JP2001074042A

JP2001074042A - 動圧軸受装置

Info

Publication number: JP2001074042A
Application number: JP25128199A
Authority: JP
Inventors: Kazuo Shiba; 和男柴; Takashi Shimada; 隆司嶋田; Kazuhisa Ueno; 和久上野; Isao Mizuma; 功水間
Original assignee: Cimeo Precision Co Ltd; Citizen Watch Co Ltd
Current assignee: Cimeo Precision Co Ltd; Citizen Watch Co Ltd
Priority date: 1999-09-06
Filing date: 1999-09-06
Publication date: 2001-03-23

Abstract

(57)【要約】【課題】動圧軸受を用いた軸受装置において構造が簡
単で、安価ながら、作動流体が流出しない装置を提供す
る。【解決手段】固定部10に動圧軸受部を介し回転自在に
支持された回転部20の上下に設けられたスラスト軸受部
材の外側に0.15ｍｍ以上の隙間を隔ててカバーを設ける
こと及び／また、スラスト軸受部材外周とケース内面の
ジャーナル軸受部材からカバーまでの間、カバーの内側
端面、スペーサーの内面、固定軸の中央段部とには撥油
剤を塗布することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブやポリゴンミラー等の回転部の軸受装置の構造、
更に詳しくは動圧型スラスト軸受のシール構造に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、軸受装置において、高速・高回転
精度の要求から動圧軸受が用いられている。作動流体と
しては気体や液体が用いられるが、小型の軸受には液体
が多く用いられている。作動流体に液体を用いたものと
して、特開平１０−９６４２１号公報に記載された軸受
装置が知られている。一対のスラスト軸受でジャーナル
軸受を挟む構造になっていて、スラスト軸受部材が外部
に面している。このためスラスト軸受部材外周部の作動
流体は回転時の遠心力により飛散したり、停止時に作動
流体がスラスト軸受部材外周の隙間から漏れたりする。
これを防ぐために、作動流体に磁性流体を用い、軸受内
部に設けた磁石で磁気回路を形成し、作動流体を磁気回
路内に閉じ込め作動流体の飛散や漏出を防ぐものであ
る。

【０００３】図３は特開平１０−９６４２１号公報記載
の動圧軸受装置の断面図である。ベース12に垂直に立設
された固定軸11の外周の後述するジャーナル軸受部材と
対向する部分にはヘリングボーン状の動圧溝が形成され
ている。固定軸11の上下部には略フランジ状をしたスラ
スト軸受部材31ａ、31ｂが固定されている。このスラス
ト軸受部材31ａ、31ｂにも後述するジャーナル軸受と対
向する面にへリングボーン状の動圧溝が形成されてい
る。後述する磁石部材23とスラスト軸受部材31ａ、31ｂ
の間には上下のジャーナル軸受部材22ａ、22ｂが回転自
在に保持されている。

【０００４】上下のジャーナル軸受部材22ａ、22ｂの間
には磁石部材23と、内側ヨーク24が固着されている。さ
らにジャーナル軸受部材22ａ、22ｂと磁石部材23は外側
ヨーク21に嵌合固着されている。上下スラスト軸受部30
ａ、30ｂと上下ジャーナル軸受部40ａ、40ｂの隙間には
作動流体として磁性流体が満たされている。ジャーナル
軸受部材22ａ、22ｂが回転することにより動圧溝と作動
流体により軸受部に圧力が生じて、ジャーナル軸受部材
22ａ、22ｂは作動流体の油膜を介して回転自在に支持さ
れる。又、外側ヨークにはスラスト軸受部材31ａ、31ｂ
のスラスト方向外側にスペーサ25が固着されている。

【０００５】上記磁石部材23は、径方向に着磁されてい
て、図の破線矢印で示される磁力線が形成される。これ
により、上部スラスト軸受部材31ａ及び下部スラスト軸
受部材31ｂの外周面と外側ヨーク21の内周面との間隙に
ある磁性流体、及び、固定軸11の外周面と内側ヨーク24
の内周面との間隙にある磁性流体が、磁力により保持さ
れ磁性流体の外部への流出を防ぐことができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述の磁性流体を用い
た軸受装置では磁性流体が高価であり、さらに、強力な
磁石を必要とするため磁石部材も高価になるという問題
があった。また、ジャーナル軸受部材、磁石、内側ヨー
クで構成されているので、構造が簡単にできないという
問題もあった。また、磁石部材を着磁してから組込む必
要があるので、組立時に磁性のごみを軸受部にひきつけ
やすく、付いたごみが取りにくという問題があった。磁
石の磁力が強いので組立時に外側ヨークや治具に吸着し
て作業性が悪くなる等の問題もあった。さらに、スラス
ト軸受部材31ａ、31ｂの外周部は磁力が集中するので、
磁性流体が引き寄せられ、スラスト軸受部材31ａ、31ｂ
の外周に盛り上がるようになり、回転時に磁性流体が飛
散することがあった。

【０００７】本発明の目的は、上記課題を解決し、安価
な作動油を使用しながら、作動油の流出を防ぎ、軸受け
の組立も容易にできる軸受装置の構造を提供することで
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為
に、本発明にかかる軸受装置は、固定あるいは回転する
軸と、該軸の端部に固定されたスラスト軸受部材と、前
記軸を支承するジャーナル軸受部材と、該ジャーナル軸
受部材を嵌合固着すると共に前記スラスト軸受部材の外
側端面よりも外側に延びた内壁面を有するジャーナル軸
受保持部材と、該ジャーナル軸受保持部材に固着すると
共に前記内壁面をカバーするカバー部材とを有する動圧
軸受装置に於いて、前記スラスト軸受部材の外側端面と
前記カバー部材の内側端面との隙間を0.15ｍｍ以上とし
た。

【０００９】また、前記スラスト軸受部材の外側端面
と、前記カバー部材の内側端面と、前記ジャーナル軸受
保持部材の内壁面とに撥油処理することにより、スラス
ト軸受部より外部に流出しようとする作動油を押し戻す
ようにしたものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態であ
る軸受装置の構造を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１１】図1は本発明の軸受装置の構造を示す要部
断面図である。ベース112に垂直に立設された固定軸111
の外周には図示しないがヘリングボーン状の動圧溝が
形成されている。固定軸111の上下部には略フランジ状
をしたスラスト軸受部材131ａ、131ｂが固定されてい
る。この上下のスラスト軸受部材131ａ、131ｂにもへ
リングボーン状の動圧溝が形成されている。固定軸111
と上下スラスト軸受部材131ａ、131ｂに対し回転自在に
上下のジャーナル軸受部材123ａ、123ｂが保持されて
いる。上下スラスト軸受部130ａ、130ｂと上下ジャーナ
ル軸受部140ａ、140ｂには動圧軸受の作動流体として潤
滑油が満たされている。潤滑油は潤滑性能と安定性が高
ければ磁性流体でなくても良い。

【００１２】上下のジャーナル軸受部材の間にはスペー
サー240 が固着されている。さらにジャーナル軸受部材
123ａ、123ｂとカバー125はケース210に固着される。ケ
ース210 は、図示しない１枚以上のディスクが取り付け
られたハブ53に固着される。ハブ53 にはモータのロー
タ磁石52が固着されていて、ジャーナル軸受部材123
ａ、123ｂ、スペーサー240、ジャーナル軸受保持部材
であるケース210、ハブ53、ロータ磁石52は一体で回転
する。ベース112には固定軸111と同軸に、コイルが巻か
れたステータコア51が固着されている。ジャーナル軸受
部材123ａ、123ｂが回転することにより動圧溝と作動流
体により動圧作用が生じ回転側は作動流体の油膜を介し
て回転自在に支持される。作動流体はスラスト軸受部材
131ａ、131ｂの外側から固定軸111の段付部までの間に
満たされている。

【００１３】図２は上スラスト軸受部の断面図である。
上記スラスト軸受部材131ａ、131ｂの外側には少なくと
も0.15ｍｍの隙間を隔てて、カバー125がケース210に固
着されている。

【００１４】また、スラスト軸受部材131ａ、131ｂの外
周とケース210 内面のジャーナル軸受部材123ａ、123ｂ
の外側からカバー125までの間、カバー125の内側端面、
および、スペーサー240の内面、固定軸111の中央段部と
には撥油剤（例えば住友スリーエム社製のＦＣ-722）が
塗布されている。

【００１５】以下にこのように構成された軸受の作用に
ついて説明する。ジャーナル軸受部材123ａ、123ｂが回
転すると動圧溝のポンピング作用により、スラスト軸受
部130ａ、130ｂの内側と外側の油は動圧溝の中央に吸い
寄せられる。スラスト軸受部材131ａ、131ｂ外周部の作
動流体は遠心力によりケース210 内面に沿ってより外側
へと移動する。遠心力によって外側に押し出された作動
流体がカバー125 に接触すると作動流体が流出しだして
スラスト軸受部材13１ａ、13１ｂとカバー125の隙間か
ら漏れてしまうが、作動流体は動圧溝のポンピング作用
を受けるので作動流体の液面の上昇は少ない。

【００１６】スラスト軸受部材131ａ、131ｂの外径が7.
5ｍｍの軸受で、スラスト軸受部材131ａ、131ｂとカバ
ー125の隙間を0.15ｍｍとした上記軸受装置を、14000回
転で回転させたところ、作動流体はカバー125 に接触し
ないことを確認している。また、隙間が0.15mm以上あれ
ば組立のばらつきがあっても液面がカバー125 に接触す
ることがないので、組立時の隙間の管理が容易になっ
た。隙間は0.15ｍｍより大きいことが望ましいが、大き
すぎると作動油が霧になって漏れることがあるので0.3
ｍｍ程度が上限となる。

【００１７】つぎに、撥油剤の効果について説明する。
使用した撥油剤は接触角が７０度より大きいので、作動
流体が撥油剤に接触すると、内側に戻す力が働くので軸
受が停止している状態でスラスト軸受部材131ａ、131ｂ
の外側から流出しようとする作動流体を元に戻すように
作用する。この力は軸受の回転にかかわり無く働くの
で、作動流体の流出防止に効果が大きい。さらに、金属
表面に油がつくと長い時間をかけて油が金属表面ににじ
み、その表面を伝わって外部に流出するという現象が起
きるが、撥油剤を塗布することで潤滑油が金属表面から
にじみ出ることを防止できる。

【００１８】上記のように、スラスト軸受部材の外側に
0.15ｍｍ以上の隙間を隔ててカバーを設けると同時に、
カバーとスラスト板の間に撥油剤を塗布したことによっ
て高価な磁性流体を用いなくて作動流体の流出を防ぐこ
とができる。

【００１９】以上の実施の形態では、軸が固定された形
式で説明したが軸が回転する場合についてもまったく同
じである。さらに、上下のジャーナル軸受部材123ａ、1
23ｂを分離した形式で説明したが、一体としてもよく、
この場合は上下のジャーナル軸受部材の同軸度が出しや
すくなるので、安価で高精度の軸受が作りやすくなる。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、スラス
ト軸受部材の外側に0.15ｍｍ以上の隙間を隔ててカバー
を設けることにより高価な磁性流体を用いなくても作動
流体の流出を防ぐことができる。磁性流体を使わないこ
とで磁石部材も不要となるので安価にでき、さらに、構
造が簡単になるので組立性も良い。さらに、スラスト軸
受部材外周とケース内面のジャーナル軸受部材からカバ
ーまでの間、カバーの内側端面、スペーサーの内面、固
定軸の中央段部とには撥油剤を塗布することにより、隙
間の効果と相まって作動流体の流出を防ぎ、作動流体を
動圧軸受部に確実に保持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の軸受装置を示す部分断面図である。

【図２】本発明のスラスト軸受部を示す部分断面図であ
る。

【図３】従来の軸受構造を示す軸受装置の要部断面図で
ある。

【符号の説明】

111 固定軸 112 ベース 123ａ上部ジャーナル軸受部材 123ｂ下部ジャーナル軸受部材 130ａ上部スラスト軸受部 130ｂ下部スラスト軸受部 131ａ上部スラスト軸受部材 131ｂ下部スラスト軸受部材 140ａ上部ジャーナル軸受部 140ｂ下部ジャーナル軸受部 210 ケース 240 スペーサー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者上野和久長野県北佐久郡御代田町大字御代田4107番地５シメオ精密株式会社内 (72)発明者水間功長野県北佐久郡御代田町大字御代田4107番地５シメオ精密株式会社内Ｆターム(参考） 3J011 AA07 BA05 CA02 DA02 JA02 KA02 KA03 MA12 MA23 PA03 RA01

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】固定あるいは回転する軸と、該軸の端部
側に固定されたスラスト軸受部材と、前記軸を回転自在
に支承するジャーナル軸受部材と、該ジャーナル軸受部
材を嵌合固着すると共に前記スラスト軸受部材の外側端
面よりも外側に延びた内壁面を有するジャーナル軸受保
持部材と、該ジャーナル軸受保持部材に固着すると共に
前記内壁面をカバーするカバー部材とを有する動圧軸受
装置に於いて、前記スラスト軸受の外側端面と前記カバ
ー部材の内側端面との隙間を0.15ｍｍ以上とすることを
特徴とする動圧軸受装置。
【請求項２】少なくとも前記スラスト軸受の外側端面
と、前記カバー部材の内側端面と、前記ジャーナル軸受
保持部材の内壁面とに撥油処理がされていることを特徴
とする請求項１に記載の動圧軸受装置。