JP2001094369A - 光学信号処理回路 - Google Patents

光学信号処理回路

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JP2001094369A
JP2001094369A JP26668999A JP26668999A JP2001094369A JP 2001094369 A JP2001094369 A JP 2001094369A JP 26668999 A JP26668999 A JP 26668999A JP 26668999 A JP26668999 A JP 26668999A JP 2001094369 A JP2001094369 A JP 2001094369A
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differential
signal processing
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JP26668999A
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Kiminari Tamiya
公成 田宮
Hiroshi Aoki
弘志 青木
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】差動信号処理と組み合わせて2値化する際に、
基準となる信号と比較する信号の品質の改善を容易且つ
確実に実現できるようにすること。 【解決手段】光学信号処理回路は、光信号送出装置の出
力もしくは情報記録媒体からの反射光に含まれる情報を
フォトダイオードで電気信号に変換した微弱な信号を入
力して、その信号の大小によらず一定振幅の電気信号を
得、コンパレータに対して出力する自動利得制御回路を
備える。この自動利得制御回路の利得制御アンプ10
は、レベルシフト回路40から、ピーク検出回路30に
より検出した差動信号処理回路20の出力の振幅に設定
された電圧を加えることにより生成された制御信号を、
制御入力端子11にて受ける。そして、その制御信号と
基準入力端子12に入力される基準電圧源50の基準電
圧との差により、上記差動信号処理回路20の出力が大
きくなれば利得を下げ、逆に、差動信号処理回路20の
出力が小さくなれば利得を上げる負帰還制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光信号送出装置の
出力もしくは情報記録媒体からの反射光に含まれる情報
をフォトダイオードで電気信号に変換して処理する光学
信号処理回路に関し、特に、フォトダイオードで検出し
た信号の大小によらず、一定振幅の電気信号を得る自動
利得制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】バーコードリーダなどで使用される光学
信号処理回路は、フォトダイオードで検出した微弱な信
号を十分増幅した信号と基準となる信号とをコンパレー
タ等で比較して2値化信号を得、これをディジタル回路
で演算している。この一連の動作において、信号処理の
品質を落とさないためには、コンパレータなどで上記基
準となる信号と比較する信号が次の条件を見たしていな
ければならない。
【0003】(1)回路の各部で発生するノイズが誤差
となるレベル以下である事、(2)歪みが誤差となるレ
ベル以下である事。
【0004】上記条件(1)は、光学信号処理回路で発
生するノイズレベルを下げる事、また外部より混入する
ノイズを抑圧する事で実現されている。例えば、IEEE J
ournal Of Solid State Circuit、Vol.SC-21 No.1 Febru
ary P644-651 1986に開示されているアンプ(差動信号
処理)によると電源ラインを介して回路に混入するノイ
ズが抑圧される。この差動信号処理の原理を図4の
(A)及び(B)を用いて説明する。
【0005】図4の(A)は通常の信号処理を表し、図
4の(B)が差動信号処理を表している。二つの信号処
理(各端子)に、一様のノイズ(vnoise)が発生
した場合、図4の(A)に示す通常信号処理では、アン
プ100の入力に重畳したノイズがn倍に増幅され、図
4の(B)に示す差動信号処理では、位相が180度シ
フトし振幅が同じノイズがアンプ101によりそれぞれ
n倍されるが、引き算回路102により、位相が180
度シフトした二つの入力に一様に重畳するノイズが、相
殺される。
【0006】このように差動信号処理を採用すれば、電
源ラインを介して回路に混入するノイズを抑圧し、コン
パレータなどで基準信号と比較する信号のS/Nを大き
くする事ができる。
【0007】また、上記条件(2)に対しては、小さい
信号がノイズに対して大きくなるように、一方大きな信
号は過大利得により歪まないように、光学信号処理の利
得を調整する事で実現される。例えば、特開平4−23
089号公報に開示されている自動利得制御によると、
入力信号の大小に依らず一定振幅の出力が得られる。以
下、図5の(A)乃至(D)を用いて、自動利得制御に
ついて、その動作を線形に近似して説明する。
【0008】図5の(A)は、自動利得制御回路の構成
を示す図である。この自動利得制御回路は、入力端子1
03T1,出力端子103T2,制御端子103T3の
三端子を有し、抵抗103A,FET103B,及び演
算増幅路103Cで構成される利得制御アンプ103
と、この利得制御アンプ103の出力振幅を直流(D
C)電圧として検出するピーク検出回路104と、該ピ
ーク検出回路104の出力をm倍し、その出力が上記利
得制御アンプ103の制御端子103T2に接続される
アンプ105とから構成されている。
【0009】ここで、利得制御アンプ103のFET1
03Bは、非飽和領域で動作している時、図5の(B)
に示すように、ドレイン・ソース間がゲート電圧(VG
S)で制御可能な抵抗であると見なすことができる。ま
た、演算増幅回路103Cは、その非反転端子には当該
利得制御アンプ103の入力端子103T1が、また反
転端子には、ソースがGNDに接続されたFET103
Bのドレインと抵抗103Aの一端とが、そして出力端
子に上記抵抗103Aの他端が接続されているので、F
ET103Bのソース・ドレイン間を抵抗と見なせば、
この利得制御アンプ103は、入力端子103T1に加
わる信号の非反転アンプだと見なす事ができる。線形に
近似した該利得制御アンプ103の利得Gxを、式1並
びに図5の(C)に示す。
【0010】
【数1】
【0011】一方、上記利得制御アンプ103の制御端
子103T2に加わる信号vcは、ピーク検出回路10
4の出力をアンプ105でm倍したものである。ここ
で、ピーク検出回路104の出力vpkは、図5の
(D)に示すようなものである。従って、利得制御アン
プ103の出力voutとピーク検出回路104の出力
vpkとの関係から、両方がDC値(時間で変化しない
もの)と扱えば、上記利得制御アンプ103の制御端子
103T2に加わる信号vcは、次の式2で表される。
【0012】
【数2】
【0013】このような式2を、上記式1に代入する
と、次のような式3及び式4(式3の変形)が導出でき
る。
【0014】
【数3】
【0015】上記式4は、自動利得制御回路の出力(利
得制御アンプ103の出力)が、vinの大小により決
まり、vinがゼロの時、 vout=0、 vinが一定の大きさを持ちk*m>1/vinの時、 vout=Ra/(k*m*Rb)、 である事を示している。後者は、出力が入力に依らず一
定である自動利得制御の特性を示している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】光学信号処理回路は、
フォトダイオードで検出した微弱な信号を十分増幅した
信号と基準となる信号とをコンパレータ等で比較して2
値化信号を得、これをディジタル回路で演算している。
この一連の動作において、信号処理の品質を落とさない
ためには、コンパレータ等で基準となる信号と比較する
信号が次の条件を見たしていなければならない。
【0017】上述したように、従来例の一つである差動
信号処理は、2値化する際に基準となる信号と比較す
る、増幅したフォトダイオードで検出した微弱な信号の
ノイズ成分を抑圧するのに有効な手段である。しかし、
バーコードリーダ等の光信号処理装置の場合、以下の条
件により入力信号のダイナミックレンジが数十dBにも
達する。
【0018】・光信号送出装置の出力(パワー)の変
化、 ・光信号送出装置と光学信号処理回路間の距離変化、 ・情報記録媒体の反射率の変化、 ・情報記録媒体と光学信号処理回路間の距離の変化。
【0019】信号のダイナミックレンジが数十dBにも
達すると、差動信号処理だけで2値化する際に基準とな
る信号と比較する全範囲の信号のノイズを抑圧する事は
困難である。そこで、差動信号処理を自動利得制御と組
合せ、特性を改善する事が考えられる。
【0020】この時、自動利得制御が安定して行われる
範囲が10dB程度である従来型の自動利得制御との組
み合わせでは、図6に示すように、動作点の設定次第で
は組み合わせた効果が十分得られない問題がある。ちな
みに、上記FET103Bのソース・ドレイン抵抗によ
る自動利得制御が安定に動作する範囲は、以下のような
FETの特性により決まっている。
【0021】・FETがゲート電圧で制御される抵抗と
近似できるのは、ドレイン・ソース間電圧が小さい時に
限られる、 ・FETのゲート電圧、ソース・ドレイン間抵抗の関係
が温度で変化する。
【0022】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、差動信号処理と組み合わせて2値化する際に、基準
となる信号と比較する信号の品質(ノイズ、歪み)の改
善を容易且つ確実に実現できる自動利得制御を有する光
学信号処理回路を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明による光学信号処理回路は、光信号送出装
置の出力もしくは情報記録媒体からの反射光に含まれる
情報をフォトダイオードで電気信号に変換して処理する
光学信号処理回路において、差動入力端子、差動出力端
子、制御入力端子、及び基準入力端子を備えた差動利得
制御手段と、少なくともフィルタリング機能及び増幅機
能を有し、上記差動利得制御手段の出力が加えられる差
動入力端子を備えた差動信号処理手段と、差動入力端子
を備え、上記差動信号処理手段の出力を検出するピーク
検出手段と、上記ピーク検出手段により検出した上記差
動信号処理手段の出力の振幅に、設定された電圧を加え
ることにより、上記差動利得制御手段の制御入力端子に
入力する制御信号を生成するレベルシフト手段と、上記
差動利得制御手段の基準入力端子に入力する基準信号を
生成する基準信号生成手段と、を具備し、上記差動利得
制御手段は、上記制御入力端子に入力される上記レベル
シフト手段で生成された制御信号と、上記基準入力端子
に入力される上記基準信号生成手段で生成された基準電
圧との差により、上記差動信号処理手段の出力が大きく
なれば利得を下げ、逆に上記差動信号処理手段の出力が
小さくなれば利得を上げる負帰還制御を行うことを特徴
とする。
【0024】即ち、本発明の光学信号処理回路によれ
ば、差動利得制御手段が、上記差動信号処理手段の出力
の振幅に設定された電圧を加えることにより生成される
レベルシフト手段からその制御入力端子に入力される制
御信号と、その基準入力端子に入力される基準信号生成
手段で生成された基準電圧との差により、上記差動信号
処理手段の出力が大きくなれば利得を下げ、逆に、上記
差動信号処理手段の出力が小さくなれば利得を上げる負
帰還制御を行うようにしている。
【0025】従って、差動信号処理と組み合わせて2値
化する際に、基準となる信号と比較する信号の品質(ノ
イズ、歪み)の改善を容易且つ確実に実現できる自動利
得制御を有する光学信号処理回路を提供することができ
る。
【0026】なお、上記差動信号処理手段は、入力とし
て加わる信号の大小あるいは周波数帯域に合わせ最適な
ものを選択することが好ましい。
【0027】また、上記レベルシフト手段の設定電圧に
より、利得制御出力を調整することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0029】図1の(A)は、本発明の一実施の形態に
係る光学信号処理回路に適用される自動利得制御回路の
構成を示す図である。
【0030】この自動利得制御回路は、光信号送出装置
の出力もしくは情報記録媒体からの反射光に含まれる情
報を図示しないフォトダイオードで電気信号に変換した
微弱な信号を入力して、その信号の大小によらず一定振
幅の電気信号を得、図示しないコンパレータに対して出
力するためのものであり、差動利得制御手段として機能
する利得制御アンプ10、差動信号処理手段として機能
する差動信号処理回路20、ピーク検出手段として機能
するピーク検出回路30、レベルシフト手段として機能
するレベルシフト回路40、及び基準信号生成手段とし
て機能する基準電圧源50から構成されている。
【0031】ここで、上記利得制御アンプ10は、上記
レベルシフト回路40からの制御信号を入力する制御入
力端子11及び上記基準電圧源50からの基準信号を入
力する基準入力端子12に接続された利得制御段13
と、正及び負入力端子14P,14Nに接続され、上記
利得制御段13の出力により制御される信号増幅段15
と、該信号増幅段15と正及び負出力端子16P,16
Nとの間に配されたバッファ17P,17Nと、から構
成されている。
【0032】図2は、この利得制御アンプ10の実際の
回路構成を示す図である。
【0033】即ち、利得制御段13は、その値がIrで
ある定電流源Iref1と、共に抵抗値がR1である2
本の抵抗Re0,Re1と、PNPトランジスタQ1,
Q2とで構成されている。ここで、上記定電流源Ire
f1の一端は電源に接続され、他端には上記抵抗Re1
及びRe2の一端が接続されている。そして、抵抗Re
1の他端は、コレクタがGNDに接続され且つベースが
上記基準入力端子12に接続されたトランジスタQ1の
エミッタに接続され、また、抵抗Re2の他端は、コレ
クタが信号増幅段15の出力端子に接続され且つベース
が上記制御入力端子11に接続されたトランジスタQ2
のエミッタに接続されている。
【0034】このような構成の利得制御段13では、上
記トランジスタQ1のベースに基準入力(電圧=Vre
f)、トランジスタQ2のベースに制御入力(電圧=V
c)が加わった状態における、出力端子に流れる出力電
流icntは、次の式5の条件が成り立つとき、以下の
式6(又は式7)で示される。
【0035】
【数4】
【0036】一方、信号増幅段15は、その値がIrで
ある四つの定電流源Iref2〜Iref5、その値が
R2である抵抗Re2、その値がR3である2本の抵抗
Ro1,Ro2、及び12個のトランジスタQ3〜Q1
4から構成されている。
【0037】ここで、NPNトランジスタQ3及びQ4
は、上記利得制御段13の出力端子を、Q3のコレクタ
とベース及びトランジスタQ4のベースに、また両トラ
ンジスタQ3,Q4のエミッタをGNDに接続すること
で、トランジスタQ4のコレクタ電流を出力とするカレ
ントミラーを構成している。これらトランジスタQ3,
Q4のエミッタ面積比が1:2のとき、同カレントミラ
ーの出力であるトランジスタQ4のコレクタ電流Ic
(Q4)は、次の式8で示される。
【0038】
【数5】
【0039】また、共に一端がGNDに接続されている
上記定電流源Iref2,Iref3の他端間には、上
記抵抗Re2が接続されている。そして、この一方の定
電流源Iref2のこの他端には、更に、ベースが上記
正入力端子14Pに接続されたNPNトランジスタQ5
のエミッタが接続され、もう一方の定電流源Iref3
のこの他端には、更に、ベースが上記負入力端子14N
に接続されたNPNトランジスタQ6のエミッタが接続
されている。これらトランジスタQ5,Q6のコレクタ
はそれぞれ、コレクタとベースが共に電源に接続された
NPNトランジスタQ7,Q8のエミッタと接続される
と共に、共通エミッタが上記カレントミラーの出力であ
るトランジスタQ4のコレクタに接続されたNPNトラ
ンジスタQ11,Q12のベースと接続されている。
【0040】このトランジスタQ11のコレクタは、エ
ミッタが電源に接続されたPNPトランジスタQ9のベ
ース及びコレクタに接続されると共に、エミッタが電源
に接続されたPNPトランジスタQ14のべースに接続
されている。そして、このトランジスタQ14のコレク
タは、上記正出力端子16Pに接続された利得“1”の
バッファ17Pの入力と、その値がR3で一端が上記基
準入力端子12に接続された抵抗Ro2の他端と、その
値がIrであり一端がGNDに接続された定電流源Ir
ef5の他端とに接続されている。
【0041】同様に、上記トランジスタQ12のコレク
タは、エミッタが電源に接続されたPNPトランジスタ
Q10のベース及びコレクタに接続されると共に、エミ
ッタが電源に接続されたPNPトランジスタQ13のべ
ースに接続されている。そして、このトランジスタQ1
3のコレクタは、上記負出力端子16Nに接続された利
得“1”のバッファ17Nの入力と、その値がR3で一
端が上記基準入力端子12に接続された抵抗Ro1の他
端と、その値がIrであり一端がGNDに接続された定
電流源Iref4の他端とに接続されている。
【0042】このような構成の信号増幅段15において
は、次のような式9が成立する。
【0043】
【数6】
【0044】そして、正入力端子14PにVip、負入
力端子14NにVinが加わると、トランジスタQ5,
Q6のコレクタ電流Ic(Q5),Ic(Q6)は、次
の式10,式11で表される。
【0045】
【数7】
【0046】上記式10乃至式12に示したトランジス
タQ5,Q6の電流はそれぞれ、トランジスタQ7,Q
8に流れる。一方、上記トランジスタQ7,Q8,Q1
1,Q12の接続関係から、各トランジスタトランジス
タQ7,Q8,Q11,Q12のベース・エミッタ間電
圧をVbe(Q7),Vbe(Q8),Vbe(Q1
1),Vbe(Q12)とすると、次のような式13が
成立する。
【0047】
【数8】
【0048】また、上記トランジスタQ11,Q12,
Q4の接続から、それらトランジスタQ11,Q12,
Q4のコレクタ電流をIc(Q11),Ic(Q1
2),Ic(Q4)とすると、次のような式14が成立
する。
【0049】
【数9】
【0050】そして、これら式13及び式14と前述し
た式8とを組み合わせ、トランジスタQ11のコレクタ
電流とトランジスタQ12のコレクタ電流を、次のよう
な式15及び式16のように定義すると、式17及び式
18が得られる。
【0051】
【数10】
【0052】従って、この利得制御アンプ10の利得g
ain、並びに、正出力端子16P及び負出力端子16
Nに生じる電圧Voutp及びVoutnは、次の式1
9及び式20で表される。
【0053】
【数11】
【0054】つまり、この利得制御アンプ10の利得
は、図3の(A)に示すように変化する。即ち、上記式
19は、最大利得と利得変化率が共に回路に用いる抵抗
の比だけで決まる事を表しており、回路をIC化した場
合、最大利得及び利得変化率は抵抗の比精度並み(通常
1乃至2%)となり、温度依存性が極めて小さい。
【0055】そして、このような利得制御アンプ10
と、フィルタやアンプなどの機能を有する差動信号処理
回路20、差動入力を備えピークホールド機能を有する
ピーク検出回路30、レベルシフト回路40、及び基準
電圧源50により、自動利得制御回路を構成している。
【0056】即ち、この利得制御アンプ10の出力を差
動信号処理回路20の入力に接続し、その差動信号処理
回路20の出力に接続したピーク検出回路30の出力に
レベルシフト回路40で生成する電圧を加えた信号を利
得制御アンプ10の制御入力端子11に、また、基準電
圧源50を基準入力端子12に接続する事で、この利得
制御アンプ10の利得を自動制御する回路を実現してい
る。
【0057】ここで、ピーク検出回路30は、正入力と
負入力に加わる信号の振幅を検出するもので、2入力の
何れか一方かまたは両方の入力から、図3の(B)に示
す振幅電圧Vpkを求める。この時、レベルシフト回路
40で生成する出力が、その入力よりも低くなるよう
に、発生する電圧を−Vshift、基準電圧をvre
f=oとすると、上記利得制御アンプ10の制御入力端
子11に加わる電圧Vcは、次の式21で表される。
【0058】
【数12】
【0059】この時、利得制御アンプ10の基準入力端
子12に加わる基準電圧がVref、差動信号処理は利
得“1”で且つその特性が周波数によらず一定であり、
入出力を次の式22及び式23に示すよう定義すると、
以下の式24が成立する。
【0060】
【数13】
【0061】上記式24は、図3の(B)で示したVp
kと上記voagcとがDC値である(信号が時間で変
化しない)と仮定し、Vpk=voagcとすると、次
のような式25に変形できる。
【0062】
【数14】
【0063】さらに、上記vinagcがある大きさを
持ち、分母の第一項に対して第二項が小さいとすると、
上記式25は次の式26に変形できる。
【0064】
【数15】
【0065】上記式26は、自動利得制御回路の出力
が、抵抗比とレベルシフト回路40で生成する電圧Vs
hiftとで決まり、IC化すればその精度が1乃至2
%に達する事を示し、温度依存性が極めて小さい事を示
している。
【0066】これまでで、図1の(A)及び図2に示す
自動利得制御の出力が上記式26で示される説明をして
きたが、上記式26の導出は、前述のように時間で振幅
変化のない信号に限定される。次に、時間で振幅が変化
した際の光学信号処理回路の動作を、図1の(B)及び
図3の(C)を用いて説明する。
【0067】図1の(B)は、バースト状入力vina
gcとそれに対する自動利得制御回路の出力voagc
及びピーク検出信号Vpkを合わせて示しており、回路
の動作は過渡期ttrと定常期tsに分けられる。定常
期tsの出力は、入力振幅に変化がない前提で求めたよ
うに上記式26で表される。次に、過渡期ttrの動作
を、図3の(C)に示すピーク検出回路30の動作によ
り説明する。
【0068】ピーク検出回路30は、非反転入力がそれ
ぞれ該ピーク検出回路30の正入力端子31P,負入力
端子31Nに接続されたコンパレータ32,33と、そ
れぞれのコンパレータ32,33の反転入力がエミッタ
に、該コンパレータ32,33の出力がベースに、電源
がコレクタに接続されたNPNトランジスタ34と、該
ピーク検出回路30の出力端子35と上記トランジスタ
34のエミッタとの接続点に接続される、他端子がGN
Dに接続された抵抗36及び容量37とで構成される。
【0069】このピーク検出回路30は、正入力端子3
1Pに加わるVinpもしくは負入力端子31Nに加わ
るVinnが出力端子35に現れるVoutよりも大き
ければ、トランジスタ34に電流ichが流れ、逆に、
正入力端子31Pに加わるVinpもしくは負入力端子
31Nに加わるVinnが出力端子35に現れるVou
tよりも小さければ、抵抗36に電流idischが流
れる。この一連の動作において、抵抗36を、次の式2
7が成り立つよう設定すれば、出力端子35に現れるV
outは、正入力もしくは負入力の振幅に相当するDC
値になる。
【0070】
【数16】
【0071】次に、上記ピーク検出回路30の動きと、
自動利得制御の関係を結びつける。図3の(C)に示す
トランジスタ34に流れる電流の制限から、上記ピーク
検出回路30の出力が実際の振幅に等しくなるまでの時
間遅れtdlは、容量37の値をClとすれば、次の式
28となる。
【0072】
【数17】
【0073】通常、自動利得制御回路を構成する他の回
路の動きは、このピーク検出回路30に比べて高速なの
で、自動利得制御の過渡期間の幅は、次の式29で表さ
れる。
【0074】
【数18】
【0075】自動利得制御は、この式29を前提に、過
渡期間ttrがバースト状信号の読み取りに影響を与え
ないようピーク検出回路30の動作を決めて使用される
が、ピーク検出回路30は読み取るべき信号だけでなく
ノイズにも反応する。
【0076】ピーク検出回路30がノイズに反応し、電
流ichにより容量37が充電されると、充電された電
荷をidischで放電する時間遅れは、上記式27に
示したichとidischの関係から(二桁以上)大
きくなる。上記利得制御アンプ10とピーク検出回路3
0との間に挿入する上記差動信号処理回路20が、決め
られた周波数の信号のみを通過する特性を持っている
と、ピーク検出回路30は、入力信号の振幅のみを検出
する。
【0077】また、前述したように、上記式26に示し
たこの自動利得制御回路の出力は、レベルシフト回路4
0の設定電圧によって決まる。このような自動利得制御
回路を備えた光信号処理回路では、この自動利得制御回
路の出力は、基準となる信号とコンパレータ等で比較し
て2値化信号に変換した後、ディジタル回路で演算され
る。この一連の動作でコンパレータの出力に生じる遅延
は、光学信号処理回路の信号処理品質を落とす一要因で
ある。この遅延は、コンパレータに入力する信号の傾き
で決まり、傾きが大きければ遅延は小さくなる。
【0078】このため、この自動利得制御回路の出力信
号は、遅延が信号品質に影響しない程度に大きく設定さ
れる。一方、設定した出力が過大になると、コンパレー
タの遅延による信号品質の劣化ではなく、自動利得制御
出力の歪みが原因となる信号品質の劣化が問題となる。
【0079】よって、レベルシフト回路40の設定電圧
は、自動利得制御出力の歪みが原因となる信号品質の劣
化と、コンパレータで生じる遅延が原因となる信号品質
の劣化を最適化するべく調整する。
【0080】以上実施の形態に基づいて本発明を説明し
たが、本発明は上述した実施の形態に限定されるもので
はなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可
能である。
【0081】ここで、本発明の要旨をまとめると、特許
請求の範囲に記載したものに加えて、以下のような構成
を含む。
【0082】(1) 差動入力端子、差動出力端子、制
御入力端子、及び基準入力端子を備えた差動利得制御手
段と、少なくともフィルタリング機能及び増幅機能を有
し、前記差動利得制御手段の出力が加えられる差動入力
端子を備えた差動信号処理手段と、差動入力端子を備
え、前記差動信号処理手段の出力を検出するピーク検出
手段と、前記ピーク検出手段により検出した前記差動信
号処理手段の出力の振幅に、設定された電圧を加えるこ
とにより、前記差動利得制御手段の制御入力端子に入力
する制御信号を生成するレベルシフト手段と、前記差動
利得制御手段の基準入力端子に入力する基準信号を生成
する基準信号生成手段と、を具備し、前記差動利得制御
手段は、前記制御入力端子に入力される前記レベルシフ
ト手段で生成された制御信号と、前記基準入力端子に入
力される前記基準信号生成手段で生成された基準電圧と
の差により、前記差動信号処理手段の出力が大きくなれ
ば利得を下げ、逆に前記差動信号処理手段の出力が小さ
くなれば利得を上げる負帰還制御を行うことを特徴とす
る自動利得制御回路。
【0083】(2) 前記差動信号処理手段は、入力と
して加わる信号の大小あるいは周波数帯域に合わせ最適
なものを選択することを特徴とする(1)に記載の自動
利得制御回路。
【0084】(3) 前記レベルシフト手段の設定電圧
により利得制御出力を調整することを特徴とする(1)
又は(2)に記載の自動利得制御回路。
【0085】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
差動信号処理と組み合わせ用い、回路を構成する抵抗の
比と電圧源でその出力及び動作が決まる自動利得制御に
より、2値化する際に、基準となる信号と比較する信号
の品質(ノイズ、歪み)の改善を容易且つ確実に実現で
きる光学信号処理回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る光学信号
処理回路に適用される自動利得制御回路の構成を示す図
であり、(B)は実際に光学信号処理回路で扱う信号を
示す図である。
【図2】利得制御アンプの構成を示す回路図である。
【図3】(A)は利得制御アンプの特性を示す図、
(B)はピーク検出回路の特性を示す図であり、(C)
はピーク検出回路の構成を示す図である。
【図4】(A)は通常の信号処理におけるノイズの乗っ
た波形を示す図であり、(B)はノイズを抑制する差動
信号処理の原理を説明するための図である。
【図5】(A)は従来の自動利得制御回路の構成を示す
図、(B)は従来の自動利得制御回路に用いるFETの
特性を示す図、(C)は制御電圧と利得の関係を示す図
であり、(D)はピークホールドの動作を説明するため
の図である。
【図6】差動信号処理と自動利得制御の組み合わせによ
る効果の有無を説明するための図である。
【符号の説明】 10 利得制御アンプ 11 制御入力端子 12 基準入力端子 13 利得制御段 14N,31N 負入力端子 14P,31P 正入力端子 15 信号増幅段 16N 負出力端子 16P 正出力端子 17P,17N バッファ 20 差動信号処理回路 30 ピーク検出回路 32,33 コンパレータ 35 出力端子 40 レベルシフト回路 50 基準電圧源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J066 AA01 AA12 AA21 AA22 AA56 CA21 CA32 CA41 CA46 FA09 FA17 HA02 HA25 HA44 KA02 KA05 KA09 KA12 KA17 KA18 KA19 KA23 KA41 KA47 MA08 MA13 MA19 MA21 ND05 ND12 ND22 ND23 ND28 PD02 SA01 TA01 TA02 TA06 5J100 JA01 LA01 LA09 LA13 QA01 QA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光信号送出装置の出力もしくは情報記録
    媒体からの反射光に含まれる情報をフォトダイオードで
    電気信号に変換して処理する光学信号処理回路におい
    て、 差動入力端子、差動出力端子、制御入力端子、及び基準
    入力端子を備えた差動利得制御手段と、 少なくともフィルタリング機能及び増幅機能を有し、前
    記差動利得制御手段の出力が加えられる差動入力端子を
    備えた差動信号処理手段と、 差動入力端子を備え、前記差動信号処理手段の出力を検
    出するピーク検出手段と、 前記ピーク検出手段により検出した前記差動信号処理手
    段の出力の振幅に、設定された電圧を加えることによ
    り、前記差動利得制御手段の制御入力端子に入力する制
    御信号を生成するレベルシフト手段と、 前記差動利得制御手段の基準入力端子に入力する基準信
    号を生成する基準信号生成手段と、 を具備し、 前記差動利得制御手段は、前記制御入力端子に入力され
    る前記レベルシフト手段で生成された制御信号と、前記
    基準入力端子に入力される前記基準信号生成手段で生成
    された基準電圧との差により、前記差動信号処理手段の
    出力が大きくなれば利得を下げ、逆に前記差動信号処理
    手段の出力が小さくなれば利得を上げる負帰還制御を行
    うことを特徴とする光学信号処理回路。
  2. 【請求項2】 前記差動信号処理手段は、入力として加
    わる信号の大小あるいは周波数帯域に合わせ最適なもの
    を選択することを特徴とする請求項1に記載の光学信号
    処理回路。
  3. 【請求項3】 前記レベルシフト手段の設定電圧により
    利得制御出力を調整することを特徴とする請求項1又は
    2に記載の光学信号処理回路。
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