JP2002346777A - レーザ・アーク併用溶接方法 - Google Patents
レーザ・アーク併用溶接方法Info
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Abstract
スが抑制され、高品質・高能率のレーザアーク併用溶接
方法を実現する。 【解決手段】レーザ4とアークとの距離を調整して、ア
ークプラズマ6がレーザ4に干渉しない値とする。これ
により、レーザ4がアークプラズマ6に吸収されること
が回避される。また、溶接時のレーザ4のフォーカス位
置をY開先のV字部底面より上方で被溶接材5の表面近
傍に調整することにより、レーザ4による深い溶け込み
エネルギを残しつつ、アーク溶接が実行される以前に被
溶接材の広い領域での加熱が行われ、開先内部までアー
ク溶接が可能となる。したがって、深い溶け込みが得ら
れるとともに、エネルギロスが抑制され、高品質・高能
率のレーザアーク併用溶接方法を実現することができ
る。
Description
を併用して溶接する方法に関する。
深さ約1mmの溶け込みが得られ、高パワー密度の溶接
方法である。また、レーザ溶接は、レーザを照射した材
料表面で蒸発が起こり、その蒸発反力により、図10に
示すように、レーザ1により形成された溶融池内に、キ
ーホールと呼ばれる幅が狭く溶込みの深い深溶込み10
が得られる。さらに、レーザ溶接は、アーク溶接と比べ
て高速で低歪みといったことが特徴の溶接方法である。
さの薄板材について普及しており、さらに10mmを超
えるような厚さの厚板材への適用が望まれている。
10kWクラス以下のレーザ加工機では溶け込み深さは
10mmが限界である。
工機は非常に高価であり、仮に20kWのレーザを使用
したとしても、被溶接材の深さ20mm程度までの溶融
が限界であり、レーザ単独で溶融を行う溶け込み深さに
は限界があった。
深さを得るために、例えば、特開昭59−66991号
公報には、レーザとアークとを併用し同時に溶接するこ
とにより、深い溶け込みを得る溶接方法が開示されてい
る。
ザとアークとで併用し溶接すると、溶け込み深さは、図
11に示すレーザ単独による溶接部8の溶け込み深さと
図12に示すアーク単独による溶接部7の溶け込み深さ
とを加えた溶け込み深さより小となってしまい、図13
に示すようなレーザ溶接とアーク溶接とを加算した場合
の溶接部11のような溶け込み深さとはならない。
との目的であるレーザとアークエネルギの共有による深
溶け込みを得るという効果が得られていない。
いために被溶接材の表面で発生するアークプラスマによ
ってレーザエネルギが吸収されるためと考えられる。
くするための方法として、例えば、特開昭59−669
91号公報には、被溶接材に開先を形成することによ
り、プラズマを被溶接材の表面ではなく、被溶接材の深
い位置つまり開先内部で発生させることにより、深い溶
け込みを得る方法が開示されている。
度を早める方法として、例えば、特開平10−2257
82号公報には、レーザ導光用のギャップを設け、その
ギャップの全長に亘ってレーザを照射し、被溶接材をレ
ーザで溶融した後に、アークで溶融した溶融金属を開先
の内部に流し込む方法が開示されている。
10−225782号公報に開示されているように、レ
ーザの後から追従するアーク熱で溶融した溶湯を開先内
部に流し込むことを目的とし、先行させるレーザをレー
ザ導光用ギャップ内部全域に照射し、開先内部をあらか
じめ加熱・溶融させておく方法では、先行するレーザの
エネルギは導光用ギャップ内部の表面加熱に大部分を費
やされ、深さ方向への貫通エネルギが不足し、深い溶け
込みを得ることが困難となっていた。
図2に示されるように、レーザとアークとの位置関係が
レーザとアークプラズマが干渉するような距離で溶融す
る方法では、先に示したように、レーザがアークプラズ
マに接した時点でプラズマによりレーザが吸収され大幅
なエネルギロスが生じるため、深い溶け込みが得られな
いばかりでなく、エネルギ効率が低かった。
接を行う際にレーザとアークとの距離、および溶接時の
レーザのフォーカス位置を調整することにより、深い溶
け込みが得られるとともに、エネルギロスが抑制され、
高品質・高能率のレーザアーク併用溶接方法を実現する
ことである。
め、本発明は次のように構成される。 (1)レーザ照射とアーク放電とを併用して、V字形の
開口部とストレート部とを有するY形の開先形状部を溶
融することにより被溶接材を溶接するレーザ・アーク併
用溶接方法において、アーク放電によって発生するプラ
ズマがレーザと干渉しないように、上記Y形の開先形状
部に対してレーザ照射をアーク放電に先行して行うとと
もに、レーザの焦点位置は上記V字形開口部の底部より
開口側に設定し、レーザの照射範囲を上記V字形開口部
の底部からストレート部に向けて、上記Y形の開先形状
部のうちのアークプラズマが入り込めない深さの範囲に
設定する。
溶接方向に対して前方にレーザ照射、後方にアーク放電
を行い、レーザ照射とアーク放電との間隔を、アーク放
電によって発生するプラズマがレーザと干渉しない値と
する。
(2)において、V字形開口部の開先の表面開口幅は、
レーザが入り込むことが可能な幅以上であり、V字型開
口部のV字の角度は、アークが入り込むことが困難な角
度である。
(2)において、上記V字型開口部のV字の角度は、レ
ーザの拡がり角度以上であり、20°以下である。
(2)において、上記レーザの焦点位置は、被溶接材の
表面位置とほぼ同等な位置に設定される。
アークプラズマに干渉されないようにすることにより、
レーザによる深い溶け込みを確保することができる。
調整することにより、被溶接材の加熱領域を拡げ、アー
クプラズマを開先の内部に引き込むことができる。
れ、高品質・高能率のレーザアーク併用溶接方法を実現
することができる。
面を参照して説明する。まず、本発明の原理について述
べる。本発明は、レーザ照射手段とアーク放電手段とを
併用して、V字状の開口部とストレート部を併せ持つY
型の開先形状を溶融し、被溶接材を溶接する方法におい
て、溶接方向に対し前方つまり先行する位置にレーザ照
射、後方つまり後行する位置にアーク放電を配置し、レ
ーザ照射とアーク放電との間隔をアーク放電によって発
生するプラズマがレーザと干渉しない近傍とする。
底からアークプラズマが入り込めない深さの範囲に設定
することにより高品質で高能率のレーザ・アーク併用溶
接を行うものである。
すように、レーザノズル1からのレーザビーム4とアー
クトーチ2からのアークとの位置関係は、レーザビーム
4を先行させ、アークを追従させて被溶接材5を溶接す
る。被溶接材5にはレーザビーム4とともにアシストガ
ス3が供給される。
クによって発生するプラスマにレーザーエネルギが吸収
されることによるエネルギロスを防ぐために、図2に示
すように、レーザ4の照射位置をアークによって生成さ
れるプラズマ6にレーザ4が触れない程度の距離とす
る。
接速度、アーク電流によって変わるものである。
ズマ6に触れない程度、前方に照射するだけでは、図3
に示すように、レーザによる溶融部8とアークによる溶
融部7とが互いに分離する可能性がある。
を開先の底部に設定したため生じたと考えられる。つま
り、レーザのフォーカス位置9を開先の底部に設定する
と、図4に示すように、アークに先行するレーザは開先
底部の被溶接材5の突き合わせ面にのみ照射され、この
突き合わせ面のみを加熱・溶融する。
30°以下と小さい場合には開先の内部に入り込むこと
ができず開口部付近でアークプラズマが発生する。その
結果、図3に示すように、下方にレーザによる溶融部
8、上方にアークによる溶融部7と分離した溶融断面に
なったと考えられる。
ク併用溶接を行うためには、エネルギロスを少なくし、
かつレーザ溶融部とアーク溶融部とを分離させない工夫
が必要である。
ないためには、深い溶け込みを得ることを目的とし、レ
ーザによる溶融部は、そのままの状態で(図3に示す溶
融部8の状態)開口部付近にあるアークによる溶融部を
開先の内部に引き込む方法を見つけることが必要であ
る。
のアークによる溶融金属を開先の深い位置へ引き込む手
段として、アーク溶接によって被溶接材5が溶融される
前にあらかじめ溶接する開先の内面を加熱しておくこと
が有効である。
内面を加熱・溶融しておくことにより溶融した金属から
金属イオンが生じ、開先内面の導電性が高まるり、その
結果、アークによって発生するプラズマをアーク単独時
のように開口部付近で発生させるのではなく、開先の内
部に引き込むことが可能となるからである。
をあらかじめ加熱することを目的として、先行するレー
ザ4のフォーカス位置9を図5に示すように、開先の底
よりも若干上方にまたアーク単独で入り込む位置よりも
若干下方に設定する。
深さ方向への溶け込みを得るためのエネルギを残しつ
つ、Y開先のV字形部内面の加熱・溶融もおこなう。
まで溶融した溶融金属とレーザにより開先内部の加熱・
溶融効果によって、アークによる溶融金属が開先の深く
まで引き込まれ、レーザによる溶融金属とアークによる
溶融金属とが分離することなく、図6に示すように見事
につながり、溶接欠陥も無く良好な深溶け込みが可能と
なる。
被溶接材5の縦断面から見ると、図7のようになってい
ると考える。この図7に示すように、先行するレーザは
追従するアークプラズマ7に触れていないためレーザエ
ネルギのロスはなく、レーザ単独での深溶込みが得られ
ている。
ために、アークプラズマが開先の内部に引込まれ、レー
ザによる溶融部とアークによる溶融部とが分離すること
なく繋がる。
と、被溶接材5の溶融断面積との関係を示すグラフであ
る。図8に示すように、レーザとアークとの距離を0か
ら大としていくと、距離が20mmで約55mm2とな
る。そして、距離が20mmより大とすると、溶融断面
積は減少して行く。
20mmが最適値である。ただし、図8に示したデータ
は、レーザ出力を約5kW、開先角度を約15°、溶接
速度を約0.8m/min、開先深さを約10mm、レ
ーザの拡がり角度を約10°、トーチの傾斜角度を約3
0°、アークトーチのワイヤ径を約1.2mm、アーク
電流を20A、レーザの焦点位置を被溶接材の表面に設
定した場合の値である。
ザアーク併用溶接を用いて得られる溶融断面積と、レー
ザ溶接単独+アーク溶接単独で得られる溶接断面積とを
比較するグラフであり、ルートギャップを変化して得ら
れるデータを示すグラフである。なお、図9に示したデ
ータは、ルートギャップを除き、図8に示したデータを
得た条件と同様の条件で得たものである。
接単独+アーク溶接単独<レーザ・アーク併用溶接とな
り、レーザとアークとを併用した際の溶融断面積が単独
同士の和よりも大きくなる。換言すれば、レーザとアー
クとの併用溶接は、それだけ高能率な溶融が可能である
といえる。
ポット径が0.6mm程度とアーク照射径と比べて極め
て小さいために、被溶接材の突き合わせ面のギャップに
敏感であり、突合せ面のギャップが0.6mm程度以上
の場合には、レーザが抜けてしまっていたが、本発明の
一実施形態のように、レーザのフォーカス位置を開先の
底より上方に設定することにより、図9に示すように、
突き合わせ面のギャップが0.6mmを超えても、レー
ザがギャップを通過してしまうという事態を抑制するこ
とができ、ギャップ裕度の向上も期待できる。
ャップの裕度が小さいために突合せ面に機械加工を施す
必要があったが、本発明の一実施形態により、突合せ面
が、レーザ切断、プラズマ切断あるいはガス切断であっ
ても、溶接が可能となる。
ば、レーザとアークとの距離を調整して、アークプラズ
マがレーザに干渉しない値とするとともに、溶接時のレ
ーザのフォーカス位置をY開先のV字部底面より上方で
被溶接材の表面近傍に調整することにより、深い溶け込
みが得られるとともに、エネルギロスが抑制され、高品
質・高能率のレーザアーク併用溶接方法を実現すること
ができる。
字型の表面開口幅をレーザが入り込むことが可能な幅以
上とし、アークが入り込むことが困難な角度であればよ
い。
あればよいが、レーザ拡がり角が約10°の場合は、好
ましくは、15°以上あればよく、開先深さ10mm程
度でアークプラズマが入り込めない20°以下であれば
よい。
ないための、レーザノズルとアークトーチとの最小間隔
及びアークトーチの傾斜角度は、個々の装置毎に実験的
に算出することが可能である。
ーザ照射手段をアークトーチの前方に配置し、アークト
ーチによるプラズマがレーザに干渉しない位置にアーク
トーチを配置する例を示したが、アークトーチによるプ
ラズマがレーザに干渉する位置にアークトーチを配置す
る場合であっても、被溶接材を間欠的に移動して、レー
ザ照射とアーク放電とを交互に行い、レーザ照射を行っ
た後に、その部分についてアーク放電を行うようにして
も、本発明の効果を得ることができる。
て行い、レーザがアークプラズマに干渉されないように
するとともに、溶接時のレーザのフォーカス位置を調整
することにより、深い溶け込みが得られ、アークプラズ
マを開先の内部に引き込むことができるため、溶接のエ
ネルギロスが抑制され、高品質・高能率のレーザアーク
併用溶接方法を実現することができる。
用溶接時の配置関係を示す図である。
溶接時のレーザとアークプラズマとの位置関係を示す図
である。
られる溶融断面形状の一例をし、アーク溶接部とレーザ
溶接部とが分離してしまった状態を示す図である。
の加熱方向を示す図である。
位置とした場合の加熱方向を示す図である。
接を用いて得られる溶融断面形状を示す図である。
アークとの溶融現象の説明図である。
を示すグラフである。
溶接の溶融断面積と、レーザ溶接単独にアーク溶接単独
を加えた場合の溶融断面積とを、ルートギャップを変化
させて比較したグラフである。
状を示す図である。
状を示す図である。
による溶け込み深さとを加えた溶け込み深さを有する溶
融断面形状を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】レーザ照射とアーク放電とを併用して、V
字形の開口部とストレート部とを有するY形の開先形状
部を溶融することにより被溶接材を溶接するレーザ・ア
ーク併用溶接方法において、 アーク放電によって発生するプラズマがレーザと干渉し
ないように、上記Y形の開先形状部に対してレーザ照射
をアーク放電に先行して行うとともに、レーザの焦点位
置は上記V字形開口部の底部より開口側に設定し、レー
ザの照射範囲を上記V字形開口部の底部からストレート
部に向けて、上記Y形の開先形状部のうちのアークプラ
ズマが入り込めない深さの範囲に設定することを特徴と
するレーザ・アーク併用溶接方法。 - 【請求項2】請求項1記載のレーザ・アーク併用溶接方
法において、溶接方向に対して前方にレーザ照射、後方
にアーク放電を行い、レーザ照射とアーク放電との間隔
を、アーク放電によって発生するプラズマがレーザと干
渉しない値とすることを特徴とするレーザ・アーク併用
溶接方法。 - 【請求項3】請求項1又は2記載のレーザ・アーク溶接
方法において、V字形開口部の開先の表面開口幅は、レ
ーザが入り込むことが可能な幅以上であり、V字型開口
部のV字の角度は、アークが入り込むことが困難な角度
であることを特徴とするレーザ・アーク併用溶接方法。 - 【請求項4】請求項1又は2記載のレーザ・アーク溶接
方法において、上記V字型開口部のV字の角度は、レー
ザの拡がり角度以上であり、20°以下であることを特
徴とするレーザ・アーク併用溶接方法。 - 【請求項5】請求項1又は2記載のレーザ・アーク溶接
方法において、上記レーザの焦点位置は、被溶接材の表
面位置とほぼ同等な位置に設定されることを特徴とする
レーザ・アーク併用溶接方法。
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