JP2001097298A - 電子機器の接地構造 - Google Patents

電子機器の接地構造

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JP2001097298A JP27584999A JP27584999A JP2001097298A JP 2001097298 A JP2001097298 A JP 2001097298A JP 27584999 A JP27584999 A JP 27584999A JP 27584999 A JP27584999 A JP 27584999A JP 2001097298 A JP2001097298 A JP 2001097298A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子機器の筐体の内部において特別な領域を
必要とせず、かつ線材の接続作業が不要で、小型・軽量
化が容易で、作業性が良く、熱収縮によりねじの頭部と
被締結物との間に接触圧の低下または隙間が生じた場合
でも、ねじを介して被締結物の安定した接地を行うこと
が可能な電子機器の接地構造を提供する。 【解決手段】 貫通孔2aを有する被締結物2を、貫通
孔2aに挿通された後電子機器の筐体と螺合する導電性
を有するねじ3を介して接地する構造において、被締結
物2の貫通孔2aの、ねじ3の頭部が位置する側の開口
部の周囲に配置された導電性を有するアース座5と、ア
ース座5とねじ3の頭部との間に介装される基部1e
と、ねじ3の締め付け前において基部1eから内側に向
かって一旦ねじ3の頭部側に突出した後曲折部1cを経
て貫通孔2a内に突出する爪部1aとを備えた、ばね性
及び導電性を有する座金1とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器の接地構
造に関し、特に、宇宙搭載機器等において、被締結物で
あるプリント基板等のねじ止め部が温度変化によって熱
収縮する際にも安定して接地状態を保つことができる電
子機器の接地構造に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器を収納して筐体等の電装品につ
いては、接地を確実に行うことが安全性を保つ上で重要
であるが、実開昭62−17071号公報に記載の技術
では、ねじを螺入すべき透孔に契合するローレット環を
備えた座金を配置することにより、部材の表面に塗着さ
れた塗装膜を剥離しなくとも、部材間の電気的導通を図
っている。
【0003】一方、実開昭63−9770号公報には、
単にねじを締め付けることのみで機器の外部構造物の接
地を可能とするため、接地された機器の内部構造物の表
面に絶縁皮膜を有する機器の外部構造物をねじを介して
取り付ける電子機器において、機器の外部構造物に穿設
された取付穴の周辺に突起部を形成すること等により、
ねじを締め付けた際に、突起部が他の構造物に食い込む
ことによって機器の外部構造物を接地する接地構造が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術においては、いずれの場合も、被締結物とねじとの間
に温度差が生じても、熱収縮による影響はねじの締め付
けによる塑性変形の範囲内であることを前提としてお
り、被締結物とねじとの間に大きな温度差が生ずる環境
については対処することができないという問題があっ
た。
【0005】一般的に、ねじ材料にはステンレス鋼や真
鍮が多用され、プリント基板材料はエポキシ樹脂等が主
たる材料であり、熱膨張係数の比で、プリント基板はね
じの3倍以上となる。そのため、環境温度が常温から低
温側に大きく移行したときにねじの収縮量以上にプリン
ト基板が収縮し、ねじとプリント基板との間に接触圧の
低下や隙間が生じ、これらの間の接地特性が劣化すると
いう問題があった。
【0006】また、特に、宇宙搭載機器等においては、
被締結物の熱収縮により生じる接触圧の低下や隙間の発
生を防止するため、ばね座金をねじと被締結物との間に
挿入しその反力にて接地を確保している。
【0007】しかし、宇宙搭載機器は打ち上げ時に加わ
る振動環境等によりねじが緩む可能性があるため、ねじ
の頭部の周囲に接着剤を塗布してねじのゆるみ止め処置
を実施している。この際、ばね座金に接着剤が塗布され
ることを防止するのは非常に困難であり、結果的にばね
座金を接着剤で包み込む形となり、ばね座金のばね性を
拘束してしまうという問題があった。
【0008】上述の問題点に鑑み、プリント基板より線
材を引き出して安定した接地を確保する手法も存在する
が、小型化を要求される機器では実装密度を上げること
が重要であり、線材の接続作業が非常に困難となる。そ
のため、小型化を要求される機器では、プリント基板に
接地のために面積を設けたり、線材の接続作業を行うこ
とが困難であるという問題があった。
【0009】そこで、本発明は上記従来の接地構造にお
ける問題点に鑑みてなされたものであって、プリント基
板等の被締結物の貫通孔の周囲に設けられたアース座
を、ねじを締め付けることにより電子機器の筐体へ接地
させる構造において、常温から低温側へ大きな温度差が
生じて各々の部分の熱収縮により接触圧の低下や隙間が
生じた場合でも、ねじを介して被締結物の安定した接地
を行うことが可能な電子機器の接地構造を提供すること
を目的とする。
【0010】また、本発明は、電子機器の筐体の内部に
おいて不要な面積を必要とせず、かつ線材の接続作業が
不要で、小型・軽量化が容易で、作業性を向上させるこ
とができる電子機器の接地構造を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、貫通孔を有する被締結物
を、該貫通孔に挿通された後電子機器の筐体と螺合する
導電性を有するねじを介して接地する構造において、前
記被締結物の前記貫通孔の、前記ねじの頭部が位置する
側の開口部の周囲に配置された導電性を有するアース座
と、該アース座と前記ねじの前記頭部との間に介装され
る基部と、前記ねじの締め付け前において前記基部から
内側に向かって一旦前記ねじの前記頭部側に突出した後
曲折部を経て前記貫通孔内に突出する爪部とを備えた、
ばね性及び導電性を有する座金とを設けたことを特徴と
する。
【0012】そして、請求項1記載の発明によれば、被
締結物をねじを介して筐体に取り付けた時には、座金の
基部から内側に向かって頭部側に突出した部分がねじの
頭部に押されて平坦となり、爪部の先端部がさらに外側
へ開くが、被締結物の貫通孔の側壁に抑制される。
【0013】そして、本構造を用いた電子機器が常温か
ら低温側へ移行すると、被締結物、ねじ等は各々熱収縮
する。この時、ねじの頭部と座金の合わせ面及び座金と
被締結物の合わせ面の各々に接触圧の低下または隙間が
生じるが、爪部に保存されている反力が開放され、前記
突出部が持ち上がり、ねじの頭部と被締結物のアース座
の各々に接触してねじ経由で接地が確保される。
【0014】また、熱収縮時の被締結物の貫通孔は径が
小さくなるが、これによって、座金の爪部の先端部が形
成する円の径も小さくなり、この変位が前記突出部を持
ち上げる力に変換されるため、座金、アース座の各々を
互いにより確実に接触させ、より安定した接地特性を得
ることができる。
【0015】さらに、座金に金属材料を使用した場合に
は、疲労等によりばね性を消失する場合があるが、その
ような場合でも熱収縮によって発生する機械的な力によ
ってアース座及びねじの頭部との接触を確保でき、安定
した接地特性を得ることができる。
【0016】上述のように、本発明では、座金の形状に
特徴を持たせ、ねじや被締結物に特別な加工等を必要と
しないため、ねじや被締結物については従来と同様のも
のを使用することができる。従って、例えば、電子機器
の被締結物としてのプリント基板に接地のために特別な
領域を設けたり、線材の接続作業を行うことが不要であ
るため、小型化を要求される電子機器にも対処すること
ができる。
【0017】また、本発明にかかる電子機器の接地構造
を宇宙搭載機器に適用した場合には、従来のような接着
剤によるねじのゆるみ止め処置を実施することが不要と
なり、ばね座金のばね性を拘束することがない。
【0018】また、請求項2記載の発明は、貫通孔を有
する被締結物を、該貫通孔に挿通された後電子機器の筐
体と螺合する導電性を有するねじを介して接地する構造
において、前記被締結物の前記貫通孔の、前記ねじの頭
部が位置する側の開口部の周囲に配置された導電性を有
するアース座と、該アース座と前記ねじの前記頭部との
間に介装される基部と、前記ねじの締め付け前において
前記基部から内側に向かって一旦前記ねじの前記頭部側
に突出した後曲折部を経て前記貫通孔内に突出する爪部
とを備えた形状記憶合金とを設け、前記形状記憶合金
は、所定の温度以下になると、前記爪部の前記曲折部が
前記ねじの頭部側に移動することを特徴とする。
【0019】そして、請求項2記載の発明によれば、被
締結物をねじを介して筐体に取り付けた時には、形状記
憶合金の基部から内側に向かって頭部側に突出した部分
がねじの頭部に押されて平坦となり、爪部の先端部がさ
らに外側へ開くが、被締結物の貫通孔の側壁に抑制され
る。
【0020】そして、本構造を用いた電子機器が常温か
ら低温側へ移行すると、被締結物、ねじ等は各々熱収縮
する。この時、ねじの頭部と形状記憶合金の合わせ面及
び形状記憶合金と被締結物の合わせ面の各々に接触圧の
低下または隙間が生じるが、爪部に保存されている反力
が開放され、前記突出部が持ち上がりねじの頭部と被締
結物のアース座の各々に接触してねじ経由で接地が確保
される。
【0021】また、熱収縮時の被締結物の貫通孔は径が
小さくなるが、これによって、形状記憶合金の爪部の先
端部が形成する円の径も小さくなり、この変位が前記突
出部を持ち上げる力に変換されるため、形状記憶合金、
アース座の各々を互いにより確実に接触させ、より安定
した接地特性を得ることができる。
【0022】さらに、形状記憶合金の形状復元力を消失
したとしても、熱収縮によって発生する機械的な力によ
ってアース座及びねじの頭部との接触を確保でき、安定
した接地特性を得ることができる。
【0023】上述のように、本発明では、形状記憶合金
の形状に特徴を持たせ、ねじや被締結物に特別な加工等
を必要としないため、ねじや被締結物については従来と
同様のものを使用することができる。従って、例えば、
電子機器の被締結物としてのプリント基板に接地のため
に特別な領域を設けたり、線材の接続作業を行うことが
不要であるため、小型化を要求される電子機器にも対処
することができる。
【0024】また、本発明にかかる電子機器の接地構造
を宇宙搭載機器に適用した場合には、従来のような接着
剤によるねじのゆるみ止め処置を実施することが不要と
なり、形状記憶合金の復元力を拘束することがない。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる電子機器の
接地構造の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説
明する。
【0026】図1は、本発明にかかる電子機器の接地構
造の一実施例を示す図であって、座金を用いた場合につ
いて説明する。
【0027】座金1は、ばね性及び導電性を有する金属
材料によって、全体が円形の板状に形成される。座金1
には、4つの爪部1aが突設され、図2及び図3に示す
ように、これらの爪部1aは、アース座5とねじ3の頭
部との間に介装される基部1eと、ねじ3の締め付け前
において基部1eから内側に向かって一旦ねじ3の頭部
側に突出した後曲折部1cを経て貫通孔2a内に突出す
る。
【0028】そして、4つの爪部1aの先端部を接続す
ることによって形成される円は、ねじ3が挿入されるプ
リント基板2の貫通孔2aより大径に形成され、4つの
曲折部1cを接続することによって形成される円は、ね
じ3の径より大径に形成される。
【0029】座金1の材質及び厚みは、爪部1aのばね
力がねじ3による締め付け荷重、及び爪部1aの先端部
の変位によって加わる荷重に耐えることができるように
設定される。
【0030】図3は、筐体4に被締結物としてのプリン
ト基板2を座金1及びねじ3を介して取り付けた状態を
示す。プリント基板2の貫通孔2aの周囲にはアース座
5が設けられている。尚、破線で示された座金1は、ね
じ3の締め付け前の状態を示し、座金1は、破線で示さ
れた状態から、ねじ3によって矢印A方向に付勢されて
いる。
【0031】次に、図3の状態から各部が冷却されて収
縮した場合における座金1の動作を、図4を参照しなが
ら詳細に説明する。尚、図4において、破線が各部の熱
収縮前の形状を示し、実線が熱収縮後の状態を示す。
【0032】各部が冷却されると、各部はねじ3の中心
軸方向に収縮し、ねじ3の収縮量以上にプリント基板2
が収縮し、プリント基板2とねじ3の頭部3aの間に隙
間が生じる。また、プリント基板2の貫通孔2aの直径
は熱収縮により小さくなる。この時、座金1の爪部1a
は以下のように動作する。
【0033】プリント基板2が熱収縮すると、貫通孔2
aの直径が小さくなるため、座金1の爪部1aの先端は
矢印B方向に移動する。この爪部1aの移動によって生
ずる荷重を開放するため、爪部1a自身が矢印C方向に
変形するとともに、同方向に回転する。これと同時に、
熱収縮前にねじ3の頭部3aによって押しつぶされてい
た曲折部1cの反力が熱収縮により開放されるため、爪
部1aの変形により、座金1は、ねじ3とプリント基板
2(またはアース座5)との接触を維持し、安定した接
地特性が保たれる。
【0034】尚、上記実施例においては、ばね性を有す
る座金1の場合について説明したが、この座金1の代わ
りに、低温において図4において実線で示される座金1
と同様の形状に復元する形状記憶合金を使用することも
できる。この場合には、上述のばね性による力を、形状
復元力による力と読み替えることにより同様の効果を奏
する。
【0035】また、上記実施例において、座金1の全体
形状を円形としたが、四角形等多角形であっても良く、
被締結物としてプリント基板を挙げているが、プリント
基板以外にも、接地を必要とし熱収縮を問題とする被締
結物を本発明の対象とすることもできる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる電
子機器の接地構造によれば、電子機器の筐体の内部にお
いて特別な領域を必要とせず、かつ線材の接続作業が不
要で、小型・軽量化が容易で、作業性が良く、熱収縮に
よりねじの頭部と被締結物との間に接触圧の低下または
隙間が生じた場合でも、ねじを介して被締結物の安定し
た接地を行うことが可能な電子機器の接地構造を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電子機器の接地構造の一実施例
における座金を示す斜視図である。
【図2】図1に示す座金のA−A線断面図である。
【図3】図1の座金の使用状態を示す断面図である。
【図4】図1の座金の動作を説明するための断面図であ
る。
【符号の説明】
1 座金 1a 爪部 1b (ねじの頭部との)接触面 1c 曲折部 1d (プリント基板との)接触面 1e 基部 2 プリント基板 2a 貫通孔 3 ねじ 3a 頭部 4 筐体 5 アース座

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貫通孔を有する被締結物を、該貫通孔に
    挿通された後電子機器の筐体と螺合する導電性を有する
    ねじを介して接地する構造において、 前記被締結物の前記貫通孔の、前記ねじの頭部が位置す
    る側の開口部の周囲に配置された導電性を有するアース
    座と、 該アース座と前記ねじの前記頭部との間に介装される基
    部と、前記ねじの締め付け前において前記基部から内側
    に向かって一旦前記ねじの前記頭部側に突出した後曲折
    部を経て前記貫通孔内に突出する爪部とを備えた、ばね
    性及び導電性を有する座金とを設けたことを特徴とする
    電子機器の接地構造。
  2. 【請求項2】 貫通孔を有する被締結物を、該貫通孔に
    挿通された後電子機器の筐体と螺合する導電性を有する
    ねじを介して接地する構造において、 前記被締結物の前記貫通孔の、前記ねじの頭部が位置す
    る側の開口部の周囲に配置された導電性を有するアース
    座と、 該アース座と前記ねじの前記頭部との間に介装される基
    部と、前記ねじの締め付け前において前記基部から内側
    に向かって一旦前記ねじの前記頭部側に突出した後曲折
    部を経て前記貫通孔内に突出する爪部とを備えた形状記
    憶合金とを設け、 前記形状記憶合金は、所定の温度以下になると、前記爪
    部の前記曲折部が前記ねじの頭部側に移動することを特
    徴とする電子機器の接地構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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