JP6731585B2 - 有害気相物質の除去のための吸着体及びその製造方法、有害気相物質除去材、並びに有害気相物質の除去方法 - Google Patents

有害気相物質の除去のための吸着体及びその製造方法、有害気相物質除去材、並びに有害気相物質の除去方法 Download PDF

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本発明は、気相中に存在する有害物質の吸着除去に適した吸着体及びその製造方法、並びに、その応用技術に関する。
近年、生活水準の向上に伴い、健康および衛生に関する意識も高まっており、関連する各分野において、消臭、抗菌、防カビおよび防汚加工を施した製品や技術が実用化されている。悪臭対策としては臭いの原因となる悪臭物質を化学的に分解する方法や、悪臭を芳香剤等により果物や花卉、樹木などの匂いでマスキングする方法がとられている。しかしながら、悪臭物質の化学的分解は、特定の化合物を消臭するため広範囲にわたる選択性が低く、マスキングは、悪臭のごまかしであり根本的な悪臭原因物質をなくすことはできていない。
また、悪臭物質を物理的あるいは化学的に吸着させる方法もあり、吸着剤としては、有機系多孔質材料やゼオライトなどの無機系多孔質材料が知られている。
例えば、特許文献1には、アミン化合物をビニルポリマー粒子に担持した吸着剤が開示されている。特許文献2や3には、無機系多孔質材料としてゼオライトを用いた技術が開示されている。また、特許文献4には、ハイドロタルサイト、ハロゲン酸塩及び透気性材料からなる吸着剤が記載されている。
しかしながら、特許文献1の吸着材は有機系材料であるため、耐熱性や耐久性などに限界がある。また、特許文献2や3のゼオライトやハイドロタルサイトは、細孔が規則的であるため吸着できるガスが限定的であった。さらに、ハイドロタルサイトは、特許文献4に記載のように、粒子同士が凝集することで吸着能力が低下するという問題があった。
一方、本発明者らは、ハイドロタルサイト様化合物とゼオライトとの複合体が液相においては、優れたイオン吸着性を示すことを見出している(特許文献5)。
特開2012−120637号公報 特開2012−115737号公報 特開2013−22413号公報 特開2006−26566号公報 特開2015−013283号公報
上記先行文献で開示された有害気相物質の吸着剤は、耐久性が十分ではない、吸着できる有害気相物質が限定的であるという課題があった。また、有害気相物質の吸着能力、すなわち、有害気相物質の除去性能にも改善の余地があった。
かかる状況下、本発明の目的は、気相に存在する悪臭物質等の有害気相物質に対する吸着性に優れた吸着体及びその製造方法、並びにその応用技術を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記吸着体やその応用品を利用した有害気相物質の除去方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物が、液相中のイオンのみならず、気相中に存在する悪臭物質等の物質に対しても優れた吸着性を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物を含有する有害気相物質の除去のための吸着体。
<2> 当該吸着体に含まれるゼオライトの割合が、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、10〜90重量%である前記<1>記載の吸着体。
<3> 前記<1>または<2>記載の吸着体の製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする製造方法。
工程(1):
ゼオライト及びアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程
工程(2):
2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解し、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を調製する工程
工程(3):
前記原料(A)と前記原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が複合化した組成物を含むスラリーを得る工程
<4> 前記<1>または<2>記載の吸着体を、支持体の表面又は内部に、固定化してなることを特徴とする有害気相物質除去材。
<5> 前記支持体が、通気性を有するものである前記<4>記載の有害気相物質除去材。
<6> 前記支持体が、繊維材料を主たる構成材料とする繊維複合体である前記<4>記載の有害気相物質除去材。
<7> 前記<1>若しくは<2>に記載の吸着体または<4>から<6>のいずれかに記載の有害気相物質除去材と、除去対象となる有害気相物質とを接触させて、当該有害気相物質を吸着除去することを特徴とする有害気相物質の除去方法。
<8> 除去対象の有害気相物質が、悪臭物質である前記<7>に記載の除去方法。
本発明により、悪臭物質等の有害気相物質に対する吸着性に優れた吸着体および有害気相物質除去材が提供される。また、該吸着体や有害気相物質除去材を用いて有害気相物質を効果的に除去することができる。
参考用試料1(ゼオライト)のXRDパターンである。 参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)のXRDパターンである。 実施例の吸着体1(複合化組成物)のXRDパターンである。 実施例の吸着体2(複合化組成物)のXRDパターンである。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
(吸着体)
本発明は、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物を含有する有害気相物質の除去のための吸着体(以下、「本発明の吸着体」と記載する場合がある。)に関する。
本発明の吸着体が含有するゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物(以下、「本発明の複合組成物」または、単に「複合組成物」と記載する場合がある。)は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物とが互いに接触し、単純な篩分けなどでは分離しないように複合化した構造を有する複合組成物である。具体的には、ゼオライトをハイドロタルサイト様化合物が被覆した構造を有する複合組成物や、ゼオライトをハイドロタルサイト様化合物で結合した構造を有する複合組成物などの複合構造が挙げられる。複合組成物の構造は、X線回折法(XRD)や電子顕微鏡で観察することで確認することができる。
本発明の特徴のひとつは、上述のように、本発明の吸着体が、気相中に存在する悪臭物質等の物質に対する優れた吸着性を有することを見出し、本発明の複合組成物を有害気相物質の吸着用途に使用することにある。なお、吸着体の除去対象である「有害気相物質(以下、単に「気相物質」と記載する場合がある)」とは、気相中に存在する人に不快感を与える物質、あるいは、人の健康を害する物質などの、人に有害な気相に存在する気体状物質を意味する。詳しくは、本発明の吸着体を用いた有害気相物質の除去方法と併せて後述する。
本発明の吸着体は、気相物質の吸着性に優れると共に、無機系材料で構成されるため、有機系材料からなるポリマー系吸着体と比較して、安定性が高く、長期間の使用に耐えうる、という利点がある。また、本発明の吸着体の原料であるゼオライトやハイドロタルサイト様化合物は、自然界に存在する鉱物に近いため、廃棄による環境負荷も小さい、という利点もある。
本発明の吸着体がなぜ気相物質に対する優れた吸着性を有するかについては現段階では完全に明らかではないが、本発明の吸着体では、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物との複合化効果によるものと推測される。すなわち、複合化効果により、それぞれゼオライトとハイドロタルサイト様化合物単独である様々な種類の吸着種の吸着が可能となり、特に複合化した組成物においてハイドロタルサイト様化合物は高分散しているため、表面積が大きくなり、気相物質を取り込みやすくしている可能性がある。
本発明の吸着体は、複合組成物のみから構成されていてもよいし、必要に応じて他の成分を混合させて用いてもよい。
次に本発明の吸着体が含有する複合組成物の構成成分について詳細に説明する。
(ゼオライト)
ゼオライトは、結晶中に0.4nm〜2nm程度の微細孔を持つ結晶性アルミノケイ酸塩の総称であり、Si−O四面体とAl−O四面体とが頂点のO原子を共有した三次元ネットワーク構造をもつ複合酸化物である。
ゼオライトとしては、ZSM−5型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、L型ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどが挙げられ、いずれも使用できる。また、クリノブチライト、モルデナイトや合成ゼオライト等のゼオライト様化合物も、ゼオライトと同等の機能を有するものとして、本発明におけるゼオライトして使用できるものとする。
ゼオライトの種類は、本発明の吸着体の処理対象(気相物質の種類)や使用用途を考慮して適宜選択すればよい。
(ハイドロタルサイト様化合物)
本発明において、ハイドロタルサイト様化合物は、下記一般式(I)で表される化合物を意味する。
[M2+ 1-x3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O]・・・・・・・(I)
なお、式(I)で表される化合物において、M2+とM3+は2価及び3価の金属イオンであり、An- x/nは層間陰イオンを表す。また。xは、0.20〜0.33の範囲の数値である。
また、[An- x/n・mH2O]におけるmは0以上の数値であり、脱水状態によって大きく変化する。
ハイドロタルサイト様化合物は、[M2+ 1-x3+ x(OH)2]で表されるシート状の水酸化物が幾層も重なった層状構造を有し、その層間には、交換性の陰イオン(An- x/n)と水(H2O)が保持された構造を有する。なお、静電的なバランスは、層間に陰イオンが取り込まれることによって保たれていて、層間の陰イオン同士の隙間には水分子(層間水)が存在する。
ハイドロタルサイト様化合物はシートの積み重なり方によって、菱面体晶系と六方晶系のポリタイプがあり、本発明の複合組成物ではいずれでもよい。
ハイドロタルサイト様化合物の種類は、本発明の吸着体の処理対象(気相物質の種類)を考慮して適宜選択すればよい。
シート状の水酸化物を構成する2価の金属イオン(M2+)としては、Mg2+、Ca2+、Mn2+又はCu2+等が挙げられる。また、3価の金属イオン(M3+)としては、Al3+、Fe3+又はTi3+等が挙げられる。また、層間陰イオン(An- x/n)としては、Cl-、CO3 -、SO4 2-などが挙げられる。
本発明の複合組成物におけるハイドロタルサイト様化合物の合成方法については、後述する製造方法にて説明する。
(複合組成物の組成)
本発明の複合組成物のゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の割合は、それぞれが均質な組成物を形成できる範囲であればよく、使用目的に応じて選択すればよい。
本発明の複合組成物に含まれるゼオライトの重量割合は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、通常、0.01〜99.9重量%であり、好適には10〜90重量%であり、より好適には30〜70重量%である。
<複合組成物の製造方法>
本発明の吸着体が含有する複合組成物は、以下に説明する製造方法(以下、「本発明の複合組成物の製造方法」又は単に「本発明の製造方法」と称す。)で製造されることが好適である。
以下、本発明の複合組成物の製造方法について説明する。
本発明の複合組成物の製造方法は、下記工程を有することを特徴とする。
工程(1):
ゼオライト及びアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程
工程(2):
2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解し、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を調製する工程
工程(3):
前記原料(A)と前記原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が複合化した組成物を含むスラリーを得る工程
本発明の製造方法の特徴のひとつは、工程(3)において、前駆体を含む原料(B)からハイドロタルサイト様化合物を合成する際に必要となるアルカリ成分を、ゼオライトを含むアルカリ原料(A)として添加することにある。このようにすることで、ゼオライトと、合成されるハイドロタルサイト様化合物とが均等に分散した微細粒子を含むスラリー状が得られる。このスラリーから通常、溶媒を留去して、有害気相物質の除去のための吸着体として用いることができる複合組成物が得られる。
このような本発明の複合組成物の製造方法では、複合組成物を合成する段階においてゼオライトとハイドロタルサイト様化合物が混合され、両者が結合(複合化)している。そのため、ハイドロタルサイト様化合物とゼオライト粉末とを混合する場合と比較して、ハイドロタルサイトが高分散され、気相物質に対する優れた吸着能を有する。
以下、本発明の複合組成物の製造方法における各工程をより詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、ゼオライトとアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程である。
ゼオライトの物性等は、上述の通りであるため、説明を省略する。
原料(A)としては、ゼオライト及びアルカリ溶液を含有していればよく、ゼオライトがアルカリ溶液に分散した溶液あるいはスラリー、顆粒状のゼオライトにアルカリ溶液を含有させたもの等いかなる形態でもよい。
原料(A)におけるゼオライトとアルカリ溶液の割合は、本発明の複合組成物におけるゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の比率を考慮し、かつ、工程(3)において原料(A)と原料(B)とが、短時間に均等にできる範囲で決定される。
また、原料(A)は、アルカリ性、すなわちpH7超を必須とし、pH11以上が好ましい。原料(A)のpHが7未満であると、工程(3)において、原料(B)と混合した際に混合溶液が所定のpHとならず、ハイドロタルサイト様化合物が形成されない。
原料(A)におけるアルカリ溶液の溶媒は、水又は水を主体とする溶媒である。当該溶媒の水の割合は、50重量%以上、好ましくは80重量%以上(100重量%含む)である。水以外の溶媒としては、揮発性を高めるために、エタノールなどが挙げられる。
原料(A)に含まれるゼオライトは、天然のゼオライトでもよく、合成したゼオライトでもよく、水又は水を主体とする溶媒に塩基性塩と共に添加して、アルカリ性の原料(A)を調製する。
また、原料(A)の調整方法として、シリカ源、アルミナ源、塩基性塩を含む溶液を加熱処理してゼオライトを合成することによって原料(A)を調製すると、ゼオライトの分散性の高くなることに加え、合成時に使用した塩基性塩によりアルカリ性となるため、別途塩基性塩を添加する必要がないという利点がある。
ゼオライト合成に用いられるシリカ源、アルミナ源、及び塩基性塩は、本発明の複合組成物としてゼオライトが合成できるものであればよく、特に制限はない。
具体的には、ゼオライト合成に好ましく用いられるシリカ源として、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩等が挙げられる。また、シリカガラスをシリカ源として使用してもよい。また、アルミナ源として、例えば、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。塩基性塩として、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
なお、ゼオライトの純度は、使用目的に応じて適宜決定すればよい。例えば、工場からの排出ガス中の有害物質除去等に使用する場合には、不純物が含有されていてもよく、より低コストなゼオライトを使用してもよい。一方、マスク等の人の健康に影響を与える用途に使用される場合には、有害な不純物を含まない高純度であることが好ましい。例えば、高純度のシリカ源、アルミナ源、塩基性塩を原料とした合成ゼオライトは、本発明の吸着体に使用されるゼオライトとして好適であり、市販の試薬グレードの合成ゼオライトは好適例の一つである。
シリカ源、アルミナ源及び塩基性塩を、目的とする種類のゼオライトが形成される割合で混合し、加熱処理を行うことで、目的とする種類のゼオライトを形成する。加熱方法は特に限定はないが、例えば、水熱処理またはマイクロ波による加熱処理を挙げることができる。
低コストに単一骨格を有するゼオライトを再現性良く形成できる点で、特開2012−41251号公報で開示された製造方法により、合成されたゼオライトは好適例の一つである。当該方法では、100℃以下の低温で目的とするゼオライトが合成でき、かつ、合成後の溶液はアルカリ性であるため、合成後の溶液を原料(A)として用いることができる。
なお、原料(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼオライト以外の成分を任意の割合で含有していてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調製剤などが挙げられる。
原料(A)の各成分を混合するときの温度は、通常は室温でよいが、性能を損なわない範囲で、40〜100℃程度に加温してもよい。
混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、原料(A)の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体として、2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含
む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解した原料(B)を調製する工程である。
3価金属(M3+)を含む可溶性塩としては、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体となりうる化合物であればよい。好ましくは、Al、Fe及びTiのいずれか1種を含む可溶性塩であり、それぞれの元素の塩化物(MCl3)、硫酸塩(M2(SO43)、硝酸塩(M(NO33)等が挙げられる。この中でも、Al塩化物であるAlCl3は好適な前駆体の一つである。
2価金属(M2+)を含む可溶性塩としては、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体となりうる化合物であればよい。好ましくは、Mg、Ca、Mn及びCuのいずれか1種を含む可溶性塩であり、それぞれの元素の塩化物(MCl2)、硫酸塩(MSO4)、硝酸塩(M(NO32)等が挙げられる。この中でも、Mg塩化物であるMgCl2は好適な前駆体の一つである。
溶媒としては、水を主体とする溶媒が用いられる。当該溶媒の水の割合は、50重量%以上、好ましくは80重量%(100重量%含む)である。水以外の溶媒としては、上記可溶性の溶解性を損なわない溶媒が選択され、例えば、エタノールなどが挙げられる。
2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩の割合は、合成目的のハイドロタルサイト様化合物の組成及びゼオライトに対する重量割合を考慮して適宜決定される。なお、ハイドロタルサイト様化合物の純度は、使用目的に応じて適宜決定される。
なお、原料(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩以外の成分を任意の割合で含有していてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調製剤などが挙げられる。
原料(B)は、構成成分(2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩、必要に応じて他の成分)を混合することで調整することができる。通常、水を主体とする溶媒に、前記構成成分を添加することにより調整される。
原料(B)を調整するときの温度は、通常は室温であるが、性能を損なわない範囲で、室温以下に冷却したり、30〜70℃程度に加温してもよい。
混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、原料(B)の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(1)及び工程(2)で調製した、原料(A)と原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が複合化した組成物を含むスラリーを得る工程である。
工程(3)では、原料(B)に含まれるハイドロタルサイト様化合物の前駆体は、pH6.0以上となることによって、ハイドロタルサイト様化合物を形成する。
本発明の製造方法の特徴は、そのアルカリ源として原料(A)を用いることにあり、ゼオライトを含む原料(A)と原料(B)との接触により、ゼオライト存在下でハイドロタルサイト様化合物が合成されるので、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物とが均一に複合化した組成物を得ることができる。
より均質なハイドロタルサイト様化合物が形成される点で、pH6.0〜11.5の範囲であることが好ましい。この範囲になるように、原料(A)の塩基性塩濃度、添加量を調整する。
原料(A)と原料(B)とを接触させるときの温度は、通常は室温であるが、性能を損なわない範囲で、室温以下に冷却したり、30〜70℃程度に加温してもよい。
原料(A)と原料(B)とを接触させる方法としては、ハイドロタルサイト様化合物が形成され、特段の問題がない限り任意である。すなわち、原料(A)と原料(B)とを一度に全部を混合してもよいし、原料(A)の一部を原料(B)に添加、混合を繰り返して混合してもよい。
ハイドロタルサイト様化合物とゼオライトがより均一に結合するように原料(B)に原料(A)を滴下することによって、原料(A)と原料(B)とを接触させて行うことが好ましい。この際、原料(B)を撹拌しながら原料(A)を滴下することがより好ましい。
なお、混合後のスラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、原料(A)及び原料(B)以外の成分を任意の割合で含有させてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調製剤などが挙げられる。
また、工程(3)において、原料(B)に含まれるハイドロタルサイト様化合物の前駆体に対する、原料(A)由来のアルカリが不足する場合に、さらにアルカリ溶液を添加することが好ましい。追加添加されるアルカリ溶液における塩基性塩、溶媒は、本発明の効果を損なわない限り、任意である。
また、原料(A)及び原料(B)の混合後のスラリーには、必要に応じて水や水を主体とする溶媒を添加して希釈してもよい。
<工程(4)>
工程(3)で得られるスラリーには、本発明の複合組成物が含まれる。スラリーをこのまま用いることもできるが、
本発明の製造方法では、さらに、工程(4)として、工程(3)で得られた複合組成物を含むスラリーへ炭酸塩、硝酸塩及び硫酸塩から選ばれる1種の化合物を溶解させた溶液(C)を添加する、又は当該スラリーを固液分離して得られた複合組成物を溶液(C)に添加することにより、複合組成物に含まれる交換性陰イオンを置換させる工程を有していてもよい。
例えば、原料に塩化物を使用した場合、層間陰イオンとしてCl-が入った、Cl型ハイドロタルサイト様化合物が合成されるが、用途に応じて、炭酸イオン(CO3 2-)、硫酸イオン(SO4 2-)、硝酸イオン(NO3 -)等に置換してもよい。
<その他の工程>
工程(3)で得られるスラリーには、本発明の複合組成物が含まれる。スラリーをこのまま用いることもできるが、通常、脱水工程により、溶媒を除去して用いられる。脱水方法は公知の方法を用いて行えばよく、例えば、濾過、遠心分離、加圧脱水、減圧脱水等による固液分離方法が挙げられる。
また、脱水工程の前段に、洗浄工程により不純物を除去してもよい。また、より不純物を除去するために、洗浄と脱水を2回以上繰り返し行ってもよい。洗浄に用いる溶媒は水であることが好ましく、より好ましくは純水および/またはイオン交換水である。
スラリーを脱水した後には、粘土状の複合組成物が得られる。粘土状の複合組成物は所定の大きさに粒径調整したのちに乾燥させることで、所定粒径の乾燥した複合組成物を得ることができる。また、粘土状の塊のまま乾燥させて、その後粉砕して粒径を整えてもよい。
乾燥方法については、特に限定されず、公知の熱風乾燥、真空乾燥等を使用することができる。また、乾燥時の雰囲気は特に限定されるものではないが、通常、大気雰囲気である。減圧雰囲気中で行うこともできる。乾燥温度は、複合組成物の物性が変化して、吸着性が低下しない範囲で選択され、通常、100℃以下である。
なお、本発明の複合組成物は、完全に乾燥させる前には、粘土のような粘り気を有するため、容易に任意の大きさとすることができる。そのため、使用用途に応じて適宜粒径を制御できる。例えば、粒径50〜500μm程度に調整することが可能である。本発明の吸着体の粒子径は、吸着目的とする気相物質の種類に応じて適宜決定される。粒子径は、大きすぎると、気相物質の吸着量や吸着速度が低下するおそれがある。
また、本発明の吸着体は、本発明の目的を損なわない範囲で、任意の添加剤を添加したり、他の吸着体を併用してもよい。
本発明の吸着体は、単独で使用してもよいが、任意の支持体に固定化して有害気相物質除去材として用いてもよい。本発明の吸着体を単独で使用する方法として、例えば、粉末、顆粒状の吸着体を、気相物質の除去が必要な場所に散布する方法が挙げられる。なお、上述の通り、本発明の吸着体は、自然界に存在する鉱物に近い原材料からなるため、散布による環境負荷は小さい。
(有害気相物質除去材)
以下、本発明の吸着体を支持体に固定化して使用する態様について説明する。
本発明の有害気相物質除去材とは、支持体の表面又は内部に、本発明の吸着体を固定化してなることを特徴とする。
使用される支持体は、本発明の吸着体が固定化でき、吸着体の吸着性能を損なわないものであれば任意である。また、本発明の吸着体を、支持体に固定化する方法は任意である。
本発明の吸着体を、支持体の表面に固定化する方法としては、支持体の表面に直接本発明の吸着体を固着させる方法、バインダーを介して本発明の吸着体を支持体の表面に固着させる方法等が挙げられる。例えば、公知のバインダー成分と複合してもよい。例えば、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーが挙げられる。
本発明の吸着体を、支持体の内部に固定化する方法としては、例えば、支持体の製造時に支持体に練り込む方法などが挙げられる。
かかる支持体に対する本発明の吸着体の固定化量は、支持体の種類や目的に応じて任意であるが、通常0.05〜30重量%程度である。
また、本発明の有害気相物質除去材には、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明の吸着体以外にも、着臭防止性、消臭性、抗菌性、防カビ性および防汚性等の機能を持たせるために、他の機能性物質(例えば、光触媒)をさらに固定化してもよい。
(通気性を有する支持体)
本発明の有害気相物質除去材の好ましい態様の一つとして、使用される支持体が通気性を有する支持体である有害気相物質除去材が挙げられる。支持体自体が通気性を有すれば、固定化された本発明の吸着体が有する有害気相物質に対する吸着性能をより有効に利用することができる。このような態様の有害気相物質除去材の応用用途として、例えば、送風機のカバーや空気清浄器のフィルター、マスク等の応用用途が挙げられる。
通気性を有する支持体としては、ポリマーシート、ポリマーフィルム、繊維、紙、不織布、多孔質物質あるいはこれらの複合体など挙げられるが、気体が支持体を通過し得るものであれば特に限定されない。支持体であるポリマーや繊維などに本発明の吸着体を含有させ、加工を加え、シートやフィルム、布などに成形してもよい。これらの支持体の表面、または内部に任意の方法、割合で固定すればよい。
(繊維複合体)
また、本発明の有害気相物質除去材の好ましい態様として、支持体が繊維材料を主たる構成材料とする繊維複合体である有害気相物質除去材が挙げられる。このような態様では、繊維を主たる構成材料とし、該繊維表面又は内部に、本発明の吸着体を固定化してなる、有害気相物質の除去のための繊維複合体である。当該繊維複合体は、紐状や織物状等の任意の形状に成形して使用することができる。また、成形時に他の任意の成分を組み入れてもよい。
使用できる繊維材料は、特に制限がなく、目的に応じて任意の繊維材料を使用することができる。例えば、金属繊維、合成繊維、半合成繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられることができる。また、天然繊維である、羊毛、絹、木綿、麻等も使用できる。
(有害気相物質の除去方法)
本発明の吸着体、または、本発明の有害気相物質除去材は、除去対象となる有害気相物質と接触させて、当該有害気相物質を吸着除去する方法に用いることができる。
なお、本発明の吸着方法において、除去対象となる気相物質の種類や濃度に応じて、本発明の吸着体(有害気相物質除去材に固定化されている場合も含む)が含有する、複合組成物におけるゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の種類や配合割合を規定すればよい。
本発明の吸着方法において、本発明の吸着体に吸着できる有害気相物質であれば、すべて除去対象になり得る。すなわち、本発明の吸着体に吸着可能な気相中に存在する人に不快感を与える、あるいは、人の健康を害する物質などの、人に有害な気相に存在する気体状物質は、全て本発明の吸着方法の対象となり、有機系、無機系を問わない。
具体的な除去対象となる有害気相物質としては、悪臭物質や揮発性有機化合物(VOC)等が挙げられ、例えば、アンモニアやトリメチルアミンなどの含窒素系ガス、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二流化ジメチルなどの硫黄系ガス、酢酸、イソ吉草酸、酪酸などの脂肪酸系ガス、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ノネナール等のアルデヒド系ガス、ピリジン、スチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ダイオキシンなどの有機ガス等が挙げられるが、これらに限定されない。
特に、アンモニア、トリエチルアミン、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸、イソ吉草酸、アセトアルデヒド、ノネナール等の悪臭物質はその好適な除去対象である。
また、本発明の吸着体、または、本発明の有害気相物質除去材と除去対象となる気相物質と接触させる方法は任意であり、吸着体や有害気相物質除去材の形態、除去対象となる気相物質の種類や濃度等を考慮して、適宜決定すればよい。より効率的に除去対象の気相物質と除去する観点で、本発明の吸着体、あるいは、本発明の有害気相物質除去材に、除去対象である悪臭物質や揮発性有機化合物等を含む気体を送風機などで送り込むことで、前記気体から悪臭物質や揮発性有機化合物等を効率的に吸着除去してもよい。
以上、本発明の吸着体、及び気相から有害気相物質を吸着除去する方法について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の技術的思想の範囲内である限り、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.複合組成物(吸着体1)の製造方法
使用した原料は次の通りである。
「原料」
・塩化マグネシウム六水和物(WAKO)
・塩化アルミニウム六水和物(WAKO)
・水酸化ナトリウム(WAKO)
・炭酸ナトリウム(WAKO)
・蒸留水(WAKO)
・発泡ガラス(粒径30〜100μm)
・アルミン酸ナトリウム(朝日化学工業株式会社)
[実施例1]
<吸着体1(複合組成物)の合成>
工程(1):原料(A)の調整
原料(A)としてのゼオライト含有アルカリ溶液は、以下の手順で調整した。
まず、シリカ源として粒径30〜100μmの発泡ガラス1000gを使用し、該発泡ガラスに対し、アルカリ源の水酸化ナトリウム2300gを混合し、常圧85〜95℃で、8時間加熱して発泡ガラスの溶解液(ガラス溶解液)を得た。次いで、ガラス溶解液に対してアルミナ源のアルミン酸ナトリウム3100gを混合し、攪拌しながら常圧85〜95℃で、8時間加熱してゼオライトを合成し、ゼオライトとアルカリ溶液を含有する溶液である原料(A)を得た。
原料(A)中のゼオライト濃度は、10〜12重量%、pHは14であった。
工程(2):原料(B)の調整
2価金属(M2+)を含む可溶性塩である塩化マグネシウム六水和物17.31g、3価金属(M3+)を含む可溶性塩である塩化アルミニウム六水和物10.30gを蒸留水27.61gに添加して溶解させることで、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を得た。
工程(3):原料(A)と原料(B)との混合
原料(B)55.22gに対し、原料(A)110.44gを添加し、撹拌して十分に混合した後、3倍希釈用に蒸留水496.98gを添加し、混合してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過により固液分離して得た固形分を100℃、10時間乾燥することによって得られた複合組成物を、吸着体1とした。
なお、原料(A)110.44gにはゼオライト成分13.3mg、原料(B)55.22gにはハイドロタルサイト様化合物成分が10mg含まれる。そのため、得られた吸着体(複合組成物)中のゼオライトの割合は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、57重量%である。
<参考用試料1(ゼオライト)の製造>
まず、実施例1と同様の原料(A)55.22gを、遠心分離機(4000rpm、8分)で固液分離し、固形分(ゼオライト)を分離した。分離した固形分に対し、蒸留水200gを加え、遠心分離機で固液分離を行った。この操作を3回繰り返した後に、固形分を100℃、10時間乾燥することで、参考用試料1のゼオライト(Ze)を得た。
<参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)の製造>
まず、実施例1と同様の原料(B)を使用し、原料(B)55.22gに対し、18.5重量%水酸化ナトリウム溶液55.22gを添加し、撹拌して十分に混合した後、3倍希釈用に蒸留水331.32gを添加し、混合してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過により固液分離して得た固形分を100℃、10時間乾燥することで、参考用試料2のハイドロタルサイト様化合物(HT)を得た。
「pH測定」
吸着体1(複合組成物)を含むスラリー及び参考用試料2のハイドロタルサイト様化合物を含むスラリーのpHをpHメーター(東亜DKK株式会社、型番:HM−30P)で測定したところ、吸着体1のpH8.8であり、参考用試料2のpH8.24であった。すなわち、吸着体1と参考用試料2とほぼ同程度のアルカリ量ということを意味している。
「XRD分析」
吸着体1(複合組成物)、参考用試料1(ゼオライト)及び参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)について、X線回折法による評価を行った。X線回折装置には、株式会社リガク製、型番:MiniFlexを使用した。
図1に参考用試料1(ゼオライト)、図2に参考用試料2(ハイドロタルサイト様化合物)、図3に吸着体1(複合組成物)のXRD分析の結果を示す。
図3に示すように、吸着体1では、ゼオライト由来のシグナルとハイドロタルサイト様化合物由来のシグナルが混在していた。この結果は、ゼオライト合成時に発生するアルカリ溶液である原料(A)を適量、原料(B)に添加することにより、ハイドロタルサイト様化合物とゼオライトが複合化した複合組成物が合成できていることを示している。
2.吸着体1を用いた吸着能力の評価
代表的な悪臭物質とされるアンモニア、酢酸、イソ吉草酸および加齢臭の原因とされるノネナールについて、吸着体1の吸着能力の評価を行った。
[実施例2]
「アンモニアの吸着能力の評価」
0.9 gの吸着体1をにおい袋に入れ、ヒートシールを施した後に、空気9Lを封入し、初期ガス濃度が100ppmとなるように設定し、アンモニアを添加した。これを室温で静置し、10分後、30分後、60分後、180分後に袋内のガス濃度をガス検知管法により測定した。また、吸着体を入れずに同様な操作をしたものを比較例2とした。結果を表1に示す。
[実施例3]
「酢酸の吸着能力の評価」
初期ガス濃度が15ppmとなるように設定し、酢酸を添加した以外は、アンモニアの吸着能力の評価と同様にして、評価を行った。また、吸着体を入れずに同様な操作をしたものを比較例3とした。結果を表1に示す。
[実施例4]
「イソ吉草酸の吸着能力の評価」
初期ガス濃度が50ppmとなるように設定し、イソ吉草酸を添加した以外は、アンモニアの吸着能力の評価と同様にして、評価を行った。また、吸着体を入れずに同様な操作をしたものを比較例4とした。結果を表1に示す。
[実施例5]
「ノネナールの吸着能力の評価」
0.9 gの吸着体1をにおい袋に入れ、ヒートシールを施した後に、初期濃度が19ppmとなるようにノネナールを添加して9Lとした。これを室温で静置し、30分後、60分後、180分後に袋内のガスをDNPHカートに捕集した。ガスを捕集したDNPHカートリッジにアセトニトリルを通してDNPH誘導体を溶出させこの溶液を高速液体クロマトグラフ法により測定し、袋内のガス濃度を算出した。また、吸着体を入れずに同様な操作をしたものを比較例5とした。結果を表1に示す。
吸着体1の悪臭物質の吸着能力は、いずれも初回計測時点で75%を上回る結果となった。酢酸(実施例3)、イソ吉草酸(実施例4)、ノネナールに(実施例5)ついては、初回計測時点で、対象ガスのガス濃度が定量下限の1ppm以下であり、ほぼ100%の吸着効果を示した。また、アンモニア(実施例2)に対しても、180分後の吸着能力は96%であり、吸着体なしの比較例2と比較して非常に良好な結果であった。
3.複合組成物(吸着体2)の製造方法
使用した原料は次の通りである。
「原料」
・塩化マグネシウム六水和物(WAKO)
・塩化アルミニウム六水和物(WAKO)
・水酸化ナトリウム(WAKO)
・蒸留水(WAKO)
・合成ゼオライトA−4(平均粒径2〜5μm, 品番268−01522)(WAKO)
[実施例6]
<吸着体2(複合組成物)の合成>
工程(1):原料(A)の調整
原料(A)としてのゼオライト含有アルカリ溶液は、以下の手順で調整した。
所定量の合成ゼオライト(Wako)と、アルカリ源の水酸化ナトリウムと蒸留水を混合して、室温で十分に撹拌することにより、ゼオライトとアルカリ溶液を含有する溶液である原料(A)を得た。
原料(A)中のゼオライト濃度は、3重量%、pHは12以上であった。
工程(2):原料(B)の調整
2価金属(M2+)を含む可溶性塩である塩化マグネシウム六水和物17.31g、3価金属(M3+)を含む可溶性塩である塩化アルミニウム六水和物10.30gを蒸留水27.61gに添加して溶解させることで、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を得た。
工程(3):原料(A)と原料(B)との混合
原料(B)55.22gに対し、原料(A)110.44gを添加し、撹拌して十分に混合してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過により固液分離して得た固形分を100℃、10時間乾燥することによって得られた複合組成物を、吸着体2とした。
なお、原料(A)110.44gにはゼオライト成分10mg、原料(B)55.22gにはハイドロタルサイト様化合物成分が10mg含まれる。そのため、得られた吸着体(複合組成物)中のゼオライトの割合は、ゼオライトとハイドロタルサイト様化合物の合計を100重量%として、50重量%である。
図4に示すように、吸着体2(複合組成物)についても、吸着体1と同様の方法で、XRD分析を行い、ハイドロタルサイト様化合物とゼオライトが複合化した複合組成物の合成を確認した。
4.吸着体2を用いたアンモニア吸着能力の評価
代表的な悪臭物質とされるアンモニアについて、吸着体2の吸着能力の評価を行った。
[実施例7]
1.2gの吸着体2を封入した容量10L(実測容量12L)のポリエステル製バッグに、初期ガス濃度が45ppmとなるようにアンモニアを投入し、経時的にアンモニア濃度をガス検知管法により測定した。また、吸着体を入れずに同様な操作をしたものを比較例7とした。結果を表2に示す。
[実施例8]
アンモニアの初期ガス濃度を10ppmとした以外は実施例7と同様の操作を行った。また、吸着体を入れずに同様な操作をしたものを比較例8とした。結果を表2に示す。
吸着体なしの比較例7、8では、経過時間にかかわらず、アンモニアのガス濃度は初期濃度からほぼ変化がない結果であった。一方、吸着体2のアンモニアの吸着能力は、アンモニアの初期濃度にかかわらず初回計測時点で80%を上回り(実施例7、8)、吸着体2は、優れたアンモニア吸着能力を有することを示す結果となった。
本発明の吸着体は、気相に存在する悪臭物質等の気相物質に対する吸着性に優れ、高効率に気相物質を吸着除去できる。
このため、本発明の吸着体は、更に、空気清浄器用のフィルターなどの衛生関連商品、マスクなどの生活雑貨等へ様々な応用が可能である。

Claims (2)

  1. ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物を複合化した組成物を含有する、有害気相物質の除去のための吸着体の製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする製造方法。
    工程(1):
    ゼオライト及びアルカリ溶液を含有する原料(A)を調製する工程
    工程(2):
    2価金属(M2+)を含む可溶性塩及び3価金属(M3+)を含む可溶性塩を、水を主体とする溶媒に溶解し、ハイドロタルサイト様化合物の前駆体を含有する原料(B)を調製する工程
    工程(3):
    前記原料(B)に前記原料(A)を滴下することによって、前記原料(A)と前記原料(B)とを接触させて、ゼオライト及びハイドロタルサイト様化合物が複合化した組成物を含むスラリーを得る工程
  2. 請求項の製造方法で得られた吸着体と、除去対象となる有害気相物質とを接触させて、当該有害気相物質を吸着除去する有害気相物質の除去方法であり、
    除去対象の有害気相物質が、悪臭物質であることを特徴とする有害気相物質の除去方法。
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