JP2001096518A - 無機質発泡硬化体の製造方法 - Google Patents

無機質発泡硬化体の製造方法

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JP2001096518A
JP2001096518A JP27452499A JP27452499A JP2001096518A JP 2001096518 A JP2001096518 A JP 2001096518A JP 27452499 A JP27452499 A JP 27452499A JP 27452499 A JP27452499 A JP 27452499A JP 2001096518 A JP2001096518 A JP 2001096518A
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inorganic
weight
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foamed
foam
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JP27452499A
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Masahito Yamamoto
雅人 山本
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機質発泡性材料を均一に硬化させて、クラ
ックの発生や強度の片寄りがない均質な無機質発泡硬化
体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 無機質発泡性材料1を注型した後、上型
4で密閉した際に上型4の下面全体に無機質発泡体の上
面5が接触する位置まで発泡させてレベリングをし、次
いで上型4で密閉し、加熱して硬化させることを特徴と
する無機質発泡硬化体の製造方法。また、発泡のレベリ
ングは、無機質発泡性材料を注型した後、上型で密閉
し、実質的に硬化しない温度で発泡させて型枠内に充満
させるか、または無機質発泡性材料を注型した後、該型
の上部に平板を載置し、平板の下面全体に無機質発泡体
の上面が接触する位置まで発泡させるかして行うことを
特徴とする無機質発泡硬化体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】主に建築物等の外壁などに用
いられる無機質発泡硬化体の製造方法に関する。より詳
しくはクラックの発生や強度の片寄りがない均質な無機
質発泡硬化体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、建築材料などに用いられる無
機質発泡硬化体は、発泡性の無機質反応性粉体、アルカ
リ金属珪酸塩、水および発泡剤からなる無機質発泡性材
料を、混合機を用いて混合した後、発泡および硬化させ
て製造されており、多くの方法が提案されている。
【0003】たとえば、特開平11−71165号公報
には、SiO2−Al23系無機質粉体、アルカリ金属
珪酸塩、水および発泡剤からなる発泡性の無機質硬化性
組成物を加熱して無機質発泡硬化体を製造する際に、加
熱開始までの時間を制御することによって、短時間で十
分な強度を有する無機質発泡硬化体を製造する方法が開
示されている。さらに、特開平11−58338号公報
には、発泡性の無機質発泡性基材を、加飾型を配置した
型枠に充填する際に、振動を加えながら減圧雰囲気にす
ることによって、加振時間を短縮して生産効率を向上さ
せると共に、精度良く模様を転写した模様付きパネル
(発泡硬化体)を製造する方法も開示されている。
【0004】しかしながら、このような従来の方法にお
いては、生産性を向上させるために、発泡性の無機質発
泡性材料を型枠に充填した後、型枠内で十分発泡させて
レベリングすることなく上型で密閉して加熱することに
より無機質発泡硬化体が製造されている。この場合、加
熱開始後にも発泡は継続することから、発泡体の上面と
高温の上型が接する時間が発泡体の部位により異なる。
その結果、発泡体の面内で硬化の進行度合いにバラツキ
が起こり、クラックが発生したり、強度が低下するなど
の問題があった。
【0005】特に、加飾を付与させるため、ゴム製、F
RP製などの加飾型を型枠内に置く場合、これが熱抵抗
となり、型枠下面からの熱供給に比べて、上型からの熱
供給が支配的となることから上記のような傾向が強くな
る。また、高強度および高耐久性の無機質発泡硬化体を
製造する場合には、より高粘度の無機質硬化性組成物を
用いることから、発泡のレベリングを十分に行うことが
困難となり、さらに外壁パネルなど大面積の無機質発泡
硬化体を製造する場合には、レベリングがより困難とな
るという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解消し、無機質発泡性材料を均一に硬化させ
て、クラックの発生や強度の片寄りがない均質な無機質
発泡硬化体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、無機質発泡
性材料を密閉した型枠内で加熱する無機質発泡硬化体の
製造方法について、発泡方法と得られた無機質発泡硬化
体の品質との関係を鋭意検討した結果、無機質発泡性材
料を型枠に注入した後、加熱硬化に先立って、無機質発
泡性材料の発泡をレベリングすることによって、クラッ
クの発生や強度の片寄りがない均質な無機質発泡硬化体
を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、無機質発泡性材料を
密閉した型枠内で加熱して硬化させることにより無機質
発泡硬化体を製造する方法において、無機質発泡性材料
を注型した後、上型で密閉した際に上型の下面全体に無
機質発泡体の上面が接触する位置まで発泡させ、次いで
上型で密閉し、加熱して硬化させることを特徴とする無
機質発泡硬化体の製造方法を提供するものである。
【0009】また、本発明は、上記の無機質発泡硬化体
を製造する方法において、無機質発泡性材料を注型した
後、上型で密閉し、実質的に硬化しない温度で発泡させ
て型枠内に充満させ、次いで加熱して硬化させることを
特徴とする無機質発泡硬化体の製造方法、さらに無機質
発泡性材料を注型した後、該型枠の上部に平板を載置
し、上型で密閉した際に該平板の下面全体に無機質発泡
体の上面が接触する位置まで発泡させ、次いで上型で密
閉し、加熱して硬化させることを特徴とする無機質発泡
硬化体の製造方法を提供するものである。
【0010】さらに、本発明は、上記の無機質発泡性材
料は、無機質反応性粉体100重量部に対して、アルカ
リ金属珪酸塩0.2〜450重量部、水10〜1500
重量部および発泡剤0.01〜10重量部を含む混合物
であることを特徴とする上記の無機質発泡硬化体の製造
方法、および上記の無機質反応性粉体は、SiO210
〜90重量%、Al2390〜10重量%を含むSiO
2−Al23系反応性粉体であることを特徴とする上記
の無機質発泡硬化体の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の無機質発泡硬化体の製造方法は、無機質発泡性
材料を密閉した型枠内で加熱して硬化させることにより
無機質発泡硬化体を製造する方法において、無機質発泡
性材料を注型した後、上型で密閉した際に上型の下面全
体に無機質発泡体の上面が接触する位置まで発泡させる
か、無機質発泡性材料を注型した後、上型で密閉し、実
質的に硬化しない温度で発泡させて型枠内に充満させる
か、または無機質発泡性材料を注型した後、該型枠の上
部に平板を載置して、上型で密閉した際に該平板の下面
全体に無機質発泡体の上面が接触する位置まで発泡させ
るかし、次いで上型で密閉し、加熱して硬化させるもの
である。
【0012】(無機質発泡性材料)本発明で用いる無機
質発泡性材料は、以下に述べる無機質反応性粉体、アル
カリ金属珪酸塩、水および発泡剤を主成分とする混合物
である。また、これらの成分の混合割合は、無機質反応
性粉体100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩0.
2〜450重量部、好ましくは10〜350重量部、よ
り好ましくは20〜250重量部であり、水10〜15
00重量部、好ましくは45〜1000重量部、より好
ましくは50〜500重量部および発泡剤0.01〜1
0重量部である。
【0013】アルカリ金属珪酸塩の配合割合が、0.2
重量部未満の場合には、硬化反応に必要なアルカリの量
が少なすぎるために、硬化不良となり、逆に450重量
部を超える場合には、得られる無機質発泡硬化体の耐水
性に問題が生じる。
【0014】また、水は、アルカリ金属珪酸塩水溶液と
して混合してよく、また独立して混合してもよく、さら
に両混合方法を併用しても良い。水の配合割合が、10
重量部を下回ると、無機質反応性粉体とアルカリ金属珪
酸塩とを混合することが不可能となる。逆に、1500
重量部を超えると、得られる無機質発泡硬化体の強度が
低下する。
【0015】発泡剤の配合割合が、0.01重量部未満
の場合には発泡倍率が小さすぎ発泡体が得られず、10
重量部を超えると発泡ガスが過剰となり破泡して、強度
低下という問題を生じる。
【0016】(1)無機質反応性粉体 無機質反応性粉体としては、たとえば、セメント類、フ
ッ化物、酸性金属酸化物、高級脂肪酸の2価以上の金属
塩、カルボキシル基を有する水溶性高分子の2価以上の
金属塩、2価金属の硫酸塩、2価金属の亜硫酸塩などの
粉体を挙げることができる。比表面積は、0.1〜10
0m2/gのものが望ましい。好ましくは、SiO2−A
23系の無機質反応性粉体である。
【0017】SiO2−Al23系反応性粉体は、Si
210〜90重量%、Al2390〜10重量%を含
むものであり、SiO2が10重量%未満(Al23
90重量%を超える)の場合は、反応性が高すぎてスラ
リー状混合物の粘度が急激に上昇し、SiO2が90重
量%を超える(Al23が10重量%未満)場合は、反
応性が低すぎ良好な無機質発泡硬化体が得られない。S
iO2−Al23系反応性粉体としては、たとえば次に
示すものを挙げることができる。 (a)粒径が20μm以下の粉体80重量%以上含有す
るフライアッシュ (b)400〜1000℃で焼成され、粒径が20μm
以下の粉体80重量%以上含有するフライアッシュ (c)フライアッシュまたは粘土を溶融し、気体中に噴
霧することによって得られるSiO2−Al23系反応
性粉体 (d)粘土に0.1〜30kwh/kgの機械的エネル
ギーを作用させることにより得られるSiO2−Al2
3系反応性粉体 (e)(d)のSiO2−Al23系反応性粉体をさら
に100〜750℃で加熱することにより得られるSi
2−Al23系反応性粉体 (f)メタカオリンよりなる群れより選ばれる1種以上
のSiO2−Al23系反応性粉体
【0018】(2)アルカリ金属珪酸塩 アルカリ金属珪酸塩は、M2O・nSiO2(M=Li、
K、Naまたはそれらの混合物)で表され、n=0.5
〜8のもの、好ましくはn=0.5〜3のもの、より好
ましくはn=0.5〜2.5のものである。nが0.5
に未満の場合には得られる無機質発泡硬化体の機械的強
度が低く、nが8を超える場合はアルカリ金属珪酸塩水
溶液がゲル化をおこしやすく、粘度が急激に上昇するた
め、無機質反応性粉体との混合が困難になるという問題
がある。
【0019】また、本発明の無機質発泡硬化体の製造方
法においては、アルカリ金属珪酸塩は水溶液として用い
ることが望ましい。アルカリ金属珪酸塩水溶液として用
いることにより、各成分の混合を容易にすることができ
る。アルカリ金属珪酸塩の濃度は、特に限定するもので
はないが、低すぎると無機質反応性粉体との反応性が低
下し、逆に高すぎると固形分が生じやすくなるので、1
〜70%が好ましい。
【0020】アルカリ金属珪酸塩水溶液は、アルカリ金
属珪酸塩を、加熱、加圧下で水に溶解して得ることがで
きるが、アルカリ金属水酸化物水溶液に、アルカリ金属
珪酸塩を表す化学式M2O・nSiO2におけるnが所定
の値となるように、珪砂、珪石粉などのSiO2成分と
共に、加熱、加圧下で溶解して得ることもできる。
【0021】(3)発泡剤 発泡剤としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸
化カリウム、過ほう酸ナトリウムなどの過酸化物、ある
いはMg、Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Al、Ga、Sn、Si、フェロシリコンな
どの金属粉末を挙げることできる。コスト、安全性、入
手の容易さ、混合のし易さを考慮すると、好ましくは過
酸化水素、アルミニウム粉末である。
【0022】発泡剤として過酸化水素を用いる場合は、
過酸化水素水溶液として用いるのが好ましく、通常0.
5〜35重量%過酸化水素水溶液、好ましくは1〜25
重量%過酸化水素水溶液、さらに好ましくは5〜15重
量%過酸化水素水溶液である。過酸化水素の濃度が0.
5重量%を下回る場合には、過酸化水素量に対し水の量
が多くなることから粘度が低下して安定的に発泡できな
い。また、過酸化水素の濃度が35重量%を超えると、
発泡が速くなりすぎ、やはり安定的に発泡できない上、
酸素濃度が高くなることから危険である。
【0023】また、発泡剤として金属粉末を用いる場合
は、適量の水に分散させて混合することが好ましい。ま
た、良好な分散性を得るために、増粘剤、乳化剤などを
併用してもよい。金属粉末の粒径は、粒径1〜200μ
mであるものが好ましい。粒径が200μmを超える
と、反応性が低下し、1μmを下回ると、分散性が低下
するとともに、反応性が高くなり発泡が速くなりすぎる
恐れがある。
【0024】(4)その他の配合成分 本発明で用いられる無機質発泡性材料は、所望により、
無機質発泡硬化体の性能を阻害しない範囲で、無機質充
填剤、補強繊維、発泡助剤、有機質発泡体または無機質
発泡体などをさらに含むことができる。
【0025】無機質充填剤は、硬化時の収縮低減、スラ
リーの流動性向上、セルの緻密化、気泡の安定化などの
効果を有する。無機質充填剤としては、たとえば珪砂、
珪石粉、スラグ、マイカ、タルク、ウォラストナイト、
炭酸カルシウム、ゼオライト、活性炭、アルミナゲルな
どの多孔質粉体などを挙げることができる。無機質充填
剤の配合割合は、無機質反応性粉体100重量部に対し
て、700重量部以下が好ましく、さらに好ましくは1
0〜500重量部である。配合割合が700重量部を超
えると無機質発泡硬化体の強度が低下する恐れがある。
【0026】また、無機質充填剤は、粒径0.01μm
〜1mm以下の粒径のものが好ましい。粒径が0.01
μmを下回ると混合時に吸着水量が増加するために粘度
が上がり作業性が低下し、1mmを超えると、発泡が安
定しなくなる。
【0027】補強繊維は、無機質発泡硬化体の強度向
上、クラック防止などの効果を有する。補強繊維として
は、たとえばビニロン、ポリプロピレン、アラミド、ア
クリル、レーヨンなどの有機繊維、カーボン、ガラス、
チタン酸カリウム、アルミナ、鋼、スラグウールなどの
無機繊維が挙げられる。補強繊維の配合割合は、無機質
反応性粉体100重量部に対し、10重量部以下が好ま
しい。10重量部を超えると、繊維の分散性が低下する
恐れがある。
【0028】補強繊維の好ましい繊維長は、1〜15m
m、好ましい繊維径は、1〜500μmである。繊維長
が1mmより下回るか繊維径が500μmを超えると補
強効果が小さい。また、繊維長が15mmを超えると、
補強繊維の分散性が低下し、繊維径が1μmを下回ると
混合時に凝集してファイバーボールが形成し、無機質硬
化体の強度が向上しなくなる。
【0029】発泡助剤としては、たとえばシリカゲル、
ゼオライト、活性炭、アルミナゲルなどの多孔質粉体;
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩;オレイン
酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどのオレイン酸金
属塩;パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム
などのパルミチン酸金属塩;ラウリルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性
剤などを挙げることができる。発泡助剤の配合割合は、
無機質反応性粉体100重量部に対し、0〜10重量部
が好ましい。10重量部を超える場合は、スラリー粘度
を上昇させて破泡する。
【0030】有機質発泡体および無機質発泡体は、無機
質発泡硬化体を軽量化する効果を有する。有機質発泡体
としては、たとえば塩化ビニル、フェノール、ユリア、
スチレン、ウレタン、エチレンなどの合成樹脂の粒状発
泡体を挙げることができ、無機発泡体としては、たとえ
ばガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバ
ルーン、シリカバルーン、パーライト、ヒル石、粒状発
泡シリカなどを挙げることができる。有機質発泡体およ
び無機質発泡体は、これらを単独でまたは混合して用い
ることができる。有機質発泡体または無機質発泡体の配
合割合は、無機質反応性粉体100重量部に対し、10
〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは30〜8
0重量部である。配合割合が10重量部を下回ると軽量
化の効果が得られず、100重量部を超えると機械的強
度が低下する恐れがある。
【0031】有機質発泡体または無機質発泡体は、比重
0.01〜1のものが好ましく、さらに好ましくは0.
03〜0.7のものである。比重が0.01未満は、無
機質発泡硬化体の機械的強度の低下を招き、また1を超
えると軽量化の効果が得られなくなる。
【0032】(無機質発泡硬化体の製造方法)本発明の
無機質発泡硬化体の製造方法は、前述したように、無機
質発泡性材料を密閉した型枠内で加熱して硬化させるこ
とにより無機質発泡硬化体を製造する方法において、無
機質発泡性材料を注型した後、上型で密閉した際に上型
の下面全体に無機質発泡体の上面が接触する位置まで発
泡させるか、無機質発泡性材料を注型した後、上型で密
閉し、実質的に硬化しない温度で発泡させて型枠内に充
満させるか、または無機質発泡性材料を注型した後、該
型枠の上部に平板を載置して、上型で密閉した際に該平
板の下面全体に無機質発泡体の上面が接触する位置まで
発泡させるかし、次いで上型で密閉し、加熱して硬化さ
せるものである。いずれの場合も、無機質発泡性材料を
型枠に注入した後、加熱硬化に先立って、無機質発泡性
材料の発泡をレベリングすることが肝要である。
【0033】先ず、無機質発泡性材料のうち、無機質反
応性粉体、アルカリ金属珪酸塩、水を混合機に供給して
均一に混合した後、さらに発泡剤を混合して、ペースト
状の無機質発泡性材料を得る。前述したとおり、無機質
発泡性材料は、主成分として無機質反応性粉体100重
量部、アルカリ金属珪酸塩0.2〜150重量部、水3
5〜1500重量部および発泡剤0.01〜10重量部
を含むものである。無機質充填剤、補強繊維、発泡助
剤、有機質発泡体または無機質発泡体などを配合する場
合は、これらを予め無機質反応性粉体と混合しておくこ
とが好ましい。また、混合機は特に限定することなく、
公知のものを用いることができる。
【0034】得られたペースト状の無機質発泡性材料
を、所望の型枠に流し込み、必要に応じて手作業などで
型枠内に展開したり、流しこみ時に巻き込んだ気泡を脱
泡するために振動を付与するなどの従来公知の方法によ
り賦形する。
【0035】発泡は、発泡剤を添加した時点または加熱
により発泡剤が反応を開始した時点から進行することか
ら、発泡のレベリングは、無機質発泡性材料を型枠内に
賦形した後に行う。レベリング方法は、型枠内で無機質
発泡体を発泡させ、上型で密閉した際に無機質発泡体の
上面が均一に加熱硬化できる限り、特に限定するもので
はないが、たとえば以下の方法でレベリングすることが
できる。
【0036】レベリング方法の例を図面で説明する。図
1は、ペースト状の無機質発泡性材料1を、加飾型2を
底面に載置した型枠3に流し込んで賦形した後、上型4
で密閉した際に上型4の下面全体に無機質発泡体の上面
5が接触する位置まで発泡させてレベリングする方法で
ある。発泡を促進させるため、型枠の下面を加熱しても
よい。無機質発泡体の温度は、20〜50℃が好まし
い。この場合、硬化は殆ど進行することがない。
【0037】レベリング方法の別の例は、図2に示すと
おり、ペースト状の無機質発泡性材料1を、加飾型2を
底面に載置した型枠3に流し込んで賦形した後、上型4
で密閉して実質的に硬化しない温度で発泡させ、上型4
の下面全体に無機質発泡体の上面5が接触する位置まで
型枠内に充満させてレベリングする方法である。ここ
で、実質的に硬化しない温度は、通常20℃〜40℃で
あるが、無機質発泡性材料の各成分の種類や配合割合を
勘案して適宜設定することができる。発泡を促進させる
ため、型枠内を減圧したり、上型から無機質発泡性材料
に熱が伝わらないように、型枠の下面からのみ加熱する
こともできる。上型から無機質発泡性材料に多量の熱が
伝わると、硬化が不均一となり、また得られる無機質発
泡硬化体にクラックや強度低下が発生する。
【0038】レベリング方法のさらに別の例は、図3に
示すとおり、ペースト状の無機質発泡性材料1を、加飾
型2を底面に載置した型枠3に流し込んで賦形した後、
上型に替えて平板7を型枠3の上部に載置し、上型4で
密閉した際に平板7の下面全体に無機質発泡体6の上面
が接触する位置まで発泡させてレベリングする方法であ
る。図3においては、平板7は、型枠3の内側の無機質
発泡体6の上部に載置したもので、いわゆる「落とし
蓋」である。この場合、平板7は、バネ8で上下方向に
移動させることができ、平板7の位置を調節することが
できる。
【0039】いずれのレベリング方法においても、無機
質発泡性材料の発泡をレベリングした後、上型で密閉し
た状態で無機質発泡体を加熱して硬化を促進して完了さ
せる。加熱方法は、特に限定するものではなく、公知の
方法を採用することができる。たとえば、熱盤プレス、
マイクロウェーブによる加熱、蒸気加熱、温水噴霧加熱
などを挙げることができる。熱盤プレスは、密閉性、平
滑性などの上型機能を有することから、上型に替えて熱
盤プレスを用いることができる。加熱温度および加熱時
間は、無機質発泡性材料の発泡および硬化を促進し、か
つ完了させるために、特に限定するものではなく、無機
質発泡性材料の各成分の種類、配合割合、無機質発泡硬
化体の形状などを勘案して適宜設定することもできる。
通常、50℃以上、好ましくは60℃〜150℃の温度
で、0.5〜5時間加熱することが好ましい。
【0040】硬化させた後、脱型し必要に応じて乾燥し
て無機質発泡硬化体を得ることができる。乾燥は、通常
乾燥装置を用いて50〜100℃で2〜5時間行う。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例にしたがってさらに詳
しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって
何ら限定されるものではない。実施例1〜5および比較
例1で用いた無機質発泡性材料を構成する無機質反応性
粉体、アルカリ金属珪酸塩水溶液、無機充填剤、補強繊
維および発泡剤の各成分は、以下のものである。
【0042】(無機質反応性粉体)メタカオリン(エン
ゲルハード社製のSATINTONE SP 33、平
均粒径3.3ミクロン、比表面積13.9m2/g)1
00重量部、トリエタノールアミン25重量%とエタノ
ール75重量%の混合溶液0.5重量部をウルトラファ
インミルAT−20(三菱重工業社製、ジルコニアボー
ル直径10mm使用、ボール充填率85体積%)に供給
し、25kwh/kgの機械的エネルギーを作用させて
SiO2−Al23系の反応性無機質粉体とした。な
お、作用させた機械的エネルギーは、ボールミルに供給
した電力を処理粉体単位重量当たりで表した。
【0043】(アルカリ金属珪酸塩)珪酸カリウム(日
本化学工業(株)製、SiO2:K2O=1.5:1(モ
ル比))を用いた。 (無機充填剤)ワラストライト(カキウチ(株)製)お
よび珪石粉(増岡窯業原料(株)製、錦印磁選珪砂)を
用いた。
【0044】(補強繊維)ビニロン繊維(クラレ社製、
RM182×3)を用いた。 (ステアリン酸亜鉛)ステアリン酸亜鉛(堺化学社製、
Sz−2000)を用いた。 (発泡剤)Si(キンセイマティック社製、♯600)
を用いた。
【0045】(実施例1)表1に示す配合割合で無機質
反応性粉体、アルカリ金属珪酸塩、水、無機充填剤およ
びステアリン酸亜鉛の各成分を、オムニミキサー(千代
田技研工業株式会社製 内容量150リットル)に供給
し、30分間混合して、均一なペースト状混合物を得
た。アルカリ金属珪酸塩は、予め調製したアルカリ金属
珪酸塩水溶液として混合した。アルカリ金属珪酸塩水溶
液は、アルカリ金属珪酸塩75重量部と水100重量部
をオートクレーブに入れて、130℃および7kgf/
cm2の条件で調製した。その後、発泡剤(Si)を添
加してさらに2分間混練し、均一なペースト状の無機質
発泡性材料を調製した。
【0046】得られたペースト状の無機質発泡性材料
を、型枠(縦2800mm、横900mm、深さ30m
m)に流し込み、これを手作業で型枠内に展開した後、
1分間振動(周波数15Hz、振幅5mm)させて脱泡
した。次いで、熱盤でプレスした際に、熱盤の下面全体
に無機質発泡性材料の上面が接触する高さまで発泡させ
てレベリングした後、30分間熱盤プレス(熱盤温度9
5℃)を行って、無機質発泡性材料を硬化させた。その
後、得られた無機質発泡硬化体を脱型し、85℃で3時
間乾燥した後、クラックの有無を目視で観察し、さらに
比重および曲げ強度を測定した。曲げ強度は、JIS
A 1408に準拠して測定した。表2にその結果を示
した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】(実施例2)実施例1において、型枠内に
EPDMゴム製の加飾型を配置したことを除いて、実施
例1と同様にして、無機質発泡硬化体を得、クラックの
有無を目視で観察し、さらに比重および曲げ強度を測定
した。表2にその結果を示した。
【0050】(実施例3)実施例2において、EPDM
ゴム製の加飾型の代わりにシリコーンゴム製の加飾型を
用いたこと、および熱盤プレスで硬化する代わりに、蒸
気で加熱(雰囲気温度105℃)で無機質発泡性材料を
硬化したことを除いて、実施例2と同様にして、無機質
発泡硬化体を得、クラックの有無を目視で観察し、さら
に比重および曲げ強度を測定した。表2にその結果を示
した。
【0051】(実施例4)実施例2において、EPDM
ゴム製の加飾型の代わりにシリコーンゴム製の加飾型を
用いたこと、および熱盤でプレスした際に、熱盤の下面
全体に無機質発泡性材料の上面が接触する高さまで発泡
させてレベリングする代わりに、上型で蓋をし、無機質
発泡性材料を硬化させることなく、室温(30℃)で発
泡させ、蓋の下面全体に無機質発泡性材料が接触するま
で放置してレベリングしたことを除いて、実施例2と同
様にして、無機質発泡硬化体を得、クラックの有無を目
視で観察し、さらに比重および曲げ強度を測定した。表
2にその結果を示した。
【0052】(実施例5)実施例1において、熱盤でプ
レスする際に、熱盤の下面全体に無機質発泡性材料の上
面が接触する高さまで発泡させてレベリングする代わり
に、無機質発泡性材料と密着しないようにPETのシー
トを貼ったSUS板(2798×899×2(mm))
を無機質発泡性材料の上においてレベリングしたことを
除いて、実施例1と同様にして、無機質発泡硬化体を
得、クラックの有無を目視で観察し、さらに比重および
曲げ強度を測定した。表2にその結果を示した。
【0053】(比較例1)実施例1において、無機質発
泡性材料の発泡をレベリングしなかったこと、および熱
盤プレスの代わりに、蒸気加熱(雰囲気温度105℃)
で無機質発泡性材料を硬化したことを除いて、実施例1
と同様にして、無機質発泡硬化体を得、クラックの有無
を目視で観察し、さらに比重および曲げ強度を測定し
た。表2にその結果を示した。
【0054】表2に示した結果から明らかなように、実
施例1〜5の無機質発泡硬化体は、いずれも何らクラッ
クが認められず、また曲げ強度も60〜65kgf/c
2であった。これに対して、比較例1のものは、ヘア
ークラックの発生が多数認められ、かつ曲げ強度も20
kgf/cm2で著しく劣るものであった。
【0055】
【発明の効果】本発明の無機質発泡硬化体の製造方法
は、無機質発泡性材料を密閉した型枠内で加熱して硬化
させることにより無機質発泡硬化体を製造する方法にお
いて、無機質発泡性材料を型枠に注入した後、加熱硬化
に先立って、無機質発泡性材料の発泡を特定の方法でレ
ベリングする構成としたことから、クラックの発生や強
度の片寄りがない均質かつ耐久性に優れた無機質発泡硬
化体を製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発泡のレベリング方法を示す例を
表す図である。
【図2】本発明に係る発泡のレベリング方法を示す別の
例を表す図である。
【図3】本発明に係る発泡のレベリング方法を示すさら
に別の例を表す図である。
【符号の説明】
1 無機質発泡性材料 2 加飾型 3 型枠 4 上型 5 無機質発泡体の上面 6 無機質発泡体 7 平板 8 バネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 14:10 C04B 14:10 Z 22:06 22:06 Z 22:04) 22:04) 111:40 111:40

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質発泡性材料を密閉した型枠内で加
    熱して硬化させることにより無機質発泡硬化体を製造す
    る方法において、無機質発泡性材料を注型した後、上型
    で密閉した際に上型の下面全体に無機質発泡体の上面が
    接触する位置まで発泡させ、次いで上型で密閉し、加熱
    して硬化させることを特徴とする無機質発泡硬化体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 無機質発泡性材料を密閉した型枠内で加
    熱して硬化させることにより無機質発泡硬化体を製造す
    る方法において、無機質発泡性材料を注型した後、上型
    で密閉し、実質的に硬化しない温度で発泡させて型枠内
    に充満させ、次いで加熱して硬化させることを特徴とす
    る無機質発泡硬化体の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機質発泡性材料を密閉した型枠内で加
    熱して硬化させることにより無機質発泡硬化体を製造す
    る方法において、無機質発泡性材料を注型した後、該型
    枠の上部に平板を載置し、上型で密閉した際に該平板の
    下面全体に無機質発泡体の上面が接触する位置まで発泡
    させ、次いで上型で密閉し、加熱して硬化させることを
    特徴とする無機質発泡硬化体の製造方法。
  4. 【請求項4】 該無機質発泡性材料は、無機質反応性粉
    体100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩0.2〜
    450重量部、水10〜1500重量部および発泡剤
    0.01〜10重量部を含む混合物であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の無機質発泡硬化体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 該無機質反応性粉体は、SiO210〜
    90重量%、Al2 390〜10重量%を含むSiO2
    −Al23系反応性粉体であることを特徴とする請求項
    4記載の無機質発泡硬化体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015145337A (ja) * 2015-04-17 2015-08-13 株式会社大協組 焼却灰を主原料とした発泡水熱固化体の製造方法
KR101892391B1 (ko) * 2017-05-22 2018-08-27 그렉 조 바텀애시 발포성형체의 제조방법

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