JP2001085025A - 炭素電極材集合体 - Google Patents

炭素電極材集合体

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JP2001085025A
JP2001085025A JP25660999A JP25660999A JP2001085025A JP 2001085025 A JP2001085025 A JP 2001085025A JP 25660999 A JP25660999 A JP 25660999A JP 25660999 A JP25660999 A JP 25660999A JP 2001085025 A JP2001085025 A JP 2001085025A
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carbon
carbon electrode
carbon atoms
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Makoto Inoue
誠 井上
Masanobu Kobayashi
真申 小林
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素質繊維の特性と不織布の物性を改善し
て、レドックスフロー電池のセル抵抗を低減してエネル
ギー効率を高めることができ、かつ長期間にわたって炭
素電極材の接触抵抗を低く維持できる炭素電極材集合体
を提供する。 【解決手段】 水溶液系電解液によるレドックスフロー
電池に使用され、炭素質繊維の不織布よりなる炭素電極
材集合体において、 前記炭素質繊維は、XPS表面分
析より求めた下記(a)、(b)の要件を同時に満たす
と共に、前記不織布は、嵩密度が0. 05〜0. 17g
/cm3 であることを特徴とする炭素電極材集合体。
(a)表面酸性官能基量が全表面炭素原子数の0.2〜
2.0%である。(b)表面中性炭素原子数が全表面炭
素原子数の80〜95%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶液系電解液に
よるレドックスフロー電池に使用され、炭素質繊維の不
織布よりなる炭素電極材集合体に関するものであり、特
に、バナジウム系レドックスフロー電池に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、電極は電池の性能を左右する
ものとして重点的に開発されている。電極には、それ自
体が活物質とならず、活物質の電気化学的反応を促進さ
せる反応場として働くタイプのものがあり、このタイプ
には導電性や耐薬品性などから炭素材料がよく用いられ
る。特に電力貯蔵用に開発が盛んなレドックスフロー電
池の電極には、耐薬品性があり、導電性を有し、かつ通
液性のある炭素質繊維の不織布等が用いられている。
【0003】レドックスフロー電池は、正極に鉄の塩酸
水溶液、負極にクロムの塩酸水溶液を用いたタイプか
ら、起電力の高いバナジウムの硫酸水溶液を両極に用い
るタイプに替わり、高エネルギー密度化されたが、最近
さらに活物質濃度を高める開発が進み、一段と高エネル
ギー密度化が進んでいる。
【0004】レドックスフロー型電池の主な構成は、図
1に示すように電解液を貯える外部タンク6,7と電解
槽ECからなり、ポンプ8,9にて活物質を含む電解液
を外部タンク6,7から電解槽ECに送りながら、電解
槽ECに組み込まれた電極上で電気化学的なエネルギー
変換、すなわち充放電が行われる。
【0005】一般に、充放電の際には、電解液を外部タ
ンクと電解槽との間で循環させるため、電解槽は図1に
示すような液流通型構造をとる。該液流通型電解槽を単
セルと称し、これを最小単位として単独もしくは多段積
層して用いられる。液流通型電解槽における電気化学反
応は、電極表面で起こる不均一相反応であるため、一般
的には二次元的な電解反応場を伴うことになる。電解反
応場が二次元的であると、電解槽の単位体積当たりの反
応量が小さいという難点がある。
【0006】そこで、単位面積当りの反応量、すなわち
電流密度を増すために電気化学反応場の三次元化が行わ
れるようになった。図2は、三次元電極を有する液流通
型電解槽の分解斜視図である。該電解槽では、相対する
二枚の集電板1,1間にイオン交換膜3が配設され、イ
オン交換膜3の両側にスペーサ2によって集電板1,1
の内面に沿った電解液の流路4a,4bが形成されてい
る。該流通路4a,4bの少なくとも一方には炭素質繊
維の不織布等よりなる電極材5が配設されており、この
ようにして三次元電極が構成されている。なお、集電板
1には、電解液の液流入口10と液流出口11とが設け
られている。
【0007】正極電解液にオキシ硫酸バナジウム、負極
電解液に硫酸バナジウムの各々硫酸酸性水溶液を用いた
レドックスフロー型電池の場合、放電時には、V2+を含
む電解液が負極側の液流路4aに供給され、正極側の流
路4bにはV5+(実際には酸素を含むイオン)を含む電
解液が供給される。負極側の流路4aでは、三次元電極
5内でV2+が電子を放出しV3+に酸化される。放出され
た電子は外部回路を通って正極側の三次元電極内でV5+
をV4+(実際には酸素を含むイオン)に還元する。この
酸化還元反応に伴って負極電解液中のSO4 2-が不足
し、正極電解液ではSO4 2-が過剰になるため、イオン
交換膜3を通ってSO4 2-が正極側から負極側に移動し
電荷バランスが保たれる。あるいは、H+ がイオン交換
膜を通って負極側から正極側へ移動することによっても
電荷バランスを保つことができる。充電時には放電と逆
の反応が進行する。
【0008】バナジウム系レドックスフロー電池用電極
材の特性としては、特に以下に示す性能が要求される。
【0009】1)目的とする反応以外の副反応を起こさな
いこと(反応選択性が高いこと)、具体的には電流効率
(ηI )が高いこと。 2)電極反応活性が高いこと、具体的にはセル抵抗(R)
が小さいこと。すなわち電圧効率(ηV )が高いこと。 3)上記1)、2)に関連する電池エネルギー効率(ηE )が
高いこと。 ηE =ηI ×ηV 4)くりかえし使用に対する劣化が小さいこと(高寿
命)、具体的には電池エネルギー効率(ηE )の低下量
が小さいこと。
【0010】そして、セル抵抗(R)に関しては、炭素
質繊維集合体等の電極材と集電板との接触抵抗、及び電
極材を構成する炭素質繊維間の接触抵抗が寄与する割合
が大きく、これらの接触抵抗やその経時変化が、電池エ
ネルギー効率やその経時変化に及ぼす影響は大きい。
【0011】一方、特開昭60−232669号公報に
は、X線広角解析より求めた<002>面間隔が、平均
3.70Å以下であり、またc軸方向の結晶子の大きさ
が平均9.0Å以上の擬黒鉛微結晶を有し、かつ全酸性
官能基量が少なくとも0.01meq/gである炭素質
材料をレドックスフロー電池の電解槽用電極材として用
いることが提案されている。
【0012】また、特開平5−234612号公報に
は、ポリアクリロニトリル系繊維を原料とする炭素質繊
維で、X線広角解析より求めた<002>面間隔が3.
50〜3.60Åの擬黒鉛結晶構造を有し、炭素質材料
表面の結合酸素原子数が炭素原子数の10〜25%とな
るような炭素質材料をレドックスフロー電池の電解槽用
電極材として用いることが提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
60−232669号公報、特開平5−234612号
公報では、炭素質材料表面と電解液との間に有効な濡れ
性を発現させるために、全酸性官能基量が0.01me
q/g以上か、あるいはX線広角解析より求めた<00
2>面間隔が3.50以上、かつ炭素質材料表面の結合
酸素原子数が炭素原子数の10%以上必要であったの
で、炭素電極材表面の官能基が多すぎて、上記の如き接
触抵抗が高くなり、その結果、セル抵抗が高くなり高い
電池エネルギー効率が得られないことが判明した。
【0014】また、特開平8−287938号公報等に
は、炭素電極材を2層構造にして、集電板(バイポーラ
板)側の炭素電極材に、表面の結合酸素原子数が炭素原
子数の4%以下の炭素質繊維を用いる点が開示されてい
る。しかし、この集電板側の電極材は、酸化還元反応
(電極反応)に直接寄与しないことが公報に明記されて
おり、また、このように結合酸素原子数が少ないもので
は、炭素質繊維の曲げ強度が低くなり、セル装着時に繊
維が破壊されて必要な圧縮応力を維持できず、単繊維等
の接触の圧接力が低下して、上記接触抵抗が経時的に上
昇することが判明した。
【0015】一方、炭素質材料表面と集電板との接触抵
抗や電解槽内を流通する電解液の通液圧損は、炭素質材
料で構成される不織布(集合体)の物性によっても変化
するため、炭素質材料の特性の改善だけでは、接触抵抗
と通液圧損を十分小さくするのが容易ではなかった。ま
た、当該不織布の物性は炭素質材料の製法や物性、及び
不織布の製法等により変化するため、炭素質材料の物性
等に応じて不織布の製法を最適化する必要があった。
【0016】そこで、本発明の目的は、かかる事情に鑑
み、炭素質繊維の特性と不織布の物性を共に改善するこ
とで、レドックスフロー電池のセル抵抗を低減するとと
もに電解槽内における電解液の流通をスムーズに進行さ
せることでエネルギー効率を高めることができ、かつ長
期間にわたって炭素電極材の接触抵抗を低く維持できる
炭素電極材集合体を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究したところ、炭素電極材の表面酸
性官能基量、及び表面中性炭素原子数を所定の範囲に制
御した炭素質繊維にて不織布を構成し、その嵩密度を特
定の範囲とすることで、上記目的を達成できることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0018】即ち、本発明の炭素電極材集合体は、水溶
液系電解液によるレドックスフロー電池に使用され、炭
素質繊維の不織布よりなる炭素電極材集合体において、
前記炭素質繊維は、XPS表面分析より求めた下記
(a)、(b)の要件を同時に満たすと共に、前記不織
布は、嵩密度が0. 05〜0. 17g/cm3 %である
ことを特徴とする。(a)表面酸性官能基量が全表面炭
素原子数の0.2〜2.0%である。(b)表面中性炭
素原子数が全表面炭素原子数の80〜95%である。
【0019】上記(a)の要件を満たすことにより、炭
素電極材集合体を構成する炭素質繊維等の曲げ強度を良
好にしてセル装着時の圧縮応力(換言すると集電板との
圧接力)を長期間にわたり維持しつつ、酸性官能基等の
存在による接触抵抗の増大を防止することができる。ま
た、上記(b)の要件を満たすことにより、炭素電極材
集合体を構成する炭素質繊維等の曲げ強度を良好にして
セル装着時の圧縮応力を長期間にわたり維持しつつ、酸
性官能基以外の官能基量を低く抑えて炭素電極材表面の
接触抵抗を低減することができる。その結果、本発明の
炭素電極材集合体によると、炭素電極材表面の接触抵抗
を低減し、かつ長期間にわたって炭素電極材の接触抵抗
を低く維持でき、これにより、電池等のエネルギー効率
を長期間にわたり高く維持することができる。更に、不
織布の嵩密度を上記範囲にすることで、集電板との接触
性を良好にして接触抵抗を小さくするとともに、電解槽
内における電解液の流通をスムーズに進行させることが
できる。その結果、レドックスフロー電池のセル抵抗を
低減してエネルギー効率を高めることができる。
【0020】また、本発明の炭素電極材集合体は、バナ
ジウム系レドックスフロー電池に用いられることが好ま
しい。バナジウム系のレドックスフロー電池では、鉄−
クロム系電解液に比べ活物質と電極材表面の反応速度が
速く、電極材の接触抵抗は電極材との反応にともなう抵
抗(反応抵抗)に比べて相対的に高くなる傾向にある。
したがって電極材を構成する繊維間や集電板に対する電
極材表面の接触抵抗が特に問題となりやすいので、上記
作用効果を有する本発明の炭素電極材が特に有用なもの
となる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の炭素電極材集合体は炭素
質繊維からなり、取扱いや加工性、製造性等の点から炭
素質繊維の不織布が使用される。当該不織布は、焼成
(炭化)前の不融化あるいは耐炎化された短繊維を開繊
し、カードにかけ、幾層かに重ねられたレイヤーからな
るウェブをまず作成し、さらにニードルパンチ法、サー
マルボンド法、ステッチボンド法等の公知の方法を組み
合わせて、好適に作製される。
【0022】不織布の目付量は、100〜1000g/
2 が好ましく、、特に200〜600g/m2 が望ま
しい。また片面に凹溝加工が施された不織布が通液性の
点から好んで用いられる。その場合の溝幅、溝深さは少
なくとも0.3mm、特に0.5mm以上が望ましい。
該炭素質繊維不織布の厚みは、上記充填状態の厚みより
少なくとも大きいこと、好ましくは充填状態の厚みの
1.2〜3.3倍程度である。また、圧縮応力が高いと
膜を突き破ってしまうので不織布の圧縮応力を1kgf
/cm2 以下に設計するのが好ましい。
【0023】なお、上記の炭素質繊維の平均繊維径は5
〜20μm程度が好ましく、平均長さは30〜100m
m程度が好ましい。
【0024】炭素質繊維不織布は、電池の中に圧接され
て組み込まれ、その薄い隙間を粘度の高い電解液が流れ
るため、脱落を防止して形態保持するためには引張強度
を0.1kg/cm以上にすることが望ましい。また集
電板との接触抵抗を良くするために、隔膜、集電板に挟
まれた充填層の密度を0.05g/cm3 以上に、電極
面に対する反発力を0.1kgf/cm2 以上にするこ
とが好ましい。
【0025】さらに本発明の炭素質繊維は、表面酸性官
能基量が全表面炭素原子数の0.2〜2.0%である
が、好ましくは表面酸性官能基量が0.2〜1.2%、
より好ましくは0.3〜1.0%である。表面酸性官能
基量が0.2%未満の場合には、電極材を構成する短繊
維等の曲げ強度が低くなり、セル装着により繊維等が破
壊され必要な圧縮応力を維持しきれず、短繊維等の接触
の圧接力が低下して、接触抵抗が経時的に上昇する。ま
た炭素電極材の濡れ性が低下して電解液の流路が確保さ
れず通液性が悪化する。一方、2.0%より大きい場
合、官能基の存在が大きく影響し、電極材を構成する繊
維間接触および繊維−集電板間の導電性が阻害され好ま
しくない。また炭素電極材の濡れ性が高すぎて電解液の
保持性が高くなり流れにくくなる。なお、上記の表面酸
性官能基量とは、含酸素官能基のうち硝酸銀処理によっ
て銀イオン置換されうる水酸基やカルボキシル基の量を
意味し、XPS表面分析によって検出される表面銀イオ
ン量の表面炭素原子数に対する割合として表すものであ
る。
【0026】また、本発明の炭素質繊維は、表面中性炭
素原子数が全表面炭素原子数の80〜95%であり、好
ましくは表面中性炭素原子数が81〜93%、より好ま
しくは82〜91%である。表面中性炭素原子数が80
%未満の場合、炭素と結合している各種官能基が多く、
電極材の繊維間接触や繊維−集電板間の導電性が阻害さ
れ、接触抵抗が高くなる。さらに各種官能基中に非酸性
官能基が多く存在すると、経時的に酸性官能基の働きを
阻害して、繊維間接触や繊維−集電板間の導電性が阻害
され、経時的な抵抗変化率が大きくなる。また95%よ
り大きいと繊維の曲げ強度が低くなり、セル装着により
繊維が破壊され必要な圧縮応力を維持しきれず、接触抵
抗が経時的に上昇するため好ましくない。表面中性炭素
原子数の全表面炭素原子数に対する割合は、XPS表面
分析より測定されるC1sピーク分離により求められ
る。
【0027】こうした表面特性を有する本発明の炭素質
繊維は、緊張下200〜300℃の初期空気酸化を経た
ポリアクリロニトリル、窒素原子を付加した等方性ピッ
チ、メソフェーズピッチ、セルロースやフェノールなど
窒素原子を持たない材料に窒素を付加したもの、ポリパ
ラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)などを
原料にして、不活性雰囲気下1000〜l800℃で焼
成(炭化)した擬黒鉛結晶構造を有する炭素材料を、所
定の酸素濃度で乾式酸化処理した後、水素ガス等の存在
下によって官能基を一部還元することによって、好適に
得ることができる。
【0028】上記において、炭化温度は原料により結晶
性が異なるので温度には限定されず、原料に応じて最適
化するのが好ましい。乾式酸化については公知の方法で
よいが、材料の機械的強度を考慮すると酸化後の重量収
率にして90〜96%に調整することが望ましい。さら
に、その後の還元処理は、乾式酸化処理によって生成し
た不要な非酸性基を還元して導電性を向上させるもので
あるが、還元をあまり進めると本来必要な酸性基をも還
元してしまうので注意が必要である。還元方法は水素ガ
スを用いて高温で反応させたり、水素ガス下でのプラズ
マ(水素プラズマ)を用いたり、還元剤を用いたりする
ことで行われるが、その具体的な方法は特に限定され
ず、各方法に応じて適宜最適化を行えばよい。
【0029】上記の如き製造方法において、上記原料は
所定の炭化温度の範囲内で焼成されることにより、適度
な導電性を有する擬黒鉛結晶構造が形成され、また、炭
化後の表面処理において形成された含酸素官能基を、更
に水素等による還元処理によって還元することで、非酸
性基が少なく適度の酸性基を形成させることができる。
これにより繊維間接触や繊維−集電板間の導電性が良好
でかつ安定した接触性が保たれる。なお、本発明におけ
る表面酸性官能基量及び表面中性炭素原子数は、上記の
酸化処理と還元処理の種類や程度によって、主に調整す
ることができる。
【0030】本発明における炭素質繊維不織布は、嵩密
度が0. 05〜0. 17g/cm 3 であるが、好ましく
は、嵩密度が0.055〜0.165g/cm3 %であ
る。嵩密度が0. 05g/cm3 未満の場合、通液圧損
は減少傾向にあるものの、セル装着時の圧縮応力が少な
くなりセルの抵抗が上昇する。一方、嵩密度が0.17
g/cm3 を越える場合は、通液圧損が上昇し、送液ポ
ンプロスが上昇して、電池の総合効率が低下する。
【0031】このような炭素質繊維不織布の嵩密度に係
わる特性は、上述した炭素の結晶構造と表面酸性官能基
を持つことが前提となるが、たとえば、 前段階でニー
ドルパンチ法を採用する場合には、前記所定の嵩密度を
得るために不織布化時のニードルパンチ用針の特性や針
密度、針深度、押さえギャップなどのニードルパンチ法
における不織布化条件を適正化する必要がある。原綿と
して初期空気酸化されたポリアクリロニトリル(繊維直
径16μm、繊維長80mm)を用い、ニードルパンチ
用針としてバーブ間隔l.3mmの三角針(Foste
rHDB)40番を用いた場合、針密度が278本/平
方インチ以上、深度4〜8mm、押さえギャップは4m
m以下であることが好ましい。
【0032】さらにニードルパンチ法で実現できない様
な高密度にするには熱プレスを行ったりバインダーの存
在下で熱圧着する事によって達成される。一般に、不織
布化における嵩密度を向上するためにはニードルパンチ
針の密度を高くする手段が採用されるが、熱プレスやバ
インダーを用いた熱圧着を行う場合は不織布の形態が保
持される程度の針密度でニードルパンチを行いその後熱
プレスやバインダーを用いた熱圧着を行う方が好まし
い。熱プレスを行う場合には各繊維の性質によって温度
・圧力を調整する必要があるが、通常、プレス温度10
0〜240℃、カレンダーロールによる線圧として6〜
60kg/cmで行うのが好ましい。また、バインダー
を用いる場合には、種類としてアクリル系、でんぷんの
り、ポリビニルアルコール系、エポキシ樹脂系、酢酸ビ
ニル系、フェノール樹脂系の各種のものを特に制限なく
使用できるが、炭化後も炭化して接着性を保持させるた
めにはフェノール樹脂系バインダーを用いることが最も
好ましい。さらにバインダーの不織布への添加方法とし
ては、原綿の開織後混綿工程で添加する方法、水や有機
溶媒などに溶解または分散させ不織布に添着し乾燥する
方法、粉末バインダーを大気分散させ不織布表面に付着
させる方法などがあるが、これらの方法は特に限定され
ず、各素材に適した条件で実施することが望ましい。
【0033】次に、本発明において採用される不織布の
嵩密度、XPS表面分析、通液圧損、集電板との初期接
触抵抗、100サイクル後の接触抵抗の各測定法につい
て説明する。
【0034】1.嵩密度 嵩密度(g/cm3 )=炭素繊維質不織布の目付け(g
/m2 )/厚み(mm)/1000。
【0035】2.XPS表面分析 ESCAあるいはXPSと略称されているX線光電子分
光法の測定に用いた装置は島津ESCA750で、解析
にはESCAPAC760を用いる。各試料を硝酸銀の
アセトン溶液に浸漬し、酸性官能基のプロトンを完全に
銀置換し、アセトン及び水でそれぞれ洗浄後、6mm径
に打ち抜き、導電性ぺーストにより加熱式試料台に貼り
付け、分析に供する。予め、測定前に試料を120℃に
加熱し、3時間以上真空脱気する。線源にはMgKα線
(1253.6eV)を用い、装置内真空度は10-7
orrとする。
【0036】測定はC1s、Ag3dのピークに対して
行い、各ピークをESCAPAC760(J,H.Sc
ofieldによる補正法に基づく)を用いて補正解析
し、各ピーク面積を求める。得られた面積にC1sにつ
いては1.00、Ag3dについては10.68の相対
強度を乗じたものの比が原子数比であり、全表面炭素原
子数に対する表面酸性官能基量は(表面銀原子数/表面
炭素原子数)比を百分率(%)で算出する。
【0037】次に、C1sピークに対して、ピーク形状
が各構造におけるケミカルシフト値に一致するように分
離し、中性炭素のピークの面積を決定し、全表面炭素に
対する面積比を百分率(%)で算出する。
【0038】なお、各構造における炭素ピークのケミカ
ルシフト値は文献(A.Ishitani,Carbo
n,19,269(1981))を参考にした。図3に
は、測定されるC1sピークをその結合構造別に分離し
た例を示す。
【0039】3.通液圧損 液流通型電解槽と同じ形状で通液方向に20cm、幅方
向(流路幅)10cm、1. 2mmのスペーサーで形成
された液流通型電解槽を用意し、作成された電極材(炭
素繊維質不織布)を10cm角に切て設置する。液量5
リットル/時のイオン交換水を流通させ、電解槽の出入
口の通液圧力損失を測定する。ブランクとして電極材を
設置しない系で同様に測定し、測定値とブランク測定値
との差を電極材の通液圧力損失とする。
【0040】4. 初期接触抵抗 サンプルを1cm×10cmの大きさにカットし、厚さ
1.2mmのテフロン製スペーサーを用いて厚み方向か
ら2枚の導電板でサンプルを所定のスペーサー厚みにな
るまで圧縮し、導電板の両端の抵抗をデジタルマルチメ
ータ(アドバンテスト製TR6846)を用いて測定す
る。
【0041】5.100サイクル後の接触抵抗 上下方向(通液方向)に10cm、幅方向に1cmの電
極面積10cm2 を有する小型のセルを作り、定電流密
度で100サイクルの充放電を繰り返し、終了後正極に
用いていたサンプルをよく水洗し、乾燥した後、初期接
触抵抗を測定する要領で接触抵抗を測定する。
【0042】なお、充放電試験には正極電解液に2mo
l/lのオキシ硫酸バナジウムの2mol/l硫酸水溶
液を用い、負極電解液には2mol/lの硫酸バナジウ
ムの2mol/l硫酸水溶液を用いる。電解液量はセ
ル、配管に対して大過剰とし、液流量は毎分62mlと
し、30℃で行う。
【0043】本発明の炭素電極材集合体は、水溶液系電
解液を使用するレドックスフロー電池に用いられるもの
である。当該レドックスフロー電池は、前述のように、
例えば間隙を介した状態で対向して配設された一対の集
電板間に隔膜が配設され、該集電板と隔膜との間に少な
くとも一方に電極材が圧接挟持され、電極材は活物質を
含んだ水溶液からなる電解液を含んだ構造を有する電解
槽を備える。
【0044】水溶液系電解液としては、前述の如きバナ
ジウム系電解液の他、鉄−クロム系、チタン−マンガン
系、マンガン−クロム系、クロム−クロム系、鉄−チタ
ン系などが挙げられるが、バナジウム系電解液が好まし
い。本発明の炭素電極材集合体は、特に、粘度が25℃
にて0.005Pa・s以上であるバナジウム系電解
液、あるいは1.5mol/l以上のバナジウムイオン
を含むバナジウム系電解液を使用するレドックスフロー
電池に用いるのが有用である。
【0045】
【実施例】以下、本発明の構成及び効果を具体的に示
す、実施例等について説明する。
【0046】(実施例1)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度278本/平方インチ、深度8mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.6mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれぞ
れ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化
を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率9
3%になるまで処理した。さらに15vol%の水素ガ
スを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度600
℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち放冷
し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0047】(実施例2)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度470本/平方インチ、深度8mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.3mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれぞ
れ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化
を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率9
3%になるまで処理した。さらに15vol%の水素ガ
スを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度600
℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち放冷
し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0048】(実施例3)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度748本/平方インチ、深度8mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.0mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれぞ
れ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化
を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率9
3%になるまで処理した。さらに15vol%の水素ガ
スを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度600
℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち放冷
し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0049】(実施例4)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度748本/平方インチ、深度8mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.0mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を180℃、線圧60kg/cmのカレンダーロ
ールに通し厚み3.6mmに圧縮した。該不織布を窒素
気流下で100℃/分の昇温速度でそれぞれ1200℃
まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行つて冷却
し、続いて空気中700℃にて重量収率93%になるま
で処理した。さらに15vol%の水素ガスを含むアル
ゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度600℃/時で昇温
し700℃で5 分間均熱処理したのち放冷し還元形炭素
質繊維不織布を得た。
【0050】(実施例5)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度146本/平方インチ、深度4mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み5.2mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を240℃、線圧60kg/cmのカレンダーロ
ールに通し厚み3.1mmに圧縮した。該不織布を窒素
気流下で100℃/分の昇温速度でそれぞれ1200℃
まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行つて冷却
し、続いて空気中700℃にて重量収率93%になるま
で処理した。さらに15vol%の水素ガスを含むアル
ゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度600℃/時で昇温
し700℃で5 分間均熱処理したのち放冷し還元形炭素
質繊維不織布を得た。
【0051】(実施例6)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これにフェノール系樹脂粉末(商品名ベ
ルパールS890,鐘紡(株)製)を耐炎化繊維重量に
対して、0.5重量%を加えて混合し、フォスター社製
HDB40番の針、針密度146本/平方インチ、深度
4mm、押さえギャップ4mmの条件で不織布化し、目
付量400g/m2 、厚み5.2mmの不織布を作成し
た。次いで、該不織布を180℃、線圧60kg/cm
のカレンダーロールに通し厚み2.4mmに圧縮した。
該不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれ
ぞれ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭
化を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率
93%になるまで処理した。さらに15vol%の水素
ガスを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度60
0℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち放
冷し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0052】(実施例7)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これにフェノール系樹脂粉末(商品名ベ
ルパールS890,鐘紡(株)製)を耐炎化繊維重量に
対して、0.5重量%を加えて混合し、フォスター社製
HDB40番の針、針密度146本/平方インチ、深度
4mm、押さえギャップ4mmの条件で不織布化し、目
付量400g/m2 、厚み5.2mmの不織布を作成し
た。次いで、該不織布を200℃、線圧60kg/cm
のカレンダーロールに通し厚み2.0mmに圧縮した。
該不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれ
ぞれ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭
化を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率
93%になるまで処理した。さらに15vol%の水素
ガスを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度60
0℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち放
冷し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0053】(実施例8)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これにフェノール系樹脂粉末(商品名ベ
ルパールS890,鐘紡(株)製)を耐炎化繊維重量に
対して、0.5重量%を加えて混合し、フォスター社製
HDB40番の針、針密度146本/平方インチ、深度
4mm、押さえギャップ4mmの条件で不織布化し、目
付量400g/m2 、厚み5.2mmの不織布を作成し
た。次いで、該不織布を220℃、線圧60kg/cm
のカレンダーロールに通し厚み1.5mmに圧縮した。
該不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれ
ぞれ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭
化を行つて冷却し、続いて空気中窒素気流下で700℃
にて重量収率93%になるまで処理した。さらに15v
ol%の水素ガスを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し
昇温速度600℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処
理したのち放冷し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0054】(比較例1)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度146本/平方インチ、深度4mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み5.2mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれぞ
れ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化
を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率9
3%になるまで処理した。さらに15vol%の水素ガ
スを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度600
℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち放冷
し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0055】(比較例2)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これにフェノール系樹脂粉末(商品名ベ
ルパールS890,鐘紡(株)製)を耐炎化繊維重量に
対して、0.5重量%を加えて混合し、フォスター社製
HDB40番の針、針密度146本/平方インチ、深度
4mm、押さえギャップ4mmの条件で不織布化し、目
付量400g/m2 、厚み5.2mmの不織布を作成し
た。次いで、該不織布を240℃、線圧60kg/cm
のカレンダーロールに通し厚み1.5mmに圧縮した。
該不織布を窒素気流下で100℃/分の昇温速度でそれ
ぞれ1200℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭
化を行つて冷却し、続いて空気中700℃にて重量収率
93%になるまで処理した。。さらに15vol%の水
素ガスを含むアルゴンガス雰囲気炉に投入し昇温速度6
00℃/時で昇温し700℃で5 分間均熱処理したのち
放冷し還元形炭素質繊維不織布を得た。
【0056】(比較例3)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度748本/平方インチ、深度4mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.2mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を240℃、線圧60kg/cmのカレンダーロ
ールに通し厚み3.1mmに圧縮した。該不織布を窒素
ガス中で100℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温
し、この温度で1時間保持し炭化を行つて冷却し、続い
て空気中で700℃にて重量収率93%になるまで処理
し炭素質繊維不織布を得た。
【0057】(比較例4)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度748本/平方インチ、深度4mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.2mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を240℃、線圧60kg/cmのカレンダーロ
ールに通し厚み3.1mmに圧縮した。該不織布を窒素
ガス中で100℃/分の昇温速度で1400℃まで昇温
し、この温度で1時間保持し炭化を行つて冷却し、続い
て空気中で550℃にて重量収率93%になるまで処理
し炭素質繊維不織布を得た。
【0058】(比較例5)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度748本/平方インチ、深度4mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.2mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を240℃、線圧60kg/cmのカレンダーロ
ールに通し厚み3.1mmに圧縮した。該不織布を窒素
ガス中で100℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温
し、この温度で1時間保持し炭化を行つて冷却し、続い
て空気中で700℃にて重量収率98%になるまで処理
し炭素質繊維不織布を得た。
【0059】(比較例6)平均繊維径16μmのポリア
クリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化
した後、長さ約80mmにカットし、耐炎化繊維の短繊
維を作成した。これを、フォスター社製HDB40番の
針、針密度748本/平方インチ、深度4mm、押さえ
ギャップ4mmの条件で不織布化し、目付量400g/
2 、厚み4.2mmの不織布を作成した。次いで、該
不織布を240℃、線圧60kg/cmのカレンダーロ
ールに通し厚み3.1mmに圧縮した。該不織布を窒素
ガス中で100℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温
し、この温度で1時間保持し炭化を行つて冷却し、続い
て酸素濃度0.5vol%の窒素ガス雰囲気下で空気中
で700℃にて重量収率93%になるまで処理し炭素質
繊維不織布を得た。
【0060】以上の実施例、比較例で得られた炭素質繊
維不織布の嵩密度、XPS表面分析、通液圧損、集電板
との初期接触抵抗、100サイクル後の接触抵抗を、製
造条件と共に表1に示す。
【表1】 表1の結果から明らかなように、実施例1〜8の炭素質
繊維不織布は、通液圧損、集電板との接触抵抗の低減を
図ることが可能となり、セル抵抗を低く抑えて電圧効率
が高めることができ、電池エネルギー効率を高めること
ができる。さらに充放電サイクルの経時変化による電極
材の接触性の低下を低減することができ、電圧効率の長
期安定化に寄与することが出来る。このことは特にバナ
ジウム系レドックスフロー電池にとって効果的である。
【0061】これに対し、不織布の嵩密度が本発明の範
囲より小さい比較例1では通液圧損は良好なものの、集
電板との接触抵抗が大きく、一方、不織布の嵩密度が本
発明の範囲より大きい比較例2では、集電板との接触抵
抗は良好なものの通液圧損が大きく、電圧効率とエネル
ギー効率のうえで好ましくない。また、炭素質繊維の特
性が適当でない比較例3〜6では、集電板との接触抵抗
が大きく、電圧効率とエネルギー効率のうえで好ましく
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】バナジウム系レドックスフロー電池の概略図
【図2】三次元電極を有するバナジウム系レドックスフ
ロー電池の電解槽の分解斜図
【図3】XPS表面分析で測定されるC1sピークの結
合構造別分離図の一例
【符号の説明】
1 集電板 2 スペーサ 3 イオン交換膜 4a,4b 通液路 5 電極材 6 外部液タンク(正極側) 7 外部液タンク(負極側) 8,9 ポンプ 10 液流入口 11 液流出口

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶液系電解液によるレドックスフロー
    電池に使用され、炭素質繊維の不織布よりなる炭素電極
    材集合体において、 前記炭素質繊維は、XPS表面分析より求めた下記
    (a)、(b)の要件を同時に満たすと共に、 前記不織布は、嵩密度が0. 05〜0. 17g/cm3
    であることを特徴とする炭素電極材集合体。 (a)表面酸性官能基量が全表面炭素原子数の0.2〜
    2.0%である。 (b)表面中性炭素原子数が全表面炭素原子数の80〜
    95%である。
  2. 【請求項2】 前記電解槽がバナジウム系レドックスフ
    ロー電池の電解槽である請求項1記載の炭素電極材集合
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015122231A (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 住友電気工業株式会社 レドックスフロー電池
WO2019167283A1 (ja) 2018-03-02 2019-09-06 住友電気工業株式会社 レドックスフロー電池用電極、レドックスフロー電池セル及びレドックスフロー電池
JP2020035732A (ja) * 2018-08-24 2020-03-05 旭化成株式会社 レドックスフロー電池用電極

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