JP2001096365A - レーザとアークとの複合溶接方法 - Google Patents
レーザとアークとの複合溶接方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】アーク溶接とレーザ溶接とを複合したレーザと
アークとの複合溶接方法において、簡便でありながら、
レーザ光がアーク放電により発生したプラズマによる阻
害を受けず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶
接材の溶け込みを得ることが出来る複合溶接方法を実現
する。 【解決手段】レーザとアークとの複合溶接方法におい
て、アーク放電によるプラズマを殆ど常時発生させてい
ると、このアーク放電によるプラズマがレーザ光のパワ
ーを吸収散乱させ、レーザ溶接の効果を有効に発揮する
ことができない。そこで、溶接電圧(電流)をパルス状
又は交流とし、アーク放電によるプラズマを周期的に消
失するようして、レーザ光12のパワーがアーク放電に
起因するプラズマにより阻害されることがない期間を確
保するように構成すれば、被溶接材2の深い溶け込みを
得ることができる。
アークとの複合溶接方法において、簡便でありながら、
レーザ光がアーク放電により発生したプラズマによる阻
害を受けず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶
接材の溶け込みを得ることが出来る複合溶接方法を実現
する。 【解決手段】レーザとアークとの複合溶接方法におい
て、アーク放電によるプラズマを殆ど常時発生させてい
ると、このアーク放電によるプラズマがレーザ光のパワ
ーを吸収散乱させ、レーザ溶接の効果を有効に発揮する
ことができない。そこで、溶接電圧(電流)をパルス状
又は交流とし、アーク放電によるプラズマを周期的に消
失するようして、レーザ光12のパワーがアーク放電に
起因するプラズマにより阻害されることがない期間を確
保するように構成すれば、被溶接材2の深い溶け込みを
得ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ溶接とアー
ク溶接との複合溶接に関する。
ク溶接との複合溶接に関する。
【0002】
【従来の技術】TlG、MlG、C02 、MAG等の溶
接を用いてアーク溶接を行う場合は、図3に示すよう
に、溶接用トーチ1を被溶接材2に対して移動すること
により、溶接プールを移動しつつ、被溶接材2及びトー
チ1から送給されるフィラー材をアーク放電によるプラ
ズマ5により溶融し、被溶接材2と融合させ溶接する。
なお、図3において、6は溶接ビート、8は放電電極で
ある。
接を用いてアーク溶接を行う場合は、図3に示すよう
に、溶接用トーチ1を被溶接材2に対して移動すること
により、溶接プールを移動しつつ、被溶接材2及びトー
チ1から送給されるフィラー材をアーク放電によるプラ
ズマ5により溶融し、被溶接材2と融合させ溶接する。
なお、図3において、6は溶接ビート、8は放電電極で
ある。
【0003】上述したアーク溶接に対して、レーザ溶接
は、レ一ザビームを光学系により被溶接材に集光し、高
いエネルギー密度により深い溶け込みを得ることが可能
てある。
は、レ一ザビームを光学系により被溶接材に集光し、高
いエネルギー密度により深い溶け込みを得ることが可能
てある。
【0004】近年では、レーザ光とアーク溶接とを複合
した溶接方法が試みられ、例えば、特開平7−2464
84号公報や、特開平10一216972号公報に開示
された技術がある。
した溶接方法が試みられ、例えば、特開平7−2464
84号公報や、特開平10一216972号公報に開示
された技術がある。
【0005】特開平7−246484号公報に記載され
た技術は、レ一ザ光により発生するプラズマによりアー
クを安定化させ良好な溶接部を得ようとするものであ
る。つまり、プラズマトーチの移動方向の後方に、この
プラズマトーチの照射位置より偏位した位置にレーザビ
ームが照射される。これにより、溶接移動速度を高速と
しても、レーザビームの照射に基づいて生成されるプラ
ズマにより、プラズマアークの不連続性が補完され、安
定したアーク放電を得るものである。
た技術は、レ一ザ光により発生するプラズマによりアー
クを安定化させ良好な溶接部を得ようとするものであ
る。つまり、プラズマトーチの移動方向の後方に、この
プラズマトーチの照射位置より偏位した位置にレーザビ
ームが照射される。これにより、溶接移動速度を高速と
しても、レーザビームの照射に基づいて生成されるプラ
ズマにより、プラズマアークの不連続性が補完され、安
定したアーク放電を得るものである。
【0006】また、特開平10一216972号公報に
記載された技術は、レーザ光をアーク溶接位置に先行し
て被溶接材に照射するものであり、ルートギャップを設
けるとともに、レーザスポットとアーク溶接位置との間
の距離を適正に保つことにより厚板の溶接をするもので
ある。
記載された技術は、レーザ光をアーク溶接位置に先行し
て被溶接材に照射するものであり、ルートギャップを設
けるとともに、レーザスポットとアーク溶接位置との間
の距離を適正に保つことにより厚板の溶接をするもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した、
T1G、M1G、C02、MAG等のアーク溶接の場合
には、高速で深い溶け込みを得る事は困難である。この
ため、特開平7−246484号公報に記載された技術
では、溶け込み深さ15は浅く、板圧が数mm程度の薄
い板の突き合わせ溶接ができるだけであり、厚板の溶接
は困難である。
T1G、M1G、C02、MAG等のアーク溶接の場合
には、高速で深い溶け込みを得る事は困難である。この
ため、特開平7−246484号公報に記載された技術
では、溶け込み深さ15は浅く、板圧が数mm程度の薄
い板の突き合わせ溶接ができるだけであり、厚板の溶接
は困難である。
【0008】また、特開平10一21697号公報に記
載された技術では、アーク溶接とレーザ溶接とを複合さ
せることにより、高速で深い溶け込みを得る溶接方法が
提案されている。
載された技術では、アーク溶接とレーザ溶接とを複合さ
せることにより、高速で深い溶け込みを得る溶接方法が
提案されている。
【0009】しかし、特開平10一21697号公報に
記載された溶接方法においては、図4に示すように、消
耗式電極8からは常時アーク放電によるプラズマ5が殆
ど常時発生している。このため、深い溶け込みの作用の
主要因であるレーザ光12のパワーがアーク放電による
プラズマ5により吸収散乱され、レーザ光12の効果を
阻害する方向に作用していた。
記載された溶接方法においては、図4に示すように、消
耗式電極8からは常時アーク放電によるプラズマ5が殆
ど常時発生している。このため、深い溶け込みの作用の
主要因であるレーザ光12のパワーがアーク放電による
プラズマ5により吸収散乱され、レーザ光12の効果を
阻害する方向に作用していた。
【0010】したがって、レーザ光12の有効な効果を
被溶接材(ワーク)に付与することが出来ないという問
題があり、これ以上の溶け込み深さ15を得ることは困
難であった。
被溶接材(ワーク)に付与することが出来ないという問
題があり、これ以上の溶け込み深さ15を得ることは困
難であった。
【0011】本発明の目的は、TlG、MlG、C
02、MAG溶接等のアーク溶接とレーザ溶接とを複合
したレーザとアークとの複合溶接方法において、簡便で
ありながら、レーザ光がアーク放電により発生したプラ
ズマによる阻害を受けず、レーザ溶接の効果を有効に発
揮でき、被溶接材の溶け込みを得ることが出来る複合溶
接方法を実現することである。
02、MAG溶接等のアーク溶接とレーザ溶接とを複合
したレーザとアークとの複合溶接方法において、簡便で
ありながら、レーザ光がアーク放電により発生したプラ
ズマによる阻害を受けず、レーザ溶接の効果を有効に発
揮でき、被溶接材の溶け込みを得ることが出来る複合溶
接方法を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のように構成される。 (1)レーザ溶接とアーク溶接とを複合して被溶接材の
溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法において、ア
ーク溶接の溶接電力がパルス状である。
め、本発明は次のように構成される。 (1)レーザ溶接とアーク溶接とを複合して被溶接材の
溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法において、ア
ーク溶接の溶接電力がパルス状である。
【0013】(2)好ましくは、上記(1)において、
アーク溶接の溶接電力パルスのパルス間隔が0.lms
以上である。
アーク溶接の溶接電力パルスのパルス間隔が0.lms
以上である。
【0014】(3)レーザ溶接とアーク溶接とを複合し
て被溶接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法
において、アーク溶接の溶接電力が交流である。
て被溶接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法
において、アーク溶接の溶接電力が交流である。
【0015】(4)レーザ溶接とアーク溶接とを複合し
て被溶接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法
において、アーク溶接の溶接条件が短絡移行現象を生じ
させる条件である 。
て被溶接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法
において、アーク溶接の溶接条件が短絡移行現象を生じ
させる条件である 。
【0016】上記の様な溶接条件の設定をした場合、ア
ーク放電によるプラズマは消失と生成とを繰り返す事と
なる。このため、アーク放電によるプラズマの消失時間
において、集光されたレーザ光は被溶接材に対し最大限
のパワーを与える事ができる。
ーク放電によるプラズマは消失と生成とを繰り返す事と
なる。このため、アーク放電によるプラズマの消失時間
において、集光されたレーザ光は被溶接材に対し最大限
のパワーを与える事ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明の原理について説明
する。上述したように、レーザとアークとの複合溶接方
法においては、アーク放電によるプラズマが殆ど常時発
生しており、このアーク放電によるプラズマがレーザ光
のパワーを吸収散乱させている。
する。上述したように、レーザとアークとの複合溶接方
法においては、アーク放電によるプラズマが殆ど常時発
生しており、このアーク放電によるプラズマがレーザ光
のパワーを吸収散乱させている。
【0018】したがって、アーク放電によるプラズマを
周期的もしくはほぼ周期的に消失するようにすれば、レ
ーザ光のパワーが、アーク放電に起因するプラズマによ
り阻害されることがない期間を確保することができ、被
溶接材の深い溶け込みを得ることができる。
周期的もしくはほぼ周期的に消失するようにすれば、レ
ーザ光のパワーが、アーク放電に起因するプラズマによ
り阻害されることがない期間を確保することができ、被
溶接材の深い溶け込みを得ることができる。
【0019】つまり、本発明の第1の実施形態において
は、レーザ溶接とアーク溶接を複合して溶接を行う場合
において、アーク溶接の溶接電圧(電流)をパルス状も
しくは交流とするものである。
は、レーザ溶接とアーク溶接を複合して溶接を行う場合
において、アーク溶接の溶接電圧(電流)をパルス状も
しくは交流とするものである。
【0020】好ましくは、アーク溶接の溶接電圧(電
流)をパルス状とする場合には、アーク放電が消失する
だけのパルス間隔(溶接条件により異なるが)が約0.
lms以上の間隔であり、パルス状の電圧のべ一ス電圧
がアーク放電を起こさない条件に設定してある事により
実現される。
流)をパルス状とする場合には、アーク放電が消失する
だけのパルス間隔(溶接条件により異なるが)が約0.
lms以上の間隔であり、パルス状の電圧のべ一ス電圧
がアーク放電を起こさない条件に設定してある事により
実現される。
【0021】また、アーク溶接の溶接電圧(電流)を交
流とする場合には、溶接条件により異なるが、例えば、
約100Hz程度とすることができる。
流とする場合には、溶接条件により異なるが、例えば、
約100Hz程度とすることができる。
【0022】上記の様な条件設定をした場合には、アー
ク放電は消失と生成とを繰り返す事となり、アーク放電
の消失時間において、ア一ク放電によるプラズマは発生
していないため、集光されたレーザ光は被溶接材に対し
最大限のパワーを与える事ができる。
ク放電は消失と生成とを繰り返す事となり、アーク放電
の消失時間において、ア一ク放電によるプラズマは発生
していないため、集光されたレーザ光は被溶接材に対し
最大限のパワーを与える事ができる。
【0023】次に、上述したレーザとアークとの複合溶
接を実施する装置の一例について説明する。図1は、上
述したレーザとアークとの複合溶接を実施する溶接装置
の一例の概略構成図である。図1において、レーザ発振
器13から出力されたレーザ光12は、伝送路を通過
し、集光ミラー11により反射され、レーザノズル16
を介して被溶接材2に集光される。
接を実施する装置の一例について説明する。図1は、上
述したレーザとアークとの複合溶接を実施する溶接装置
の一例の概略構成図である。図1において、レーザ発振
器13から出力されたレーザ光12は、伝送路を通過
し、集光ミラー11により反射され、レーザノズル16
を介して被溶接材2に集光される。
【0024】被溶接材2は、溶接治具18により水平に
固定されている。レーザ加工用のノズル16からはシー
ルドガス(例えばヘリウムガス)が、レーザ光12と同
軸状に被溶接材2に向けて噴射されており、被溶接材
(ワーク)2ヘのシールドを行っている。
固定されている。レーザ加工用のノズル16からはシー
ルドガス(例えばヘリウムガス)が、レーザ光12と同
軸状に被溶接材2に向けて噴射されており、被溶接材
(ワーク)2ヘのシールドを行っている。
【0025】また、被溶接材2の表面のレーザスポット
付近に溶接進行方向に40度だけ後傾姿勢で支持される
とともに、電極8を突き出した溶接トーチ1のアーク溶
接フィラーがレーザスポット付近に配置される。そし
て、溶接トーチ1からもシールドガス(例えば、アルゴ
ンであり、レーザ出射ノズル16から噴射されるシール
ドガスと異なっていてもよい)を噴射している。
付近に溶接進行方向に40度だけ後傾姿勢で支持される
とともに、電極8を突き出した溶接トーチ1のアーク溶
接フィラーがレーザスポット付近に配置される。そし
て、溶接トーチ1からもシールドガス(例えば、アルゴ
ンであり、レーザ出射ノズル16から噴射されるシール
ドガスと異なっていてもよい)を噴射している。
【0026】19はフィラー送給装置であり、このフィ
ラー送給装置19から溶接トーチ1のアーク溶接フィラ
ーが送給される。上記被溶接材2は、テーブル(XYテ
ーブル)17上に固定治具18により固定され、テーブ
ル17はモータ7により移動される。
ラー送給装置19から溶接トーチ1のアーク溶接フィラ
ーが送給される。上記被溶接材2は、テーブル(XYテ
ーブル)17上に固定治具18により固定され、テーブ
ル17はモータ7により移動される。
【0027】20は溶接電源であり、この溶接電源20
から溶接電圧又は溶接電流が、溶接用トーチ1の溶接電
極8と被溶接材2との間に供給される。14はレーザ発
振器13用のレーザ電源である。21はコントローラで
あり、このコントローラ21は、レーザ発振器13、レ
ーザ電源14、溶接電源20、モータ20の動作を制御
する。
から溶接電圧又は溶接電流が、溶接用トーチ1の溶接電
極8と被溶接材2との間に供給される。14はレーザ発
振器13用のレーザ電源である。21はコントローラで
あり、このコントローラ21は、レーザ発振器13、レ
ーザ電源14、溶接電源20、モータ20の動作を制御
する。
【0028】この図1に示した溶接装置において、溶接
電源20から溶接電極8と被溶接材2との間に供給され
る溶接電圧又は溶接電流を、パルス状もしくは交流とす
る。上記の様に条件設定をした場合には、アーク放電の
消失時間においては、図2に示すように、レーザ光によ
るプラズマ9は発生するが、ア一ク放電によるプラズマ
5は発生していないため、集光されたレーザ光12は被
溶接材2に対し最大限のパワーを与える事ができる。こ
れにより、溶け込み深さ15は、アーク放電によるプラ
ズマ5が消失していない場合(図4参照)と比較して、
深いものが得られる。
電源20から溶接電極8と被溶接材2との間に供給され
る溶接電圧又は溶接電流を、パルス状もしくは交流とす
る。上記の様に条件設定をした場合には、アーク放電の
消失時間においては、図2に示すように、レーザ光によ
るプラズマ9は発生するが、ア一ク放電によるプラズマ
5は発生していないため、集光されたレーザ光12は被
溶接材2に対し最大限のパワーを与える事ができる。こ
れにより、溶け込み深さ15は、アーク放電によるプラ
ズマ5が消失していない場合(図4参照)と比較して、
深いものが得られる。
【0029】以上のように、本発明の第1の実施形態に
よれば、レーザ溶接とアーク溶接とを複合して溶接を行
う場合において、アーク溶接の溶接電圧(電流)をパル
ス状もしくは交流としたので、アーク放電は消失と生成
とを繰り返し、アーク放電の消失時間において、ア一ク
放電によるプラズマの発生を阻止して、被溶接材に対す
るレーザ光に最大限のパワーを与える事ができる。
よれば、レーザ溶接とアーク溶接とを複合して溶接を行
う場合において、アーク溶接の溶接電圧(電流)をパル
ス状もしくは交流としたので、アーク放電は消失と生成
とを繰り返し、アーク放電の消失時間において、ア一ク
放電によるプラズマの発生を阻止して、被溶接材に対す
るレーザ光に最大限のパワーを与える事ができる。
【0030】したがって、簡便でありながら、レーザ光
がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受け
ず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の溶
け込みを得ることが可能な、レーザとアークとの複合溶
接方法を実現することができる。
がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受け
ず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の溶
け込みを得ることが可能な、レーザとアークとの複合溶
接方法を実現することができる。
【0031】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。上述した第1の実施形態においては、アーク溶
接の溶接電圧(電流)をパルス状もしくは交流とした
が、本発明の第2の実施形態では、アーク溶接の溶接電
圧(電流)は直流である。
明する。上述した第1の実施形態においては、アーク溶
接の溶接電圧(電流)をパルス状もしくは交流とした
が、本発明の第2の実施形態では、アーク溶接の溶接電
圧(電流)は直流である。
【0032】ところで、アーク溶接においては、電極ワ
イヤはアーク熱によって溶融し、溶滴となって、被溶接
材の溶融池に移行する。この場合、移行する液滴の大き
さや形、移行速度等の条件により、放電電極と被溶接材
とが短絡する短絡移行現象が発生することがある。
イヤはアーク熱によって溶融し、溶滴となって、被溶接
材の溶融池に移行する。この場合、移行する液滴の大き
さや形、移行速度等の条件により、放電電極と被溶接材
とが短絡する短絡移行現象が発生することがある。
【0033】この短絡移行現象の発生時には、放電電極
と被溶接材とは、プラズマを介さない通電状態となり、
発生していたプラズマは冷却されて一瞬消失し、消失し
たプラズマは、フィラーワイヤが被溶接材に通電後、流
れる電流のジュール熱で融かされ、その金属蒸気と熱電
子により再び生成される。
と被溶接材とは、プラズマを介さない通電状態となり、
発生していたプラズマは冷却されて一瞬消失し、消失し
たプラズマは、フィラーワイヤが被溶接材に通電後、流
れる電流のジュール熱で融かされ、その金属蒸気と熱電
子により再び生成される。
【0034】本発明の第2の実施形態においては、上述
した短絡移行現象を積極的に利用し、アーク放電による
プラズマの消失と発生とを繰り返えさせて、アーク放電
によるプラズマ消失時におけるレーザ光のパワーを有効
に利用し、被溶接材の深い溶け込みを得るものである。
した短絡移行現象を積極的に利用し、アーク放電による
プラズマの消失と発生とを繰り返えさせて、アーク放電
によるプラズマ消失時におけるレーザ光のパワーを有効
に利用し、被溶接材の深い溶け込みを得るものである。
【0035】次に、上述した短絡移行現象を発生させる
ための条件の一例を以下に示す。シールドガスは、レー
ザノズル16においては、ヘリウムを201/minと
し、溶接卜一チ1においては、レーザノズル16と同様
に、ヘリウムを201/minとする。また、溶接電流
は、250A、溶接電圧は、25Vとする。そして、溶
接速度を1m/minとし、レーザは5kWのものを用
いる。
ための条件の一例を以下に示す。シールドガスは、レー
ザノズル16においては、ヘリウムを201/minと
し、溶接卜一チ1においては、レーザノズル16と同様
に、ヘリウムを201/minとする。また、溶接電流
は、250A、溶接電圧は、25Vとする。そして、溶
接速度を1m/minとし、レーザは5kWのものを用
いる。
【0036】上述した条件により、溶接を実行すると、
供給される溶接電圧(電流)は、短絡時にはプラズマ5
を介さない通電状態となり、プラズマ5は冷えて一瞬消
失する。そして、消失したプラズマ5は、フィラーワイ
ヤが被溶接材2に通電後、流れる電流のジュール熱で融
かされ、その金属蒸気と熱電子により再び生成される。
短絡移行時間内では、プラズマ5は冷えた状態となり
レーザ光12はプラズマ5に阻害されることなく、被溶
接材2は、照射されるレーザ光12のパワーにより溶融
され深い溶け込みが得られる。
供給される溶接電圧(電流)は、短絡時にはプラズマ5
を介さない通電状態となり、プラズマ5は冷えて一瞬消
失する。そして、消失したプラズマ5は、フィラーワイ
ヤが被溶接材2に通電後、流れる電流のジュール熱で融
かされ、その金属蒸気と熱電子により再び生成される。
短絡移行時間内では、プラズマ5は冷えた状態となり
レーザ光12はプラズマ5に阻害されることなく、被溶
接材2は、照射されるレーザ光12のパワーにより溶融
され深い溶け込みが得られる。
【0037】これにより、従来方法ではプラズマ5によ
りレーザ光の散乱や吸収がおこなわれ、深さ方向へのレ
一ザ光12のエネルギーの有効な伝達が行われない現象
が発生していたが、本発明の第2の実施形態において
は、エネルギーの有効な伝達が行われない現象が回避さ
れ、図2に示すように、最大限のレーザの溶け込みが得
られるものとなる。
りレーザ光の散乱や吸収がおこなわれ、深さ方向へのレ
一ザ光12のエネルギーの有効な伝達が行われない現象
が発生していたが、本発明の第2の実施形態において
は、エネルギーの有効な伝達が行われない現象が回避さ
れ、図2に示すように、最大限のレーザの溶け込みが得
られるものとなる。
【0038】つまり、本発明の第2の実施形態によれ
ば、レーザ溶接とアーク溶接とを複合して溶接を行う場
合において、アーク溶接の溶接条件を短絡移行現象が発
生する条件とすることにより、短絡移行時に、アーク放
電によるプラズマを消失させて、被溶接材に対するレー
ザ光に最大限のパワーを与える事ができる。
ば、レーザ溶接とアーク溶接とを複合して溶接を行う場
合において、アーク溶接の溶接条件を短絡移行現象が発
生する条件とすることにより、短絡移行時に、アーク放
電によるプラズマを消失させて、被溶接材に対するレー
ザ光に最大限のパワーを与える事ができる。
【0039】したがって、簡便でありながら、レーザ光
がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受け
ず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の溶
け込みを得ることが可能な、レーザとアークとの複合溶
接方法を実現することができる。
がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受け
ず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の溶
け込みを得ることが可能な、レーザとアークとの複合溶
接方法を実現することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、レーザ溶接とアーク溶
接とを複合して溶接を行う場合において、アーク溶接の
溶接電圧(電流)をパルス状もしくは交流としたので、
アーク放電は消失と生成とを繰り返し、アーク放電の消
失時間において、ア一ク放電によるプラズマの発生を減
少させることにより、被溶接材に対するレーザ光に最大
限のパワーを与える事ができる。
接とを複合して溶接を行う場合において、アーク溶接の
溶接電圧(電流)をパルス状もしくは交流としたので、
アーク放電は消失と生成とを繰り返し、アーク放電の消
失時間において、ア一ク放電によるプラズマの発生を減
少させることにより、被溶接材に対するレーザ光に最大
限のパワーを与える事ができる。
【0041】したがって、簡便でありながら、レーザ光
がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受け
ず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の溶
け込みを得ることが可能な、レーザとアークとの複合溶
接方法を実現することができる。
がアーク放電により発生したプラズマによる阻害を受け
ず、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被溶接材の溶
け込みを得ることが可能な、レーザとアークとの複合溶
接方法を実現することができる。
【0042】また、レーザ溶接とアーク溶接とを複合し
て溶接を行う場合において、アーク溶接の溶接条件を短
絡移行現象が発生する条件とすれば、短絡移行時に、ア
ーク放電によるプラズマを消失させて、被溶接材に対す
るレーザ光に最大限のパワーを与える事ができる。
て溶接を行う場合において、アーク溶接の溶接条件を短
絡移行現象が発生する条件とすれば、短絡移行時に、ア
ーク放電によるプラズマを消失させて、被溶接材に対す
るレーザ光に最大限のパワーを与える事ができる。
【0043】したがって、このように構成しても、簡便
でありながら、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被
溶接材の溶け込みを得ることが可能な、レーザとアーク
との複合溶接方法を実現することができる。
でありながら、レーザ溶接の効果を有効に発揮でき、被
溶接材の溶け込みを得ることが可能な、レーザとアーク
との複合溶接方法を実現することができる。
【図1】本発明を実施するための溶接装置の概略構成図
である。
である。
【図2】本発明の実施形態による溶接状態の説明図であ
る。
る。
【図3】従来の技術におけるアーク溶接単独の場合の溶
接状態の説明図である。
接状態の説明図である。
【図4】従来の技術におけるレーザとアーク溶接とを複
合した場合の溶接状態の説明図である。
合した場合の溶接状態の説明図である。
1 溶接用トーチ 2 被溶接材 5 アーク放電によるプラズマ 6 溶接ビード 7 モータ 8 放電電極 9 レーザによるプラズマ 11 集光ミラー 12 レーザ光 13 レーザ発振器 14 レーザ電源 15 溶け込み深さ 16 レーザノズル 17 テーブル 18 固定治具 19 フィラー送給装置 20 溶接電源 21 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三柳 直毅 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 高野 悠敬 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 Fターム(参考) 4E068 BC01 4E082 AA03 AA04 AA08 AB01 BA02 BA04 EF14
Claims (4)
- 【請求項1】レーザ溶接とアーク溶接とを複合して被溶
接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法におい
て、 アーク溶接の溶接電力がパルス状であることを特徴とす
るレーザとアークの複合溶接方法。 - 【請求項2】請求項1記載のレーザとアークの複合溶接
方法において、アーク溶接の溶接電力パルスのパルス間
隔が0.lms以上であることを特徴とするレーザとア
ークの複合溶接方法。 - 【請求項3】レーザ溶接とアーク溶接とを複合して被溶
接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法におい
て、 アーク溶接の溶接電力が交流であることを特徴とするレ
ーザとアークの複合溶接方法。 - 【請求項4】レーザ溶接とアーク溶接とを複合して被溶
接材の溶接を行うレーザとアークの複合溶接方法におい
て、 アーク溶接の溶接条件が短絡移行現象を生じさせる条件
であることを特徴とするレーザとア一ク溶接の複介溶接
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27588799A JP3615097B2 (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | レーザとアークとの複合溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27588799A JP3615097B2 (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | レーザとアークとの複合溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001096365A true JP2001096365A (ja) | 2001-04-10 |
JP3615097B2 JP3615097B2 (ja) | 2005-01-26 |
Family
ID=17561833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27588799A Expired - Fee Related JP3615097B2 (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | レーザとアークとの複合溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3615097B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002346777A (ja) * | 2001-05-24 | 2002-12-04 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | レーザ・アーク併用溶接方法 |
KR100456969B1 (ko) * | 2001-09-17 | 2004-11-10 | 현대중공업 주식회사 | 레이저 용접과 아크 용접을 이용한 복합 용접 방법 |
DE10294581B4 (de) * | 2001-09-17 | 2010-06-02 | Honda Giken Kogyo K.K. | Werkstück-Schweißverfahren |
CN104907696A (zh) * | 2015-06-03 | 2015-09-16 | 广东省工业技术研究院(广州有色金属研究院) | 一种考虑焊接电流值的激光-电弧复合焊接方法 |
CN115846877A (zh) * | 2022-12-31 | 2023-03-28 | 中联重科股份有限公司 | 工件焊接方法及焊接结构件 |
-
1999
- 1999-09-29 JP JP27588799A patent/JP3615097B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002346777A (ja) * | 2001-05-24 | 2002-12-04 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | レーザ・アーク併用溶接方法 |
JP4627384B2 (ja) * | 2001-05-24 | 2011-02-09 | 日立建機株式会社 | レーザ・アーク併用溶接方法 |
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CN115846877A (zh) * | 2022-12-31 | 2023-03-28 | 中联重科股份有限公司 | 工件焊接方法及焊接结构件 |
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---|---|
JP3615097B2 (ja) | 2005-01-26 |
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