JP5643622B2 - 肌焼鋼、およびこれを用いた機械構造部品 - Google Patents
肌焼鋼、およびこれを用いた機械構造部品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5643622B2 JP5643622B2 JP2010267150A JP2010267150A JP5643622B2 JP 5643622 B2 JP5643622 B2 JP 5643622B2 JP 2010267150 A JP2010267150 A JP 2010267150A JP 2010267150 A JP2010267150 A JP 2010267150A JP 5643622 B2 JP5643622 B2 JP 5643622B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- based precipitates
- hardness
- steel
- crystal grains
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
(a)Mo:2%以下(0%を含まない)、
(b)Cu:0.5%以下(0%を含まない)および/またはNi:0.5%以下(0%を含まない)
等を含有することが好ましい。
Cは、部品として必要な芯部硬さを確保するために必要な元素であり、C量が0.10%未満では硬さ不足により部品としての静的強度が不足する。従ってC量は0.10%以上、好ましくは0.13%以上、より好ましくは0.15%以上である。しかし過剰にCを含有すると、浸炭処理により表層部における結晶粒が微細化し、結晶粒の硬度を高めることができず、衝撃疲労特性を改善できない。また、C量が多過ぎると硬さが過度に高くなるため、靱性が低下し、衝撃疲労特性が劣化する。従ってC量は0.3%以下に抑える必要がある。好ましくは0.28%以下、より好ましくは0.25%以下である。
Siは、硬さの低下を抑えて機械構造部品の衝撃疲労特性を改善するのに作用する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Si量は0.01%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.2%以上である。しかし過剰にSiを含有すると、浸炭処理により表層部における結晶粒が微細化し、結晶粒の硬度を高めることができず、衝撃疲労特性を改善できない。また、過剰なSi添加は、被削性や鍛造性に悪影響を及ぼす。従って、Si量は1.0%以下、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.8%以下である。
Mnは、浸炭処理時の焼入性を高め、表層部における結晶粒の硬度を高め、衝撃疲労特性を改善するのに作用する元素である。また、Mnは、脱酸材としても作用し、鋼中の酸化物系介在物量を低減して内部品質を高める作用を有する元素である。更に、Mnは赤熱脆性を防止するのにも作用する。こうした作用を有効に発揮させるには、Mnは0.20%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.3%以上、更に好ましくは0.4%以上である。しかし過剰にMnを含有すると、浸炭処理により表層部における結晶粒が微細化し、結晶粒の硬度を高めることができず、衝撃疲労特性を改善できない。また、Mnの過剰添加は、鍛造性を悪化させたり、縞状の偏析が生成して材質のばらつきが大きくなる。従ってMn量は2.0%以下、好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.5%以下である。
Pは、鋼中に不可避不純物として含まれる元素であり、結晶粒界に偏析して機械構造部品の衝撃疲労特性を劣化させる。従ってPは0.03%以下、好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.020%以下とする。
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、冷間加工後に切削加工するときの被削性を改善する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Sは0.005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.008%以上、更に好ましくは0.010%以上である。しかしSを過剰に含有してMnSの生成量が多くなると、機械構造部品の衝撃疲労特性が劣化する。従ってS量は0.03%以下、好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.020%以下である。
Crは、浸炭を促進し、鋼の表面に硬化層を形成するために必要な元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Crは0.2%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.8%以上である。しかし過剰にCrを含有すると、浸炭処理により表層部における結晶粒が微細化し、結晶粒の硬度を高めることができず、衝撃疲労特性を改善できない。また、Cr量が多すぎると、過剰浸炭を引き起こし、機械構造部品の強度を低下させる。従ってCr量は2.0%以下、好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.6%以下である。
Alは、脱酸材として作用する元素であり、こうした作用を有効に発揮させるには、0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.020%以上、更に好ましくは0.030%以上である。しかし過剰に含有すると鋼の変形抵抗が増大し、冷間加工性が劣化する。従ってAl量は0.06%以下、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下とする。
Nbは、鋼中に所望密度のNb系析出物を生成させて、機械構造部品の衝撃疲労特性を改善するのに必要な元素である。しかしNb量が0.02%未満では、所望のNb系析出物を析出させることができず、また焼入れ性が悪くなるため、結晶粒の硬度を高めることができない。従って衝撃疲労特性が劣化する。従ってNb量は0.02%以上、好ましくは0.025%以上、より好ましくは0.030%以上含有する。しかし過剰に含有すると鋼中に微細Nb系析出物が多く生成するため、浸炭処理時にマトリックスに固溶しなかったNb系析出物によるピンニング効果が発揮され、機械構造部品の表層部における結晶粒が微細化する。その結果、結晶粒の硬度を高めることができず、衝撃疲労特性を改善できない。従ってNb量は0.10%以下、好ましくは0.090%以下、より好ましくは0.080%以下とする。
Nは、機械構造部品の表層部における結晶粒度を適切に調整するために作用するAlNやNb系析出物(NbCN)を形成するために必要な元素である。従ってNは0.005%以上、好ましくは0.008%以上、より好ましくは0.010%以上である。しかし過剰にN量を含有すると、鋼中に窒化物(例えば、AlN)や炭窒化物(例えば、NbCN)が多量に形成され、冷間加工性を劣化させる。従ってNは0.025%以下、好ましくは0.023%以下、より好ましくは0.020%以下とする。
Moは、浸炭処理における焼入性を向上し、結晶粒の硬度を高め、機械構造部品の衝撃疲労特性を改善するのに作用する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Moは0.2%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.30%以上、更に好ましくは0.40%以上である。しかし過剰にMoを含有させると、冷間加工時の変形抵抗が増大し、冷間加工性を劣化させる。従ってMoは2%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.9%以下である。
CuとNiは、上記Moと同様に、浸炭処理における焼入性を高め、機械構造部品の衝撃疲労特性を改善するのに作用する元素である。また、CuとNiは、Feよりも酸化され難い元素であるため、機械構造部品の耐食性を改善するのにも作用する。こうした作用を有効に発揮させるには、Cuは0.03%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.04%以上、更に好ましくは0.05%以上である。Niは0.03%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.08%以上である。しかし、Cuを過剰に含有すると、熱間圧延性が低下し、割れなどの問題が発生し易くなる。従ってCuは0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.1%以下である。また、Niを過剰に含有すると、コスト高となるため、Niは0.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.2%以下である。CuとNiは、何れか一方を含有してもよいし、両方を含有してもよい。
Ac3点(℃)=910−203√[C]+44[Si]−30[Mn]−11[Cr]−31.5[Mo]−20[Cu]−15[Ni] ・・・(1)
得られた棒鋼の横断面(棒鋼の軸心と垂直な面)のD/4位置(Dは棒鋼の直径)において、縦断面(棒鋼の軸心と平行な面)を研磨し、任意の10mm×10mmの範囲について電子線マイクロプローブX線分析計(Electron Probe X−ray Micro Analyzer;EPMA)で、面積が2μm2以上の析出物についてその成分組成を測定した。面積が2μm2未満の析出物は検出限界に近く、正確な測定ができないため面積が2μm2未満の析出物は測定対象から外している。EPMAによる測定条件は以下の通りである。
EPMA分析装置 :JXA−8100型電子マイクロプローブアナライザー(日本電気株式会社製)
分析装置(EDS):SystemSix(サーモフィシャーサイエンティフィック社製)
加速電圧 :15kV
操作電流 :4nA
観察倍率 :200倍
試験片に形成した切り欠きの筋方向に垂直な面を切り出し、ナイタール液(エタノールと3%硝酸との混合液)でエッチングした後、光学顕微鏡で、観察倍率100倍で観察を行い、JIS G0551に従って旧オーステナイト粒の粒度番号を測定した。粒度番号の測定は、切り欠き形状の底からの深さが50μm位置(以下、表3、表4では表層と表記する)で行った。
試験片に形成した切り欠きの筋方向に垂直な面を切り出し、切り欠き形状の底からの深さが50μm位置(以下、表3、表4では表層と表記する)において旧オーステナイト粒内の硬さを測定した。旧オーステナイト粒内の硬さ測定には、マイクロビッカース硬度測定器を用い、荷重10gで測定した。測定は5箇所で行い、平均値を算出した。なお、下記表4に示したNo.41〜48、51については、表層における旧オーステナイトの結晶粒が小さ過ぎる(粒度番号が大き過ぎる)ため、粒内の硬さを測定できなかった。
試験片の衝撃疲労特性は、切り欠きを形成した面を図4に示すように地面に向けて配置し、これを直径13mmの丸棒で4点保持した。試験片の上方には、丸棒を介して幅13mm×長さ100mm×厚み15mmの鋼板を配置し、この鋼板に上下方向の繰返し荷重を与えたときに、試験片に初期亀裂が発生したときの回数、および試験片が破断したときの回数を測定した。測定は室温で行った。
Claims (3)
- 質量%で、
C :0.10〜0.30%、
Si:1.0%以下(0%を含まない)、
Mn:2.0%以下(0%を含まない)、
P :0.03%以下(0%を含まない)、
S :0.03%以下(0%を含まない)、
Cr:2.0%以下(0%を含まない)、
Al:0.06%以下(0%を含まない)、
Nb:0.030〜0.10%、
N :0.005〜0.025%を含有し、
残部が鉄および不可避不純物からなり、
面積10μm2以上のNb系析出物を2.0〜10.0個/mm2、
面積2μm2以上10μm2未満のNb系析出物を0.1〜0.7個/mm2含有することを特徴とする肌焼鋼。 - 更に、他の元素として、
Cu:0.5%以下(0%を含まない)および/または
Ni:0.5%以下(0%を含まない)を含むものである請求項1に記載の肌焼鋼。 - 請求項1または2に記載の肌焼鋼を冷間加工した後、浸炭処理した機械構造部品であり、表面から深さ50μm位置における旧オーステナイト粒の結晶粒度が0〜4番で、且つ旧オーステナイト粒内における硬さが720HV以上であることを特徴とする機械構造部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010267150A JP5643622B2 (ja) | 2010-11-30 | 2010-11-30 | 肌焼鋼、およびこれを用いた機械構造部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010267150A JP5643622B2 (ja) | 2010-11-30 | 2010-11-30 | 肌焼鋼、およびこれを用いた機械構造部品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012117102A JP2012117102A (ja) | 2012-06-21 |
JP5643622B2 true JP5643622B2 (ja) | 2014-12-17 |
Family
ID=46500290
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010267150A Expired - Fee Related JP5643622B2 (ja) | 2010-11-30 | 2010-11-30 | 肌焼鋼、およびこれを用いた機械構造部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5643622B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6192519B2 (ja) * | 2013-12-05 | 2017-09-06 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 粗大粒の発生を安定的に制御できる機械構造用鋼材の製造方法およびその方法からなる機械構造用鋼材 |
WO2015133273A1 (ja) * | 2014-03-03 | 2015-09-11 | 新日鐵住金株式会社 | 肌焼鋼鋼線 |
JP6589708B2 (ja) * | 2016-03-22 | 2019-10-16 | 日本製鉄株式会社 | 浸炭窒化部品 |
JP7154073B2 (ja) * | 2018-09-12 | 2022-10-17 | 大同特殊鋼株式会社 | 耐高面圧部品およびその製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4688735B2 (ja) * | 2006-06-01 | 2011-05-25 | 株式会社神戸製鋼所 | 高温浸炭時の結晶粒粗大化防止特性に優れた熱間圧延材 |
JP5503170B2 (ja) * | 2009-03-23 | 2014-05-28 | 株式会社神戸製鋼所 | 最大結晶粒の縮小化特性に優れた肌焼鋼 |
-
2010
- 2010-11-30 JP JP2010267150A patent/JP5643622B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012117102A (ja) | 2012-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4709944B2 (ja) | 肌焼鋼、浸炭部品、及び肌焼鋼の製造方法 | |
JP6205061B2 (ja) | 浸炭窒化軸受用鋼 | |
JP5862802B2 (ja) | 浸炭用鋼 | |
JP5458048B2 (ja) | 肌焼鋼およびその製造方法、並びに肌焼鋼を用いた機械構造部品 | |
JP6057014B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼材 | |
US9890446B2 (en) | Steel for induction hardening roughly shaped material for induction hardening | |
WO2012046779A1 (ja) | 肌焼鋼及びその製造方法 | |
JP5385656B2 (ja) | 最大結晶粒の縮小化特性に優れた肌焼鋼 | |
JP4941252B2 (ja) | 動力伝達部品用肌焼鋼 | |
JP6241136B2 (ja) | 肌焼鋼鋼材 | |
JP5886119B2 (ja) | 肌焼鋼鋼材 | |
JP4502929B2 (ja) | 転動疲労特性および結晶粒粗大化防止特性に優れた肌焼用鋼 | |
JP5643622B2 (ja) | 肌焼鋼、およびこれを用いた機械構造部品 | |
JP2010222634A (ja) | 最大結晶粒の縮小化特性に優れた肌焼鋼及びその製造方法 | |
JP2017133052A (ja) | 浸炭時の粗大粒防止特性と疲労特性と被削性に優れた肌焼鋼およびその製造方法 | |
JP6186289B2 (ja) | 浸炭処理時の異常粒発生が抑制可能な肌焼鋼及びこれを用いた機械構造部品 | |
JP6109730B2 (ja) | 浸炭後の曲げ疲労特性に優れた鋼材およびその製造方法並びに浸炭部品 | |
JPWO2017069064A1 (ja) | 機械構造用鋼及び高周波焼入鋼部品 | |
JP2016188422A (ja) | 浸炭部品 | |
JP6172378B2 (ja) | 肌焼鋼鋼線 | |
JP2020002447A (ja) | 浸炭部材 | |
JP6085210B2 (ja) | 転動疲労特性に優れた肌焼鋼、及びその製造方法 | |
JP2023037454A (ja) | 浸炭部品とその製造方法 | |
JP2019031744A (ja) | 浸炭部品 | |
JP2012172228A (ja) | 熱処理用鋼材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120828 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20131219 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140312 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141028 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141031 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5643622 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |