JP6723359B2 - 波長選択性反射膜、光学フィルム、波長選択性反射膜の製造方法および画像表示装置 - Google Patents

波長選択性反射膜、光学フィルム、波長選択性反射膜の製造方法および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、特定の波長を選択的に反射する波長選択性反射膜およびその製造方法に関する。また、本発明は、波長選択性反射膜を備えた光学フィルム、および画像表示装置に関する。
カーナビゲーション等で使用するヘッドアップディスプレイ(HUD)用のスクリーンには、外光の高透過率と投影画像の高反射率を両立することが求められる。しかし、単純ハーフミラーでは入射光の透過率と反射率は波長に因らず合計で1(100%)となるため、外光の高透過率と投影画像の高反射率とを両立することは困難である。
他方、液晶表示装置(以下、LCDとも言う)などのフラットパネルディスプレイは、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。液晶表示装置は、バックライト(以下、BLとも言う)、バックライト側偏光板、液晶セル、視認側偏光板などがこの順に設けられた構成となっている。
LCDの分野においては、バックライトの省電力化に伴い、バックライトとバックライト側偏光板の間に反射偏光子を設けることが提案されている。反射偏光子は、あらゆる方向に振動しながら入射する光のうち、特定の偏光方向に振動する光のみを透過させて、他の偏光方向に振動する光は反射する光学素子である。これにより、反射偏光子で透過せず反射する光をリサイクルすることができ、LCDにおける光利用効率を改善できる。
このような反射偏光子として、コレステリック液晶相を固定してなる層を積層した構成が知られている。コレステリック液晶相は、その螺旋のピッチに応じた波長での円偏光反射性を示すため、ピッチの異なる複数層を積層して反射波長領域を広帯域化することが可能である。例えば、特開平1−133003号公報には、λ/4板とコレステリック液晶相を固定してなる層を積層した構成の反射偏光板、コレステリック液晶相のピッチの異なる3層以上のコレステリック液晶相を固定してなる層により、反射波長領域を広帯域化することで、BLの光利用率を向上させる技術が記載されている。
なお、このようなコレステリック液晶相を固定してなる層を形成するとき、一般的にコレステリック液晶材料としては棒状液晶化合物が用いられるが、ディスコティック(円盤状)液晶をらせん状に配向させることでも棒状液晶化合物を用いたコレステリック液晶相と同様の反射機能を持たせることができる。螺旋構造のディスコティック液晶は、例えば特開2001−81465号公報および特開2015−194675号公報等に記載されている。
既述のHUD用のスクリーンに、投影画像の高反射率と外光の高透過率を両立させるためには、投影画像に用いられる波長の光のみを選択的に反射する構成が好ましい。そこで、波長選択性を有する反射偏光子をスクリーン表面に備えることが考えられる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、従来BLの光利用率を向上するために利用されてきた反射偏光子の反射波長帯域は、異なる反射中心波長を有する3層程度の反射偏光子の積層体で可視光のほぼ全域の光を反射可能な程度に1層当たりの反射波長帯域が広いために、HUDのスクリーンに適用するには、反射波長域が広すぎ、外光の透過率が十分に得られないという問題あった。HUDのスクリーンにおいては、波長選択性反射膜の反射波長域が狭い方が、全体としての透過率を向上させることができる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、HUDなどの透光性のスクリーンに反射光による画像表示を行う反射型表示装置に好適な波長選択性反射膜およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、波長選択性反射膜を備えた光学膜および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の波長選択性反射膜は、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜の二軸延伸膜であって、反射波長域の半値幅が40nm以下である。
本発明の第2の波長選択性反射膜は、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる波長選択性反射膜であって、反射波長域の半値幅が40nm以下であり、反射中心波長+100nmの波長における、厚さ方向レターデーションRthが−50nm以上である。
本発明の第1の光学フィルムは、本発明の波長選択性反射膜と、波長選択性反射膜の一方の面に積層されたλ/4板とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の第2の光学フィルムは、互いに異なる反射中心波長を有する反射波長域を有する複数の、本発明の波長選択性反射膜の積層膜を備えたことを特徴とするものである。
このとき、上記積層膜の一方の面に積層されたλ/4板をさらに備えてもよい。
本発明の波長選択性反射膜の製造方法は、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を形成し、光学膜を二軸延伸して反射波長域の半値幅が40nm以下である波長選択性反射膜を得ることを特徴とする。
本発明の波長選択性反射膜の製造方法においては、円盤状液晶化合物を含む重合性液晶組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成し、
塗膜を重合性液晶組成物の液晶相と等方相との転移温度より1〜15℃低い温度で一定時間維持して円盤状液晶化合物をコレステリック相状態とした後に、塗膜を硬化させることにより、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を形成することが好ましい。
本発明の波長選択性反射膜の製造方法においては、二軸延伸の倍率を20%〜50%とすることが好ましい。
本発明の画像表示装置は、光透過性を有するスクリーンと、そのスクリーンの表面に貼付された、本発明の波長選択性反射膜と、その波長選択性反射膜が貼付されたスクリーンに映像を投影する液晶投影装置とを備えてなる。
本発明の波長選択性反射膜は、反射波長域の半値幅が40nm以下と非常に狭いので、HUDなどの狭帯域の波長を選択的に反射させる態様に好適である。
本発明の光学素子の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の反射偏光子の二軸延伸前後の屈折率楕円体を示す図である。 本発明の光学素子の他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学素子の製造方法における製造過程を示す図である。 本発明の液晶表示装置を示す概略断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づくが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを意味する。
反射偏光子の反射中心波長と半値幅は積分反射計により測定することができる。ここでは、積分反射計として、分光光度計V−550に積分球装置ILV−471(共に日本分光株式会社製)を接続したものを用いて測定する。
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内レターデーションおよび厚さ方向レターデーションを表す。
本発明において、Re(λ)、Rth(λ)はAxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。面内レターデーションは、フィルム面の法線方向からフィルムに波長λの光を入射させて測定した値である。また、AxoScanにて平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
厚さ方向レターデーションRth(λ)=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
が算出される。ここで用いる平均屈折率は、アッベ屈折計(NAR−4T、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定した値とする。
<<波長選択性反射膜>>
本発明の波長選択性反射膜について説明する。
本発明の波長選択性反射膜は、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を二軸延伸してなる二軸延伸膜であり、その反射波長域の半値幅(以下において「反射波長半値幅」という。)が40nm以下である。好ましくは20nm以上40nm以下である。20nm以上にすることで入射光の光源として利用され得るLED光源の半値幅よりも狭くなることなく反射にロスが生じないため好ましい。
円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜は、通常、厚さ方向レターデーションRthが−100nm以下であるが、本発明の波長選択性反射膜における厚さ方向レターデーションRthは−50nm以上である。Rthは、−50nmより大きいことが好ましく、0以上、正の値を取ってもよい。このRthと反射波長半値幅との関係は現時点においては明らかではなく、ここでは、単にRthは延伸がなされたか否かの指標である。
本発明の波長選択性反射膜は、コレステリック相の螺旋の巻き方向に応じた右円偏光または左円偏光をコレステリック相の螺旋ピッチに応じた反射中心波長を有する半値幅40nm以下の波長帯域の光を選択的に反射する。
円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる延伸前の光学膜が、従来LCDにおいて波長選択性を有する反射偏光子に相当する。この光学膜の反射波長半値幅が概ね60nm以上であるが、この光学膜を二軸延伸することにより、反射波長半値幅を40nm以下にすることができることを本発明者らは見出した。
コレステリック液晶における反射波長半値幅Δλは、円盤状液晶化合物の屈折率異方性Δnと、
Δλ=Δn×P
の関係にある。ここで、Pはコレステリック構造における螺旋のピッチ(円盤状液晶化合物(液晶分子)が一回転する膜厚)である。
したがって、原理的には円盤状液晶化合物のΔnを小さくすれば反射波長域を狭くすることができることは明らかである。しかしながら、分子設計等によりΔnの小さいものを得ることは困難であった。
本発明者らは、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を二軸延伸することにより、見かけ上のΔnを小さくし、反射波長半値幅Δλを小さくすることができることを見出した。
本発明は、上記の通り、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を二軸延伸することにより、反射半値幅を小さくすることができ、40nm以下を実現したことに特徴を有する。すなわち、本発明の波長選択性反射膜は、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜の二軸延伸フィルムである。従来、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜自体では反射半値幅が40nm以下のものは実現されていない。
発明者らは、光学膜を延伸した前後で波長帯域が変化することを見出し、また、同時に延伸により負のRthが正側に変化することも見出している。延伸前の円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜においては概ね−100nm以下のRthを示すが、光学膜を延伸すると、Rthが正の側にシフトする。但し、波長選択性反射膜の波長帯域とRthの関係は現時点において明らかではない。
本発明の波長選択性反射膜は、右円偏光または左円偏光の、コレステリック相のピッチおよび円盤状液晶化合物の屈折率に応じて定まる反射中心波長およびその近傍の波長帯域の光を反射することができる。
反射率のピークを与える波長(すなわち反射中心波長)は、コレステリック相の螺旋構造のピッチまたは屈折率を変えることにより調整することができるが、ピッチを変えることはキラル剤の添加量を変えることによって容易に調整可能である。具体的には富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。
なお、波長選択反射膜の反射中心波長は、二軸延伸前の光学膜における反射中心波長よりも短波側にシフトする。そこで、二軸延伸による反射中心波長のシフト量を考慮した上で、光学膜形成用の重合性液晶化合物の組成を設定する必要がある。
図1に波長選択性反射膜の実施形態の断面模式図を示す。本実施形態の波長選択性反射膜13は、支持体2の一面に備えられている。波長選択性反射膜13は、製膜時には支持体2が必須である。支持体2と波長選択性反射膜13との間には、配向層を備えていてもよい。波長選択性反射膜13は、支持体2と共に光学フィルム1として利用してもよいし、支持体2から剥離して、他の基材上に接着層を介して転写して利用してもよい。
本発明の波長選択性反射膜は、反射波長半値幅が40nm以下と狭い帯域の波長に対してのみ反射性を示すものであるため、カーナビゲーション等で使用するヘッドアップディスプレイ(HUD)など、外光を透過させる透光性のスクリーンに、反射光による投影画像を表示させる画像表示装置に好適である。反射波長帯域を画像投影装置の出力波長と一致させた波長選択性反射膜を、透光性のスクリーンの表面に貼付することにより、透過率の高い波長域を広くして全体としての透過率を高めつつ、投影装置からの波長に対する高い反射率を有する画像表示装置を構成することが可能となる。
<<光学フィルム>>
図2は、本発明の光学フィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
図2に示すように、本実施形態の光学フィルム10は、既述の波長選択性反射膜13が、接着層20を介して、λ/4板12に積層されてなる。
λ/4板12を備えることにより、波長選択性反射膜13により反射させたい光が、直線偏光光である場合、λ/4板12により、波長選択性反射膜13により反射可能な円偏光に変換した上で、波長選択性反射膜13に入射させることができるので、反射効率を高めることができる。
図3は、本発明の光学フィルムの他の実施形態を示す概略断面図である。
図3に示すように、本実施形態の光学フィルム11は、第1の波長選択性反射膜13a、第2の波長選択性反射膜13bおよび第3の波長選択性反射膜13cの積層膜14が、接着層20を介してλ/4板12に積層されてなる。
第1〜第3の波長選択性反射膜13a〜13cはいずれも、上記本発明の波長選択性反射膜であり、いずれか一つが反射中心波長380〜499nmかつ半値幅40nm以下である反射率のピークを有する青色反射層であり、いずれか一つが反射中心波長500〜599nmかつ半値幅40nm以下である反射率のピークを有する緑色反射層であり、いずれか一つが反射中心波長600〜750nmかつ半値幅40nm以下である反射率のピークを有する赤色反射層であることが好ましい。
上記のように、青色、緑色、赤色を反射することができればフルカラーの画像表示を行うことが可能である。
青色反射層の反射中心波長は、430〜480nmの波長帯域にあることが好ましく、430〜470nmの波長帯域にあることがより好ましい。
緑色反射層の反射中心波長は、520〜590nmの波長帯域にあることが好ましく、520〜580nmの波長帯域にあることがより好ましい。
赤色反射層の反射中心波長は、610〜690nmの波長帯域にあることが好ましく、610〜660nmの波長帯域にあることがより好ましい。
各反射層における中心波長は、投影装置等の入射光を出力する光源側の波長に応じて設定すればよい。
第1〜第3の波長選択性反射膜の各コレステリック相の螺旋構造の螺旋方向は特に限定されるものではないが、第1〜第3の波長選択性反射膜の各コレステリック相の螺旋方向は一致していることが好ましい。
なお、図3に示す態様に限られず、第1の波長選択性反射膜13a、第2の波長選択性反射膜13bおよび第3の波長選択性反射膜13を含む積層膜14は、接着層20を介さずλ/4板12に直接接触していてもよい。また、光学フィルムとしては、第1の波長選択性反射膜13a、第2の波長選択性反射膜13bおよび第3の波長選択性反射膜13c、λ/4板12以外の層を有していてもよい。
なお、光学フィルムにおいて、λ/4板は、使用条件に応じて備えればよい。入射光の偏光がランダムもしくは反射可能な向きの円偏光である場合には、λ/4板は不要である。
本発明の光学フィルムの膜厚は、3〜120μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、6〜90μmであることが特に好ましい。
<<波長選択性反射膜の製造方法>>
本発明の波長選択性反射膜の製造方法について説明する。
本発明の波長選択性反射膜の製造方法は、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を形成する光学膜形成工程と、光学膜を二軸延伸する延伸工程を含む。
図4に、波長選択性反射膜の製造方法の実施形態における工程を示す。本実施形態の製造方法においては、円盤状液晶化合物を含む重合性液晶組成物を塗布して塗膜を形成する工程(1)、塗膜を一定温度で維持してコレステリック相状態を安定化させる熟成工程(2)、熟成により安定化されたコレステリック相状態で固定化して光学膜を形成する硬化工程(3)、および、硬化して得られた光学膜を二軸延伸する工程(4)を有する。ここで、工程(1)〜(3)が光学膜形成工程である。この光学膜は従来の反射偏光子に相当し、その形成方法については、特に制限はなく、公知の手法を用いることができ、例えば、特開平1−133003号公報、特許第3416302号公報、特許第3363565号公報、特開平8−271731号公報に記載の方法などを用いることができる。
工程(1)では、支持体の表面に、円盤状液晶化合物を含む重合性液晶組成物を塗布して塗膜を形成する。重合性液晶組成物は、溶媒に材料を溶解及び/又は分散した、塗布液として調製されるのが好ましい。塗布液の塗布は、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、液晶組成物をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
工程(2)では、塗膜を構成する重合性液晶組成物中の円盤状液晶化合物をコレステリック相状態にする。コレステリック相の配向温度範囲内の、コレステリック相と等方相との相転移温度Tαより1〜15℃低い温度(以下において、「熟成温度」という。)で一定時間維持する。熟成温度は上記相転移温度Tαより1℃は低いことを要するが、相転移温度Tαに近い方が好ましく、相転移温度Tαより1〜10℃低い温度であることが好ましく、1〜5℃低い温度であることがより好ましい。また、一旦、等方相の温度(Tαより十分高い温度、例えば、Tα+10℃など。)まで加熱した後に、熟成温度まで冷却して一定時間維持するようにすることが好ましい。
一定時間とは、コレステリック相の配向状態が安定化するために必要な期間であればよく、例えば、生産性の点で10分以下が好ましく、5分以下がより好ましく、3分以下がさらに好ましい。
相転移温度Tαは重合性液晶組成物の組成によって異なるため、熟成温度は、重合性液晶組成物に応じて適宜設定されるものである。例えば、コレステリック相の配向温度範囲が80℃〜110℃であるとき、すなわち、重合性液晶組成物の上記相転移温度Tαが110℃であり、コレステリック相と非コレステリック相との相転移温度が80℃である場合、105〜109℃程度の熟成温度とする、などである。
重合性液晶組成物の等方相と液晶相との相転移温度Tαは、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また、熱エネルギーの効率利用および基板の耐熱性等の観点から、塗膜の加熱温度は200℃以下とすることが好ましい。このときの温度は膜面温度であり、OPTEX社製PT-2LDなどで測定することができる。
コレステリック相の旋回の方向は、用いる液晶の種類又は添加されるキラル剤の種類によって調整でき、螺旋ピッチ(すなわち、選択反射波長)は、これらの材料の濃度によって調整できる。また、各反射偏光子の反射する特定の領域の波長は、製造方法のさまざまな要因によってシフトさせることができることが知られており、キラル剤などの添加濃度のほか、円盤状液晶化合物をコレステリック相状態で固定化するときの温度や照度と照射時間などの条件などでシフトさせることができる。
次に、工程(3)では、円盤状液晶化合物がコレステリック相の状態に配向した塗膜に、紫外線を照射して、硬化反応を進行させて光学膜を得る。紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。この工程では、紫外線を照射することによって、重合性液晶組成物の硬化反応が進行し、コレステリック液晶相が固定される。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度及び生産性の双方の観点から決定すればよい。
硬化反応を促進するため、加熱条件下で紫外線照射を実施してもよい。また、紫外線照射時の温度は、コレステリック相の配向状態が乱れないように、上記の熟成温度に維持するのが好ましい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達せず、膜強度が不充分の場合には、窒素置換等の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。紫外線照射によって進行される硬化反応(例えば重合反応)の反応率は、層の機械的強度の保持等や未反応物が層から流出するのを抑える等の観点から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましい。
ここで、円盤状液晶化合物をコレステリック相状態で「固定する」とは、コレステリック相となっている円盤状液晶化合物の配向が変化しない状態とすることが最も典型的、且つ好ましい態様である。具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件として−30℃〜70℃の温度範囲において、この層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。本発明では、紫外線照射によって進行する硬化反応により、コレステリック相の配向状態を固定することが好ましい。
なお、本発明においては、コレステリック相の光学的性質が層中において保持されていればよく、最終的に光学膜中において液晶組成物がもはや液晶性を示す必要はない。したがって、例えば、液晶組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
最後に工程(4)では、工程(3)で得られた光学膜を二軸延伸する。二軸延伸は、公知の方法を用いることができる。
光学膜が形成されている支持体ごと、縦一軸延伸機において、所望の延伸倍率で縦延伸した後、テンター式延伸機において所望の延伸倍率で横延伸してもよい。または、横延伸した後、縦延伸してもよい。二軸延伸されたフィルムは、巻取り部前で両端部を切り落とし、巻き取り部で巻き取ることによってロールフィルムとしてもよい。
延伸時の吸気温度、フィルム膜面温度、および延伸速度は、所望の延伸倍率によって適宜調製することが可能である。
延伸倍率は、所望の反射波長域半値幅を得られる程度であればよいが、おおむね20%〜50%程度の倍率が好ましく、30%〜40%がより好ましい。縦横の延伸倍率を基本的に同一とする。但し、光学特性に影響を与えない範囲で縦横の延伸倍率は異なっていてもよく、5%程度の差は許容される。
延伸時のフィルム膜面温度はコレステリック液晶相を形成した支持体のガラス転移点Tg−40℃〜Tg+20℃が好ましく、Tg−20℃〜Tg+10℃がより好ましい。
複数の波長選択性反射膜の積層体からなる光学フィルムを作製する場合には、工程(1)〜(3)を繰り返し、複数層の光学膜の積層膜を形成した後に、工程(4)による延伸を行えばよい。
以下、波長選択性反射膜の製造に用いる重合性液晶組成物の成分である、円盤状液晶化合物、その他の成分および溶媒について説明する。
−円盤状液晶化合物−
波長選択性反射膜の材料である円盤状液晶化合物について説明する。
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報や特開2010−244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
以下に、円盤状液晶化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
−その他の成分−
波長選択性反射膜を形成するために用いられる組成物には、上記円盤状液晶化合物の他、キラル剤、配向制御剤、重合開始剤、および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。いずれも公知の材料を利用することができる。
−溶媒−
各反射偏光子を形成するための組成物の溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
以下、光学フィルムに備えられる支持体、光学フィルム中に備えられるその他の層について説明する。
<支持体>
支持体としては、透明支持体が好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、およびシクロオレフィンポリマー系フィルム[例えば、商品名「アートン」、JSR社製、商品名「ゼオノア」、日本ゼオン社製]等を挙げることができる。
なお、本発明の波長選択性反射膜は、製膜する際の支持体に支持されたまま使用されるものであってもよいし、製膜する際の支持体は仮支持体とし、他の支持体やλ/4板などの他の層上に転写され、仮支持体を剥離して用いられるものであってもよい。
このような仮支持体としては、特に制限はないが、製造工程における延伸および剥離等に耐えうる物性を有することが好ましい。
<配向層>
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。さらには、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。配向層は、ポリマーの膜の表面を、ラビング処理することにより形成することが好ましい。配向層は、支持体と共に剥離することが好ましい。
支持体に用いられるポリマー種によっては、配向層を設けなくても、支持体を直接配向処理(例えば、ラビング処理)することで、配向層として機能させることもできる。そのような支持体の一例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)を挙げることができる。
<λ/4板>
λ/4板は、円偏光を直線偏光に、直線偏光を円偏光に変換するための層である。波長選択性反射膜の光入射面側に配置され、直線偏光を円偏光に変換して波長選択性反射膜において反射される円偏光として入射させ、反射された円偏光を直線偏光に変換して出射する。これにより、特定の直線偏光が光フィルムに入射する場合における、波長選択性反射膜における反射効率を向上させることができる。なお、λ/4板は、直線偏光を、波長選択性反射膜が反射する方向の円偏光に変換するように設計される。
本発明の光学素子に用いられるλ/4板の材料について特に制限はない。λ/4板は、λ/4機能を有する光学異方性支持体であってもよいし、ポリマーフィルムからなる支持体上に光学異方性層等を有してなるものであってもよい。
<接着層(粘着剤層)>
本明細書において、「接着」は「粘着」も含む概念で用いられる。
本発明の光学フィルムにおいては、λ/4板と波長選択性反射膜は、直接接触して、または、接着層を介して積層されていることが好ましい。また、波長選択性反射膜が複数層積層された光学フィルムにおいては、波長選択性反射膜は直接接触して積層される形態のみならず、各反射膜間に接着層を介して積層されてもよい。
接着層に用いられる粘着剤の例としては、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂をあげることができる。これらは単独もしくは2種以上混合して使用してもよい。特に、アクリル系樹脂は、耐水性、耐熱性、耐光性等の信頼性に優れ、接着力、透明性が良く、更に、屈折率を液晶ディスプレイに適合するように調整し易い等から好ましい。
シート状光硬化型粘接着剤(東亞合成グループ研究年報 11 TREND 2011 第14号記載)を接着層に用いることもできる。粘着剤のように光学フィルム同士の貼合が簡便で、紫外線(UV)で架橋・硬化し、貯蔵弾性率、接着力及び耐熱性が向上するものであり、本発明に適した接着法である。
<<画像表示装置>>
本発明の画像表示装置について説明する。図5は、本発明の画像表示装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。
本実施形態の画像表示装置100は、図5に示すように、光透過性を有するスクリーン101と、スクリーン101の表面に貼付された、波長選択性反射膜を含む光学フィルム11と、光学フィルム11が貼付されたスクリーン101に映像を投影する液晶投影装置102とを備える。
光学フィルム11は、上述した異なる反射中心波長を有する反射波長域を有する第1〜第3の波長選択性反射膜の積層膜14と、λ/4板12とが接着層20を介して積層されてなるものである。
第1〜第3の波長選択性反射膜は、その反射中心波長が液晶投影装置102から出力される光の青色、緑色、赤色のピーク波長と略一致するように形成されたものである。例えば、第1の波長選択性反射膜が青色反射層、第2の波長選択性反射膜が緑色反射層、第3の波長選択性反射膜が赤色反射層であるとする。第1〜第3の波長選択性反射膜はどのような順で積層されていてもよい。また、第1〜第3の波長選択性反射膜は同一の所定方向の円偏光、例えば右円偏光を選択的に反射するものとして構成される。
液晶投影装置102から出力される画像を担持する光(以下において、画像担持光)は、直線偏光光である。この直線偏光光は、光学フィルム11のλ/4板12に入射し、所定方向の円偏光、例えば右円偏光に変換されて波長選択性反射膜の積層膜14に入射する。積層膜14に入射した右円偏光の画像担持光は、第1の波長選択性反射膜において青色光が反射され、第2の波長選択性反射膜において緑色光が反射され、第3の波長選択性反射膜において赤色光が反射され、λ/4板12において直線偏光光に変換されて出力される。
本画像表示装置100においては、液晶投影装置102から出力される光の青色、緑色、赤色のピーク波長と、第1〜第3の波長選択性反射膜の反射中心波長とを±10nm程度の範囲で一致させることにより、液晶投影装置102から出力される画像担持光を効率よく反射することができるので、投影される画像を鮮明に表示させることができる。このように、画像投影装置の出力波長と一致した反射波長帯域を有し、各反射波長半値幅が40nm以下と非常に狭帯域である第1〜第3の波長選択性反射膜を、透光性のスクリーンの表面に貼付することにより、透過率の高い波長域を広くして全体としての透過率を高めつつ、投影装置からの波長に対する高い反射率を有する画像表示装置を構成することが可能となる。また、直線偏光を所定の円偏光に変換するλ/4板12を備えたことにより、液晶投影装置102から出力される直線偏光を効率よく反射することが可能であり、より鮮明な画像表示が可能となる。
なお、上記においては、第1〜第3の三層の波長選択性反射膜を備えたが、液晶投影装置から出力される光が単色であり、スクリーンに単色で画像を表示させる場合には、波長選択性反射膜を1層のみ備えていればよい。また、異なる反射中心波長を有する二層の波長選択性反射膜を備える構成としてもよい。
スクリーンは、例えば、自動車のフロントガラスやメガネレンズとすることができ、外光の透過率の高い、画像表示装置として、ヘッドアップディスプレイ、あるいはヘッドマウントディスプレイなどを構成することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<仮支持体の作製>
[下記一般式(II)で表されるラクトン環構造を有するアクリル系樹脂{共重合モノマー質量比=メタクリル酸メチル/2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2、ラクトン環化率約100%、ラクトン環構造の含有割合19.4%、重量平均分子量133000、メルトフローレート6.5g/10分(240℃、10kgf)、Tg131℃}90質量部と、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂{トーヨーAS AS20、東洋スチレン社製}10質量部との混合物;Tg127℃]のペレットを二軸押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押出しして、厚さ40μmの長尺状の仮支持体を得た。
上記一般式(II)中、Rは水素原子であり、R及びRはメチル基である。
<配向層の形成>
上記仮支持体に、下記組成の配向層塗布液(A)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥した。使用した変性ポリビニルアルコールの鹸化度は96.8%であった。
−配向層塗布液(A)の組成−
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 308質量部
メタノール 70質量部
イソプロパノール 29質量部
光重合開始剤(IRGACURE(登録商標)2959、BASF社製)
0.8質量部

変性ポリビニルアルコールの組成割合は、モル分率である。
上記作製した配向層に連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルムの長手方向と搬送方向は平行であり、フィルム長手方向とラビングローラーの回転軸とのなす角度を略45°とした。
<波長選択性反射膜の形成>
−光学膜の形成−
配向層上に、上記円盤状液晶化合物101、102を用い、円盤状液晶化合物がコレステリック相状態を固定されてなる光学膜を形成した。
下記の光学膜形成用の塗布液(重合性液晶組成物)の成分を、延伸後の乾燥膜厚が3.5μmになるように濃度を調製してMEK(メチルエチルケトン)に溶解し、塗布液を調製した。この塗布液を上記の配向層上にバー塗布して、110℃で3分間加熱熟成を行って、コレステリック相の均一な配向状態を得た。その後、この塗布膜を45℃に保持し、これにメタルハライドランプを用いて300mJ/cm2紫外線照射して、光学膜を形成した。
−光学膜形成用の塗布液−
円盤状液晶化合物101と円盤状液晶化合物102の合計 100質量部
下記界面活性剤1 0.45質量部
下記重合開始剤1 3質量部
下記カイラル剤1(延伸後の反射中心波長が550nmとなる量)
2.8質量部
次に、上記のようにして光学膜が形成されたフィルムを、縦一軸延伸機において、給気温度150℃、フィルム膜面温度140℃、延伸速度30%/分で表1記載の延伸倍率(23%)で縦延伸した。その後、テンター式延伸機において、給気温度150℃、フィルム膜面温度140℃、延伸速度30%/分で縦延伸と同率の延伸倍率(23%)で横延伸し、巻取り部前で両端部を切り落とし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取り二軸延伸して実施例1の波長選択性反射膜を備えた光学フィルムを得た。
[実施例2〜7]
熟成温度および延伸倍率を表1に記載のものとし、延伸後において反射中心波長が550nmとなるように、カイラル剤の添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして波長選択性反射膜を作製した。なお、実施例7においては、熟成温度を85℃とした。
[比較例1]
実施例1の延伸前の光学膜を備えた光学膜を比較例1とした。
[比較例2]
実施例1において、延伸前の光学膜における反射中心波長が550nmとなるようにカイラル剤の添加量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で光学膜を作製した。本比較例では延伸は行っていない。
[比較例3]
配向層上に、下記の棒状液晶化合物を用い、棒状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を形成した。
下記光学膜形成用の塗布液の成分を、延伸後の乾燥膜厚が3.5μmになるように濃度を調製してMEKに溶解し、塗布液を調製した。この塗布液を上記の配向層上にバー塗布して、110℃で1分間加熱熟成を行って、均一な配向状態を得た。その後、この塗布膜を45℃に保持し、これにメタルハライドランプを用いて300mJ/cm2紫外線照射して硬化させ光学膜を作製した。
−比較例3の光学膜形成用の塗布液−
下記棒状化合物18−1と下記棒状化合物18−2の合計 100質量部
フッ素系水平配向剤1 0.05質量部
フッ素系水平配向剤2 0.01質量部
右旋回性キラル剤LC756(BASF社製) 2.8質量部
多官能モノマーA−TMMT(新中村化学工業(株)社製) 1質量部
重合開始剤IRGACURE819(BASF社製) 3質量部
得られた光学膜について、実施例1と同じ延伸方法を用いて、23%の倍率で延伸した。
<反射波長および反射半値幅の測定>
実施例および比較例の波長選択性反射膜を市販のアクリル接着剤(東亞合成株式会社製UV−3300)を用いてガラス板に貼り合わせ、仮支持体を剥離した後、反射波長および反射半値幅を積分反射計により測定した。測定方法は、先に述べた通りである。
<厚さ方向レターデーションRthの測定>
実施例および比較例の波長選択性反射膜について厚さ方向レターデーションRthをAxometrics社のAxoscanを用いて測定した。既述のように、波長選択性反射膜をアクリル接着剤でガラス板に貼り合せ仮支持体を剥離した状態で測定した。
表1に示す反射中心波長(550nm)+100nmである波長650nmを測定光として用いた。波長650nmの光を、波長選択性反射膜の膜面に法線方向から入射させた場合におけるRthを測定した。測定方法は、先に述べた通りである。ガラスおよびアクリル接着剤のRthはほぼ0であるので、測定結果は波長選択性反射膜の特性とみなすことができる。
表1に実施例および比較例についてそれぞれの製造条件、厚さ方向レターデーションRth、反射中心波長および反射半値幅を測定した結果を示す。表1のDLCは、円盤状液晶、CLCは棒状液晶を意味する。
実施例1〜7の波長選択性反射膜は、比較例1、2のような延伸を行っていない光学膜と比較して反射半値幅が格段に小さくなった。同一の熟成温度で延伸倍率のみ変化させた実施例1〜6から、同一組成物を同一の熟成温度で熟成した光学膜の場合には、延伸倍率が大きいほど、反射半値幅が小さくなると共に、Rthは延伸前に比べて正側にシフトすることが明らかである。実施例7のように熟成温度が低いと同じ延伸倍率の実施例4と比較して反射半値幅が大きくなった。熟成温度によって、配向の状態が異なることに起因すると考えられる。
比較例3は棒状液晶化合物によるコレステリック相を有するものであり、延伸前の光学膜においてRthは正の値を有し、延伸後もRthの値は大きくは変化しない。比較例33のように棒状液晶化合物によるコレステリック相を有するものでは、延伸をしても反射半値幅は60nmであり、十分に小さい反射半値幅は得られなかった。
1、10、11 光学フィルム
2 支持体
12 λ/4板
13 波長選択性反射膜
13a 第1の波長選択性反射膜
13b 第2の波長選択性反射膜
13c 第3の波長選択性反射膜
14 積層膜
20 接着層
100 画像表示装置
101 スクリーン
102 液晶投影装置

Claims (9)

  1. 円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を二軸延伸してなる二軸延伸膜であって、反射波長域の半値幅が40nm以下である波長選択性反射膜。
  2. 円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる波長選択性反射膜であって、反射波長域の半値幅が40nm以下であり、反射中心波長+100nmの波長における、厚さ方向レターデーションRthが−50nm以上である波長選択性反射膜。
  3. 請求項1または2記載の波長選択性反射膜と、
    該波長選択性反射膜の一方の面に積層されたλ/4板とを備えた光学フィルム。
  4. 互いに異なる反射中心波長を有する反射波長域を有する複数の、請求項1または2記載の波長選択性反射膜の積層膜を備えた光学フィルム。
  5. 前記積層膜の一方の面に積層されたλ/4板をさらに備えた請求項4記載の光学フィルム。
  6. 円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる光学膜を形成し、
    該光学膜を二軸延伸して反射波長域の半値幅が40nm以下である波長選択性反射膜を得る波長選択性反射膜の製造方法。
  7. 前記円盤状液晶化合物を含む重合性液晶組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成し、
    該塗膜を前記重合性液晶組成物の液晶相と等方相との転移温度より1〜15℃低い温度で一定時間維持して前記円盤状液晶化合物をコレステリック相状態とした後に、該塗膜を硬化させることにより、前記円盤状液晶化合物がコレステリック相状態で固定されてなる前記光学膜を形成する請求項6記載の波長選択性反射膜の製造方法。
  8. 前記二軸延伸の倍率が20%〜50%である請求項6または7記載の波長選択性反射膜の製造方法。
  9. 光透過性を有するスクリーンと、
    該スクリーンの表面に貼付された請求項1または2記載の波長選択性反射膜と、
    該波長選択性反射膜が貼付された前記スクリーンに映像を投影する液晶投影装置とを備えた画像表示装置。
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