JP2001074934A - 偏光光学素子 - Google Patents

偏光光学素子

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JP2001074934A
JP2001074934A JP24986299A JP24986299A JP2001074934A JP 2001074934 A JP2001074934 A JP 2001074934A JP 24986299 A JP24986299 A JP 24986299A JP 24986299 A JP24986299 A JP 24986299A JP 2001074934 A JP2001074934 A JP 2001074934A
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JP24986299A
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Masato Kuwabara
眞人 桑原
Koichi Fujisawa
幸一 藤沢
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】偏光分離・合成を用いずに自然光に対する透過
率が50%以上の偏光光学素子を提供する。 【解決手段】(1)一方の領域(A)が、長さが光の波
長より長い長軸と光の波長より短い短軸を有する異方的
な形状であり、長軸に平行に振動する電気ベクトルを持
つ直線偏光に対する角度(ラジアン単位)で表した複屈
折位相差が、該領域Aの部分では、式1:δ
( δは任意の角度)であり、該領域以外の部分(領域
B)では、式2:δ+2nπ (nは整数でn≠
0、δは式1と同じ値)であり、領域Aの短軸に平行に
振動する電気ベクトルを持つ直線偏光に対して、式3:
δ+mπ (mは整数)になるように領域A、Bが形
成され、実質的に光の吸収や反射を伴わなずに、入射し
た自然光が領域A及び/又はBを経由して同一方向に振
動する直線偏光として、出射光の強さが入射光の強さの
50%を超えて取り出せる偏光光学素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不特定な偏光状態
が混合された自然光を一方向の偏光に変換するための偏
光光学素子であり、偏光の分離・合成を伴わずに自然光
に対する透過率が50%を超える偏光光学素子および、
それを用いた表示装置、光源または記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置などに用いられている偏光
板は、延伸された高分子フィルムにヨウ素や二色性色素
などの吸収に異方性を有する化合物を吸着、配向させて
なり、偏光板に入射した光のうち二色性色素の吸収軸に
平行な光を吸収し、それと直交する成分の光を透過する
ことにより直線偏光を得ている。このような吸収型の偏
光板では原理的に自然光に対する透過率は50%を超え
ることができないため、光の利用効率が悪かった。分光
分析などに用いられている偏光素子は、複屈折性結晶を
伝搬する固有偏光に対する屈折率の違いや、反射率の違
いを利用し、一方の固有偏光を光路からはずすことによ
り直線偏光を得ている。このような偏光素子の例として
グラン−トンプソンプリズムやニコルプリズムなどが挙
げられるが、自然光に対する透過率は原理的に50%を
超えることができない。また、可視光より波長の長い赤
外線に対しては、細い金属線を平行に並べたワイヤーグ
リッド偏光子が用いられている。ワイヤーグリッド偏光
子では、金属線に垂直に振動する電気ベクトルを持つよ
うな偏光を透過し、金属に平行に振動する電気ベクトル
を持つ偏光を反射することにより、直線偏光を得てい
る。
【0003】コレステリック液晶を用いた円偏光板で
は、選択波長域の光が入射した場合に、コレステリック
液晶のネジレと同じ方向の円偏光は反射され、異なる方
向の円偏光が透過するいわゆる選択反射性を示す。コレ
ステリック液晶の選択反射を用いて円偏光板として、ま
たはコレステリック液晶層の後にλ/4板を配置するこ
とで、得られた円偏光を直線偏光に変換して直線偏光板
として使うことが試みられているが、この場合でも自然
光に対する透過率は50%を超えることができない。
【0004】偏光ビームスプリッターは、屈折率の異な
る多層膜からなり、自然光を多層膜にブリュースター角
で入射することによりp偏光を透過し、s偏光を反射す
ることで直線偏光を得ている。この場合でも自然光に対
する透過率は50%を超えることができず、光の利用効
率が悪かった。異方性結晶基板に回折格子を形成し偏光
素子とすることも検討されている。特開平6−2732
2号公報には異方性を有する基板上に回折格子を形成
し、基板を伝搬する固有偏光のうちいずれかに対しては
回折が起こらず、残る固有偏光に対して回折が起こるよ
うに屈折率異方性を調整することにより、異なる固有偏
光の進行方向を変化させ、偏光分離できることが開示さ
れている。この方法でも偏光を分離しているため、自然
光に対する透過率は良くなかった。
【0005】このように従来ある偏光光学素子では、自
然光に対する透過率が50%を超えることがなく光の利
用効率が悪かった。上記したような偏光の反射や屈折を
利用した偏光素子の場合、反射や屈折された光を、透過
した光の偏光状態と同じになるように変換し、透過光と
合わせて用いることにより、光の利用効率をあげること
が試みられている。例えば、特開平3−122631号
公報には、偏光ビームスプリッターを用い、図1に示す
ように偏光ビームスプリッター(1−2)に反射された
s偏光(1−4)の光路にλ/2波長板(1−5)を配
置しs偏光をp偏光(1−6)に変換した後、偏光ビー
ムスプリッターを透過したp偏光(1−3)と合成する
方法が開示されている。また、特開平10−28233
7号公報には、偏光ビームスプリッターの替わりに、直
角三角形柱列を用いる方法が例示されている。
【0006】コレステリック液晶を用いた場合も同様な
分離された偏光の再利用が検討されている。例えば、欧
州公開特許第407830号明細書には、光源の背後に
反射板を配置し、コレステリック液晶により反射された
偏光を反対まわりの偏光に変換し、再度利用することが
開示されている。さらに、欧州公開特許第407830
号明細書には、コレステリック液晶を偏光ビームスプリ
ッターの代わりに使用することも開示されている。すな
わち、コレステリック液晶層への自然光の入射角が45
゜になるように配置し、右円偏光と左円偏光に分離し、
反射された円偏光を再度反射させるときに円偏光の向き
を逆転させ、透過した円偏光と同じ偏光状態に変換し、
2つの同じ円偏光を利用することが開示されている。
【0007】また、再公表特許WO97/43671号
公報には、配向した旋光性物質層を透過した直線偏光の
旋光性が、偏光方向により異なることを利用し、ある特
定の方向の直線偏光の成分を強まるように偏光面をそろ
えるようにした偏光変換素子が開示されている。直線偏
光の偏光面をそろえる方法として、旋光性物質を配向さ
せて針状結晶のような異方性を有するものにすること
や、旋光性があっても良いベースポリマーに旋光性物質
の配向した結晶を分散する方法などが開示されている。
以上述べてきたように、従来の偏光板または偏光光学素
子で、自然光に対する透過率を50%以上にするために
は、偏光分離を行い、分離された一方の偏光状態を変換
し、2つの偏光を再度合成すると言った煩雑な工程を経
て、一つの偏光状態を得る必要があった。また、上記し
た先行文献には記載のないものもあるが、2つの偏光を
再度合成するための光学系が大きくなり、高精度の位置
調整が要求されるなどの問題もあった。さらに、複屈折
を用いたもので偏光分離を伴わず、偏光を得るための方
法はまったく知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、偏光
分離・合成を用いずに自然光に対する透過率が50%を
超える偏光光学素子を提供すること、および該偏光光学
素子を用いた表示装置、偏光光源または記憶装置を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、異方的な形状
の部分による複屈折位相差と、そうでない部分の複屈折
位相差の違いを利用することにより、偏光分離を伴わず
に偏光が得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、本発明は、下記に(1)または
(2)を提供する。 (1)一方の領域(領域A)が、長さが光の波長より長
い長軸と光の波長より短い短軸を有する異方的な形状で
あり、長軸に平行に振動する電気ベクトルを持つ直線偏
光に対する角度(ラジアン単位)で表した複屈折位相差
が、該領域Aの部分では、式1
【数4】δ ( δは任意の角度) であり、該領域以外の部分(領域B)では、式2
【数5】δ+2nπ (nは整数でn≠0、δは
式1と同じ値) であり、該領域Aの短軸に平行に振動する電気ベクトル
を持つ直線偏光に対して、式3
【数6】δ+mπ (mは整数) になるように領域A、領域Bが形成され、実質的に光の
吸収や反射を伴わなずに、入射した自然光が領域A及び
/又は領域Bを経由して同一方向に振動する直線偏光と
して、出射光の強さが入射光の強さの50%を超えて取
り出せることを特徴とする偏光光学素子。 (2)上記(1)記載の偏光光学素子を用いた表示装
置、光源または記憶装置。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の思想を図を元に詳細
に説明する。図2のaは本発明の一例の偏光素子であ
り、透明で光学的に等方的な基板(2−1)の上に、異
方性を有し断面が矩形のストライプ状の異方的な構造
(2−2)が形成されている。ストライプは、例えば、
屈折率異方性を有する物質が矩形状の断面になるように
形成されており、図2のaの2−2で示されるストライ
プのある部分の光学的な複屈折位相差が光の波長に等し
く(領域Aに該当し、位相差2πで式1においてδ=2
πに該当)であり、図2のaの2−1で示される光学的
に等方的な基板が露出している部分の位相差が0(領域
Bに該当し、式2においてδ=2π、n=−1)になる
ように形成されている。ストライプの長さは光の波長と
比較して充分長く形成されている。ストライプの幅は光
の波長に対して短くなるよう形成されており、ストライ
プ状の領域Aと領域Bの幅が同じになるように形成され
ている場合を考える。
【0012】いまストライプに平行なy軸方向に電気ベ
クトルが振動するような直線偏光が基板の下側から入射
し、z軸方向に伝播する場合を考える。図2のbは、図
2のaに示す2−2で示されるストライプが形成された
領域Aに入射したy方向に電気ベクトルが振動する直線
偏光の伝播の様子を示している。電気ベクトルの振動方
向が角柱(2−5)で示されており、角柱の長軸が電気
ベクトルの振動方向に該当する。領域Aの位相差が2π
なので、図2のbに示すように入射した光は偏光方向を
180゜回転され、ストライプと平行なy軸方向に電気
ベクトルが振動する直線偏光として出射する。また、ス
トライプの形成されていない領域Bに入射し、ストライ
プと平行なy軸方向に電気ベクトルが振動するような直
線偏光に対して、本発明の偏光素子は、位相差を生じな
いので、図2のcに示すように入射した光の偏光方向は
回転せず、ストライプと平行なy軸方向に電気ベクトル
が振動する直線偏光として出射する。従って、ストライ
プに平行なy軸方向に電気ベクトルが振動するような直
線偏光は、領域A及び領域Bのいずれを通ってもストラ
イプに平行な軸方向に振動する直線偏光として出射す
る。
【0013】次に、ストライプに直交するx軸方向に電
気ベクトルが振動するような直線偏光が、本発明の偏光
素子の下側から入射しz軸方向に伝播する場合を考え
る。ストライプの幅は光の波長より短くなるように形成
されているため、x方向に電気ベクトルが振動するよう
な直線偏光は位相差がπである領域A(2−2)と0で
ある領域B(2−1)に同時に入射するため、複数のス
トライプの位相差を平均して感じる。この例では、スト
ライプのある部分(領域A)と無い部分の(領域B)の
幅が等しくなるように形成されているため、位相差の平
均値がπ(式3においてδ=2π、m=−1)になる。
従って、図2のdに示すように入射したx軸方向に電気
ベクトルが振動する直線偏光は、光の偏光方向が90゜
回転され、ストライプに平行なy軸方向に電気ベクトル
を有する直線偏光として出射する。
【0014】このように本発明の偏光素子ではストライ
プに平行なy軸方向に振動する直線偏光も、ストライプ
に直交する方向のx軸方向の直線偏光も、ストライプに
平行なy軸方向の直線偏光として出射することができ、
直交する2つの直線偏光を分離することなしに、1種類
の直線偏光を得ることができる直線偏光光学素子として
作用する。
【0015】自然光はあらゆる状態の偏光を均等に含ん
だように見える光であり、強度の等しいx軸方向の直線
偏光とy軸方向の直線偏光の和と考えて良い。従って、
入射した自然光の強度を100とするとx軸方向の直線
偏光の強度が50、y軸方向の直線偏光の強度が50と
なる。
【0016】以上説明してきたように本願の偏光光学素
子では、入射した自然光のうち強度50のy軸方向の直
線偏光は強度を保ったまま、y軸方向の直線偏光として
偏光光学素子を出射し、入射した自然光のうち強度50
のx軸方向の直線偏光は強度を保ったままy軸方向の直
線偏光に変換されて偏光光学素子を出射する。従って、
本発明の偏光光学素子を出射するy軸方向の直線偏光強
度は50以上になり、本発明の偏光光学素子では偏光分
離・合成を伴わず自然光に対する透過率が50%を超え
ることができる。
【0017】上記の例では領域Aと領域Bの幅が等しい
場合を例にとって説明したが、複屈折の大きさと領域A
及び領域Bの幅は上記に限定されるものではない。例え
ば、上記の説明において、領域Aと領域Bの幅の比を
a:1−a(aは0から1の間の任意の数値である)と
すると領域Aの位相差と領域Bの位相差をそれぞれ2π
/aと0になるように設定すれば、ストライプの幅方向
の直線偏光が感じる位相差は、領域Aと領域Bの位相差
の加重平均になるので、上記の例と同様の効果が期待で
きる。
【0018】本発明では、基板が等方的である必要もな
い、例えば、複屈折を有する基板上に溝を形成し、スト
ライプ状の異方的な構造を作り込み、溝のない部分の位
相差が式1で示されるようにし、溝が形成された部分の
位相差が式2で示されるように設定しても良い。
【0019】本発明の異方的な形状を有する領域として
上記したストライプ状の形状に限定されるものではな
く、本発明の思想を損なわなければどのような形状であ
っても良い。例えば、図3のaに示すような等方的な媒
質(3−1)に複屈折性物質を分散し異方的な形状(3
−2)としたものでは、領域Aとして分散された複屈折
性物質が、領域Bとして等方的な媒質が相当する。ま
た、図3のbに示すように複屈折性の媒質(3−3)に
当方的な物質を分散させ異方的な形状(3−4)とした
ものなどでは、領域Aとして分散された等方的な物質
が、領域Bとして複屈折性の媒質が相当する。
【0020】また他の方法として、例えば、膜厚を変え
ずに位相差だけを変える方法が例示される。このような
方法により異方的な形状を形成する具体的な方法とし
て、複屈折媒質の部分的な分子の配向度や結晶の配向度
を変化させる方法や、ドーピングなどを行って屈折率異
方性を変化させる方法などが挙げられる。このようにし
て複屈折位相差が異なる領域が交互に配置されたストラ
イプ状の位相差分布を有する偏光光学素子を得ても良
い。
【0021】更に、本発明では式1〜式3のδ、n、
m、kの組み合わせにも限定はなく、説明で用いたよう
な(δ,n,m,k)=(2π,−1,−1,2)の組
み合わせや、等方的な媒質中に複屈折物質を分散し2π
の位相差を持たせた場合では(δ,n,m,k)=(2
π,−1,−1,2)になる。また、2πの位相差を有
する複屈折媒質に等方的な媒質を分散させた場合は
(δ,n,m,k)=(0,1,1,0)になる。この
ように本発明の主旨を損なわない限り(δ,n,m,
k)の組み合わせは任意にして良い。
【0022】本発明の基板としては、等方的な基板や複
屈折を有する基板を用いることができる。等方的な基板
としてガラスやサファイアなどの無機基板や、延伸され
ていないポリマー板やフィルムなどが例示される。複屈
折を有する基板として無機物の結晶からなり異方性を有
するものや、配向した有機低分子化合物、配向したポリ
マー板やフィルム、無機物・有機物を問わず等方的な物
質に光の波長より小さな周期構造を導入し構造複屈折を
持たせたものなどが例示される。
【0023】本発明の異方的な形状の形成方法としては
とくに限定はなく、公知の微細加工技術が適用できる。
例えば、ストライプ状の異方的な形状を形成する場合
は、上記等方的な基板上に形成した複屈折性物質をフォ
トリソグラフィー、電子ビームリソグラフィーなどの公
知の方法でストライプ状にパターンニングし、基板を露
出させることにより複屈折の異なる2種類の領域を作製
する方法や、上記複屈折性の基板をフォトリソグラフィ
ー、電子ビームリソグラフィーなどの公知の方法でスト
ライプ状にパターンニングし、膜厚の違う部分を作製す
ることにより複屈折の異なる2種類の領域を作製する方
法などが例示される。
【0024】また、媒体に異方的な形状を有するものを
分散させる方法では、異方的な形状を有する結晶で複屈
折性のあるものなどを直接等方的な媒体に分散させて、
媒体を延伸する方法、分散させるときにシェアを加えて
異方的な形状のものを配向させる方法などが例示され
る。また、可塑性の媒体に物質を分散させて媒体を延伸
することにより分散したドメインの形状を変形させ、異
方的な形状を形成する方法なども例示される。
【0025】本発明の偏光光学素子は光の吸収や反射が
なく、自然光に対する透過率が50%を超えるため、光
を有効利用することができ、明るい光源が必要な場合
や、光源による消費電力が大きい装置に用いることがで
き、例えば、表示装置、光源、記憶装置などに使用でき
る。表示装置としては、液晶表示装置や投影型の液晶表
示装置の偏光板として好適に使用できる。光源として
は、偏光した光が必要な光源であり、発光源と照明した
い物体の間に本発明の偏光光学素子を配置することによ
り、偏光を照射する光源として使用することができ、自
動車用のヘッドライトや液晶プロジェクター用の偏光光
源などが例示される。記憶装置としては、光磁気ディス
クなどの偏光状態の変化により情報を記憶する装置の光
源もしくは光検出器に用いられる偏光素子として使用で
きる。
【0026】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明
する。言うまでもないが、本発明の範囲は本実施例に限
定されるものではない。
【0027】実施例1 光学的に等方な基板としてガラスを用い、ガラス上に透
明誘電体で複屈折を有する材料を形成した部分と形成し
ない部分を設け、矩形上の断面を有するストライプ状の
異方的な構造を作製する。複屈折を有する透明誘電体の
部分の厚みを、複屈折位相差が2πになるよう調整す
る。図2のaに示すような構造の偏光光学素子を得る。
得られた偏光光学素子に自然光を入射すると、ストライ
プの長手方向に平行な直線偏光が出射する。入射光と出
射光の強度比を測定すると出射光の強さは入射光の強さ
の50%以上を超える。
【0028】実施例2 光学異方性を有する基板として延伸したポリマーフィル
ムを用い、該フィルム上に溝を形成して矩形上の断面を
有する異方的なストライプを形成し、基板の厚みにより
ストライプと平行な方向の直線偏光に対する複屈折位相
差が5/2πの領域とπ/2の位相差の領域を形成し、
それぞれの領域の幅をストライプと直交する方向の直線
偏光に対する位相差が3/2πになるように調整し
(δ,n,m)=(π/2,1,1)にする。得られる
偏光光学素子に自然光を入射すると、ストライプに対し
て左回りの円偏光が出射する円偏光素子として作用す
る。入射光と出射光の強度比を測定すると出射光の強さ
は入射光の強さの50%以上を超える。
【0029】実施例3 実施例1記載の偏光光学素子を液晶表示装置の偏光板と
して用いるとバックライトの光を有効に使うことがで
き、明るい表示ができる。また、ノートパソコンに該液
晶表示装置を用いた場合、バックライトの輝度を落とす
ことができるため、消費電力を小さくすることが可能で
あり、バッテリーが小型化できるなどのメリットがあ
る。また、実施例1記載の偏光光学素子を投影型の液晶
表示装置の偏光板として用いると、非吸収型の偏光板で
あるため偏光板による吸熱が少なく、偏光板の冷却ファ
ンを省くことができると共に、光源の輝度を落とすこと
ができ、消費電力の削減が可能である。また従来の偏光
ビームスプリッターと比較して光学系が小型化できる。
【0030】実施例4 実施例1記載の偏光光学素子を自動車のヘッドライトに
用い、道路面に対して垂直な偏光が出射するように配置
する。車のヘッドライトからの光の路面への入射角は大
きいため、路面に水たまりがあった場合の水たまりによ
るs偏光とp偏光の反射率は大きく異なり、p偏光の反
射率が小さい。従ってヘッドライトからp偏光を出射す
る用に本願の偏光光学素子を配置すると、雨の日などの
対向車の運転者が感じるまぶしさが少なくなる。更に本
願の偏光光学素子は吸収型の偏光素子ではないため、光
のロスも少なく、ヘッドライトの光を有効に利用するこ
とができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、光の分離合成のための
複雑な光学系は必要なく、また、光の吸収、反射などを
伴わず光のロスがないため、光の利用効率が極めて高い
偏光素子が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の偏光ビームスプリッターを用いた、偏光
分離・合成法による偏光光学素子の作用を説明する図。
【図2】a:本発明の実施例を示した偏光光学素子の
例。 等方的な基材上に複屈折を有するストライプ状の異方的
な形状を形成した状態を示す図。 b:本発明の偏光光学素子において位相差が2πの領域
をz方向に伝播し、入射時にはy方向に振動する直線偏
光が、出射時にはy方向に振動する直線偏光になる状況
を説明する図。 c:本発明の偏光光学素子において位相差が0の領域を
z方向に伝播し、入射時にはy方向に振動する直線偏光
が、偏光状態を変えず出射時にもy方向に振動する直線
偏光になる状況を説明する図。 d:本発明の偏光光学素子において、入射時にはx方向
に振動する直線偏光がz方向に伝播する間に、位相差が
2πの領域と0の領域の両方の位相差を平均として感
じ、出射時にはy方向に振動する直線偏光に変換される
状況を説明する図。
【図3】a:本発明の様態の例。 等方的な媒質に複屈折物質が分散し、2つの異方的な形
状を有する領域を形成している状態を示す図。 b:本発明の様態の例であり、異方的な媒質に等方的な
物資をが分散し、異方的な形状を有する領域を形成して
いる状態を示す図。
【符号の説明】
1−1:入射した自然光 1−2:偏光ビームスプリッター 1−3:偏光ビームスプリッターを透過したp偏光 1−4:偏光ビームスプリッターにより反射されたs偏
光 1−5:2分の1波長板(λ/2板) 1−6:λ/2板により変換されたp偏光 2−1:等方的な基板 2−2:等方的な基板上に形成された、矩形断面を有す
るストライプ構造 2−3:図2−aにおける座標系 2−4:光の進行方向 2−5:直線偏光の電気ベクトルの振動方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA23 BA25 BA45 BB01 BB50 BB62 BC08 BC09 BC22 BC25 5G435 AA00 FF05 HH02 KK07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の領域(領域A)が、長さが光の波長
    より長い長軸と光の波長より短い短軸を有する異方的な
    形状であり、長軸に平行に振動する電気ベクトルを持つ
    直線偏光に対する角度(ラジアン単位)で表した複屈折
    位相差が、該領域Aの部分では、式1 【数1】δ ( δは任意の角度) であり、該領域以外の部分(領域B)では、式2 【数2】δ+2nπ (nは整数でn≠0、δは
    式1と同じ値) であり、該領域Aの短軸に平行に振動する電気ベクトル
    を持つ直線偏光に対して、式3 【数3】δ+mπ (mは整数) になるように領域A、領域Bが形成され、実質的に光の
    吸収や反射を伴わなずに、入射した自然光が領域A及び
    /又は領域Bを経由して同一方向に振動する直線偏光と
    して、出射光の強さが入射光の強さの50%を超えて取
    り出せることを特徴とする偏光光学素子。
  2. 【請求項2】請求項1の式1〜式3においてδがπ整数
    倍であることを特徴とする直線偏光光学素子。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の偏光光学素子を用
    いた表示装置、光源または記憶装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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