JP2001096557A - ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法及び型内発泡成形装置 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法及び型内発泡成形装置

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JP2001096557A JP27756099A JP27756099A JP2001096557A JP 2001096557 A JP2001096557 A JP 2001096557A JP 27756099 A JP27756099 A JP 27756099A JP 27756099 A JP27756099 A JP 27756099A JP 2001096557 A JP2001096557 A JP 2001096557A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予備発泡ビーズの充填密度を適正に調整可能
で且つ成形ショット間における成形品の重量バラツキの
少ないポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法を提供
する。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡
ビーズを、30〜50℃の範囲内の設定温度を中心とし
た±5℃の一定温度に温度調整するとともに、圧縮充填
圧力を前記設定温度に適応する圧力であって大気圧より
も大きく、{(70−設定温度[℃])/10}kg/cm2
の式で得られる値以下の一定圧力に設定した状態で、成
形型11,12内に圧縮充填し、その後蒸気により加熱
融着せしめてから、冷却して成形型11,12から取り
出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂の型内発泡成形方法及び型内発泡成形装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡
ビーズを用いて成形品を製作する型内発泡成形装置とし
て、図13に示すように、対向配置した1組の成形型1
00、101と、予備発泡ビーズを両成形型100、1
01により形成される成形空間104内に充填するため
の充填器111とを備え、両成形型100、101の背
面側にチャンバ102、103をそれぞれ形成するとと
もに、両成形型100、101にチャンバ102、10
3と成形空間104とを連通する多数の通気孔105、
106をそれぞれ形成し、成形に必要な蒸気や空気や冷
却水などの用役流体をチャンバ102、103に対して
供給するように構成したものが実用化されている。な
お、この事例では、それぞれのチャンバ102、103
の上部に加熱蒸気を供給するための上部用役口107、
108を設け、下部に減圧ポンプあるいはドレン配管に
接続された下部用役口109、110を設けて、成形空
間104に対して蒸気を供給するように構成されてい
る。
【0003】また、成形型100、101に透設された
多数の通気孔105、106は、実際には、0.5mm
φ程度の丸孔や幅0.5mm程度のスリットからなる貫
通孔を複数個透設した外径7〜12mmの蓋を有する筒
体からなるコアベントを、成形型100、101に孔明
け配置したコアベント取付孔に嵌め込んで形成したもの
と、成形型100,101に直接的に形成した0.5m
mφ程度のコアベントホールとで構成され、これらの通
気孔105、106は、成形型100、101に20〜
50mmのピッチで設けられている。
【0004】このような発泡成形装置を用いて発泡成形
品の成形する場合には、先ず、成形型を型閉して成形空
間104を形成し、予備発泡ビーズを原料タンク(図示
略)から充填器111を通じて成形空間104内に送入
して充填し、次に成形空間104内の予備発泡ビーズを
加熱蒸気で加熱し、発泡融着させてから冷却固化し、成
形型100、101を型開して発泡成形品を取り出すこ
とになる。
【0005】一方、各成形ショット間における予備発泡
ビーズの発泡倍率(嵩密度)のバラツキを少なくして成
形品の重量バラツキを少なくする技術として、特開平3
−53929号公報には、予備発泡ビーズの温度を測定
し、その温度に適応するように圧縮充填圧力を設定した
り、予備発泡粒子の温度を圧縮充填圧力に適応するよう
に調整したり、予備発泡ビーズの見掛け密度を測定し、
それに適応するように圧縮充填圧力を調整したり、予備
発泡ビーズの温度及び見掛け密度を測定し、それに適応
するように圧縮充填圧力を調整するように構成したもの
が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記発泡成
形装置を用いた成形方法において、特に改善が望まれて
いる課題の1つとして、成形空間104内の特定部位に
おける予備発泡ビーズの充填密度と、他の部位の充填密
度とに大きな差異が生じることがあるという課題であ
る。特定部位としては、(1)複雑形状の成形品の細部
を成形する成形空間104の奥部、(2)成形空間10
4の外周先端部分104aなどがある。
【0007】以下、(1)、(2)における充填密度の
変動の発生原因について詳述するが、その前に、最も一
般的に採用されている予備発泡ビーズの充填方法につい
て簡単に説明する。予備発泡ビーズの充填方法として
は、[1]クラッキング充填法、[2]加圧充填法、[3]圧縮
充填法などが広く採用されている。
【0008】[1]クラッキング充填法は、コア型並びに
キャビティ型に配置された通気孔からだけでは、充填時
に使用する空気を十分に排気できないときに採用する方
法で、充填時に、コア型とキャビティ型とを完全に型閉
めせず(クラッキング)、例えば成形品の底肉厚の10
%だけ開けておき、コア型とキャビティ型間の隙間から
も充填時に使用する空気を排出する方法である。
【0009】[2]加圧充填法は、予備発泡ビーズを収容
した原料タンク内を0.2〜1.5kg/cm2程度に
加圧し、成形空間内を通気孔及びチャンバを通じて大気
圧に開放した状態で、原料タンクと成形空間との差圧を
利用して、成形空間内に予備発泡ビーズを搬送して充填
する方法である。
【0010】[3]圧縮充填法は、原料タンク内の圧力p
を加圧充填法よりも高めの1.0〜5.0kg/cm2
程度に加圧し、一方のチャンバ内を加圧して、通気孔を
通じて連通している成形空間内の圧力p1の差圧(p−
p1)を維持しながら予備発泡ビーズを搬送して充填す
る方法である。
【0011】次に、充填密度の変動の発生原因について
詳述する。 (1)複雑形状の成形品の細部を成形するための成形空
間の奥部に関して 上記3つの充填方法は、要するに原料タンクと成形空間
の間に適度な差圧を設け、この差圧に基づいて生じる空
気の流れに乗せて予備発泡ビーズを送入するものであ
り、図13に例示するような比較的単純な形状の成形空
間104の場合には、予備発泡ビーズが隅々まで充分に
行き渡った状態に充填され、部分的な充填むらも少ない
状態が得られるので、最終的な発泡成形品においても密
度むらが少なく比較的均質な品質を得ることができた。
【0012】しかしながら、図14(a)に例示するよ
うな、コア型101の中央平面に断面袋状の深くて狭い
凹部112(図14では上下に2か所)が設けられてい
る形状、あるいは図14(b)に例示するような、キャ
ビティ型100の中央平面に断面袋状の深くて狭い凹部
113(図14では同じく上下に2か所)が設けられて
いる形状の場合には、予備発泡ビーズの充填の推進力と
なる空気の流れが該部分においてよどみ、予備発泡ビー
ズがこの断面袋状凹部112、あるいは113の奥部ま
で充填されにくく、極端な密度むらが生じたり、その程
度がひどいときには充填欠損のため成形不能になるなど
の不具合が発生した。
【0013】このような問題に対処するため、充填し難
い、凹部に向けて専用の充填器を配置することも試みら
れたが、エア使用量が増加する不具合の他、1つの成形
型で成形可能な成形品の個数を削減せざるを得ず、生産
性が著しく低下するという問題が発生した。その理由
は、通常、成形装置1台あたりの充填器の取付け個数
は、原料タンクの容量あるいは加圧空気の供給能力など
から一定に定められている。例えば、最も汎用な機種で
は充填器の取付け個数は18個に設定されており、成形
品形状が単純な場合では1つの成形空間に対して3個の
充填器を設けるのに対し、成形品形状が複雑なため6個
必要になったと仮定すると、成形型のスペースは本来、
6個取りの余裕があるにもかかわらず、僅か3個取りの
成形型しか設計できなくなってしまい、生産性が半減す
るからである。
【0014】また、充填器の個数が増えると、成形空間
に供給される単位時間あたりの空気量が増えることか
ら、成形空間内における空気圧が充填直後などにおいて
瞬間的に低下したり、成形空間からの空気の排出が追い
つかなくなる等、却って充填密度の変動を引き起こす結
果となることもある。このため、充填器の使用本数、充
填器の配置は、金型設計者にとっては悩みの種であり、
また試行錯誤的要素が非常に多く、標準化が非常に困難
な分野であった。特に、充填器から離れた部分や、前述
の凹部のように幅の狭い有底な部分などに対する予備発
泡ビーズの充填密度は低くなり易く、これらの難充填部
に対する充填密度を適正値にするためには、全体的に充
填密度を高くする必要があり、均一密度のときと比較し
て、成形品重量が重くなる。
【0015】更に、成形性の面から考えてみると、充填
された予備発泡ビーズを蒸気で加熱するときには、充填
密度の低い部分の予備発泡ビーズが十分に融着するよう
に、予備発泡ビーズをより大きく発泡させることが必要
となり、加熱蒸気圧を上げる方向にする必要がある。し
かし、このように充填密度の低い部分に応じて加熱蒸気
圧を上げると、充填密度の高い部分が過剰に加熱された
状態となり、発泡圧力が通常の成形よりも高くなる。こ
のため、成形された成形品を冷却するときに、この高い
発泡圧力を離型可能な発泡圧力まで下げるために長い時
間を要し、成形サイクルが長くなり生産性を落とす。し
かも、加熱や冷却時に、成形品各部の発泡圧力が不均一
になることから離型性が悪く、また充填性が悪いことか
ら、生産性や収率が低下するという問題がある。
【0016】(2)成形空間の外周先端部分に関して 加圧充填法や圧縮充填法では、図13に示すように、両
成形型100、101を完全に型閉した状態で予備発泡
ビーズを成形空間104内に充填する関係上、成形空間
104の外周先端部分104aは行き止まり形状にな
る。このため、原料タンク(図示略)内と成形空間10
4内の差圧により生じる空気の流れが外周先端部104
aにおいてよどみ、予備発泡ビーズが充填されにくく、
密度むらが生じやすい。
【0017】一方、クラッキング充填法では、コア型と
キャビティ型とを完全に型閉めせず、例えば成形品の底
肉厚の10%だけ開けておくので、成形空間の外周先端
部分が行き止まり形状になることはないが、充填後にコ
ア型とキャビティ型とを型閉めする関係上、クラッキン
グ隙間分だけ成形品の底部の密度が他の部分より高くな
って、密度むらが生じるという別の問題がある。
【0018】また、クラッキング充填法においても、予
備発泡ビーズの充填後、両成形型を完全に型閉すると、
成形空間の外周先端部分が行き止まり形状になることか
ら、予備発泡ビーズの蒸気による加熱、冷却水による冷
却、成形品の離型に際して次のような問題が発生する。
【0019】予備発泡ビーズの加熱時には、例えば一方
のチャンバから他方のチャンバに向けて加熱蒸気を供給
することで、成形空間内の予備発泡ビーズに加熱蒸気を
通すことになるが、図14に示すように、成形空間10
4の外周先端部分104aが行き止まり形状になってい
ると、外周先端部分104aに対して加熱蒸気が到達し
にくいうえ、比較的熱容量が大きい成形型の外周部10
0a、101aに熱量が流れてしまうので、外周先端部
分104aの予備発泡ビーズの温度が上がりにくく、昇
温が他の部分より相当遅れるため、加熱工程の時間を長
くせざるを得ず、結局、成形時間全体が長くなるという
問題があった。
【0020】成形品の冷却時には、チャンバ102、1
03内に配置した図示外のノズルから成形型100、1
01に対して冷却水を噴霧したり、チャンバ102、1
03を減圧して成形型の付着水や成形空間104内の水
分を蒸発させ、そのときの気化熱によって発泡成形品を
成形型とともに冷却するのであるが、このときは、先に
説明した予備発泡ビーズの加熱時とは反対に、成形型の
外周部100a、101aからの伝熱で成形空間104
の外周先端部分104aが冷めにくく、発泡成形品の成
形空間104の外周先端部分104aに位置する部分を
十分冷却するのに時間がかかるという問題があった。
【0021】成形品の離型時には、成形型100、10
1を型開きした状態で、キャビティ型100の背面側か
らエジェクタピン(図示せず)で発泡成形品を押し出し
て、発泡成形品を成形型から取り出すが、コア型101
を型開きしたとき、成形型の外周部100a、101a
とフレーム114、115に囲まれた、金型装置の合わ
せ目に当たる型間空洞部116に溜まっていた水が流れ
落ちて製品である発泡成形品を濡らしてしまうという問
題があった。
【0022】本発明の目的は、成形ショット間における
成形品の重量バラツキが少なく、成形空間の各部におけ
る予備発泡ビーズの充填密度を適正に調整可能なポリオ
レフィン系樹脂の型内発泡成形方法及び型内発泡成形装
置を提供するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段及びその作用】請求項1に
係るポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法は、ポリ
オレフィン系樹脂からなる予備発泡ビーズを、30〜5
0℃の範囲内の設定温度を中心とした±5℃の一定温度
に温度調整するとともに、圧縮充填圧力を前記設定温度
に適応する圧力であって大気圧よりも大きく、{(70
−設定温度[℃])/10}kg/cm2の式で得られる値以
下の一定圧力に設定した状態で、成形型内に圧縮充填
し、その後蒸気により加熱融着せしめてから、冷却して
成形型から取り出すものである。
【0024】この成形方法においては、30〜50℃の
設定温度に温度調整し、圧縮充填圧力(圧縮充填時にお
ける成形空間の内圧)をこの設定温度に適応する圧力で
あって大気圧よりも大きく、{(70−設定温度
[℃])/10}kg/cm2の式で得られる値以下の一定圧
力に設定するので、成形ショット間における成形品の重
量バラツキを格段に少なくできる。つまり、予備発泡ビ
ーズは、その製作上の制約から、ビーズ1粒ずつを同一
嵩密度に発泡させることは困難で、目標となる嵩密度を
中心として、前後に倍率分布を持つ粒子の混合体とな
る。このため、サイロから成形空間への移送過程におい
て、どうしても分級が発生することから、成形ショット
毎に使用する予備発泡ビーズの嵩密度にバラツキが発生
して、成形ショット毎の成形品重量にバラツキが発生し
ようとするが、本発明では、予備発泡ビーズの温度を一
定な設定温度に管理するとともに、圧縮充填圧力をこの
設定温度に適応する圧力に設定することで、成形品の重
量バラツキを防止できる。
【0025】但し、予備発泡ビーズの見掛け密度に応じ
て、あるいは見掛け密度と温度とに応じて、圧縮充填圧
力を設定するようにしてもよいが、見掛け密度を測定す
るための手段は大掛かりなものであり、しかも温度調整
に比して嵩密度(発泡倍率)のバラツキの調整能力が小
さいので、温度を一定に調整することが好ましい。ま
た、変動する予備発泡ビーズの温度に応じて圧縮充填圧
を調整することも可能であるが、圧縮充填圧の調整は温
度調整よりも煩雑な制御が必要になるので、予備発泡ビ
ーズの温度が一定に調整することが好ましい。
【0026】また、予備発泡ビーズの温度は、設定温度
に厳密に調整することが最も好ましいが、直接的に温度
測定することが困難なので、設定温度に対してある程度
の幅をもたせることになるが、その幅が設定温度±5℃
の範内であれば、比較的容易に温度調整可能で、しかも
各成形ショット間における成形品の嵩密度のバラツキ
を、成形品の品質に悪影響を及ぼさない程度に低減でき
るので好ましい。更に、ポリオレフィン系樹脂からなる
予備発泡ビーズは、素材自体が軟らかく、しかもガス透
過性が高いことから、同一発泡倍率のポリスチレン系樹
脂からなる予備発泡ビーズよりも格段に粒子形状が変形
しやすく、充填性を一層向上できるので好ましい。
【0027】請求項2記載の成形方法は、圧縮充填開始
前の予備発泡ビーズの温度条件で、成形品密度を予備発
泡ビーズの嵩密度で除算して得られる予備発泡ビーズの
圧縮比が1.2〜1.5となる圧縮充填圧力に設定する
ものである。つまり、圧縮比が1.2未満の場合には予
備発泡ビーズが十分に発泡せず、離型後に成形品が大幅
に収縮したり、ビーズ間に隙間が形成されたりして、良
品が得られないという問題がある。また、圧縮比が1.
5を越える場合には、充填後の成形空間内におけるビー
ズ粒子間が非常に狭くなり、加熱蒸気がビーズ粒子間を
通過せず融着不良となったり、加熱蒸気が通過した箇所
のみ過剰発泡し、成形品に割れが発生するとともに、冷
却時間が長くなるという問題があるので、圧縮比が1.
2〜1.5となるように圧縮充填圧力を設定することが
好ましい。
【0028】また、前記圧縮比は、従来の成形方法で
は、十分な充填性能を確保するため、一般的には1.4
以上に設定され、薄肉深物形状の成形品を成形する場合
には、1.5〜1.6以上に保つ必要がある。ところ
が、このように圧縮比を高く設定した場合、予備発泡ビ
ーズ同士が融着するのに必要な蒸気温度に対して樹脂発
泡圧が高くなってしまい、長い冷却サイクルを必要と
し、生産性が低下する。本発明では、圧縮比を低く設定
しているので生産性を向上できるとともに、成形品の嵩
密度と予備発泡ビーズの嵩密度とを接近させることで、
予備発泡ビーズの輸送効率や保管効率を高めることが可
能となる。特に、請求項4記載のように成形すること
で、成形品各部における予備発泡ビーズの充填密度を一
様に設定できるので、成形品の品質を十分に確保しつつ
生産性を向上することが可能となる。
【0029】請求項3記載の成形方法は、前記予備発泡
ビーズとして、ポリオレフィン系樹脂からなり、セル径
が100〜900μm、発泡倍率が5〜60倍、DSC
2’ndピーク比が8〜60%、独立気泡率が65%以
上のポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡ビーズを用
いたものである。
【0030】この成形方法においては、予備発泡ビーズ
として、セル径が100〜900μm、発泡倍率が5〜
60倍、DSC2’ndピーク比が8〜60%、独立気
泡率が65%以上のものを使用しているので、下記のよ
うに成形品の表面性を向上し、その外観の見栄性を向上
できるとともに、成形時の加熱条件に対する制約を緩和
して、成形性及び省エネ性を向上できる。
【0031】セル径は、100μm未満の場合には、成
形時に表面伸びが悪く、ヒケ易く、表面外観の見栄えが
劣るという問題があり、900μmを越える場合には、
セル径が不均一になり易く、セル径が大きいため表面の
きめが粗く、表面外観が劣るという問題があるので、1
00〜900μmの範囲内に設定することが好ましい。
発泡倍率は、特に制限はないが5〜60倍(発泡ビーズ
の嵩倍率)程度が好ましい。
【0032】DSC2’ndピーク比は、8%〜60%
に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比と
は、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に
起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC
(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温
側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピー
ク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭
く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越
えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形
機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点
からもマイナスとなるので8〜60%に設定することが
好ましい。
【0033】独立気泡率は、65%未満の場合には、成
形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着さ
せたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、
目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以上
に設定することが好ましい。
【0034】請求項4記載の成形方法は、成形空間にお
ける用役流体を制御するための少なくとも3つのチャン
バであって、成形空間に連通するコア型背面側の第1チ
ャンバと、成形空間に連通するキャビティ型背面側の第
2チャンバと、成形空間のうちの予備発泡ビーズが充填
されにくい難充填部に連通する第3チャンバとを備えた
型内発泡成形装置を用い、予備発泡ビーズを前記設定温
度に調整するとともに、この設定温度に適応する前記圧
縮充填圧力に無機ガスにより圧縮した状態で、各チャン
バの無機ガス圧を個別に或いはいずれかの組み合わせに
より制御しながら、成形空間内に予備発泡ビーズを圧縮
充填するものである。
【0035】この成形方法においては、ポリオレフィン
系樹脂からなる予備発泡ビーズを無機ガスで圧縮した状
態で、3つのチャンバの無機ガス圧を個別に或いはいず
れかの組み合わせにより制御し、圧縮した予備発泡ビー
ズを無機ガスの流れに乗せて成形空間内へ充填する新し
い圧縮充填方法を採用しているので、例えば予備発泡ビ
ーズが充填されにくい難充填部に対して先に予備発泡ビ
ーズが充填されるように、各チャンバの無機ガス圧を制
御することで、成形品の各部における充填密度を一様に
設定できる。このため予備発泡ビーズが充填されにく
い、例えば薄肉な仕切壁を有するような成形品でも、充
填器の個数を増やすことなく、成形品の各部における充
填密度を適正な値に設定できる。また、強度、剛性を高
めたい部分に対して先に予備発泡ビーズを充填すると、
該部分における充填密度を局部的に高めてその強度を高
めることが可能となる。難充填部への予備発泡ビーズの
送入操作は、難充填部に対して集中的に予備発泡ビーズ
が充填されるように複数回に分けて行ってもよい。
【0036】請求項5記載の成形方法は、前記第3チャ
ンバとして、コア型とキャビティ型間のクリアランスを
介して成形空間に連通する単数又は複数のチャンバを備
えたものである。この場合には、クリアランスを介して
成形空間の外周部に流入した充填用の無機ガスを効率的
に外部へ排出できるので、例えば底の深い容器等を製作
するときには、容器の開口縁に対応する位置にクリアラ
ンスが形成されるように構成することで、充填器の個数
を増やすことなく、予備発泡ビーズの充填密度を適正に
設定でき、容器の品質を向上することが可能となる。
【0037】請求項6記載の成形方法は、前記第3チャ
ンバとして、予備発泡ビーズが充填され難い有底な幅狭
状の仕切壁成形部の奥部に連通する単数又は複数のチャ
ンバを備え、予備発泡ビーズの充填時に、仕切壁成形部
に対して先に予備発泡ビーズが充填されるように3つの
チャンバの無機ガス圧を制御するものである。この場合
には、充填密度を十分に確保できないことから、従来成
形困難であると考えられていた例えば厚さ20mm以下
の仕切壁を有するような複雑形状の成形品でも、仕切壁
成形部に対して先に予備発泡ビーズを充填することで、
仕切壁成形部における予備発泡ビーズの充填密度を高め
て、適正な密度の品質のよい成形品を製作するとが可能
となる。
【0038】請求項7記載の成形方法は、前記第3チャ
ンバとして、予備発泡ビーズの充填器から離れている成
形空間の遠隔部の奥部に連通する単数又は複数のチャン
バを備え、予備発泡ビーズの充填時に、遠隔部に対して
先に予備発泡ビーズが充填されるように無機ガス圧を制
御するものである。このように構成すると、予備発泡ビ
ーズの充填密度が低下し易い遠隔部の充填密度を十分に
確保でき、品質のよい成形品を製作することが可能とな
る。
【0039】予備発泡ビーズとしては、ポリオレフィン
系樹脂からなるものであれば任意の素材からなるものを
採用できるが、安価で且つ入手が容易なことから、請求
項8記載のようにポリプロピレン系樹脂や、請求項9記
載のようにポリエチレン系樹脂からなるものを採用する
ことが好ましい。
【0040】請求項10に係る型内発泡成形装置は、予
備発泡ビーズを加温するための温調槽から成形空間に延
びる配管の途中部に加圧タンクを介装し、この温調槽に
加熱手段を、加圧タンクに加熱手段あるいは保温手段を
設けて、温調槽内においてポリオレフィン系樹脂からな
る予備発泡ビーズを連続的又は断続的に加熱処理して、
加圧タンク内で30〜50℃の範囲内の設定温度を中心
とした±5℃の一定温度に温度調整するものである。
【0041】この成形装置では、加熱或いは温調可能な
加圧タンクに供給された予備発泡ビーズを、30〜50
℃の範囲内の設定温度を中心とした±5℃の一定温度に
温度調整するので、請求項1と同様に、成形ショット間
における重量バラツキの少ない成形品を製作することが
可能となる。また、成形ショット間における成形品の重
量バラツキは、予備発泡ビーズの温度と圧縮充填圧力と
により調整できるのであるが、本発明では予備発泡ビー
ズの温度を調整するので、圧縮充填圧力を制御する場合
と比較して制御が容易になるので好ましい。
【0042】請求項11記載の成形装置は、前記成形空
間における用役流体を制御するための少なくとも3つの
チャンバであって、成形空間に連通するコア型背面側の
第1チャンバと、成形空間に連通するキャビティ型背面
側の第2チャンバと、成形空間のうちの予備発泡ビーズ
が充填されにくい難充填部に連通する第3チャンバとを
備え、各チャンバの無機ガス圧を個別に或いはいずれか
の組み合わせにより制御しながら、成形空間内に予備発
泡ビーズを圧縮充填するものである。この成形装置にお
いては、3つのチャンバの無機ガス圧を個別に或いはい
ずれかの組み合わせにより制御しながら、成形空間内に
予備発泡ビーズを圧縮充填するので、請求項4と同様
に、成形品の各部における充填密度を一様に設定でき
る。また、強度、剛性を高めたい部分に対して先に予備
発泡ビーズを充填することで、該部分における充填密度
を局部的に高めてその強度を高めることが可能となる。
【0043】請求項12記載の成形装置は、前記第3チ
ャンバとして、コア型とキャビティ型間のクリアランス
を介して成形空間に連通する単数又は複数のチャンバを
備えたものである。このように構成すると、請求項5と
同様に、この場合には、クリアランスを介して成形空間
の外周部に流入した充填用の無機ガスを効率的に外部へ
排出できるので、例えば底の深い容器等を製作するとき
には、容器の開口縁に対応する位置にクリアランスが形
成されるように構成することで、充填器の個数を増やす
ことなく、予備発泡ビーズの充填密度を適正に設定で
き、容器の品質を向上することが可能となる。
【0044】請求項13記載の成形装置は、前記第3チ
ャンバとして、予備発泡ビーズが充填され難い有底な幅
狭状の仕切壁成形部の奥部に連通する単数又は複数のチ
ャンバを備え、予備発泡ビーズの充填時に、仕切壁成形
部に対して先に予備発泡ビーズが充填されるように3つ
のチャンバの無機ガス圧を制御するものである。この場
合には、請求項6と同様に、充填密度を十分に確保でき
ないことから、従来成形困難であると考えられていた例
えば厚さ20mm以下の仕切壁を有するような複雑形状
の成形品でも、仕切壁成形部に対して先に予備発泡ビー
ズを充填することで、仕切壁成形部における予備発泡ビ
ーズの充填密度を高めて、適正な密度の品質のよい成形
品を製作するとが可能となる。
【0045】請求項14記載の成形装置は、前記第3チ
ャンバとして、予備発泡ビーズの充填器から離れている
成形空間の遠隔部の奥部に連通する単数又は複数のチャ
ンバを備え、予備発泡ビーズの充填時に、遠隔部に対し
て先に予備発泡ビーズが充填されるように無機ガス圧を
制御するものである。この場合には、請求項7と同様
に、予備発泡ビーズの充填密度が低下し易い遠隔部の充
填密度を十分に確保でき、品質のよい成形品を製作する
ことが可能となる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。先ず、成形品の構成に
ついて説明する。図1、図2に示すように、成形品1
は、ポリオレフィン系樹脂製の予備発泡ビーズを用いて
後述の型内発泡成形装置10を用いて一体成形したもの
で、有底な箱状の本体部2と、本体部2内を複数の収容
空間3に区画する仕切壁4とを備え、収容空間3内に各
種物品を整列状に収容するように構成した集合包装体で
ある。尚、成形品1のサイズや形状、収容空間3の個数
は、図1、図2に例示した構成に限定されるものではな
く、収容する物品のサイズや形状、収容個数などに応じ
て任意に設定できる。また、後述する型内発泡成形装置
10及び成形方法では、このような複雑な形状の成形品
1や、自動車のバンパーの芯材などのように成形品の強
度及び重量に対する制約が厳しい成形品を成形するのに
好適であるが、単なる箱状や板状の単純な形状の成形品
を成形することも可能である。
【0047】仕切壁4の厚さTは20mm以下に設定さ
れ、仕切壁4の高さH(mm)と厚さT(mm)とは、
H/T≧10の関係式が成り立つように構成されてい
る。このような構成の仕切壁4を有する成形品1は、従
来の成形方法では成形困難であったが、後述する本発明
の成形方法により品質を低下させることなく成形でき
る。また、仕切壁4には所定の抜き勾配が形成され、成
形品1を離型するときに、仕切壁4が破損しないように
構成されている。
【0048】次に、この型内発泡成形装置で使用する予
備発泡ビーズについて説明する。予備発泡ビーズの素材
としては、製作する成形品1の使用条件などに応じた物
性の素材を選択することになるが、ポリエチレン系樹脂
やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系合成樹
脂材料、あるいはこれらの合成樹脂材料の共重合体など
が採用されている。具体的には、エチレンプロピレンラ
ンダムポリプロピレン樹脂、エチレンプロピレンブロッ
クポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレンエチレンプ
ロピレンブテンランダムターポリマー、直鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)、架橋低密度ポリエチレン
(架橋LDPE)などを好適に利用できる。予備発泡ビ
ーズとして、ポリスチレン系樹脂からなる予備発泡ビー
ズを用いることも可能であるが、ポリオレフィン系樹脂
の予備発泡ビーズの方が、素材自体が軟らかく、しかも
ガス透過性が高いことから、同一発泡倍率のポリスチレ
ン系樹脂からなる予備発泡ビーズよりも格段に粒子形状
が変形しやすので、本発明の目的であるところの充填性
の改善効果を発揮する上で好ましい。しかも、ポリスチ
レン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂よりも予備発泡ビ
ーズの形状のバラツキが大きくて充填性が劣るのが一般
的であることからも、ポリオレフィン系合成樹脂材料か
らなる予備発泡ビーズの方が本願の充填方法の効果が表
われやすいのである。
【0049】予備発泡ビーズのセル径は、100μm未
満の場合には、成形時に表面伸びが悪く、ヒケ易く、表
面外観の見栄えが劣るという問題があり、900μmを
越える場合には、セル径が不均一になり易く、セル径が
大きいため表面のきめが粗く、表面外観が劣るという問
題があるので、100〜900μmの範囲内、より好ま
しくは150〜700μm、特に好ましくは170〜5
50μmに設定することになる。発泡倍率は、特に制限
はないが5〜60倍(発泡ビーズの嵩倍率)程度が好ま
しい。
【0050】DSC2’ndピーク比は、8%〜60%
に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比と
は、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に
起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC
(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温
側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピー
ク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭
く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越
えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形
機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点
からもマイナスとなるので8〜60%、より好ましくは
10〜50%、特に好ましくは15〜40%に設定する
ことになる。
【0051】独立気泡率は、65%未満の場合には、成
形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着さ
せたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、
目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以
上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%
以上に設定することになる。
【0052】次に、型内発泡成形装置の構成について説
明する。図3、図4に示すように、型内発泡成形装置1
0は、対向配置したコア型11及びキャビティ型12
と、コア型11とキャビティ型12とで形成される成形
空間13内に予備発泡ビーズを充填するためのビーズ充
填手段と、成形空間13内に充填された予備発泡ビーズ
を蒸気により加熱、発泡、融着させる蒸気供給手段と、
成形品1を冷却するための冷却手段とを備えている。
尚、成形空間13に対する予備発泡ビーズの充填には、
空気以外の窒素ガスなどの無機ガスを用いてもよいが、
ここでは清浄な空気を用いて充填する場合について説明
する。
【0053】コア型11及びキャビティ型12は、枠状
フレーム14と裏板15とを有するハウジング16にそ
れぞれ取り付けられ、コア型11の背面側には第1チャ
ンバ17が、またキャビティ型12の背面側には第2チ
ャンバ18がそれぞれ形成されている。
【0054】コア型11及びキャビティ型12には、図
3〜図6に示すように、コアベント20やコアベントホ
ール21からなる通気孔22が形成され、成形空間13
とチャンバ17,18とは通気孔22を介して連通され
ている。コアベント20は、図5、図6に示すように、
コア型11及びキャビティ型12に形成した取付孔23
に装着される部材であって、底面に予備発泡ビーズの直
径よりも小径な貫通孔22a或いは長孔22bを複数形
成した有底な筒体のことであり、コアベントホール21
は、図5に示すように、コア型11及びキャビティ型1
2に形成した、予備発泡ビーズの直径よりも小径な貫通
孔のことである。
【0055】尚、本実施例では、成形型11,12とし
て複数の通気孔22をそれぞれ形成したものを用いた
が、これらの通気孔22を略完全に或いは完全に省略し
た成形型を用いてもよい。このような成形型を用いる場
合には、両成形型を型閉めした状態で、両成形型の合わ
せ目部分やその付近或いは充填器やエジェクタピンの周
囲に、成形空間と外部の配管とを連通させるためのスリ
ットや貫通孔を形成して、予備発泡ビーズの充填用エア
や蒸気などの用役流体を制御することになる。このよう
な成形型を用いると、通気孔22の跡が成形品に形成さ
れないので、表面美麗な成形品が得られること、通気孔
の形成作業がほとんど不要になったり完全に不要となる
ので、成形型の製作コストを低減できること、成形型を
薄肉に構成できるので、蒸気による加熱等の応答性を向
上できること、成形空間内とチャンバー17,18内に
おける蒸気等の用役流体を個別に制御できるので、成形
品の表面性と内部の融着率とを独立に制御でき、成形品
特性に対する自由度を拡大できること、などの優れた効
果を得ることが可能となる。
【0056】チャンバ17,18は、用役弁SV1、S
V2及び切替弁SWV1、SWV2を介して蒸気供給管
25及びエア供給管26にそれぞれ接続されるととも
に、ドレン弁DV1、DV2及び切替弁SWV3、SW
V4を介して、ドレン管27及び真空ポンプPが介装さ
れた減圧管28にそれぞれ接続されている。そして、用
役弁SV1,SV2と、ドレン弁DV1,DV2と、切
替弁SWV1,SWV2の操作により、チャンバ17,
18に対して蒸気や圧縮空気などの用役流体を個別に供
給或いは排出できるように構成されている。
【0057】ビーズ充填手段について説明すると、図3
に示すように、予備発泡ビーズを貯留するための原料タ
ンク29が設けられ、原料タンク29には吸気管30が
接続され、吸気管30の途中部には吸気弁V1が介装さ
れ、吸気弁V1を制御することで、原料タンク29の内
圧が調整される。
【0058】キャビティ型12側の裏板15には成形空
間13に開口する充填器31が取付けられ、原料タンク
29にはシャッター32が付設され、充填器31は充填
管33を介して原料タンク29のシャッター32に接続
され、原料タンク29に充填された予備発泡ビーズは、
空気の流れに乗って充填器31から成形空間13内へ供
給されるように構成されている。充填器31には充填エ
ア供給管34が接続され、充填エア供給管34の途中部
に介装した充填エア弁V2により、適正圧力の充填エア
が供給されるような構成となっている。
【0059】原料タンク29はチャンバ17,18の内
圧以上の加圧状態に設定され、原料タンク29に貯留さ
れた予備発泡ビーズは、圧縮された状態で、原料タンク
29から成形空間13への空気の流れに乗って、成形空
間13に充填されるように構成されている。
【0060】また、シャッター32と充填管33との間
には調整エア供給管35が接続され、調整エア供給管3
5の途中部に介装した調整エア弁V3により、充填管3
3に対して適正圧力の調整エアが供給され、予備発泡ビ
ーズは調整エアで希釈されながら、原料タンク29から
充填管33に供給される。また、調整エアの供給量を変
えることで、充填管33に対し供給される予備発泡ビー
ズの単位時間当たりの供給量、つまり後述する最終希釈
度合が調整される。但し、スクリューコンベア等の供給
手段により原料タンク29から充填管33に対して予備
発泡ビーズを供給することも可能であり、この場合に
は、調整エア弁V3及び調整エア供給管35を省略し、
スクリューコンベアの回転速度を変えることでことで、
成形空間13に対する予備発泡ビーズの単位時間当たり
の供給量を調整することになる。
【0061】本発明の特徴とする第1の構成は、成形空
間13のうちの予備発泡ビーズが充填されにくい難充填
部に連通する第3チャンバを設け、この第3チャンバを
介して充填用の空気を排出することで、難充填部に対す
る予備発泡ビーズの流入を促進して、難充填部における
予備発泡ビーズの充填密度を適正に設定した点にある。
【0062】難充填部としては、例えば成形空間13の
外周先端部分13aや、仕切壁4を成形する仕切壁成形
部13bの奧部や、充填器31から離れている成形空間
13の遠隔部の奥部などが考えられる。
【0063】外周先端部分13aの難充填部における充
填性を改善するため、型閉めした状態で、コア型11と
キャビティ型12間にはスリット状のクリアランス40
が形成され、コア型11及びキャビティ型12のフラン
ジ部11a,12a間には第3チャンバとしての型間空
洞部41が形成され、外周先端部分13aの難充填部は
クリアランス40を介して型間空洞部41に連通されて
いる。型間空洞部41は、用役弁SV3及び切替弁SW
V1、SWV2を介して蒸気供給管25及びエア供給管
26にそれぞれ接続されるとともに、ドレン弁DV3及
び切替弁SWV3、SWV4を介して、ドレン管27及
び真空ポンプPが介装された減圧管28にそれぞれ接続
され、型間空洞部41の内圧を制御することで、外周先
端部分13aの難充填部の内圧を調整できるように構成
されている。但し、型間空洞部41は、予備発泡ビーズ
の充填性を改善するだけであれば、ドレン管にのみ接続
すればよく、必ずしも蒸気供給管25やエア供給管26
や減圧管28に接続する必要はないが、これらの管に接
続することで、後述のように型間空洞部41における充
填用の空気以外の用役流体を制御して、予備発泡ビーズ
の加熱や成形品1の冷却及び離型時における種々のメリ
ットが得られるので好ましい。
【0064】クリアランス40の開口幅は、予備発泡ビ
ーズの直径よりも小さく設定され、予備発泡ビーズの充
填時に、予備発泡ビーズとともに成形空間13に供給さ
れる充填用の無機ガスのみが通過して、予備発泡ビーズ
が成形空間13に残留するように構成されている。但
し、クリアランス40はコア型11及びキャビティ型1
2の全周に亙って形成してもよいし、必要部分にのみ局
部的に設けてもよい。また、図7に示すように、クリア
ランス40を隔壁42により複数(図例では2つ)に区
画し、これら複数のクリアランス40に対応させて型間
空洞部41を設け、複数の型間空洞部41に対して充填
用の空気やその他の用役流体を個別に制御できるように
構成してもよい。
【0065】仕切壁成形部13bの奧部の難充填部にお
ける充填性を改善するため、仕切壁成形部13bの奧部
には貫通孔43が形成され、この貫通孔43に接続され
た排気管44は、ドレン弁DV4及び切替弁SWV3、
SWV4を介して、ドレン管27及び減圧管28にそれ
ぞれ接続されている。この場合には、排気管44の管内
空間45が第3チャンバとして機能し、仕切壁成形部1
3bの奧部に流入した充填用空気は貫通孔43及び排気
管44を介して排出されるように構成されている。尚、
貫通孔43は、前記クリアランス40と同様に、充填性
のみを改善するのであれば、ドレン管27にのみ接続す
ればよいのであるが、蒸気供給管25やエア供給管26
や減圧管28などの他の配管に接続して、より木目細か
な用役流体の制御を行うようにしてもよい。
【0066】貫通孔43は、丸孔状やスリット状などの
任意の形状に形成することが可能であるが、いずれにし
ても予備発泡ビーズがこの貫通孔43を通って排気管4
4側へ流入しないような開口幅に形成することになる。
また、充填器31から離間した遠隔部やその他の部位に
おいても、予備発泡ビーズが充填され難い場合には、仕
切壁成形部13bの奧部と同様に貫通孔を形成して排気
管と接続し、充填用の空気を排出するように構成するこ
とが可能である。
【0067】本発明の特徴とする第2の構成は、成形空
間13に供給する予備発泡ビーズの温度を所定の設定温
度に調整し、これに適応させて圧縮充填圧力(圧縮充填
時における成形空間の内圧)を設定した点にある。具体
的には、原料ビーズはビーズ温調槽38で設定温度に加
温され、原料供給弁V4を介して原料タンク29に供給
される。ここで、ビーズ温調槽38には予備発泡ビーズ
を加熱するための加熱手段39を設けるとともに温度セ
ンサ37aを設け、温度センサ37aからの信号に基づ
いて加熱手段39による加熱温度を制御することによ
り、予備発泡ビーズの温度を設定温度に調整することに
なる。但し、ビーズ温調槽38の内壁を断熱材で構成し
たり外壁を断熱材で構成し、ビーズ温調槽38の保温性
を高めるとともに、ビーズ温調槽38内の雰囲気温度が
一様になるように、加熱手段39として例えば熱風ブロ
ワを用い、ビーズを攪拌しながら温調することが好まし
い。また、予備発泡ビーズの温度をより厳密に調整する
ため、温度センサ37aを複数設けて、その平均温度を
予備発泡ビーズの温度として用いてもよい。ビーズ温調
槽38から原料タンク29へ予備発泡ビーズを搬送する
ための配管は保温し、原料輸送のための空気の温度も予
め調整することが好ましい。原料タンク29には温調手
段36を設けるとともに、原料タンク29内の雰囲気温
度を測定するための温度センサ37bを設け、この温度
センサ37bからの信号に基づきビーズ温調槽38の温
度設定の変更、或いは温調手段36の温度を制御するこ
とにより、充填前の予備発泡ビーズの温度を一定にする
ことができる。
【0068】加熱手段39としては、任意の構成の加熱
手段を採用できるが、成形時に加熱蒸気を用いるので、
加熱蒸気を利用した加熱手段を設けることが設備経済上
好ましい。その他、加熱手段として電気ヒータ等が挙げ
られ、加熱蒸気を利用した加熱手段と電気ヒータ等の加
熱手段とを併用してもよい。温調手段36としては、成
形工場では冷却水温度を30〜50℃に管理しているこ
とより、この冷却水を利用した温調を行うことが、設備
経済上好ましい。予備発泡ビーズの加熱温度は、常温以
上、融点以下の任意の温度に設定できるが、高温域での
ビーズの劣化或いは低温域での夏場の温度管理、冬場の
省エネを考慮すると、30℃〜80℃、さらに、成形機
の低圧縮圧力域或いは高圧縮圧力域での圧縮充填圧力の
制御精度、ビーズ圧縮特性を考慮すると、30℃〜50
℃に設定することが好ましい。また、成形品の機械的強
度及び重量を安定化させるため、予備発泡ビーズの温度
は、設定温度±5℃の範囲内に調整することが好まし
い。
【0069】また、予備発泡ビーズの圧縮充填圧力は、
例えば次のような試験を行って予め設定することにな
る。先ず、前記設定温度に対する最適な圧縮充填圧力を
求めるために行った試験について説明する。成形品とし
て、ポリプロピレン製の予備発泡ビーズを用いて、外寸
で長さ1158.6mm、幅144.3mm、厚み11
4.3mmの自動車バンパーの芯材を次のようにして製
作した。
【0070】先ず、嵩密度の異なる複数種類の予備発泡
ビーズを用い、これを24℃の設定温度に保った状態で
4.0kg/cm2の圧縮充填圧力で成形空間に圧縮充填し、
その後蒸気により予備発泡ビーズを加熱融着させて、予
備発泡ビーズのビーズ嵩密度の異なる複数種類の成形品
を製作した。また、圧縮充填圧力のみを変更して、3.
5kg/cm2、3.0kg/cm2にそれぞれ設定した場合の成形
品も同様にして製作した。そして、各圧縮充填圧力にお
ける、予備発泡ビーズのビーズ嵩密度と乾燥後の成形品
重量との関係を求め図8に示す結果を得た。
【0071】次に、嵩密度の異なる複数種類の予備発泡
ビーズを用い、これを40℃の設定温度に保った状態で
3.5kg/cm2の圧縮充填圧力で成形空間に圧縮充填し、
その後蒸気により予備発泡ビーズを加熱融着させて、予
備発泡ビーズのビーズ嵩密度の異なる複数種類の成形品
を製作した。また、圧縮充填圧力のみを変更して、3.
0kg/cm2、2.5kg/cm2、2.0kg/cm2にそれぞれ設定
した場合の成形品も同様にして製作した。そして、各圧
縮充填圧力における、予備発泡ビーズのビーズ嵩密度と
乾燥後の成形品重量との関係を求め図9に示す結果を得
た。
【0072】次に、嵩密度の異なる複数種類の予備発泡
ビーズを用い、これを55℃の設定温度に保った状態で
3.0kg/cm2の圧縮充填圧力で成形空間に圧縮充填し、
その後蒸気により予備発泡ビーズを加熱融着させて、予
備発泡ビーズのビーズ嵩密度の異なる複数種類の成形品
を製作した。また、圧縮充填圧力のみを変更して、2.
5kg/cm2、2.0kg/cm2、1.5kg/cm2、1.0kg/cm2
にそれぞれ設定した場合の成形品も同様にして製作し
た。そして、各圧縮充填圧力における、予備発泡ビーズ
のビーズ嵩密度と乾燥後の成形品重量との関係を求め図
10に示す結果を得た。
【0073】本発明において最も好ましい成形条件は、
予備発泡ビーズの嵩密度が、サイロから成形空間への予
備発泡ビーズの移送過程における分級により変動して
も、成形品重量が一様になるような成形条件を得ること
であり、図8〜図10に示す試験結果から判るように、
予備発泡ビーズ温度を24℃に設定した場合には、圧縮
充填圧力を3.5kg/cm2に設定したときに、また予備発
泡ビーズ温度を40℃に設定した場合には、圧縮充填圧
力を2.0kg/cm2に設定したときに、更に予備発泡ビー
ズ温度を55℃に設定した場合には、圧縮充填圧力を
1.0kg/cm2に設定したときに、線図がそれぞれ略水平
になって、予備発泡ビーズの嵩密度が変化しても成形品
重量がほとんど変化していないことが判る。
【0074】つまり、成形空間内に充填する予備発泡ビ
ーズの温度に応じて圧縮充填圧力を設定することで、予
備発泡ビーズの嵩密度が変化しても成形品重量が変化し
ないように成形品を製作できることが判る。また、圧縮
充填圧力を調整するよりも予備発泡ビーズの温度を調整
する方が制御し易いので、成形空間内に充填する予備発
泡ビーズの温度を予め設定した設定温度になるように温
度調整し、圧縮充填圧力は該設定温度に応じた圧縮充填
圧力に固定することが好ましい。
【0075】設定温度は、温度調整のためのエネルギー
消費量を少なくしてランニングコストを低下するため、
30〜50℃の範囲内に設定することが好ましい。ま
た、予備発泡ビーズの温度測定は、直接的に測定するこ
とが困難なので、予備発泡ビーズを充填している原料タ
ンク等に温度センサを付設して測定することになるが、
測定温度と実際の温度との温度差が大きくなると、予備
発泡ビーズの嵩密度に応じて成形品重量が大きく変動す
るので、測定温度は設定温度±5℃内に設定することが
好ましい。
【0076】圧縮充填圧力は、前記設定温度に適応する
圧力に設定することになる。具体的には、大気圧よりも
大きく、図8〜図10から判るように{(70−設定温
度[℃])/10}kg/cm2の式で得られる値以下に設定
することになる。より好ましくは、0.5kg/cm2以上、
{(70−設定温度[℃])/10}kg/cm2の式で得ら
れる値以下に設定することになる。
【0077】次に、前記試験結果を検証するために行っ
た、検証試験について説明する。前記成形品と同じサイ
ズの成形品を製作すべく、嵩密度59〜64g/Lの範
囲内の複数種類のポリプロピレン製の予備発泡ビーズを
用い、これを40℃の設定温度に保った状態で2.5kg
/cm2の圧縮充填圧力で成形空間に圧縮充填し、その後蒸
気により予備発泡ビーズを加熱融着させて、ビーズ嵩密
度の異なる100個の成形品を製作した。そして、これ
ら成形品の予備発泡ビーズのビーズ嵩密度と成形品重量
との関係を求め、図11に示す結果を得た。
【0078】次に、前記成形品と同じサイズの成形品を
製作すべく、嵩密度51〜58g/Lの範囲内の複数種
類のポリプロピレン製の予備発泡ビーズを用い、これを
40℃の設定温度に保った状態で2.0kg/cm2の圧縮充
填圧力で成形空間に圧縮充填し、その後蒸気により予備
発泡ビーズを加熱融着させて、ビーズ嵩密度の異なる9
00個の成形品を製作した。そして、これら成形品の予
備発泡ビーズのビーズ嵩密度と成形品重量との関係を求
め、図12に示す結果を得た。
【0079】図11、図12に示すように、成形空間内
に充填する予備発泡ビーズの温度と圧縮充填圧力との関
係を適正に設定することで、成形品重量は、予備発泡ビ
ーズの嵩密度に応じて多少増加傾向にはなっているが、
大きく増加することはなく、成形品重量のバラツキが少
なくなっており、前記試験結果が量産時においても適合
していることが判る。
【0080】また、圧縮充填開始前の予備発泡ビーズの
温度条件で、成形品密度を予備発泡ビーズの嵩密度で除
算して得られる予備発泡ビーズの圧縮比が1.2〜1.
5、好ましくは1.25〜1.45となる圧縮充填圧力
に設定することになる。つまり、圧縮比が1.2未満の
場合には予備発泡ビーズが十分に発泡せず、離型後に成
形品が大幅に収縮したり、ビーズ間に隙間が形成された
りして、良品が得られないという問題がある。また、圧
縮比が1.5を越える場合には、充填後の成形空間内に
おけるビーズ粒子間が非常に狭くなり、加熱蒸気がビー
ズ粒子間を通過せず融着不良となったり、加熱蒸気が通
過した箇所のみ過剰発泡し、成形品に割れが発生すると
ともに、冷却時間が長くなるという問題があるので、圧
縮比が1.2〜1.5となるように圧縮充填圧力を設定
することが好ましい。
【0081】次に、前記型内発泡成形装置10を用いた
予備発泡ビーズの充填方法の一例について説明する。先
ず、予備発泡ビーズを図示外の成含タンク内に充填し
て、0.3〜2.0kg/cm2の無機ガスを予備発泡
ビーズに圧入する。つまり、本発明で使用する予備発泡
ビーズは、ポリオレフィン系樹脂からなり、一般にポリ
スチレン系樹脂と比較して発泡力が弱いので、蒸気で加
熱しても予備発泡ビーズが十分に膨らまず、ビーズ間の
密着性が低下したり、ビーズ間の隙間が大きくなって見
栄性が低下するなど、成形品の品質が低下することが考
えられる。このため、予備発泡ビーズに予め無機ガスを
圧入してその発泡力を高めることが好ましい。但し、こ
の成含工程は、使用する原料によっては用いられる場合
があるが、一般的には省略する。
【0082】こうして得られた予備発泡ビーズをビーズ
温調槽38に供給し、ビーズ温調槽38内における予備
発泡ビーズの温度を測定しながら、加熱手段39により
ビーズ温調槽38内を加熱し、予備発泡ビーズの温度を
30〜50℃の所定の設定温度に調整した後、保温され
た原料タンク29に予備発泡ビーズを供給する。
【0083】次に、コア型11とキャビティ型12を型
閉めしてから、成形空間13内を予備発泡ビーズの設定
温度に適応する圧縮充填圧に調整すべく、チャンバ1
7,18と型間空洞部41と管内空間45を予め設定さ
れた圧縮充填圧力に加圧するとともに、原料タンク29
内を成形空間13内の圧力よりも多少低く設定すること
になる。このように、圧縮充填時における予備発泡ビー
ズの温度を設定温度に設定し、圧縮充填圧力をこの設定
温度に適応した圧力に設定するので、前述のように、予
備発泡ビーズの嵩密度に多少のバラツキがあっても、一
様な重量の成形品を製作することが可能となる。
【0084】次に、充填器31のフィラ、シャッター3
2、充填エア弁V2、調整エア弁V3を開け予備発泡ビ
ーズの充填を開始する。充填エア弁V2における充填エ
ア圧力は、原料タンク29の内圧より少なくとも2kg
/cm2以上高く、且つ絶対値で4kg/cm2以上に設
定する。
【0085】充填中は、予備発泡ビーズは、原料タンク
29内の圧縮空気、及び調整エア弁V3からの圧縮空
気、並びに充填エア弁V2からの圧縮空気で希釈されな
がら成形空間13内に流入する。このとき成形空間13
に流入する空気と予備発泡ビーズとの容積比は、成形空
間13に供給される空気の容積を予備発泡ビーズの容積
で除算して得られる数値を最終希釈度合と定義すると、
最終希釈度合は5以上、好ましくは10〜50になるよ
うに設定される。
【0086】予備発泡ビーズの最終希釈度合が50より
も大きいと、予備発泡ビーズの単位時間あたりに充填さ
れる量が低下するため、充填に時間を要し、成形サイク
ルタイムが延びるとともに、エア消費量が多くなるとい
う問題がある。また、最終希釈度合が10よりも小さい
と、充填管33、充填器31あるいは成形空間13中で
予備発泡ビーズ同士の接触或いは衝突回数が増加するた
め、予備発泡ビーズの充填を妨げる抵抗が増加するとい
う問題があり、また予備発泡ビーズが空気の流れを阻害
するため、充填が良好に行えないという問題があるの
で、10〜50に設定することが好ましい。但し、スク
リューコンベア等の供給手段により予備発泡ビーズを供
給する場合には、最終希釈度合が所望の値になるよう
に、スクリューコンベアの回転速度を制御して、成形空
間13に対する予備発泡ビーズの単位時間当たりの供給
量を設定することになる。
【0087】こうして、成形空間13内に流入した圧縮
空気は、通気孔22とクリアランス40と貫通孔43と
を通ってチャンバ17,18と型間空洞部41と管内空
間45の圧力を上昇させる。この時、チャンバ17,1
8と型間空洞部41と管内空間45の圧力をドレン弁D
V1〜DV4を用いて個別にあるいはいずれかを組合せ
て制御することにより、予備発泡ビーズの充填され難い
部分に対して、先に予備発泡ビーズを充填して、成形品
1の各部における密度のバラツキを抑制したり、充填密
度を適正に確保することができる。
【0088】例えば、チャンバ17,18と型間空洞部
41と管内空間45の内圧が設定圧以上になったときに
ドレン弁DV1〜DV4を順次開放するように構成する
とともに、設定圧を第2チャンバ18>第1チャンバ1
7>型間空洞部41>管内空間45とすれば、先ずドレ
ン弁DV4が開放されて難充填部40に対して予備発泡
ビーズが充填され、難充填部40への予備発泡ビーズの
充填が略完了して、チャンバ17,18と型間空洞部4
1の内圧が高くなると、ドレン弁DV3が開放されて、
成形空間13の外縁部に予備発泡ビーズが充填される。
こうして設定圧の小さいものから順番にドレン弁が開放
されて、成形空間13に予備発泡ビーズが充填されるこ
とになる。
【0089】また、別の制御方法としては、充填工程を
4つに分け、第1の工程ではドレン弁DV4のみを使用
して管内空間45の空気圧力を制御し、第2の工程では
ドレン弁DV3、DV4を用いて型間空洞部41と管内
空間45の空気圧力を制御し、第3の工程では排気弁D
V1、DV3、DV4を用いて第1チャンバ17と型間
空洞部41と管内空間45の空気圧力を制御し、第4工
程では、排気弁DV1〜DV4を用いてチャンバ17,
18と型間空洞部41と管内空間45の空気圧力を制御
しつつ、予備発泡ビーズを成形空間13内に順次充填す
る。
【0090】こうして、予備発泡ビーズを充填した後、
充填器31のフィラを閉めるとともに調整エア弁V3を
閉め、充填エアを用いて充填器31並びに充填管33内
に残っている予備発泡ビーズを原料タンク29に戻し、
その後充填エア弁V2並びにシャッター32を閉めるこ
とで充填サイクルは終了し、加熱、冷却、離型の一連の
通常成形工程を順次行って、所定成形品1を得ることに
なる。
【0091】尚、前記型内発泡成形装置10において
は、クリアランス40及び型間空洞部41を形成してい
るので、これを有効に利用し、クリアランス40及び型
間空洞部41における用役流体を次のように制御しなが
ら加熱、冷却、離型を行うことも可能である。
【0092】即ち、加熱工程において、型間空洞部41
及びクリアランス40に蒸気を導入して、クリアランス
40の周辺部を加熱するとともに、成形空間13内にも
送入して、成形空間13の外周先端部分13aの予備発
泡ビーズの加熱を補う操作を行う。
【0093】この場合には、従来比較的熱容量が大きく
温度が上昇しにくかった、両成形型11,12の外周部
を構成するフランジ部11a,12aが直接加熱される
ようになるので、外周先端部分13aの予備発泡ビーズ
の迅速な温度上昇が可能になるから、結局、成形時間合
計を短縮できるという利点が得られるのである。
【0094】この他、蒸気による外周先端部分13aの
エアパージが確実になる、あるいはクリアランス40を
通じて独立した調圧操作が可能となるので、チャンバ圧
に対して蒸気圧をプラス、マイナスなどコントロールし
て成形型11,13内の温度バランスを最も好ましい状
態に設定でき、大幅なサイクル時間削減あるいは省エネ
効果が期待できる。
【0095】冷却工程において、冷却水の注水の他、前
記クリアランス40を通して成形空間13内を減圧し
て、注水によって成形空間13内に侵入した水分の気化
による冷却を促進するとともに、ドレンを排出する操作
を行う。この場合においても、熱容量が大きく温度が下
がりにくい成形型11,12のフランジ部11a,12
aの温度低下を促進できるから、サイクル時間の削減に
大いに貢献できるのである。
【0096】離型工程において、前記クリアランス4
0、型間空洞部41に溜まっているドレンを排出する操
作を行う。その結果、前記冷却時の注水によって生じた
クリアランス40、型間空洞部41に溜まるドレンが除
去できるから、離型のために型開きしても作業場を水濡
れ状態にするなどの不具合が解消できる。
【0097】尚、これまでの説明では、コア型11に仕
切壁成形部13bが設けられている場合について説明し
たが、仕切壁成形部13bがキャビティ型12側に設け
られている場合には、これまでの説明におけるチャンバ
17,18を逆に読み替えた方法を採用することによ
り、全く同様な作用と効果を得ることができる。
【0098】このようにして成形した成形品1は、例え
ば仕切壁4の肉厚が20mm以下、好ましくは3〜15
mm、より好ましくは5〜10mmの薄肉に構成された
ものや、成形品1の仕切壁4の厚さ方向に配置されるビ
ーズの個数が3個以下のものなど、従来充填困難である
と考えられていたような成形品1であっても、各部にお
ける密度が平均密度の±5%以内、好ましくは±4%以
内、より好ましくは±3%以内に設定された密度のバラ
ツキの少ない品質のよい成形品1となる。また、予備発
泡ビーズの温度を設定温度に保ち、圧縮充填圧力を設定
温度に適応する圧力に保った状態で成形するので、例え
ば900gの成形品を成形するときにおける成形品の重
量バラツキ3σを、従来の成形方法では10%であった
ものを、3%以下に調整することが可能となり、各成形
ショット間における成形品の重量バラツキが少なく、成
形品品質及び収率のよい成形品となる。
【0099】本発明は、例えばカップ麺の容器のような
小さく単純な形状をした成形品1よりも、比較的大き
く、複雑な形状をした包装体を成形するときに効果を発
揮し、有用なものである。特に、厚肉部と薄肉部とを共
に有するような、集合包装体に有益である。また、各成
形ショット間における重量バラツキが少なくなることか
ら、自動車用バンパーの芯材のように、機械的強度と重
量に対する制約が厳しい成形品にも好適に利用できる。
【0100】次に、この充填方法により予備発泡ビーズ
を充填して成形した成形品1の品質評価試験について説
明する。図1、図2に示ような形状の成形品1を製作す
るに当たり、予備発泡ビーズの充填法として、クラッキ
ング充填法、加圧充填法、圧縮充填法により予備発泡ビ
ーズを充填した場合と、前述した本発明の充填方法によ
り予備発泡ビーズを充填した場合の4つの充填方法で、
予備発泡ビーズを充填して4種類の成形品を製作した。
そして、図2に示すように、成形品1の仕切壁4の先端
部4aと途中部4bと基端部4cにおける密度をそれぞ
れ測定して、表1に示すような結果を得た。また、本発
明の充填方法と、従来の圧縮充填法とで、各々100回
の成形を行い、各成形ショットの成形品重量を測定し
て、その平均重量と最大及び最小重量と、最大重量差
と、成形品の重量バラツキ3σを求め、表2に示すよう
な結果を得た。
【0101】
【表1】
【0102】表1に示すように、従来の充填法により予
備発泡ビーズを充填して製作した成形品では、仕切壁4
の基端部4aから先端部4c側へ行くに従って密度が低
下しているのに対し、本発明の充填方法により予備発泡
ビーズを充填して製作した成形品では、略一様な密度に
なっていることが判る。つまり、本発明の充填方法で
は、密度のバラツキの少ない品質の良い成形品を製作で
きることが判る。また、従来の成形品では、密度の低い
部分においても十分な強度が得られるように、密度の低
い部分を基準に成形品の設計を行う必要があり、成形品
が重たくなるという問題があるが、本発明の成形品で
は、成形品の各部における密度が略一様になるので、成
形品の強度を十分に確保しつつ、成形品を軽量に構成で
き、しかも予備発泡ビーズの使用量を少なくして成形品
の製作コストを低減できる。
【0103】
【表2】
【0104】表2に示すように、本発明の充填方法で予
備発泡ビーズを充填して成形すると、従来の圧縮充填法
で充填して成形した場合よりも、成形ショット間におけ
る成形品の重量バラツキが小さくなり、所望の重量に精
度よく成形されていることが判る。
【0105】次に、成形サイクルの評価試験について説
明する。圧縮成形品として、図1、図2に示すような形
状で、外寸で縦450mm、横300mm、高さ180
mmの箱型、厚み8mmの縦方向のリブ5本、厚み8m
mの横方向のリブ1本の成形品を製作するにあたり、本
発明例として、予備発泡ビーズとして嵩密度が20g/
Lのポリプロピレン製ビーズを用い、成形品の嵩密度を
28g/L、26g/L、24g/Lに設定した実施例
1〜3の成形品と、予備発泡ビーズとして嵩密度が25
g/Lのポリエチレン製ビーズを用い、成形品の嵩密度
を33g/L、30g/L、29g/Lに設定した実施
例4〜6の成形品を製作した。
【0106】また、比較例として、予備発泡ビーズとし
て嵩密度が20g/Lのポリプロピレン製ビーズを用
い、成形品の嵩密度を30g/L、28g/L、26g
/Lに設定した従来例1〜3の成形品と、予備発泡ビー
ズとして嵩密度が25g/Lのポリエチレン製ビーズを
用い、成形品の嵩密度を40g/L、38g/L、35
g/Lに設定した従来例4〜6の成形品を製作した。そ
して、実施例1〜6と比較例1〜6の成形サイクルと成
形品品質とを測定して表3,4を得た。但し、表3,4
において、成形品品質は、ビーズ同士の密着状態を3段
階評価したもので、十分に密着しているものを良品とし
て「○」で表示し、使用には耐え得るが多少難のあるも
のを「△」で表示し、全く使用に耐えないものを「×」
で表示した。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】表3,4に示すように、従来の成形方法で
は、予備発泡ビーズとしてポリプロピレン製ビーズを使
用した場合には、比較例1のように成形品嵩密度を30
g/L(圧縮比1.5)以上に設定しないと、品質の良
い成形品が得られず、またポリエチレン製ビーズを使用
した場合には、比較例4のように成形品嵩密度を40g
/L(圧縮比1.6)以上に設定しないと、品質の良い
成形品が得られない。それに対して、本発明の成形方法
では、予備発泡ビーズとしてポリプロピレン製ビーズを
使用した場合には、実施例2のように成形品嵩密度を2
6g/L(圧縮比を1.3に設定した場合でも、十分な
品質の成形品が得られ、ポリエチレン製ビーズを使用し
た場合には、実施例5のように成形品嵩密度を30g/
L(圧縮比1.2)以上に設定した場合でも、品質の良
い成形品が得られる。また、成形サイクルは、成形品の
嵩密度を予備発泡ビーズの嵩密度で除算して求めた圧縮
比が増大するにしたがって長くなり、十分な品質の成形
品が得られる比較例1,4では、180sec,210
secであるのに対し、実施例2,3では130se
c,120secであり、本発明の成形方法では、従来
の成形方法と比較して、十分な品質を確保しつつ、成形
サイクルを格段に短縮できることが判る。
【0110】尚、本実施例では、成形品1の各部におけ
る密度が一様になるように、チャンバ17,18と型間
空洞部41と管内空間45の内圧を調整したが、局部的
に強度を高めたい部分における予備発泡ビーズの充填密
度を高めることも可能である。また、成形品1以外の各
種形状の成形品を成形する場合においても、本発明を勿
論適用することが可能である。
【0111】
【発明の効果】請求項1に係るポリオレフィン系樹脂の
型内発泡成形方法によれば、30〜50℃の設定温度に
温度調整した予備発泡ビーズを、この設定温度に適応す
る圧力であって大気圧よりも大きく、{(70−設定温
度[℃])/10}kg/cm2の式で得られる値以下の圧縮
充填圧力で成形空間内に圧縮充填するので、予備発泡ビ
ーズの嵩密度が各成形ショット間において予備発泡ビー
ズの移送時における分級等により変動しても、その悪影
響を受けることなく一様な重量の成形品を製作できるの
で、成形品の品質安定性を格段に向上できる。また、予
備発泡ビーズの温度を設定温度±5℃の範内に設定する
ので、比較的容易に温度調整可能で、しかも各成形ショ
ット間における成形品の嵩密度のバラツキを、成形品の
品質に悪影響を及ぼさない程度に低減できるので好まし
い。更に、ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡ビー
ズは、素材自体が軟らかく、しかもガス透過性が高いこ
とから、同一発泡倍率のポリスチレン系樹脂からなる予
備発泡ビーズよりも格段に粒子形状が変形しやすく、充
填性を一層向上できるので好ましい。
【0112】請求項2記載のように、圧縮充填開始前の
予備発泡ビーズの温度条件で、成形品密度を予備発泡ビ
ーズの嵩密度で除算して得られる予備発泡ビーズの圧縮
比が1.2〜1.5となる圧縮充填圧力に設定すると、
成形のサイクルタイムを短くして生産性を向上できると
ともに、ビーズ同士が適正に密着した品質の良い成形品
を成形できる。また、成形品の嵩密度と予備発泡ビーズ
の嵩密度とが接近するので、予備発泡ビーズの輸送効率
や保管効率を高めることが可能となる。
【0113】請求項3記載のように、予備発泡ビーズと
して、ポリオレフィン系樹脂からなり、セル径が100
〜900μm、発泡倍率が5〜60倍、DSC2’nd
ピーク比が8〜60%、独立気泡率が65%以上のポリ
オレフィン系樹脂からなる予備発泡ビーズを用いると、
成形品の表面性を向上し、その外観の見栄性を向上でき
るとともに、成形時の加熱条件に対する制約を緩和し
て、成形性及び省エネ性を向上できる。
【0114】請求項4に係るポリオレフィン系樹脂の型
内発泡成形方法によれば、3つのチャンバの無機ガス圧
を個別に或いはいずれかの組み合わせにより制御し、圧
縮した予備発泡ビーズを無機ガスの流れに乗せて成形空
間内へ充填するので、例えば予備発泡ビーズが充填され
にくい難充填部に対して先に予備発泡ビーズが充填され
るように、各チャンバの無機ガス圧を制御することで、
成形品の各部における充填密度を一様に設定できる。こ
のため予備発泡ビーズが充填されにくい、例えば薄肉な
仕切壁を有するような成形品でも、充填器の個数を増や
すことなく、成形品の各部における充填密度を適正な値
に設定できる。また、強度、剛性を高めたい部分に対し
て先に予備発泡ビーズを充填すると、該部分における充
填密度を局部的に高めてその強度を高めることが可能と
なる。
【0115】請求項5記載のように、第3チャンバとし
て、コア型とキャビティ型間のクリアランスを介して成
形空間に連通するチャンバを備えると、クリアランスを
介して成形空間の外周部に流入した充填用の無機ガスを
効率的に外部へ排出できるので、例えば底の深い容器等
を製作するときには、容器の開口縁に対応する位置にク
リアランスが形成されるように構成することで、充填器
の個数を増やすことなく、予備発泡ビーズの充填密度を
適正に設定でき、容器の品質を向上することが可能とな
る。
【0116】請求項6記載のように、第3チャンバとし
て、仕切壁成形部の奥部に連通するチャンバを備える
と、充填密度を十分に確保できないことから、従来成形
困難であると考えられていた例えば厚さ20mm以下の
仕切壁を有するような複雑形状の成形品でも、仕切壁成
形部に対して先に予備発泡ビーズを充填することで、仕
切壁成形部における予備発泡ビーズの充填密度を高め
て、適正な密度の品質のよい成形品を製作するとが可能
となる。
【0117】請求項7記載のように、第3チャンバとし
て、予備発泡ビーズの充填器から離れている成形空間の
遠隔部の奥部に連通するチャンバを備えると、予備発泡
ビーズの充填密度が低下し易い遠隔部の充填密度を十分
に確保でき、品質のよい成形品を製作することが可能と
なる。
【0118】予備発泡ビーズとしては、ポリオレフィン
系樹脂からなるものであれば任意の素材からなるものを
採用できるが、安価で且つ入手が容易なことから、請求
項8記載のようにポリプロピレン系樹脂や、請求項9記
載のようにポリエチレン系樹脂からなるものを採用する
ことが好ましい。
【0119】請求項10に係る型内発泡成形装置によれ
ば、加熱或いは保温可能な加圧タンクに供給された予備
発泡ビーズを、30〜50℃の範囲内の設定温度を中心
とした±5℃の一定温度に温度調整するので、請求項1
と同様に、成形ショット間における重量バラツキの少な
い成形品を製作することが可能となる。また、成形ショ
ット間における成形品の重量バラツキは、予備発泡ビー
ズの温度と圧縮充填圧力とにより調整できるのである
が、本発明では予備発泡ビーズの温度を調整するので、
圧縮充填圧力を制御する場合と比較して制御が容易にな
るので好ましい。
【0120】請求項11記載の成形装置によれば、3つ
のチャンバの無機ガス圧を個別に或いはいずれかの組み
合わせにより制御できるので、請求項4と同様に、成形
品の各部における充填密度を一様に設定できるととも
に、強度、剛性を高めたい部分に対して先に予備発泡ビ
ーズを充填することで、該部分における充填密度を局部
的に高めてその強度を高めることが可能となる。
【0121】請求項12記載のように構成すると、請求
項5と同様に、充填器の個数を増やすことなく、予備発
泡ビーズの充填密度を適正に設定でき、容器の品質を向
上することが可能となる。請求項13記載のように構成
すると、請求項6と同様に、従来成形困難であると考え
られていた複雑形状の成形品でも、適正な密度に品質よ
く製作できる。請求項14記載のように構成すると、請
求項6と同様に、予備発泡ビーズの充填密度が低下し易
い遠隔部の充填密度を十分に確保でき、品質のよい成形
品を製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 成形品の斜視図
【図2】 成形品の縦断面図
【図3】 型内発泡成形装置の縦断面図
【図4】 図3のIV−IV線断面図
【図5】 通気孔付近の縦断面図
【図6】 コアベントの正面図
【図7】 他の構成の型内発泡成形装置の図4相当図
【図8】 予備発泡ビーズの嵩密度と成形品重量との関
係を示す線図
【図9】 予備発泡ビーズの嵩密度と成形品重量との関
係を示す線図
【図10】 予備発泡ビーズの嵩密度と成形品重量との
関係を示す線図
【図11】 予備発泡ビーズの嵩密度と成形品重量との
関係を示す線図
【図12】 予備発泡ビーズの嵩密度と成形品重量との
関係を示す線図
【図13】 従来技術に係る型内発泡成形装置の縦断面
【図14】 従来技術に係る他の構成の型内発泡成形装
置の縦断面図
【符号の説明】
1 成形品 2 本体部 3 収容空間 4 仕切壁 4a 先端部 4b 途中部 4c 基端部 10 型内発泡成形装置 11 コア型 12 キャビティ型 11a,12a フランジ部 13 成形空間 13a 外周先端部分 13b 仕切壁成形部 14 枠状フレーム 15 裏板 16 ハウジング 17 第1チャンバ 18 第2チャンバ 20 コアベント 21 コアベントホール 22 通気孔 23 取付孔 22a 貫通孔 22b 長孔 SV1〜SV3 用役弁 SWV1〜SWV4 切替弁 DV1〜DV4 ドレン弁 V1 吸気弁 V2 充填エア弁 V3 調整エア弁 25 蒸気供給管 26 エア供給管 27 ドレン管 P 真空ポンプ 28 減圧管 29 原料タンク 30 吸気管 31 充填器 32 シャッター 33 充填管 34 充填エア供給管 35 調整エア供給管 36 温調手段 37a 温度センサ 37b 温度センサ 38 ビーズ温調槽 39 加熱手段 40 クリアランス 41 型間空洞部 42 隔壁 43 貫通孔 44 排気管 45 管内空間
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月30日(2000.11.
30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡
    ビーズを、30〜50℃の範囲内の設定温度を中心とし
    た±5℃の一定温度に温度調整するとともに、圧縮充填
    圧力を前記設定温度に適応する圧力であって大気圧より
    も大きく、{(70−設定温度[℃])/10}kg/cm2
    の式で得られる値以下の一定圧力に設定した状態で、成
    形型内に圧縮充填し、その後蒸気により加熱融着せしめ
    てから、冷却して成形型から取り出すポリオレフィン系
    樹脂の型内発泡成形方法。
  2. 【請求項2】 圧縮充填開始前の予備発泡ビーズの温度
    条件で、成形品密度を予備発泡ビーズの嵩密度で除算し
    て得られる予備発泡ビーズの圧縮比が1.2〜1.5と
    なる圧縮充填圧力に設定する請求項1記載のポリオレフ
    ィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  3. 【請求項3】 前記予備発泡ビーズとして、ポリオレフ
    ィン系樹脂からなり、セル径が100〜900μm、発
    泡倍率が5〜60倍、DSC2’ndピーク比が8〜6
    0%、独立気泡率が65%以上のポリオレフィン系樹脂
    からなる予備発泡ビーズを用いた請求項1又は2記載の
    ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  4. 【請求項4】 成形空間における用役流体を制御するた
    めの少なくとも3つのチャンバであって、成形空間に連
    通するコア型背面側の第1チャンバと、成形空間に連通
    するキャビティ型背面側の第2チャンバと、成形空間の
    うちの予備発泡ビーズが充填されにくい難充填部に連通
    する第3チャンバとを備えた型内発泡成形装置を用い、
    予備発泡ビーズを前記設定温度に調整するとともに、こ
    の設定温度に適応する前記圧縮充填圧力に無機ガスによ
    り圧縮した状態で、各チャンバの無機ガス圧を個別に或
    いはいずれかの組み合わせにより制御しながら、成形空
    間内に予備発泡ビーズを圧縮充填する請求項1〜3のい
    ずれか1項記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形
    方法。
  5. 【請求項5】 前記第3チャンバとして、コア型とキャ
    ビティ型間のクリアランスを介して成形空間に連通する
    単数又は複数のチャンバを備えた請求項4記載のポリオ
    レフィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  6. 【請求項6】 前記第3チャンバとして、予備発泡ビー
    ズが充填され難い有底な幅狭状の仕切壁成形部の奥部に
    連通する単数又は複数のチャンバを備え、予備発泡ビー
    ズの充填時に、仕切壁成形部に対して先に予備発泡ビー
    ズが充填されるように3つのチャンバの無機ガス圧を制
    御する請求項4又は5記載のポリオレフィン系樹脂の型
    内発泡成形方法。
  7. 【請求項7】 前記第3チャンバとして、予備発泡ビー
    ズの充填器から離れている成形空間の遠隔部の奥部に連
    通する単数又は複数のチャンバを備え、予備発泡ビーズ
    の充填時に、遠隔部に対して先に予備発泡ビーズが充填
    されるように無機ガス圧を制御する請求項4〜6のいず
    れか1項記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方
    法。
  8. 【請求項8】 前記予備発泡ビーズがポリプロピレン系
    樹脂からなる請求項1〜7のいずれか1項記載のポリオ
    レフィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  9. 【請求項9】 前記予備発泡ビーズがポリエチレン系樹
    脂からなる請求項1〜7のいずれか1項記載のポリオレ
    フィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  10. 【請求項10】 予備発泡ビーズを加温するための温調
    槽から成形空間に延びる配管の途中部に加圧タンクを介
    装し、この温調槽に加熱手段を、加圧タンクに加熱手段
    あるいは保温手段を設けて、温調槽内においてポリオレ
    フィン系樹脂からなる予備発泡ビーズを連続的又は断続
    的に加熱処理して、加圧タンク内で30〜50℃の範囲
    内の設定温度を中心とした±5℃の一定温度に温度調整
    することを特徴とする型内発泡成形装置。
  11. 【請求項11】 成形空間における用役流体を制御する
    ための少なくとも3つのチャンバであって、成形空間に
    連通するコア型背面側の第1チャンバと、成形空間に連
    通するキャビティ型背面側の第2チャンバと、成形空間
    のうちの予備発泡ビーズが充填されにくい難充填部に連
    通する第3チャンバとを備え、各チャンバの無機ガス圧
    を個別に或いはいずれかの組み合わせにより制御しなが
    ら、成形空間内に予備発泡ビーズを圧縮充填する請求項
    10記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置。
  12. 【請求項12】 前記第3チャンバとして、コア型とキ
    ャビティ型間のクリアランスを介して成形空間に連通す
    る単数又は複数のチャンバを備えた請求項11記載のポ
    リオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置。
  13. 【請求項13】 前記第3チャンバとして、予備発泡ビ
    ーズが充填され難い有底な幅狭状の仕切壁成形部の奥部
    に連通する単数又は複数のチャンバを備え、予備発泡ビ
    ーズの充填時に、仕切壁成形部に対して先に予備発泡ビ
    ーズが充填されるように3つのチャンバの無機ガス圧を
    制御する請求項11又は12記載のポリオレフィン系樹
    脂の型内発泡成形装置。
  14. 【請求項14】 前記第3チャンバとして、予備発泡ビ
    ーズの充填器から離れている成形空間の遠隔部の奥部に
    連通する単数又は複数のチャンバを備え、予備発泡ビー
    ズの充填時に、遠隔部に対して先に予備発泡ビーズが充
    填されるように無機ガス圧を制御する請求項11〜13
    のいずれか1項記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡
    成形装置。
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