JP2001076877A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその駆動方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその駆動方法

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JP2001076877A
JP2001076877A JP24773699A JP24773699A JP2001076877A JP 2001076877 A JP2001076877 A JP 2001076877A JP 24773699 A JP24773699 A JP 24773699A JP 24773699 A JP24773699 A JP 24773699A JP 2001076877 A JP2001076877 A JP 2001076877A
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thin film
organic
light emitting
film layer
dye
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Hiroyuki Suzuki
博之 鈴木
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Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 EL量子効率の高い有機エレクトロルミネッ
センス素子、および該有機エレクトロルミネッセンス素
子のEL量子効率を向上させるための駆動方法の提供。 【解決手段】 正孔注入電極、電子注入電極およびこれ
らの電極間に形成された有機薄膜層を具えた有機エレク
トロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層は、
イオン性の発光材料を含有するポリビニルカルバゾール
薄膜から成ることを特徴とする有機エレクトロルミネッ
センス素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視から近赤外波
長領域の新規な高効率有機エレクトロルミネッセンス素
子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機低分子材料の多層蒸着薄膜(例え
ば、アプライド・フィジックス・レターズ、51巻、9
13ページ、1987年)や共役高分子薄膜(例えば、
ネイチャー、347巻、539ページ、1990年)に
おいて低電圧駆動が可能な可視波長帯のエレクトロルミ
ネッセンス(以下、ELと略記する)が発見されて以
来、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機E
L素子と略記する)のディスプレーへの応用に向けた活
発な取り組みが日欧米を中心に行われている。有機EL
素子における材料・素子構造両面での研究開発の進展に
より、現在ではプロトタイプ的なディスプレーや用途を
限定した小型の表示素子の製造が小規模に行われてい
る。しかし、有機EL素子のディスプレーへの本格的な
実用化を実現するには、克服すべき課題として動作素子
寿命やEL量子収率のさらなる向上が残されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有機EL素子の本格的
な実用化を前に克服すべき課題である動作素子寿命およ
びEL量子収率の向上は、互いに密接な関連を持ってい
る。動作素子寿命の長寿命化は、EL量子収率の増大に
よる動作条件の緩和によっても実現できるため、実際に
はEL量子収率の増大を実現することが最優先の課題で
ある。
【0004】有機EL素子では、電極から有機薄膜層に
注入された電子と正孔の再結合により生成する発光材料
の励起状態が、基底状態へ輻射的に緩和することでEL
が発生する。したがって、EL量子収率の向上には、励
起状態をできるだけ効率よく生成させることが重要であ
る。電子と正孔の再結合により生成する励起状態には、
電子と正孔が持つ電子スピンの組み合わせにより一重項
励起状態と三重項励起状態の二種類があり、これらの励
起状態が順に1:3の割合で生成される。通常の有機E
L素子では、これら二種類の励起状態のうち一重項励起
状態からの発光が利用される。しかし、上述したように
電子と正孔の再結合によって生成する一重項励起状態
は、全励起状態の25%に留まるため、有機EL素子の
量子収率には原理的な限界があるという欠点を有してい
た。
【0005】最近では、電子と正孔の再結合により生成
する励起状態をより効率的にELの発光源として活用す
ることを目的とし、全励起状態の75%を占める三重項
励起状態からの発光を利用した有機EL素子も作製され
ている(例えば、ネーチャー、295巻、151ペー
ジ、1998年、アプライド・フィジックス・レター
ズ、74巻、442ページ、1999年およびアプライ
ド・フィジックス・レターズ、75巻、4ページ、19
99年)。しかし、励起三重項状態は寿命がミリ秒から
数秒程度と長いため、周囲の物質と不必要な化学反応を
起こしやすく、その結果動作素子寿命が短くなるという
欠点を有していた。
【0006】上述のように、一重項励起状態からの発光
に関する原理的な量子効率の限界は25%であるが、そ
の値はあくまでも原理的な上限であり、実際に発光とし
て外部に取り出すことのできるEL量子効率は、様々な
損失要因により25%よりもかなり小さな値となる。
【0007】本発明においては、一重項励起状態からの
発光におけるEL量子効率の向上を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような欠点の解決の
ための本発明の第1の実施形態は、正孔注入電極、電子
注入電極およびこれらの電極間に形成された有機薄膜層
から構成される有機エレクトロルミネッセンス素子にお
いて、有機薄膜層がイオン性の発光材料を含むポリビニ
ルカルバゾール薄膜からなることを特徴とする有機エレ
クトロルミネッセンス素子である。
【0009】本発明の第2の実施形態は、前記イオン性
の発光材料は、レーザー色素であることを特徴とする第
1の実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子であ
る。
【0010】本発明の第3の実施形態は、前記レーザー
色素は、キサンテン系色素、オキサジン系色素、シアニ
ン系ポリメチン色素、およびスチリル系ポリメチン色素
から成る群から選択されることを特徴とする第2の実施
形態の有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0011】本発明の第4の実施形態は、前記有機薄膜
層は、電子輸送材料をさらに含むことを特徴とする第1
〜3の実施形態のいずれか1つの有機エレクトロルミネ
ッセンス素子である。
【0012】本発明の第5の実施形態は、前記電子輸送
材料は、オキサジアゾール系低分子およびジフェノキノ
ン系低分子から成る群から選択される材料を含むことを
特徴とする第4の実施形態の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子である。
【0013】本発明の第6の実施形態は、第1〜5の実
施形態のいずれか1つに記載の有機エレクトロルミネッ
センス素子の駆動方法であって、前記有機エレクトロル
ミネッセンス素子を直流モードで駆動して、発光の量子
効率を向上させることを特徴とする駆動方法である。
【0014】本発明の第7の実施形態は、前記直流モー
ドの駆動は、定電流モードであることを特徴とする第6
の実施形態の駆動方法である。
【0015】本発明の第8の実施形態は、前記定電流モ
ードにおける電流密度は、0.1〜100mA/cm2
であることを特徴とする第7の実施形態の駆動方法であ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】我々は、前述の一重項励起状態か
らの発光の量子効率を向上すべく、いろいろな有機物質
を組み合わせた有機EL素子を作製し、その発光特性を
検討した。その結果、イオン性の発光材料を分散したポ
リビニルカルバゾール(以下、PVKと略記する)薄膜
を含む有機EL素子において、その発光効率が駆動時間
とともに大幅に増大する特異な現象を発見した。我々
は、その原因について鋭意検討を行った結果、PVK薄
膜層に分散されたイオン性の発光材料が、素子駆動のた
めに印加するバイアス電界に沿って配向し、その結果形
成されるバイアス電界とは反対方向の内部電界が二つの
注入電極との界面に局部的に働き、電子及び正孔の注入
を促進することが原因であることを突きとめた。本発明
により、PVK中に分散したイオン性の発光材料の配向
に基づくEL量子収率の増大効果を用いて高効率の有機
EL素子を実現することができた。
【0017】以下に本発明を図を参照しつつ説明する。
本発明の有機EL素子は、図1に示すように、透明な基
板上1に正孔注入電極2、有機薄膜層3、電子注入電極
4が順に積層された構造を有している。
【0018】有機薄膜層3は、二層以上の多層構造を有
してもよいが、より高効率の有機EL素子を実現するた
めには単層構造を持つことが望ましい。透明基板1とし
ては、可視光および近赤外光(EL発光波長域の光)を
できるだけ透過するものが望ましく、例えばガラス、石
英、透明サファイア、透明プラスチックなどが挙げられ
る。
【0019】正孔注入電極2としては、仕事関数が大き
い(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物および
これらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いら
れる。このような電極物質の具体例としては、金、白金
などの金属、ITO,SnO2,ZnO,CuIなどの
導電性を有した透明材料または半透明材料が挙げられ
る。これらの正孔注入電極は、これらの電極用物質を蒸
着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ
ることにより作製することができる。この電極よりEL
発光を取り出す場合には、好ましくは10%より大き
い、より好ましくは50%より大きい、および最も好ま
しくは80%より大きい発光波長域における透過率を有
することが望ましい。また、電極としてのシート抵抗は
数百Ω/□以下、好ましくは10〜30Ω/□が望まし
い。さらに膜厚は材料にもよるが、10〜200nmの
範囲で選ばれる。
【0020】一方、電子注入電極4としては、仕事関数
の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物
およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく
用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウ
ム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウ
ム、インジウム、イットリウムの他、プラセオジム、ユ
ーロピウム、エルビウム、ネオジム、イッテルビウム、
サマリウムなどの希土類金属などが挙げられる。これら
の電子注入電極は、これらの電極用物質を真空蒸着法あ
るいはスパッタリング法により、薄膜を形成させること
により作製することができる。この電極よりEL発光を
取り出す場合には、好ましくは10%より大きい、より
好ましくは30%より大きい、および最も好ましくは5
0%より大きい発光波長域における透過率を有すること
が望ましい。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/
□以下が望ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、好ま
しくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0021】なお、本発明の有機EL素子においては、
該正孔注入電極または電子注入電極のいずれか一方が透
明または半透明であること、すなわち前記発光波長域に
おける透過性の条件を満たすことが、発光の効率的な透
過の観点から好都合である。
【0022】有機薄膜層3は、イオン性の発光材料を含
有したポリビニルカルバゾールからなれば何でもよい。
本発明において用いられるポリビニルカルバゾールは、
以下の性質により選択された。
【0023】(1)正孔輸送性であること、すなわち発
光材料を分散させるマトリックス自体が正孔輸送性であ
るため、別個の正孔輸送材料を添加する必要がないこ
と。
【0024】(2)イオン性発光材料(特に、後述する
レーザー色素)を濃度1重量%程度で、かつ電子輸送材
料を濃度10重量%以上で分子分散できること。
【0025】(3)イオン性発光材料および/または電
子輸送材料の分散によりガラス転移温度が低下するこ
と。これによって、(特に外部から加熱することなし
に)素子駆動時に発生するジュール熱による素子温度上
昇により、有機薄膜層が柔軟性を帯び、バイアス電界に
よるイオン性発光材料の配向が可能であること。
【0026】(4)可視および近赤外域に吸収を持た
ず、透明であること。
【0027】前述のように、ポリビニルカルバゾール
は、本発明の有機薄膜層を構成するために必要な条件を
兼ね備えた優れた材料である。
【0028】また、本発明に用いられるポリビニルカル
バゾールは、数万〜数十万程度の分子量を有することが
望ましい。この範囲より小さい分子量を有する場合に
は、良質の成膜が困難であり、一方、この範囲より大き
な分子量を有する場合には、溶媒に対して溶解するのが
困難になる。
【0029】ただし、有機薄膜層3は、電子のより効率
的な注入を実現するため、有機薄膜層の重量を基準とし
て、10〜50重量%、好ましくは30〜50重量%の
濃度の電子輸送材料をさらに含むことが好ましい。
【0030】電子輸送材料としては、従来の有機EL素
子に用いられてきた電子輸送材料のうち、ポリビニルカ
ルバゾール中に分散するものであれば何でも良いが、具
体的にはオキサジアゾール系やジフェノキノン系の低分
子がある。本発明において用いられる電子輸送材料は、
発光材料であるイオン性色素における高効率な電子と正
孔との再結合を起させるために、ポリビニルカルバゾー
ル(イオン化ポテンシャル:5.8eV、電子親和力:
2.2eV)よりもイオン化ポテンシャルが大きいこ
と、あるいは電子親和力が小さいことの少なくともいず
れか1つの条件を満たすことが望ましい。もし、電子輸
送材料が前記条件のいずれをも満たさない場合には、電
子と正孔との再結合が電子輸送材料において起こるため
に、好ましくない。有機薄膜層3に電子輸送材料を添加
することにより、電子の注入効率が向上し、したがって
EL閾電圧を低下させ、およびEL量子効率を向上させ
ることができる。
【0031】イオン性の発光材料とは、反対電荷の対イ
オンと結合している正または負に荷電したイオンを含む
発光材料、あるいは、同一分子内において正および負に
荷電した双性イオンである発光材料を意味する。イオン
性の発光材料は、発光効率が高くPVK中に濃度0.1
〜10重量%で分散することができれば何でもよい。イ
オン性の発光材料の具体例は、キサンテン系色素(波長
530〜690nm用)、オキサジン系色素(波長65
0〜800nm用)およびシアニン系やスチリル系のポ
リメチン色素(波長750〜1600nm用)などの多
数のレーザー色素を含み(例えば、機能性有機色素、1
71ページ、講談社サイエンティフィク、1992
年)、目的とする発光波長に応じてこれらの中から選択
することができる。なお、本明細書中のレーザー色素と
は、一重項励起状態において、三重項状態への項間交差
あるいは振動を介する緩和のような無輻射過程の起こる
確率が小さいため、効率よく蛍光を発光し、また少なく
とも溶液中で光励起によりレーザー発振を示す色素を意
味する。
【0032】本発明において用いることができるキサン
テン系色素は、ローダミン110、ローダミン19、ロ
ーダミン6G、ローダミンB、スルフォローダミンB、
ローダミン101、スルフォローダミン101、ローダ
ミン700、およびローダミン800を含むが、これら
に限定されるものではない。
【0033】本発明において用いることができるオキサ
ジン系色素は、クレシルバイオレット、ナイルブルー、
オキサジン4、オキサジン170、オキサジン1、およ
びオキサジン750を含むが、これらに限定されるもの
ではない。
【0034】本発明において用いることができるシアニ
ン系ポリメチン色素は、DQOCI、DCI−2、DT
CI、DQTCI、DODCI、DTDCI、HIDC
I、クリプトシアニン、DDI、メチル−DOTCI、
HITCI、IR125、DTTCI、IR144、D
NTTCI、HDITCI、DDTTCI、DDCI−
4、IR140、IR132、IR26、およびIR5
を含むが、これらに限定されるものではない。
【0035】本発明において用いることができるスチリ
ル系ポリメチン色素は、スチリル6、スチリル8、スチ
リル11、スチリル9M、スチリル15、スチリル1
4、およびスチリル20を含むが、これらに限定される
ものではない。
【0036】なお、上記の色素は、ラムダフィジック(L
AMBDA PHYSIK)社から入手可能である。
【0037】この有機薄膜層は、注入電極の上に通常5
0〜300nmの厚さでスピンコーティング、ドクター
ブレードコーティング、ディップコーティングなどの方
法により積層される。
【0038】本発明の有機EL素子は、直流モードにお
いて駆動すると、駆動時間につれてその発光の量子効率
が増大する。この効果は、直流モードの中でも、特に定
電流モードでの駆動において、その作用をより直接的に
認識することができる。これは、有機EL素子の量子効
率が、駆動電流に対する発生した光子数の比で表わされ
るためである。この効果は、直流モードの駆動を行うこ
とにより、PVK層に分散されたイオン性の発光材料
が、印加するバイアス電界に沿って配向し、その結果形
成されるバイアス電界とは反対方向の内部電界が二つの
注入電極との界面に局部的に働き、電子及び正孔の注入
を促進することが原因である。このような特異な効果
は、イオン性色素を非PVKマトリックスに分散させた
場合にも、非イオン性色素をPVKマトリックスに分散
させた場合にも報告されておらず、本発明のイオン性発
光材料(色素)とPVKマトリックスの組合せが、本質
的に重要であることを示している。
【0039】本発明の有機EL素子を駆動する際の電流
密度は、好ましくは0.1〜100mA/cm2、およ
び、より好ましくは0.1〜10mA/cm2である。
小さすぎる電流密度は、イオン性の発光材料の配向を行
わないし、大きすぎる電流密度は、電子注入用および/
または正孔注入用電極の劣化をもたらす恐れがあるため
に好ましくない。
【0040】本発明の有機EL素子は、電子注入および
正孔注入を促進するための層を持たない。もし、電子注
入および/または正孔注入を促進するための層を有機薄
膜層と該当する電極との間に配置した場合、イオン性発
光材料の配向による内部電界が電極表面に作用しなくな
るために、直流モード駆動によるEL量子効率の向上効
果が非常に小さくなるか、あるいは消失すると考えてい
る。
【0041】次に、具体的な実施例により本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりな
んら限定されるものではない。
【0042】
【実施例】[実施例1]ガラス基板上にITOを厚さ1
00nmで形成したものを正孔注入電極とした。この基
板を界面活性剤中で10分間超音波洗浄を行い、よくイ
オン交換水で洗浄した後、順にアセトン、イソプロピル
アルコール中でそれぞれ20分間超音波洗浄を行った。
この基板上に乾燥後直ちに、ポリメチン系のイオン性レ
ーザー色素である2−(6−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−2,4−ネオペンチレン−1,3,5−ヘキサ
トリエニル)−3−メチル−ベンゾチアゾリウム過塩素
酸塩(エキシトン(EXCITON)社製、以下、LDS821
と略記する。PVKに対し、濃度1重量%)、電子輸送
材料である2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−
ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(同
仁化学研究所製、以下、PBDと略記する。PVKに対
し、濃度10または30重量%)およびPVK(アルド
リッチ(Aldrich)製)を溶解したクロロホルム溶液をス
ピンコートし、厚さ300nmの薄膜を作製した。この
サンプルを真空蒸着装置内にいれ、真空度3×10-6
orr、蒸着速度3nm/sでAl電極(厚さ:200
nm)を作製した。このように作製した有機EL素子の
うち、PBD濃度が10重量%のものを素子1、30重
量%のものを素子2と呼ぶ。
【0043】次に素子1と2をヘリウムガス雰囲気の試
料室に入れ、ソースメジャーユニットと光電子増倍管を
用いて電流−電圧−電界発光強度(EL強度)特性を、
分光器とCCD検出器を用いてELスペクトルを、また
校正されたSiフォトダイオードと増幅器を用いてEL
量子収率を測定した。図2および図3にそれぞれ素子2
の電流−電圧−EL強度特性およびELスペクトルを示
す。EL閾電圧は、素子1で15V、素子2では7Vで
あった。またEL量子収率は、電流密度0.01〜20
mA/cm2において、素子1では0.0005%、素
子2では0.015%であった。一方、素子1と2は同
一のELスペクトルを与え、蛍光スペクトルとの比較か
ら、ELは発光材料であるLDS821から発せられて
いることが解った。
【0044】次に、素子2を定電流モードで駆動したと
ころ、駆動時間とともにEL強度、すなわちEL量子収
率が増大した。量子効率増大の応答速度(すなわち駆動
時間)と増大率は、電流密度0.1mA/cm2駆動下
では約5時間後に80倍(すなわちEL量子収率約1
%)(図4)であった。また電流密度1mA/cm2
たは10mA/cm2駆動下では、応答速度と増大率は
それぞれ、約4時間後に5.2倍(EL量子収率約0.
08%)および約30分後に2.6倍(すなわちEL量
子収率約0.04%)であった。ここで、1mA/cm
2または10mA/cm2駆動下でEL強度の増大率が小
さかったのは、駆動中に電子注入用Al電極の劣化が起
こるためである。
【0045】本実施例において、1mA/cm2の電流
密度においてさえ電子注入用Al電極の劣化が起きたの
は、アルミニウムの仕事関数が4.3eVと比較的大き
な値を有することによる。そのような仕事関数の値を有
するために、電子注入に対する比較的大きなエネルギー
障壁が存在し、ジュール熱の発生量が大きくなり、した
がって比較的低い電流密度においても電極の劣化が起こ
る。電子注入用電極として、仕事関数のより小さいアル
カリ土類金属等を用いれば、より大きな電流密度を用い
ても、電極の劣化を伴わずにEL量子収率の向上を行う
ことが可能である。
【0046】[実施例2]実施例1と同様に正孔注入電
極を形成し、および洗浄した基板上に、乾燥後直ちに、
キサンテン系のイオン性レーザー色素であるローダミン
6G(ラムダフィジック(LAMBDA PHYSIK)社製、以下、
R6Gと略記する。PVKに対し、濃度1重量%)、電
子輸送材料であるPBD(PVKに対し、濃度30重量
%)およびPVKを溶解したクロロホルム溶液をスピン
コートし、厚さ300nmの薄膜を作製した。このサン
プルを真空蒸着装置内にいれ、真空度4×10-6Tor
r、蒸着速度3nm/sでAl電極(厚さ:200n
m)を作製した。このように作製した有機EL素子を素
子3と呼ぶ。
【0047】次に素子3について実施例1の場合と同様
に電流−電圧−EL強度特性、ELスペクトルおよびE
L量子収率を測定した。EL閾電圧は8V、EL量子収
率は、電流密度0.01〜20mA/cm2において、
0.02%であった。また、ELスペクトルは蛍光スペ
クトルとの比較から、発光材料であるR6Gから出てい
ることが解った。
【0048】次に、素子3を定電流モードで駆動したと
ころ、駆動時間とともにEL強度、すなわちEL量子収
率が上昇した。量子効率増大の応答速度と増大率は、電
流密度0.1mA/cm2駆動下では約3時間後に10
0倍(すなわちEL量子収率約2%)であった。また電
流密度1mA/cm2または10mA/cm2駆動下で
は、応答速度と増大率は、それぞれ、約3時間後に10
倍(すなわちEL量子収率約0.2%)および約20分
後に3倍(すなわちEL量子収率約0.06%)であっ
た。ここで1mA/cm2または10mA/cm2駆動下
でEL強度の増大率が小さかったのは、駆動中に電子注
入用Al電極の劣化が起こるためである。
【0049】[実施例3]実施例1と同様に正孔注入電
極を形成し、および洗浄した基板上に、乾燥後直ちに、
オキサジン系のイオン性レーザー色素であるオキサジン
750(ラムダフィジック(LAMBDA PHYSIK)社製、以
下、O750と略記する。PVKに対し、濃度1重量
%)、電子輸送材料であるPBD(PVKに対し、濃度
30重量%)およびPVKを溶解したクロロホルム溶液
をスピンコートし、厚さ300nmの薄膜を作製した。
このサンプルを真空蒸着装置内にいれ、真空度2×10
-6Torr、蒸着速度5nm/sでAl電極(厚さ:2
00nm)を作製した。このように作製した有機EL素
子を素子4と呼ぶ。
【0050】次に素子4について実施例1の場合と同様
に電流−電圧−EL強度特性、ELスペクトルおよびE
L量子収率を測定した。EL閾電圧は8V、EL量子収
率は、電流密度0.01〜20mA/cm2において、
0.015%であった。また、ELスペクトルは蛍光ス
ペクトルとの比較から、発光材料であるO750から発
せられていることが解った。
【0051】次に、素子4を定電流モードで駆動したと
ころ、駆動時間とともにEL強度、すなわちEL量子収
率が上昇した。量子効率増大の応答速度と増大率は、電
流密度0.1mA/cm2駆動下では約3.5時間後に
90倍(すなわちEL量子収率約2%)であった。また
電流密度1mA/cm2または10mA/cm2駆動下で
は、応答速度と増大率は、それぞれ、約3時間半後に8
倍(すなわちEL量子収率約0.12%)および約25
分後に3倍(つまりEL量子収率約0.045%)であ
った。ここで1mA/cm2または10mA/cm2駆動
下でEL強度の増大率が小さかったのは、駆動中に電子
注入用Al電極の劣化が起こるためである。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば通常
の駆動条件の他に新たな操作を全く付加することなし
に、可視から近赤外領域において発光する高効率の有機
EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の
構成図である。
【図2】本発明で作製した有機エレクトロルミネッセン
ス素子(素子2)の電流−電圧−EL強度特性を示すグ
ラフである。
【図3】本発明で作製した有機エレクトロルミネッセン
ス素子(素子2)からのELスペクトルを示すグラフで
ある。
【図4】本発明で作製した有機エレクトロルミネッセン
ス素子(素子2)を定電流モード0.1mA/cm2
で駆動した場合のEL強度の駆動時間依存性のグラフで
ある。
【符号の説明】
1 透明電極 2 正孔注入電極 3 有機薄膜層 4 電子注入電極

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正孔注入電極、電子注入電極およびこれ
    らの電極間に形成された有機薄膜層を具えた有機エレク
    トロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層は、
    イオン性の発光材料を含有するポリビニルカルバゾール
    薄膜から成ることを特徴とする有機エレクトロルミネッ
    センス素子。
  2. 【請求項2】 前記イオン性の発光材料は、レーザー色
    素であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレク
    トロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 前記レーザー色素は、キサンテン系色
    素、オキサジン系色素、シアニン系ポリメチン色素、お
    よびスチリル系ポリメチン色素から成る群から選択され
    ることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 前記有機薄膜層は、電子輸送材料をさら
    に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに
    記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 前記電子輸送材料は、オキサジアゾール
    系低分子およびジフェノキノン系低分子から成る群から
    選択される材料を含むことを特徴とする請求項4に記載
    の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つに記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法であって、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子を直流モードで
    駆動して、発光の量子効率を向上させることを特徴とす
    る駆動方法。
  7. 【請求項7】 前記直流モードの駆動は、定電流モード
    であることを特徴とする請求項6に記載の駆動方法。
  8. 【請求項8】 前記定電流モードにおける電流密度は、
    0.1〜100mA/cm2であることを特徴とする請
    求項7に記載の駆動方法。
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