JP2001068703A - 太陽電池モジュール並びに該太陽電池モジュールを用いた建材および太陽光発電装置 - Google Patents

太陽電池モジュール並びに該太陽電池モジュールを用いた建材および太陽光発電装置

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JP2001068703A
JP2001068703A JP24454199A JP24454199A JP2001068703A JP 2001068703 A JP2001068703 A JP 2001068703A JP 24454199 A JP24454199 A JP 24454199A JP 24454199 A JP24454199 A JP 24454199A JP 2001068703 A JP2001068703 A JP 2001068703A
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cell module
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resin
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Hidenori Shiozuka
秀則 塩塚
Ichiro Kataoka
一郎 片岡
Hidesato Yoshimitsu
秀聡 善光
Satoshi Yamada
聡 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性、耐クリープ性、耐候性に優れる太陽
電池モジュールを提供する。 【解決手段】 光起電力素子101の受光面側に、少な
くとも封止材102及び表面部材103を有する太陽電
池モジュールにおいて、封止材102が、10gf荷重
での針入ピーク温度が75℃乃至110℃である非架橋
樹脂であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池モジュー
ルに係わり、特に光起電力素子が有機高分子樹脂により
封止されている太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光起電力素子を樹脂封止し、
さらに表面及び裏面に保護材を設けた建材一体型太陽電
池モジュールが知られている。
【0003】図6はこのような太陽電池モジュールの従
来例である。図6に於いて、601は光起電力素子、6
02は表面封止材、603は表面部材、604は裏面封
止材、605は裏面絶縁材、606は裏面部材である。
【0004】より具体的には、表面部材603はガラ
ス、またはETFE(エチレン−テトラフルオロエチレ
ン共重合体)フィルム、PVF(ポリフッ化ビニル)フ
ィルム等のフッ素樹脂フィルムであり、表面封止材60
2及び裏面封止材604はEVA(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体)、ブチラール樹脂等であり、裏面絶縁材6
05はポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロ
ンフィルム、アルミラミネートテドラーフィルムをはじ
めとする種々の有機樹脂フィルムである。裏面部材60
6は、金属鋼板、FRP、スレートボードなどの屋根
材、建材である。
【0005】この例において封止材602,604は光
起電力素子601とフッ素樹脂フィルム603、裏面絶
縁材605及び裏面部材606との接着剤としての役割
と、外部からの引っかき、衝撃から光起電力素子601
を保護する充填材の役割をはたしている。
【0006】建材一体型太陽電池モジュールは、一般建
材と同様な施工が可能であり、特に屋根材と使用される
場合が多い。屋根材一体型は太陽電池無しの一般屋根材
と同様な施工方法で建物に設置できるといった加工性、
施工性の点でも有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような太陽電池モ
ジュールに用いられる封止材は光起電力素子の凹凸を樹
脂で被覆し、かつ表面フィルム、裏面絶縁材との接着を
確保するために必要である。従って、接着性が要求さ
れ、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられ
る、耐熱性、耐候性、柔軟性を兼ね備えた材料が好まし
い。その中でも容易に製造できること、安価であること
から有機化合物樹脂を用いることが一般的である。特
に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は良く使
用されている。
【0008】しかし、EVAは10g荷重での針入ピー
ク温度が65℃と耐熱性、耐クリープ性が低く、屋根の
ように傾斜を付けて太陽電池モジュールを設置する場合
には、表面部材、光起電力素子が裏面部材からずれてし
まい太陽電池モジュールの信頼性を低下させる恐れがあ
った。
【0009】また、建材として太陽電池モジュールを用
いた場合、真夏の日中など強い太陽光の照射により太陽
電池モジュール表面は80℃以上に昇温することがあ
る。このような条件下で前述のEVAは耐熱性、耐クリ
ープ性が低いため、光起電力素子や表面部材を裏面部材
に固定することができず実使用上に問題が生じる恐れが
あった。
【0010】このようなEVAの耐熱性、耐クリープ性
をより改善する為に有機過酸化物などの架橋剤を加えた
太陽電池モジュールに適した処方が知られている。具体
的には、アメリカエネルギー省ジェット推進研究所の年
報“Investigation of Test M
ethods,Material Propertie
s,and Processes for Solar
Cell Encapusulants(198
2)”に挙げられている処方番号A9918に開示され
ているEVAの処方がある。この処方により架橋された
EVAは、10g荷重での針入ピーク温度が75℃と向
上させることができ、屋外に設置された場合でも、上記
のような問題が発生するようなことはない。
【0011】しかし、EVAを架橋するには多くの時間
を要し、太陽電池モジュールの製造コストが高くなる要
因となっていた。また封止材樹脂中に残存した有機過酸
化物分解物が酸化防止剤を分解し、耐候性を低下させる
原因となる。さらに太陽電池モジュール作製の際に生じ
る有機過酸化物の分解ガスが十分に脱気されず、気泡と
なって封止材に残り、密着性、耐湿性を著しく低下させ
る原因にもなっている。
【0012】本発明は、上記課題を解決し、生産性、耐
クリープ性、耐候性に優れる太陽電池モジュール、更に
はかかる太陽電池モジュールを用いた建材および太陽光
発電装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は以下の通りである。
【0014】すなわち、本発明は、光起電力素子の受光
面側に、少なくとも封止材及び表面部材を有する太陽電
池モジュールにおいて、前記封止材が、10gf荷重で
の針入ピーク温度が75℃乃至110℃である非架橋樹
脂であることを特徴とする。
【0015】また、本発明の建材は、上記本発明の太陽
電池モジュールの非受光面側に補強板を有することを特
徴とする。
【0016】さらに、本発明の太陽光発電装置は、上記
本発明の太陽電池モジュールと該太陽電池モジュールに
接続された電力変換装置とを有することを特徴とする。
【0017】上記本発明は、さらなる特徴として、「前
記封止材が、少なくとも不飽和脂肪酸を構成要素とする
共重合体である」こと、「前記封止材が、少なくともエ
チレンと不飽和脂肪酸を構成要素とする共重合体であ
る」こと、「前記封止材の不飽和脂肪酸含有量が5乃至
30wt%である」こと、「前記不飽和脂肪酸が、アク
リル酸、メタクリル酸である」こと、「前記表面部材
が、前記封止材と接する面が易接着処理された樹脂フィ
ルムである」こと、「前記易接着処理が、プラズマ処理
またはコロナ処理である」こと、を含むものである。
【0018】
【発明の実施の形態】図1に本発明の太陽電池モジュー
ルの概略構成図の一例を示す。図1に於いて、101は
光起電力素子群、102は表面封止材、103は表面部
材であるところのフィルム、104は裏面封止材、10
5は裏面絶縁材、106は裏面部材である。
【0019】外部からの光は、最表面のフィルム103
から入射し、光起電力素子101に到達し、生じた起電
力は出力端子(不図示)より外部に取り出される。
【0020】本発明に於ける光起電力素子群101は、
従来公知の光起電力素子が適宜用いられる。
【0021】裏面絶縁材105は光起電力素子群101
の凹凸を被覆し、光起電力素子群101の導電性基体
(不図示)と太陽電池モジュール外部との電気的絶縁を
保つために必要である。裏面絶縁材105の材料として
は、導電性基体と充分な電気絶縁性を確保でき、しかも
長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性
を兼ね備えた材料が好ましく、例えばナイロン、ポリエ
チレンテレフタレート等からなるフィルムが好適に用い
られる。
【0022】裏面封止材104は光起電力素子群101
の導電性基板と裏面絶縁材105、及び裏面絶縁材10
5と裏面部材106との接着を図るためのものである。
裏面封止材104の材料としては、導電性基板と充分な
接着性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱
収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好まし
く、例えばEVA、ポリビニルブチラール等のホットメ
ルト材、両面テープ、柔軟性を有するエポキシ接着剤が
好適に用いられる。この裏面封止材104は表面封止材
102と同じ材料であることも多い。
【0023】裏面部材106は、太陽電池モジュールの
機械的強度を増すために、あるいは、温度変化による
歪、反りを防止するために、補強板を張り付けても良
い。例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊
維強化プラスチック)板が好ましい。
【0024】次に本発明に用いられる表面封止材102
について以下に詳しく説明する。
【0025】表面封止材102としては、太陽電池が使
用される厳しい環境下においても光起電力素子101、
表面部材103、裏面部材106をクリープさせないた
めに、10gf荷重での針入ピーク温度が75℃乃至1
10℃である非架橋樹脂を用いる。
【0026】図3に示すように、10gf荷重での針入
ピーク温度が75℃より低い場合、樹脂自体の耐熱性が
低下し所望の耐クリープ性が得られない。また、図4に
示すように10gf荷重での針入ピーク温度が110℃
より高い場合、光透過率が低くなり太陽電池素子への入
射光が減少してしまい製造工程での発電効率低下の原因
となる。
【0027】表面封止材102は光起電力素子の凹凸を
樹脂で被覆し、外部環境から素子を保護するために必要
である。また、表面部材103を光起電力素子群101
および裏面部材106に接着する役割も果たす。したが
って、硬度、接着性が要求される。また、光起電力素子
表面の凹凸を充填するために、太陽電池モジュールの製
造工程において、流動性を有することが必要である。こ
れらの要求を満たすものとして、例えばエチレンと不飽
和脂肪酸の共重合体が挙げられる。
【0028】分子構造内に極性基を持つ不飽和脂肪酸を
含有する樹脂は、隣接する部材と良好な接着性を有す
る。具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体(EA
A)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)が
挙げられる。これらの樹脂で上記針入温度が75℃乃至
110℃となるためにはこれらに含まれるアクリル酸、
またはメタクリル酸等の不飽和脂肪酸の含有量は5乃至
30wt%であることが望ましく、7乃至25wt%で
あることがより好ましい。不飽和脂肪酸の含有量が5w
t%より少ない場合、結晶性の高いエチレンの影響が大
きくなり透過率が低くなり太陽電池素子への入射光が減
少する傾向がある。また、不飽和脂肪酸の含有量が30
wt%より大きい場合、樹脂自体の耐熱性が低下し所望
の耐クリープ性が得にくくなる。
【0029】表面封止材樹脂には高温下での安定性をさ
らに向上させるために熱酸化防止剤を添加することがし
ばしば行われる。熱酸化防止剤の添加量は樹脂100重
量部に対して0.1〜1重量部が適正である。酸化防止
剤の化学構造としてはモノフェノール系、ビスフェノー
ル系、高分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系が好適に
用いられる。
【0030】更に、表面封止材102の光劣化を抑え耐
候性を向上させるために、紫外線吸収剤を添加すること
が望ましい。紫外線吸収剤の添加量は樹脂100重量部
に対して0.1〜0.5重量部程度である。紫外線吸収
剤としては、公知の化合物が用いられる。
【0031】上記紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する
方法としては、ヒンダードアミン系光安定化剤を使用で
きることが知られている。ヒンダードアミン系光安定化
剤は紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫
外線吸収剤を併用することによって著しい相乗効果を示
す。かかる光安定化剤の添加量は樹脂100重量部に対
して0.1〜0.3重量部程度が一般的である。もちろ
んヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能す
るものはあるが、着色している場合が多く本発明の充填
材には望ましくない。
【0032】なお、太陽電池モジュールの使用環境を考
慮して低揮発性の紫外線吸収剤、光安定化剤および熱酸
化防止剤を用いることが好ましい。
【0033】一方、光起電力素子に到達する光量の減少
をなるべく抑えるために、表面封止材樹脂102の光透
過率は、400nm以上800nm以下の可視光波長領
域において80%以上であることが望ましく、90%以
上であることがより望ましい。また、大気からの光の入
射を容易にするために、屈折率が1.1乃至2.0であ
ることが好ましく、1.1乃至1.6であることがより
好ましい。
【0034】表面部材103は太陽電池モジュールの最
表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械
強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露に
おける長期信頼性を確保するための性能が必要である。
本発明に好適に用いられる表面部材103の材料として
は、フッ素樹脂、アクリル樹脂等からなる樹脂フイルム
の他、ガラス基板などが挙げられる。
【0035】表面部材103の樹脂材料としては特に耐
侯性の良いフッ素樹脂が好適に用いられる。具体的に
は、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETF
E)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビ
ニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂
(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共
重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(C
TFE)がある。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデ
ン樹脂が優れているが、耐候性および機械的強度の両立
では四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れてい
る。また、前記封止材樹脂との接着性の改良のために、
コロナ処理、プラズマ処理を表面フィルムに行うことが
望ましい。また、機械的強度向上のために延伸処理が施
してあるフィルムを用いることも可能である。
【0036】表面部材103として用いられるガラス基
板に求められる特徴としては、波長350乃至1400
nmの光の全光線透過率が80%以上であることが好ま
しく、より好ましくは90%以上である。かかるガラス
基板としては赤外部の吸収の少ない白板ガラスを使用す
るのが一般的であるが、青板ガラスであっても厚さが3
mm以下であれば太陽電池モジュールの出力特性への影
響は少ない。また、ガラス基板の機械的強度を高めるた
めに熱処理により強化ガラスを得ることができるが、熱
処理無しのフロート板ガラスを用いてもよい。また、ガ
ラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコ
ーティングをしても良い。
【0037】本発明の太陽電池モジュールは、図1に示
すように、裏面部材106、裏面封止材104、裏面絶
縁材105、裏面封止材104、次いで光起電力素子群
101を受光面が上を向くように積層し、更に表面封止
材102、表面部材103を順次積層してラミネーショ
ン積層体を作製し、従来公知な真空ラミネーション装置
を用いて加熱圧着を行なうことによって作製することが
できる。
【0038】以上説明した構成の本発明の太陽電池モジ
ュールでは、以下の効果が期待できる。
【0039】(1)耐クリープ性に優れた太陽電池モジ
ュール 10gf荷重での針入ピーク温度が75℃以上である非
架橋樹脂を太陽電池の封止材に用いることにより、封止
材を架橋することなく架橋EVAと同等な耐熱性、耐ク
リープ性を付与でき、屋根などに傾斜をつけて太陽電池
モジュールを設置しても、封止材がクリープすることな
く従来の架橋したEVAと同等に接着剤として十分に機
能できる。また、上記針入ピーク温度を110℃以下と
することで封止材の透明性を損なうことなく耐クリープ
性を付与することが出来る。
【0040】(2)耐候性に優れた太陽電池モジュール 透明有機樹脂の架橋には、一般的には有機過酸化物やイ
ソシアネートによる架橋が行なわれる。しかし、樹脂中
に残存する有機過酸化物は樹脂自体や耐侯性を向上させ
るために添加した酸化防止剤を分解する。また、イソシ
アネートで架橋した場合、架橋点となるイソシアネート
結合が耐候性が低く分解されやすい。これらの結果とし
て太陽電池モジュールの耐候性を低下させる恐れがあ
る。これに対して、10gf荷重での針入ピーク温度が
75℃以上である非架橋樹脂を封止材とすれば、架橋す
る必要がないため上記のような問題のない耐候性に優れ
た被覆となる。
【0041】(3)生産性に優れた低コストな太陽電池
モジュール 10gf荷重での針入ピーク温度が75℃以上である非
架橋樹脂を太陽電池の封止材に用いるため、封止材に耐
熱性、耐クリープ性を付与するために架橋する必要がな
い。そのため、従来架橋させるために必要であった時間
を削減することができる。
【0042】(4)外観の良好な太陽電池モジュール 有機過酸化物を含有しないため、ラミネーション時にそ
れらの分解ガスによる気泡残りがない良好な外観が得ら
れる。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】(実施例1)従来公知の光起電力素子を直
列および/または並列化した光起電力素子群をラミネー
トすることにより太陽電池モジュールを作製した。以
下、図2を用いて本実施例のラミネート工程を説明す
る。
【0045】〔ラミネート工程〕一重真空方式のラミネ
ート装置のプレート210上に、裏面材206としてガ
ルバリウム鋼板(厚み0.4mm)、裏面封止材204
としてEMAAシート(厚み225μm)、裏面絶縁材
205としてポリエチレンテレフタレート(厚み100
μm)、前述の裏面封止材204、次いで光起電力素子
群201を受光面が上を向くように積層し、更に表面封
止材202としてEMAAシート(厚み460μm)、
表面部材203としてETFEフィルム(厚み50μ
m)を順次積層し、ラミネーション積層体を作製した。
【0046】なお、封止材として用いたEMAAシート
は、EMAA樹脂(メタアクリル酸含有率15%)10
0重量部に対して紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−
4−n−オクトキシベンゾフェノン0.3重量部、光安
定化剤としてビス(2,2,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)セバケート0.1重量部、酸化防止剤として
トリス(モノ−ノニルフェニル)フォスファイト0.2
重量部を配合したものである。
【0047】次に、上記ラミネーション積層体の上にテ
フロンコートファイバーシート211(厚み0.2m
m)、シリコンラバーシート212(厚み2.3mm)
を重ねた。
【0048】次いで、真空ポンプを用いてプレート21
0の周縁に設けたパイプ213を介して内部の真空度を
2.8×102Paで30分間排気した。なお、圧着時
の加熱温度及び加熱時間が十分となるよう、予め175
℃雰囲気に加熱したオーブン中に真空ポンプで排気した
まま投入し、35分間保持した後取り出し冷却した。
【0049】以上の工程により、本実施例の太陽電池モ
ジュールを得た。
【0050】(実施例2)実施例1に於いて、表面封止
材としてEMAA樹脂シート(メタクリル酸含有率7
%、厚み460μm)を用いた以外は全く同様にして太
陽電池モジュールを作製した。
【0051】(実施例3)実施例1に於いて、表面封止
材としてEMAA樹脂シート(メタクリル酸含有率25
%、厚み460μm)を用いた以外は全く同様にして太
陽電池モジュールを作製した。
【0052】(実施例4)実施例1に於いて、表面部材
として白板ガラス(厚さ3mm)を用いた以外は全く同
様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0053】(実施例5)実施例1に於いて、表面封止
材としてEAA樹脂シート(アクリル酸含有率15%、
厚み460μm)、裏面封止材としてEAA樹脂シート
(アクリル酸含有率15%、厚み230μm)を用いた
以外は全く同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0054】(比較例1)図7を用いて、比較例1を説
明する。
【0055】一重真空方式のラミネート装置のプレート
710上に裏面材706としてガルバリウム鋼板(厚み
0.4mm)、裏面封止材704としてEMAシート
(厚み225μm)、裏面絶縁材705としてポリエチ
レンテレフタレート(厚み100μm)、前述の裏面封
止材704、次いで光起電力素子群701を受光面が上
を向くように積層し、更に表面保護強化材707として
ガラス繊維不織布(坪量80g/m2)、表面封止材7
02としてEVAシート(厚み460μm)、表面部材
703としてETFEフイルム(厚み50μm)を順次
積層し、ラミネーション積層体を作製した。
【0056】ここで用いたEVAシートは太陽電池の封
止材として広く用いられているものであり、EVA樹脂
(酢酸ビニル含有率33%)100重量部に対して架橋
剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサン1.5重量部、紫外線吸収剤とし
て2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
0.3重量部、光安定化剤としてビス(2,2,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケート0.1重量
部、酸化防止剤としてトリス(モノ−ノニルフェニル)
フォスファイト0.2重量部を配合したものである。
【0057】次に、上記ラミネーション積層体の上にテ
フロンコートファイバーシート711(厚み0.2m
m)、シリコンラバーシート712(厚み2.3mm)
を重ねた。
【0058】次いで、真空ポンプを用いて内部の真空度
を2.8×102Paで30分間排気した。なお、圧着
時の加熱温度及び加熱時間が十分となるよう、予め16
0℃雰囲気に加熱したオーブン中に真空ポンプで排気し
たまま投入し、50分間保持した後取り出し冷却した。
【0059】(比較例2)比較例1に於いて表面保護強
化材を設けない以外は全く同様にして太陽電池モジュー
ルを得た。
【0060】(比較例3)比較例2に於いて架橋剤を添
加していないEVAを用い、ラミネーションの加熱条件
を175℃30分とした以外は全く同様にして太陽電池
モジュールを得た。
【0061】[評価方法]上記実施例及び比較例で作製
した太陽電池モジュールについて以下の項目について評
価を行った。
【0062】(1)針入ピーク温度測定 実施例および比較例で用いた封止材樹脂をそれぞれ上記
ラミネーション工程に記したラミネーション条件で加熱
する。具体的には、TMA装置(セイコーインスツルメ
ント製)を用いて、以下の条件で加熱し、測定した。 試料として、封止材シート(厚さ460μm)を用意
する。 圧子(直径1.0mm)に10gfの力を加え、試料
の中央に静かに置く。 温度を毎分5℃で上昇させる。 圧子の侵入が完了するまで行なう。 圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分
を高温側に延長し、針入速度が最大となる部分の接線を
低温側へ延長し、交点を針入ピーク温度とした。針入ピ
ーク温度が2つ以上ある場合、針入速度が大きい側の温
度を示した。
【0063】(2)初期外観 得られた太陽電池モジュールの初期外観を評価した。評
価結果は以下の基準で表1に示す。 ○:表面被覆の剥離、気泡残りが全くないもの。 ×:表面被覆の剥離、気泡残りが生じたもの。
【0064】(3)初期変換効率 得られた太陽電池モジュールについて、AM1.5のグ
ローバルの太陽光スペクトルで100mW/cm2の光
量の擬似太陽光光源を用いて電流−電圧特性を測定し、
変換効率を求めた。
【0065】(4)耐クリープ試験 太陽電池モジュールを95℃のオーブン中に垂直に立て
2週間保存した。充填材がクリープあるいは剥離してい
るか否か観察した。評価結果は以下の基準で表1に示
す。 ○:表面被覆のクリープあるいは剥離のないもの。 ×:表面被覆のクリープあるいは剥離が生じたもの。
【0066】(5)耐候性 超エネルギー照射試験機に太陽電池モジュールを投入
し、メタルハライドランプによる100mW/cm2
強度での300nm〜400nmの波長域の紫外線の照
射と結露を繰り返すデューサイクル試験を行い、500
0時間後の外観上の変化をみた。評価結果は以下の基準
で表1に示す。 ○:太陽電池モジュール表面に白化がないもの。 △:太陽電池モジュール表面に僅かに白化が生じ、実使
用上問題なし。 ×:太陽電池モジュール表面に白化が生じ、実使用上問
題あり。
【0067】(6)スクラッチ試験 この試験は、図5に示したように鋼鉄性の刃を持った試
験機502を速度152.4mm/秒で、約907g
(21bs)の荷重を加えながら太陽電池501表面を
動かすものである。この試験の合格判定は、その後に高
圧絶縁破壊試験を行い、その太陽電池モジュールにリー
ク電流がなければ合格とされる。太陽電池モジュールの
最も封止材の薄くなる部分に対して引っかき試験した。
【0068】以下に高圧絶縁破壊試験について説明す
る。まず、引っかき試験を行った太陽電池モジュールの
正極と負極を短絡する。そのサンプルを電気伝導度を3
500ohm・cm以下の溶液に浸す。その際サンプル
の出力端子は溶液に浸さないようにする。そして、刃で
引っかいたところを10秒程前記溶液でこすり溶液側に
電源の負極をつけ、サンプルの出力端子に電源の正極を
つなぐ。電源より2200Vの電圧をかけ50μA未満
の電流しか流れなかった場合を合格とする。表1には合
格した場合を○、不合格を×とした。
【0069】
【表1】
【0070】表1から明らかなように、初期変換効率に
関しては、EMAA樹脂ではいずれもEVAと同等の効
率が得られており、封止材樹脂の透明性には何等問題は
なかった。
【0071】また、実施例の何れのEMAA樹脂で表面
を被覆した太陽電池モジュールも、クリープによる部材
間のずれなどの外観の変化は全く認められず、比較例1
の架橋したEVAと同等の耐クリープ性を示した。対し
て、針入ピーク温度の低い非架橋のEVAを用いた比較
例3では、封止材がクリープを引き起こし、表面部材と
裏面部材が大きくずれてしまい屋根材として使用するこ
とが難しい。
【0072】耐侯性においても、EMAA樹脂は架橋を
施したEVAに比べ良好なモジュールを得ることがで
き、製造時間を短縮し生産性を向上させた太陽電池モジ
ュールを得ることが出来る。
【0073】スクラッチ試験においても、10gf針入
ピーク温度が75℃以上の封止材料では強度も十分であ
りガラス繊維不織布などの保護強化材を設けなくても十
分の素子保護能力があることが確認された。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば生
産性、耐クリープ性、耐候性に優れる太陽電池モジュー
ルが実現される。また、本発明の太陽電池モジュールを
用いることにより信頼性・耐久性に優れる建材(建材一
体型太陽電池モジュール)および太陽光発電装置が実現
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した太陽電池モジュールの概略断
面図の一例である。
【図2】本発明で実施したラミネーション工程の積層図
の一例である。
【図3】樹脂の針入ピーク温度と95℃クリープ量の関
係図である。
【図4】樹脂の針入ピーク温度とラミネーション前後で
の太陽電池モジュールの出力特性の関係図である。
【図5】本発明の評価で用いたスクラッチ試験の概要図
である。
【図6】従来の太陽電池モジュールの一例を示す概略断
面図である。
【図7】比較例1を実施した太陽電池モジュールの概略
断面図の一例である。
【符号の説明】
101、201、601、701 光起電力素子 102、202、602、702 表面封止材 103、203、603、703 表面部材 104、204、604、704 裏面封止材 105、205、605、705 裏面絶縁材 106、206、606、706 裏面部材 210、710 ラミネーション装置のプレート治具 211、711 テフロンコートファイバーシート 212、712 シリコンラバーシート 213、713 プレート治具210上の吸引用パイプ 707 表面保護強化材
フロントページの続き (72)発明者 善光 秀聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山田 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB081 BG011 GJ02 GQ05 5F051 BA03 BA14 BA17 BA18 JA04 JA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光起電力素子の受光面側に、少なくとも
    封止材及び表面部材を有する太陽電池モジュールにおい
    て、前記封止材が、10gf荷重での針入ピーク温度が
    75℃乃至110℃である非架橋樹脂であることを特徴
    とする太陽電池モジュール。
  2. 【請求項2】 前記封止材が、少なくとも不飽和脂肪酸
    を構成要素とする共重合体であることを特徴とする請求
    項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 前記封止材が、少なくともエチレンと不
    飽和脂肪酸を構成要素とする共重合体であることを特徴
    とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  4. 【請求項4】 前記封止材の不飽和脂肪酸含有量が5乃
    至30wt%であることを特徴とする請求項2または3
    に記載の太陽電池モジュール。
  5. 【請求項5】 前記不飽和脂肪酸が、アクリル酸、メタ
    クリル酸であることを特徴とする請求項2乃至4のいず
    れかに記載の太陽電池モジュール。
  6. 【請求項6】 前記表面部材が、前記封止材と接する面
    が易接着処理された樹脂フィルムであることを特徴とす
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽電池モジュー
    ル。
  7. 【請求項7】 前記易接着処理が、プラズマ処理または
    コロナ処理であることを特徴とする請求項6に記載の太
    陽電池モジュール。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の太陽
    電池モジュールの非受光面側に補強板を有することを特
    徴とする建材。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至7のいずれかに記載の太陽
    電池モジュールと該太陽電池モジュールに接続された電
    力変換装置とを有することを特徴とする太陽光発電装
    置。
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