JP2001080051A - 印刷装置のインク供給機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク供給ロールとドクターロールとのギャ
ップ調整を正確にする。 【解決手段】 インク通過性の円筒状の周壁を有し、そ
の周壁外周面に孔版原紙が巻装された版胴１６の内側に
回転自在に支持された中押しロール４７を設け、中押し
ロール４７にドクターロール５１を近接して設け、中押
しロール４７及びドクターロール５１の互いに近接する
側の外周面のスペースにインク５３を供給し、中押しロ
ール４７の外周面に付着するインク５３をドクターロー
ル５１とのギャップを通して規制することによって中押
しロール４７の外周面に付着するインク量を制御し、中
押しロール４７を介しての周壁内周面にインクを供給す
る印刷装置において、ドクターロール５１の外周面の中
押しロール４７に近接対向する側を平面部５１ｂとし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インク供給ロール
を用いてインクを印刷版側に供給する印刷装置のインク
供給機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７は従来の印刷装置の印刷部の一部構
成図、図８はそのインク供給機構を示す断面図である。
図７及び図８において、印刷装置の印刷部は版胴１００
及び紙胴１０１を有し、版胴１００及び紙胴１０１は互
いの外周面の一部を略近接させた状態でそれぞれ回転自
在に設けられている。版胴１００は、互いに対向して設
けられた一対の円筒状のフランジ（図示せず）を有し、
そのフランジの外周面の一部には孔版原紙１０４の先端
をクランプする原紙クランプ部１００ａが設けられてい
る。原紙クランプ部１００ａ以外の版胴１００のフラン
ジの外周面には版胴１００の周壁を形成する可撓性のス
クリーン１０２が張設されることにより円筒状の周壁を
形成し、この周壁を形成するスクリーン１０２はインク
１０３を通過可能に構成されている。

【０００３】又、この版胴１００の周壁を形成するスク
リーン１０２の内側にはインク供給機構１０５が設けら
れている。インク供給機構１０５はインク供給ロールで
ある中押しロール１０６を有し、この中押しロール１０
６はロール支持部材１０７に回転自在に設けられてい
る。中押しロール１０６は、ロール支持部材１０７が図
８のａ矢印方向に付勢されてスクリーン１０２の内周面
に押圧状態となる押圧位置と、又、ロール支持部材１０
７が図８のｂ矢印方向に回転されてスクリーン１０２の
内周面から離間する待機位置との間で変移可能に構成さ
れている。中押しロール１０６は、印刷時には押圧位置
とされ、印刷時以外では待機位置とされる。つまり、中
押しロール１０６は印刷圧をスクリーン１９の内周側か
ら作用する機能をも有する。

【０００４】又、ロール支持部材１０７は支持軸１０８
を中心として回動自在に支持され、このロール支持部材
１０７にはドクターロール１０９及び駆動ロッド１１０
がそれぞれ設けられている。ドクターロール１０９は円
柱状を有し、中押しロール１０６の近接位置でロール支
持部材１０７に固定されている。駆動ロッド１１０はロ
ール支持部材１０７に回転自在に支持され、中押しロー
ル１０６及びドクターロール１０９の互いに近接する側
の外周面で構成される上方スペースに配置されている。
この上方スペースには図示しないインク供給部よりイン
ク１０３が供給される。

【０００５】次に、印刷の概略動作を順に説明する。孔
版原紙１０４の所定箇所に孔を形成して製版し、この製
版された孔版原紙１０４の先端を版胴１００の原紙クラ
ンプ部１００ａにてクランプして版胴１００の周壁を形
成するスクリーン１０２の外周面に付着させる。次に、
図７にて矢印で示す方向に版胴１００及び紙胴１０１を
同期して回転させる。又、印刷時には、中押しロール１
０６がスクリーン１０２を押圧し、この押圧状態で中押
しロール１０６は版胴１００に追従して回転する。中押
しロール１０６の外周面には下記に詳しく説明するよう
にインク供給機構１０５によってインク１０３が供給さ
れているため、この回転によってスクリーン１０２の内
周面にはインク１０３が転移される。又、中押しロール
１０６の押圧力でスクリーン１０２が外周側に膨出し、
スクリーン１０２は紙胴１０１に圧接状態とされてい
る。

【０００６】このような状態にあって、図７に示すよう
に、印刷用紙１１１が版胴１００と紙胴１０１の間に搬
送され、この印刷用紙１１１は版胴１００と紙胴１０１
の回転によって引き続き搬送される。

【０００７】そして、版胴１００と紙胴１０１との間に
搬送される印刷用紙１１１は中押しロール１０６と紙胴
１０１との間でスクリーン１０２及び孔版原紙１０４と
共に圧接されながら搬送される。この圧接力によってス
クリーン１０２側のインク１０３が孔版原紙１０４の穿
孔部より印刷用紙１１１側に転移され、孔版原紙１０４
の製版画像に応じた印刷がなされる。

【０００８】次に、インク供給機構１０５の動作を説明
する。インク供給部よりインク１０３が上方スペースに
供給されると、このインク１０３は駆動ロッド１１０に
よって攪拌され、且つ、この攪拌されたインク１０３の
内で中押しロール１０６の外周面に付着するインク１０
３はその粘着性により中押しロール１０６の回転で共に
回転しようとする。そして、ドクターロール１０９との
ギャップを通過できないものは中押しロール１０６の外
周面から離脱され、ギャップを通過できたものだけが中
押しロール１０６の外周面に付着しつづけることにな
る。つまり、このドクターロール１０９とのギャップを
通ることによって中押しロール１０６には常に所定量の
インク１０３のみが付着することになる。この中押しロ
ール１０６に付着したインク１０３は、中押しロール１
０６がスクリーン１０２の内周面に当接された状態にあ
るとスクリーン１０２側に転移される。

【０００９】上記動作過程で説明したように、中押しロ
ール１０６に付着するインク量はドクターロール１０９
とのギャップ量Ｄによって決定され、ギャップ量Ｄが所
定寸法より大きかったり、小さかったりすると印刷用紙
１１１へのインク１０３の転移量が適正でなくなり、良
好な印刷ができないことになる。そして、従来の構成で
は中押しロール１０６とドクターロール１０９とのギャ
ップ量Ｄは、次のようにして調整される。

【００１０】図９に示すように、中押しロール１０６と
ドクターロール１０９との中心（図示せず）、Ｏ１を結
ぶ線を基準線Ｌ１とすると、この基準線Ｌ１に直交する
線上に例えばレーザ測距手段１１２を配置する。レーザ
測距手段１１２はレーザ発光部１１２ａとレーザ受光部
１１２ｂとから成り、レーザ発光部１１２ａから発射し
たレーザ光の内でギャップを通過したレーザ光をレーザ
受光部１１２ｂで受光し、この受光エリアを解析してギ
ャップ寸法を算出する。そして、このギャップ寸法が所
定量Ｄになるようドクターロール１０９を基準線Ｌ１の
方向に移動し、所定量Ｄとなる位置でドクターロール１
０９をロール支持部材１０７に固定するものである。

【００１１】ここで、中押しロール１０６とドクターロ
ール１０９との外周面は共に円周面であるため、中押し
ロール１０６の回転中心（図示せず）とドクターロール
１０９の中心Ｏ１とを結ぶ基準線Ｌ１と各外周面とが交
わる点をＳ点、Ｔ点とすると、このＳ点とＴ点との間が
ギャップとなる場合には正確なギャップ調整が可能であ
る。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図９に
て仮想線で示すように、各部材の寸法誤差等が原因でド
クターロール１０９の位置が基準線Ｌ１に対して直交す
る方向にシフトする場合がある。すると、レーザ測距手
段１１２により測定するギャップ寸法はＳ点とＴ´点と
の投影ギャップ寸法となり、実際のギャップ寸法と異な
り、正確なギャップ調整ができないという問題がある。

【００１３】そこで、本発明は、前記した課題を解決す
べくなされたものであり、組立時にインク供給ロールと
ドクターロールとのギャップ調整が正確にできる印刷装
置のインク供給機構を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、回転
自在に設けられたインク供給ロールにドクターロールを
近接して設け、前記インク供給ロール及び前記ドクター
ロールの互いに近接する側の外周面で構成される上方ス
ペースにインクを供給し、この供給されたインクの内で
前記インク供給ロールの外周面に付着するインクを前記
インク供給ロールの回転で前記ドクターロールとのギャ
ップを通して規制することによって前記インク供給ロー
ルの外周面に付着するインク量を制御する印刷装置のイ
ンク供給機構において、前記ドクターロール外周面の前
記インク供給ロールに近接対向する側を平面部としたこ
とを特徴とする。

【００１５】この印刷装置のインク供給機構では、イン
ク供給ロールとドクターロールとの中心を結ぶ線を基準
線とすると、この基準線に略直交する線上に測距手段を
配置してギャップを測定する場合にあって、ドクターロ
ールの位置が基準線に対して直交する方向にシフトして
もドクターロールのインク供給ロールに近接対向する面
が平面部であることから測距手段による測定ギャップ寸
法が実際のギャップ寸法となる。

【００１６】請求項２の発明は、インク通過性の円筒状
の周壁を有し、その周壁外周面に孔版原紙が巻装された
版胴の内側に回転自在に支持されたインク供給ロールを
設け、このインク供給ロールにドクターロールを近接し
て設け、前記インク供給ロール及び前記ドクターロール
の互いに近接する側の外周面で構成されるスペースにイ
ンクを供給し、この供給されたインクの内で前記インク
供給ロールの外周面に付着するインクを前記インク供給
ロールの回転で前記ドクターロールとのギャップを通し
て規制することによって前記インク供給ロールの外周面
に付着するインク量を制御し、このインク付着量を制御
されたインクを前記インク供給ロールを介して前記周壁
の内周面に供給し、前記版胴と近接して設けられたロー
ル体との間に印刷媒体を挟持搬送することにより押圧式
に孔版印刷を行う印刷装置において、前記ドクターロー
ルの外周面の前記インク供給ロールに近接対向する側を
平面部としたことを特徴とする。

【００１７】この印刷装置のインク供給機構では、版胴
の内側に配置されたインク供給ロールを介して版胴の内
周面にインキを供給する印刷装置にあって、請求項１の
発明と同様な作用が得られる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。

【００１９】図１〜図６は本発明の一実施形態を示し、
図１は印刷装置である孔版印刷装置の概略構成図、図２
はインナープレス機構の構成を示す断面図、図３はイン
ク供給機構の構成を示す断面図、図４はインク供給機構
等の斜視図、図５はインク供給機構のドクターロールの
組立てを説明するための分解斜視図、図６は中押しロー
ルとドクターロールとのギャップ調整が正確にできるこ
とを説明する図である。

【００２０】図１において、孔版印刷装置１は、原稿読
取部（図示せず）と製版部３と印刷部４と給紙部５と排
紙部６と排版部７とから主に構成されている。

【００２１】原稿読取部（図示せず）は原稿を電気信号
として読み取る。この読み取った情報は所定の指令（拡
大、縮小等）に基づいて加工可能に構成されている。

【００２２】製版部３は、ロールされた長尺状原紙１０
を収容する原紙収容部１１と、原紙収容部１１に対し長
尺状原紙１０の搬送方向の下流に配置されたサーマルヘ
ッド１２と、このサーマルヘッド１２の対向位置に配置
され、ライトパルスモータ（図示せず）の駆動力により
回転するプラテンローラ１３と、プラテンローラ１３及
びサーマルヘッド１２に対し長尺状原紙１０の搬送方向
の下流に配置され、ライトパルスモータ（図示せず）の
駆動力により回転する一対の原紙送りローラ１４と、一
対の原紙送りローラ１４と前記プラテンローラ１３及び
サーマルヘッド１２との間に配置された原紙カッタ（図
示せず）とを有する。

【００２３】印刷部４は、前記従来例と同様に版胴１６
及び紙胴１７を有し、版胴１６は所定の間隙を持って互
いに対向して設けられた一対の円筒状のフランジ（図示
せず）を有し、そのフランジの外周面の一部には原紙ク
ランプ部１８が設けられ、この原紙クランプ部１８で孔
版原紙１５の先端をクランプできる。原紙クランプ部１
８以外の版胴１６の一対のフランジの外周面には円筒状
の周壁を形成する可撓性のスクリーン１９が張設されて
いる。このスクリーン１９は少なくとも印刷領域におい
て印刷圧の作用時にインク５３を通過可能に構成されて
いる。版胴１６のスクリーン１９の内部にはインナープ
レス機構２０及びインク供給機構Ａが設けられ、このイ
ンナープレス機構２０及びインク供給機構Ａの構成は、
下記に詳述する。又、紙胴１７の外周面の所定箇所には
用紙クランプ部２１が設けられ、この用紙クランプ部２
１で印刷媒体である印刷用紙２２の先端をクランプでき
る。

【００２４】給紙部５は、印刷媒体である印刷用紙２２
が積層される給紙台２３と、この給紙台２３から最上位
置の印刷用紙２２に圧接するスクレーパ２４と、このス
クレーパ２４の下流に配置され、且つ、互いに略近接状
態で位置するピックアップロール２５及びサバキロール
２６と、このピックアップロール２５及びサバキロール
２６の下流に配置され、且つ、互いに略近接状態で位置
するガイドロール２７及びタイミングロール２８とを有
する。スクレーパ２４の回転によって移動された印刷用
紙２２はピックアップロール２５及びサバキロール２６
で最上位置の印刷用紙２２のみの搬送が許容され、この
搬送許容された１枚の印刷用紙２２は、ガイドロール２
７及びタイミングロール２８の回転によって紙胴１７の
回転に同期して搬送される。

【００２５】排紙部６は、印刷が完了した印刷用紙２２
の先端をガイドする上方規制ガイド部３０と、紙胴１７
から剥離されない印刷用紙２２を剥ぎ取る用紙剥取り爪
３２と、上方規制ガイド部３０でガイドされ、又は、用
紙剥取り爪３２で剥ぎ取られた印刷用紙２２を搬送する
用紙搬送機構３３と、この用紙搬送機構３３によって搬
送されて来た印刷用紙２２を積層状態で載置するスタッ
カ部３４とを有する。

【００２６】排版部７は、版胴１６の原紙クランプ部１
８より解除された孔版原紙１５の先端を導く排版誘導ベ
ルト３５と、この排版誘導ベルト３５より導かれた孔版
原紙１５を版胴１６より引き剥がしながら搬送する一対
の排版搬送ベルト３６と、この一対の排版搬送ベルト３
６によって搬送されて来る孔版原紙１５を収納する排版
ボックス３７とを有する。

【００２７】図２〜図４において、インナープレス機構
２０はロール支持部材４０を有し、このロール支持部材
４０は支持軸４１を中心として固定部材（図示せず）に
回動自在に支持されている。ロール支持部材４０には歯
部４２が設けられ、この歯部４２にはアーム部４３の歯
部４４が噛み合っている。アーム部４３は中心軸４３ａ
を支点として回動自在に支持されており、アーム部４３
が図２の時計方向に回動すると、ロール支持部材４０が
反時計方向に回動して下記する中押しロール４７が版胴
１６の周壁を形成しているスクリーン１９を外周側に押
圧する押圧位置（図２に示す状態）に位置し、アーム部
４３が図２の反時計方向に回動するとロール支持部材４
０が時計方向に回動して中押しロール４７がスクリーン
１９より内側に退出する待機位置に位置する。

【００２８】前記支持軸４１には歯車４５が回転自在に
支持され、この歯車４５は版胴１６の内周ギア部４６に
噛み合っている。ロール支持部材４０には中押しロール
４７が回転自在に支持され、この中押しロール４７の両
端には第１歯車４８及びコロ部材４９がそれぞれ固定さ
れている。第１歯車４８は支持軸４１の歯車４５に噛み
合っており、中押しロール４７は版胴１６の回転に同期
して回転される。又、コロ部材４９は中押しロール４７
の待機位置では版胴１６のフランジカム面５０に離間す
る位置に位置され、押圧位置では版胴１６のフランジカ
ム面５０に近接又は圧接する位置に位置され、圧接する
位置ではフランジカム面５０に沿って中押しロール４７
が上下動される。つまり、フランジカム面５０は、その
回転中心からの径が大径寸法範囲、小径寸法範囲及びこ
れらを連続させる傾斜寸法範囲とから成る。そして、原
紙クランプ部１８の箇所では回転中心からの径が小径寸
法範囲に構成され、中押しロール４７が原紙クランプ部
１８に干渉しないようになっていると共に中押しロール
４７のスクリーン１９への押圧開始位置及び押圧解除位
置が所定の位置になるよう設定されている。

【００２９】インク供給機構Ａは、前記した中押しロー
ル４７がインク供給ロールとして構成され、中押しロー
ル４７は印刷圧をスクリーン１９の内周側から作用させ
る機能とインク５３をスクリーン１９内周面に供給する
機能とを有する。そして、ロール支持部材４０にはドク
ターロール５１及び駆動ロッド５２がそれぞれ設けられ
ている。ドクターロール５１は中押しロール４７の近接
位置でロール支持部材４０に固定されており、ドクター
ロール５１の構造及び固定手段については下記する。

【００３０】駆動ロッド５２はロール支持部材４０に回
転自在に支持され、中押しロール４７及びドクターロー
ル５１の互いに近接する側の外周面で構成される上方ス
ペースに配置されている。この上方スペースには図示し
ないインク供給部よりインク５３が供給される。駆動ロ
ッド５２の一端には歯車５４が固定され、この歯車５４
が中押しロール４７の第２歯車（図示せず）に噛み合っ
ている。第２歯車（図示せず）は中押しロール４７の軸
にワンウェイクラッチ（図示せず）を介して支持され、
駆動ロッド５２は前記した中押しロール４７と同様に版
胴１６の回転に同期して回転される。

【００３１】次に、上記ドクターロール５１の構造及び
固定手段について説明する。図５に示すように、ドクタ
ーロール５１は基本的に円柱形状を有するが、ロール支
持部材４０に取付けする側が平面部５１ａとして、又、
中押しロール４７に近接対向する側が平面部５１ｂとし
て構成されている。つまり、２カ所に平面部５１ａ、５
１ｂを有し、この双方の平面部５１ａ、５１ｂは互いに
直交する方向に設定されている。

【００３２】ドクターロール５１の取付け側の平面部５
１ａの左右両側にはネジ穴５６及びカムピン挿入穴５７
がそれぞれ設けられている。ロール支持部材４０の取付
け側の左右両側には長穴５８及びカム部材装着穴５９が
それぞれ設けられている。長穴５８はドクターロール５
１の中心軸に直交する方向に長手方向を有し、長穴５８
に挿入したネジ６０を穴内で移動することによってドク
ターロール５１を中押しロール４７に対してギャップ量
調整可能に構成されている。カム部材装着穴５９にはカ
ム支持枠体６１を介してカム円板部材６２が装着可能に
構成され、このカム円板部材６２の偏芯カムピン６２ａ
がドクターロール５１のカムピン挿入穴５７に挿入され
る。この偏芯カムピン６２ａはカム円板部材６２の回転
中心に対して偏芯位置に固定されており、カム円板部材
６２を回転することによってドクターロール５１を中押
しロール４７に対して微小位置調整可能に構成されてい
る。

【００３３】次に、上記孔版印刷装置１の動作を簡単に
説明する。製版部３では、プラテンローラ１３と原紙送
りローラ１４の回転により長尺状原紙１０を搬送し、原
稿読取部（図示せず）で読取った画像情報に基づきサー
マルヘッド１２の各発熱体が選択的に発熱動作すること
により長尺状原紙１０に感熱穿孔し、この製版済の長尺
状原紙１０の一版長分を原紙カッタ（図示せず）で切断
して孔版原紙１５を作る。

【００３４】印刷部４では、製版部３で製版された孔版
原紙１５の先端を版胴１６の原紙クランプ部１８でクラ
ンプし、このクランプした状態で版胴１６が回転されて
孔版原紙１５が版胴１６の周壁を形成するスクリーン１
９外周面に巻き付け装着する。

【００３５】給紙部５では版胴１６及び紙胴１７の回転
に同期して印刷用紙２２を搬送し、紙胴１７の用紙クラ
ンプ部２１で印刷用紙２２の先端をクランプした状態で
版胴１６及び紙胴１７の間に搬送する。

【００３６】一方、印刷部４では、印刷時に中押しロー
ル４７を押圧位置に位置させ、版胴１６を回転する。す
ると、中押しロール４７がスクリーン１９の内周側を押
圧しながらスクリーン１９の内周面上を回転する。中押
しロール４７の外周面には下記に詳しく説明するように
インク供給機構Ａによってインク５３が供給されている
ため、この回転によってスクリーン１９にはインク５３
が転移される。又、中押しロール４７の押圧によってス
クリーン１９は外周側に膨出し紙胴１７に圧接状態とな
る。そして、上記したように版胴１６及び紙胴１７との
間に給紙部５より印刷用紙２２が搬送され、この搬送さ
れてきた印刷用紙２２が中押しロール４７と紙胴１７と
の間でスクリーン１９及び孔版原紙１５と共に押圧され
ながら搬送される。この押圧搬送過程で印刷用紙２２に
孔版原紙１５の穿孔部分からインク５３が転写されて画
像が印刷される。印刷用紙２２の先端が中押しロール４
７の位置を過ぎその下流まで来ると、用紙クランプ部２
１が解除される。

【００３７】排紙部６では、印刷用紙２２の先端側を上
方規制ガイド部３０でガイドし、又は、印刷用紙２２の
先端側を用紙剥取り爪３２で紙胴１７より剥ぎ取り、そ
の後、用紙搬送機構３３を介してスタッカ部３４に搬送
する。

【００３８】又、排版部７では、新たな製版を開始する
に際して、版胴１６のスクリーン１９外周面に巻き付け
装着されている先の印刷に使用された使用済の孔版原紙
１５を排版する必要があるが、その場合には、新たな製
版済の孔版原紙を版胴１６の外周面に着版する前段階で
版胴１６の原紙クランプ部１８を解除し、解除した孔版
原紙１５の先端側を版胴１６を回転しながら排版誘導ベ
ルト３５で導き、且つ、一対の排版搬送ベルト３６によ
って搬送して排版ボックス３７に収納する。

【００３９】次に、インク供給機構Ａの動作を説明す
る。インク供給部（図示せず）よりインク５３が上方ス
ペースに供給されると、このインク５３は駆動ロッド５
２によって攪拌され、且つ、この攪拌されたインク５３
の内で中押しロール４７の外周面に付着するインク５３
はその粘着性により中押しロール４７の回転で共に回転
しようとする。そして、ドクターロール５１とのギャッ
プを通過できないものは中押しロール４７の外周面から
離脱され、ギャップを通過できたものだけが中押しロー
ル４７の外周面に付着しつづけることになる。つまり、
このドクターロール５１とのギャップを通ることによっ
て中押しロール４７には常に所定量のインク５３のみが
付着することになる。この中押しロール４７はドクター
ロール５１の下流でスクリーン１９に圧接しているた
め、中押しロール４７の外周面に付着したインク５３は
スクリーン１９の内周面に転移されることになる。

【００４０】次に、ドクターロール５１の組立て過程を
説明する。ドクターロール５１をロール支持部材４０の
取付け面に載置し、ロール支持部材４０の長穴５８に挿
入したネジ６０をドクターロール５１のネジ穴５６に緩
く螺入すると共にロール支持部材４０のカム部材装着穴
５９にカム支持枠体６１を介してカム円板部材６２を装
着する。この状態ではネジ６０が長穴５８内を移動する
範囲で、ドクターロール５１は中押しロール４７に対し
て遠近方向に移動可能である。

【００４１】図６に示すように、中押しロール４７とド
クターロール５１との中心（図示せず）、Ｏ１を結ぶ線
を基準線Ｌ１とすると、この基準線Ｌ１に直交する線上
にレーザ測距手段１１２を配置する。レーザ測距手段１
１２はレーザ発光部１１２ａとレーザ受光部１１２ｂと
から成り、レーザ発光部１１２ａから発射したレーザ光
の内でギャップを通過したレーザ光をレーザ受光部１１
２ｂで受光し、この受光エリアを解析してギャップ寸法
を算出する。そして、このギャップ寸法が所定量Ｄにな
るようドクターロール５１を基準線Ｌ１の方向に移動
し、所定量Ｄとなる位置でドクターロール５１をロール
支持部材４０にネジ６０で強く締結することによって固
定する。

【００４２】上記ドクターロール５１の組立て過程にあ
って、図６の仮想線にて示すように、各部材の寸法誤差
等が原因でドクターロール５１の位置が基準線Ｌ１に対
して直交する方向（図６の矢印方向）にシフトしてもド
クターロール５１の中押しロール４７に近接対向する面
が平面部５１ｂであることからレーザ測距手段１１２に
よる測定ギャップ寸法が実際のギャップ寸法となる。従
って、組立時に中押しロール４７とドクターロール５１
とのギャップ調整が正確にできる。

【００４３】また、この実施形態では、ドクターロール
５１の調整移動はカム円板部材６２の回転で偏芯カムピ
ン６２ａがドクターロール５１を押圧することによって
微小に変移可能であるため、精度良く、且つ、容易にで
きる。

【００４４】尚、前記実施形態によれば、本発明を印刷
圧をスクリーン１９の内周側から作用させるインナープ
レス方式の孔版印刷装置１に適用した場合を示したが、
印刷圧をスクリーン１９の外周側から作用させるアウタ
ープレス方式の孔版印刷装置にも適用できる。

【００４５】尚、前記実施形態によれば、本発明をイン
ナープレス方式の孔版印刷装置に適用し、印刷圧を作用
させる中押しロール４７がインク供給ロールを兼用する
場合を示したが、印刷圧を作用させる中押しロール４７
とインク５３を供給するインク供給ロールとを別個に設
ける構成でも良い。但し、前記実施形態のように、中押
しロール４７がインク供給ロールを兼用する構成とする
場合には、部品点数の削減、版胴１６の内部スペースの
有効利用等に供する。

【００４６】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
よれば、回転自在に設けられたインク供給ロールにドク
ターロールを近接して設け、前記インク供給ロール及び
前記ドクターロールの互いに近接する側の外周面で構成
される上方スペースにインクを供給し、この供給された
インクの内で前記インク供給ロールの外周面に付着する
インクを前記インク供給ロールの回転で前記ドクターロ
ールとのギャップを通して規制することによって前記イ
ンク供給ロールの外周面に付着するインク量を制御する
印刷装置のインク供給機構において、前記ドクターロー
ルの外周面の前記インク供給ロールに近接対向する側を
平面部としたので、インク供給ロールとドクターロール
との中心を結ぶ線を基準線とすると、この基準線に略直
交する線上に測距手段を配置してギャップを測定する場
合にあって、ドクターロールの位置が基準線に対して直
交する方向にシフトしてもドクターロールのインク供給
ロールに近接対向する面が平面部であることから測距手
段による測定ギャップ寸法が実際のギャップ寸法となる
ため、組立時にインク供給ロールとドクターロールとの
ギャップ調整が正確にできる。

【００４７】請求項２の発明によれば、インキ通過性の
円筒状の周壁を有し、その周壁外周面に孔版原紙が巻装
された版胴の内側に回転自在に支持されたインク供給ロ
ールを設け、このインク供給ロールにドクターロールを
近接して設け、前記インク供給ロール及び前記ドクター
ロールの互いに近接する側の外周面で構成されるスペー
スにインクを供給し、この供給されたインクの内で前記
インク供給ロールの外周面に付着するインクを前記イン
ク供給ロールの回転で前記ドクターロールとのギャップ
を通して規制することによって前記インク供給ロールの
外周面に付着するインク量を制御し、このインク付着量
を制御されたインクを前記インク供給ロールを介して前
記周壁の内周面に供給し、前記版胴と近接して設けられ
たロール体との間に印刷媒体を挟持搬送することにより
押圧式に孔版印刷を行う印刷装置において、前記ドクタ
ーロールの外周面の前記インク供給ロールに近接対向す
る側を平面部としたので、版胴の内側に配置されたイン
ク供給ロールで印刷圧をかける印刷装置にあって、請求
項１の発明と同様な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示し、孔版印刷装置の概
略構成図である。

【図２】本発明の一実施形態を示し、インナープレス機
構の構成を示す断面図である。

【図３】本発明の一実施形態を示し、インク供給機構の
構成を示す断面図である。

【図４】本発明の一実施形態を示し、インク供給機構等
の斜視図である。

【図５】本発明の一実施形態を示し、インク供給機構の
ドクターロールの組立てを説明するための分解斜視図で
ある。

【図６】本発明の一実施形態を示し、中押しロールとド
クターロールとのギャップ調整が正確にできることを説
明する図である。

【図７】従来の印刷装置の印刷部の一部構成図である。

【図８】従来の印刷装置のインク供給機構を示す断面図
である。

【図９】従来の中押しロールとドクターロールとのギャ
ップ調整を説明する図である。

【符号の説明】

１ 孔版印刷装置（印刷装置） １５ 孔版原紙 １６ 版胴 １７ 紙胴 １９ スクリーン ２２ 印刷用紙（印刷媒体） ４７ 中押しロール（インク供給ロール） ５１ ドクターロール ５１ｂ 平面部 ５３ インク Ａ インク供給機構 Ｄ ギャップ量

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転自在に設けられたインク供給ロール
   にドクターロールを近接して設け、前記インク供給ロー
   ル及び前記ドクターロールの互いに近接する側の外周面
   で構成される上方スペースにインクを供給し、この供給
   されたインクの内で前記インク供給ロールの外周面に付
   着するインクを前記インク供給ロールの回転で前記ドク
   ターロールとのギャップを通して規制することによって
   前記インク供給ロールの外周面に付着するインク量を制
   御する印刷装置のインク供給機構において、 前記ドクターロールの外周面の前記インク供給ロールに
   近接対向する側を平面部としたことを特徴とする印刷装
   置のインク供給機構。
2. 【請求項２】 インク通過性の円筒状の周壁を有し、そ
   の周壁外周面に孔版原紙が巻装された版胴の内側に回転
   自在に支持されたインク供給ロールを設け、このインク
   供給ロールにドクターロールを近接して設け、前記イン
   ク供給ロール及び前記ドクターロールの互いに近接する
   側の外周面で構成されるスペースにインクを供給し、こ
   の供給されたインクの内で前記インク供給ロールの外周
   面に付着するインクを前記インク供給ロールの回転で前
   記ドクターロールとのギャップを通して規制することに
   よって前記インク供給ロールの外周面に付着するインク
   量を制御し、このインク付着量を制御されたインクを前
   記インク供給ロールを介して前記周壁の内周面に供給
   し、前記版胴と近接して設けられたロール体との間に印
   刷媒体を挟持搬送することにより押圧式に孔版印刷を行
   う印刷装置において、 前記ドクターロールの外周面の前記インク供給ロールに
   近接対向する側を平面部としたことを特徴とする印刷装
   置のインク供給機構。