JP2001073067A - 転動疲労寿命に優れた鋼およびその製造方法 - Google Patents
転動疲労寿命に優れた鋼およびその製造方法Info
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- JP2001073067A JP2001073067A JP24494299A JP24494299A JP2001073067A JP 2001073067 A JP2001073067 A JP 2001073067A JP 24494299 A JP24494299 A JP 24494299A JP 24494299 A JP24494299 A JP 24494299A JP 2001073067 A JP2001073067 A JP 2001073067A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 肌焼鋼において光学顕微鏡で白く見える母相
と異なった結晶粒の大きさが数10nmに微細化した組
織変化の発生を抑制し、高振動・高荷重下でも優れた寿
命、特に転動寿命を有する鋼およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 重量%で、C:0.10〜0.45%、
Si:0.05〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、N:≦0.015%を含有し、さらにTi:0.0
1〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、残部
Feおよび不可避不純物からなる転動疲労寿命に優れた
肌焼鋼。
と異なった結晶粒の大きさが数10nmに微細化した組
織変化の発生を抑制し、高振動・高荷重下でも優れた寿
命、特に転動寿命を有する鋼およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 重量%で、C:0.10〜0.45%、
Si:0.05〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、N:≦0.015%を含有し、さらにTi:0.0
1〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、残部
Feおよび不可避不純物からなる転動疲労寿命に優れた
肌焼鋼。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械構造用鋼ある
いは軸受用鋼として使用される転動疲労寿命に優れた鋼
で、鋼中に微細析出物を分散させて、転動疲労中に発生
し早期はく離に至らしめる特殊な組織変化を抑制し、転
動疲労寿命を向上させた鋼に関する。
いは軸受用鋼として使用される転動疲労寿命に優れた鋼
で、鋼中に微細析出物を分散させて、転動疲労中に発生
し早期はく離に至らしめる特殊な組織変化を抑制し、転
動疲労寿命を向上させた鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的な転動部材は、その使用の
条件など多様化した用途に合わせて種々の材料が用いら
れ、大型部品あるいは衝撃荷重がかかり高靱性が必要な
軸受などでは、靱性を高めるためにSCRやSCMなど
の肌焼鋼を浸炭焼入れ・焼戻し処理したものが使用され
ている。さらに、産業機械および自動車部品は、高性能
化、高出力化および小型・軽量化によって、駆動系部品
や軸受などの使用環境はますます過酷なものになってい
る。例えばトロイダル型無段変速機、等速ジョイントあ
るいは軸受などの転動部材は、高振動下、高荷重下で使
用された場合、従来鋼では転動面下に母相より腐食され
にくく、光学顕微鏡で白くみえる母相と異なった結晶粒
が数10nmの大きさまで微細化した組織変化が発生
し、早期破損するといった問題点がある。この組織変化
の対策として、従来法ではこの組織変化の発生をCの拡
散減少として、鋼中の炭素の含有量を高めて中炭化した
り、Cr添加を行っているが効果がなかった。さらに、
例えば特許公報第2883460号の技術があるが、こ
れは焼入温度が高くなった場合でも結晶粒の粗大化を生
じることなくしているが、この技術では上記の組織変化
の発生を抑制することはできず、寿命も向上しない。
条件など多様化した用途に合わせて種々の材料が用いら
れ、大型部品あるいは衝撃荷重がかかり高靱性が必要な
軸受などでは、靱性を高めるためにSCRやSCMなど
の肌焼鋼を浸炭焼入れ・焼戻し処理したものが使用され
ている。さらに、産業機械および自動車部品は、高性能
化、高出力化および小型・軽量化によって、駆動系部品
や軸受などの使用環境はますます過酷なものになってい
る。例えばトロイダル型無段変速機、等速ジョイントあ
るいは軸受などの転動部材は、高振動下、高荷重下で使
用された場合、従来鋼では転動面下に母相より腐食され
にくく、光学顕微鏡で白くみえる母相と異なった結晶粒
が数10nmの大きさまで微細化した組織変化が発生
し、早期破損するといった問題点がある。この組織変化
の対策として、従来法ではこの組織変化の発生をCの拡
散減少として、鋼中の炭素の含有量を高めて中炭化した
り、Cr添加を行っているが効果がなかった。さらに、
例えば特許公報第2883460号の技術があるが、こ
れは焼入温度が高くなった場合でも結晶粒の粗大化を生
じることなくしているが、この技術では上記の組織変化
の発生を抑制することはできず、寿命も向上しない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した問題に対し
て、本発明が解決しようとする課題は、上記した組織変
化の発生を抑制し、高振動・高荷重下でも優れた寿命、
特に転動寿命を有する鋼およびその製造方法を提供する
ことである。
て、本発明が解決しようとする課題は、上記した組織変
化の発生を抑制し、高振動・高荷重下でも優れた寿命、
特に転動寿命を有する鋼およびその製造方法を提供する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、発明者らは鋭意研究し高振動・高荷重下における
種々の鋼材からなる転動部材における組織変化について
観察したところ、この組織変化は、従来の組織変化(D
EC、WEC)、すなわち組織の焼戻しが進行したもの
と考えられる従来の組織変化と異なることを見いだし
た。すなわち、この高振動・高荷重下における鋼材から
なる転動部材の組織変化部は局部的に疲労が進行し、結
晶粒径がnmサイズまで微細化したものである。これは
高振動・高荷重により局部的な応力集中が起こり、クラ
ックが発生し、そのクラック部にさらなる応力集中や応
力の複雑化が起こり、クラック部において塑性変形が繰
り返され、結晶粒が数10nmまで微細化される組織変
化が発生したと考えられるものである。
めに、発明者らは鋭意研究し高振動・高荷重下における
種々の鋼材からなる転動部材における組織変化について
観察したところ、この組織変化は、従来の組織変化(D
EC、WEC)、すなわち組織の焼戻しが進行したもの
と考えられる従来の組織変化と異なることを見いだし
た。すなわち、この高振動・高荷重下における鋼材から
なる転動部材の組織変化部は局部的に疲労が進行し、結
晶粒径がnmサイズまで微細化したものである。これは
高振動・高荷重により局部的な応力集中が起こり、クラ
ックが発生し、そのクラック部にさらなる応力集中や応
力の複雑化が起こり、クラック部において塑性変形が繰
り返され、結晶粒が数10nmまで微細化される組織変
化が発生したと考えられるものである。
【0005】そこでこの微細クラック発生を抑制する成
分元素を鋼成分に添加し、焼入れ焼戻し後に鋼中に10
0nm以下の微細析出物を均一に分散させて分散強化す
る。この100nm以下の微細析出物のの個数は1個/
10μm2、望ましくは50個/10μm2とする。この
微細析出物による分散強化によって、クラックの発生お
よび伝播を抑制し、このことにより組織変化の発生を抑
制させるものである。また、鋼中に存在する非金属介在
物等を起点にクラックが発生した場合においても、微細
分散した析出物が転移の運動を抑制し、塑性変形を防
ぎ、組織変化を抑制するものである。
分元素を鋼成分に添加し、焼入れ焼戻し後に鋼中に10
0nm以下の微細析出物を均一に分散させて分散強化す
る。この100nm以下の微細析出物のの個数は1個/
10μm2、望ましくは50個/10μm2とする。この
微細析出物による分散強化によって、クラックの発生お
よび伝播を抑制し、このことにより組織変化の発生を抑
制させるものである。また、鋼中に存在する非金属介在
物等を起点にクラックが発生した場合においても、微細
分散した析出物が転移の運動を抑制し、塑性変形を防
ぎ、組織変化を抑制するものである。
【0006】すなわち上記の課題を解決するための本発
明の手段は、請求項1の発明では、重量%で、C:0.
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、N:≦0.015%を含有し、さ
らにTi:0.01〜0.20%、Nb:0.02〜
0.40%、V:0.01〜0.20%の3種から選択
した1種または2種以上を含有し、かつ、0.05%≦
Ti(%)+0.52×Nb(%)+0.94×V
(%)を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる
ことを特徴とする転動疲労寿命に優れた鋼である。
明の手段は、請求項1の発明では、重量%で、C:0.
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、N:≦0.015%を含有し、さ
らにTi:0.01〜0.20%、Nb:0.02〜
0.40%、V:0.01〜0.20%の3種から選択
した1種または2種以上を含有し、かつ、0.05%≦
Ti(%)+0.52×Nb(%)+0.94×V
(%)を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる
ことを特徴とする転動疲労寿命に優れた鋼である。
【0007】請求項2の発明では、重量%で、C:0.
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050
%、N:≦0.015%を含有し、さらに、Ti:0.
01〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、残部
Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする転動
疲労寿命に優れた鋼である。
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050
%、N:≦0.015%を含有し、さらに、Ti:0.
01〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、残部
Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする転動
疲労寿命に優れた鋼である。
【0008】請求項3の発明では、重量%で、C:0.
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、N:≦0.015%を含有し、さ
らにTi:0.01〜0.20%、Nb:0.02〜
0.40%、V:0.01〜0.20%の3種から選択
した1種または2種以上を含有し、かつ、0.05%≦
Ti(%)+0.52×Nb(%)+0.94×V
(%)を満足し、さらにCr:0.15〜3.0%、M
o:0.05〜2.0%、Ni:0.05〜3.0%の
3種から選択した1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避不純物からなることを特徴とする転動疲
労寿命に優れた鋼である。
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、N:≦0.015%を含有し、さ
らにTi:0.01〜0.20%、Nb:0.02〜
0.40%、V:0.01〜0.20%の3種から選択
した1種または2種以上を含有し、かつ、0.05%≦
Ti(%)+0.52×Nb(%)+0.94×V
(%)を満足し、さらにCr:0.15〜3.0%、M
o:0.05〜2.0%、Ni:0.05〜3.0%の
3種から選択した1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避不純物からなることを特徴とする転動疲
労寿命に優れた鋼である。
【0009】請求項4の発明では、重量%で、C:0.
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050
%、N:≦0.015%を含有し、さらにTi:0.0
1〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、さら
にCr:0.15〜3.0%、Mo:0.05〜2.0
%、Ni:0.05〜3.0%の3種から選択した1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物
からなることを特徴とする転動疲労寿命に優れた鋼であ
る。
10〜0.45%、Si:0.05〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、B:0.0005〜0.0050
%、N:≦0.015%を含有し、さらにTi:0.0
1〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、さら
にCr:0.15〜3.0%、Mo:0.05〜2.0
%、Ni:0.05〜3.0%の3種から選択した1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物
からなることを特徴とする転動疲労寿命に優れた鋼であ
る。
【0010】請求項5の発明では、請求項1〜4のいず
れか1項の手段における鋼を1250〜1400℃で熱
間圧延して鋼片とし、さらにAc3〜1050℃で圧延
して棒線材とすることを特徴とする転動疲労寿命に優れ
た鋼材の製造方法である。
れか1項の手段における鋼を1250〜1400℃で熱
間圧延して鋼片とし、さらにAc3〜1050℃で圧延
して棒線材とすることを特徴とする転動疲労寿命に優れ
た鋼材の製造方法である。
【0011】本発明の鋼の成分元素の添加理由およびそ
の添加量の限定理由について以下に記載する。
の添加量の限定理由について以下に記載する。
【0012】Cは、浸炭処理後の芯部の強度を確保する
ために添加する。0.1%未満では強度の確保は不十分
であり、0.45%を超えると靱性が低下する。従って
C:0.10〜0.45%とする。
ために添加する。0.1%未満では強度の確保は不十分
であり、0.45%を超えると靱性が低下する。従って
C:0.10〜0.45%とする。
【0013】Siは、製鋼での脱酸効果のためおよび焼
入性の確保のために添加する。0.05%未満では、脱
酸効果が不十分であり、1.5%を超えると冷間加工性
が低下する。そこでSi:0.05〜1.5%とする。
入性の確保のために添加する。0.05%未満では、脱
酸効果が不十分であり、1.5%を超えると冷間加工性
が低下する。そこでSi:0.05〜1.5%とする。
【0014】Mnは、焼入性のために添加する。この効
果を発揮させるためには0.20%以上必要であるが、
2.0%を超えると加工性を低下する。そこでMn:
0.20〜2.0%とする。
果を発揮させるためには0.20%以上必要であるが、
2.0%を超えると加工性を低下する。そこでMn:
0.20〜2.0%とする。
【0015】Tiは、鋼中に微細なTi炭化物を析出さ
せる。この析出物の分散強化により、高振動下、高荷重
下での繰り返し疲労において、クラックの発生を抑制
し、それに伴って発生する組織変化の発生を抑制する。
しかし、この効果はTi:0.01%未満では効果がな
い。Ti:0.20%を超えると凝固時に生成する十数
μmのTi炭窒化物が多くなり、冷間加工性が低下す
る。そこでTi:0.01〜0.20%とする。
せる。この析出物の分散強化により、高振動下、高荷重
下での繰り返し疲労において、クラックの発生を抑制
し、それに伴って発生する組織変化の発生を抑制する。
しかし、この効果はTi:0.01%未満では効果がな
い。Ti:0.20%を超えると凝固時に生成する十数
μmのTi炭窒化物が多くなり、冷間加工性が低下す
る。そこでTi:0.01〜0.20%とする。
【0016】Nbは、Tiと同様に、鋼中に微細なNb
炭化物を析出させる。その限定理由もTiと同様で、上
記の析出物の分散強化により、高振動下、高荷重下での
繰り返し疲労において、クラックの発生を抑制し、それ
に伴って発生する組織変化の発生を抑制する。しかし、
この効果はNb:0.02%未満では効果がない。N
b:0.40%を超えると凝固時に生成する十数μmの
Nb炭窒化物が多くなり、冷間加工性が低下する。そこ
でNb:0.02〜0.40%とする。
炭化物を析出させる。その限定理由もTiと同様で、上
記の析出物の分散強化により、高振動下、高荷重下での
繰り返し疲労において、クラックの発生を抑制し、それ
に伴って発生する組織変化の発生を抑制する。しかし、
この効果はNb:0.02%未満では効果がない。N
b:0.40%を超えると凝固時に生成する十数μmの
Nb炭窒化物が多くなり、冷間加工性が低下する。そこ
でNb:0.02〜0.40%とする。
【0017】Vは、これもTiと同様に、鋼中に微細な
V炭化物を析出させる。その限定理由もTiと同様で、
上記の析出物の分散強化により、高振動下、高荷重下で
の繰り返し疲労において、クラックの発生を抑制し、そ
れに伴って発生する組織変化の発生を抑制する。しか
し、この効果はV:0.01%未満では効果がない。
V:0.20%を超えると凝固時に生成する十数μmの
V炭窒化物が多くなり、冷間加工性が低下する。そこで
V:0.01〜0.20%とする。
V炭化物を析出させる。その限定理由もTiと同様で、
上記の析出物の分散強化により、高振動下、高荷重下で
の繰り返し疲労において、クラックの発生を抑制し、そ
れに伴って発生する組織変化の発生を抑制する。しか
し、この効果はV:0.01%未満では効果がない。
V:0.20%を超えると凝固時に生成する十数μmの
V炭窒化物が多くなり、冷間加工性が低下する。そこで
V:0.01〜0.20%とする。
【0018】そして、Ti、Nb、Vが上記した効果を
十分に発揮するのためには、0.05%≦Ti(%)+
0.52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足する
必要があり、この範囲でTi、Nb、Vは1種又は2種
以上を添加する。
十分に発揮するのためには、0.05%≦Ti(%)+
0.52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足する
必要があり、この範囲でTi、Nb、Vは1種又は2種
以上を添加する。
【0019】Nは、鋼の凝固時に十数μmのTi炭窒化
物やNb炭窒化物やV炭窒化物を析出させ冷間加工性を
低下するので上限を0.015%とする。
物やNb炭窒化物やV炭窒化物を析出させ冷間加工性を
低下するので上限を0.015%とする。
【0020】Bは、焼入性のために添加する。しかし、
0.0005%未満ではその効果がなく、0.005%
を超えて多すぎると、逆に焼入性を低下し、さらに靱性
を低下する。そこで、B:0.0005〜0.0050
%とする。
0.0005%未満ではその効果がなく、0.005%
を超えて多すぎると、逆に焼入性を低下し、さらに靱性
を低下する。そこで、B:0.0005〜0.0050
%とする。
【0021】Cr、Mo、Niは低合金肌焼鋼の焼入性
のために添加する。しかし、少なければその効果はな
く、多すぎても効果は飽和し、コストアップになる。い
ずれも添加の効果を得るためには、経済性も考慮してC
r:0.15〜3.0%、Mo:0.05〜2.0%、
Ni:0.05〜3.0%とし、選択的に1種又は2種
以上とする。
のために添加する。しかし、少なければその効果はな
く、多すぎても効果は飽和し、コストアップになる。い
ずれも添加の効果を得るためには、経済性も考慮してC
r:0.15〜3.0%、Mo:0.05〜2.0%、
Ni:0.05〜3.0%とし、選択的に1種又は2種
以上とする。
【0022】請求項1〜4のいずれか1項に記載の下記
に示す数式(1)を満足する鋼を1250〜1400℃
で熱間圧延して鋼片とし、さらにAc3〜1050℃で
圧延して棒線材とすることにより、鋼中に100nm以
下の微細析出物を1個/10μm2、望ましくは50個
/10μm2を析出させ、この微細析出物による分散強
化によって、クラックの発生および伝播を抑制すること
により組織変化の発生を抑制する。
に示す数式(1)を満足する鋼を1250〜1400℃
で熱間圧延して鋼片とし、さらにAc3〜1050℃で
圧延して棒線材とすることにより、鋼中に100nm以
下の微細析出物を1個/10μm2、望ましくは50個
/10μm2を析出させ、この微細析出物による分散強
化によって、クラックの発生および伝播を抑制すること
により組織変化の発生を抑制する。
【0023】本発明の実施の形態を表1に示す実施例の
鋼を参照して以下に示す。表1の実施例1〜9の化学成
分を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を
100kgVIMにて溶製する。得られた鋼材を125
0℃〜1400℃で鋼片圧延し、Ac3〜1050℃で
棒線圧延して微細な100nm以下のTi炭化物、Nb
炭化物、V炭化物を析出させる。その微細析出物の個数
は1個/10μm2以上、望ましくは50個/10μm2
とする。
鋼を参照して以下に示す。表1の実施例1〜9の化学成
分を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を
100kgVIMにて溶製する。得られた鋼材を125
0℃〜1400℃で鋼片圧延し、Ac3〜1050℃で
棒線圧延して微細な100nm以下のTi炭化物、Nb
炭化物、V炭化物を析出させる。その微細析出物の個数
は1個/10μm2以上、望ましくは50個/10μm2
とする。
【0024】
【実施例】表1に発明鋼の実施例および比較例の鋼の化
学成分を示す。先ず表1に示す鋼成分の本発明鋼と比較
例の供試鋼を溶製する。比較例は1〜9の9種を示し、
本発明の実施例は1〜9の9種を示す。表1において、
P、S、Oは不純物レベルを示す。これらにおいて、比
較例1〜9の供試鋼は、いずれも、数式(1)の関係式
を満足するものではなかった。
学成分を示す。先ず表1に示す鋼成分の本発明鋼と比較
例の供試鋼を溶製する。比較例は1〜9の9種を示し、
本発明の実施例は1〜9の9種を示す。表1において、
P、S、Oは不純物レベルを示す。これらにおいて、比
較例1〜9の供試鋼は、いずれも、数式(1)の関係式
を満足するものではなかった。
【0025】
【数1】 0.05% ≦ Ti(%)+0.52 ×Nb(%)+0.94×v(%) (1)
【0026】これに対し本発明鋼である実施例1〜9は
全て、上記の数式(1)の関係式を満足するものであっ
た。
全て、上記の数式(1)の関係式を満足するものであっ
た。
【0027】
【表1】
【0028】それぞれの実施例および比較例に示す鋼の
供試材は、実際の製造工程の1250℃〜1400℃で
鋼片圧延し、Ac3〜1050℃で棒線圧延に代えるも
のとして、100kgVIMにて溶解した供試材を13
00℃に加熱して圧延し、950℃で仕上げ鍛伸し、下
記に示す従動ローラーの試験片に加工し、図1示す浸炭
条件で浸炭焼入れ・焼戻しを行う。この供試材を、高振
動・高荷重下での転動疲労の再現として、次に示す試験
方法により試験を行った。この試験方法では、従来鋼を
試験した場合、組織変化を伴い短寿命で破損する。表2
に耐久寿命試験結果として、寿命値と組織変化発生の有
り、無しを示した。
供試材は、実際の製造工程の1250℃〜1400℃で
鋼片圧延し、Ac3〜1050℃で棒線圧延に代えるも
のとして、100kgVIMにて溶解した供試材を13
00℃に加熱して圧延し、950℃で仕上げ鍛伸し、下
記に示す従動ローラーの試験片に加工し、図1示す浸炭
条件で浸炭焼入れ・焼戻しを行う。この供試材を、高振
動・高荷重下での転動疲労の再現として、次に示す試験
方法により試験を行った。この試験方法では、従来鋼を
試験した場合、組織変化を伴い短寿命で破損する。表2
に耐久寿命試験結果として、寿命値と組織変化発生の有
り、無しを示した。
【0029】試験方法は、外径φ130mm×18wt
で端面形状R=150のSCM420浸炭材よりなる駆
動側ローラーを用い、外径26mmで端面形状フラット
な試験片よりなる従動ローラーを上記の駆動ローラーに
より15000rpmで回転して面圧をかけて繰り返し
疲労させる。さらに試験中、従動ローラー部には加振機
より振動を加える。なお、駆動側ローラーと従動ローラ
ーの接触部はRa=0.1μm以下に加工し、接触面圧
350kgf/mm2を負荷し、潤滑中で疲労試験を行
うものとする。
で端面形状R=150のSCM420浸炭材よりなる駆
動側ローラーを用い、外径26mmで端面形状フラット
な試験片よりなる従動ローラーを上記の駆動ローラーに
より15000rpmで回転して面圧をかけて繰り返し
疲労させる。さらに試験中、従動ローラー部には加振機
より振動を加える。なお、駆動側ローラーと従動ローラ
ーの接触部はRa=0.1μm以下に加工し、接触面圧
350kgf/mm2を負荷し、潤滑中で疲労試験を行
うものとする。
【0030】微細な100nm以下のTi炭化物、Nb
炭化物、V炭化物の微細析出物の個数の確認は、寿命試
験の試験片と同様の工程で浸炭焼入れ・焼戻し処理を行
い、浸炭層から透過型電子顕微鏡用の薄膜試料を作成
し、透過型電子顕微鏡にて、200μm2を観察し、析
出物を数えた。その結果、本発明の実施例のすべての鋼
は、微細析出物の個数が1個/10μm2以上で、50
個/10μm2の範囲にあった。
炭化物、V炭化物の微細析出物の個数の確認は、寿命試
験の試験片と同様の工程で浸炭焼入れ・焼戻し処理を行
い、浸炭層から透過型電子顕微鏡用の薄膜試料を作成
し、透過型電子顕微鏡にて、200μm2を観察し、析
出物を数えた。その結果、本発明の実施例のすべての鋼
は、微細析出物の個数が1個/10μm2以上で、50
個/10μm2の範囲にあった。
【0031】数式(1)を満足しない比較例1〜9の全
ての鋼には組織変化が発生した。これに対し、数式
(1)を満足する本発明の実施例1〜9の全ての鋼には
組織変化の発生は無かった。転動寿命のL10 は、比較
例1の寿命を1として示して合わせて表2に示す。本発
明鋼のL10 寿命は比較例に比し3倍ないし5倍と優れ
ていることがわかる。
ての鋼には組織変化が発生した。これに対し、数式
(1)を満足する本発明の実施例1〜9の全ての鋼には
組織変化の発生は無かった。転動寿命のL10 は、比較
例1の寿命を1として示して合わせて表2に示す。本発
明鋼のL10 寿命は比較例に比し3倍ないし5倍と優れ
ていることがわかる。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明の鋼はク
ラックの発生を抑制する元素を特定量添加し、焼入れ焼
戻し後の鋼中に100nm以下の微細析出物を10μm
2当たり1個以上、望ましくは50個を均一に分散させ
て、分散強化したので、組織変化発生が抑制され、高振
動・高荷重下でも優れた寿命、特に優れた転動寿命を有
する肌焼鋼が得られる。
ラックの発生を抑制する元素を特定量添加し、焼入れ焼
戻し後の鋼中に100nm以下の微細析出物を10μm
2当たり1個以上、望ましくは50個を均一に分散させ
て、分散強化したので、組織変化発生が抑制され、高振
動・高荷重下でも優れた寿命、特に優れた転動寿命を有
する肌焼鋼が得られる。
【図1】浸炭条件を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA05 AA11 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA26 AA27 AA29 AA31 AA32 AA35 AA36 BA02 CA03 CC04 CF01 CF03
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.10〜0.45%、
Si:0.05〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、N:≦0.015%を含有し、さらにTi:0.0
1〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、残部
Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする転動
疲労寿命に優れた鋼。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.10〜0.45%、
Si:0.05〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、B:0.0005〜0.0050%、N:≦0.0
15%を含有し、さらに、Ti:0.01〜0.20
%、Nb:0.02〜0.40%、V:0.01〜0.
20%の3種から選択した1種または2種以上を含有
し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.52×Nb
(%)+0.94×V(%)を満足し、残部Feおよび
不可避不純物からなることを特徴とする転動疲労寿命に
優れた鋼。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.10〜0.45%、
Si:0.05〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、N:≦0.015%を含有し、さらにTi:0.0
1〜0.20%、Nb:0.02〜0.40%、V:
0.01〜0.20%の3種から選択した1種または2
種以上を含有し、かつ、0.05%≦Ti(%)+0.
52×Nb(%)+0.94×V(%)を満足し、さら
にCr:0.15〜3.0%、Mo:0.05〜2.0
%、Ni:0.05〜3.0%の3種から選択した1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物
からなることを特徴とする転動疲労寿命に優れた鋼。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.10〜0.45%、
Si:0.05〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、B:0.0005〜0.0050%、N:≦0.0
15%を含有し、さらにTi:0.01〜0.20%、
Nb:0.02〜0.40%、V:0.01〜0.20
%の3種から選択した1種または2種以上を含有し、か
つ、0.05%≦Ti(%)+0.52×Nb(%)+
0.94×V(%)を満足し、さらにCr:0.15〜
3.0%、Mo:0.05〜2.0%、Ni:0.05
〜3.0%の3種から選択した1種または2種以上を含
有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴
とする転動疲労寿命に優れた鋼。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼
を1250〜1400℃で熱間圧延して鋼片とし、さら
にAc3〜1050℃で圧延して棒線材とすることを特
徴とする転動疲労寿命に優れた鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24494299A JP2001073067A (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 転動疲労寿命に優れた鋼およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24494299A JP2001073067A (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 転動疲労寿命に優れた鋼およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001073067A true JP2001073067A (ja) | 2001-03-21 |
Family
ID=17126265
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24494299A Pending JP2001073067A (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 転動疲労寿命に優れた鋼およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001073067A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1420078A2 (en) | 2002-11-12 | 2004-05-19 | Koyo Seiko Co., Ltd. | Brearing steel excellent in corrosion resistance |
US7081174B2 (en) | 2002-04-30 | 2006-07-25 | Sanyo Special Steel Co., Ltd. | Process for producing steel products having improved grain size properties and machinability |
-
1999
- 1999-08-31 JP JP24494299A patent/JP2001073067A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7081174B2 (en) | 2002-04-30 | 2006-07-25 | Sanyo Special Steel Co., Ltd. | Process for producing steel products having improved grain size properties and machinability |
EP1420078A2 (en) | 2002-11-12 | 2004-05-19 | Koyo Seiko Co., Ltd. | Brearing steel excellent in corrosion resistance |
EP1420078A3 (en) * | 2002-11-12 | 2006-05-03 | Koyo Seiko Co., Ltd. | Brearing steel excellent in corrosion resistance |
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