JP2001080401A - 車両用リクライニングシートのチャイルドシートアンカー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シートバックの後傾時における快適性の低
下、ならびに外観品質の低下等を防止可能とする。 【構成】 チャイルドシートアンカー12の少なくとも上
部を被装可能なカバー部材14が、リクライニング用ヒン
ジピン34との平行位置に配置、軸支されたサポートロッ
ド42に、一体的に回動可能に連結、支持されている。そ
して、このサポートロッド42を、連動ギヤ手段44を介し
てリクライニング用ヒンジピン34-2に連動可能に連結す
ることによって、カバー部材14を、シートバック16の揺
動に連動してその逆方向に回動可能とし、シートバック
の後傾に伴うその回動のもとで、このカバー部材を、シ
ートクッション後面側の退避位置からチャイルドシート
アンカー12の上部の被装位置に回動可能としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、車両用リクライ
ニングシートのシートクッションに載置した別体のチャ
イルドシートを取付可能に、当該シートクッションに装
備された車両用リクライニングシートのチャイルドシー
トアンカー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用シートとは別体に形成された一般
的なチャイルドシートは、通常、車両用シートのシート
クッションへの載置、および車両用シートに対する連結
等のもとで使用される。

【０００３】そして、チャイルドシートを車両用シート
に取り付ける構成として、車両用シートのシートベルト
を利用する一般的な構成のほかに、たとえば、シートク
ッション後端部に設けたチャイルドシートアンカー（ス
トライカとも称する）にチャイルドシート側のフック手
段を係合させる構成が知られている。

【０００４】車両用シートのシートクッションに設けら
れるチャイルドシートアンカーは、通常、シートクッシ
ョンの後端部に規定された切欠き状部に、固定的に配設
されている。そして、このチャイルドシートアンカーの
配設位置は、通常、起立状態のシートバックにその上下
方向でほぼ整列する位置にあり、この起立位置のシート
バックによって、チャイルドシートアンカーの外観的な
露出は十分に抑制されるため、シートの外観品質、およ
び着座時の快適性等が、これによっていずれも確保可能
となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、リクライニ
ング装置を有する車両用シート、つまり車両用リクライ
ニングシートにおいては、通常、シートバックを大きく
後傾させることが可能となっている。

【０００６】ここで、上述したように、公知のチャイル
ドシートアンカーは、起立状態のシートバックとの整列
位置でシートクッションの後端部に固定的に配設されて
いるにすぎないため、シートバックがその起立位置から
排除されると、このチャイルドシートアンカーは、必然
的に外観上に露出されることになる。つまり、この公知
のチャイルドシートアンカーをリクライニングシートに
単純に適用した場合においては、シートバックを大きく
後傾させた際のチャイルドシートアンカーの外観上での
露出が避けられなくなるため、露出したチャイルドシー
トアンカーによる外観品質の低下等の可能性が、比較的
容易に考えられる。

【０００７】また、シートバックを起立位置から排除す
ると、チャイルドシートアンカーは、シートクッション
の切欠き状部内でシートクッションの座面付近に固定的
に残されることになるため、シートバックを大きく後傾
させた状態で着座する場合には、このチャイルドシート
アンカーとの接触による快適性の低下も考えられる。

【０００８】従って、チャイルドシートアンカーをリク
ライニングシートに装備するにあたっては、これらの改
善が必要課題となってくる。

【０００９】この発明は、シートバックの後傾時におけ
る快適性の低下、ならびに外観品質の低下等を防止可能
とした車両用リクライニングシートのチャイルドシート
アンカー構造の提供を目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明によれば、チャイルドシートアンカーの少
なくとも上部を被装可能なカバー部材が、リクライニン
グ用ヒンジピンとの平行位置に配置、軸支されたサポー
トロッドに、一体的に回動可能に連結、支持されてい
る。そして、このサポートロッドを、連動ギヤ手段を介
してリクライニング用ヒンジピンに連動可能に連結する
ことによって、カバー部材を、シートバックの揺動に連
動してその逆方向に回動可能とし、シートバックの後傾
に伴うその回動のもとで、このカバー部材を、シートク
ッション後面側の退避位置からチャイルドシートアンカ
ー上部の被装位置に回動可能としている。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。

【００１２】図１、図２に示すように、この発明に係る
車両用リクライニングシートのチャイルドシートアンカ
ー構造10においては、チャイルドシートアンカー12の少
なくとも上部を被装可能なカバー部材14が、シートバッ
ク16の前後揺動に連動して、その逆方向に回動するよう
に構成されている。

【００１３】図１に加えて図３を見るとわかるように、
シートクッション20の後端部とシートバック16の下端部
とを、たとえば一側部のリクライニング装置22と他側部
のヒンジ手段24とを介して連結することにより、シート
バックを前後方向に揺動可能とする車両用、たとえば自
動車用のリクライニングシート26は形成される。

【００１４】シートクッション側に固定されるリクライ
ニング装置22のユニットベース28、およびヒンジ手段24
のベースプレート30は、たとえば、シートクッションフ
レーム等の固定部材32に固定される。そして、リクライ
ニング装置22、およびヒンジ手段24のヒンジピン、つま
りリクライニング用ヒンジピン34(34-1,34-2)を中心と
した回動アーム36,38の回動のもとで、シートクッショ
ン20に対するシートバック16の前後揺動が可能となって
いる。

【００１５】なお、この発明の実施の形態においては、
リクライニング用ヒンジピン34(34-1,34-2)が、それぞ
れの回動アーム36,38と一体的に設けられている。つま
り、回動アーム36,38の回動、ひいてはシートバック16
の揺動に伴って、リクライニング用ヒンジピン34(34-1,
34-2)はユニットベース28、およびベースプレート30に
対して回動可能となっている。

【００１６】そして、図１に示すように、少なくとも上
面の開放された切欠き状部40が、シートクッション20の
後端部に予め規定され、たとえば固定部材（シートクッ
ションフレーム）32に基端の固定されたチャイルドシー
トアンカー12が、この切欠き状部内に配設されている。

【００１７】なお、車両用リクライニングシート26の構
成は公知であり、この構成自体はこの発明の趣旨でない
ため、この車両用リクライニングシートに対する詳細な
説明は、ここでは省略する。

【００１８】シートクッションの切欠き状部40に配設さ
れたチャイルドシートアンカー12は、シートクッション
20への載置により使用されるチャイルドシートのフック
手段（いずれも図示しない）の係合されるものであり、
通常は、シートクッションの左右方向に離反した２ヶ所
に配置されている（図３参照）。

【００１９】ここで、図１、図３に示すように、この発
明においては、チャイルドシートアンカー12の上部を被
装可能に形成されたカバー部材14が、リクライニング用
ヒンジピン34(34-1,34-2)との、たとえば下方の平行位
置に配置、軸支されたサポートロッド42に、一体的に回
動可能に連結、支持されている。そして、このサポート
ロッド42を、連動ギヤ手段44を介してリクライニング用
ヒンジピン34(34-1,34-2)の少なくともいずれかに連動
可能に連結することによって、カバー部材14を、シート
バック16の揺動に連動してその逆方向に回動可能として
いる。

【００２０】カバー部材14は、たとえば、支持アーム46
の自由端に一体的に設けられた支持プレート48をベース
としたクッション体として形成され、支持アームの基端
をサポートロッド42の対応個所、つまりチャイルドシー
トアンカー12にカバー部材を整列可能とする位置に一体
的に固着することによって、カバー部材はサポートロッ
ドに連結、固定されている。

【００２１】また、連動ギヤ手段44は、相互に噛合可能
な一対の外歯車44-1,44-2の組み合わせからなる、回動
方向の変換機能を有した形態として形成され、この一対
の外歯車は、リクライニング用ヒンジピン34(34-1,34-
2)、たとえばヒンジ手段のヒンジピン34-2と、サポート
ロッド42の対応箇所とに、それぞれ一体的に回動可能に
固着されている。

【００２２】この発明においては、カバー部材14が、少
なくとも、図１に示す、シートクッション20の後面側に
位置する退避位置と、図２に示す、チャイルドシートア
ンカー12の上部を覆う被装位置との間を回動可能に形成
され、その回動方向は、シートバック16の揺動方向に対
する逆方向として規定されている。そして、図１に示す
その退避位置が、シートバック16の起立位置におけるカ
バー部材14の位置として、また、図２に示すその被装位
置が、シートバックの後傾位置におけるカバー部材の位
置として、それぞれ規定、設定されている。

【００２３】たとえば、図１に示すシートバック16の起
立位置を、車両用リクライニングシート26の初期状態と
仮定する。この初期状態、つまりシートバック16の起立
状態においては、シートバックとチャイルドシートアン
カー12とが、その上下方向でほぼ整列されるとともに、
カバー部材14が、シートクッション後面側の退避位置に
保持されている。

【００２４】そして、この初期状態から、シートバック
16を後傾させると、時計方向へのリクライニング用ヒン
ジピン34-2の回動力が、反時計方向への回動力として、
連動ギヤ手段44を介してサポートロッド42に伝達、変換
されるため、このサポートロッドの回動によって、カバ
ー部材14は退避位置から被装位置方向に回動される。

【００２５】このように、カバー部材14が、シートバッ
ク16の後傾に連動してその逆方向に回動すると、図３に
示すように、シートバックの後傾位置で、チャイルドシ
ートアンカー12の上部はこのカバー部材によって被装さ
れる。つまり、シートバック16を後傾した際には、チャ
イルドシートアンカー12の上部が、被装位置に回動、配
置されたカバー部材14によって被装されるため、このシ
ートバックの後傾時におけるチャイルドシートアンカー
の外観上の露出は、これによって確実に防止される。

【００２６】従って、車両用リクライニングシート26全
体の外観品質の低下が、このカバー部材14によるチャイ
ルドシートアンカー12の被装のもとで確実に防止され
る。

【００２７】そして、チャイルドシートアンカー12の上
部にカバー部材14を配置して被装することにより、チャ
イルドシートアンカーを着座者から確実に隔離できるた
め、接触等に起因する快適性の低下も、これによって確
実に防止される。

【００２８】つまり、起立位置からシートバック16を排
除可能とする車両用リクライニングシート26へのチャイ
ルドシートアンカー12の適用が、この発明によれば容易
に可能となる。

【００２９】ここで、この発明の実施の形態において
は、サポートロッド42をリクライニング装置のユニット
ベース28とヒンジ手段のベースプレート30との間に架
設、軸支しているが、サポートロッドは、リクライニン
グ用ヒンジピン34(34-1,34-2)との平行位置に配置、軸
支されれば足りるため、これに限定されず、たとえば、
シートクッション20の後端部の左右離間位置に配置した
一対の専用ブラケット等によって、サポートロッドを軸
支する構成としてもよい。

【００３０】しかしながら、この実施の形態のように、
サポートロッド42の軸支に、リクライニング装置のユニ
ットベース28、およびヒンジ手段のベースプレート30を
利用すれば、部品点数が削減でき、構成の簡素化が容易
にはかられる。

【００３１】また、この発明の実施の形態においては、
カバー部材14をクッション体として具体化しているが、
チャイルドシートアンカー12の上部を被装可能とすれば
足りるため、これに限定されず、たとえば樹脂プレート
等から、カバー部材を形成してもよい。

【００３２】しかしながら、この実施の形態のように、
カバー部材14をクッション体として形成すれば、シート
バック後傾時の着座の際に着座者の身体の一部がこのカ
バー部材に接触しても、その接触は、着座者に不快感を
与えない弾性接触となるため、着座時の快適性が、これ
によって一層向上される。

【００３３】更に、この発明の実施の形態においては、
ヒンジ手段のリクライニング用ヒンジピン34-2に連動ギ
ヤ手段44を設けている。しかし、これに限定されず、リ
クライニング装置のリクライニング用ヒンジピン34-1が
回動アーム36と一体的に回動可能であれば、このリクラ
イニング装置のリクライニング用ヒンジピン34-1に、連
動ギヤ手段44を設けてもよい。

【００３４】なお、この発明の実施の形態においては、
車両用リクライニングシートを自動車用のリクライニン
グシートとして具体化しているが、自動車に限定され
ず、たとえば、電車、飛行機、船舶等の他の車両用リク
ライニングシートに、この発明を応用してもよい。

【００３５】上述した実施の形態は、この発明を説明す
るためのものであり、この発明を何等限定するものでな
く、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたも
のも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。

【００３６】

【発明の効果】上記のように、この発明に係る車両用リ
クライニングシート用のチャイルドシートアンカー構造
によれば、シートバックの揺動に連動したカバー部材の
回動のもとで、チャイルドシートアンカーの上部をこの
カバー部材により被装可能としているため、シートバッ
クを所定の起立位置から排除した状態における、シート
クッション座面付近でのチャイルドシートアンカーの外
観上での露出が確実に防止でき、これによって、シート
バック後傾時における着座時の快適性、およびシートの
外観品質は改善される。

【００３７】従って、起立位置からシートバックを排除
可能とする車両用リクライニングシートへのチャイルド
シートアンカーの適用が、この発明によれば容易に可能
となる。

【００３８】そして、サポートロッドの軸支に、リクラ
イニング装置のユニットベース、およびヒンジ手段のベ
ースプレートを利用すれば、部品点数が削減でき、構成
の簡素化が容易にはかられる。

【００３９】また、カバー部材をクッション体として形
成すれば、シートバック後傾時の着座の際に着座者の身
体の一部がこのカバー部材に接触しても、その接触は、
着座者に不快感を与えない弾性接触となるため、着座時
の快適性が、これによって一層向上される。

【図面の簡単な説明】

【図１】シートバックの起立位置における、この発明に
係る車両用リクライニングシートのチャイルドシートア
ンカー構造の概略縦断面図である。

【図２】シートバックの後傾位置における、車両用リク
ライニングシートのチャイルドシートアンカー構造の概
略縦断面図である。

【図３】車両用リクライニングシートのチャイルドシー
トアンカー構造の、一部破断の概略斜視図である。

【符号の説明】

10 車両用リクライニングシートのチャイルドシートア
ンカー構造 12 チャイルドシートアンカー 14 カバー部材 16 シートバック 20 シートクッション 34(34-1,34-2) リクライニング用ヒンジ 42 サポートロッド 44 連動ギヤ手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションに載置されたチャイル
   ドシートのフック手段を係合可能に、対応するチャイル
   ドシートアンカーが、所定の固定部材に対する基端の固
   定のもとで、シートクッション後端部の切欠き状部に配
   設されるとともに、このシートクッション後端部に、シ
   ートバックが、所定のリクライニング用ヒンジピンを介
   して前後揺動可能に連結された車両用リクライニングシ
   ートであり、 チャイルドシートアンカーの少なくとも上部を被装可能
   なカバー部材が、リクライニング用ヒンジピンとの平行
   位置に配置、軸支されたサポートロッドに、一体的に回
   動可能に連結、支持され、 このサポートロッドを、連動ギヤ手段を介してリクライ
   ニング用ヒンジピンに連動可能に連結することによっ
   て、カバー部材を、シートバックの揺動に連動してその
   逆方向に回動可能とし、シートバックの後傾に伴うその
   回動のもとで、このカバー部材を、シートクッション後
   面側の退避位置からチャイルドシートアンカー上部の被
   装位置に回動可能とした車両用リクライニングシートの
   チャイルドシートアンカー構造。
2. 【請求項２】 サポートロッドが、シートクッションの
   左右の離間位置に配置されたリクライニング装置のユニ
   ットベースと、ヒンジ手段のベースプレートとの間に架
   設、軸支された請求項１記載の車両用リクライニングシ
   ートのチャイルドシートアンカー構造。
3. 【請求項３】 カバー部材が、支持アームの自由端に一
   体的に設けられた支持プレートをベースとしたクッショ
   ン体として形成され、この支持アームの基端をサポート
   ロッドに一体的に固着することによって、サポートロッ
   ドに連結、固定された請求項１または２記載の車両用リ
   クライニングシートのチャイルドシートアンカー構造。