
積あたりのネック部17の個数は、約10個/0.1m
m2と少なかった。
測定値は約15W/mKであり、実施例に比べて熱伝導
性に劣っていた。ハニカムフィルタ9をケーシング8内
に収容して一定期間使用をした結果、熱応力の発生に起
因してハニカムフィルタ9に若干のクラックが認められ
た。また、温度の低かった部分に微粒子の燃え残りが確
認された。
イトの多孔質焼結体を用いて実施例と同寸法のハニカム
フィルタを製造することとした。
子16の結合部分には、多孔質炭化珪素焼結体のときの
ようなネック部17は存在していなかった。ゆえに、単
位面積あたりのネック部17の個数は0個/0.1mm
2であった。また、結晶粒子16の結合部分の形状も鋭
角的であって、なめらかで曲線的な形状であるとはいい
難かった(図5(b)参照)。
定値は約3W/mKと極端に低く、実施例に比べて極め
て熱伝導性に劣っていた。ハニカムフィルタをケーシン
グ8内に収容して一定期間使用をした結果、クラックは
認められなかったものの、温度の低かった部分に微粒子
の燃え残りが確認された。
のような効果を得ることができる。 (1)実施例のハニカムフィルタ9においては、結晶粒
子16のネック部17が0.1mm四方の範囲内に20
個〜150個存在している。組織の緻密化による気孔率
の低下を回避することができ、ハニカムフィルタ9に高
い濾過能力を付与することができる。また、熱伝導率を
高くすることができるため、ハニカムフィルタ9内に部
分的な燃え残りが発生しにくくなる。しかも、熱応力に
よるクラックの発生が防止される結果、ハニカムフィル
タ9が破壊に強くなる。そして、このようなハニカムフ
ィルタ9を用いた排気ガス浄化装置1は、高強度であっ
て長期にわたり使用可能なため、実用性に優れたものと
なる。
導率は、20W/mK〜75W/mKという好適範囲内
に設定されている。従って、製造の困難化や高コスト化
を回避しつつ、確実に高熱伝導化を図ることができる。
ては、ネック部17がなめらかな曲線状になっているた
め、結晶粒子16同士の接触面積が大きくなっている。
このため、結晶粒子16間の結合強度が向上し、粒界で
の破断が起こりにくい。従って、多孔質組織であったと
しても十分な機械的強度を確保することができ、破壊し
にくいハニカムフィルタ9を得ることができる。なお、
ネック部17の曲率半径の平均値が3μm以上であるた
め、45MPa以上の十分な曲げ強度をハニカムフィル
タ9に付与することができる。
更してもよい。 ・ ハニカムフィルタ9の形状は、実施形態のような円
柱状に限定されることはなく、三角柱状、四角柱状、六
角柱状等に変更しても構わない。
(ここでは16個)のハニカムフィルタ23を組み合わ
せて1つのセラミックフィルタ集合体21を製造しても
よい。集合体21を構成する角柱状ハニカムフィルタ2
3は、多孔質組織を構成する炭化珪素結晶粒子16同士
がネック部17によって結合された焼結体からなる。ハ
ニカムフィルタ23の外周面は、互いにセラミック質シ
ール材層22を介して接着されている。その結果、各ハ
ニカムフィルタ23が束ねられた状態で一体化されてい
る。このような構成にすれば、加熱による温度勾配に起
因する応力によってクラックが発生するのを防止でき、
熱衝撃にも強くなる。従って、比較的容易にフィルタの
大型化を達成することができる。
は、前記別例のように16個でなくてもよく、任意の数
にすることが可能である。この場合、サイズ・形状等の
異なるハニカムフィルタ23を適宜組み合わせて使用す
ることも勿論可能である。
形態や別例にて示したようなハニカム状構造を有するも
ののみに限られず、例えば三次元網目構造、フォーム状
構造、ヌードル状構造、ファイバ状構造等であってもよ
い。
ムフィルタ(またはセラミックフィルタ集合体)を、デ
ィーゼルエンジン2に取り付けられる排気ガス浄化装置
用フィルタとして具体化していた。勿論、本発明のハニ
カムフィルタ(またはセラミックフィルタ集合体)は、
排気ガス浄化装置用フィルタ以外のものとして具体化さ
れることができる。その例としては、熱交換器用部材、
高温流体や高温蒸気のための濾過フィルタ等が挙げられ
る。さらに、本発明の多孔質炭化珪素焼結体は、フィル
タ以外の用途にも適用可能である。
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想を以下に列挙する。 (1) 請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、前記
ネック部がなめらかな曲線状になっていること。
いずれか1つにおいて、前記ネック部の曲率半径は3μ
m以上であること。 (3) 請求項1乃至4、技術的思想1,2のいずれか
1つにおいて、前記焼結体の曲げ強度は45MPa以上
であること。従って、この技術的思想3に記載の発明に
よれば、高い機械的強度が付与される。
れたケーシング内に、請求項3に記載のハニカムフィル
タまたは請求項4に記載のセラミックフィルタ集合体を
収容するとともに、前記フィルタまたは前記集合体の外
周面と前記ケーシングの内周面とがなす隙間に、断熱材
を充填した排気ガス浄化装置。従って、この技術的思想
4に記載の発明によれば、高強度であって長期にわたり
使用可能なため、実用性に優れた装置を提供することが
できる。
載の発明によれば、多孔質であるにもかかわらず高熱伝
導率の多孔質炭化珪素焼結体を提供することができる。
が高くてしかも強度に優れたハニカムフィルタを提供す
ることができる。請求項4に記載の発明によれば、濾過
能力が高くてしかも強度に優れたセラミックフィルタ集
合体を提供することができる。
装置の全体概略図。
る断面図。
カムフィルタの焼結体組織の拡大概略断面図、(b)は
多孔質コーディエライトからなる比較例2の焼結体組織
の拡大概略断面図。
M写真。
別例のセラミックフィルタ集合体の斜視図。
ネック部、21…セラミックフィルタ集合体、22…セ
ラミック質シール材層。
Claims (4)
- 【請求項1】多孔質組織を構成する炭化珪素結晶粒子同
士がネック部によって結合された焼結体であって、粒径
が5μm〜20μmの結晶粒子が焼結体中に30%以上
含まれるとともに、前記結晶粒子のネック部が0.1m
m四方の範囲内に20個〜150個存在していることを
特徴とする多孔質炭化珪素焼結体。 - 【請求項2】前記焼結体の熱伝導率は20W/mK〜7
5W/mKであることを特徴とする請求項1に記載の多
孔質炭化珪素焼結体。 - 【請求項3】多孔質組織を構成する炭化珪素結晶粒子同
士がネック部によって結合された焼結体からなる柱状ハ
ニカムフィルタであって、粒径が5μm〜20μmの結
晶粒子が焼結体中に30%以上含まれるとともに、前記
結晶粒子のネック部が0.1mm四方の範囲内に20個
〜150個存在していることを特徴とするハニカムフィ
ルタ。 - 【請求項4】多孔質組織を構成する炭化珪素結晶粒子同
士がネック部によって結合された焼結体からなる複数の
角柱状ハニカムフィルタを構成部材として用い、それら
の外周面同士をセラミック質シール材層を介して接着す
ることにより、前記各ハニカムフィルタを一体化してな
る集合体であって、粒径が5μm〜20μmの結晶粒子
が焼結体中に30%以上含まれるとともに、前記結晶粒
子のネック部が0.1mm四方の範囲内に20個〜15
0個存在していることを特徴とするセラミックフィルタ
集合体。
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