JP2001091733A - 光学フィルターおよびこれを用いた画像表示装置 - Google Patents

光学フィルターおよびこれを用いた画像表示装置

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JP2001091733A
JP2001091733A JP26676199A JP26676199A JP2001091733A JP 2001091733 A JP2001091733 A JP 2001091733A JP 26676199 A JP26676199 A JP 26676199A JP 26676199 A JP26676199 A JP 26676199A JP 2001091733 A JP2001091733 A JP 2001091733A
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Isao Ikuhara
功 生原
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造適正に優れ、機械強度が高く、かつ高温
多湿下での耐久性に優れた光学フィルター及び画像のコ
ントラスト及び色再現性に優れた前面版並びに画像表示
装置を提供すること。 【解決手段】 透明支持体の少なくとも片側に可視フィ
ルター層を有し、この透明支持体の100μm厚みでの
透湿度(40℃、90%RH下で測定)が10g/m2・d
ay以下である光学フィルターおよびこのフィルターを用
いた画像表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光を吸収する
可視フィルター層(以下、単に「フィルター層」ともい
う。)、透明支持体、および低屈折率層を有する光学フ
ィルターに関する。本発明は、詳しくは、液晶表示装置
(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰
極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディ
スプレイのような画像表示装置の表示に好ましく用いら
れる、反射防止、および色再現性改良のために取り付け
る光学フィルターに関する。さらに詳しくは、本発明
は、反射防止、および色再現性改良した光学フィルター
を備えたプラズマディスプレイパネル(PDP)前面板
およびPDP本体等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多種の画像表示装置(ディスプレ
イ)、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディ
スプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス
ディスプイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍
光表示管、電界放射型ディスプレイの開発とこれらを組
み込んだ機器が実用化されている。これらの画像表示装
置は、様々な問題、例えば、表示素子の色純度や色分離
が不十分な問題、ディスプレイ上に背景が映り込む事で
コントラストが低下する問題、表示素子に起因する赤外
線や電磁波の外部漏洩の問題等を抱えている。これらの
それぞれの問題に対しては、例えば、色分離のための可
視フィルター、反射防止膜、赤外線遮蔽フィルター、電
磁波遮蔽フィルター等をディスプレイの前面に用いるこ
とが提案されている。しかしながら、これらの各フィル
ターはそれぞれがディスプレイの種類により多様な課題
を要求される。例えば色分離のための可視フィルター
は、表示素子の特性に応じたシャープな吸収体を形成す
る必要があり、これ以外にもガラス練り込み等の耐熱
化、物理性強化が求められる。また反射防止膜は、可視
光の全領域で理想的な反射率を得るためには多層化が必
要となり、蒸着法や塗布法で多層膜を形成するには工程
上の困難さやコスト高の問題を伴う。従って、ディスプ
レイの前面板に多くの機能を持たせようとすると、それ
ぞれの機能のフィルターに要求される特性のほかに、1
つの機能が他の機能を妨げてはならないという制約が生
じる。そのため、多機能の前面板は未だ実用には到って
いない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】多機能の前面板を開発
するにあたっては、組合わせる機能に応じた種々の課題
を解決する必要がある。1つの例として、反射防止機能
と、色補正のための可視フィルターを組合わせる場合を
例として説明する。反射防止膜を構成している部材、例
えば透明支持体あるいはハードコート層を着色すること
により可視フィルターの機能をも持たせる試みが以前よ
り行われている。しかしながら、この場合には透明支持
体やハードコート層に添加できる染料や顔料は、種類が
非常に限られる。その理由としては、透明支持体は、通
常はプラスチックから製造されることが多く、またはガ
ラスからも製造される。そのため、透明支持体に添加す
る染料や顔料には、支持体の製造時の温度に耐えられる
程度の非常に高い耐熱性が要求される。一方ハードコー
ト層は、一般に架橋しているポリマーを含む層である。
ポリマーの架橋反応は、層の塗布後に加熱したり光等を
照射したりして実施する。この架橋のための反応条件で
は退色してしまう染料や顔料が多いなどの理由による。
さらに色補正に使用する染料または顔料には、画像表示
装置の種類に応じて、様々な吸収スペクトル特性が要求
される。上記の理由で色補正に使用する染料や顔料の種
類が限られると、適切な補正を行うことが難しくなる。
また別の問題として、支持体に厚いプラスチック板やガ
ラス板を用いるためかさばったり重量が重くなるなど
し、設置場所の確保や取扱いが困難になるなどの問題が
ある。
【0004】上記の制約を避けるため、着色層を透明支
持体やハードコート層ではなく、穏和な条件で形成でき
るポリマー層に染料や顔料を添加し、独立の可視フィル
ター層として設けることが容易に考えられる。しかしこ
の着色ポリマー層はハードコート層とは異なり、透明支
持体(プラスチックまたはガラス)や反射防止膜中の低
屈折率層との親和性が低く、剥離等の故障を起こしやす
い欠点がある。さらにまた、この種のポリマー層は親水
的であるため高温多湿の使用条件下では水分を含有しや
すく、染料や顔料の退色を促進させる欠点がある。その
ため透明支持体には透湿度の小さい材料が要求される。
このように、多機能の前面板は、その材料に制約がある
ことと、各機能のフィルター層の配列を工夫することが
必要である。従って、本発明の目的は、製造適性に優
り、かさばらず軽く、機械強度が高くかつ高温高湿下で
の耐久性に優れた、多機能の光学フィルターおよびこれ
を用いた前面板ならびに画像表示装置を提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の課題は、
下記の光学フィルターおよびこれを用いた前面板ならび
に画像表示装置により達成された。 1)透明支持体の少なくとも片側に可視フィルター層を
有し、該透明支持体の100μm厚みでの透湿度(40
℃、90%RH下で測定)が10g/m2・day以下である
光学フィルター。 2)該透湿度が5g/m2・day以下であることを特徴とす
る項1)記載の光学フィルター。 3)該透湿度が2g/m2・day以下であることを特徴とす
る項1)記載の光学フィルター。 4)該透明支持体の材料が2種以上の透明高分子膜の積
層体からなることを特徴とする項1)〜3)いずれか1
項に記載の光学フィルター。 5)該透明支持体の材料が2軸延伸フィルムであること
を特徴とする項1)〜3)いずれか1項に記載の光学フ
ィルター。 6)該透明支持体の材料がポリエステル、ポリカーボネ
ート、またはポリアリレートであることを特徴とする項
5)に記載の光学フィルター。 7)該透明支持体が透明高分子支持体上に透明な金属酸
化物を被覆したものであることを特徴とする項1)〜
6)いずれか1項に記載の光学フィルター。 8)該透明支持体の少なくとも片側に透明支持体の屈折
率よりも低い屈折率を有する低屈折率層を有する項1)
〜7)いずれか1項に記載の光学フィルター。 9)該透明支持体の片側に、順次、25℃における弾性
率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーにより実質的
に構成される1層又は2層以上の下塗り層、及び可視フ
ィルター層を有する項1)〜8)いずれか1項に記載の
光学フィルター。 10)低屈折率層と透明支持体との間に、25℃におけ
る弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーにより
実質的に構成される1層又は2層以上の下塗り層が設け
られていることを特徴とする項8)に記載の光学フィル
ター。 11)該透明支持体に設けられた低屈折率層側に設けら
れた下塗り層が2層からなり、透明支持体に隣接する第
1層下塗り層がスチレン−ブタジエン系共重合体からな
りこの第1下塗り層に隣接する、第2層下塗り層がアク
リル系樹脂層からなることを特徴とする項8)又は項1
0)に記載の光学フィルター。 12)該可視フィルター層が、波長が500乃至550
nmの範囲に透過率が20乃至85%の吸収極大を有
し、波長が560乃至620nmの範囲に透過率が0.
01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層で
あることを特徴とする項1)〜11)いずれか1項に記
載の光学フィルター。 13)該可視フィルター層が、波長が500乃至550
nmの範囲に透過率が40乃至85%の吸収極大を有
し、波長が560乃至620nmの範囲に透過率が0.
01乃至40%の吸収極大を有する可視フィルター層で
あることを特徴とする項1)〜12)いずれか1項に記
載の光学フィルター。 14)該光学フィルターがプラズマディスプレイパネル
(PDP)に用いられることを特徴とする項1)〜1
3)いずれか1項に記載のPDP用光学フィルター。 15)項1)〜12)のいずれかに記載の光学フィルタ
ーを用いた画像表示装置。 16)プラズマディスプレイパネルの前面板である項1
5)記載の画像表示装置。 17)プラズマディスプレイパネルである項15)記載
の画像表示装置。18)項16)に記載の前面板を用い
たプラズマディスプレイパネルよりなる画像表示装置。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の画像表示装置用の光学フ
ィルターおよびそれを用いた前面板の代表的な層構成
を、図面を参照しながら説明する。以下、陰極管表示装
置(CRT)およびプラズマディスプレイパネル(PD
P)用の前面板として、またはその一部として使用する
場合の層構成について説明する。図1は陰極管表示装置
(CRT)またはプラズマディスプレイパネル(PD
P)の本体Aの前面に本発明の前面板Dを用いた場合の
断面概念図である。図1(a)は本体Aと前面板Dとが密
着し、各種のフィルター層や反射防止層からなる光学フ
ィルターCが前面板の支持体の片面(前面)にのみ設け
られている場合、図1(b)は本体Aと前面板Dとの間に
空間があり、各種フィルター層や反射防止層からなる光
学フィルターCが前面板の支持体の両面に設けられてい
る場合の概念図である。図2は光学フィルターおよびそ
れを用いた前面板の層構成の断面模式図である。図2
(a)および図2(b)は図1(a)の配置に対応する光学フィ
ルターおよびそれを用いた前面板の層構成の例であり、
図2(c)および図2(d)は図1(b)の配置に対応する光学
フィルターおよびそれを用いた前面板の層構成の例であ
る。図2(a)では透明支持体とハードコート層および透
明支持体とフィルター層との間には、十分な接着強度を
得るために下塗り層を設けることが好ましい。図2(b)
でも透明支持体とフィルター層との間に十分な接着強度
を得るために下塗り層を設けることが好ましい。フィル
ター層とガラス透明支持体との間は、例えば市販のアク
リル系粘着剤を用いて容易に接着することができる。図
2(c)および図2(d)では透明支持体とフィルター層およ
び透明支持体と反射防止層との間には、十分な接着強度
を得るために下塗り層を設けることが好ましい。
【0007】以下本発明の光学フィルターおよびそれを
用いた前面板を構成する各材料とその構成について説明
する。 (透明支持体)本発明の光学フィルターにおいては、透
明支持体として100μm厚みでの透湿度(40℃、9
0%RH下で測定)が10g/m2・day以下、好ましくは
5g/m2・day以下、最も好ましくは2g/m2・day以下の
透明フィルムを用いる。このような透湿度の低い透明支
持体を得る手段としては、高分子材料固有の性質として
透湿度の低い透明材料を単独で用いても良いし、透湿度
が大きくてもその表面に透明な金属酸化物を被覆し、あ
るいは透湿度の異なる2種類以上の透明高分子材料を積
層し複合材料として透湿度を低くしても良い。高分子材
料固有の性質として透湿度の低い透明支持体を形成する
材料の例には、 ポリエステル(例、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノ
キシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチ
レンテレフタレート)、ポリオレフィン(例、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、フェノ
キシ樹脂(ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの重
付加縮合ポリマー)、ポリエーテルケトンが含まれる。
ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタ
レートが好ましい。表面を透明金属酸化物で被覆したり
ポリ塩化ビニリデン(PVDC、塩化ビニリデンと塩化
ビニルの共重合体を含む)のような低い透湿度の高分子
を積層して透湿度の低い透明支持体を形成する材料の例
には、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロー
ス、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニル
セルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニ
ルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリ
カーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキ
シエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレ
ンテレフタレート)、ポリアリレート(例えば、ビスフ
ェノールAとフタル酸の縮合物)、ポリスチレン(例え
ば、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィ
ン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン)、アクリル(ポリメチルメタクリレー
ト)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチ
レンが含まれる。これらの中でも、トリアセチルセルロ
ース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、
ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタ
レートが好ましい。
【0008】低い透湿度を付与するために表面に被覆す
る金属酸化物の例としてはSiO2、 Al23などが
ある。その他Zn、Ti,Zr、Pb,Sn,In,C
eの酸化物も用いることが出来る。金属酸化物を透明高
分子支持体の表面に被覆する方法には蒸着、スパッタリ
ング、プラズマCVD法などを用いることが出来る。
【0009】支持体の厚みは5μm以上5cm以下であ
ることが好ましく、25μm以上1cm以下であること
がさらに好ましく、80μm以上1.2mm以下である
ことが最も好ましい。透明支持体の透過率は80%以上
であることが好ましく、86%以上であることがさらに
好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、
1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.
45乃至1.70であることが好ましい。透明支持体
に、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよ
い。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01乃
至20重量%であることが好ましく、0.05乃至10
重量%であることがさらに好ましい。さらに滑り剤とし
て、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加しても
よい。無機化合物の例には、SiO2 、TiO2 、B
aSO4 、CaCO3 、タルクおよびカオリンが含ま
れる。 透明支持体には下塗り層との接着性をより強固
にするために表面処理を施すことが好ましい。表面処理
の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火
炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処
理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、およ
びオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線
照射処理、コロナ放電処理および火炎処理が好ましく、
コロナ放電処理がさらに好ましい。
【0010】(可視フィルター層)可視フィルター層と
は、可視光(波長範囲400−700nm)を選択的に
吸収する層をいう。フィルター層の厚さは0.1μm乃
至5cmであることが好ましく、0.5μm乃至1cm
であることがさらに好ましく、1μm乃至7mmである
ことが最も好ましい。フィルター層は波長が500乃至
620nm(500nm以上620nm以下、以下同
じ。)の範囲に吸収極大を持つことが好ましく、より好
ましくは波長が500乃至550nmの範囲と560乃
至620nmの範囲の両方に吸収極大をもつことであ
る。波長が500乃至550nmの範囲の透過率は20
乃至85%の範囲であることが好ましく、より好ましく
は40乃至85%の範囲である。波長が500乃至55
0nmの範囲の吸収極大は、視感度が高い緑の蛍光体の
発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体の発
光域は、なだらかにカットすることが好ましい。波長が
500乃至550nmの範囲の吸収極大での半値幅(吸
収極大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)
は、30乃至300nmであることが望ましく、40乃
至300nmであることがより好ましく、50乃至15
0nmであることがさらに好ましく、60乃至150n
mであることが最も好ましい。
【0011】波長が560乃至620nmの範囲の吸収
極大での透過率は、0.01乃至80%の範囲であるこ
とが望ましく、より好ましくは0.01乃至40%の範
囲である。波長が560乃至620nmの範囲の吸収極
大は、赤色蛍光体の色純度を低下させているサブバンド
を選択的にカットするために設定される。PDPにおい
ては、ネオンの励起によって放出される585nm付近
の不要な発光をカットすると同時に赤色蛍光体からの短
波側の光をカットする。本発明により吸収極大を分離し
たことで、緑の蛍光体の色調に悪影響を与えること無
く、選択的に光をカットできる。緑の蛍光体の色調への
影響をさらに低下させるため、吸収スペクトルのピーク
をシャープにすることが好ましい。具体的には、波長が
560乃至620nmの範囲の吸収極大での半値幅は、
5乃至200nmであることが望ましく、10乃至10
0nmであることがより好ましく、12乃至50nmで
あることが最も好ましい。
【0012】上記の吸収スペクトルを付与するために、
色素(染料または顔料)を用いて、フィルター層を形成
する。波長が500乃至550nmの範囲に吸収極大を
持つ染料としては、スクアリリウム系、アゾメチン系、
シアニン系、オキソノール系、アントラキノン系、アゾ
系またはベンジリデン系の化合物が好ましく用いられ
る。アゾ染料としては、GB539703号、同575
691号、US2956879号および堀口 博著「総
説 合成染料」三共出版などに記載の多くのアゾ染料を
使用することができる。波長が500乃至550nmの
範囲に吸収極大を持つ染料の例を以下に示す。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】 波長が560乃至620nmの範囲に吸収極大を持つ染
料としては、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチ
ン系、キサンテン系、オキソノール系またはアゾ系の化
合物が好ましく用いられる。波長が560乃至620n
mの範囲に吸収極大を持つ染料の例を以下に示す。
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】また、波長が500乃至550nmの範囲
と波長が560乃至620nmの範囲の両方に吸収極大
を持つ染料をフィルター層に用いることもできる。例え
ば、染料を微粒子分散物のような会合体の状態にする
と、一般に波長が長波長側にシフトして、ピークがシャ
ープになる。そのため、波長が500乃至550nmの
範囲に吸収極大を持つ染料には、その会合体が560乃
至620nmの範囲に吸収極大を持つものもある。その
ような染料が部分的に会合体を形成した状態で使用する
と、波長が500乃至550nmの範囲と波長が560
乃至620nmの範囲の両方に吸収極大を得ることがで
きる。そのような染料の例を以下に示す。
【0020】
【化7】
【0021】フィルター層には、以上のような2種類以
上の染料を組み合わせて用いることができる。
【0022】(バインダー)フィルター層は、染料のほ
かに適当なポリマーバインダーを含むことが好ましく、
特に好ましくはポリマーバインダーを含む。天然ポリマ
ー(例、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸)ま
たは合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニル
アルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコ
ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、水溶性ポ
リアミド)をポリマーバインダーとして用いることがで
きる。親水性ポリマー(上記天然ポリマー、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコー
ル、水溶性ポリアミド)が特に好ましい。
【0023】(下塗り層)本発明では、前述の、又は、
後述の、反射防止層、フィルター層、赤外遮断層、電磁
波遮断層を支持体上に設けることができ、この場合には
支持体とこれらの機能層との間に、1層又は2層以上の
下塗り層を設けることができる。この下塗り層として
は、25℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以
上、好ましくは800MPa以下5MPa以上、さらに好まし
くは500MPa以下10MPa以上の柔らかいポリマーが好
ましい。またその厚みとしては好ましくは2nm以上2
0μm以下、さらに好ましくは5nm以上5μm以下、
最も好ましくは50nm以上1μm以下である。本発明
の下塗り層に使用される好ましいポリマーは、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプ
レン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチル
ビニルエーテルいずれかの単独重合またはこれらのビニ
ルモノマーよりなる群より選ばれた2種以上のモノマー
を共重合したコポリマー(共重合体)である。
【0024】(反射防止層)反射防止層とは、正反射率
が3.0%以下の層を意味し、好ましくは1.8%以下
の正反射率を有する層である。反射防止層としては通常
低屈折率層を設けることが有用である。低屈折率層の屈
折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率
層の屈折率は、1.20以上1.55以下であることが
好ましく、1.30以上1.50以下であることがさら
に好ましい。低屈折率層の厚さは、50以上400nm
以下であることが好ましく、50以上200nm以下で
あることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低
い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−3452
6号、特開平3−130103号、同6−115023
号、同8−313702号、同7−168004号の各
公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−
208811号、同6−299091号、同7−168
003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特
公昭60−59250号、特開平5−13021号、同
6−56478号、同7−92306号、同9−288
201号の各公報に記載)として形成することができ
る。微粒子を含む層では、微粒子間または微粒子内のミ
クロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することが
できる。微粒子を含む層は、3乃至50体積%の空隙率
を有することが好ましく、5乃至35体積%の空隙率を
有することがさらに好ましい。
【0025】広い波長領域の反射を防止するためには、
低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率
層)を積層することが好ましい。中・高屈折率層は、本
発明の下塗り層よりも高い屈折率を持つ層であり、中・
高屈折率層を併用することにより、低屈折率層のみを用
いた場合よりも広い範囲で、高い反射防止効果を有す
る。高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であ
ることが好ましく、1.70乃至2.20であることが
さらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の
屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように
調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50乃至1.9
0であることが好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5
nm乃至100μmであることが好ましく、10nm乃
至10μmであることがさらに好ましく、30nm乃至
1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘ
イズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であ
ることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好
ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有する
ポリマーを用いて形成することができる。屈折率が高い
ポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合体、
ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシア
ネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが
含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)
基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置
換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合
を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反
応によりポリマーを形成してもよい。
【0026】さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバ
インダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子
の屈折率は、1.80乃至2.80であることが好まし
い。無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成
することが好ましい。金属の酸化物または硫化物の例に
は、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの
混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化
インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜
鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫および酸化インジウ
ムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化
物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むこ
とができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最
も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素の
例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、
Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、S
i、PおよびSが含まれる。被膜形成性で溶剤に分散し
得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種
元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合
した配位化合物(例、キレート化合物)、活性無機ポリ
マーを用いて、中・高屈折率層を形成することもでき
る。
【0027】(電磁波遮へい層および赤外線遮へい層)
本発明において電磁波遮断効果を有する層の表面抵抗は
0.01乃至500Ω/□、より好ましくは0.01乃
至10Ω/□である。電磁波遮蔽効果を付与するには、
前面板の透過率を低下させないため透明導電層を用いる
ことが好ましい。透明導電層としては、金属層、金属酸
化物層、導電性ポリマー層等を挙げるこができる。透明
導電層を形成する金属としては、例えば銀、パラジウ
ム、金、白金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、錫、タングステ
ン、イリジウム、鉛単独もしくはこれらの合金を挙げる
ことができるが、好ましくは銀、パラジウム、金、白
金、ロジウム単独もしくはこれらの合金である。ここで
銀とパラジウムの合金が好ましく、このとき銀の含有率
は60%乃至99%が好ましく、80%乃至98%が更
に好ましい。金属層の膜厚は1〜100nmが好まし
く、5〜40nmが更に好ましく、10〜30nmが最
も好ましい。膜厚が1nm未満では電磁波遮蔽効果が乏
しく、100nmを超えると可視光線の透過率が低下す
る。透明導電層を形成する金属酸化物としては、例えば
酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、
ITO、ATOなどを挙げることができる。この膜厚は
20〜1000nmが好ましい。さらに好ましくは40
〜100nmである。これら金属透明導電層と酸化物透
明導電層を合わせて用いるのも好ましい。また、同一層
内に金属と導電性金属酸化物が共存することも好まし
い。金属層の保護、酸化劣化防止および可視光線の透過
率を高めるために透明酸化物層を積層することができ
る。この透明酸化物層は導電性があってもなくてもかま
わない。透明酸化物層としては例えば2〜4価金属の酸
化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび金属アルコキ
サイド化合物等の薄膜が挙げられる。透明導電層、透明
酸化物層を形成する方法としては特に制限はなく、任意
の加工処理方法を選択することが可能である。例えばス
パッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、プラズマCVD法あるいはPVD法、該当する金属
あるいは金属酸化物の超微粒子の塗布等いずれの公知技
術も用いることが可能である。
【0028】本発明における赤外線遮蔽効果とは、80
0乃至1200nmの近赤外領域の線スペクトルを遮へ
いする機能をいう。この近赤外領域の線スペクトル遮蔽
特性は800nmの透過率が15%以下、850nmで
は5%以下であることが好ましい。この赤外線遮蔽効果
を付与するには透明プラスチック支持体に近赤外吸収性
化合物を混合する方法を用いることができる。例えば銅
原子を含有する樹脂組成物(特開平6−118228号
公報)、銅化合物、リン化合物を含有する樹脂組成物
(特開昭62−5190号公報)、銅化合物、チオ尿素
誘導体を含有する樹脂組成物(特開平6−73197号
公報)、タングステン系化合物を含有する樹脂組成物
(US3647729号公報)などを形成することによ
って容易に製造できる。銀を透明状に成膜する方法が電
磁遮蔽に加えて赤外線遮蔽効果を持たせる方法として安
価であり好ましい。
【0029】(その他の層)本発明には、ハードコート
層、潤滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設け
ることもできる。ハードコート層は、架橋しているポリ
マーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリ
ル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマ
ー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹
脂)を用いて形成することができる。シリカ系のフィラ
ーをハードコート層に添加することもできる。反射防止
膜の最表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反
射防止膜表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能
を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シ
リコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂
肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて
形成することができる。潤滑層の厚さは、2乃至20n
mであることが好ましい。または反射防止膜の最表面に
防汚層を設けることもできる。防汚層は反射防止層の表
面エネルギーを下げ、親水性、親油性の汚れを付きにく
くするものである。そのほか防汚層は含フッ素ポリマー
を用いて形成することができる。防汚層の厚さは2nm
乃至100nm、好ましくは5nm乃至30nmであ
る。
【0030】本発明においては、表面にアンチグレア機
能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面
に映るのを防止する機能)を付与することができる。例
えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そし
てその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防
止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成
することにより、アンチグレア機能を得ることができ
る。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3
乃至30%のヘイズを有する。
【0031】反射防止層(低屈折率層)、フィルター
層、赤外線や電磁波の遮蔽層、下塗り層、ハードコート
層、潤滑層、防汚層、その他の層は、一般的な塗布方法
により形成することができる。塗布方法の例には、ディ
ップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート
法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビ
アコート法およびホッパーを使用するエクストルージョ
ンコート法(米国特許2681294号明細書記載)が
含まれる。二以上の層を同時塗布により形成してもよ
い。同時塗布法については、米国特許2761791
号、同2941898号、同3508947号、同35
26528号の各明細書および原崎勇次著「コーティン
グ工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載が
ある。また、本発明における反射防止層および赤外や電
磁波の遮蔽層の成膜方法には、スパッタリング法、真空
蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法あ
るいはPVD法も透明支持体の耐熱性等の改良に合わせ
て適宜選択することができるが、塗布方法がより好まし
い。
【0032】本発明において、発明の構成素材(例え
ば、支持体の材料の種類、染料の種類、下塗り層の素
材、反射防止層用の低屈折率ポリマーの種類、等)及
び、諸特性(例えば、透明支持体の透湿率、下塗り層の
弾性率範囲、可視フィルターの透過率、等)から選ばれ
た2つ以上の好ましい構成素材又は特性の組み合わせを
も又本発明の好ましい実施態様として使用することがで
きる。
【0033】(本発明の前面板の用途)本発明の前面板
は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパ
ネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレ
イ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像
表示装置に用いられる。本発明の前面板は特に、プラズ
マディスプレイパネル(PDP)および陰極管表示装置
(CRT)の前面板として使用すると、顕著な効果が得
られる。プラズマディスプレイパネル(PDP)は、ガ
ス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料
および蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガ
ラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス
基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板に
は、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組
み立てて、その間にガスを封入する。前面板はこれらプ
ラズマディスプレイ本体を保護するように、本体前面に
位置する。前面板は本体を保護するために充分な強度を
備えていることが好ましい。本発明の前面板は、プラズ
マディスプレイ本体と隙間をおいて使用することもでき
るし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用する
こともできる。プラズマディスプレイパネル(PDP)
は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネル
については、特開平5−205643号、同9−306
366号の各公報に記載がある。
【0034】
【実施例】実施例1〜3 (下塗り層の形成)厚さがそれぞれ60、100及び1
75μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルムの両面をコロナ処理した後、両面に屈折率1.
55、25℃における弾性率100MPa、ガラス転移温
度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラ
テックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)を塗
布し、下塗り層を形成した。乾燥後の膜厚さとして、フ
ィルター層を設ける面には厚さ300nm、低屈折率層を
設ける面には厚さ150nmとなるように塗布した。透湿
度(40℃、90%RH下で測定)を測定したところ1
00μm厚さ換算でそれぞれ9.5、4.5、1.9g
/m2・dayであり、下塗り層形成前の透湿度の値と変わら
なかった。なお、下塗り層形成後の透湿度の算出におい
て、厚さの換算に関しては下塗り層の厚みは無視した。
ここで、透湿度試験は、日本工業規格JIS−Z−02
08の方法にしたがって実施した。
【0035】(第2下塗り層の形成)フィルター層を設
ける面の下塗り層の上に、酢酸とグルタルアルデヒドを
含むゼラチン水溶液を、乾燥後の厚さ100nmとなるよ
うに塗布し、低屈折率層を設ける面の下塗り層の上には
屈折率1.50、25℃における弾性率120MPa、ガ
ラス転移温度50℃のアクリル系ラテックス(HA1
6、日本アクリル(株)製)を乾燥後の厚さ20nmと
なるように塗布し、第2下塗り層を形成した。
【0036】(フィルター層の形成)ゼラチンの10重
量%水溶液180gに、染料(b7)0.05gおよび
染料(a2)0.15gを溶解させ、40℃で30分間
攪拌した後、2μmのポリプロピレンフィルターでろ過
した。得られたフィルター層用塗布液を透明支持体の低
屈折率層を塗布する側とは反対側の第2下塗り層上に、
乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で
10分間乾燥してフィルター層を形成した。
【0037】(反射防止層としての低屈折率層の形成)
反応性フッ素ポリマー(JN−7219、日本合成ゴム
(株)製)2.50gにt-ブタノール1.3gを加え、
室温で10分間攪拌し、1μmのポリプロピレンフィル
ターでろ過した。得られた低屈折率層用塗布液を、透明
支持体の片面(スチレン−ブタジエンコポリマーラテッ
クス150nm、アクリルラテックス20nmを下塗り層と
する面)に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が96nmと
なるように塗布し、120℃で15分間乾燥して硬化さ
せ低屈折率層を形成し、反射防止層とフィルター層を付
与した支持体(光学フィルター)を作製した。
【0038】上記の分光透過率を調べたところ、535
nmと595nmに吸収極大を有し、吸収極大での透過
率は、535nmの吸収極大が69%、595nmの吸
収極大が23%であった。
【0039】実施例4−7 (下塗り層の形成)3種類の厚さ40、80、155μ
mの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムの両面
をコロナ処理した後、フィルター層を設ける面に、屈折
率1.55、25℃における弾性率100MPaガラス転
移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからな
るラテックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)
を厚さ300nmとなるように塗布し、反対面の低屈折率
層を設ける面には、屈折率1.58、25℃における弾
性率90MPaガラス転移温度−10℃の塩化ビニリデン
−アクリル酸−メチルアクレートコポリマーからなるラ
テックスを厚さ145nmとなるように塗布した。透湿
度(40℃、90%RH下で測定)を測定したところ1
00μm厚さ換算でそれぞれ9.7、4.7、1.9g
/m2・dayであり、下塗り層形成前の値である、それぞ
れ、14.5,7.2,及び3.0g/m2・day に比べ
て透湿率が低下していた。
【0040】(第2下塗り層の形成)実施例1と同様に
して第二下塗り層を形成した。
【0041】(低屈折率層の形成)実施例1と同様にし
て低屈折率層を形成した。
【0042】(フィルター層の形成)染料(a2)のか
わりに染料(a5)0.15gを使用した以外は実施例
1と同様にしてフィルター層を形成し、光学フィルター
を作製した。
【0043】光学フィルターの分光透過率を調べたとこ
ろ、534nmと594nmに吸収極大を有し、吸収極
大での透過率は、534nmの吸収極大が65%、59
4nmの吸収極大が21%であった。
【0044】実施例7−9 (下塗り層の形成)3種類の厚さ30、100、150
μmの透明な2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィル
ムの両面をグロー放電処理した後、実施例1と同様にし
て下塗り層を形成した。透湿度(40℃、90%RH下
で測定)を測定したところ100μm厚さ換算でそれぞ
れ6.5、1.8、1.2g/m2・dayであり、下塗り層
形成前の透湿率と変化がなかった。
【0045】(第2下塗り層の形成)実施例1と同様に
して第二下塗り層を形成した。
【0046】(低屈折率層の形成)実施例1と同様にし
て低屈折率層を形成した。
【0047】(フィルター層の形成)染料(a2)のか
わりに染料(a6)0.05gを使用した以外は実施例
1と同様にしてフィルター層を形成し、光学フィルター
を作製した。
【0048】光学フィルター分光透過率を調べたとこ
ろ、533nmと594nmに吸収極大を有し、吸収極
大での透過率は、533nmの吸収極大が63%、59
4nmの吸収極大が22%であった。
【0049】比較例1 厚さ40μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを用いた以外はすべて実施例1と同様にして光学
フィルターを作製した。下塗り層形成後の透湿度(40
℃、90%RH下で測定)を測定したところ100μm
厚さ換算でそれぞれ12g/m2・dayであった。光学フィ
ルターの分光透過率は実施例1と同じであった。 比較例2 厚さ20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを用いた以外はすべて実施例1と同様にして光学
フィルターを作製した。下塗り層形成後の透湿度(40
℃、90%RH下で測定)を測定したところ100μm
厚さ換算でそれぞれ13g/m2・dayであった。光学フィ
ルターの分光透過率は実施例2同じであった。 比較例3 厚さ15μmの2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィ
ルムを用いた以外はすべて実施例3と同様にして光学フ
ィルターを作製した。下塗り層形成後の透湿度(40
℃、90%RH下で測定)を測定したところ100μm
厚さ換算でそれぞれ12g/m2・dayであった。光学フィ
ルターの分光透過率は実施例3同じであった。 (光学フィルターの耐久性評価)実施例1〜9および比
較例1〜3で作製した光学フィルターのフィルター層面
に、アクリル系の粘着剤を厚さ30μmの厚さで塗布
し、その面を厚さ3mmのガラス板に貼り、60℃、9
0%RHの温湿度条件下にて反射防止層側から15万ル
クスのキセノンランプを100時間照射した。照射後の
分光透過率を調べたところ表1のような結果になった。
【0050】
【表1】表1
【0051】(フィルター機能の評価)プラズマディス
プレイパネル(PDS4202J−H、富士通(株)
製)の前面板を取り外し、耐久性試験後の光学フィルタ
ーをガラス板からはがし、再度アクリル系の粘着剤にて
前面板の内面に貼りつけた。その後元どおりに前面板を
プラズマディスプレイパネル本体に取り付けた。表示さ
れる画像について、コントラストの測定、目視による白
色光及び赤色光の評価および画像の輪郭の鮮明さの評価
を行った。結果を表2に示した。
【0052】
【表2】表2
【0053】
【発明の効果】上記の通り、本発明によれば高温高湿下
強い光に晒されても色素の耐久性に優れ、表示される画
像のコントラストおよび色再現性に優れる光学フィルタ
ーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】陰極管表示装置(CRT)またはプラズマディ
スプレイパネル(PDP)の本体Aの前面に本発明の前
面板を用いた場合の断面概念図である。図1−1は本体
Aと前面板Dが密着した場合、図1−2は本体Aと前面
板Dの間に空間がある場合の概念図である。 A CRTまたはPDP B 支持体 C 各種フィルター層および反射防止層 D 前面板
【図2】前面板の層構成の断面模式図である。図2(a)
および図2(b)は図1(a)の、図2(c)および図2(d)は図
1(b)の配置に対応する層構成の例である。 1 反射防止層 2 電磁波および赤外線遮へい層 3 ハードコート層 4 プラスチック透明支持体 5 フィルター層 6 ガラス透明支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA09 CA15 CA19 CA24 CA29 4F100 AA17D AK01A AK01C AK25D AK41A AK41C AK42 AK43A AK43C AK45A AK45C AK73C BA02 BA03 BA04 BA10A BA10B BA10D BA13 CC00 EH46 EJ38A EJ38C GB41 GB90 JD04A JD04C JK01 JK07C JL00 JL02 JM02A JN01A JN01B JN01C JN01D JN18D YY00A YY00B YY00C

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体の少なくとも片側に可視フィ
    ルター層を有し、該透明支持体の100μm厚みでの透
    湿度(40℃、90%RH下で測定)が10g/m2・day
    以下である光学フィルター。
  2. 【請求項2】 該透湿度が5g/m2・day以下であること
    を特徴とする請求項1記載の光学フィルター。
  3. 【請求項3】 該透湿度が2g/m2・day以下であること
    を特徴とする請求項1記載の光学フィルター。
  4. 【請求項4】 該透明支持体の材料が2種以上の透明高
    分子膜の積層体からなることを特徴とする請求項1〜3
    いずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 【請求項5】 該透明支持体の材料が2軸延伸フィルム
    であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記
    載の光学フィルター。
  6. 【請求項6】 該透明支持体の材料がポリエステル、ポ
    リカーボネート、またはポリアリレートであることを特
    徴とする請求項5に記載の光学フィルター。
  7. 【請求項7】 該透明支持体が透明高分子支持体上に透
    明な金属酸化物を被覆したものであることを特徴とする
    請求項1〜6いずれか1項に記載の光学フィルター。
  8. 【請求項8】 該透明支持体の少なくとも片側に透明支
    持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層を有
    する請求項1〜7いずれか1項に記載の光学フィルタ
    ー。
  9. 【請求項9】 該透明支持体の片側に、順次、25℃に
    おける弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーに
    より実質的に構成される1層又は2層以上の下塗り層、
    及び可視フィルター層を有する請求項1〜8いずれか1
    項に記載の光学フィルター。
  10. 【請求項10】 低屈折率層と透明支持体との間に、2
    5℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリ
    マーにより実質的に構成される1層又は2層以上の下塗
    り層が設けられていることを特徴とする請求項8に記載
    の光学フィルター。
  11. 【請求項11】 該透明支持体に設けられた低屈折率層
    側に設けられた下塗り層が2層からなり、透明支持体に
    隣接する第1層下塗り層がスチレン−ブタジエン系共重
    合体からなりこの第1下塗り層に隣接する、第2層下塗
    り層がアクリル系樹脂層からなることを特徴とする請求
    項8又は請求項10に記載の光学フィルター。
  12. 【請求項12】 該可視フィルター層が、波長が500
    乃至550nmの範囲に透過率が20乃至85%の吸収
    極大を有し、波長が560乃至620nmの範囲に透過
    率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィル
    ター層であることを特徴とする請求項1〜11いずれか
    1項に記載の光学フィルター。
  13. 【請求項13】 該可視フィルター層が、波長が500
    乃至550nmの範囲に透過率が40乃至85%の吸収
    極大を有し、波長が560乃至620nmの範囲に透過
    率が0.01乃至40%の吸収極大を有する可視フィル
    ター層であることを特徴とする請求項1〜12いずれか
    1項に記載の光学フィルター。
  14. 【請求項14】 該光学フィルターがプラズマディスプ
    レイパネル(PDP)に用いられることを特徴とする請
    求項1〜13いずれか1項に記載のPDP用光学フィル
    ター。
  15. 【請求項15】 請求項1〜12のいずれかに記載の光
    学フィルターを用いた画像表示装置。
  16. 【請求項16】 プラズマディスプレイパネルの前面板
    である請求項15記載の画像表示装置。
  17. 【請求項17】 プラズマディスプレイパネルである請
    求項15記載の画像表示装置。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の前面板を用いたプ
    ラズマディスプレイパネルよりなる画像表示装置。
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