JP2001093137A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2001093137A
JP2001093137A JP26737999A JP26737999A JP2001093137A JP 2001093137 A JP2001093137 A JP 2001093137A JP 26737999 A JP26737999 A JP 26737999A JP 26737999 A JP26737999 A JP 26737999A JP 2001093137 A JP2001093137 A JP 2001093137A
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roll
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Jota Ito
条太 伊藤
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
Yukihiko Ichikawa
行彦 市川
Yuichi Masuzawa
雄一 増澤
Kazuharu Iwasaki
和春 岩崎
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非磁性支持体として芳香族ポリアミドフィル
ムを使用した場合においても適正な負カッピングを実現
する。 【解決手段】 非磁性支持体の一主面上に、少なくとも
金属磁性膜が成膜されてなる磁気記録媒体において、上
記非磁性支持体は、芳香族ポリアミドフィルムからな
り、幅方向における200℃の熱収縮率が1.0〜1.
5%であり、上記金属磁性膜が成膜された一主面側が凸
となる方向に内部応力を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体の一
主面上に金属磁性膜が成膜されてなる磁気記録媒体及び
その製造方法に関し、特に大容量のテープストリーマー
として用いて好適な磁気記録媒体及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、ミニコンピュータ、パーソナルコ
ンピュータなどのオフィスコンピュータの普及に伴っ
て、外部記憶媒体としてコンピュータデータを記録する
ための磁気テープ(いわゆる、テープストリーマー)の
研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テー
プの実用化に際しては、特にコンピュータの小型化、情
報処理能力の増大と相まって記録の大容量化、小型化を
達成するために記録容量の向上が強く要求される。
【0003】一方、ビデオカセット用の磁気記録媒体と
しては、ビデオカセットの小型化に伴い、より一層のコ
ンパクト化と長時間記録化が望まれている。
【0004】また、磁気テープの使用環境の広がりによ
る幅広い環境条件下(特に、変動の激しい温湿度条件下
など)での使用、データ保存に対する信頼性、更に高速
での繰り返し使用による多数回走行におけるデータの安
定した記録、読み出し等の性能に対する信頼性なども従
来にまして要求されている。
【0005】一般に、磁気テープは、合成樹脂などの可
撓性材料からなる非磁性支持体上に磁性層が設けられた
構成である。そして、上述したような大きい記録容量
(体積記録容量)を達成するためには、磁性層を強磁性
金属薄膜にすることにより磁性層自体の記録密度を高め
るとともに、磁気テープの全厚を薄くすることが有効な
方法であるとされている。すなわち、磁気テープとして
は、非磁性支持体上に、金属磁性薄膜を成膜してなる、
いわゆる蒸着テープが有効である。
【0006】この蒸着テープにおいて、非磁性支持体と
しては、ポリエステル、主としてポリエチレンテレフタ
レートフィルムが用いられている。特に、ホームビデオ
カセットテープ、例えば、8mmテープに用いられる非
磁性支持体としては、厚みが7〜10μm程度のポリエ
チレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられ、
コンピュータのデータバックアップ用のテープストリー
マーには、厚みが5〜7μm程度のポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルムが用いられている。
【0007】また、ビデオテープに使用される磁気記録
媒体の記録時間を延長するための方法としては、例え
ば、特開平6−215350号公報に記載されるよう
に、非磁性支持体としてポリエステルを主成分とし、更
に具体的にはポリエチレンナフタレートを用いるのが望
ましいとされている。
【0008】一方、上述したようなポリエチレンテレフ
タレートやポリエチレンナフタレートフィルムに比べ強
度が高い芳香族ポリアミドフィルムを用いる検討もなさ
れている。この芳香族ポリアミドフィルムを非磁性支持
体として用いた磁気記録媒体は、強度が高いため、厚さ
を薄くすることが可能であり、ビデオカセットテープの
長時間記録化、テープストリーマーの大容量化に対応し
た磁気記録媒体として注目されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで蒸着テープ
は、その蒸着工程において強磁性金属薄膜が凝固する際
に収縮を起こすことが原因となり、外力を加えない状態
において、テープ幅方向の形状が磁性膜側を凹とするよ
うな変形、いわゆる正カッピングを生じる。図9に、蒸
着テープ71に強磁性金属薄膜形成面72側を凹とする
ような変形、すなわち正カッピングが生じた状態を示
す。また、図10に、蒸着テープ71に強磁性金属薄膜
形成面72側を凸とするような変形、すなわち負カッピ
ングが生じた状態を示す。
【0010】そして、蒸着テープに正カッピングが生
じ、その量が所定の限度量を超えると、磁気記録媒体と
ヘッドとの接触状態、すなわちヘッド当たりが悪くな
る。また、ヘッド当たりが悪い場合には、磁気記録媒体
がドラムに巻き付く際に磁気記録媒体の幅方向のエッジ
にダメージが入りやすくなる。そのため、蒸着工程以後
に、蒸着テープに生じた正カッピングを適当な負カッピ
ングに矯正する必要がある。
【0011】そこで、非磁性支持体としてポリエチレン
テレフタレートやポリエチレンナフタレートを使用した
場合には、正カッピングを矯正するために、所定の圧力
とともに100℃〜150℃程度の熱を加える、いわゆ
るホットロール処理が施されている。非磁性支持体とし
てポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレ
ートを使用した場合には、これらの材料に大きな熱収縮
率を持たせることができるため、テープ全体に数十〜2
00℃の熱を加えることにより非磁性支持体がテープ幅
方向に1%〜2%程度収縮し、容易に正カッピングを負
カッピングに矯正することができる。
【0012】しかしながら、非磁性支持体として芳香族
ポリアミドフィルムを使用した場合には、ポリエチレン
テレフタレートやポリエチレンナフタレートを使用した
場合と事情が異なる。すなわち、芳香族ポリアミドフィ
ルムは、1%〜2%収縮させるためには200℃以上の
温度の熱を加えることが必要となる。ところが、この温
度領域では、芳香族ポリアミドフィルムのみならず、強
磁性金属薄膜も熱収縮を起こしてしまうため、正カッピ
ングを負カッピングに矯正することができないのが実情
である。
【0013】この問題を解決するための手法として、芳
香族ポリアミドフィルムの熱収縮率を極端に大きくする
方法が考えられる。しかし、現在の技術では、熱収縮率
の大きな芳香族ポリアミドフィルムを製造しようとした
場合、芳香族ポリアミドフィルム面内における熱収縮率
の均一性が悪くなり、形状を更に悪化させることがあ
る。非磁性支持体として、芳香族ポリアミドフィルムを
使用する理由が、高い機械強度を有して薄膜化に有利な
ためであることを考慮すると、このような形状の更なる
悪化は、非磁性支持体としての使用上、許容されない。
このため、芳香族ポリアミドフィルムの熱収縮を大きく
するといった手法を用いることはできず、芳香族ポリア
ミドフィルムを非磁性支持体として用いる場合には、正
カッピングの矯正を有効に行うことができないといった
問題点があった。
【0014】そこで、本発明は、このような技術的背景
に基づいて創案されたものであり、非磁性支持体として
芳香族ポリアミドフィルムを使用した場合においても適
正な負カッピングを実現できる磁気記録媒体及びその製
造方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気記録媒
体は、非磁性支持体の一主面上に少なくとも金属磁性膜
が成膜されてなる磁気記録媒体において、上記非磁性支
持体は、芳香族ポリアミドフィルムからなり、幅方向に
おける200℃の熱収縮率が1.0〜1.5%であり、
上記非磁性支持体は、上記金属磁性膜が成膜された一主
面側が凸となる方向に内部応力を有することを特徴とす
るものである。
【0016】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、非磁性支持体の幅方向の200℃の熱膨張
率を上述したように規定され、金属磁性膜側が凸となる
方向に内部応力を有することとなる。すなわち、磁気記
録媒体は、金属磁性膜が成膜された一主面側が凸となる
方向にカッピングを生じる。
【0017】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法は、非磁性支持体の一主面上に少なくとも金属磁性膜
を成膜する磁気記録媒体の製造方法において、芳香族ポ
リアミドフィルムからなり、幅方向における200℃の
熱収縮率が1.0〜1.5%である非磁性支持体の一主
面上に上記金属磁性膜を成膜し、ロール表面温度が18
0℃〜270℃に保たれた第1のロールとロール表面温
度が40℃〜130℃に保たれた第2のロールとの間
に、上記金属磁性膜が上記第2のロールと接するように
上記非磁性支持体を通過させることにより熱履歴を加え
ることを特徴とするものである。
【0018】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、
非磁性支持体に幅方向における200℃の熱収縮率が
1.0〜1.5%である芳香族ポリアミドフィルムを用
い、当該非磁性支持体の一主面上に金属磁性膜を成膜し
た後、ロール表面温度が180℃〜270℃に保たれた
第1のロールとロール表面温度が40℃〜130℃に保
たれた第2のロールとの間を通過させることにより熱履
歴を加える。したがって、磁気記録媒体は、所定の方
向、すなわち、金属磁性膜が成膜された一主面側が凸と
なる方向に内部応力を有することとなり、金属磁性膜が
成膜された一主面側が凸となる方向にカッピングが生じ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
及びその製造方法の好適な実施の形態を、図面を参照し
て詳細に説明する。
【0020】本発明を適用した磁気記録媒体は、図1に
示すように、非磁性支持体1と、この非磁性支持体1の
一主面1a上に成膜された金属磁性膜2と、金属磁性膜
2上に成膜されたカーボン保護膜3と、非磁性支持体1
の他主面1b上に形成されたバックコート層4とを備え
るものである。また、この磁気記録媒体において、非磁
性支持体1は、芳香族ポリアミドフィルムからなる。
【0021】以下、非磁性支持体1、金属磁性膜2、カ
ーボン保護膜3及びバックコート層4、並びに、バック
コート層4に用いられる結合剤及び添加剤について順に
詳述する。
【0022】非磁性支持体1 まず、非磁性支持体1は、上述したように、幅方向にお
ける200℃の熱収縮率が1.0〜1.5%である芳香
族ポリアミドフィルムから構成されている。この非磁性
支持体1は、芳香族ポリアミドフィルムを用いることに
より、引っ張り強度などの物性において優れており、全
体としての厚みが非常に薄い場合でもポリエチレンテレ
フタレートやポリエチレンナフタレート等の厚みが厚い
ものと同等以上の強度を有している。
【0023】芳香族ポリアミドフィルムは、例えば、下
記式(I)及び/又は(II)で表される芳香族ポリア
ミドを、50%モル以上、好ましくは70モル%以上含
有している。
【0024】
【化1】
【0025】なお、上記式において、X、Yは、−O
−,−CH2−,−CO−,−SO2−,−S−,−C
(CH32−等から選ばれるが、これに限定されるもの
ではない。更に、上記式において、芳香環上の水素原子
の一部が、ハロゲン基(特に、塩素)、ニトロ基、炭素
数1から3のアルキル基(特に、メチル基)、炭素数1
から3のアルコキシ基などの置換基で置換されているも
のであっても良く、また、重合体を構成するアミド結合
中の水素が他の置換基によって置換されていても良い。
【0026】また、芳香族ポリアミドフィルムは、剛性
を高くする観点から、芳香環がパラ位で結合されたもの
が、全芳香環の60%以上、より好ましくは80%以上
を占める重合体であることが好ましい。また、吸湿性を
小さくする観点から芳香環上の水素原子の一部がハロゲ
ン基(特に、塩素原子)、ニトロ基、炭素数1から3の
アルキル基(特に、メチル基)、炭素数1から3のアル
コキシ基などで置換された芳香環が全体の30%以上を
占める重合体であることが好ましい。
【0027】更に、芳香族ポリアミドフィルムとして
は、上記式(I)及び/又は上記式(II)で表される
繰り返し単位を50モル%以上含むものであって、50
モル%未満は他の繰り返し単位、例えば、芳香族ポリイ
ミド単位や他の芳香族ポリアミド単位などが共重合、又
はブレンドしてなる重合体を使用することができるが、
全芳香族ポリアミド(アラミド)を用いることが好まし
い。
【0028】更にまた、この非磁性支持体1において
は、芳香族ポリアミドフィルムの構成は複合構造であっ
ても良い。すなわち、この非磁性支持体1は、複数の芳
香族ポリアミドフィルムが積層されてなるようなもので
あっても良い。
【0029】この場合、各層を構成する芳香族ポリアミ
ドフィルムは、上記式で表される重合体を主体とするも
のであれば、各層が同一組成であっても、異なっていて
も差し支えない。しかしながら、生産性の観点から、各
層が同一組成である方が有利である。例えば図2に、非
磁性支持体1が、第1の芳香族ポリアミドフィルム5と
第2の芳香族ポリアミドフィルム6との2層構造からな
る構成例を示す。
【0030】複数の芳香族ポリアミドフィルムを積層す
るには、各層を構成する複数の原液を公知の方法、例え
ば、特開昭56ー162617号公報に記載されるよう
に、合流管で積層したり、口金内で積層して形成するこ
とができる。
【0031】ところで、この芳香族ポリアミドフィルム
を作製する際には、まず、芳香族ポリアミドをN−メチ
ル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させてなる溶液
を、温度100℃〜200℃のベルト上に流延し、10
0℃〜250℃の熱風で加熱を行い溶媒を蒸発させるこ
とにより自己保持性を有するフィルムを得る。その後、
このフィルムを、長手方向、幅方向にそれぞれ1.0〜
2.0倍に延伸しながら乾燥と熱処理を行うことによっ
て、芳香族ポリアミドフィルムが作製される。
【0032】このとき、芳香族ポリアミドフィルムで
は、長手方向及び幅方向に延伸される際の延伸倍率及び
熱処理条件等を調節することによって、長手方向及び幅
方向のヤング率を制御することができる。
【0033】具体的に、非磁性支持体1は、厚さが2.
5μm〜5.0μmであり、長さ方向のヤング率が10
00kg/mm2以上であり、及び幅方向のヤング率が
1300kg/mm2以上であることが好ましい。この
ように、非磁性支持体1の厚み及びヤング率を規定する
ことによって、所望の強度が得られるとともに、磁気記
録媒体としての厚みを薄型化することが可能となり、記
録時間の長時間化及び記録量の大容量化に対応させるこ
とができる。
【0034】また、この非磁性支持体1には、磁気記録
媒体の製造工程でのハンドリング性あるいは磁性層表面
を適度な粗さにし、磁気記録媒体の高い走行耐久性を得
るため、不活性粒子を添加することが望ましい。
【0035】この非磁性支持体1中に添加される不活性
粒子としては、SiO2、TiO2、Al23、CaSO
4、BaSO4、CaCO3、カ−ボンブラック、ゼオラ
イト、その他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン
粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエ
ステル粒子、テフロン粒子などの有機高分子などを使用
することができる。なかでも、耐熱性の観点からは、上
述した無機粒子を使用することが好ましい。
【0036】この不活性粒子の添加方法としては、粒子
を予め溶媒中に十分スラリー化した後、重合用溶媒又は
希釈用溶媒として使用する方法や、原液を調製した後に
直接添加する方法などがある。
【0037】また、この非磁性支持体1が複数の芳香族
ポリアミドフィルムからなる場合、各層に対して異なる
平均粒径を有する不活性粒子を添加することが好まし
い。具体的に、金属磁性膜2が成膜される面を構成する
芳香族ポリアミドフィルムには、平均粒径が比較的小で
ある不活性粒子が添加され、金属磁性膜2が成膜される
面とは反対側の面を構成する芳香族ポリアミドフィルム
には、平均粒径が比較的大である不活性粒子が添加され
ることが好ましい。
【0038】このように、金属磁性膜2が成膜される芳
香族ポリアミドフィルムに平均粒径が比較的小の不活性
粒子を添加することによって、この金属磁性膜2が成膜
される面の表面粗さを低く抑えることができる。これに
より、金属磁性膜2が所望の表面性を有することとなり
磁気記録媒体の優れた電磁変換特性を確保することがで
き、また、金属磁性膜2表面の粗大突起が形成されにく
いため、ドロップアウト等の発生を抑えることができ、
磁気記録媒体の走行安定性を確保することができる。
【0039】また、これに対して、金属磁性膜2が成膜
される面とは反対側の芳香族ポリアミドフィルムに平均
粒径が比較的大の不活性粒子を添加することによって、
バックコート層4が形成される面の表面粗さを比較的に
大とすることができる。これにより、バックコート層4
の表面粗さを比較的に大とすることができ、製造工程に
おけるハンドリング特性を向上させることができる。
【0040】より具体的には、バックコート層4が形成
される芳香族ポリアミドフィルムに含有される不活性粒
子の平均粒径は、0.05〜1.5μmであることが好
ましい。また、この芳香族ポリアミドフィルムに含有さ
れる不活性粒子の添加量は、0.05〜2.0wt%で
あることが好ましく、更に、0.1〜1.0wt%であ
ることがより好ましい。
【0041】また、金属磁性膜2が成膜される芳香族ポ
リアミドフィルムに含有される不活性粒子は、金属磁性
膜2表面の平滑性と易滑性を向上させるため、平均粒径
が、0.03〜0.15μm、添加量が、0.01wt
%〜1wt%であることが好ましい。
【0042】更に、この非磁性支持体1では、金属磁性
膜2を成膜する一主面表面の表面粗さ(SRa)が1.
5nm〜5.0nmであることが好ましく、更に、2.
0〜3.5nmであることがより好ましい。この表面粗
さ(SRa)は、芳香族ポリアミドフィルム中に添加さ
れる不活性粒子の大きさや添加量、あるいは非磁性支持
体1の層構成によって調節される。このように、金属磁
性膜2を成膜する一主面表面の表面粗さ(SRa)を
1.5nm〜5.0nmとすることによって、磁気記録
媒体の良好な電磁変換特性と走行耐久性を確保すること
ができる。
【0043】更に、この非磁性支持体1において、バッ
クコート層4形成面側の表面の表面粗さ(SRa)は、
芳香族ポリアミドフィルム中に添加される不活性粒子の
大きさ及び添加量によって調節され、製造工程における
ハンドリング性の観点から、できるだけ大きい方が望ま
しい。しかしながら、この表面粗さ(SRa)が大きす
ぎると、金属磁性層2を成膜した後、巻き取ってロール
状にした際の裏移りの影響が大きくなるため、4nm〜
15nm、好ましくは5nm〜10nmとされる。
【0044】更にまた、この非磁性支持体1は、長手方
向と直交する方向、すなわち幅方向における200℃の
熱収縮率が1.0〜1.5%となっている。非磁性支持
体1は、幅方向における200℃の熱収縮率が1.0〜
1.5%とされることにより、所定の熱履歴を加えられ
た場合、金属磁性膜2が成膜された一主面側が凸となる
方向に内部応力を有することとなる。また、熱収縮率
は、芳香族ポリアミドフィルムを長手方向及び幅方向に
延伸する際の延伸倍率及び熱処理条件等を調節すること
によって制御される。
【0045】更にまた、この非磁性支持体1は、厚さ
2.5μm〜5.0μmとすることが好ましい。非磁性
支持体1の厚みを2.5〜5.0μmとすることによ
り、所望の強度が得られるとともに、磁気記録媒体の厚
みを薄くして大容量化に対応させることができる。
【0046】更にまた、この非磁性支持体1は、金属磁
性膜2が成膜される一主面側の表面に103〜105個/
mm2の密度で突起が形成されていることが好ましい。
【0047】このように、一主面側の表面に103〜1
5個/mm2の密度で突起が形成されることによって、
金属磁性膜2の表面性を所望な状態とすることができ
る。言い換えると、一主面側の表面に103〜105個/
mm2の密度で突起が形成されることによって、金属磁
性膜2の表面は、所望の表面粗さを有することになる。
これにより、磁気記録媒体は、走行耐久性及び電磁変換
特性に優れたものとなる。
【0048】金属磁性膜2 次に、金属磁性膜2は、上述した非磁性支持体1の一主
面1a上に成膜されるものである。
【0049】このとき、金属磁性膜2は、例えば、図3
に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置等を用いて
形成される。
【0050】この真空蒸着装置11は、いわゆる斜方蒸
着用として構成され、内部が例えば約10-3(Pa)程
度の真空状態とされた真空室12内に、例えば−20℃
程度に冷却され、図中の反時計回り方向(矢印A方向)
に回転する冷却キャン13と対向するように金属磁性膜
2用の蒸着源14とが配置されている。
【0051】蒸着源14は坩堝等の容器にCo等の強磁
性金属材料が収容されたものであり、この蒸着源14
(強磁性金属材料)に対し、電子ビーム発生源15から
電子ビーム16を加速照射して強磁性金属材料を加熱、
蒸発させ、これを図中の反時計回り方向に回転する供給
ロール18から図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キ
ャン13の周面に沿って走行する非磁性支持体1上に付
着(蒸着)させることによって金属磁性膜2を形成す
る。そして、金属磁性膜2が形成された非磁性支持体1
は、巻き取りロール19に巻き取られる。
【0052】このとき、蒸着源14と冷却キャン13と
の間には防着板20を設け、この防着板20にシャッタ
21を位置調整可能に設けて、非磁性支持体1に対して
所定の角度で入射する蒸着粒子のみを通過させる。こう
して斜め蒸着法によって金属磁性膜2が形成されるよう
になされている。
【0053】なお、供給ロール18と冷却キャン13と
の間、及び冷却キャン13と巻き取りロール19との間
にはそれぞれガイドローラー22、23が配置され、供
給ロール18から冷却キャン13、及びこの冷却キャン
13から巻き取りロール19に従って走行する非磁性支
持体1に所定のテンションをかけ、非磁性支持体1が円
滑に走行するようになされている。
【0054】更に、このような金属磁性膜2の蒸着に際
し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持体1
の表面に酸素ガスが供給され、これによって金属磁性膜
2の磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られてい
る。また、蒸着源14を加熱するためには、上述のよう
な電子ビームによる加熱手段の他、例えば、抵抗加熱手
段、高周波加熱手段、レーザ加熱手段等の公知の手段を
使用できる。
【0055】以上は、斜め蒸着法によりCo等からなる
強磁性金属材料を用いて成膜する例について説明した
が、強磁性金属材料を用いて成膜する方法としては、こ
の例の他に垂直蒸着法やスパッタリング法等の公知の薄
膜形成法が適用でき、また、強磁性金属材料としては、
Coの他にNi、Fe等やこれらの合金を使用すること
ができる。ただし、非磁性支持体1との付着強度改善、
あるいは金属磁性膜2自体の耐性、耐摩耗性改善等の目
的から、蒸着時の雰囲気を酸素ガスが支配的となる雰囲
気としたとき得られる酸素を含む金属磁性膜2を使用す
ることが望ましい。また、金属磁性膜2の厚さは、0.
05〜0.25μm程度、好ましくは、0.1〜0.2
μm程度である。
【0056】カーボン保護膜3 この磁気記録媒体は、金属磁性膜2の摩耗を防止するた
め、金属磁性膜2上に、図4に示すようなマグネトロン
スパッタ装置30等を用いて、カーボン保護膜3を形成
することが望ましい。
【0057】このマグネトロンスパッタ装置30は、外
側がチャンバ31にて覆われている。そして、チャンバ
31内は、真空ポンプ32にて約10-4(Pa)まで減
圧された後、真空ポンプ32側へ廃棄するバルブ33の
角度を全開状態から10度まで絞ることにより排気速度
を落とし、ガス導入管34からArガスを導入して、真
空度が約0.8Paとされる。
【0058】マグネトロンスパッタ装置30は、このチ
ャンバ31内に、例えば−40℃程度に冷却され、図中
の反時計回り方向(矢印A方向)に回転する冷却キャン
35と、この冷却キャン35と対向配置されるターゲッ
ト36とがそれぞれ設けられている。
【0059】ターゲット36は、カーボン保護膜3の材
料となるものであり、カソード電極を構成するバッキン
グプレート37に支持されている。そして、バッキング
プレート37の裏側には、磁場を形成するマグネット3
8が配設されている。このマグネトロンスパッタ装置3
0によりカーボン保護膜3を形成する際は、ガス導入管
34からArガスを導入するとともに、冷却キャン35
をアノード、バッキングプレート37をカソードとして
約3000(V)の電圧を印加し、1.4Aの電流が流
れる状態を保つようにする。
【0060】この電圧の印加により、Arガスがプラズ
マ化し、電離されたイオンがターゲット36に衝突する
ことにより、ターゲット36の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート37の裏側にはマグネッ
ト38が配設されており、ターゲット36の近傍に磁場
が形成されるので、電離されたイオンはターゲット36
の近傍に集中されることになる。
【0061】ターゲット36からはじき出された原子
は、図中の反時計回り方向に回転する供給ロール39か
ら図中の矢印B方向に繰り出され、冷却キャン35の周
面に沿って走行する金属磁性膜2が成膜された非磁性支
持体1上に付着し、カーボン保護膜3が形成される。そ
して、カーボン保護膜3が形成された非磁性支持体1
は、巻き取りロール41に巻き取られる。
【0062】このカーボン保護膜3は、スペーシングロ
スを小さくし、かつ、金属磁性膜2の摩耗防止の効果を
得ることができるように、その厚さを3〜15nm程
度、特に5〜10nm程度とすることが好ましい。
【0063】以上は、マグネトロンスパッタによりカー
ボン保護膜3を形成する例について説明したが、カーボ
ン保護膜3を形成する方法としては、この例の他に、イ
オンビームスパッタやイオンビームプレーティング法、
CVD法等の公知の薄膜形成方法を用いることができ
る。
【0064】また、この磁気記録媒体は、カーボン保護
膜3の表面に潤滑剤を存在せしめることが望ましい。こ
れにより、磁気記録媒体は、微細突起の形状に基づく走
行性改善効果を更に高めることが可能である。
【0065】バックコート層4 バックコート層4は、非磁性支持体1の金属磁性膜2が
成膜される面とは反対側の面に配設されている。このバ
ックコート層4は、主として、結合剤、カーボンブラッ
ク及び無機質粉末から構成される。具体的に、無機質粉
末としては、炭酸カルシウム、及びモース硬度5〜9の
無機質粉末が挙げられる。
【0066】バックコート層4では、カーボンブラック
は、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用するこ
とが好ましい。この場合、その平均粒子サイズは、10
〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイ
ズが230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックと
を使用することが好ましい。
【0067】一般に、上述したような微粒子状のカーボ
ンブラックの添加により、バックコート層4の表面電気
抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。
磁気記録の装置によっては、テープの光透過率を利用
し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、こ
のような場合には特に、微粒子状のカーボンブラックの
添加は有効になる。
【0068】また、微粒子状カーボンブラックは、一般
に、潤滑剤に対する保持力に優れるため、潤滑剤を併用
することができ、その結果、摩擦係数を低減することが
可能となる。
【0069】一方、粒子サイズが230〜300nmの
粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能
を有しており、表面に微小突起を形成することとなるた
め、接触面積を低減化して、摩擦係数を低減することが
可能となる。しかし、粗粒子状のカーボンブラックは、
過酷な走行系では、テープ摺動により、バックコート層
4からの脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につな
がる虞がある。
【0070】具体的に、微粒子状カーボンブラックとし
ては、以下のものを挙げることができる。RAVEN2
000B(18nm)、RAVEN1500B(17n
m)(以上、コロンビアカーボン社製)、BP800
(17nm)(キャボット社製)、PRINTEX90
(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PR
INTEX85(16nm)、PRINTEX75(1
7nm)(以上、デグサ社製)、#3950(16n
m)(三菱化成工業(株)製)。また、粗粒子カーボン
ブラックとしては、サーマルブラック(270nm)
(カーンカルブ社製)、RAVEN MTP(275n
m)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができ
る。
【0071】バックコート層4において、平均粒子サイ
ズの異なる二種類のものを使用する場合、10〜20n
mの微粒子状カーボンブラックと230〜300nmの
粗粒子状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、微
粒子状カーボンブラック:粗粒子状カーボンブラック=
98:2〜75:25の範囲が好ましく、更に好ましく
は、95:5〜85:15である。また、バックコート
層4におけるカーボンブラック(微粒子状と粗粒子状を
加えた場合においては、その全量)の含有量は、後述す
る結合剤100重量部に対して、通常30〜80重量部
の範囲であり、好ましくは、45〜65重量部の範囲で
ある。
【0072】一方、無機質粉末は、特にモース硬度が5
〜9のものが用いられることにより磁気記録媒体に繰り
返し走行耐久性を付与し、バックコート層4を強化する
ことができる。これらの無機質粉末を前記のカーボンブ
ラックや炭酸カルシウムとともに使用すると、そのフィ
ラー効果により、バックコート層4が、繰り返し摺動に
対しても劣化が少なく、強いバックコート層4となる。
【0073】また、バックコート層4で使用する無機質
粉末を、モース硬度が5〜9と比較的高いものとする
と、バックコート層4の表面に適度の研磨力が生じ、ガ
イドポール等への付着が低減する。磁気記録媒体として
は、特に、バックコート層4に炭酸カルシウムと無機質
粉末とを併用すると、表面の粗いガイドポール等に対し
ての摺動特性が向上し、バックコート層4の摩擦係数の
安定化も図ることができる。なお、無機質粉末は、その
平均粒子サイズが80〜250nmの範囲のものである
ことが好ましく、更に好ましくは、100〜210nm
の範囲のものである。
【0074】この無機質粉末としては、例えば、α−酸
化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロム(Cr23)を挙
げることができる。これらの無機質粉末は、それぞれ単
独で用いても良いし、あるいは併用しても良い。これら
の中では、α−酸化鉄又はα−アルミナが好ましい。モ
ース硬度が5〜9の無機質粉末の含有量は、カーボンブ
ラック100重量部に対して通常3〜30重量部であ
り、好ましくは、3〜20重量部である。特に、バック
コート層4には、平均粒子サイズの異なる二種類のカー
ボンブラックと前記粒子サイズの炭酸カルシウムと、そ
して前記特定のモース硬度を有する無機質粉末が含有さ
れていることが好ましい。
【0075】バックコート層4には、潤滑剤を含有させ
ることができる。潤滑剤は、上述したように、例えば、
脂肪酸、あるいは脂肪酸エステルを挙げることができ
る。脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オ
クタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリス
チン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラ
キン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライ
ジン酸、及びパルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸又
はこれらの混合物を挙げることができる。
【0076】また、脂肪酸エステルとしては、例えば、
ブチルステアレート、sec−ブチルステアレート、イ
ソプロピルステアレート、ブチルオレエート、アミルス
テアレート、3−メチルブチルステアレート、2−エチ
ルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレ
ート、ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリス
テート、ブチルステアレートとブチルパルミテートの混
合物、オレイルオレエート、ブトキシエチルステアレー
ト、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸で
アシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテー
ト、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化
してジオールとしたもの、そしてグリセリンのオレエー
ト等の種々のエステル化合物を挙げることができる。こ
れらのものは、単独で、あるいは組み合わせて使用する
ことができる。
【0077】バックコート層4において、潤滑剤は、結
合剤樹脂100重量部に対して通常1〜5重量部の範囲
で添加されることが好ましい。
【0078】また、バックコート層4に使用される結合
剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反
応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。
【0079】熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、
酢酸ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル
酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニ
トリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレ
ン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニル
アセタール、及びビニルエーテルを構成単位として含む
重合体、あるいは共重合体を挙げることができる。共重
合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−ア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビ
ニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重
合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニトリル共重
合体、メタアクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合
体、メタアクリル酸エステル−スチレン共重合体、塩化
ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸エステル共重
合体を挙げることができる。上記の他に、ポリアミド樹
脂、繊維素系樹脂(セルロースアセテートブチレート、
セルロースダイアセテート、セルロースプロピオネー
ト、ニトロセルロースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂等も例
示することができる。
【0080】また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエ
ステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリ
ウレタンとポリイソシアネートの混合物を挙げることが
できる。
【0081】一方、上述したような結合材には、より優
れた分散性と耐久性を向上させるために必要に応じて、
−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(O
M)2、−O−P=O(OM)2、(Mは、水素原子、又
はアルカリ金属塩基を表す。)−OH、−NR2、−N+
3(Rは、炭化水素を表す。)、エポキシ基、−S
H、−CN等から選ばれる少なくとも一つの極性基を共
重合又は付加反応で導入することが好ましい。このよう
な極性基は、10-1〜10-8モル/g(更に好ましく
は、10-2〜10-6モル/g)の量で導入されているこ
とが好ましい。
【0082】また、結合剤中に含有されるポリイソシア
ネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、
4−4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トル
イジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのイソ
シアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコ
ールとの生成物、及びイソシアネート類の縮合によって
生成したポリイソシアネ−トを挙げることができる。
【0083】更にまた、結合剤は、非磁性粉末100重
量部に対して、5〜100重量部(好ましくは10〜8
0重量部)の範囲で用いられることが好ましい。
【0084】添加剤 添加剤としては、バックコート層4を形成する塗布液
に、カーボンブラックや非磁性粉末等を結合剤中に良好
に分散させるために添加される分散剤を挙げることがで
きる。また、添加剤としては、必要に応じて添加され
る、可塑剤、カーボンブラック以外の導電性粒子(帯電
防止剤)、防黴剤等を挙げることができる。
【0085】分散剤 分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール
酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18
個の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素数11〜17個のア
ルキル基、又はアルケニル基)、前記脂肪酸のアルカリ
金属又はアルカリ土類金属からなる金属石けん、前記の
脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、前記脂肪酸
のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エ
ステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ
第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オ
レフィンは、エチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、及
び銅フタロシアニン等を使用することができる。これら
は、単独でも組み合わせて使用しても良い。特に、バッ
クコート層4には、オレイン酸銅、銅フタロシアニン、
及び硫酸バリウムを組み合わせて使用することが好まし
い。また、分散剤は、結合剤樹脂100重量部に対して
0.5〜20重量部の範囲で添加される。
【0086】更に、この磁気記録媒体は、その表面、裏
面、又はそれらの近傍あるいはカーボン保護膜3、金属
磁性膜2内の空隙、カーボン保護膜3と金属磁性膜2と
の界面、金属磁性膜2と非磁性支持体1との界面、非磁
性支持体1内等に、必要に応じて公知の手段で防錆剤、
帯電防止剤、防黴剤等の各種添加剤を存在せしめること
ができる。
【0087】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、例えば図5に示す工程にしたがって作製す
ることができる。
【0088】すなわち、まず、ステップS1で芳香族ポ
リアミドフィルムにより非磁性支持体1を作製する。
【0089】次に、ステップS2で非磁性支持体1の一
主面上に金属磁性膜2を形成する。
【0090】次に、ステップS3で金属磁性膜2上にカ
ーボン保護膜3を形成する。
【0091】次に、ステップS4で金属磁性膜2及びカ
ーボン保護膜3を形成した非磁性支持体1に対してホッ
トロール処理を施す。
【0092】次に、ステップS5でホットロール処理を
施した非磁性支持体1の、金属磁性膜2を形成した側と
反対側の主面にバックコート層4を形成する。
【0093】次に、ステップS6で金属磁性膜2上に潤
滑剤を塗布し、潤滑層を形成する。
【0094】以上の工程を経ることにより、非磁性支持
体1上に金属磁性膜2、カーボン保護層3、バックコー
ト層4及び潤滑層が形成された磁気記録媒体を作製する
ことができる。
【0095】ここで、この磁気記録媒体においては、ホ
ットロール処理を下記の手法により行う。
【0096】磁気記録媒体を作製する際には、例えば図
6に示すようなホットロール装置50を用いて、ホット
ロールを行う。
【0097】ホットロール装置50は、第1のロール5
1と、金属磁性膜2が成膜された非磁性支持体1を介し
て第1のロール51と対向して配設された第2のロール
52と、第2のロール52と接続された冷却水循環機5
3と、第1のロール51及び第2のロール52表面に対
向してそれぞれ配された一対のロール表面温度測定器5
4とを備える。
【0098】第1のロール51は、非磁性支持体1に熱
を加えるためのロールであり、金属製で円筒状の形状を
呈する。第1のロール51の直径は、特に限定されるこ
とはなく、例えば直径400mmのものを用いることが
できる。また、第1のロール51の長さも特に限定され
ることはなく、磁気記録媒体の全幅に対してホットロー
ルを施せる長さを有していれば良い。
【0099】第1のロール51は、内部に図示しない加
熱用の加熱誘導コイルを有し、これにより、第1のロー
ル51の表面温度を例えば100℃から300℃の範囲
で自在にコントロールすることができるようにされてい
る。すなわち、第1のロール51は、180℃〜270
℃の範囲において使用する。第1のロール51の表面温
度が180℃よりも低い場合、非磁性支持体1に与えら
れる熱量が少なすぎるため、非磁性支持体1の収縮量が
少なくなり、所望のカッピングを得ることができない。
また、第1のロール51の表面温度が270℃よりも高
い場合、非磁性支持体1に与えられる熱量が多すぎるた
め、非磁性支持体1の収縮量が多くなり所望のカッピン
グを得ることができない。したがって、第1のロール5
1の表面温度を180℃〜270℃の範囲においてホッ
トロールを施すことにより、非磁性支持体1を所定量だ
け収縮させることができ、所望のカッピングを得ること
ができる。
【0100】また、第1のロール51の表面温度は、ロ
ール表面温度測定器54で測定したロール表面温度デー
タを基にコントロールされる。
【0101】第2のロール52は、非磁性支持体1に加
えられた熱を吸収し、非磁性支持体1の金属磁性膜2が
形成された側の一主面のみを冷却するためのロールであ
り、金属製で円筒状の形状を呈し、かつ内部に軸方向に
貫通する空洞を有している。空洞には、冷却水循環機5
3と接続されて冷却水が流されるパイプ55が装着され
ている。
【0102】第2のロール52の直径は、特に限定され
ることはないが、第1のロール51の直径よりも小さい
ことが好ましく、例えば100mmのものを用いること
ができる。また、第1のロール51の長さも特に限定さ
れることはなく、磁気記録媒体の全幅に対してホットロ
ールを施せる長さを有していれば良い。
【0103】第2のロール52は、40℃から130℃
の範囲において使用する。第2のロール52の表面温度
が40℃よりも低い場合、非磁性支持体1から吸収する
熱量が多くなりすぎるため、非磁性支持体1の収縮量が
少なくなり、所望のカッピングを得ることができない。
また、第2のロール52の表面温度が130℃よりも高
い場合、非磁性支持体1から吸収する熱量が少なすぎる
ため非磁性支持体1の収縮量が多くなり所望のカッピン
グを得ることができない。したがって、第2のロール5
2の表面温度を40℃〜130の範囲においてホットロ
ールを施すことにより、非磁性支持体1を所定量だけ収
縮させることができ、所望のカッピングを得ることがで
きる。
【0104】ホットロールを行う際は、冷却水の温度及
び流量を調整することにより、第2のロール52の表面
温度をコントロールできるようにされている。すなわ
ち、第2のロール52の表面温度は、冷却水循環機53
により40〜130℃に制御されている。また、第2の
ロール52の表面温度は、ロール表面温度測定器54で
測定したロール表面温度データを基にコントロールされ
る。ロール表面温度測定器54は、ロール表面温度を測
定し、ロール表面温度をコントロールするためのデータ
としてフィードバックするためのものである。
【0105】また、第2のロール52の表面は、例え
ば、図示しない厚さ2mmのフッ素ゴムで覆われている
ことが好ましい。ここで、フッ素ゴムは、300℃温度
まで耐えられる耐熱性を有している。第2のロール52
の表面をフッ素ゴムで覆うことにより非磁性支持体1及
び第1のロール51表面に傷を発生させることなくホッ
トロールを行うことができる。
【0106】第2のロール52は、第1のロール51と
反対方向に回転させられる。第1のロール51と第2の
ロール52とを反対方向に回転させることにより、非磁
性支持体1は、ホットロールを施される際、第1のロー
ル51と第2のロール52との回転力によりホットロー
ル装置50に引き込まれ、また、排出される。
【0107】非磁性支持体1の走行速度は、50〜20
0m/分が好ましく、例えば、100m/分とされる。
非磁性支持体1の走行速度が遅すぎる場合、非磁性支持
体1に与えられる熱量が多すぎるため非磁性支持体1の
収縮量が多くなり、所望のカッピングを得ることができ
ない虞がある。また、非磁性支持体1の走行速度が速す
ぎる場合、非磁性支持体1に与えられる熱量が少なすぎ
るため非磁性支持体1の収縮量が少なくなり、所望のカ
ッピングを得ることができない虞がある。
【0108】非磁性支持体1の第1のロール51及び第
2のロール52に対する抱き角度は、第1のロール51
及び第2のロール52の近接部を中心に非磁性支持体1
の投入側及び排出側ともに、第2のロール52側に0〜
20°傾けることが好ましく、例えば、5°とされる。
非磁性支持体1を第1のロール51側に抱かせると非磁
性支持体1全体に熱が付加され、厚み方向での温度勾配
が生じないため、所望のカッピングを得ることができな
い虞がある。また、非磁性支持体1の第2のロール52
に対する抱き角度が20°よりも大きい場合、非磁性支
持体1と第2のロール52との接触面積が大きく、非磁
性支持体1から吸収する熱量が多すぎるため、非磁性支
持体1の収縮量が少なくなり、所望のカッピングを得る
ことができない虞がある。
【0109】上記のように構成されたホットロール装置
50は、図6に示すように非磁性支持体1を第1のロー
ル51と第2のロール52との間を通すことによりホッ
トロールを施す。この時、第1のロール51と第2のロ
ール52とは、互いに反対の方向に回転しているため、
非磁性支持体1は、その先端を2つのロールの間に投入
されることによりロールの回転力によりロール間に引き
込まれ、ホットロールが施された後、排出される。
【0110】ここで、非磁性支持体1をホットロール装
置50に投入する際は、非磁性支持体1の金属磁性膜2
が形成された主面が第2のロール52と接触するように
する。すなわち、非磁性支持体1の金属磁性膜2が形成
された側とは反対側の主面では、第1のロール51と接
触することにより非磁性支持体1に熱が与えられる。そ
して、非磁性支持体1の金属磁性膜2が形成された側の
主面では、第2のロール52と接触することにより非磁
性支持体1に与えられた熱が吸収され、冷却される。こ
うすることにより、非磁性支持体1の一主面を、具体的
には、非磁性支持体1の金属磁性膜2が形成された側と
は反対側の主面を集中的に加熱することができる。その
結果、非磁性支持体1の厚み方向に温度勾配が生じ、非
磁性支持体1の金属磁性膜2が形成されていない側の主
面が熱収縮し、その結果、非磁性支持体1の金属磁性膜
2が形成された側が凸となる、いわゆる負のカッピング
を得ることができる。
【0111】
【実施例】以下、上述した磁気記録媒体の具体的な実施
例及び比較例を記載し、本発明を更に具体的に説明す
る。なお、本実施例における種々の物性値及び特性は以
下に示す方法により測定したものである。
【0112】<芳香族ポリアミドフィルムの熱収縮率の
測定>芳香族ポリアミドフィルムの熱収縮率を測定する
際には、まず、測定対象サンプルを幅10mm、長さ3
00mmに裁断し、裁断されたサンプル表面に200m
m間隔でマーキングする。次に、150℃あるいは20
0℃に設定された熱風循環式炉にて、サンプルに対して
1kgf/mm2の荷重下で10分間熱収縮させる。そ
の後、サンプル表面のマーキングの間隔を測定し、熱収
縮率を算出した。
【0113】<芳香族ポリアミドフィルムのヤング率の
測定>芳香族ポリアミドフィルムのヤング率は、25
℃、65%RHの条件下で、テンシロン型の引っ張り試
験機器を使用して測定した。
【0114】<カッピングの測定>カッピングの測定
は、図7に示すような光学顕微鏡60を有するカッピン
グ測定装置を用いて行った。このカッピング測定装置で
は、まず、所定のテンションが負荷された磁気テープ6
1を一対のロール62に掛け渡し、両端に重りを吊すこ
とによって磁気テープに1g重の張力をかける。次に、
光学顕微鏡60(倍率100倍)を覗きながら駆動手段
63を操作し、磁気テープ61表面の幅方向における中
心部又は両端部に位置決めする。そして、このカッピン
グ測定装置では、光学顕微鏡60が上下方向に駆動する
ことによって、磁気テープ61の幅方向の中心部あるい
は両端部において、それぞれ焦点を合わせる。このと
き、カッピング測定装置では、光学顕微鏡60の上下駆
動に連動するマイクロメータ64にて、磁気テープ61
の幅方向の中心部と両端部との高さ違いを測定し、この
高さの差分をカッピングとした。
【0115】このとき、磁気テープの金属磁性膜が形成
された一主面側を凹とする状態を正のカッピングとし、
逆に、磁気テープの金属磁性膜が形成された一主面側を
凸とする状態を負のカッピングとした。
【0116】<テープ特性>実施例及び比較例における
磁気テープの特性評価は、ソニー株式会社製のAITド
ライブSDX−S300C(商品名)を改造したものを
用いて行った。記録は、相対速度10.04m/se
c、最短記録波長0.35μmで行った。
【0117】走行耐久性 走行耐久性を評価する際には、まず、長さが170mの
磁気テープを1000パス走行させ、1パス走行後のエ
ラーレート及び1000パス走行後のエラーレートを測
定した。そして、これら測定値を比較することによっ
て、走行耐久性を評価した。
【0118】ヘッドとの当たり特性 ヘッドとの当たり特性を評価する際には、まず、磁気テ
ープ再生時の出力信号(当たり波形)を1トラック分で
見た場合の出力信号を測定した。そして、この出力信号
の最小値(MIN)/最大値(MAX)の値(%)を算
出することによって、ヘッドとの当たり特性を評価し
た。
【0119】エッジダメージ 磁気テープのロード、アンロードを100回繰り返した
後、磁気テープの幅方向の両端部に発生した傷を肉眼で
観察することによりエッジダメージを評価した。評価
は、エッジダメージがない場合を○、エッジダメージが
ある場合を×とした。
【0120】なお、上述した<カッピングの測定>及び
<テープ特性>については、磁気テープの状態が安定し
てから評価を行うために、原反テープを所定の幅にスリ
ットした後、60℃、90%RHにおいて100時間放
置した後に行った。
【0121】実施例1 まず、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で平均
粒径0.1μmの乾式シリカ粒子を分散させたスラリー
を用意した。
【0122】次に、重合槽にNMPと上記スラリーを仕
込み、この中に芳香族ジアミン成分として80モル%に
相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、20モ
ル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエ−テル
とを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロ
ルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間攪拌して重合
を完了した。これを水酸化リチウムで中和してポリマー
溶液を得た。なお、シリカ粒子の含有量は芳香族ポリア
ミドに対して0.1wt%であった。そして、このポリ
マー溶液をポリマー濃度が10重量%、30℃での溶液
粘度を3000ポイズに調整して製膜原液とした。
【0123】次に、製膜原液を5μmカットのフィルタ
−を通した後、150℃に保持された金属ベルト上に流
延し、150℃の熱風で加熱を行って溶媒を蒸発させ、
自己保持性を得た芳香族ポリアミドフィルムをベルトか
ら連続的に剥離した。
【0124】次に、NMPの濃度勾配をつけた水槽内へ
芳香族ポリアミドフィルムを導入して残存溶媒と中和で
生じた無機塩の水抽出を行い、テンターで水分の乾燥と
熱処理を行った。この間にフィルム長手方向と幅方向に
各々1.2倍、1.4倍延伸を行い、310℃で1.5
分間乾燥を行った後、20℃/秒の速度で徐冷し、厚み
4μmの非磁性支持体を得た。
【0125】次に、このようにして作製された非磁性支
持体を用いて、下記のような手法で磁気テープ原反を作
製した。
【0126】すなわち、図3に示したような連続巻き取
り式の蒸着装置11を、その内部が10-3(Pa)程度
の真空状態となるように排気し、上記の非磁性支持体
を、この蒸着装置にセッティングした。そして、連続真
空斜め蒸着法により、微量の酸素存在下において、非磁
性支持体の一主面1a上にCoからなる金属磁性膜を形
成した。蒸着の入射角は、非磁性支持体の法線方向が9
0〜45度までであり、非磁性支持体の走行速度が50
m/分で、金属磁性膜の厚さが0.18μmとなるよう
に、電子ビームの強さを調節して作製した。
【0127】次に、図4に示したようなマグネトロンス
パッタリング装置を、その内部が10-4(Pa)程度に
なるまで減圧した後、Arガスを導入し、0.8Pa程
度にした。そして、このマグネトロンスパッタリング装
置に金属磁性膜が形成された非磁性支持体をセッティン
グし、−40℃に冷却した冷却キャン上を5m/分の速
度で走行させて金属磁性膜上にカーボン保護膜を厚みが
8nmとなるように形成した。
【0128】次に、図6に示すようなホットロール装置
を用いて、金属磁性膜及びカーボン保護膜が形成された
非磁性支持体に対して熱処理を施した。
【0129】第1のロールは、直径が400mmである
金属製の円筒であり、内部に加熱誘導コイルを有し、1
00℃〜300℃の範囲でロールの表面温度を自由にコ
ントロールできるようにしてある。これに対して、第2
のロールは、直径が100mmで、内部に冷却水を循環
することができる空洞を有した金属ロールである。そし
て、第2のロールは、ロール表面が厚さ2mmの300
℃までの耐熱性を有するフッ素ゴムで覆われている。ま
た、第2のロールは、第2のロール内に循環させる冷却
水の温度及び流量を調整することにより、表面温度をコ
ントロールすることができる。
【0130】以上の2つのロールを回転させながら、金
属磁性膜及びカーボン保護膜が成膜された非磁性支持体
をホットロール装置に投入し、ホットロール処理を施し
た。この時、非磁性支持体は、金属磁性膜が形成された
一主面側が第2のロールに接するようにホットロール装
置に投入した。そして、ホットロール装置は、第1のロ
ールの表面温度を200℃、第2のロールの表面温度を
50℃に保つように制御した。
【0131】次に、下記の組成に準じてバック塗料を調
製した。
【0132】 <バック塗料組成> カーボンブラック(旭社製,#50) 100重量部 ポリエステルポリウレタン 100重量部 (日本ポリウレタン(株)製、 商品名N−2304) 溶剤:メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部 そして、調製されたバック塗料を、非磁性支持体の金属
磁性膜が成膜された一主面とは反対側の一主面に塗布、
乾燥することで厚さ0.5μmのバックコート層を形成
した。
【0133】次に、バックコート層を形成した後、20
0℃に加熱されたロールに金属磁性膜を接触させなが
ら、100m/minの速度で走行させた。
【0134】その後、カーボン保護膜上に、パーフルオ
ロポリエーテルよりなる潤滑剤のトップコート層を10
nmの厚みとなるように塗布した。
【0135】このようにして非磁性支持体上に金属磁性
膜、カーボン保護膜、バックコート層及びトップコート
層が形成されてなるテープ原反を、8mm幅にスリット
した後にカセット本体に収納してカセットテープを作製
した。
【0136】実施例2 実施例2では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を200℃、第2のロールの表面温度を80
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0137】実施例3 実施例3では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を200℃、第2のロールの表面温度を11
0℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセット
テープを作製した。
【0138】実施例4 実施例4では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を250℃、第2のロールの表面温度を50
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0139】実施例5 実施例5では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を250℃、第2のロールの表面温度を80
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0140】実施例6 実施例6では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を250℃、第2のロールの表面温度を11
0℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセット
テープを作製した。
【0141】実施例7 実施例7では、芳香族ポリアミドフィルムを作製する際
の金属ベルトの加熱温度を300℃としたこと以外は、
実施例3と同様にしてカセットテープを作製した。
【0142】実施例8 実施例8では、芳香族ポリアミドフィルムの厚みを2.
5μmとしたこと以外は実施例2と同様にしてカセット
テープを作製した。
【0143】実施例9 実施例9では、芳香族ポリアミドフィルムの厚みを5.
0μmとしたこと以外は、実施例2と同様にしてカセッ
トテープを作製した。
【0144】比較例1 比較例1では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を200℃、第2のロールの表面温度を30
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0145】比較例2 比較例2では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を200℃、第2のロールの表面温度を14
0℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセット
テープを作製した。
【0146】比較例3 比較例3では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を250℃、第2のロールの表面温度を30
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0147】比較例4 比較例4では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を250℃、第2のロールの表面温度を14
0℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセット
テープを作製した。
【0148】比較例5 比較例5では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を170℃、第2のロールの表面温度を50
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0149】比較例6 比較例6では、ホットロール処理における第1のロール
の表面温度を280℃、第2のロールの表面温度を50
℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてカセットテ
ープを作製した。
【0150】比較例7 比較例7では、芳香族ポリアミドフィルムを作製する際
の金属ベルトの加熱温度を315℃としたこと以外は、
実施例5と同様にしてカセットテープを作製した。
【0151】特性評価 実施例1乃至実施例9及び比較例1乃至比較例7におい
て作製したカセットテープに関して、上述したような物
性の評価及び特性の評価を行った。その結果を表1に示
す。なお、実施例1乃至実施例9及び比較例1乃至比較
例7において作製した磁気テープから金属磁性膜、カー
ボン保護膜及びバックコート層を除去した非磁性支持体
のカッピングも測定した。その結果を表1に併せて示
す。
【0152】
【表1】
【0153】表1の実施例1乃至実施例6及び比較例1
乃至比較例6の評価結果を比較することにより、200
℃の幅方向の熱収縮率が1.0%である芳香族ポリアミ
ドフィルムを使用した実施例1乃至実施例6では、ホッ
トロール表面温度が200℃〜250℃で、かつ第2の
ロールの表面温度が50℃〜110度であるホットロー
ル処理条件において、極めて良好な負のカッピング状態
を呈しており、ヘッド当たりも良好なものとなってい
る。そして、1000パス走行後のエラーレートも低く
抑えられており、また、エッジダメージも発生しないこ
とがわかった。
【0154】また、実施例1乃至実施例6を比較するこ
とにより、第1のロールの表面温度が高いほど、より負
に大きなカッピングが得られ、第2のロールの表面温度
に関しては、80℃付近に設定することにより最も負に
大きなカッピングが得られることがわかった。
【0155】実施例4と比較例6との評価結果を比較す
ると、実施例4では、良好な負のカッピング状態を呈し
ているおり、ヘッド当たりも良好なものとなっている。
また、1000パス走行後のエラーレートも低く抑えら
れている。一方、比較例6では、磁気テープにしわが入
ってしまい、評価することができなかった。これは、第
1のロールの表面温度が高すぎることに起因しており、
このことより、第1のロールの表面温度は、280℃よ
りも低く設定する必要のあることがわかった。
【0156】実施例1と比較例5との評価結果を比較す
ると、実施例1では、良好な負のカッピング状態を呈し
ており、ヘッド当たりも良好なものとなっている。ま
た、1000パス走行後のエラーレートも低く抑えられ
ている。一方、比較例5では、正に大きなカッピング状
態を呈しており、ヘッド当たりも十分でなく、更に10
00パス走行後のエラーレートも大きくなっている。こ
のことより、第1のロールの表面温度は、170℃より
も高く設定する必要のあることがわかった。
【0157】実施例3と実施例7との評価結果を比較す
ると、同条件でホットロール処理を行った場合、非磁性
支持体の200℃での幅方向の熱収縮率が大きいほど、
負に大きなカッピングが得られることがわかった。
【0158】実施例1乃至実施例9及び比較例7の評価
結果を比較すると、実施例1乃至実施例9では、良好な
負のカッピング状態を呈しており、ヘッド当たりも良好
なものとなっている。また、1000パス走行後のエラ
ーレートも低く抑えられている。一方、比較例7では、
正に大きなカッピング状態を呈しており、ヘッド当たり
も十分でなく、1000パス走行後のエラーレートも大
きくなっている。このことより、最もカッピングが負に
大きくなるホットロール条件においても、非磁性支持体
の200℃の幅方向の熱収縮率が1.0%未満である場
合は、十分なカッピング矯正効果が得られないことがわ
かった。そして、非磁性支持体の200℃の幅方向の熱
収縮率を1.0%〜1.5%とすることにより、十分な
カッピング矯正効果を得ることができ、その結果とし
て、ヘッド当たりを良好なものとし、1000パス走行
後のエラーレートも低く抑えることができることがわか
った。
【0159】実施例2、実施例8及び実施例9の評価結
果を比較することにより、非磁性支持体の厚みを2.5
μm〜5.0μmとすることで、ホットロール処理によ
って、十分なカッピング矯正効果が得られることがわか
った。
【0160】また、実施例1乃至実施例7における磁気
テープのカッピングと、磁気テープから磁性膜及びバッ
クコート層を除去して非磁性支持体のみにして測定した
カッピングの値の関係を図8に示した。図8より、磁気
テープのカッピングは、非磁性支持体のカッピングより
も正側に大きく、非磁性支持体のカッピングが負に大き
いほど磁気テープのカッピングも負側に大きいことがわ
かる。
【0161】このことは、本発明の作用原理、すなわ
ち、非磁性支持体の一主面側に大きな熱を加えて非磁性
支持体の一主面側のみを大きく熱収縮させることにより
非磁性支持体に負のカッピングを生じさせ、これによ
り、磁気テープ全体としてのカッピングをコントロール
するということが、意図したとおりに効力を発揮してい
ることを表している。
【0162】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体は、非磁性支持体である芳香族ポリア
ミドフィルムの幅方向における200℃の熱収縮率を所
定の値に規定し、所定の熱処理を施すことにより、非磁
性支持体において金属磁性膜が形成された主面側が凸と
なる方向にカッピングを生じ、形状安定性を有すること
となる。したがって、本発明に係る磁気記録媒体は、ヘ
ッドとの当たりが良好であって、高容量かつ優れた走行
安定性を有することとなる。
【0163】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法は、幅方向における200℃の熱収縮率が1.0〜
1.5%である芳香族ポリアミドフィルムからなる非磁
性支持体を用いており、かつ、非磁性支持体の厚み方向
に温度勾配を有するように熱処理を施すため、非磁性支
持体において金属磁性膜が形成された主面側が凸となる
方向にカッピングを生じさせることができ、形状安定性
を有する磁気記録媒体を作製することができる。したが
って、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、ヘッド
との当たりが良好であって、高容量かつ優れた走行安定
性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の一構成例の要部断
面図である。
【図2】本発明に係る磁気記録媒体の他の構成例の要部
断面図である。
【図3】金属磁性膜を成膜する際に用いられる連続巻き
取り式の真空蒸着装置の概略構成図である。
【図4】カーボン保護膜を形成する際に用いられるマグ
ネトロンスパッタ装置の概略構成図である。
【図5】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法を示した
工程図である。
【図6】本発明に係る磁気記録媒体を作製する際に用い
るホットロール装置の一構成例を示した概略構成図であ
る。
【図7】カッピング測定装置の概略構成図である。
【図8】磁気テープのカッピングと、磁気テープから金
属磁性膜、カーボン保護膜及びバックコート層を除去し
て非磁性支持体のみにして測定したカッピングの値との
関係を示した図である。
【図9】テープに正カッピングが生じた状態を示す図で
ある。
【図10】テープに負のカッピングが生じた状態を示す
図である。
【符号の説明】 1 非磁性支持体、2 金属磁性膜、3 カーボン保護
膜、4 バックコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 行彦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 増澤 雄一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩崎 和春 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 CB02 CB07 FA05 5D112 AA02 AA05 AA22 BA01 FA02 GB03 KK05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一主面上に、少なくとも
    金属磁性膜が成膜されてなる磁気記録媒体において、 上記非磁性支持体は、芳香族ポリアミドフィルムからな
    り、幅方向における200℃の熱収縮率が1.0〜1.
    5%であり、 上記非磁性支持体は、上記金属磁性膜が成膜された一主
    面側が凸となる方向に内部応力を有することを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記非磁性支持体の厚みが、2.5〜
    5.0μmであることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体の一主面上に、少なくとも
    金属磁性膜を成膜する磁気記録媒体の製造方法におい
    て、 芳香族ポリアミドフィルムからなり、幅方向における2
    00℃の熱収縮率が1.0〜1.5%である非磁性支持
    体の一主面上に上記金属磁性膜を成膜し、 ロール表面温度が180℃〜270℃に保たれた第1の
    ロールと、ロール表面温度が40℃〜130℃に保たれ
    た第2のロールとの間に、上記金属磁性膜が上記第2の
    ロールと接するように上記非磁性支持体を通過させるこ
    とにより熱履歴を加えることを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
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