JP2001070741A - 調湿剤 - Google Patents

調湿剤

Info

Publication number
JP2001070741A
JP2001070741A JP25463999A JP25463999A JP2001070741A JP 2001070741 A JP2001070741 A JP 2001070741A JP 25463999 A JP25463999 A JP 25463999A JP 25463999 A JP25463999 A JP 25463999A JP 2001070741 A JP2001070741 A JP 2001070741A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mesoporous silica
relative humidity
humidity
moisture absorption
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25463999A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayasu Sato
正康 佐藤
Kinichi Ono
金一 小野
Noriyuki Takahashi
範行 高橋
Tomoya Sato
悌冶 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Original Assignee
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mizusawa Industrial Chemicals Ltd filed Critical Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Priority to JP25463999A priority Critical patent/JP2001070741A/ja
Publication of JP2001070741A publication Critical patent/JP2001070741A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 メソポーラスシリカからなり、高湿度条件下
では高い吸湿性能を示し、一方低湿度条件下では保持し
ている水分を容易に放出する性能を有する調湿剤を提供
する。 【解決手段】 回折角2.2乃至4.4゜(Cu−K
α)にX線回折ピークを有すると共に、細孔直径2乃至
4nmに細孔分布の極大値を有するメソポーラスシリカか
らなる調湿剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は調湿剤に関するもの
で、より詳細には、低湿度条件下では水分の放出性に優
れており、高湿度条件下では水分の吸湿性に優れてお
り、特に高温での熱履歴にかかわらず、優れた吸湿性能
を維持できるメソポーラスシリカからなる調湿剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、乾燥剤や調湿剤としては、シリカ
ゲルが広く使用されている。シリカゲルに関する日本工
業規格(JIS Z 0701)によると、シリカゲル
には、低湿度側で吸湿率の比較的大きいA型のものと、
高湿度条件下では吸湿率が比較的大きいがこれよりも低
湿度側では吸湿率の比較的小さいB型のものとがあり、
前者は乾燥剤として、後者は調湿剤としての用途に使用
されている。
【0003】特開平9−71410号公報には、窒素吸
着法による細孔構造測定において、細孔容積が1.0〜
1.3cm3/g、比表面積が700〜800m2/g、
平均細孔直径が5〜7.5nmであり、JIS Z 07
01に基づく25℃における水分吸着平衡値が相対湿度
20%において6.0〜10.5重量%、相対湿度50
%において12.0〜22.0重量%、相対湿度90%
において80.0〜120.0重量%であるシリカゲル
が記載され、このものは高湿度条件下での水分吸着量が
大きいことが記載されている。
【0004】メソポーラスシリカが調湿性を示すことも
既に知られており、特開平9−309970号公報に
は、細孔分布曲線における最大ピークを示す細孔直径
(以下中心細孔直径)が1〜10nmの範囲内にあり、中
心細孔直径の±40%の範囲内に全細孔容積の60%以
上が含まれる無機物からなる多孔体と、合成樹脂とから
なることを特徴とする合成樹脂組成物が記載されてお
り、この組成物は結露防止性と調湿性とに優れているこ
とも記載されている。
【0005】また、特開平7−155528号公報に
は、シリカゲル粒子の少なくともその一部に無機系抗菌
材料を担持させたことを特徴とする抗菌性調湿材が記載
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、美術品や文化財
は勿論のこと、図書館、文書館、美術館、博物館、資料
館、神社、寺等の書庫や収蔵庫に保存される保存物につ
いて、保存物を最適な環境の温湿度で保存し、適正湿度
を維持することの重要性が一般に認識されるに至ってい
る。
【0007】シリカゲル系の調湿剤は、水分の吸湿作用
においては一応満足できる範囲にあるものと認められる
が、その安定性、特に熱安定性に問題があり、例えば温
度150℃以上では吸湿作用が大幅に低下するという欠
点がある。かくして、加熱下での加工が必要となる合成
樹脂中に配合して使用する用途などでは、吸湿性能が失
われるという問題がある。
【0008】一方、メソポーラスシリカにおいては、合
成に用いるカチオン系界面活性剤のミセル構造に対応し
てシリカのネットワークが形成されるため、多孔質で比
表面積が極めて大きいという特徴を有しているが、調湿
剤に要求される吸湿特性をどのようにして発現させるか
については、ほとんど解明されるに至っていない。
【0009】本発明者らは、メソポーラスシリカの吸湿
性能は、その合成時のpH、特にケイ酸アルカリとカチ
オン系界面活性剤とを混合し、この混合物を酸と反応さ
せた時のpHにより大きい影響を受け、このpHを特定
の範囲に選ぶことにより、所定の吸湿性能の調湿剤が得
られることを見い出した。
【0010】即ち、本発明の目的は、メソポーラスシリ
カからなり、高湿度条件下では高い吸湿性能を示し、一
方低湿度条件下では保持している水分を容易に放出する
性能を有する調湿剤を提供するにある。本発明の他の目
的は、高温での熱履歴を受けた場合にも吸湿性能が損な
われない調湿剤を提供するにある。
【0011】更にまた、本発明の目的は、メソポーラス
シリカが乾燥状態にある場合は問題ないが、多くの水分
を吸収したまま放置すると、細菌が当該シリカ上で増殖
する可能性があることから、抗菌剤を配合することによ
り長期にわたって細菌の繁殖を抑えることができる調湿
剤を提供するにある。また、万が一細菌が繁殖して悪臭
ガスあるいはカビ臭が発生したとしても、メソポーラス
シリカは、アンモニア、トリメチルアミン、テルペン等
の悪臭ガスあるいはカビ臭を吸着する性質があることか
ら、抗菌消臭性を有する調湿剤を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、回折角
2.2乃至4.4゜(Cu−Kα)にX線回折ピークを
有すると共に、細孔直径2乃至4nmに細孔分布の極大値
を有するメソポーラスシリカからなり、相対湿度20%
で10重量%以下、特に5重量%以下の吸湿率、相対湿
度50%で30重量%以上の吸湿率及び相対湿度75%
で50重量%以上の吸湿率を有することを特徴とする調
湿剤が提供される。本発明では、相対湿度75%の吸湿
率と相対湿度20%での吸湿率との差が45%以上であ
ることが好ましい。
【0013】この調湿剤は、 1.メソポーラスシリカ中のアルカリ金属分の含有量が
300ppm以下であり、950℃焼成後において、8
00m2/g以上の比表面積と相対湿度50%で40重
量%以上の吸湿率とを有すること、 2.下記式(1) R=(S1/S0)×100 ‥(1) 式中、S0は650℃で焼成処理後のメソポーラスシリ
カの比表面積(m2/g)であり、S1は950℃で焼成
処理後のメソポーラスシリカの比表面積(m2/g)で
ある、で定義される比表面積維持率(R)が、80%以
上であること、 3.鉄シリンダー法で測定して0.1乃至0.3g/m
lの見掛比重を有すること、が好ましい。上記の吸湿特
性を有するメソポーラスシリカは、必ずしもこれに限定
されないが、ケイ酸アルカリ溶液とカチオン系界面活性
剤とを、pHが12よりも大きいアルカリ性水性媒体中
で加熱混合し、得られる溶液に酸を添加してそのpHを
8.0以上で10.5未満に調節し、次いでシリカとカ
チオン系界面活性剤との複合物を常圧で沈殿として析出
させ、これを焼成することより得られる。
【0014】更に、抗菌消臭性を有する調湿剤は、 1.前記メソポーラスシリカ100重量部に対し抗菌剤
を0.1乃至20重量部配合して成ること、 2.抗菌剤が銀系無機抗菌剤、具体的には銀−ゼオライ
ト、銀−非晶質アルミノシリケート又は徐放性抗菌剤、
具体的には塩化ベンザルコニウム―シリカ複合体からな
ること、が好ましい。
【0015】
【発明の実施形態】[作用]本発明に用いるメソポーラ
スシリカは、回折角2.2乃至4.4゜(Cu−Kα)
にX線回折ピークを有する。添付図面の図1は、本発明
によるメソポーラスシリカの代表的なもの(実施例1)
のX線回折像(回折角10゜まで)を示す。また、添付
図面の図2は、回折角40°(Cu−Kα)まで測定し
たX線回折像を示す。上記の回折角のX線回折ピーク
(面指数[100])は、合成に用いるカチオン系界面
活性剤の種類、即ち界面活性剤中の長鎖アルキル基の長
さや、最終メソポーラスシリカの熱処理の程度等によ
り、上記の範囲内で調節することができる。
【0016】また、このメソポーラスシリカは、細孔直
径2乃至4nmに細孔分布の極大値を有する。図3は、本
発明に用いるメソポーラスシリカの代表的なもの(実施
例1)の細孔分布曲線を示す。上記の細孔分布の極大値
も、用いるカチオン系界面活性剤の種類、即ち界面活性
剤中の長鎖アルキル基の長さや、最終メソポーラスシリ
カの熱処理の程度等により、上記の範囲内で調節するこ
とができる。
【0017】本発明で調湿剤として用いるメソポーラス
シリカは、相対湿度20%(以下低湿度とも呼ぶ)で1
0重量%以下、特に5重量%以下の吸湿率、相対湿度5
0%(以下中湿度とも呼ぶ)で30%以上の吸湿率及び
相対湿度75%(以下高湿度と呼ぶ)で50重量%以上
の吸湿率を有することが顕著な特徴である。即ち、この
メソポーラスシリカでは、高湿度条件下では水分を多量
に吸着し、一方低湿度条件下では中湿度乃至高湿度条件
下で吸着した水分をかなり多量に周囲に放出するという
特性を有している。
【0018】前記従来技術にみられる高吸湿性シリカゲ
ルでは、中湿度から低湿度での水分の放出量が高々12
重量%に過ぎないが、本発明のメソポーラスシリカ系調
湿剤では、中湿度から低湿度での水分の放出量が20重
量%以上、特に25重量%以上であり、上記領域での湿
度を一定に保つという特性に優れている。
【0019】本発明で規定した上記の吸湿特性のメソポ
ーラスシリカは、ケイ酸アルカリ溶液とカチオン系界面
活性剤とを、pHが12よりも大きいアルカリ性水性媒
体中で加熱混合し、得られる溶液に酸を添加してそのp
Hを8.0以上で10.5未満に調節し、次いでシリカ
とカチオン系界面活性剤との複合物を常圧で沈殿として
析出させ、これを焼成することより得られる。
【0020】即ち、後述する例に示す通り、メソポーラ
スシリカの製造に際して、酸添加後のpHが8以下であ
る場合には、相対湿度50%(中湿度)での吸湿率が3
0%を下回るか、或いは相対湿度75%(高湿度)での
吸湿率が50重量%を下回る傾向があり、中湿度及び高
湿度条件下での吸湿率が低く、本発明の目的に好ましく
ない。
【0021】しかも、本発明の調湿剤は、耐熱性や熱安
定性に優れているという利点を有する。先ず、この調湿
剤では、メソポーラスシリカ中のアルカリ金属分の含有
量が300ppm以下であるという付加的な特徴を有し
ている。耐熱性の尺度として、また熱安定性の促進試験
として、950℃で焼成したとき、驚くべきことに、本
発明の調湿剤は、800m2/g以上の比表面積と相対
湿度50%で40重量%以上の吸湿率とを維持する。
【0022】このような耐熱性は、従来のシリカゲルで
は望むべくもない耐熱性であり、また従来のメソポーラ
スシリカでも到底達成されないものである。即ち、メソ
ポーラスシリカの製造に際して、酸添加後のpHが8以
下である場合には、950℃で焼成後には、相対湿度5
0%(中湿度)での吸湿率が30%をかなり大きく下回
るのに対して、本発明に用いるメソポーラスシリカで
は、950℃焼成後の中湿度での吸湿率がむしろ増大し
ているのであって、これは本発明による予想外の効果で
ある。また、本発明に用いるメソポーラスシリカへ抗菌
剤を配合することにより、長期にわたり抗菌効果を持続
することができるが、抗菌剤が0.1部より少ないと抗
菌効果が発揮されず、20部より多い量で使用しても、
抗菌効果の点では格別の利点はなく、経済的には不利に
なるし調湿効果が低下してくる。
【0023】[製造方法]本発明に用いるメソポーラス
シリカを製造するには、先ずケイ酸分原料としてケイ酸
アルカリ溶液を選択し、この溶液とカチオン系界面活性
剤とを、pHが12よりも大きいアルカリ性媒体中で混
合加熱すると、濁りのない透明な混合溶液が安定に生成
する。尚、上記pHのアルカリ性媒体を形成させるため
に、本発明では、ケイ酸アルカリの他にアルカリ水酸化
物を加えて、pHの調節を行っている。このように濁り
のない透明な混合溶液を一旦形成させた後、酸の添加に
よりpHを8.0以上10.5未満に調節すると、混合
溶液からシリカとカチオン系界面活性剤との複合体が沈
殿として析出する。
【0024】この際、pHが12よりも大きいアルカリ
性媒体中で両原料を混合することが重要である。即ち、
たとえシリカ源としてケイ酸アルカリを使用しても、p
Hが12以下の条件では、濁りのある混合溶液が生成
し、この混合溶液からは、アルカリ金属分の含有量が3
00ppmを上回り、950℃焼成条件下での比表面積
が800m2/gを下回るようなメソポーラスシリカが
生成する(後述する比較例1参照)。
【0025】この方法において、上記のようにアルカリ
金属分の含有量が少なく、しかも耐熱性に優れたメソポ
ーラスシリカが生成する理由は、次のように考えられ
る。即ち、メソポーラスシリカの生成機構は、溶液中の
カチオン系界面活性剤が疎水基を中心及び親水基を表面
としたミセル構造を形成し、一方溶液中の負に帯電した
シリカのモノマー乃至オリゴマーが上記ミセルと相互作
用し、シリカ−界面活性剤メソ構造体のヘキサゴナル相
を形成することによると解されるが、上記の混合溶液系
ではケイ酸アルカリの自由度が極めて高く、シリカ−界
面活性剤メソ構造体乃至その中間体の形成が全体にわた
って均一且つ一様に進行しており、これが均一な多孔質
構造の形成及び前記メソ構造体からのアルカリ金属分の
吐き出しに有効に作用していると考えられる。
【0026】混合溶液からのシリカ−界面活性剤複合体
を沈殿として高収率で析出させるためには、混合溶液に
酸を添加して、そのpHを8.0以上でしかも10.5
未満に調節することも重要である。即ち、pHが10.
5以上では、複合体の沈殿の収率が半分以下に低下する
傾向があり、一方、pHが上記範囲よりも低いと、最終
メソポーラスシリカの吸湿性や熱安定性が低下する傾向
がある。沈殿の生成は、pHを調節した上記溶液を加熱
すること、一般に10乃至95℃の温度に加熱すること
により進行し、これによりヘキサゴナル相への転移が円
滑に進行すると認められる。尚、複合体からのカチオン
系界面活性剤の除去は、それ自体公知の方法、例えば熱
分解処理により容易に行われる。
【0027】反応に際して、先ずケイ酸アルカリ溶液と
カチオン系界面活性剤とを、pHが12よりも大きいア
ルカリ性水性媒体中で加熱混合する。原料のケイ酸アル
カリとしては、式(2) M2O・mSiO2 ‥‥(2) 式中、Mはアルカリ金属であり、mは1乃至4の数、特
に2.5乃至3.5の数である。の組成を有するケイ酸
アルカリの水溶液を使用する。ケイ酸カリウム及びケイ
酸ソーダの何れをも使用可能であるが、経済的見地から
はケイ酸ソーダが好適である。
【0028】ケイ酸アルカリは、pHが12よりも大き
いアルカリ性媒体中で、カチオン系界面活性剤と混合す
るのがよく、この目的でケイ酸アルカリを水酸化アルカ
リと組み合わせて使用する。水酸化アルカリとしては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好適に使用さ
れ、媒体のpHが上記範囲となるように用いる。媒体の
pHは、好ましくは12.1乃至13.5、更に好まし
くは12.1乃至12.5である。
【0029】カチオン系界面活性剤としては、それ自体
公知の任意の化合物を用いることもできる。カチオン系
界面活性剤の適当な例は、これらに限定されないが、次
の通りである。長鎖アルキル第4級アンモニウム塩;特
に下記式(3) 式中、R1 、R2 、R3 及びR4 の各々はその内の少な
くとも1個が炭素数10乃至24のアルキル基であると
いう条件下に1価炭化水素基であり、Xは酸アニオンで
ある、の4級アンモニウム塩。例えばアルキルトリメチ
ルアンモニウムハライド、ジアルキルジメチルアンモニ
ウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウム
ハライド等。一層具体的には、ヘキサデシルトリメチル
アンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウ
ムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロ
リド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサ
デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド等。
【0030】下記式(4) 式中、R5 は炭素数8乃至24のアルキル基であり、
(N)はピリジル基を表す、の4級アンモニウム塩。例
えばドデシルピリジニウムクロライドの如きアルキルピ
リジニウム・クロライド。アルキル基の炭素数が12及
び16のもの、特に12のものが吸湿特性の点で好適で
ある。
【0031】混合溶液中におけるケイ酸アルカリの濃度
は、SiO 基準で5乃至50g/Lの濃度、特に8
乃至20g/Lの範囲にあるのが、生産性や作業性の点
で好適である。既に指摘した通り、この方法では、シリ
カ原料を高濃度で含有する混合溶液を調製し、この混合
溶液からメソポーラスシリカを析出させ得ることが特徴
であり、これにより、高い生産性をもってメソポーラス
シリカを製造することができる。SiO2濃度が上記範
囲よりも低い場合には、生産性が低下するので好ましく
なく、一方上記濃度よりも高い場合には、粘度が高くな
り、撹拌による混合溶液の均質化が困難になるなど、作
業性の点で好ましくない。
【0032】混合溶液の作成に当たっては、シリカ−カ
チオン系界面活性剤のメソ構造体が安定に形成されるよ
うに、シリカとカチオン系界面活性剤との量比を選択す
べきであるが、カチオン系界面活性剤をSiO2基準で
50乃至150重量%、特に60乃至100重量%の量
で用いることが望ましい。即ち、カチオン系界面活性剤
の量が上記範囲よりも少ないと、メソ構造体の安定な生
成が困難となる傾向があり、一方上記範囲よりも多い量
で使用しても、メソ構造体の安定性や最終メソポーラス
シリカの物性の点では格別の利点がなく、経済的には不
利になる。尚、SiO2基準とは、シリカ源として用い
るケイ酸アルカリ中のSiO2分を基準としている。
【0033】ケイ酸アルカリとカチオン系界面活性剤と
のアルカリ性水性媒体中での加熱混合を10乃至95
℃、特に50乃至75℃の温度で1乃至10時間撹拌下
に行うことが好ましく、特にアルカリ性水性媒体中での
加熱混合を溶液が透明な状態に維持されるように行うこ
とが望ましい。
【0034】透明で均質な混合溶液が形成された後、こ
の混合溶液に酸水溶液を添加し、pHを8.0以上で1
0.5未満の範囲、特に8.5乃至10.3に調節し
て、シリカとカチオン系界面活性剤との複合物を沈殿と
して析出させる。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱
酸類が好適に使用されるが、勿論これに限定されない。
この複合物の沈殿の形成は、一般に10乃至95℃、特
に50乃至75℃の温度で、1乃至10時間撹拌下に行
うことができる。
【0035】生成する沈殿を、濾過等の固液分離により
母液から分離し、イオン交換水あるいは純水等により、
水洗し、乾燥し、熱分解処理して製品とする。乾燥は、
複合体中の水分を除去するためのものであって、一般に
50乃至150℃の温度で、1乃至50時間程度行うの
がよく、また、熱分解処理は、複合体中のカチオン系界
面活性剤を分解除去するためのものであって、一般に5
50乃至1000℃、特に600乃至850℃の温度
で、1乃至5時間程度行うのがよい。
【0036】[メソポーラスシリカ]本発明に用いるメ
ソポーラスシリカは、回折角2.2乃至4.4゜(Cu
−Kα)にX線回折ピークを有する。即ち、図2に示す
ように、X線回折像において、低角度側に1本あるいは
複数本のX線回折ピークを示す。また、図2からは、非
晶質シリカに特有のハロー図形(2θ=20〜25゜)
も観察される。この回折ピークの面間隔(dnm)は用い
るカチオン系界面活性剤の長鎖アルキル基の鎖長によっ
て変化し、更に焼成温度によっても変化する。即ち、ア
ルキル基の鎖長が長くなると、メソポーラスシリカのX
線回折ピークの面間隔は増大し、一方焼成温度が高くな
ると細孔径が縮小することにより、X線回折ピークの面
間隔は小さくなる。X線回折像において、低角側のX線
回折ピーク以外のピークが認められないことからみて、
このメソポーラスシリカを形成するシリカ骨格は本質的
に非晶質であり、前記X線回折ピークは規則正しい細孔
壁の配列を反映しているものと認められる。
【0037】本発明に用いるメソポーラスシリカの代表
的なもの(詳細は後述する実施例1参照)における、2
θ=2.3゜及び4.0゜付近のピークについて、焼成
温度と、ピーク強度(kc/s)及び面間隔(nm)との関係
を、下記表1に示す。
【0038】
【表1】 2θ=2.3°付近 2θ=4.0°付近 焼成温度 面間隔(d) ピーク強度 面間隔(d) ピーク強度 (℃) (nm) (kc/s) (nm) (kc/s) 650℃ 3.7 27 2.1 3.8 850℃ 3.4 22 2.0 1.8 900℃ 3.4 20 2.0 1.4 950℃ 3.1 10 1.9 0.12 1000℃ 2.9 4 1.6 0.08
【0039】上記表1から、焼成温度が高くなるにつれ
て、細孔が収縮することが分かる。また、焼成温度が高
くなるにつれて、ピーク強度の値が小さくなる。
【0040】本発明に用いるメソポーラスシリカは、細
孔直径2乃至4nmに細孔分布の極大値を有する。既に述
べた通り、図3は本発明によるメソポーラスシリカの代
表的なもの(実施例1)の細孔分布曲線である。図4に
は、焼成温度を変化させたものについての細孔分布を示
している。図4からは、焼成温度を高くすると、極大値
が低くなると共に、細孔径が縮小していることが分か
る。
【0041】このメソポーラスシリカの細孔容積は、勿
論焼成温度によっても相違するが、一般に、細孔直径2
〜10nmの範囲において、一般に0.1乃至0.5cm
3/g、特に0.2乃至0.4cm3/gの範囲内にあ
る。
【0042】本発明に用いるメソポーラスシリカは、ア
ルカリ金属分の含有量が300ppm以下、特に100
ppm未満に抑制されているという特徴がある。一般
に、吸着剤や触媒担体の耐熱性は担体中のアルカリ金属
分の含有量に左右されることが知られており、アルカリ
金属分の含有量が高くなると、耐熱性も低下するといわ
れている。本発明に用いるメソポーラスシリカが耐熱性
に優れている理由も、アルカリ金属分の含有量が低減さ
れていることによると信じられる。
【0043】また、本発明に用いるメソポーラスシリカ
は、これに関連して、950℃焼成条件下においても8
00m2/g以上の比表面積を有する。比表面積の測定
条件を比圧0.2以下と特定しているのは、細孔内にお
いて窒素分子が多分子層吸着できるあき空間がないの
で、単分子層吸着(ラングミュア吸着)として解析した
場合の方がメソポーラスシリカの表面積を的確に表して
いると考えられることによる。従来のメソポーラスシリ
カでは、通常1000m2/gの比表面積を示すもので
も、950℃で焼成した後には、300m2/g程度の
比表面積を示すに過ぎないのに対して、本発明に用いる
メソポーラスシリカでは、950℃焼成後においても比
表面積はあまり減少せず、尚800m2/g以上の比表
面積を維持している。これは、本発明に用いるメソポー
ラスシリカにおいて焼成により細孔径は確かに収縮する
が、燒結等による細孔入り口の閉塞はほとんど生じない
のがその理由であると信じられる。一般に、本発明に用
いるメソポーラスシリカでは、下記式(1) R=(S1/S0)×100 ‥(1) 式中、S0は650℃で焼成処理後のメソポーラスシリ
カの比表面積(m2/g)であり、S1は950℃で焼成
処理後のメソポーラスシリカの比表面積(m2/g)で
ある、で定義される比表面積維持率(R)は、80%以
上である。また、60℃から1000℃までにおける強
熱減量は、一般に1乃至3重量%程度であり、この強熱
減量はシラノール基の存在によると考えられる。
【0044】本発明に用いるメソポーラスシリカは、焼
成条件等によっても相違するが、一般に1000乃至1
400m2/g、特に1050乃至1300m2/gの比
表面積を有し、950℃焼成後においても、尚800m
2/g以上、特に900m2/g以上の比表面積を維持し
ている。また、前述した式(1)の比表面積維持率
(R)が、80%以上である。
【0045】本発明に用いるメソポーラスシリカは、取
り扱いの容易な粉体である。レーザ散乱法で求めたメジ
アン径は一般に1乃至5μmの範囲にある。添付図面の
図5は本発明のメソポーラスシリカの粒子構造を示す走
査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、その粒子形状は
不定形である。また、このメソポーラスシリカの鉄シリ
ンダー法で測定した見掛比重は、0.1乃至0.3g/
mlの範囲にある。
【0046】本発明では、上記メソポーラスシリカを、
調湿剤として各種用途に使用する。例えば、粉体、造粒
物、包装体、紙などの抄造成形体、樹脂成形体、その他
の形態で各種用途に提供することができる。
【0047】例えば、本発明の調湿剤は、粉末もしくは
顆粒状の調湿剤とすることができる他、例えば、棒状、
ペレット状、ハニカム状に押出しを行うなど公知の方法
により、用途に応じた形状に容易に成形することができ
る。また、これら様々な形状の素材に塗布、含浸、ねり
こみ等で添加することもできる。素材としては、木材、
紙、プラスチック、繊維や無機系内外装材等がある。ま
た、一般の塗料に添加して、調湿機能をもつ塗料として
幅広く利用できる。例えば、本発明の調湿剤をシート状
基材に担持させ、シート状調湿剤とすることが可能であ
る。このようなシート状調湿剤としては、本調湿剤を抄
き込んだ紙や被覆したコート紙等の調湿紙(この場合、
シート状基材は紙又はパルプである)、不織布等の薄い
シート状基材とシート状物などが挙げられる。用いるシ
ートの基材としては、天然繊維や合成繊維のいずれでも
よく、例えば、不織布として一般に知られているものが
好ましく、これらの素材としては、ナイロン、ポリエス
テル,ビニロン,ポリプロピレン,ポリビニルアルコー
ルなどの合成繊維,麻,綿,製紙用パルプなどの天然繊
維が挙げられる。
【0048】本発明の調湿剤をシートの間に保持せしめ
る方法としては、特に限定されるものではない。例え
ば、2枚のシートの間に本発明の調湿剤を均等に挟み込
み、両シートを接着又は接合することによって、該調湿
剤を保持することができる。また1枚のシートを折り曲
げて、その間に本発明の調湿剤を挟み、上下シートを接
合することによって、該調湿剤を保持する。保持させる
本発明の調湿剤の量は、1000g/m以下、好まし
くは10〜850g/m、より好ましくは15〜60
0g/mである。
【0049】更に本発明の調湿剤を天然繊維や合成繊維
と水に分散し、これを抄いて紙を得ることができる。ま
た、本発明の調湿剤を水に分散しシート基材に含浸させ
てシート状調湿剤を得ることもできる。また、上記の繊
維類を原料としてそれ自体公知の方法により不織布の形
態にすることもできる。例えば紡糸の過程で予め繊維と
該調湿剤とを混ぜた後、不織布にすることもできる。
(化学便覧[応用化学編]改訂3版,第660頁)。こ
こで用いられる原料繊維としては、綿、麻、パルプ等の
天然繊維、セルロース系(レーヨン等)、ポリアミド系
(ナイロン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフ
タレート等)、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン
系、ポリアクリロニトリル系(アクリル等)、ポリオレ
フィン系(ポリプロピレン,ポリエチレン等),ポリウ
レタン系,ポリビニルアルコール系(ビニロン等)等の
化学繊維が挙げられる。
【0050】本発明に用いるメソポーラスシリカは、卓
越的に発達したメソ細孔内へ悪臭物質を吸着することが
できるため、それ自体が消臭剤としての機能を有する。
また、表面に弱い強度ながらも固体酸性を示すシラノー
ル基を有し、アンモニアやアミンなどの塩基性悪臭物質
を化学吸着するので、消臭剤としての機能を強化してい
る。
【0051】本発明に用いる消臭剤として、悪臭成分の
種類により上記メソポーラスシリカを補助するため、例
えばセピオライト、パリゴルスカイト、活性炭、ゼオラ
イト、活性炭素繊維、セピオライト混合紙、シリカゲ
ル、活性白土、アルミナ、バーミキュライト、ケイソウ
土などを併用してよい。また、他の消臭剤、例えば硫化
水素、メチルメルカプタン等に対して消臭性のある消臭
剤と組み合わせて、総合的な消臭剤とすることもでき
る。 組み合わせる消臭剤としては合成フィロケイ酸マ
グネシウム、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛が好まし
い。
【0052】更に、本発明の調湿剤100重量部に対し
抗菌剤を0.1乃至20重量部配合することにより、抗
菌性及び消臭性の機能をもつ抗菌消臭調湿剤として使用
できる。具体的には、銀を担持したゼオライト、非晶質
アルミノケイ酸塩、アパタイト、リン酸ジルコニウム、
シリカゲル、ケイ酸カルシウム及びガラス等の銀系無機
抗菌剤又は塩化ベンザルコニウム―シリカ複合体から成
る徐放性抗菌剤が挙げられる。
【0053】抗菌消臭調湿剤の具体的な剤形として、本
発明の調湿剤と抗菌剤とを、各種重合体に配合して、抗
菌性を有する重合体成形品を形作り、例えば繊維、フィ
ルム、シート、パイプ、パネル、容器、建材、構造材等
の分野に用いることができ、また、塗料等に配合して、
抗菌性塗膜乃至コーテイングの分野に用いることができ
る。重合体としては、熱可塑性樹脂、各種エララストマ
ー、熱硬化性樹脂等が、制限なしに使用される。
【0054】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。尚、実施例における測定方法は以下の通りである。
【0055】(1)XRD測定 理学電機(株)製のX線回折装置4036A1を用い
て、Cu−Kαで測定した。 ターゲット Cu フィルター Ni 検出器 SC 電圧 35KVP 電流 15mA カウントフルスケール 8kc/sあるいは80kc/s 走査速度 1°/min 放射角 1° スリット DS:1° RS:0.3mm SS:1° 照角 6°
【0056】(2)比表面積、細孔容積及び細孔分布 カルロエルバ社製Sorptomatic Serie
s 1900を使用し、窒素吸着等温線を測定した。比
表面積は比圧0.2以下、細孔分布は比圧0.96以下
の吸着枝側窒素吸着等温線からC.I.法で解析した。
【0057】(3)比表面積維持率(R) 比表面積維持率(R)は下記式(1) R=(S1/S0)×100 ‥(1) 式中、S0は650℃で焼成後のメソポーラスシリカの
比表面積(m2/g)であり、S1は950℃で焼成処理
後のメソポーラスシリカの比表面積(m2/g)であ
る、で定義される式より求めた。
【0058】(4)化学分析 JIS.M.8852に準拠して測定した。
【0059】(5)見掛比重 JIS.K.6220.6.8.(鉄シリンダー法)に
準拠して測定した。
【0060】(6)吸油量 JIS.K.5101.19に準拠して測定した。
【0061】(7)IR 日本分光(株)製のA−302型赤外吸収スペクトル分析
装置を用いて測定を行った。
【0062】(8)吸湿率 150℃で3時間乾燥したメソポーラスシリカを、25
℃に保持されたデシケータ内で所定の相対湿度雰囲気
下、水分吸着平衡に達するまで接触させ、重量増加率を
測定した。
【0063】(9)消臭性能試験1 後述の実施例においてのメソポーラスシリカ(実―1―
1)、活性炭(比―3―1)とシリカゲル(比―4―1)
ならびにブランクについて、イソ吉草酸、アンモニア、
酢酸ならびにホルムアルデヒドの吸着性能を比較した。
内容積1.8Lのガラス容器に試料を所定量入れる。容器
内にイソ吉草酸は5ppm、その他は50ppmの濃度
となるように被検ガスを注射器で注入する。2時間放置
後容器内の被検ガス濃度を北川式ガス検知管を用いて測
定した。2時間後における濃度の低下率をもって消臭率
とした。
【0064】(10)消臭性能試験2 後述の実施例においてのメソポーラスシリカ(実―1―
1)、シリカゲル(比―4―1)ならびにブランクについ
て、テルペンの一種である2―メチルイソボルネオール
の吸着性能を比較した。内容積1.8Lのガラス容器内に
所定の濃度となるように2―メチルイソボルネオールを
載せた時計皿を2時間入れて密封し昇華被検ガスを充満
させる。容器から2―メチルイソボルネオールを載せた
時計皿を取り出し代わりに所定量の試料を入れる。所定
時間経過後容器内の被検ガス臭の有無を嗅覚で判定し
た。
【0065】(11)抗菌性試験1 普通寒天培地に培養していた黄色ブドウ球菌を使用し、
発生集落を1/500濃度の普通ブイヨン培地に懸濁し
ておよそ1.0×10個/mlなるように菌液を調製
した。感性ディスク用培地に菌液0.2mLを均一に塗
布後、乾燥滅菌した抗菌性物質検査用ディスク(直径1
0mm)に、後述の実施例1に記載の実―1―1を98
wt%と徐放性抗菌剤 2wt%から成る検体を生理食
塩水で所定倍率に希釈して得た液を100μL滴下し、
菌液を塗布した平板に載せ、36℃で24時間培養後、
菌の発育阻止帯を観察した。
【0066】(12)抗菌性試験2(MIC測定) 調湿剤に銀を担持したゼオライトを2wt%配合した検
体2gを、MHB液体培地10mLに加えて均一に分散
させた。この液を、濃度2%・1%・0.5%・0.2
%・0.1%に希釈した検液を作成した。各検液5mL
に、予め調製した大腸菌液(菌数1.25×10個/
ml)0.2mL添加し、35℃で24時間振とう培養
した。培養後、最小発育阻止濃度の測定(MIC測定)
を行った。
【0067】(界面活性剤の調製)界面活性剤として、
ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(以下、HDTM
Aと記す。)400gをブタノール600gに溶解し濃
度40%のHDTMAブタノール溶液を調製した。
【0068】(実施例1)1Lの容器に、イオン交換水
600gに3号ケイ酸ソーダ(SiO=23%、Na
O=7%)54g、水酸化ナトリウム3.5g、濃度
40%のHDTMAブタノール溶液26.6g(SiO
基準で85.7%)をこの順に加えて、70℃で3時
間、加熱しながら混合した。この時のpHは12.5
で、溶液は透明であった(これを第1工程とする)。次
に、得られた溶液に2mol/LのHClを加えてpHを
8.0に調整し、70℃で3時間加熱しながら混合した
(これを第2工程とする)。その後、混合物を濾過、水
洗し、60℃で2日間乾燥し、その乾燥物を650℃で
4時間焼成し、メソポーラスシリカを得た(この生成品
を実−1−1とする)。得られたシリカの物性を測定
し、その結果を表2及び表3に、消臭性能試験の結果を
表4及び5に、抗菌性試験1の結果を表6にそれぞれ示
す。なお、抗菌性試験2(MIC測定)の結果は0.5
%であった。また、X線回折像を図1及び2に、SEM
写真を図5に、IR測定結果を図6にそれぞれ示す。
【0069】また、得られたシリカの一部をそれぞれ、
850℃、900℃、950℃、1000℃で4時間焼
成した(950℃焼成処理品を実−1−2とする)。9
50℃焼成処理品の物性を測定し、その結果を表2に、
各焼成品の細孔分布曲線を図4にそれぞれ示す。
【0070】(実施例2)実施例1の第1工程における
HDTMAブタノール溶液をドデシルトリメチルアンモ
ニウムクロライド(以下、DDTMAと記す)27%水
溶液32.6gに変えた以外(この時のpHは12.
6)は、実施例1と同様にして行い、メソポーラスシリ
カを得た(この生成品を実−2−1とする)。得られた
生成物について物性を測定し、その結果を表2に示す。
【0071】(実施例3)実施例1の第1工程における
HDTMAブタノール溶液をテトラデシルトリメチルア
ンモニウムクロライド(以下、TDTMAと記す)40
%ブタノール溶液24.3gに変えた以外(この時のp
Hは12.6)は、実施例1と同様にして行い、メソポ
ーラスシリカを得た(この生成品を実−3−1とす
る)。得られた生成物について物性を測定し、その結果
を表2に示す。
【0072】(実施例4)界面活性剤に、オクタデシル
トリメチルアンモニウムクロライド(以下、ODTMA
と記す)を用いた。ODTMA14gをブタノール36
gに溶解し濃度28%のODTMAブタノール溶液を調
製した。この、ODTMAブタノール溶液41.4gを
用いた以外は、実施例1の第一工程と同様にして行っ
た。この時の溶液のpHは12.5であった。第2工程
以降は、実施例1と同様にして行い、メソポーラスシリ
カを得た(この生成品を実−4−1とする)。得られた
生成物について物性を測定し、その結果を表2に示す。
【0073】(比較例1)実施例1の第2工程における
撹拌混合時のpHを6.0にした以外は、実施例1と同
様にして行い、シリカを得た(この生成品を比−1−1
とする)。また、得られたシリカの一部を950℃で4
時間焼成した(この焼成処理品を比−1−2とする)。
得られた生成物について物性を測定し、その結果を表2
に示す。
【0074】(比較例2)実施例1の第2工程において
の、pH調節を2.0にした以外は、実施例1と同様に
して行った。得られた生成物(これを比−2−1とす
る)及び、得られた生成物の一部を950℃で4時間焼
成品した物(この焼成処理品を比−2−2とする)につ
いて物性を測定し、その結果を表2に示す。
【0075】(比較例3)市販品の活性炭(武田薬品製
強力白鷺)を用いた(これを比−3−1とする)。物性
測定を行いその結果を表2に示す。
【0076】(比較例4)シリカゲル(水澤化学製ミズ
カシルP-766)を用いた(これを比−4−1とする)。
物性測定を行いその結果を表2に、消臭性試験の結果を
表4及び5に示す。
【0077】(比較例5)セピオライト(水澤化学製エ
ードプラス)を用いた(これを比−5−1とする)。物
性測定を行いその結果を表2に示す。
【0078】(比較例6)4Aゼオライト(水澤化学
製)を用いた(これを比−6−1とする)。物性測定を
行いその結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、回折角2.2乃至4.
4゜(Cu−Kα)にX線回折ピークを有すると共に、
細孔直径2乃至4nmに細孔分布の極大値を有するメソポ
ーラスシリカが、相対湿度20%で10重量%以下の吸
湿率、相対湿度50%で30重量%以上の吸湿率及び相
対湿度75%で50重量%以上の吸湿率を有し、低湿度
条件下では水分の放出性に優れており、高湿度条件下で
は水分の吸湿性に優れており、特に高温での熱履歴にか
かわらず、優れた吸湿性能を維持できる調湿剤に用いる
ことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(実施例1)によるメソポーラスシリカ
のX線回折像(回折角(2θ)が2〜10°)である。
【図2】本発明(実施例1)によるメソポーラスシリカ
のX線回折像(回折角(2θ)が0〜40°)である。
【図3】本発明(実施例1)によるメソポーラスシリカ
の細孔分布曲線である。
【図4】本発明(実施例1)によるメソポーラスシリカ
の焼成温度を変化させたものについての細孔分布曲線で
ある。
【図5】本発明(実施例1)によるメソポーラスシリカ
の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】本発明(実施例1)によるメソポーラスシリカ
のIR図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 範行 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 悌冶 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4D052 AA09 CA09 GA04 GB00 GB03 GB12 GB13 GB14 GB16 GB18 GB19 HA01 HA17 HA49 4G066 AA13D AA22A AA22B AA30B AB09D BA23 BA25 BA26 BA31 BA36 CA43 DA03 FA03 FA05 FA22 FA34 FA36 FA37 4G072 BB05 BB15 GG01 HH21 JJ08 JJ13 JJ42 LL06 LL07 LL11 MM01 MM22 MM23 MM36 RR06 RR12 TT05 TT08 TT30 UU30

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折角2.2乃至4.4゜(Cu−K
    α)にX線回折ピークを有すると共に、細孔直径2乃至
    4nmに細孔分布の極大値を有するメソポーラスシリカか
    らなり、相対湿度20%で10重量%以下の吸湿率、相
    対湿度50%で30重量%以上の吸湿率及び相対湿度7
    5%で50重量%以上の吸湿率を有することを特徴とす
    る調湿剤。
  2. 【請求項2】 相対湿度20%で5重量%以下の吸湿率
    を有し且つ相対湿度75%の吸湿率と相対湿度20%で
    の吸湿率との差が45%以上であることを特徴とする請
    求項1に記載の調湿剤。
  3. 【請求項3】 メソポーラスシリカ中のアルカリ金属分
    の含有量が300ppm以下であり、950℃焼成後に
    おいて、800m/g以上の比表面積と相対湿度50
    %で40重量%以上の吸湿率とを有することを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の調湿剤。
  4. 【請求項4】 下記式(1) R=(S1/S0)×100 ‥(1) 式中、S0は650℃で焼成処理後のメソポーラスシリ
    カの比表面積(m2/g)であり、S1は950℃で焼成
    処理後のメソポーラスシリカの比表面積(m2/g)で
    ある、で定義される比表面積維持率(R)が、80%以
    上である請求項1乃至4の何れかに記載の調湿剤。
  5. 【請求項5】 鉄シリンダー法で測定して0.1乃至
    0.3g/mlの見掛比重を有する請求項1乃至4の何
    れかに記載の調湿剤。
  6. 【請求項6】 メソポーラスシリカが、ケイ酸アルカリ
    溶液とカチオン系界面活性剤とを、pHが12よりも大
    きいアルカリ性水性媒体中で加熱混合し、得られる溶液
    に酸を添加してそのpHを8.0以上で10.5未満に
    調節し、次いでシリカとカチオン系界面活性剤との複合
    物を常圧で沈殿として析出させ、これを焼成することよ
    り得られたものである請求項1乃至6の何れかに記載の
    調湿剤。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6から成るメソポーラスシ
    リカが消臭性を有する調湿剤。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7から成るメソポーラスシ
    リカ100重量部に対し抗菌剤を0.1乃至20重量部
    配合して成る抗菌消臭性を有する調湿剤。
  9. 【請求項9】 前記抗菌剤が銀系無機抗菌剤又は徐放性
    抗菌剤からなることを特徴とする請求項8記載の抗菌消
    臭性を有する調湿剤。
JP25463999A 1999-09-08 1999-09-08 調湿剤 Pending JP2001070741A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25463999A JP2001070741A (ja) 1999-09-08 1999-09-08 調湿剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25463999A JP2001070741A (ja) 1999-09-08 1999-09-08 調湿剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001070741A true JP2001070741A (ja) 2001-03-21

Family

ID=17267823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25463999A Pending JP2001070741A (ja) 1999-09-08 1999-09-08 調湿剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001070741A (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002339151A (ja) * 2001-05-21 2002-11-27 Toray Ind Inc 吸湿性に優れた合成繊維およびその製造方法
JP2003082522A (ja) * 2001-09-06 2003-03-19 Toray Ind Inc 調湿性に優れた合成繊維およびそれを用いた繊維製品
JP2003252818A (ja) * 2002-03-01 2003-09-10 Japan Science & Technology Corp 有機無機複合構造体とその製造方法
JP2005089240A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Tokuyama Corp 微粒子状メソポーラスシリカ
WO2010082456A1 (ja) * 2009-01-16 2010-07-22 パナソニック株式会社 再生質吸湿剤
JP2011056509A (ja) * 2004-02-05 2011-03-24 Taiyo Kagaku Co Ltd 多孔質シリカを含有する吸着能付与剤
JP2011115984A (ja) * 2009-12-01 2011-06-16 Dainippon Printing Co Ltd 酸素吸収性積層フィルムおよび包装容器
JP2011131565A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Dainippon Printing Co Ltd 酸素吸収性積層フィルムおよび包装容器
WO2012147812A1 (ja) * 2011-04-28 2012-11-01 株式会社トクヤマ 金属酸化物粉末及びその製造方法
JP5390739B2 (ja) * 2003-09-11 2014-01-15 太陽化学株式会社 物質担持多孔質シリカ
JP2015021024A (ja) * 2013-07-17 2015-02-02 株式会社ガイア環境技術研究所 廃プラスチックの熱分解装置および廃プラスチックの熱分解方法
US9216909B2 (en) 2010-10-25 2015-12-22 Tokuyama Corporation Aerogel and method for manufacture thereof
JPWO2016152645A1 (ja) * 2015-03-26 2017-09-28 ニッタ株式会社 ケミカルフィルタ
CN111971110A (zh) * 2018-04-17 2020-11-20 住友化学株式会社 调湿部件和其制造方法
CN113578257A (zh) * 2021-07-20 2021-11-02 中国地质科学院矿产资源研究所 一种铁尾矿复合材料及其制备方法和应用

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002339151A (ja) * 2001-05-21 2002-11-27 Toray Ind Inc 吸湿性に優れた合成繊維およびその製造方法
JP2003082522A (ja) * 2001-09-06 2003-03-19 Toray Ind Inc 調湿性に優れた合成繊維およびそれを用いた繊維製品
JP2003252818A (ja) * 2002-03-01 2003-09-10 Japan Science & Technology Corp 有機無機複合構造体とその製造方法
JP5390739B2 (ja) * 2003-09-11 2014-01-15 太陽化学株式会社 物質担持多孔質シリカ
JP2005089240A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Tokuyama Corp 微粒子状メソポーラスシリカ
JP4519433B2 (ja) * 2003-09-17 2010-08-04 株式会社トクヤマ 微粒子状メソポーラスシリカ
JP2011056509A (ja) * 2004-02-05 2011-03-24 Taiyo Kagaku Co Ltd 多孔質シリカを含有する吸着能付与剤
WO2010082456A1 (ja) * 2009-01-16 2010-07-22 パナソニック株式会社 再生質吸湿剤
JP2011115984A (ja) * 2009-12-01 2011-06-16 Dainippon Printing Co Ltd 酸素吸収性積層フィルムおよび包装容器
JP2011131565A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Dainippon Printing Co Ltd 酸素吸収性積層フィルムおよび包装容器
US9216909B2 (en) 2010-10-25 2015-12-22 Tokuyama Corporation Aerogel and method for manufacture thereof
CN103476707A (zh) * 2011-04-28 2013-12-25 株式会社德山 金属氧化物粉末及其制造方法
JPWO2012147812A1 (ja) * 2011-04-28 2014-07-28 株式会社トクヤマ 金属酸化物粉末及びその製造方法
JP5755730B2 (ja) * 2011-04-28 2015-07-29 株式会社トクヤマ 金属酸化物粉末及びその製造方法
US9199853B2 (en) 2011-04-28 2015-12-01 Tokuyama Corporation Metal oxide powder and method for manufacture thereof
WO2012147812A1 (ja) * 2011-04-28 2012-11-01 株式会社トクヤマ 金属酸化物粉末及びその製造方法
CN103476707B (zh) * 2011-04-28 2016-05-25 株式会社德山 金属氧化物粉末及其制造方法
JP2015021024A (ja) * 2013-07-17 2015-02-02 株式会社ガイア環境技術研究所 廃プラスチックの熱分解装置および廃プラスチックの熱分解方法
JPWO2016152645A1 (ja) * 2015-03-26 2017-09-28 ニッタ株式会社 ケミカルフィルタ
CN111971110A (zh) * 2018-04-17 2020-11-20 住友化学株式会社 调湿部件和其制造方法
CN113578257A (zh) * 2021-07-20 2021-11-02 中国地质科学院矿产资源研究所 一种铁尾矿复合材料及其制备方法和应用
CN113578257B (zh) * 2021-07-20 2023-10-31 中国地质科学院矿产资源研究所 一种铁尾矿复合材料及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001070741A (ja) 調湿剤
EP0722660B1 (en) An antimicrobial polymer composition
US7887770B2 (en) Amorphous aluminum silicate and adsorbent each having excellent moisture adsorption/desorption characteristics in medium-humidity range
JPH07196314A (ja) チューブ状合成無機微粒子
WO1997047381A1 (en) A manufacturing method of complex molecular sieve compound
KR102354462B1 (ko) 항균성 및 제습성을 갖는 이원기능성 은이온 함유 유기금속 골격 복합체, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 자연 분해성 고분자 필름
JP4614196B2 (ja) 球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子の製造方法
JP6761999B2 (ja) 非晶質アルミニウムケイ酸塩の造粒体に吸湿性の塩を担持させた水蒸気吸着材
EP0772975B1 (en) Microbes-removing material
JPH10120923A (ja) 無機多孔結晶−親水性高分子複合体
JP5083748B2 (ja) 炭酸カルシウム・ゼオライト系化合物複合体の製造方法
EP0722659A2 (en) A crystalline antimicrobial composition
JP4113943B2 (ja) 非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる管状構造体、その製造方法及びそれを用いた吸着剤
JP2645483B2 (ja) 脱臭剤
JPS59193134A (ja) 浄水用材
Zhang et al. Synthesis of hierarchical ZSM-5 composed of nanocrystals without a secondary template
JP2784240B2 (ja) アルミナを母体とする抗菌性組成物
Hidayat et al. Antimicrobial air filter made of chitosan-ZnO nanoparticles immobilized on white silica gel beads
JPH07196305A (ja) チューブ状複合体合成無機微粒子
JPH03280827A (ja) エチレン除去剤及びその使用方法
JP2016107257A (ja) 吸着剤及びその製造方法
RU2794900C1 (ru) СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ АНТИМИКРОБНОЙ КОМПОЗИТНОЙ НАНОСТРУКТУРЫ БЕМИТ-СЕРЕБРО ИЛИ БАЙЕРИТ-СЕРЕБРО И СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ АНТИМИКРОБНОЙ КОМПОЗИТНОЙ НАНОСТРУКТУРЫ γ-ОКСИД АЛЮМИНИЯ-СЕРЕБРО
JP6731585B2 (ja) 有害気相物質の除去のための吸着体及びその製造方法、有害気相物質除去材、並びに有害気相物質の除去方法
KR0170600B1 (ko) 친수 및 친유성 흡착특성을 지닌 복합분자체 제조방법
JP2700281B2 (ja) 抗菌性ビード及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060612

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20081030

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20081111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090310