JP2001078602A - 植物の生長量を増加させる方法 - Google Patents

植物の生長量を増加させる方法

Info

Publication number
JP2001078602A
JP2001078602A JP25714299A JP25714299A JP2001078602A JP 2001078602 A JP2001078602 A JP 2001078602A JP 25714299 A JP25714299 A JP 25714299A JP 25714299 A JP25714299 A JP 25714299A JP 2001078602 A JP2001078602 A JP 2001078602A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plant
gene
ferritin
growth
gus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25714299A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiyuki Goto
文之 後藤
Riichi Yoshihara
利一 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP25714299A priority Critical patent/JP2001078602A/ja
Publication of JP2001078602A publication Critical patent/JP2001078602A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】植物の生長量を増加させる方法の提供。 【解決手段】外来フェリチン遺伝子(例,ダイズフェリ
チンcDNA)を植物(例,レタス,タバコ等)に導入
することにより、該植物の生長量(植物体の生重量,種
子重量,高さ等)を増加させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物の生長量を増加
させる方法に関するものである。より詳しくは、本発明
は、植物に外来フェリチン遺伝子を導入するという分子
育種法を利用することにより、植物の生長量を増加させ
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェリチンは人間を含む高等動物から植
物、細菌等の微生物まで生物界に広く存在する鉄貯蔵タ
ンパク質であり、貯蔵している鉄を他の鉄結合酵素など
に供給すること、および生体に障害を及ぼすような過剰
な無機鉄を取り込み、解毒して細胞を保護することを主
要な生理的役割としている。このタンパク質は非常に巨
大であり(分子量540kDa)、外径が約13nmも
あり、24個のサブユニットが対称性を持って積み重な
り、あたかも袋のような構造をしている。この袋状構造
の中に鉄を最大で4500原子も貯蔵すると推定されて
いる。本発明者らはこのような大量の鉄を貯蔵できるフ
ェリチンの遺伝子を外来遺伝子として植物に導入するこ
とにより、該植物の鉄含量を増加させ得ることを見出
し、「分子育種法による高鉄含量植物およびその作出方
法」として先に特許出願を行った(特開平9−2011
90号公報参照)。なお、フェリチンには上記した鉄の
貯蔵以外に、鉄が関与する酸化ストレスの抑制が知られ
ている。そこで、フェリチンによる酸化ストレスの防御
機構を利用することによる分子育種の適用範囲の拡大に
対する強い要望がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような要
望に応えるためになされたものであり、外来フェリチン
遺伝子を植物に導入することにより植物への新たな特性
の付与、具体的には植物の生長量を増加させる方法の提
供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、外
来フェリチン遺伝子を植物に導入することにより植物の
生長量を増加させる方法に関する。本発明において生長
量の増加とは、上記遺伝子が導入されていない植物(非
形質転換植物)に比べた場合の生重量および/または伸
長量等を直接的に意味し、間接的には光合成速度の増加
や開花時期の早期化等をも意味する。
【0005】本発明において外来フェリチン遺伝子と
は、該遺伝子の導入により形質転換される植物細胞以外
の細胞、例えばバクテリア、植物または動物の細胞に由
来するフェリチン遺伝子を意味する。この外来フェリチ
ン遺伝子には、その塩基配列の一部が遺伝子工学的に改
変された遺伝子や、一の遺伝子に対して縮重の関係にあ
るコドンを有する遺伝子を包含することはいうまでもな
い。
【0006】本発明において、外来フェリチン遺伝子の
導入は、一般に植物細胞、例えば単一の植物細胞、また
は該細胞の集合体であって分化構造を有していないカル
スの他、芽や根等の組織等に対して行われ得る。ここ
で、植物細胞内への外来フェリチン遺伝子の導入は公知
のあらゆる方法により行い得るが、例示すれば、Tiプ
ラスミドまたはRiプラスミドに所望の外来フェリチン
遺伝子を発現可能に組み込み、それをアグロバクテリウ
ム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)
またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium
rhizogenes)を介して導入することができる。Tiプラ
スミドを用いた場合、外来フェリチン遺伝子の導入はリ
ーフディスク法により植物細胞に直接行われ得る。ま
た、植物プロトプラストを予め調製した後、外来フェリ
チン遺伝子を保持するプラスミドを用いてエレクトロポ
レーション法、マイクロインジェクション法、ポリエチ
レングリコール法、直接塗布法により外来フェリチン遺
伝子を植物細胞中に導入することもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一つの好ましい態様を以
下に示す。しかしながら、本発明が該態様に限定される
ものでないことはいうまでもない。カナマイシン耐性遺
伝子(NPT II)およびカリラワー・モザイク・ウ
イルスの35Sプロモーターにより転写制御されている
β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を有するバイナ
リーベクターのGUSを切除した箇所に780塩基対
(bp)を有するダイズフェリチンcDNAを連結した
プラスミドpBG−1を導入したアグロバクテリウム・
チュメファシエンスLBA4404株(FERM P−
15393)の培養懸濁液に、植物、例えばレタス、ミ
ツバ、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、サラダ
菜、キャベツ、ホウレンソウ、ダイズ、ニンジン、キュ
ウリ、トマト、ジャガイモ等の野菜類、イネ、コムギ、
オオムギ、トウモロコシ、マメ等の穀物類、ポプラ、ス
ギ、ユーカリ、シラカバ等の材木類等のリーフディスク
を浸漬した後、カナマイシン耐性をマーカーとして形質
転換体を選抜する。その後、必要に応じ、該形質転換体
の継代培養を繰り返し、カルスや不定芽を経て、生長量
が増加した植物体、さらには種子、塊茎等の後代を作出
することができる。それら各工程における条件等は使用
した植物等に応じ適宜選択される。
【0008】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 A.外来フェリチン遺伝子の単離およびベクターの構築 A.1 ダイズフェリチン遺伝子の単離 フェリチン遺伝子の存在が知られているダイズから遺伝
子を単離する。ダイズに対する鉄刺激によって発現量の
増加した葉から抽出したmRNAを鋳型としRT−PC
RによってフェリチンcDNAを合成した。さらに、こ
れらのcDNAがフェリチンcDNAであることをサザ
ンハイブリダイゼーションによって確認した後、このc
DNAをベクターpCR IIにクローニングし、塩基
配列を決定した(図1)。得られた遺伝子は780bp
であり、PCR反応で予定していた領域を増幅してお
り、翻訳開始コドンであるATGと終結コドンのTAG
を保持していた。既知ダイズフェリチン遺伝子との相同
性は95%であった。また、遺伝子の配列から予想され
るアミノ酸配列の相同性は94%だった。さらにアミノ
酸配列の比較において、既知配列と今回得られた配列の
うち、親水性や疎水性等の類似の性質を有するアミノ酸
を同じものと仮定した場合、その相同性は98%となっ
た。以上の結果から、得られたダイズcDNAはフェリ
チン遺伝子と結論づけられた。 A.2 ベクターの構築 プラスミドpBI121は、カナマイシン耐性遺伝子
(NPT II)およびカリラワー・モザイク・ウイル
スの35Sプロモーターにより転写制御されているβ−
グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を有するバイナリー
ベクターである。このpBI121を制限酵素SmaI
とSacIで消化した後、アガロース電気泳動により分
画し、NPT IIを含む断片を回収した(図2)。一
方、フェリチンcDNAをクローニングしたプラスミド
pCR IIを制限酵素EcoRVおよびSacIで消
化後、フェリチンcDNAを含む断片を回収した。そし
て、NPT IIを含む断片とフェリチンcDNAの2
つのDNA断片をリガーゼにより連結し、新しくバイナ
リーベクターpBG−1を構築した。このpBG−1を
導入したアグロバクテリウム・チュメファシエンスLB
A4404株(AT−pBG1と命名)は通産省 工業
技術院 生命工学工業技術研究所 特許微生物寄託セン
ターに1996年1月17日寄託され、FERM P−
15393の受託番号を有する。フェリチンcDNAを
制御する35Sプロモーターは、植物の遺伝子組換え実
験において最も汎用されているプロモーターであり、発
現量が大きいことと、発現時期や発現する組織の範囲が
広いことで知られている。従って、pBG−1を植物へ
導入した場合、35Sプロモーターによりフェリチン遺
伝子は恒常的に発現されることが予測される。さらに、
pBG−1はNPT IIを保持していることから、植
物へpBG−1が導入された場合、カナマイシンにより
選抜することが可能となる。
【0009】B.外来フェリチン遺伝子の植物への導入 前項で調製したAT−pBG1(ダイズフェリチンcD
NAを有するプラスミドpBG−1が導入されたアグロ
バクテリウム菌)を用いて供試植物:レタス(品種:グ
リーンリーフ)またはタバコ(品種:SR−1)に外来
フェリチン遺伝子をそれぞれ以下のように導入した。 (1)レタス:無菌播種して5日目の供試植物の両端を
切除した子葉をAT−pBG1培養懸濁液中に5分間浸
漬させた。そして、余分な懸濁液を濾紙で除去後、MS
培地(0.1mg/l NAA,0.1mg/l B
A)に置床した。2日後、100mg/lカナマイシン
と500mg/lカルベニシリンを含有する培地へ外植
体を継代した。以後、Enomoto らの方法〔Plant Cell R
eports 9: 6-9 (1990)〕に従った。 (2)タバコ:無菌播種後、プラントボックス内で維持
・継代していた供試植物から、約7mm角のリーフディ
スクを切り出した。次に、AT−pBG1培養懸濁液の
濃度が約OD595=1になるように培地で希釈し、リ
ーフディスクをその中に2分間、浸漬させた。遺伝子導
入後、形質転換された幼植物体の選抜には100mg/
lカナマイシンを用いた。選抜された幼植物体を外気に
順化させた後、隔離温室内で育成した。各々の植物にお
ける外来DNAの存在はPCR法により確認した。ま
た、生長した植物は自家受粉させ、後代の種子を得た。
また、pBG−1において、フェリチンcDNAのTP
(Transit Peptide )をコードしている部分を除いたプ
ラスミドpBG−2を作成し、タバコへ導入し、次世代
の種子を得た。なお、レタス植物のコントロールとして
カナマイシンを含まない培地に播種した非形質転換体
を、タバコ植物のコントロールとしてプラスミドpBI
−121を導入した形質転換体を用いた。
【0010】C.遺伝子の存在と発現の確認 形質転換体にどのくらい遺伝子が導入されたかを明らか
にするために、サザン分析を行った。改良したShure ら
(1983)の方法を用い、葉から全DNAを抽出し、該DN
A10mgを制限酵素EcoRIまたはHindIII
によって完全消化した。次に消化後のDNAを1%アガ
ロースゲルで電気泳動を行った。次にナイロン膜(商品
名:Hybond N+ )にブロットし、ジゴキシゲニンで標識
したフェリチンcDNAでハイブリダイズした。ハイブ
リダイズと検出はEngler-Blum ら(1993)の方法に準拠し
た。ナイロン膜をX線フィルム上で約12時間感光させ
た。次に、遺伝子の発現をウエスタンブロットで確認し
た。まず、葉0.1gを1.5ml遠心チューブに入
れ、抽出緩衝液〔80mMトリスHCl(pH7)〕,
2%SDS,2%2−MEおよび20%グリセロール〕
中ですばやく破砕し、タンパク質を抽出した。タンパク
質の濃度はBradfordの方法に基づく測定試薬(商品名:
Protein assay kit ,米国バイオラッド社)で測定し
た。抽出液を3分間沸騰水中に入れ、熱によるサブユニ
ットへの分解を行った後、12000rpm、10分間
遠心した。そして上清をSDS−PAGEで分離した。
電気泳動後、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)
膜へ転写した。免疫学的検出はMatsudaira (1987) の方
法に従った。抗体はダイズフェリチンcDNAを組み込
んだ大腸菌からフェリチンサブユニットを抽出し、ウサ
ギへ免疫した抗血清を用いた。フェリチンの検出にはビ
オチン化したペルオキシダーゼで修飾した抗ウサギIg
G抗体を使用し(商品名:ABC kit,米国ベクター・ラボ
ラトリー社)、基質にはイムノステインHRP−100
0(コニカ社)を用いた。これらの実験の結果、形質転
換体には少なくとも1〜2コピーの完全な長さの外来フ
ェリチン遺伝子がゲノム内に組み込まれ、それが後代に
遺伝していること、および導入遺伝子由来のペプチドが
発現されていることが確認された。
【0011】D.生長量の測定方法 D.1 レタスの生長量測定方法 35粒の種子(T1世代)を有機物や植物生長調節剤を
含まないMS培地へ置床した。ただし、200mg/l
カナマイシンを形質転換体の種子を置床した培地にのみ
加えた。2週間後、未発芽や、発芽勢が著しく悪い個体
を除き、実生の生重量を測定した。次に、播種後3週間
に各系統の10個体を1/5000aのワグネルポット
に移植し、温室で育成した。水は自動給水とした。約3
ヵ月後、各個体の体長を3回測定して、その平均を体長
とした。それぞれの個体はそのまま育成し、自家受粉
後、後代(T2世代)を得た。それらの種子50粒を合
計した重量を5回測定した。 D.2 タバコの生長量測定方法 形質転換タバコ後代の種子50粒を400ppmカナマ
イシンを含有するMS培地に播種して、16時間明条件
で栽培し、3週間後に、生き残った個体の生重量を測定
した。また、1/5希釈したアンチホルミンで消毒した
種子50粒を200ppmカナマイシンおよび3%ショ
糖を含有するMS培地に播種して、暗黒条件下で3週間
静置し、生き残った個体の生重量を測定した。 D.3 光合成速度測定方法 1分間の単位面積当たりの光合成速度を播種後8週間経
過した個体の成葉を用いて測定した。各系統5個体を測
定の1時間前に実験室に移動させ、環境に順化させた。
光合成速度は以下に示す条件下3回測定した:光量子密
度(200mmol m-2-1)、相対湿度(30
%)、室温(25℃)。
【0012】E.生育量の測定結果 E.1 レタスの生長量 図3に各系統(横軸に数字で示す;Cはコントロール,
以下の図4〜6でも同様)の播種後2週間目の生重量を
示す(図中、カッコ内は測定個体数、**は1%の有意
差が認められたことを示し、各結果の上部の縦線は標準
誤差である)。カナマイシンに耐性を示した形質転換レ
タス(系統No.6以外)の発芽勢は、カナマイシンを
含まない培地に播種した非形質転換レタス(C;コント
ロール)よりも勝っており、その生育量は最大の系統
(系統No.5)でコントロールの1.4倍であった。
これらのレタスを鉢に植え替え、3ヵ月後に高さを測定
した結果を図4に示す(測定個体数はコントロールおよ
び各系統いずれも各10であり、*および**はそれぞ
れ5%および1%の有意差が認められたことを示し、各
結果の上部の縦線は標準誤差である)。発芽勢で有意差
があった系統のうち、No.3以外は引続きコントロー
ルと有意差が認められた。最も生育が良かった系統N
o.5は91cmであり、コントロール(56cm)に
比べ30cm以上高かった。また、形質転換体には花芽
が形成されていたが、コントロールでは観察されなかっ
た。生育が旺盛になるという傾向は、次世代(T2)の
種子重量にも観察された(図5;測定個体数はコントロ
ールおよび各系統いずれも各50であり、**は1%の
有意差が認められたことを示し、各結果の上部の縦線は
標準誤差である)。すなわち、ほとんどの系統でコント
ロールに比べ種子の重量は大きかった。生育量が増加す
るためには、通常よりも多くのエネルギーを必要とする
はずである。そこで、生育量の増加機構を探るために光
合成速度を測定した。その結果、形質転換体の光合成速
度はコントロールの1.5〜1.8倍であった(図6;
測定個体数はコントロールおよび各系統いずれも各5で
あり、*は5%の有意差が認められたことを示し、各結
果の上部の縦線は標準誤差である)。このように、ほと
んどの形質転換レタス後代の生長量はコントロールより
大きく、それが、生長初期から、3ヵ月後の花芽形成期
に及んでいた。また、次世代の種子重量もコントロール
より大きかった。さらに、それらの事実を裏付けるよう
に、形質転換体における光合成速度も向上していた。 E.2 タバコの生長量 図7に16時間明条件(明所)で3週間栽培した後の各
系統の生重量を示す(図中、カッコ内は測定個体数、各
結果の上部の縦線は標準誤差である)。コントロール
(No.1〜3)と比較して、pBG−1を導入した全
ての形質転換体(No.7〜10)の生重量は増加して
いた。TPを最初から除くように構築したプラスミドp
BG−2を導入した系統(No.4〜6)においても同
様な結果であった。次に、この生育量の増加が光による
何らかの効果によるのかを調べるために、暗所で発芽試
験を行った結果を図8に示す(図中、カッコ内は測定個
体数、各結果の上部の縦線は標準誤差である)。暗所に
おいても、コントロール(No.1)に比べて、pBG
−1を導入した形質転換体(No.9)およびpBG−
2を導入した形質転換体(No.4)の生重量は大きか
った。ここで、明所と暗所の発芽の重量を比較すると、
コントロールも形質転換体も暗所の場合の方が低下して
おり、その減少の割合はコントロールとpBG−1導入
タバコでは約30%、pBG−2導入タバコでは約60
%であった。
【0013】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
外来フェリチン遺伝子を植物に導入することにより植物
の生長量を増加させることを初めて見出したものであ
る。換言すれば、本発明は分子育種法により、植物の生
重量や伸長量等を顕著に増加させることを可能としたも
のである。従って、本発明の方法によれば、単位面積あ
たりのレタス等の植物の収量を増加させたり、またより
短期間により多くの収量を得ることができる。また、本
発明は、レタスやミツバ等の水耕栽培に適する植物に容
易に適用できるため、野菜工場における野菜品種の育成
に効果的である。このように、本発明は、無農薬、完
熟、新鮮等の種々の特徴を有する野菜工場での栽培のた
めの専用品種の開発に極めて有効である。さらに、本発
明の方法は、水耕栽培を主とする野菜工場のみならず、
土地耕栽培にも適用可能であることはいうまでもない。
特に、フェリチンは鉄の貯蔵と共に、植物体外の一過性
の鉄の増加や現象に対する解毒作用ともいうべき緩衝作
用があることが報告されているので、本発明の方法は植
物の生育量を増加させる他に、従来では作付けが不可能
とされている、土壌中に鉄分の少ない地域や逆に過剰な
地域においても、本発明のフェリチン遺伝子が組み込ま
れた植物は生育可能であり、栽培可能であるという利点
も併有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において使用されるダイズフェ
リチンcDNA、およびそれから予測されるアミノ酸配
列と既知配列との相同性を示す図面である。(A):本
実施例で得られたダイズフェリチンcDNAの塩基配
列。タンパク質への翻訳シグナル配列(ATG,TGA
の太文字で表記)を有する。全長780bp。(B):
塩基配列から予測されるアミノ酸配列(上段)と既知ダ
イズフェリチンのアミノ酸配列(下段)。*は同じアミ
ノ酸、・は類似のアミノ酸を示す。
【図2】本発明の実施例において使用される外来フェリ
チン遺伝子を導入するためのベクターpBG−1の構築
を示す図面である(Amp+:アンピシリン耐性遺伝
子,NPT II:カナマイシン耐性遺伝子,35Sプ
ロモーター,GUS:β−グルクロニダーゼ遺伝子,N
osT:ノパリン合成酵素遺伝子ターミネーター)。
【図3】本発明の実施例において行われた播種後2週間
目のレタスの生重量の比較の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例において行われた播種後3ヵ月
目のレタスの生長量の比較の結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例において得られたレタスのT2
世代の種子重量を各系統で比較して示すグラフである。
【図6】本発明の実施例において行われたレタスの光合
成速度の比較の結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における明所で栽培されたタバ
コの生重量の比較の結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例における暗所で栽培されたタバ
コの生重量の比較の結果を示すグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD06 AD08 CA06 CA17 CA19 CB02 CD03 CD09 CD13 CD14 CD21 4B024 AA08 BA80 CA04 DA01 EA04 FA02 FA07 FA10 GA11 GA17 4B065 AA88Y AA89X AB01 AC14 BA02 CA24 CA53 4H045 AA10 AA30 BA10 BA63 CA33 EA05 FA72 FA74 HA07

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外来フェリチン遺伝子を植物に導入する
    ことにより植物の生長量を増加させる方法。
JP25714299A 1999-09-10 1999-09-10 植物の生長量を増加させる方法 Pending JP2001078602A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25714299A JP2001078602A (ja) 1999-09-10 1999-09-10 植物の生長量を増加させる方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25714299A JP2001078602A (ja) 1999-09-10 1999-09-10 植物の生長量を増加させる方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001078602A true JP2001078602A (ja) 2001-03-27

Family

ID=17302310

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25714299A Pending JP2001078602A (ja) 1999-09-10 1999-09-10 植物の生長量を増加させる方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001078602A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006075078A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Research Institute Of Innovative Technology For The Earth キク科植物の葉緑体の形質転換方法
WO2007061146A1 (en) * 2005-11-22 2007-05-31 Chung-Ang University Industry-Academy Cooperation Foundation A method for producing chinese cabbage transformant using tissues of flower stalk and a transformant with promoted soft rot resistance obtained from the method
KR100819878B1 (ko) 2007-06-26 2008-04-08 중앙대학교 산학협력단 화경조직을 이용한 배추의 형질전환체 제조방법 및이로부터 생산되는 무름병 저항성이 증진된 형질전환체
JP2014195443A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 キユーピー株式会社 容器詰めサラダの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006075078A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Research Institute Of Innovative Technology For The Earth キク科植物の葉緑体の形質転換方法
WO2007061146A1 (en) * 2005-11-22 2007-05-31 Chung-Ang University Industry-Academy Cooperation Foundation A method for producing chinese cabbage transformant using tissues of flower stalk and a transformant with promoted soft rot resistance obtained from the method
KR100819878B1 (ko) 2007-06-26 2008-04-08 중앙대학교 산학협력단 화경조직을 이용한 배추의 형질전환체 제조방법 및이로부터 생산되는 무름병 저항성이 증진된 형질전환체
JP2014195443A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 キユーピー株式会社 容器詰めサラダの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060225154A1 (en) Method for increasing expression of stress defense genes
JP6675332B2 (ja) ナス科に属するフィトフトラ抵抗性植物
US20200120890A1 (en) Method of enhancing the seed yield and promoting the growth of plants
JPWO2002023974A1 (ja) 種々の環境ストレス耐性を改良した植物、その作出方法、並びにポリアミン代謝関連酵素遺伝子
Mahesh et al. Constitutive overexpression of small HSP24. 4 gene in transgenic tomato conferring tolerance to high-temperature stress
JP2006325554A (ja) 遺伝子発現誘導によるストレス予防効果の付与方法
JP5787413B2 (ja) 塊茎生産能または匍匐枝形成能が野生株に比して向上している匍匐枝形成植物の作製方法、当該方法によって作製された匍匐枝形成植物
ES2543382T3 (es) Planta con resistencia a estrés por bajas temperaturas y método de producción de la misma
JP2001078602A (ja) 植物の生長量を増加させる方法
US7271004B2 (en) Transgenic expression of a phytochrome a gene
JPWO2006057306A1 (ja) ストレス耐性及び/又は生産性を改良したイネ科植物、及びその作出方法
WO2015023777A2 (en) Expression of thermostable starch synthase genes improves the yield in heat stress
JP2001046079A (ja) 植物由来のポリアミン代謝関連酵素遺伝子群
KR100970109B1 (ko) 나리 유래의 약에 특이적인 프로모터, 재조합 벡터,형질전환체 및 그의 제조 방법
JP2016103994A (ja) 環境ストレス耐性を付与する遺伝子及びその利用
JP2016103994A5 (ja)
JP4649816B2 (ja) 環境ストレス抵抗性を改良した植物及びその作出方法
JP4331335B2 (ja) ワタ繊維特性が改良されたワタ植物、その作出方法および該ワタ植物体からのワタ繊維の製造方法
US9771596B2 (en) Use of auxin synthase for improving crop yield
JP2006020601A (ja) ストレス耐性を改良したイモ類、及びその作出方法
WO2004092372A1 (ja) 塩ストレス耐性を付与する遺伝子
JPH09201190A (ja) 分子育種法による高鉄含量植物およびその作出方法
JP4573691B2 (ja) 種々の環境ストレス耐性を改良した植物、その作出方法、並びにポリアミン代謝関連酵素遺伝子
CN117659149A (zh) 水稻OsNAC25基因或其编码的蛋白在提高水稻耐旱性的应用
JP2006006122A (ja) エタノール耐性遺伝子を用いる形質転換植物の選抜方法及びそのための形質転換用ベクター

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051012

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060222