JP2001077609A - 誘電体共振器、インダクタ、キャパシタ、誘電体フィルタ、発振器、誘電体デュプレクサおよび通信装置 - Google Patents
誘電体共振器、インダクタ、キャパシタ、誘電体フィルタ、発振器、誘電体デュプレクサおよび通信装置Info
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Abstract
導体損を効果的に抑えて、無負荷Q(Qo)の高い誘電
体共振器を構成し、損失特性に優れた誘電体フィルタ、
誘電体デュプレクサ、インダクタ、キャパシタ、発振
器、およびそれらを用いた通信装置を得る。 【解決手段】 スパイラル形状のスロットを有するスロ
ット電極2を誘電体基板1の表面に形成し、誘電体基板
1の上部に所定間隔を隔てて上部シールド板3を設ける
ことにより、誘電体共振器を構成する。この誘電体共振
器に信号入出力部を設けて誘電体フィルタや誘電体デュ
プレクサを構成し、負性抵抗回路を接続して発振器を構
成する。さらに、スロット線路の内周を短絡端または開
放端とし、線路長を設定することにより、インダクタま
たはキャパシタを構成する。
Description
を形成してなる誘電体共振器、インダクタ、キャパシ
タ、誘電体フィルタ、発振器、誘電体デュプレクサおよ
びそれらを用いた通信装置に関するものである。
誘電体基板に設けた共振器として、マイクロストリップ
線路やスロット線路による共振器がある。従来のスロッ
ト線路共振器は、直線状の半波長のスロット線路により
1つの共振器を構成したものであった。スロット線路に
よる共振器は、その構造上、スロットの周囲に連続して
電極が存在するため、共振器部分での電磁界エネルギー
の閉じ込め性が高く、モジュールとして高周波回路部分
に実装した際、他の回路との干渉が少ないという利点を
備えている。
路の損失は、主に誘電体損と導体損に分けられるが、導
体損が支配的であった。従来のような、直線状のスロッ
ト線路による共振器では、スロット線路が本質的に持つ
縁端効果による特性劣化を免れないという難点があっ
た。すなわち線路の断面を見た場合に、線路の縁端部
(幅方向の電極端部および厚み方向の上端・下端)に電
流が集中する。この電流集中による導体損を抑えるため
に、たとえば電極の膜厚を厚くしても、電流集中の生じ
る縁端部が広がるわけではないため、無意味であり、縁
端効果による導体損の問題は必ず生じる。
導体損の全損失に対する割合の例について説明する。ま
ず図20に示すように、スロット電極をエッジ、電極上
面、電極下面の3つの領域に分割し、それぞれについて
導体損の計算を行って、全体のQc(導体損によるQ)
を算出した。次の表は図20の構造パラメータを有する
スロット線路に対して、電極上下面での損失の、全損失
に対する割合を示したものである。
での損失の、全損失に対する割合は大きく、たとえばス
ロット幅を100μmとした場合には、全損失の約90
%もが電極上下面で消費されることになる。
体損を効果的に抑えて、無負荷Q(Qo)の高い誘電体
共振器を構成し、損失特性に優れた誘電体フィルタ、イ
ンダクタ、キャパシタ、発振器、およびそれらを用いた
通信装置を提供することにある。
めに、この発明の誘電体共振器は、誘電体層の外面また
は内部に、スパイラル形状のスロットを有するスロット
電極を設けて、スロット線路を構成するとともに、前記
スロット電極から所定距離離れた位置にシールド用導体
を設けて、前記スロット線路を共振線路とする。
と磁界により誘起される電流の方向を図18に示す。図
18において曲線の破線は磁界分布、曲線の実線は電界
分布、直線状の矢印はスロット電極に誘起される電流の
向きをそれぞれ示している。注目すべき点はスロットの
左右の電極を流れる電流が線路の向きに対して逆方向の
関係にあるという点である。本願発明はこの現象を利用
して、スロット線路をスパイラル状に形成することによ
って、隣接2線路間を流れる電流を相殺し、電流による
ジュール損すなわち導体損を低減するものである。
ラル状に形成した場合、スロット線路の長さが、線路上
での波長をλgとした時、図18に示すように磁界分布
の節からそれに隣接する節までの領域で磁界は同じ方向
を向くため、その領域で隣接2線路間の電流が逆向きと
なる。そのため、λg/2またはλg/4のスロット線
路であれば、スロット線路の略全長に亘って隣接2線路
間を流れる電流が相殺されることになる。
スロット線路のスロット幅を、スロット線路の開放端寄
りに比べて短絡端寄りの方を大きくする。一般に、両端
開放のストリップ線路共振器の場合、開放端で電流0、
短絡端で電流最大となるが、このことはスロット線路共
振器の場合にも当てはまる。そこで、電流密度の高い短
絡端寄りでスロット幅を大きく、電流密度の低い開放端
寄りでスロット幅を小さくすることにより、スロット線
路の長手方向の電流密度分布が均一となって、電流の集
中が抑えられる。その結果、全体の導体損が更に低減さ
れる。
スロットの幅を、スロット線路の開放端から短絡端まで
略全域に亘って変化させ、また、スロットの幅をスロッ
トの長手方向の位置に対して曲線的に変化させる。
ロット線路の一方の端部を短絡端、他方の端部を開放端
として、スロット線路を1/4波長の共振線路とする。
これにより、全体の線路長が短くなって、占有面積もさ
らに縮小化される。
ット線路の外周端を短絡端として、スロット線路を1/
4波長または1/2波長の共振線路とする。すなわち、
内周端を開放端とした場合は1/4波長の共振線路とな
り、内周端を短絡端とした場合は1/2波長の共振線路
となる。これによりスパイラル形状のスロット線路の外
周端が磁界強度の最大点となる。
外周端同士がつながった点対称の関係にある、それぞれ
が上記スパイラル形状の2つのスロットを有するスロッ
ト電極を設け、この2つのスロットのそれぞれ内周端を
スロット線路の短絡端とする。この構造により、対称点
の位置で電界が最大、2つのスパイラル形状のスロット
線路のそれぞれの内周端で磁界が最大となるため、電磁
界の閉じ込め性が良好となる。
外周端同士がつながった線対称の関係にある、それぞれ
が上記スパイラル形状の2つのスロットを有するスロッ
ト電極を設け、この2つのスロットのそれぞれの内周端
をスロット線路の短絡端とする。この構造により対称線
の位置で電界が最大となり、また隣接するスロット線路
との距離が離れる。
ロットの全体が略方形状に変形したスパイラル形状とす
る。これにより誘電体基板に対するスパイラル形状のス
ロット線路の占有面積が縮小化される。
または内部に、スパイラル形状のスロットを有するスロ
ット電極を設けてスロット線路を構成するとともに、該
スロット線路の先端を短絡端とし、スロット長を当該ス
ロット線路の伝送波長の1/8以下にし、前記スロット
電極から所定距離離れた位置にシールド用導体を設け
る。
ロット線路のスロット幅を、スロット線路の開放端寄り
に比べて短絡端寄りの方を大きくする。これにより、ス
ロット線路の長手方向の電流密度分布が均一となって、
全体の導体損が低減される。
または内部に、スパイラル形状のスロットを有するスロ
ット電極を設けてスロット線路を構成するとともに、該
スロット線路の先端を開放端とし、スロット長を当該ス
ロット線路の伝送波長の1/8以下にし、前記スロット
電極から所定距離離れた位置にシールド用導体を設け
る。
ロット線路のスロット幅を、スロット線路の開放端寄り
に比べて短絡端寄りの方を大きくする。これにより、ス
ロット線路の長手方向の電流密度分布が均一となって、
全体の導体損が低減される。
かの構造の誘電体共振器に信号入出力部を設けて構成す
る。
に負性抵抗回路を結合させて構成する。
力ポートと送受共用入出力ポートとの間、および該送受
共用入出力ポートと受信信号出力ポートとの間に、上記
誘電体フィルタを、送信フィルタおよび受信フィルタと
してそれぞれ設けることによって構成する。
キャパシタ、誘電体フィルタまたは発振器を用いて構成
する。
器の構成を図1を参照して説明する。図1の(A)は誘
電体共振器の主要部の斜視図、(B)は電流分布の例を
示す図である。図において1は誘電体基板であり、その
図における上面に、スパイラル形状のスロットを有する
スロット電極2を設けている。誘電体基板1の図におけ
る下面にはシールド電極5を略全面に形成している。誘
電体基板1の図における上部には、誘電体基板1から所
定間隔を隔てて、本願発明に係るシールド電極である上
部シールド板3を配置している。このスロット電極2に
よるスロット線路の電磁界は誘電体基板1の誘電体層と
外部の空気層に分布し、これらの電磁界の分布領域でス
ロット線路を構成している。
とし、スロットの外周端はスロット線路の開放端として
いる。そして、スロット線路上の波長をλgとしたと
き、スロットの長さはλg/4としていて、全体で1/
4波長共振線路を構成している。
ば、上部シールド板3は、シールド効果の点でスロット
電極2からλo/2以内であることが望ましい。このよ
うにシールド板3を設けたことにより、スロット線路の
電磁界の外部への放射および外部からの電磁界の入射が
無く、誘電体共振器として作用する。
ット線路の外周側に誘起される電流、破線の矢印はスロ
ットの内周側に誘起される電流の向きをそれぞれ示して
いる。このように、隣接するスロット間では、逆方向の
電流が近接するため、スロット線路の全長に亘って隣接
2線路間を流れる電流が相殺される。したがって、隣接
スロット間での導体損が大幅に低減される。
果を実証するために、図19に示す平行3線スロット線
路の磁界強度分布を有限要素法(FEM)を用いて計算
した。図19において上部の図は磁界強度分布、中央の
図は平行3線スロット線路の断面図、下部の図はその平
面図である。ここでは3つの線路にそれぞれ同相の電磁
波が励起されるものと仮定し、各構造パラメータを図1
9に示すように設定した。
トによる電極の縁端部には電流が極端に集中し、それか
ら遠ざかるにしたがって急激に減衰する。図においては
エッジに磁界が集中する部分を、隣接2線路の影響のあ
る領域Bと、その効果のない領域Aとに分けているが、
領域Aに比べて領域Bでは磁界の集中が明らかに緩和さ
れている。したがって、隣接スロット間での電流密度は
非常に低くなり、導体損は大幅に低減される。
めに、共振器を試作した。図1に示した構造の誘電体共
振器において、スロット幅を20μm、共振周波数fo
を7GHzとした2つの誘電体共振器を用い、それらの
開放端同士を接続した構造の誘電体共振器では、無負荷
Qは100であった。一方、同じスロット幅で同じ共振
周波数を得るようにした直線状の両端ショート半波長共
振器では、無負荷Qは40であった。このように、本発
明の誘電体共振器および本発明のその他の装置における
共振器部分の無負荷Qが、従来の直線状共振器より高い
ことを確認した。
の構成を図2を参照して説明する。図2は誘電体共振器
の主要部の斜視図である。図において1は誘電体基板で
あり、その図における上面にスロット電極2を設けてい
る。このスロット電極2にはスパイラル形状のスロット
を形成していて、その内周端は円形に電極の無い形状と
して、その部分をスロット線路の開放端としている。ま
た、外周端は短絡端としている。そして、スロット線路
上の波長をλgとしたとき、スロットの長さはλg/4
としていて、全体で1/4波長共振器を構成している。
から1/2波長以内にシールド板3,4を配置してい
る。このようにシールド板3,4を設けたことにより、
スロット線路の電磁界の外部への放射および外部からの
電磁界の入射が防がれ、誘電体共振器として作用する。
路の外周端を短絡端としたことにより、外側に磁界強度
の最大点が存在することとなり、外部回路との接続が容
易となる。例えば、この短絡端付近に同軸プローブを設
けて磁界結合させることができる。
誘電体基板1の下面に略全面のシールド電極を形成すれ
ば、下部シールド板4は必須ではない。
構成を図3を参照して説明する。図3において誘電体基
板1の図における上面にはスロット電極2を設けてい
る。誘電体基板1の図における上部には誘電体基板1か
ら所定間隔隔てて上部シールド板3を配置している。こ
のスパイラル形状のスロットを有するスロット電極と誘
電体基板1の誘電体層および外部の空気層とによってス
ロット線路を構成している。
の旋回方向が同一である2つのスロットを点対称の関係
で接続したような形状としている。このスロット線路
は、2つのスパイラル形状のスロットの内周端B1,B
2がそれぞれ短絡端となり、点対称の位置Aが等価的に
開放端となるように、線路長をλg/2としている。こ
れにより、1/2波長共振器を構成している。
ある2つのスパイラルを近接配置することにより、図中
Aで示す付近のスロットと、それに隣接する左右のスロ
ットによる電流の向きが互いに相殺する方向となり、こ
の3つのスロットの近接配置部分の縁端効果による導体
損をも低減することができる。また、それとともに、単
一のスパイラル形状のスロット線路の場合に比較して、
誘電体基板上におけるスロットの占有面積を縮小化する
ことができ、全体にさらに小型化が図れる。
り、さらに誘電体基板の比誘電率を高くすることによ
り、電磁界の誘電体基板部分へのエネルギーの閉じ込め
性が高まり、電磁界の外部への放射が抑えられる。
タの構成を図4を参照して説明する。誘電体基板1の図
における上面にはスロット電極2、下面にはスロット電
極2と同じ(鏡対称の)パターンのスロットが施された
スロット電極7をそれぞれ設けている。このように、誘
電体基板の両面にスロット電極を設けることによって、
ダブルスロット構造のスロット線路を構成している。ス
ロット電極2には、旋回方向が逆の2つのスパイラルを
線対称の関係で接続したような形状としている。このス
ロット線路は、2つのスパイラル形状のスロットの内周
端B1,B2がそれぞれ短絡端となり、線対称の位置A
が等価的に開放端となるように、線路長をλg/2とし
ている。これにより、1/2波長共振器を構成してい
る。
パターンによってコプレーナ線路を形成していて、その
中心導体がスロットのA部分においてスロットに交差す
る方向に配置している。このコプレーナ線路の下面には
接地電極を形成している。この構造によって、コプレー
ナ線路とスロット線路とが電界結合し、コプレーナ線路
を信号入出力部とする誘電体フィルタとして用いること
ができる。等価回路的には、伝送線路と接地間に1段の
トラップ共振器を設けたBEFとして作用する。
対称の関係で配置すれば、その2つのスロットの外周端
同士がつなぎ合わされる部分が、それぞれのスパイラル
形状のスロットから離れるため、その線対称の線上に入
出力回路を配置することが容易となり、入出力回路との
整合性が高まる。
タの構成例を図5を参照して説明する。図5の(A)に
おいて、R1,R2はそれぞれ図4に示したものと同様
のスロット線路による共振器であり、この2つのスロッ
ト線路を近接させることにより、磁界結合させている。
このようにして、コプレーナ線路によるポート#1とポ
ート#2を入出力部とする、2段の共振器から成る誘電
体フィルタを構成する。これにより、帯域通過特性を有
する誘電体フィルタを得る。
はそれぞれ図4に示したものと同様のスロット線路によ
る共振器であり、この3つのスロット線路を順に近接配
置することにより、それらの近接部分で磁界結合させて
いる。このようにして、コプレーナ線路によるポート#
1とポート#2を入出力部とする、3段の共振器から成
る誘電体フィルタを構成する。これにより、帯域通過特
性を有する誘電体フィルタを得る。
よびキャパシタの構成例を図6を参照して説明する。図
6の(A)において誘電体基板1の図における上面には
スロット電極2を形成し、誘電体基板1の上部に所定間
隔隔てて上部シールド板3を配置している。スロット電
極2のスロットはスパイラル形状を成し、スロット線路
上の波長をλgとしたとき、線路長をλg/8以下の長
さに定めている。また、スロット線路の内周端を短絡端
としている。
の時間平均値をWe、磁気的エネルギーの時間平均値を
Wmとすると、図5の(A)に示した構造では、Wm>
>Weの関係となり、スロット線路の外周端から線路を
見たとき集中定数素子のインダクタとして作用する。
長をλg/8以下の長さに定めるとともに、スロット線
路の内周端を開放端としている。その他の構成は(A)
の場合と同様である。これにより、Wm<<Weの関係
となり、スロット線路の外周端から線路を見たとき集中
定数素子のキャパシタとして作用する。
の構成を示す部分斜視図である。図6において1は誘電
体基板であり、この誘電体基板1を矩形導波管の内部に
配置することによって、全体としてフィンラインを構成
している。誘電体基板1の図における上面にはスロット
電極2を設けている。このスロット電極2のスロットの
パターンは図3に示したものと同様である。このような
構造によって、誘電体共振器を含むフィンラインを構成
することができる。この構造により、上記誘電体共振器
の共振周波数を通過させる帯域通過フィルタとして作用
する。
単調に変化する、全体に略円形の領域に配置されるスパ
イラル形状のスロットを形成した例を示したが、このよ
うなスパイラル形状のスロットは、図8に示すように全
体に方形の領域に収まる方形スパイラルの形状としても
よい。このような構造によって、限られた範囲でスロッ
ト線路の線路長を確保でき、誘電体基板に対するスパイ
ラル状スロットの占有面積を縮小化することができる。
ル形状の変形例である。図9の(B)はそのベンド部、
(C)は図8に示したパターンにおけるベンド部(それ
ぞれ円で囲む領域)を示している。図8に示したように
直線部とベンド部とでスロットの幅を等しくすると、図
9の(C)に示すように、スロットの内側の電流経路L
inと外側の電流経路Loutに物理的な経路差が生じ
て、スプリアスモードの発生を促すことになる。そこで
図9の(B)に示すように、ベンド部においてスロット
の内側の経路Lin′と外側の経路Lout′の経路差
が小さくなるように、ベンド部におけるスロット幅を直
線部のスロット幅より細くする。このようなパターンに
よってスプリアスモードの発生を抑えることができる。
る。図10において誘電体基板1の図における上面にス
ロット電極2を形成し、誘電体基板1の下面には略全面
のシールド電極5を設けている。図10では省略してい
るが、誘電体基板1の上部には、誘電体基板1から所定
間隔隔てて上部シールド板を配置している。誘電体基板
上面のスロット電極2には、共振器部と発振回路部とが
あり、共振器部には、図4に示したものと同様の線対称
の関係にある2つのスパイラル形状のスロットを設け
て、スロット線路による共振器を構成している。また発
振回路部には、コプレーナ線路またはコプレーナ線路に
線路変換した他の線路にFETなどによる負性抵抗回路
を接続している。この負性抵抗回路に上記スロット線路
による共振器を接続することによって帯域反射型の発振
器を構成している。
体共振器の構成を図11および図12を参照して説明す
る。図11は誘電体共振器の誘電体基板の平面図であ
る。図3などに示した例では、スロット線路のスロット
幅を長手方向のいずれの位置においても一定としたが、
この図11に示す例では、スロット幅を、スロット線路
の開放端寄りに比べて短絡端寄りの方を大きくしてい
る。このスロット電極の形成パターン以外の構成は図3
に示したものと同様である。
端から端まで一定とすれば、短絡端で電流密度が最大、
等価的開放端で電流密度が略0となるが、このように、
スロット線路の開放端寄りに比べて短絡端寄りでスロッ
ト幅を大きくすることによって、スロット線路の長手方
向における電流密度の分布は均一なものとなって、電流
の集中が抑えられる。その結果、全体の導体損が低減さ
れ、無負荷Qが更に高められる。
隣接するスロット同士の間隔を、図11に示したように
スロット線路の長手方向の位置に無関係に略一定にする
ことによって、隣接2線路間を流れる電流の相殺作用を
スロットの全長に亘って維持することができる。
けるスロット線路幅の関係を示している。(A)におい
てaで示す例では、短絡端におけるスロット幅を1とし
たときのスロット線路中央部(等価的開放端)における
スロット幅を0.5とし、その間を直線的に変化させて
いる。このように、スロット幅の変化を直線的とするこ
とによって、スロット電極のパターンの設計および形成
が容易となる。
では、スロット線路の中央から短絡端付近までスロット
線路幅を直線的に変化させ、そこから短絡端まではスロ
ット幅を一定にしている。図11に示したように、スパ
イラル形状の中心に向かう程、スロット幅を大きくする
と、線路長を確保しにくくなるが、このように、スロッ
ト線路の端部付近でスロット幅に上限を設ければ、スロ
ット線路の占有面積を増大させることなく、所定長のス
ロット線路を構成することができる。
スロット線路の長手方向に対するスロット幅の関数が、
スロット線路の中央から短絡端まで曲線で表されるよう
な、パターンとしている。また、この例では、上記関数
が上に凸な関数としている。一般に、スロット線路の電
流密度をマクロで見ると、開放端で0、短絡端で最大と
なるように、長手方向に沿って三角関数的に分布する。
しかし、スロット線路をスパイラル形状にした場合に、
電流密度の分布をミクロで見ると、幅方向に広がる成分
があり、この幅方向の成分は、幅方向の位置に対して指
数関数的に変化している。したがって、全体的に見る
と、スロット線路の長手方向の電流密度は上記三角関数
と上記指数関数を組み合わせた関数で表されるものと考
えられる。図12の(B)においてbで示したパターン
は、上記の電流密度分布を考慮したものである。上記関
数を式で表すことは困難であるが、電流密度分布を均一
化し、且つ限られた領域内で所定の線路長を得るための
スロット線路のパターンはシミュレーション等によって
求めればよい。
ンは、(A)におけるaのパターンと同じである。この
a,bに示したように、スロット幅を、スロットの長手
方向の位置に対して曲線的に変化するパターンとすれ
ば、隣接2線路間の電流の大きさが、より揃って、電流
の相殺作用が高まるという効果を奏する。
の平面図である。図1などに示した例では、スロット線
路のスロット幅を長手方向のいずれの位置においても一
定としたが、この図13に示す例では、スロット幅を、
スロット線路の開放端寄りに比べて短絡端寄りの方を大
きくしている。このスロット電極の形成パターン以外の
構造は図1に示したものと同様である。このような構成
によって、導体損を低減して無負荷Qを更に高めた1/
4波長共振器として作用する。
体基板の平面図である。この誘電体共振器は、スパイラ
ル形状のスロット線路の外周端を短絡端、内周端を開放
端としている。図2などに示した例では、スロット線路
のスロット幅を長手方向のいずれの位置においても一定
としたが、この図14に示す例では、スロット幅を、ス
ロット線路の開放端寄りに比べて短絡端寄りの方を大き
くしている。このスロット電極の形成パターン以外の構
造は図2に示したものと同様である。このような構成に
よっても、無負荷Qを高めた1/4波長共振器として作
用する。
も、図6に示した構造を基本として、上記誘電体共振器
の場合と同様に、スロットの幅をスロット線路の開放端
寄りに比べて短絡端寄りで大きくすることによって、更
に低損失なインダクタやキャパシタを得ることができ
る。
または図5に示した構造を基本として、上記誘電体共振
器の場合と同様に、スロットの幅をスロット線路の開放
端寄りに比べて短絡端寄りで大きくすることによって、
挿入損失の更に小さなフィルタを得ることができる。
極2を、誘電体基板1による誘電体層と外部の空気によ
る誘電体層との間に設けた構造としたが、例えば図15
の断面図のように、上下2つの誘電体板による2つの誘
電体層内に電磁界を閉じ込めるようにしてもよい。すな
わち、図15において、誘電体基板1と、その上部のス
ロット電極2および下部のシールド電極5の構成は、以
上に示した実施形態の場合と同様であるが、スロット電
極2の上部に更に誘電体基板1′による誘電体層を設
け、その外面にシールド電極6を形成している。ここ
で、誘電体基板1と1′の比誘電率は同一であってもよ
いし、異なっていてもよい。
を参照して説明する。図16において、送信フィルタと
受信フィルタは、それぞれ図5の(A)に示したものと
同様のスロット線路による共振器を近接させて成る誘電
体フィルタである。送信フィルタは送信周波数帯域で通
過特性、受信周波数帯域で遮断特性を示し、受信フィル
タは受信周波数帯域で通過特性、送信周波数帯域で遮断
特性を示す。
ト、Rxは受信信号出力ポート、ANTは送受共用の入
出力ポートである。これらの伝送線路としてはいずれも
コプレーナ線路としている。また、ANTポートと、送
信フィルタの終段(2段目)の共振器および受信フィル
タの初段(1段目)の共振器との間にコプレーナ線路に
よる分岐回路を構成している。これらTx,Rx,AN
Tの各ポートに送信回路,受信回路,アンテナをそれぞ
れ接続することによって、誘電体デュプレクサを通信装
置におけるアンテナ共用器として用いる。
を用いた通信装置の構成例を示すブロック図である。図
17においてANTは送受信アンテナ、DPXはデュプ
レクサ、BPFa,BPFb,BPFcはそれぞれ帯域
通過フィルタ、AMPa,AMPbはそれぞれ増幅回
路、MIXa,MIXbはそれぞれミキサ、OSCは発
振器、DIVは分周器(シンセサイザー)である。MI
XaはDIVから出力される周波数信号を変調信号で変
調し、BPFaは送信周波数の帯域のみを通過させ、A
MPaはこれを電力増幅してDPXを介しANTより送
信する。BPFbはDPXから出力される信号のうち受
信周波数帯域のみを通過させ、AMPbはそれを増幅す
る。MIXbはBPFcより出力される周波数信号と受
信信号とをミキシングして中間周波信号IFを出力す
る。
16に示した構造の誘電体デュプレクサを用いることが
でき、帯域通過フィルタBPFa,BPFb,BPFc
は図5に示した構造の誘電体フィルタを用いることがで
き、発振器OSCは図10に示した構造の発振器を用い
ることができる。これらの誘電体フィルタおよび発振器
は高周波回路部の回路基板に表面実装する。このように
して全体に小型の通信装置を構成することができる。な
お、上記インダクタやキャパシタについても、誘電体フ
ィルタや発振器の場合と同様に、高周波回路部の回路基
板上に表面実装して、通信装置を構成する。
基板上の限られた占有面積内に共振器を構成することが
でき、しかもスパイラル形成により生じるスロット線路
の隣接2線路間を流れる電流が相殺され、導体損が大幅
に低減され、無負荷Q(Qo)の高い誘電体共振器が得
られる。
線路の長手方向の電流密度分布が均一となって、電流の
集中が抑えられる。その結果、全体の導体損が更に低減
される。
線路の全域に亘って、導体損をより低減することがで
き、誘電体共振器全体の無負荷Qをより高めることがで
きる。
の長手方向の電流密度分布をより均一にし、隣接2線路
間の電流の相殺作用を高めることができる。
路長が短くなって、占有面積もさらに縮小化される。
ル形状のスロット線路の外周端が磁界強度の最大点とな
り、外部回路との接続が容易となる。
位置で電界が最大、2つのスパイラル形状のスロット線
路のそれぞれの内周端で磁界が最大となるため、電磁界
の閉じ込め性が良好となる。そのため回路に応用した際
の高集積化が実現できる。
位置で電界が最大となり、また隣接するスロット線路と
の距離が離れる。そのため、入出力回路との整合性が高
まる。
板に対するスパイラル形状のスロット線路の占有面積が
さらに縮小化される。
ば、誘電体基板上の限られた占有面積内に低損失なイン
ダクタまたはキャパシタを構成することができ、スロッ
ト線路を伝送路とする回路内に容易に設けることができ
る。
ば、さらに低損失なインダクタまたはキャパシタを構成
することができる。
低損失な誘電体フィルタが構成でき、且つ集積化された
高周波回路内に容易に設けることができる。
低損失な発振器が構成でき、且つ集積化された高周波回
路内に容易に設けることができる。
低損失な誘電体デュプレクサが構成でき、且つ集積化さ
れた高周波回路内に容易に設けることができる。
低損失な誘電体フィルタ、インダクタ、キャパシタまた
は発振器を用いることにより、全体に小型で高効率な通
信装置が得られる。
す図
す図
す図
示す図
示す図
シタの構成例を示す図
す図
を示す図
の例を示す図
示す図
の例を示す図
パラメータを示す図
Claims (17)
- 【請求項1】 誘電体層の外面または内部に、スパイラ
ル形状のスロットを有するスロット電極を設けてスロッ
ト線路を構成するとともに、前記スロット電極から所定
距離離れた位置にシールド用導体を設けて、前記スロッ
ト線路を共振線路としたことを特徴とする誘電体共振
器。 - 【請求項2】 前記スロットの幅を、前記スロット線路
の開放端寄りに比べて短絡端寄りで大きくしたことを特
徴とする請求項1に記載の誘電体共振器。 - 【請求項3】 前記スロットの幅を、前記スロット線路
の開放端から短絡端まで略全域に亘って変化させたこと
を特徴とする請求項2に記載の誘電体共振器。 - 【請求項4】 前記スロット線路の幅を、前記スロット
の長手方向の位置に対して曲線的に変化させたことを特
徴とする請求項3に記載の誘電体共振器。 - 【請求項5】 前記スロット線路の一方の端部を短絡
端、他方の端部を開放端として、前記スロット線路を1
/4波長の共振線路とした請求項1〜4のうちいずれか
に記載の誘電体共振器。 - 【請求項6】 前記スロット線路の外周端を短絡端とし
て、前記スロット線路を1/4波長または1/2波長の
共振線路とした請求項1〜4のうちいずれかに記載の誘
電体共振器。 - 【請求項7】 前記スロット電極は、互いに外周端同士
がつながった点対称の関係にある、それぞれがスパイラ
ル形状の2つのスロットを有し、該2つのスロットのそ
れぞれの内周端を前記スロット線路の短絡端とした請求
項1〜4のうちいずれかに記載の誘電体共振器。 - 【請求項8】 前記スロット電極は、互いに外周端同士
がつながった線対称の関係にある、それぞれがスパイラ
ル形状の2つのスロットを有し、該2つのスロットのそ
れぞれの内周端を前記スロット線路の短絡端とした請求
項1〜4のうちいずれかに記載の誘電体共振器。 - 【請求項9】 前記スロットの全体が略方形状に変形し
たスパイラル形状である請求項1〜8にうちいずれかに
記載の誘電体共振器。 - 【請求項10】 誘電体層の外面または内部に、スパイ
ラル形状のスロットを有するスロット電極を設けてスロ
ット線路を構成するとともに、該スロット線路の先端を
短絡端とし、スロット長を当該スロット線路の伝送波長
の1/8以下にし、前記スロット電極から所定距離離れ
た位置にシールド用導体を設けたことを特徴とするイン
ダクタ。 - 【請求項11】 前記スロットの幅を開放端寄りに比べ
て短絡端寄りで大きくしたことを特徴とする請求項10
に記載のインダクタ。 - 【請求項12】 誘電体層の外面または内部に、スパイ
ラル形状のスロットを有するスロット電極を設けてスロ
ット線路を構成するとともに、該スロット線路の先端を
開放端とし、スロット長を当該スロット線路の伝送波長
の1/8以下にし、前記スロット電極から所定距離離れ
た位置にシールド用導体を設けたことを特徴とするキャ
パシタ。 - 【請求項13】 前記スロットの幅を開放端寄りに比べ
て短絡端寄りで大きくしたことを特徴とする請求項12
に記載のキャパシタ。 - 【請求項14】 請求項1〜9のうちいずれかに記載の
誘電体共振器に信号入出力部を設けて成る誘電体フィル
タ。 - 【請求項15】 請求項1〜9のうちいずれかに記載の
誘電体共振器に負性抵抗回路を結合させて成る発振器。 - 【請求項16】 送信信号入力ポートと送受共用入出力
ポートとの間、および該送受共用入出力ポートと受信信
号出力ポートとの間に、請求項14に記載の誘電体フィ
ルタを、送信フィルタおよび受信フィルタとしてそれぞ
れ設けて成る誘電体デュプレクサ。 - 【請求項17】 請求項10もしくは11に記載のイン
ダクタ、請求項12もしくは13に記載のキャパシタ、
請求項14に記載の誘電体フィルタ、請求項15に記載
の発振器または請求項16に記載の誘電体デュプレクサ
のうち少なくとも1つを備えた通信装置。
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