JP2001085263A - 卑金属を主成分とする内部電極を有する積層型セラミックコンデンサ - Google Patents
卑金属を主成分とする内部電極を有する積層型セラミックコンデンサInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】誘電体としてPd内部電極使用を前提とする絶
縁抵抗の寿命が長く信頼性の高い従来のセラミックを用
い、内部電極材として低コストのNiを主とする合金を
用いた、積層型チップセラミックコンデンサおよびその
製造方法の提供。 【解決手段】内部電極材が、NiにPdを10重量%超、
20重量%以下含む合金であることを特徴とする積層型セ
ラミックコンデンサ、およびNiに対し還元性の雰囲気
にて、1250〜1400℃で焼成をおこなった後、Niに対し
ては酸化性の雰囲気にて1050〜1250℃の温度範囲で酸化
処理をおこなう上記の積層型セラミックコンデンサの製
造法。
縁抵抗の寿命が長く信頼性の高い従来のセラミックを用
い、内部電極材として低コストのNiを主とする合金を
用いた、積層型チップセラミックコンデンサおよびその
製造方法の提供。 【解決手段】内部電極材が、NiにPdを10重量%超、
20重量%以下含む合金であることを特徴とする積層型セ
ラミックコンデンサ、およびNiに対し還元性の雰囲気
にて、1250〜1400℃で焼成をおこなった後、Niに対し
ては酸化性の雰囲気にて1050〜1250℃の温度範囲で酸化
処理をおこなう上記の積層型セラミックコンデンサの製
造法。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、セラミック誘電体
層と金属導体層とを交互に積層して一体化焼成して製造
される積層型チップセラミックコンデンサに関する。
層と金属導体層とを交互に積層して一体化焼成して製造
される積層型チップセラミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックを誘電体に用いたコンデンサ
には、円板や角板、あるいは円筒など板状誘電体の両面
に2枚の電極を取り付けた単板型のものもあるが、電子
機器の高密度実装の要求から、小型化大容量化のため誘
電体を薄くし、誘電体と導体電極とを交互に積層して対
向電極の面積を大きくした積層型も多く製造されてい
る。この積層型チップセラミックコンデンサは、薄くし
たセラミックのグリーンシート上に、内部電極となる導
体金属粉末のペーストを印刷または塗布し、これらを多
数枚積層して焼成し一体化させ、その外側に内部電極と
導通する外部電極を取り付けて作られる。
には、円板や角板、あるいは円筒など板状誘電体の両面
に2枚の電極を取り付けた単板型のものもあるが、電子
機器の高密度実装の要求から、小型化大容量化のため誘
電体を薄くし、誘電体と導体電極とを交互に積層して対
向電極の面積を大きくした積層型も多く製造されてい
る。この積層型チップセラミックコンデンサは、薄くし
たセラミックのグリーンシート上に、内部電極となる導
体金属粉末のペーストを印刷または塗布し、これらを多
数枚積層して焼成し一体化させ、その外側に内部電極と
導通する外部電極を取り付けて作られる。
【0003】コンデンサ用セラミックは、Ti、Zr、
Mg、Ca、Sr、Ba等の酸化物から構成され、その
誘電率を高くし、性能安定や十分な強度を得るために
は、1300℃前後の高温での十分な焼成を必要とする。そ
の際セラミックの還元、ないしはその酸素の一部の離脱
が生じると、誘電体が半導体化してコンデンサとしての
絶縁抵抗が低下するので、通常は空気中など酸素を含む
酸化性雰囲気中で焼成がおこなわれる。内部電極材に
は、融点が低ければ焼成時に流出するおそれがあるの
で、セラミックの焼成温度よりも融点が高く、セラミッ
クとおなじ温度で焼結でき、しかもその温度の酸化性雰
囲気において酸化されない金属が要求される。この要求
に合致した内部電極材用金属として、従来PtやPdま
たはこれらの合金が使用されてきた。しかしながら、こ
れらの材料は極めて高価であり、積層数を増し、セラミ
ック層の厚さを薄くしていくほど、コンデンサ全重量に
対する使用比率が増し、コンデンサのコストを増加させ
る。
Mg、Ca、Sr、Ba等の酸化物から構成され、その
誘電率を高くし、性能安定や十分な強度を得るために
は、1300℃前後の高温での十分な焼成を必要とする。そ
の際セラミックの還元、ないしはその酸素の一部の離脱
が生じると、誘電体が半導体化してコンデンサとしての
絶縁抵抗が低下するので、通常は空気中など酸素を含む
酸化性雰囲気中で焼成がおこなわれる。内部電極材に
は、融点が低ければ焼成時に流出するおそれがあるの
で、セラミックの焼成温度よりも融点が高く、セラミッ
クとおなじ温度で焼結でき、しかもその温度の酸化性雰
囲気において酸化されない金属が要求される。この要求
に合致した内部電極材用金属として、従来PtやPdま
たはこれらの合金が使用されてきた。しかしながら、こ
れらの材料は極めて高価であり、積層数を増し、セラミ
ック層の厚さを薄くしていくほど、コンデンサ全重量に
対する使用比率が増し、コンデンサのコストを増加させ
る。
【0004】これに対し、低価格のNiまたはNi合金
を内部電極材とするため、還元性雰囲気中にて焼成して
も半導体化による絶縁抵抗低下のない、十分な耐還元性
を有するセラミックが開発され、それを用いたるコンデ
ンサが製造されている。
を内部電極材とするため、還元性雰囲気中にて焼成して
も半導体化による絶縁抵抗低下のない、十分な耐還元性
を有するセラミックが開発され、それを用いたるコンデ
ンサが製造されている。
【0005】Niは空気など酸化性雰囲気中にて高温焼
成すると酸化され、さらに酸化物がセラミック中に溶け
込んだりして、その電極としての機能が消失してしま
う。このNiの酸化を防止するために、酸素分圧を下げ
たり水素を添加するなどして還元性雰囲気にすれば、セ
ラミックが還元されて半導体化し、絶縁抵抗が低下する
という問題がある。このためNiに対し還元性の雰囲気
中、ないしは低酸素分圧の雰囲気中で焼成しても、半導
体化や絶縁抵抗の劣化が生じない十分な耐還元性を有
し、しかも誘電体として良好な特性を有するセラミック
が開発されている。
成すると酸化され、さらに酸化物がセラミック中に溶け
込んだりして、その電極としての機能が消失してしま
う。このNiの酸化を防止するために、酸素分圧を下げ
たり水素を添加するなどして還元性雰囲気にすれば、セ
ラミックが還元されて半導体化し、絶縁抵抗が低下する
という問題がある。このためNiに対し還元性の雰囲気
中、ないしは低酸素分圧の雰囲気中で焼成しても、半導
体化や絶縁抵抗の劣化が生じない十分な耐還元性を有
し、しかも誘電体として良好な特性を有するセラミック
が開発されている。
【0006】誘電特性のすぐれたセラミックは、その主
成分がチタン酸バリウム(BaTiO3)で代表される
ように、2価のアルカリ土類金属の酸化物と、4価の4
a族金属の酸化物とが原子濃度比にて1:1に複合焼成さ
れている。これにキュリー温度の降下や温度特性の改良
を目的に、BaまたはTiの一部がMg、Ca、Sr、
Zrなどで置換され、さらに絶縁性や焼結性を向上させ
るためMnやSiなどの酸化物が添加される。この2価
の金属イオンと4価の金属イオンの原子濃度比(2価イ
オン)/(4価イオン)を、1.0よりわずかに大きくす
ることにより、耐還元性が大きく改善されることが見出
され、このようにイオン濃度比を少しずらした組成をベ
ースに、種々改良がおこなわれてきた。
成分がチタン酸バリウム(BaTiO3)で代表される
ように、2価のアルカリ土類金属の酸化物と、4価の4
a族金属の酸化物とが原子濃度比にて1:1に複合焼成さ
れている。これにキュリー温度の降下や温度特性の改良
を目的に、BaまたはTiの一部がMg、Ca、Sr、
Zrなどで置換され、さらに絶縁性や焼結性を向上させ
るためMnやSiなどの酸化物が添加される。この2価
の金属イオンと4価の金属イオンの原子濃度比(2価イ
オン)/(4価イオン)を、1.0よりわずかに大きくす
ることにより、耐還元性が大きく改善されることが見出
され、このようにイオン濃度比を少しずらした組成をベ
ースに、種々改良がおこなわれてきた。
【0007】しかながら、このようにして耐還元性が改
善されても、従来の大気中で焼成して製造されるPdを
内部電極材とする積層型チップコンデンサに比較すれ
ば、絶縁抵抗の寿命が短く、信頼性が低いという問題が
ある。
善されても、従来の大気中で焼成して製造されるPdを
内部電極材とする積層型チップコンデンサに比較すれ
ば、絶縁抵抗の寿命が短く、信頼性が低いという問題が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低コ
ストのNiを主とする合金を内部電極材とする、積層型
チップセラミックコンデンサ、およびその製造方法の提
供にある。このコンデンサは、セラミック誘電体が必ず
しも耐還元性を必要とせず、従来のPdの内部電極使用
を前提とした絶縁抵抗の寿命が長く信頼性の高いセラミ
ックを用いることができるものである。
ストのNiを主とする合金を内部電極材とする、積層型
チップセラミックコンデンサ、およびその製造方法の提
供にある。このコンデンサは、セラミック誘電体が必ず
しも耐還元性を必要とせず、従来のPdの内部電極使用
を前提とした絶縁抵抗の寿命が長く信頼性の高いセラミ
ックを用いることができるものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】セラミック誘電体の積層
型コンデンサの焼成は、Pdを内部電極材とする場合、
空気など酸素を多く含む雰囲気中でおこなわれる。これ
に対し、Niを内部電極材に用いる場合、1250〜1400℃
の焼成温度でNiに対し十分還元性の雰囲気が選ばれ
る。耐還元性セラミックは、この還元性雰囲気における
焼成でも十分なコンデンサ特性が得られるものである
が、焼成後さらに1000〜1200℃にてNiに対しては酸化
性の雰囲気中で熱処理すれば、絶縁抵抗や誘電率などコ
ンデンサ用誘電体としての特性が、より一層向上するこ
とが知られている。
型コンデンサの焼成は、Pdを内部電極材とする場合、
空気など酸素を多く含む雰囲気中でおこなわれる。これ
に対し、Niを内部電極材に用いる場合、1250〜1400℃
の焼成温度でNiに対し十分還元性の雰囲気が選ばれ
る。耐還元性セラミックは、この還元性雰囲気における
焼成でも十分なコンデンサ特性が得られるものである
が、焼成後さらに1000〜1200℃にてNiに対しては酸化
性の雰囲気中で熱処理すれば、絶縁抵抗や誘電率などコ
ンデンサ用誘電体としての特性が、より一層向上するこ
とが知られている。
【0010】そこで、通常のPdを内部電極材とするセ
ラミック誘電体を用い、Niに対し還元性である雰囲気
にて焼成をおこなって焼結させ、その後、より低い温度
の酸化性雰囲気中で再熱処理をすることによる特性変化
を調査してみた。その結果、この耐還元性ではない通常
のセラミック誘電体において、後で酸化処理をおこなう
ことにより、ほとんどの場合はじめから酸化性雰囲気で
焼成したものとほぼ同等の性能が得られることがわかっ
た。
ラミック誘電体を用い、Niに対し還元性である雰囲気
にて焼成をおこなって焼結させ、その後、より低い温度
の酸化性雰囲気中で再熱処理をすることによる特性変化
を調査してみた。その結果、この耐還元性ではない通常
のセラミック誘電体において、後で酸化処理をおこなう
ことにより、ほとんどの場合はじめから酸化性雰囲気で
焼成したものとほぼ同等の性能が得られることがわかっ
た。
【0011】しかしながら、還元性雰囲気焼成後の酸化
処理は、耐還元性セラミックの場合に比較してより高温
かつ長時間おこなわなければ、十分な性能を得ることが
できない。したがってNiを内部電極材に用いようとす
れば、この酸化処理の際に酸化されてしまう。そこで、
低コストの電極材とする点から、Niをベースに種々の
元素を添加した耐酸化性のよい合金の検討を進めた結
果、Pdを添加した合金が好ましい結果を示すことがわ
かった。PdはNi中に全率固溶し、約60%の含有で融
点が1237℃まで低下するが、Niの持つ諸性質をほとん
ど損なわない。
処理は、耐還元性セラミックの場合に比較してより高温
かつ長時間おこなわなければ、十分な性能を得ることが
できない。したがってNiを内部電極材に用いようとす
れば、この酸化処理の際に酸化されてしまう。そこで、
低コストの電極材とする点から、Niをベースに種々の
元素を添加した耐酸化性のよい合金の検討を進めた結
果、Pdを添加した合金が好ましい結果を示すことがわ
かった。PdはNi中に全率固溶し、約60%の含有で融
点が1237℃まで低下するが、Niの持つ諸性質をほとん
ど損なわない。
【0012】NiにPdを含有させた導電材として、特
開平6-236707号公報にはPdの割合が10重量%以下であ
る導電ペーストの発明が提示されている。このペースト
は、積層セラミックコンデンサの外部電極に用いること
を目的とし、セラミックとの接合強度向上や、はんだ付
け性の向上を得ようとするものである。しかし、この組
成のペーストを内部電極材に使用してみた結果、酸化処
理時の内部電極の酸化は、十分には抑止することができ
ないことがわかった。
開平6-236707号公報にはPdの割合が10重量%以下であ
る導電ペーストの発明が提示されている。このペースト
は、積層セラミックコンデンサの外部電極に用いること
を目的とし、セラミックとの接合強度向上や、はんだ付
け性の向上を得ようとするものである。しかし、この組
成のペーストを内部電極材に使用してみた結果、酸化処
理時の内部電極の酸化は、十分には抑止することができ
ないことがわかった。
【0013】内部電極材としての、このNiへのPd含
有の効果についてさらに検討を進めたところ、その含有
量が増すほど酸化処理時の耐酸化性を向上させることは
わかったが、Pd量が増すと融点が低下し、焼成温度で
溶融してしまうので、その含有量には限界があった。そ
こでこれらの限界組成を詳細に調査の結果、セラミック
誘電体の一体化焼成の温度範囲に対し、この耐酸化性を
確保でき、しかも焼成温度以上に融点を維持できる組成
範囲のあることを見出したのである。
有の効果についてさらに検討を進めたところ、その含有
量が増すほど酸化処理時の耐酸化性を向上させることは
わかったが、Pd量が増すと融点が低下し、焼成温度で
溶融してしまうので、その含有量には限界があった。そ
こでこれらの限界組成を詳細に調査の結果、セラミック
誘電体の一体化焼成の温度範囲に対し、この耐酸化性を
確保でき、しかも焼成温度以上に融点を維持できる組成
範囲のあることを見出したのである。
【0014】このようにしてNiにPd添加した内部電
極材の組成と、セラミックの還元性雰囲気中焼成および
酸化処理の条件について種々検討し、その限界を明らか
にして本発明を完成させた。本発明の要旨は次の通りで
ある。 (1) 内部電極材が、10重量%超、20重量%以下のPdを
含有し、残部はNiおよび不可避的不純物からなる合金
であることを特徴とする積層型セラミックコンデンサ。 (2) Niに対し還元性の雰囲気にて1250〜1400℃で焼成
をおこなった後、Niに対しては酸化性の雰囲気にて10
50〜1250℃の温度範囲で酸化処理をおこなうことを特徴
とする上記(1)の積層型セラミックコンデンサの製造
法。
極材の組成と、セラミックの還元性雰囲気中焼成および
酸化処理の条件について種々検討し、その限界を明らか
にして本発明を完成させた。本発明の要旨は次の通りで
ある。 (1) 内部電極材が、10重量%超、20重量%以下のPdを
含有し、残部はNiおよび不可避的不純物からなる合金
であることを特徴とする積層型セラミックコンデンサ。 (2) Niに対し還元性の雰囲気にて1250〜1400℃で焼成
をおこなった後、Niに対しては酸化性の雰囲気にて10
50〜1250℃の温度範囲で酸化処理をおこなうことを特徴
とする上記(1)の積層型セラミックコンデンサの製造
法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の積層コンデンサに用いる
セラミック誘電体は、とくに耐還元性を有する組成は必
要とせず、通常のPdを内部電極とする場合に用いられ
るものでよい。また、耐還元性のセラミック誘電体であ
っても、その性能を損なうものではなく、十分に適用で
きる。
セラミック誘電体は、とくに耐還元性を有する組成は必
要とせず、通常のPdを内部電極とする場合に用いられ
るものでよい。また、耐還元性のセラミック誘電体であ
っても、その性能を損なうものではなく、十分に適用で
きる。
【0016】内部電極材は、10%超20%以下のPdを含
み残部が実質的にNiである合金とする。これは、Pd
の含有量が10%以下の場合、還元性雰囲気中の焼成によ
る焼結後、コンデンサ特性確保のため十分な酸化処理を
おこなうと、内部電極材が酸化され、電極としての機能
を消失してしまうからである。Pdは10%を超える量含
有させることにより、酸化処理時の耐酸化性は確保で
き、その量は多いほど有効である。しかし、Pdは含有
量が増すとNi−Pd合金の融点が低下し、一体化焼成
にて十分焼結させるための加熱温度でも溶融するように
なる。そこでPdの含有量は多くても20%までとする。
焼成温度が1330℃までの場合は、上記組成範囲で問題は
ないが、焼成温度が1350℃を超える場合は、Pdの含有
量を15%以下にすることが望ましい。
み残部が実質的にNiである合金とする。これは、Pd
の含有量が10%以下の場合、還元性雰囲気中の焼成によ
る焼結後、コンデンサ特性確保のため十分な酸化処理を
おこなうと、内部電極材が酸化され、電極としての機能
を消失してしまうからである。Pdは10%を超える量含
有させることにより、酸化処理時の耐酸化性は確保で
き、その量は多いほど有効である。しかし、Pdは含有
量が増すとNi−Pd合金の融点が低下し、一体化焼成
にて十分焼結させるための加熱温度でも溶融するように
なる。そこでPdの含有量は多くても20%までとする。
焼成温度が1330℃までの場合は、上記組成範囲で問題は
ないが、焼成温度が1350℃を超える場合は、Pdの含有
量を15%以下にすることが望ましい。
【0017】内部電極は、焼成により上記範囲の組成と
なる導電体ペーストを用い、セラミック誘電体のグリー
ンシートを作製後シート上に所定形状に印刷し、積層し
て成形しグリーンチップを得る。これらの製造は、通常
積層型セラミックコンデンサに用いられる方法に準じて
おこなえばよい。
なる導電体ペーストを用い、セラミック誘電体のグリー
ンシートを作製後シート上に所定形状に印刷し、積層し
て成形しグリーンチップを得る。これらの製造は、通常
積層型セラミックコンデンサに用いられる方法に準じて
おこなえばよい。
【0018】セラミック誘電体を十分焼結させ、積層コ
ンデンサとして一体化させるには、1250〜1400℃の温度
範囲でNiに対し還元性の雰囲気中にて焼成することが
望ましい。1250℃未満では、焼結が不十分になりがちで
あり、1400℃を超えると、内部電極材が溶融し、流失や
拡散消失するおそれがあるからである。このような高温
では、上記組成範囲のNi−Pd合金も酸化が進行する
ので、Niに対し還元性であるたとえば不活性ガス中酸
素分圧が10-7atm以下の雰囲気、(CO2)/(CO)の
分圧比が10-2以下である雰囲気、あるいは(H2O)/
(H2)の分圧比が10以下である雰囲気などとする必要
がある。
ンデンサとして一体化させるには、1250〜1400℃の温度
範囲でNiに対し還元性の雰囲気中にて焼成することが
望ましい。1250℃未満では、焼結が不十分になりがちで
あり、1400℃を超えると、内部電極材が溶融し、流失や
拡散消失するおそれがあるからである。このような高温
では、上記組成範囲のNi−Pd合金も酸化が進行する
ので、Niに対し還元性であるたとえば不活性ガス中酸
素分圧が10-7atm以下の雰囲気、(CO2)/(CO)の
分圧比が10-2以下である雰囲気、あるいは(H2O)/
(H2)の分圧比が10以下である雰囲気などとする必要
がある。
【0019】焼結後、酸化性雰囲気中にて1050〜1250℃
の温度範囲で酸化処理をおこなう。酸化性雰囲気とは、
この温度にてNiに対して酸化性であればよく、たとえ
ば不活性雰囲気中で酸素分圧が10-4atm以上、あるいは
水素と水分を含む雰囲気であれば(H2O)/(H2)の
分圧比が100以上あればよい。その場合、1050℃未満で
は焼成時のセラミックの還元による絶縁抵抗低下が十分
には回復せず、1250℃を超える温度では、生じたNiの
酸化物がセラミック中に拡散し、セラミックの誘電率を
低下させる。
の温度範囲で酸化処理をおこなう。酸化性雰囲気とは、
この温度にてNiに対して酸化性であればよく、たとえ
ば不活性雰囲気中で酸素分圧が10-4atm以上、あるいは
水素と水分を含む雰囲気であれば(H2O)/(H2)の
分圧比が100以上あればよい。その場合、1050℃未満で
は焼成時のセラミックの還元による絶縁抵抗低下が十分
には回復せず、1250℃を超える温度では、生じたNiの
酸化物がセラミック中に拡散し、セラミックの誘電率を
低下させる。
【0020】なお、これら焼結のための一体化焼成、お
よび酸化処理の加熱時間は、いずれも短すぎると十分な
効果が得られず、長くしてもその効果が飽和し、エネル
ギの無駄になるので、0.5〜5時間程度とするのがよい。
よび酸化処理の加熱時間は、いずれも短すぎると十分な
効果が得られず、長くしてもその効果が飽和し、エネル
ギの無駄になるので、0.5〜5時間程度とするのがよい。
【0021】
【実施例】表1にその原料配合比を示すセラミック誘電
体を用いた、温度補償用系または高誘電率系の積層セラ
ミックコンデンサを作製した。
体を用いた、温度補償用系または高誘電率系の積層セラ
ミックコンデンサを作製した。
【0022】
【表1】
【0023】この場合、セラミック原料を秤量し、ボー
ルミルで粉砕後、バインダーを加えて25μm厚のグリー
ンシートを成形し、これらのシートにPdを1.0〜30重
量%含有するNi−Pd合金の導電ペーストで電極を印
刷した。これを12枚積層して、長さ3.2mm、幅1.6mmのグ
リーンチップを作製した。これらチップを1350℃にて1
時間、30℃の水を潜らせた3%水素残部窒素の雰囲気中
にて焼成し、次いで900〜1300℃の温度範囲で、酸素1%
残部窒素の雰囲気中にて2時間加熱の酸化処理をおこな
った。焼成後のチップは、端面を研磨して外部接続用端
子となるAgの導電ペーストを塗布し、大気中850℃に
加熱して焼き付けた。得られたチップにて比誘電率、お
よび絶縁抵抗を測定し、さらに断面にて内部電極のデラ
ミネーションおよび酸化の有無を調査した。なお比較の
ため、おなじグリーンシートを用いPdを内部電極とし
て積層し、大気中にて1350℃にて2時間焼成をおこなっ
たコンデンサも作製した。
ルミルで粉砕後、バインダーを加えて25μm厚のグリー
ンシートを成形し、これらのシートにPdを1.0〜30重
量%含有するNi−Pd合金の導電ペーストで電極を印
刷した。これを12枚積層して、長さ3.2mm、幅1.6mmのグ
リーンチップを作製した。これらチップを1350℃にて1
時間、30℃の水を潜らせた3%水素残部窒素の雰囲気中
にて焼成し、次いで900〜1300℃の温度範囲で、酸素1%
残部窒素の雰囲気中にて2時間加熱の酸化処理をおこな
った。焼成後のチップは、端面を研磨して外部接続用端
子となるAgの導電ペーストを塗布し、大気中850℃に
加熱して焼き付けた。得られたチップにて比誘電率、お
よび絶縁抵抗を測定し、さらに断面にて内部電極のデラ
ミネーションおよび酸化の有無を調査した。なお比較の
ため、おなじグリーンシートを用いPdを内部電極とし
て積層し、大気中にて1350℃にて2時間焼成をおこなっ
たコンデンサも作製した。
【0024】表2に温度補償系コンデンサ、表3に高誘
電率系コンデンサの調査結果をそれぞれ示す。Pdの含
有量が本発明で定める範囲を下回る試番101〜110、また
は試201〜210の場合、いずれも電極層に酸化が認められ
た。しかし、電極材のPd量が本発明で定める範囲内で
あっても、製造の過程での酸化処理温度が1000℃以下の
十分高くない場合、還元雰囲気中での焼成の影響が残
り、絶縁抵抗が低く比誘電率が低い結果となる。また、
電極材の組成が本発明範囲であっても、酸化処理温度が
高すぎる1300℃の場合は、電極層が酸化しており、Ni
Oが拡散して比誘電率が低下したものと思われる。
電率系コンデンサの調査結果をそれぞれ示す。Pdの含
有量が本発明で定める範囲を下回る試番101〜110、また
は試201〜210の場合、いずれも電極層に酸化が認められ
た。しかし、電極材のPd量が本発明で定める範囲内で
あっても、製造の過程での酸化処理温度が1000℃以下の
十分高くない場合、還元雰囲気中での焼成の影響が残
り、絶縁抵抗が低く比誘電率が低い結果となる。また、
電極材の組成が本発明範囲であっても、酸化処理温度が
高すぎる1300℃の場合は、電極層が酸化しており、Ni
Oが拡散して比誘電率が低下したものと思われる。
【0025】電極材中のPdが本発明で定める範囲を超
えて、30%含まれる試番121〜125、または試番221〜225
ではデラミネーション、すなわち電極層の消失ないしは
痩せ細りが認められた。これはPd含有量が増し融点が
低下したため、1350℃の焼成の際に拡散や流出が生じた
ものと思われる。
えて、30%含まれる試番121〜125、または試番221〜225
ではデラミネーション、すなわち電極層の消失ないしは
痩せ細りが認められた。これはPd含有量が増し融点が
低下したため、1350℃の焼成の際に拡散や流出が生じた
ものと思われる。
【0026】試番126または試番226として、おなじセラ
ミック誘電体にて、Pdの内部電極材を用い、従来の空
気雰囲気中での焼成をおこなったコンデンサの例を示
す。Niを主成分にPdを添加した内部電極材を有し、
還元性雰囲気中焼成後、好ましい温度範囲で酸化処理を
おこなった本発明の場合、これらのPdを内部電極とす
る従来品の結果と比較して、同等ないしはそれ以上の性
能を有するコンデンサが得られていることがわかる。
ミック誘電体にて、Pdの内部電極材を用い、従来の空
気雰囲気中での焼成をおこなったコンデンサの例を示
す。Niを主成分にPdを添加した内部電極材を有し、
還元性雰囲気中焼成後、好ましい温度範囲で酸化処理を
おこなった本発明の場合、これらのPdを内部電極とす
る従来品の結果と比較して、同等ないしはそれ以上の性
能を有するコンデンサが得られていることがわかる。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】本発明の積層セラミックコンデンサは、
Pdが内部電極であることを前提にした通常のセラミッ
ク誘電体を用いたものであり、内部電極はNiを主とす
る合金である。これによって、Pdを内部電極とした従
来の絶縁抵抗の寿命が長く信頼性の高い積層セラミック
コンデンサを、より低コストで供給することができる。
Pdが内部電極であることを前提にした通常のセラミッ
ク誘電体を用いたものであり、内部電極はNiを主とす
る合金である。これによって、Pdを内部電極とした従
来の絶縁抵抗の寿命が長く信頼性の高い積層セラミック
コンデンサを、より低コストで供給することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天谷 稔 京都府京都市右京区西院溝崎町21番地ロー ム株式会社内 Fターム(参考) 5E001 AB03 AC03 AC09 AC10 AD03 AE00 AE02 AE03 AE04 AF06 AH01 AH05 AH08 AH09 AJ01 5E082 AA01 AB03 BC33 BC35 BC40 EE04 EE23 EE35 EE42 FG06 FG22 FG26 FG27 FG52 FG54 GG10 GG11 GG28 JJ03 JJ12 JJ23 LL01 LL02 MM24 PP03 PP06
Claims (2)
- 【請求項1】内部電極材が、10重量%超、20重量%以下
のPdを含有し、残部はNiおよび不可避的不純物から
なる合金であることを特徴とする積層型セラミックコン
デンサ。 - 【請求項2】Niに対し還元性の雰囲気にて、1250〜14
00℃で焼成をおこなった後、Niに対しては酸化性の雰
囲気にて1050〜1250℃の温度範囲で酸化処理をおこなう
ことを特徴とする請求項1に記載の積層型セラミックコ
ンデンサの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25537399A JP2001085263A (ja) | 1999-09-09 | 1999-09-09 | 卑金属を主成分とする内部電極を有する積層型セラミックコンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25537399A JP2001085263A (ja) | 1999-09-09 | 1999-09-09 | 卑金属を主成分とする内部電極を有する積層型セラミックコンデンサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001085263A true JP2001085263A (ja) | 2001-03-30 |
Family
ID=17277874
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25537399A Pending JP2001085263A (ja) | 1999-09-09 | 1999-09-09 | 卑金属を主成分とする内部電極を有する積層型セラミックコンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001085263A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1594146A1 (en) * | 2003-02-05 | 2005-11-09 | TDK Corporation | Electronic parts and method for manufacture thereof |
-
1999
- 1999-09-09 JP JP25537399A patent/JP2001085263A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1594146A1 (en) * | 2003-02-05 | 2005-11-09 | TDK Corporation | Electronic parts and method for manufacture thereof |
EP1594146A4 (en) * | 2003-02-05 | 2010-01-06 | Tdk Corp | ELECTRONIC PARTS AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME |
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