JP2004077899A - 偏光変換フイルム、偏光素子、液晶表示装置、及び偏光変換フイルムの製造方法 - Google Patents

偏光変換フイルム、偏光素子、液晶表示装置、及び偏光変換フイルムの製造方法 Download PDF

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中村 亮
Kentaro Shirato
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Abstract

【課題】光利用効率を高めることができ、特に、反射型及び半透過型液晶表示素子において輝度向上効果が高く、生産性に優れる偏光変換フイルムを提供する。
【解決手段】偏光していない入射光Lを電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光に分離する偏光分離層1と、直線偏光の偏光状態を変換する偏光変換層2とからなる偏光変換フイルムにおいて、該偏光分離層1が複屈折回折格子からなり、該偏光変換層2がフイルム面に対して傾斜配向した複屈折性化合物mを有することを特徴とする偏光変換フイルム。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光の偏光状態を変換する偏光変換フイルムに関する。また、光源の光の透過率が高い偏光素子、および輝度向上効果の高い液晶表示装置に関する。さらに、該偏光変換フイルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
偏光素子は、太陽光のような自然光やランプのような光源からの光を透過させると、直線偏光、円偏光、楕円偏光など種々の偏光状態の光を生成することができ、電界制御複屈折モード、あるいはツイストネマティックモードなど主要な液晶表示装置の重要部材として極めて広範囲に使用されている(佐藤進著「液晶とその応用」産業図書刊、96〜115頁に記載)。
【0003】
液晶表示装置に用いられる偏光素子としては、一般にヨウ素系や染料系の二色性偏光素子が多く使われている。こうした二色性偏光素子は、電場ベクトルが直交する2つの偏光成分のうち、一方のみを吸収して透過させず、もう一方の偏光成分を透過させることによって直線偏光を生成させる。ただし、光吸収を利用することによって直線偏光を生成するので、偏光度が100%に近い場合、原理的に光透過率の上限は50%となる。
従って、こうした二色性偏光素子が用いられる実際の液晶表示装置では、光源の半分以下の光しか利用できず、ディスプレイ輝度が低いという問題がある。
そのため、従来、光源の光利用効率を向上すべく、光源からの光に偏光変換を施す手段がいくつか提案されている(特開昭63−121821号、特開平5−224175号、同5−232433号等の各公報に記載)。
透過型液晶表示装置への用途では、以下の反射方式と散乱方式の輝度向上フイルムが、既に、工業化され広く使用されている。
【0004】
1.異方性反射方式
一軸延伸フイルムと未延伸フイルムを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくする事により反射率ならびに透過率の異方性を有する偏光素子、そしてこの素子と通常の二色性偏光素子を積層してバックライト側の偏光素子として用いることによりバックライトの光利用効率を高める方法が提案されている(WO95/17691号、WO95/17692号、WO95/17699号など)。多層膜方式では、偏光度を大きくするため、積層数を数十層以上にする必要があり生産性を増大しにくい問題があるが、正面輝度向上効果が大きい。
また、ピッチ長の異なるコレステリック液晶を垂直配向した状態で積層し、λ/4板と組み合わせる方式も提案されている(EP606940A2、特開平8−271731号など)。
【0005】
2.異方性散乱方式
WO97/32223号、WO97/32224号、WO97/32225号、WO97/32226号の各明細書、および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報には、正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドし一軸延伸することで異方性散乱体を作製し、通常の二色性偏光素子と組み合わせて用いることによりバックライトの光利用効率を高める方法が記載されている。この異方性散乱方式は輝度の視野角依存性が小さい特徴を有しているが、正面輝度向上度は前述の異方性反射方式よりも小さい。
【0006】
一方、反射型液晶表示装置は、バックライトが不要で消費電力が小さいために、情報携帯末端、携帯型ゲーム機や携帯電話のような携帯装置のディスプレイとして利用されており、今後、急速に市場拡大していくと予想されている。反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セル、および偏光フイルムがこの順に積層されている基本構造を有する。液晶セルの表示モードについては、TN(Twisted Nematic)、STN(Supper Twisted Nematic)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、HPDLC(Holographic Polymer Dispersed Liquid Crystal)のような様々な表示モードが提案されている。この中でもTNモードおよびSTNモードの反射型液晶表示装置が、既に実用化され広範囲に使用されている。
反射型液晶表示装置は外光が弱くなると、反射輝度が低下し、使用できなくなる。このため、外光の反射光を利用して反射表示を行うとともに、バックライトの透過光を利用して透過表示を行う半透過型液晶表示装置が提案され、主に携帯端末モジュール用として利用されている。
【0007】
上述の異方性反射方式および異方性散乱方式の輝度向上フイルムでは、入射する光の一部が入射側に反射もしくは散乱される。透過型液晶表示装置においては、その光をバックライト部分で反射し再利用することができるので、全体として光の利用効率を高め輝度を向上することができるのであるが、反射型液晶表示装置および反射モード時の半透過型液晶表示装置においては、光の入射側に反射もしくは散乱した光は大気中に出射され再利用できないため、原理的に輝度向上できない。
【0008】
また、特表平10−505435号公報には、偏光成分の方向を制御する層の間に偏光回転層を配置する偏光素子により、偏光していないビームを同一の偏光方向を有する偏光したビームにほぼ完全に変換することができる方法が記載されている。
しかし、上述した偏光素子は、画像投射装置用の小面積の素子であり、液晶表示装置などのディスプレイ用として大面積の素子として生産性良く製造するのは困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の諸問題を鑑み、液晶表示装置などのディスプレイ用として、光利用効率を高めることができ、特に、反射型及び半透過型液晶表示素子において輝度向上効果が高く、生産性に優れる偏光変換フイルムを提供することを課題とする。
また、本発明は、該偏光変換フイルムを利用し、光透過率が高い偏光素子、および輝度が向上した液晶表示装置を提供することも課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記の構成により達成されることが見出された。
1.偏光していない入射光を電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光に分離する偏光分離層と、直線偏光の偏光状態を変換する偏光変換層とからなる偏光変換フイルムにおいて、該偏光分離層が複屈折回折格子からなり、該偏光変換層がフイルム面に対して傾斜配向した複屈折性化合物を有することを特徴とする偏光変換フイルム。
2.該偏光分離層が、入射する非偏光を電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光に分離し、入射する非偏光に対して一方の直線偏光を直進させ、もう一方の直線偏光を回折させることを特徴とする上記1記載の偏光変換フイルム。
3.該偏光変換層が、該偏光変換層の表面に対して垂直に入射する直線偏光の偏光状態は変更せず、傾斜して入射する直線偏光の偏光状態を変換することを特徴とする上記1または2に記載の偏光変換フイルム。
4.該偏光変換層が有する複屈折性化合物が1軸性であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の偏光変換フイルム。
5.該1軸性の複屈折性化合物の遅相軸が、偏光分離層を直進して透過する直線偏光の電場ベクトルに対し平行もしくは垂直で、偏光分離層を回折して透過する直線偏光の電場ベクトルに対し平行でも垂直でもないことを特徴とする上記4記載の偏光変換フイルム。
6.該1軸性の複屈折性化合物が、液晶形成性化合物であることを特徴とする上記4または5に記載の偏光変換フイルム。
【0011】
7.電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光の一方を吸収し、他方を実質的に透過する光吸収型偏光素子と、上記1〜6のいずれかに記載の偏光変換フイルムとが、光吸収型偏光素子の偏光透過軸と偏光変換フイルムの偏光透過軸とが実質的に平行になるように配置されていることを特徴とする偏光素子。
8.バックライトおよび偏光素子を備えた液晶表示装置であって、偏光素子として上記7記載の偏光素子をバックライト側に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
9.反射板、液晶セル、λ/4板および偏光素子がこの順に積層されている反射型液晶表示装置であって、偏光素子が上記7記載の偏光素子であることを特徴とする反射型液晶表示装置。
10.バックライト、円偏光板、および反射型としても透過型としても使用可能な液晶表示素子を少なくとも有する半透過型の液晶表示装置であって、偏光素子が上記7記載の偏光素子であることを特徴とする半透過型の液晶表示装置。
11.上記1〜6のいずれかに記載の偏光変換フイルムの製造方法であって、偏光分離層および偏光変換層を長尺のロール形態で連続した一貫工程により設けることを特徴とする偏光変換フイルムの製造方法。
【0012】
本発明の偏光変換フイルムは、複屈折回折格子からなる偏光分離層、およびフイルム面に対して傾斜配向した複屈折性化合物を有する偏光変換層からなることを特徴とするものである。非偏光の入射光は、偏光分離層の複屈折回折格子により電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光に分離され、偏光変換層にて、分離された一方の直線偏光はその偏光状態が変換される。したがって、本発明の偏光変換フイルムを透過させることで、非偏光の入射光を全体として、偏光分離層で分離された直線偏光のうち偏光変換層で変換されない直線偏光の偏光方向(偏光変換フイルムの「偏光透過軸」)にほぼ揃った光として出射させることができる。
本発明の偏光変換フイルムと通常の光吸収型偏光素子とを、偏光変換フイルムの偏光透過軸と光吸収型偏光素子の光透過軸とが実質平行になるように組み合わせると、光透過率の高い偏光素子が実現することができる。
また、本発明の偏光変換フイルムと光吸収型偏光素子とを組み合わせたこの偏光素子を偏光板として液晶表示装置に用いることで、光源の光利用効率が高く、輝度が向上した液晶表示装置を実現することができる。
【0013】
さらに、本発明の偏光変換フイルムは、長尺ロールの形態で各層を連続的に一貫した工程で設けることができるので、大面積で、かつ生産性良く製造することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
図1に、本発明の偏光変換フイルムでの偏光変換の仕組みの概略を示す。
非偏光の入射光Lが偏光変換層1に入射すると、複屈折回折格子(図示せず)にて、電場ベクトル(偏光方向)が互いに直交する2つの直線偏光(偏光方向a、b)に分離角θで分離する。この際、複屈折回折格子の屈折率や回折格子の形状を調整することで、2つの直線偏光のうち、一方を直進させ(偏光L1;偏光方向a)、他方を回折させる(偏光L2;偏光方向b)ことができる。
分離した2つの直線偏光L1、L2は、続けて、偏光変換層2に入射する。偏光変換層2は、フイルム面に対し傾斜配向(傾斜角φ)した複屈折性化合物を有し、偏光分離層1で回折し偏光変換層2に傾斜して入射してきた偏光L2に作用し、その偏光状態を変換する。複屈折性化合物の固有複屈折の大きさや傾斜角φを調整することにより、偏光L2の偏光方向を方向bから方向a’(≒a)に回転させることが可能であり、偏光方向aにほぼ揃った直線偏光の光を取り出すことができる。
【0015】
以下、本発明の偏光変換フイルムの各層について、詳しく説明する。
(偏光分離層)
本発明の偏光変換フイルムにおける偏光分離層は複屈折回折格子からなる。
複屈折回折格子とは、図2に示すように、光学的に等方性を有する等方性媒体11と光学的に異方性を有する異方性媒体12と格子状に配列させた回折格子で、異方性媒体12が複屈折性を示すものである。異方性媒体12が複屈折性を示すので、常光(例えば、図2において、x軸方向に振動する偏光成分)と、異常光(例えば、図2において、y軸方向に振動する偏光成分)とで屈折率が異なる。したがって、周期的な格子の作用により、発生する回折光の回折効率も常光と異常光とで異なることになり、屈折率や格子形状を調整することにより、偏光分離が可能となる。なお、異方性媒体12は、異常光の屈折率nと常光の屈折率nに対して、通常n>nであり、この場合には異常光の偏光方向が異方性媒体12の遅相軸、常光の偏光方向が進相軸となる(n<nの場合には遅相軸、進相軸は反対)。
例えば、図3に示すように、格子の断面形状を矩形波とし、異方性媒体12の常光の屈折率をn、異常光の屈折率をn(振動方向は、図2と同一とする)、等方性媒体11の屈折率をn、格子の深さをh、入射光の波長をλとすると、常光の0次光の効率Eo0、常光の±1次回折光の効率Eo1、異常光の0次光の効率Ee0、異常光の±1次回折光の効率Ee1は、入射光量を1として、以下の式で表される。なお、下記の計算式は、「High efficiency of multiple beam grating」Wai−HonLee, Applied Optics Vol.18, No.13/1 July 1979 P2153に詳しく説明されている。
【0016】
o0 = cos(2φ)        (1)
o1 =(2/π)sin(2φ)   (2)
e0 = cos(2φ)        (3)
e1 =(2/π)sin(2φ)   (4)
ただし、
φ ={h(n−n)/λ}π
φ ={h(n−n)/λ}π
【0017】
入射光Lを電場ベクトル(偏光方向)が互いに直交する常光と異常光とに分離させるには、上式から、Eo0=1でEe0=0、またはEo1=0でEe0=1とすればよいので、常光の位相項φと、異常光の位相項φとを
φ−φ=(l+1/2) (l=0,1,2,3,・・・)、かつ
φ=mπ/2 (m=0,1,2,3,・・・)
を満足させればよい。
【0018】
ここで、lおよびmは、任意の値を取ることができるので、多数の組み合わせが考えられる。
例えば、n=nとすることによりφ=0となり、常光は直進し、さらに、φ=1/2πとなるように格子の高さhを設定すれば、Eo0=1,Eo1=0,Ee0=0,Ee1≒0.41となり、これにより入射光Lを0次光L1と、±1次回折光L2a,L2bとに、偏光成分が互いに直交する2つの直線偏光に分離することができる。
【0019】
本発明において、偏光分離層の好ましい態様としては、異方性媒体12の進相軸(一般に常光の偏光方向)と等方性媒体11との屈折率をほぼ一致させ(n≒n)、異方性媒体12の遅相軸(一般に異常光の偏光方向)と等方性媒体11との屈折率は大きく異なる(n≠n)ように構成する。
この場合、上記したように異方性媒体12の進相軸方向の偏光は直進させることができ(偏光L1)、異方性媒体12の遅相軸方向の偏光は回折させる(偏光L2a,L2b)、電場ベクトル(偏光方向)が互いに直交する2つの直線偏光を分離することができる。
回折効率すなわち分離効率は主に回折格子の高さhと異方性媒体12の固有複屈折Δn=n−nの大きさに依存し、Δnが大きいほど一般にhを小さくすることができる、すなわち偏光分離層を薄くすることができる。本発明の偏光分離層の好ましいΔnは0.05以上であり、さらに好ましくは0.08以上である。
偏光分離角θは、回折格子の周期Pに依存する。
【0020】
等方性媒体11を構成する材料は、透明で光学的に等方的なポリマー材料が好ましく、例えば、ポリオレフィン(例、ポリエチレン)、ノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースエステル(例、セルロースアセテート)が好ましく使用される。市販のポリマーでは、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、日本合成ゴム(株)製のARTON、富士写真フイルム(株)製のフジタックを好ましく使用することができる。この中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートが特に好ましく、市販のポリマーでは、フジタック(富士写真フイルム(株)製)、ゼオノア(日本ゼオン(株)製)が特に好ましい。
【0021】
セルロースアセテートの原料綿、セルロースアセテート溶液およびフイルム作製法、セルロースアセテートの溶剤、可塑剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、剥離剤等の添加剤、溶解工程、流延、乾燥、延伸工程等の製造工程、表面処理、下塗り、バック素材、機能層については発明協会公開技報2001−1745号、7頁から59頁に記載されたものを参考とし、使用することができる。但し、セルロースアセテートの溶剤については、さらに炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素、中でもメチレンクロライドを好ましく使用することができる。
【0022】
回折格子の形状(高さh、周期P)は、上記のように、所望の偏光分離が得られるように決定する。
回折格子の構造は、断面が所望の回折格子列を形成したキヤビティを有する金型を型締めした状態で等方性媒体11である透明樹脂材料を金型内に充填または注入して成形して作製する、あるいは回折格子パターンが形成された成形型に等方性媒体11である活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を透過する透明基材を重ね合わせて積層し、前記活性エネルギー線を照射して硬化させて作製した後に、格子の溝に異方性媒体12を塗布するなどして充填し、配向させて作ることができる(図4(a))。
あるいは、図4(b)に示すように、先に配向させた異方性媒体12をフォトリソなどでパターニングした後に、等方性媒体11をオーバーコートして作製してもよい。
【0023】
異方性媒体12は、屈折率異方性材料を主成分として構成されることが好ましく、延伸、光照射、電場印加、磁場印加などのうち少なくともひとつ手段を用いて屈折率異方性材料を一軸配向させ複屈折性を持たせることが好ましい。
【0024】
屈折率異方性材料は、互いに偏光方向が直交する直線偏光の一方に対する屈折率と他方に対する屈折率が異なり、すなわち常光屈折率(n)と異常光屈折率(n)を有する材料である。なかでも液晶性化合物を用いることことが好ましい。
そのような液晶性化合物としては、常光屈折率(n)と異常光屈折率(n)の差の大きな、すなわち固有複屈折の大きな液晶性化合物が好ましい。好ましい固有複屈折は0.05であるが、さらに好ましくは0.08である。
該液晶性化合物の常光屈折率nと等方性媒体を構成する高分子素材の屈折率との差は0.05未満であることが好ましく、さらに0.03未満であることが好ましい。また、該液晶性化合物の異常光屈折率nと等方性媒体を構成する高分子素材の屈折率との差は0.03以上であることが好ましく、さらに0.05以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の屈折率異方性材料に使用できる液晶性化合物としては、室温もしくは加熱することによってネマチック相もしくはスメクチック相を示す低分子液晶、例えば、シアノビフェニル系液晶、シアノフェニルシクロヘキサン系液晶、シアノフェニルエステル系液晶、安息香酸フェニルエステル系液晶、フェニルピリミジン系液晶、もしくはそれらの混合物を挙げることができる。また、室温もしくは加熱状態でネマチック相もしくはスメクティック相を示す高分子液晶を使用することもできる。
【0026】
本発明では棒状の液晶性化合物を好ましく使用することができる。本発明に使用される棒状液晶性化合物およびその組成物については、季刊化学総説 第22巻 液晶の化学(1994年)日本化学会編の第4章、第7章,第10章、および液晶デバイスハンドブック 日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載された化合物および組成物を参考にすることができる。本発明では特にネマチック相を示す棒状の液晶性化合物を好ましく使用することができる。
【0027】
液晶性化合物の配向状態は長期間または温度、湿度や機械的変形に対し、安定に維持するのが困難な場合が多い。配向状態を長期間にわたって維持するため、重合性の液晶性化合物を使用し、配向状態で重合させ、架橋網目構造を形成させることが望ましい。重合性の液晶性化合物の重合手段としては、熱重合、光重合のいずれを使用することもできるが、本発明では紫外線を用いた光重合が好ましく用いられる。重合性基はエチレン性不飽和基であることが好ましく、液晶性化合物当り、少なくとも1個導入されていることが好ましい。耐熱性及び配向の均一性の点から、棒状液晶分子の両末端に光重合性基を有する二官能重合性液晶化合物が本発明では特に好ましく用いられる。
本発明に好ましく使用される液晶性化合物の例を、以下に挙げるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
【化1】
Figure 2004077899
【0029】
【化2】
Figure 2004077899
【0030】
【化3】
Figure 2004077899
【0031】
【化4】
Figure 2004077899
【0032】
【化5】
Figure 2004077899
【0033】
【化6】
Figure 2004077899
【0034】
【化7】
Figure 2004077899
【0035】
【化8】
Figure 2004077899
【0036】
【化9】
Figure 2004077899
【0037】
【化10】
Figure 2004077899
【0038】
【化11】
Figure 2004077899
【0039】
【化12】
Figure 2004077899
【0040】
【化13】
Figure 2004077899
【0041】
液晶性化合物の好ましい使用量は、等方性媒体を構成する高分子材料1gあたり、0.001〜2.0gが好ましく、0.01〜1.5gがさらに好ましい。
【0042】
本発明の複屈折回折格子を構成する液晶性化合物が光を用いてラジカル重合される場合に好ましく使用される光重合開始剤は、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェニルメタノンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤、エチルアントラキノンなどのアントラキノン系光重合開始剤、Ciba Specialty Chemicals. Inc.製のIrgacure184、Irgacure369、Irgacure500、Irgacure651、Irgacure784、Irgacure819、Irgacure907、Irgacure1000、Irgacure1300、Irgacure1700、Irgacure1800、Irgacure1850、Irgacure2959、Darocur 1173, Darocur 4265等が挙げられる。光重合開始剤の好ましい添加量は重合性の液晶性化合物の総量に対し0.01質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
【0043】
また、上述の光重合性開始剤には分光増感剤やp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルやp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどの光重合促進剤を添加することも好ましく行われる。分光増感剤や光重合促進剤を添加する場合の好ましい添加量は光重合開始剤の10質量%以上300質量%未満であり、さらに好ましくは20質量%以上200質量%未満である。
【0044】
本発明の複屈折回折格子は液晶性化合物および光重合性開始剤などを添加した液を等方性媒体により形成した回折格子上に塗布後、乾燥し、さらに配向させて光照射により配向固定させて製造することが好ましい。
【0045】
塗布方法は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等が好ましく使用される。2層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法は、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)を参照することができる。
【0046】
異方性媒体を構成する液晶性化合物は、配向膜、光照射、電場印加、磁場印加などのうち少なくともひとつの手段を用いて一軸配向させることが好ましい。
【0047】
(1)配向膜
配向膜を用いて液晶性化合物を一軸配向させる場合、ポリイミドもしくはポリビニルアルコールのようなポリマーを配向膜として使用することが好ましい。これらの配向膜を塗設し、ラビングもしくは直線偏光照射により配向性を付与することが好ましい。配向膜の好ましい膜厚は0.01μm以上5μm以下である。
【0048】
(2)光配向法
光照射で液晶性化合物を一軸配向させる場合、光化学反応性基を含有する化合物を液晶性化合物および/もしくは光学等方性バインダーに添加することが好ましく行われる。光化学反応性基は光エネルギーを吸収して励起した状態を経由して、光分解、光架橋、光重合、光酸化還元、光転移、光異性化を行う官能基を意味し、本発明では光架橋および/もしくは光異性化反応を行う官能基を特に好ましく使用することができる。
【0049】
光架橋性官能基は光照射により分子内の結合が切断されたり、あるいは結合の一部が開裂することによって生成したラジカルなどの活性分子が互いに結合したり(光二量化)、あるいは他の分子をラジカル化して結合反応をする官能基である。このような光架橋性官能基は、例えば、シンナモイル基、シンナミリデン基、ジアゾ基、アジド基、アクリロイル基、カルコン基、クマリン基などが挙げられるが、この中でも本発明ではシンナモイル基、シンナミリデン基、カルコン基、クマリン基などの光二量化性官能基が特に好ましい。
【0050】
光異性化反応を行う官能基としては、例えば、光照射によりシス−トランス異性化するアゾベンゼン基(K.Ichimura et al ,Langmuir.Vol.4,2) ; K.Ichimura et al ,Appl.Phys.Lett.Vol.63,No.4,Page449(1993); N.Ishizuki,Langmuir.Vol.9,Page3298(1993) ; N.Ishizuki,Langmuir.Vol.9,Page857(1993))、ヒドラゾノ−β−ケトエステル基(S.Yamamura et al,Liquid Crystal,Vol.13,No.2,page189(1993))、スチルベン基(市村國宏他、高分子論文集、第47巻、10号、771頁(1990))、およびスピロピラン基(K.Ichimura et al ,Chemistry Letters,Page1063(1992) ; K.Ichimura et al ,Thin Solid Films,Vol.235,Page101(1993))が挙げられる。この中でもアゾベンゼン基およびスチルベン基を好ましく使用することができる。
【0051】
光化学反応性化合物の好ましい使用量は、液晶性化合物1gあたり、0.001〜1gが好ましく。0.01〜0.1gがさらに好ましい。
【0052】
本発明に好ましく使用される光化学反応性化合物の好ましい例を以下に列挙するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
【化14】
Figure 2004077899
【0054】
光配向は、直線偏光照射もしくは斜め非偏光照射により好ましく行われる。照射光の波長は用いる光化学反応性化合物が光学吸収を有する波長領域を好ましく使用することができるが、本発明では190nm以上500nm未満であることが好ましく、さらに好ましくは250nm以上450nm未満である。光源は、超高圧水銀ランプ、フラッシュ水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Deep UVランプ、クセノンランプ、クセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプを好ましく使用することができる。直線偏光を用いて光配向させる場合、光源から出射された紫外線は偏光素子を通過させて直線偏光とすることが好ましい。偏光素子としてはグランテーラー型プリズムやグラントムソン型プリズムなどのプリズム系素子もしくはブリュースター角を利用した反射型偏光素子であることが好ましい。照射光量は、1〜2000mJ/cmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜1000mJ/cmである。短時間で光学的異方性を発現させるため、加熱しながら直線偏光を照射することも本発明では好ましく行われる。直線偏光照射時の好ましい基板の温度範囲は0℃以上200℃未満であり、さらに好ましくは10℃以上150℃未満である。また、斜め非偏光照射を用いて光配向させる場合、Polym. Mater. Sci. Eng., 66, p263(1992)に記載されているような方法を好ましく使用することができる。
【0055】
(3)電場配向法
本発明の液晶性化合物を塗布したフイルムを電極間に挿入し、1V以上50kV未満の電圧を印加することで液晶性化合物を一軸配向することができる。また、電圧印加は液晶性化合物が液晶相を形成する温度範囲で行い、配向状態で紫外線照射して配向状態を固定化することが好ましく行われる。
【0056】
(4)磁場配向法
液晶性化合物を塗布したフイルムを電磁コイルを備えた磁場配向装置の磁極間に挿入し、0.2T以上10T未満の磁場を印加することで液晶性化合物を一軸配向することができる。また、磁場印加は液晶性化合物が液晶相を形成する温度範囲で行い、配向状態で紫外線照射して配向状態を固定化することが好ましく行われる。
【0057】
上述の(1)〜(4)のうち少なくともひとつの手段を用いて液晶性化合物を一軸配向させることが好ましい。液晶性化合物を配向させた後は、紫外線照射して配向状態を固定化することが好ましい。紫外線照射重合の照射光波長、照射光量、光源、照射時の基板温度は、前述の光配向法の場合と同じである。光配向法を用いる場合、光配向に使用する照射光波長と重合性の液晶性化合物を光重合させるための照射光波長は異なっている方が好ましい。
【0058】
偏光分離層は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜20μmの層厚とするのが望ましい。
【0059】
以上、偏光分離層である複屈折回折格子として、光学的等方性を持つ物質と光学的異方性を持つ物質とを格子状に交互に配置し、光学的異方性を持つ物質の光軸が格子の列に垂直または平行に配置したものを例に説明してきたが、偏光による回折効率の違いを利用して光路を分離するものとしては、以下のようなものも挙げられ、本発明の複屈折回折格子として使用することができる。
(1) ニオブ酸リチウム結晶板の主面に周期を有するH+ イオン交換領域の光学的回折格子を形成したもの(特開平5−249308号、特開平6−18817号、特開平6−27320号の各公報)。
(2)光学的異方性を持つ結晶基板の主面に設けた周期的な溝の底面上に誘電体層を有するもの(特開平2−156205号公報)。
(3)コレステリック液晶の螺旋軸をセル板に対して平行に配置したもの(Appl. Phys. Lett. 1997, 71, 1350−1352)。
【0060】
(偏光変換層)
次に本発明の偏光変換層について説明する。
偏光変換層は、偏光分離層で分離された電場ベクトル(偏光方向)が互いに直交する2種の直線偏光のうち、直進する直線偏光(偏光L1)、すなわち図3に示す例においては複屈折回折格子を構成する等方性媒体と異方性媒体との屈折率が一致する方向(一般に異方性媒体の進相軸)が偏光方向となる直線偏光の偏光状態は変更せず、傾斜して進行する偏光(偏光L2)、すなわち図3に示す例においては等方性媒体と異方性媒体との屈折率が不一致の方向(一般に異方性媒体の遅相軸)が偏光方向となる直線偏光の偏光状態を変換する機能を有する。
【0061】
偏光変換層は複屈折性化合物を主成分として含む。複屈折性化合物は、好ましくは1軸配向の複屈折性化合物、より好ましくは液晶形成性化合物であり、液晶形成性化合物としては、前述の複屈折回折格子に使用する液晶性化合物が同様に好ましく使用することができる。
複屈折性化合物は、前記偏光L2の偏光状態を変換するために、フイルム面に対して傾斜配向していることが必要で、偏光分離層で屈折せず直進して透過してくる光の進行方向に対して傾斜していればよい。また、複屈折性化合物の遅相軸が、前記偏光L1の偏光方向に対しては平行もしくは垂直で、前記偏光L2に対しては平行でも垂直でもないように傾斜させることが好ましい。
複屈折性化合物の固有複屈折、フイルム面からの傾斜角φや配向状態、偏光変換層の層厚等を調整することにより、前記偏光L2が前記偏光L1の偏光状態と一致するように変換することができる。
【0062】
液晶性化合物を用いる場合、傾斜配向手段は、前述の複屈折回折格子に使用する液晶性化合物を一軸配向させる手段として挙げた、光配向、電場配向、磁場配向等を使用することができ、それぞれ光照射の方向、電極や磁極を傾斜させ、斜め方向に電場あるいは磁場を印加し、配向状態でUV光照射、あるいは急冷などを行うことで配向状態を固定することが好ましく行われる。配向膜を使用する場合は、チルト角の大きな配向膜を使用して液晶を傾斜配向させてもよい。
【0063】
偏光変換層の層厚は、0.1〜100μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
【0064】
偏光変換層は、複屈折性化合物(好ましくは液晶性化合物)および光重合性開始剤などを添加した液を偏光分離層(複屈折回折格子)上に塗布後、乾燥し、さらに配向させて光照射により配向固定させて製造することができる。
【0065】
以上説明してきた偏光分離層と偏光変換層を、それぞれ長尺ロール形態として連続生産、あるいは大面積シートとして枚葉生産することにより、本発明の偏光変換フイルムは生産性良く製造することができる。
【0066】
(偏光素子)
また、本発明の偏光変換フイルムは、好ましくは光吸収型偏光素子と組み合わせて使用される。光吸収型偏光素子は、直交する直線偏光の一方を吸収し、他方を実質的に透過する偏光素子であり、5倍以上に延伸したポリビニルアルコールフイルム中にI やI および/または有機二色性色素を高度に一軸配向させ、ホウ酸で架橋したものをセルローストリアセテートのような保護フイルムでサンドイッチしたものが一般に使用されている。このような光吸収型偏光素子の偏光度(以下の式で定義)は、99%以上であることが好ましく、400nm〜700nmの平均光線透過率は40%以上であることが望ましい。
【0067】
【数1】
Figure 2004077899
【0068】
式中、Pは透過軸を平行にした2枚の偏光素子を透過する光の透過率であり;そして、Cは透過軸を直交させた2枚の偏光素子を透過する光の透過率である。
【0069】
本発明の偏光変換フイルムとの組み合わせは、図6に示されるように光吸収型偏光素子と別々の偏光素子として使用してもよいし、図7〜9にように光吸収型偏光素子の保護フイルムの一方を置換して光吸収型素子に一体化して使用してもよい。
本発明の偏光変換フイルムと光吸収型偏光素子とを組み合わせる際は、偏光変換フイルムの偏光透過軸と光吸収型偏光素子の透過軸とが実質的に平行になるように配置して使用することが望ましい。
【0070】
(液晶表示装置、光学部材)
さらに、本発明の偏光変換フイルムは、各種用途に用いることができるが、LCD用偏光板(例えばTN、STN、OCB、ROCB、ECB、CPA、IPS、VAなどの、透過型、反射型、半透過型液晶モードにおいて)等に好ましく用いられる。
また、各種光学部材、例えばλ/4板、λ/2板などの位相差フィルム、視野角拡大フィルム、防眩性フィルム、ハードコートフィルムなどと組み合わせて用いる場合にも適している。
特に、本発明の偏光変換フイルムは反射型液晶表示装置および半透過型液晶表示装置に用いられることが好ましい。
【0071】
反射型液晶表示装置は、液晶セルの前面に偏光板とλ/4板とからなる円偏光板を、また液晶セルの背面に反射板を有し、前面側から取り込んだ光を反射板で反射させるとともに液晶セルで偏光状態を変調し、表示を行うものである。光を取り込む際に偏光板を透過させるため、従来の透過率が40%程度の偏光板では光の利用効率は低くなってしまうが、本発明の偏光変換フイルムを偏光板と組み合わせることで、光の利用効率を上げ、表示装置としての輝度を向上させることができる。
取り込む光は外光でもよいが、円偏光板のさらに前面に光源と導光板とからなるフロントライトを設け、このフロントライトから光を取り込むのが好ましい。
フロントライトとしては、SID’95 Digest p.37に記載のマイクロプリズム構造のフロントライト、特開平11−218757号公報に記載の傾斜型フロントライト、特開2001−23424号公報に記載のプリズム連続型フロントライト、特開平11−184387号公報に記載の体積ホログラム型フロントライト等が挙げられる。
【0072】
半透過型液晶表示装置は、上記反射型液晶表示装置において、液晶セルの背面側にも円偏光板とバックライトを設け、外光を取り込み反射型としても、バックライトからの光を利用した透過型としても用いることができるものである。上記反射型液晶表示装置と同じく、本発明の偏光変換フイルムを偏光板と組み合わせることで、光の利用効率を上げ、表示装置としての輝度を向上させることができる。
【0073】
反射型、半透過型液晶表示装置において、円偏光板を構成するために偏光板と組み合わされるλ/4板としては、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースアセテートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を使用することができる。
λ/4板の遅相軸は、液晶材料や配向方向、視野角特性などを考慮して決定されるが、偏光板の透過軸(もしくは吸収軸)と45°の角度で配置されることが望ましい。
また、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、偏光板とλ/4板との間にλ/2板を配置することもある。
【0074】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)複屈折回折格子の作製
高さ2.4μm、周期3μmの回折格子形状を刻印した金型を複数作成し、ロールに貼り付けて溶接により隙間を無くし、型ロールを得た。下記の組成からなる紫外線硬化型樹脂液を型ロールに注入後、厚さ80μmのタックフイルム(富士写真フィルム(株)製)を重ね合わせ、その後、該タックフイルムの上部300mmのところに設置した、80w/cmの照射強度の6.4kWのウエスタンクオーツ社製紫外線ランプにより,30秒間紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、剥離して回折格子シートを得た。
【0075】
Figure 2004077899
上記、樹脂組成物の重合後の屈折率は、n=1.63であった。
【0076】
作製した回折格子の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して図5のような複屈折回折格子を形成した。光学的異方性層は回折格子の溝方向に平行な方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるΔnは0.12であった。
【0077】
[光学異方性層塗布液組成]
・下記の棒状液晶性分子(1)               14.5質量%
・下記の増感剤                       1.0質量%
・下記の光重合開始剤                    3.0質量%
・下記の水平配向促進剤                   1.0質量%
・メチルエチルケトン                   80.5質量%
【0078】
【化15】
Figure 2004077899
【0079】
【化16】
Figure 2004077899
【0080】
【化17】
Figure 2004077899
【0081】
【化18】
Figure 2004077899
【0082】
(2)偏光変換層の作製
(1)で作製した複屈折回折格子の上に配向膜(ポリビニルアルコール)の希釈液を塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。次いで、回折格子の溝方向に平行にラビング処理を実施した。この後、(1)で使用したのと同じ光学異方性塗布液を膜厚3μmとなるように塗布し、乾燥した。この後、該乾燥したフイルムを回折格子表面に対し45度傾斜した電極間に挿入し、80℃で500Vの電圧印加を5分間行った。電圧印加を3分間行った時点で、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製、波長範囲200〜500nm、最大波長365nm)を用いて、照度200mW/cm、照射量400mJ/cmの紫外線をフイルムに照射して傾斜配向状態を保ったまま硬化させ、偏光変換層を作成した。液晶分子は、回折格子の溝に平行で、フイルム面に対してはおよそ45°傾斜した状態で配向させた。
【0083】
[実施例2]
(反射型液晶表示装置の作製)
市販の反射型液晶表示装置(カラーザウルスMI−310、シャープ(株)製)の偏光板にアクリル系粘着剤を用い、実施例1で作製した偏光変換フイルムを偏光板の透過軸と偏光変換フイルムの偏光透過軸とが平行となるように貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置について、目視で評価を行ったところ、白表示、黒表示、そして中間調のいずれにおいても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度を測定した。結果を表1に示す。
【0084】
[比較例1]
(反射型液晶表示装置の作製)
実施例1の偏光変換フイルムを使用せず、市販の反射型液晶表示装置(カラーザウルスMI−310、シャープ(株)製)の反射輝度を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1の結果は、比較例1の反射輝度を1.00としたときの相対値で示す。
【0085】
【表1】
Figure 2004077899
【0086】
表1に示されるように、本発明に従う液晶表示装置は、従来の偏光素子を用いた液晶表示装置と比較して、正面輝度が明らかに向上した。
また、実施例2の液晶表示装置の正面からのコントラスト比は20であり、コントラスト比3となる視野角は、上下120゜以上、左右120゜以上であった。
【0087】
[実施例3]
(1)半透過型液晶表示装置の作製
図6に示される半透過型液晶表示装置を作製し、実施例1で作製した偏光変換フイルムを前面側偏光板108の上側および背面側偏光板110の下側にそれぞれアクリル系粘着剤を用いて貼合した。
【0088】
(2)半透過型液晶表示装置の評価
作製した半透過型液晶表示装置につき、下記の評価を行った。
▲1▼反射モード時の表示品位
ミノルタ(株)製の分光測色計CM−2002を用いて液晶表示装置の白色表示の反射率と黒色表示の反射率とを測定し、コントラスト比を算出した。結果を表2に示した。
▲2▼透過モード時の表示品位
TOPCOM(株)製の輝度計BM−5Aを用いてバックライト点灯時の液晶表示装置の白色表示の輝度と黒色表示の輝度とを測定し、コントラスト比を算出した。結果を表2に示した。
なお、比較として、偏光変換フイルムを貼合しない場合の値も示す。
【0089】
【表2】
Figure 2004077899
【0090】
本発明の偏光変換フイルムにより、簡単な構成で、反射モード時、透過モード時のいずれでも、輝度が向上させることができることが分かる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の偏光変換フイルムにより、非偏光の入射光を同一の偏光方向を有する偏光に変換することができ、しかも出射光の入射光に対する損失が低く、光利用効率が高めることができる。また、液晶表示装置などのディスプレイ用として用いると、光源の光利用効率が高めることができ、特に、反射型及び半透過型液晶表示素子において輝度向上効果が高い。さらに、本発明の偏光変換フイルムは大面積で生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光変換フイルムでの偏光変換の仕組みを示す概略図である。
【図2】複屈折回折格子の一例を示す図である。
【図3】複屈折回折格子により偏光が分離される一例を示す図である。
【図4】複屈折回折格子の例を示す図である。
【図5】実施例で作製した複屈折回折格子の断面の概略図である。
【図6】半透明型液晶表示装置を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
1   偏光分離層
2   偏光変換層
11  等方性媒体
12  異方性媒体
13  ベースフイルム(タックフイルム)
103 前面側基板
104 背面側基板
105 液晶部
106 前面電極
107 背面電極
108 前面側円偏光板
110 背面側円偏光板
112 バックライト
113 二端子素子
122 信号電極
124 絶縁層
125 二端子素子内の上部電極
141 半透過型液晶表示装置
142 カラーフィルタ
a   偏光分離層(複屈折回折格子)を直進する直線偏光の偏光方向
b   偏光分離層(複屈折回折格子)で回折する直線偏光の偏光方向
L   入射光
L1  偏光分離層(複屈折回折格子)で直進する直線偏光
L2  偏光分離層(複屈折回折格子)で回折する直線偏光
L2a 偏光分離層(複屈折回折格子)で回折する直線偏光
L2b 偏光分離層(複屈折回折格子)で回折する直線偏光
m   複屈折性化合物
   遅相軸の方向(固有複屈折が正の場合)
θ   偏光分離角
φ   複屈折性化合物の傾斜角
h   複屈折回折格子の格子(溝)の高さ
P   複屈折回折格子の周期

Claims (11)

  1. 偏光していない入射光を電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光に分離する偏光分離層と、直線偏光の偏光状態を変換する偏光変換層とからなる偏光変換フイルムにおいて、該偏光分離層が複屈折回折格子からなり、該偏光変換層がフイルム面に対して傾斜配向した複屈折性化合物を有することを特徴とする偏光変換フイルム。
  2. 該偏光分離層が、入射する非偏光を電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光に分離し、入射する非偏光に対して一方の直線偏光を直進させ、もう一方の直線偏光を回折させることを特徴とする請求項1記載の偏光変換フイルム。
  3. 該偏光変換層が、該偏光変換層の表面に対して垂直に入射する直線偏光の偏光状態は変更せず、傾斜して入射する直線偏光の偏光状態を変換することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光変換フイルム。
  4. 該偏光変換層が有する複屈折性化合物が1軸性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光変換フイルム。
  5. 該1軸性の複屈折性化合物の遅相軸が、偏光分離層を直進して透過する直線偏光の電場ベクトルに対し平行もしくは垂直で、偏光分離層を回折して透過する直線偏光の電場ベクトルに対し平行でも垂直でもないことを特徴とする請求項4記載の偏光変換フイルム。
  6. 該1軸性の複屈折性化合物が、液晶形成性化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の偏光変換フイルム。
  7. 電場ベクトルが互いに直交する2つの直線偏光の一方を吸収し、他方を実質的に透過する光吸収型偏光素子と、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光変換フイルムとが、光吸収型偏光素子の偏光透過軸と偏光変換フイルムの偏光透過軸とが実質的に平行になるように配置されていることを特徴とする偏光素子。
  8. バックライトおよび偏光素子を備えた液晶表示装置であって、偏光素子として請求項7記載の偏光素子をバックライト側に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
  9. 反射板、液晶セル、λ/4板および偏光素子がこの順に積層されている反射型液晶表示装置であって、偏光素子が請求項7記載の偏光素子であることを特徴とする反射型液晶表示装置。
  10. バックライト、円偏光板、および反射型としても透過型としても使用可能な液晶表示素子を少なくとも有する半透過型の液晶表示装置であって、偏光素子が請求項7記載の偏光素子であることを特徴とする半透過型の液晶表示装置。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の偏光変換フイルムの製造方法であって、偏光分離層および偏光変換層を長尺のロール形態で連続した一貫工程により設けることを特徴とする偏光変換フイルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20200081398A1 (en) * 2018-09-06 2020-03-12 Facebook Technologies, Llc Photosensitive polymers for volume holography

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