JP2001067823A - 圧電アクチュエータ及びその製造方法及び磁気ディスク装置 - Google Patents

圧電アクチュエータ及びその製造方法及び磁気ディスク装置

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JP2001067823A
JP2001067823A JP24638899A JP24638899A JP2001067823A JP 2001067823 A JP2001067823 A JP 2001067823A JP 24638899 A JP24638899 A JP 24638899A JP 24638899 A JP24638899 A JP 24638899A JP 2001067823 A JP2001067823 A JP 2001067823A
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piezoelectric
layer
piezoelectric actuator
electrode
ptc thermistor
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Kazuaki Kurihara
和明 栗原
Masao Kondo
正雄 近藤
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は圧電アクチュエータの多層化及び低
電圧化を図ることを課題とする。 【解決手段】 圧電アクチュエータ16は、複数の圧電
層22がPTCサーミスタ層23及び絶縁層24を介し
て積層された構成となっている。絶縁層24をはさんで
形成されるPTCサーミスタ層23は、温度上昇により
抵抗を増大させる特性を有している。従って、PTCサ
ーミスタ層23は、常温では抵抗が小さい電極として機
能し、圧電アクチュエータ16の製造工程の分極化処理
においては温度上昇に伴って抵抗が増大して通電されな
い状態に変化する。よって、PTCサーミスタ層23
(231 〜236 )及び圧電層22(221 〜224
が積層されたまま圧電層22(221 〜224 )に分極
化処理を施すことができる。そのため、圧電アクチュエ
ータ16の多層化が可能になり、低電圧化を実現でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電圧の印加により剪
断変形する圧電材を用いた圧電アクチュエータ及びその
製造方法及び磁気ディスク装置に関する。例えば磁気デ
ィスク装置においては、磁気ディスクの記録容量の増大
を図るため、磁気ヘッドによる磁気記録方式の高密度記
録化が促進されている。これに伴って、記録ビットの微
細化、ディスク回転速度の増加が進められると共に、磁
気ヘッドをシーク動作させるアクチュエータにも位置決
めの高精度化及び高速化が要求されている。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気ディスク装置においては、磁
気ヘッドを支持するヘッドアームが電磁型のアクチュエ
ータにより駆動され、磁気ヘッドを磁気ディスクの半径
方向に回動させる構成が採用されている。近年、磁気デ
ィスクの高密度記録化が進むと共に、ヘッドアームの先
端に磁気ヘッドを微小変位させる微動アームを取り付
け、ヘッドアームを回動させる電磁アクチュエータと微
動アームを揺動させる微動アクチュエータとを組み合わ
せた2段式アクチュエータが用いられている。
【0003】また、磁気ディスク装置の小型軽量化、省
電力化に伴って微動アクチュエータに対しても小型化及
び省電圧化が要求されている。そこで、電磁アクチュエ
ータよりも小型化に有利な圧電素子からなる圧電アクチ
ュエータを微動アクチュエータとして採用する研究開発
が進められている。この圧電アクチュエータでは、ヘッ
ドアームの先端と微動アームの基端との間で微動アーム
を揺動させる駆動力を発生させるため、電圧が印加され
ると剪断変形するように形成された圧電体が用いられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、圧電アクチ
ュエータは、分極化処理を行うことにより圧電体の極性
を任意の方向に規定することが可能になるため、剪断モ
ードの圧電アクチュエータでは、製造工程において、分
極方向と直交する面に分極用電極を形成して過大な電圧
を印加する必要がある。
【0005】しかしながら、圧電体が積層構造となって
いると、各圧電層と平行となる各圧電層間に内部電極を
形成する必要があるため、この分極化を行う際に分極用
電極間が内部電極ににより導通されてしまい分極化処理
が行えない。そのため、剪断モードの圧電アクチュエー
タの製造工程では、単層の圧電体しか分極処理を行うこ
とができなかった。
【0006】よって、従来の圧電アクチュエータでは、
剪断変形による変位量を増大しようとすると、駆動電圧
が高くなり、低電圧化を図ることが困難であった。本発
明は上記の点に鑑みてなされたものであり、圧電体の積
層化を可能にして低電圧化を図かれるようにした圧電ア
クチュエータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では下記の種々の手段を講じた事を特徴とす
るものである。第一の発明では、電圧の印加により剪断
変形する圧電材の表面に物理的な環境変化に応じて抵抗
が増大する可変抵抗電極を形成したことを特徴とする圧
電アクチュエータ。
【0008】また、第二の発明では、電圧が印加される
と共に剪断変形を行う圧電アクチュエータの製造方法に
おいて、圧電材に物理的な環境変化により抵抗が増大す
る可変抵抗電極を形成する工程と、前記圧電材の分極方
向の両端部に分極用電極を形成する工程と、前記可変抵
抗電極が抵抗値を増大させる環境下で前記分極用電極を
用いて前記圧電材に分極化処理を行う工程と、前記分極
用電極を除去する工程と、を有することを特徴とする圧
電アクチュエータの製造方法である。
【0009】上記した各手段は、下記のように作用す
る。上記第一の発明によれば、電圧の印加により剪断変
形する圧電材の表面に物理的な環境変化に応じて抵抗が
増大する可変抵抗電極を形成したため、圧電材の分極化
処理を行う際に可変抵抗電極の抵抗を増大させることが
可能になり、これにより、圧電材を多層化すると共に可
変抵抗電極を各圧電層間に介在させた状態で分極化する
ことが可能になる。
【0010】また、上記構成において、可変抵抗電極が
温度上昇により抵抗が増大する正特性サーミスタよりな
るものとすれば、圧電材の分極化処理を行う際に温度を
上げることにより可変抵抗電極の抵抗を増大させること
が可能になり、これにより、圧電材を多層化すると共に
可変抵抗電極を各圧電層間に介在させた状態で分極化す
ることが可能になる。
【0011】また、上記構成において、可変抵抗電極の
変態点が圧電材の変態点より低くすれば、圧電材に影響
しない温度で可変抵抗電極の抵抗を増大させることがで
き、これにより、圧電材を多層化すると共に可変抵抗電
極を各圧電層間に介在させた状態で分極化することが可
能になる。また、上記構成において、圧電材を複数層に
積層すると共に、少なくとも一対の圧電材間に可変抵抗
電極を介在させれば、圧電材を複数層に積層した状態で
分極化することが可能になる。
【0012】また、上記構成において、圧電アクチュエ
ータを用いて磁気ヘッドの位置決めを行うようにすれ
ば、磁気ヘッドの位置決め精度を高めることができ、高
密度記録及び磁気ヘッドの位置決めの高速化にも対応す
ることができる。また、第二の発明によれば、圧電材に
物理的な環境変化により抵抗が増大する可変抵抗電極を
形成する工程と、圧電材の分極方向の両端部に分極用電
極を形成する工程と、可変抵抗電極が抵抗値を増大させ
る環境下で分極用電極を用いて圧電材に分極化処理を行
う工程と、分極用電極を除去する工程とを有する製造方
法により圧電材を複数層に積層した状態で分極化された
圧電アクチュエータを得ることができる。
【0013】また、上記製造方法において、圧電材に可
変抵抗電極を形成する際、可変抵抗電極と圧電材が層状
構造をなすよう積層すれば、圧電材を複数層に積層した
状態で分極化された圧電アクチュエータを得ることがで
きる。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。図1は本発明の一実施例である
圧電アクチュエータが適用された磁気ディスク装置の構
成を示す斜視図である。図1に示されるように、磁気デ
ィスク装置11は、磁気ヘッド12を磁気ディスク13
の半径方向に移動させるヘッドアーム駆動機構14を有
する。このヘッドアーム駆動機構14は、磁気ヘッド1
2を支持する微動アーム15と、微動アーム15を駆動
する一対の圧電アクチュエータ16と、微動アーム15
を支持するベースアーム17と、ベースアーム17を駆
動する電磁アクチュエータ18とからなる。ベースアー
ム17は、磁気ディスク装置11のシャーシ(図示せ
ず)に回動可能に支持されており、電磁アクチュエータ
18の駆動力により所定角度回動する。
【0015】また、圧電アクチュエータ16は、ベース
アーム17の先端17aと微動アーム15の基端15a
との間に介在しており、後述するように電圧が印加され
ると剪断変形を生じて微動アーム15を微小変位させ
る。尚、微動アーム15は、基端15aがベースアーム
17の先端17aに起立する軸20により揺動可能に支
持されている。
【0016】磁気ヘッド12は、例えばMR(magnetor
esistive) ヘッド又はGMR(giantmagnetoresistive)
からなり、高速回転する磁気ディスク13の対し微小な
浮上量(例えば20〜50nm程度)で近接した状態で
磁気記録再生を行う。図2は微動アーム15、圧電アク
チュエータ16、ベースアーム17の配置の一例を部分
的に示す平面図である。また、図3は微動アーム15、
圧電アクチュエータ16、ベースアーム17の配置の一
例を部分的に示す側面図である。
【0017】図2及び図3に示されるように、一対の圧
電アクチュエータ16は、ベースアーム17の先端17
aと微動アーム15の基端15aとの間で平行に配置さ
れた状態で上下面を接着により固定されている。一対の
圧電アクチュエータ16(16A,16B)は、電圧が
印加されると一方の圧電アクチュエータ16AがA方向
に剪断変形し、他方の圧電アクチュエータ16BがB方
向に剪断変形するように設けられている。また、一方の
圧電アクチュエータ16Aは、逆極性の電圧が印加され
ると、B方向に剪断変形し、他方がA方向に剪断変形す
る。
【0018】図4は圧電アクチュエータ16の積層構造
を拡大して示す縦断面図である。図4に示されるよう
に、圧電アクチュエータ16は、複数の圧電層22がP
TC(positive temperature coefficient)サーミスタ
層(可変抵抗電極層)23及び絶縁層24を介して積層
されてなる構成となっている。尚、図4では4層の圧電
層22(221 〜224 )が積層される構成を一例とし
て説明する。
【0019】各圧電層22(221 〜224 )間の位置
する上下面には、PTCサーミスタ層23(231 〜2
6 )が形成されている。また、各圧電層22(221
〜224 )のうち最上段の上面及び最下段の下面には、
表面電極層25が形成されている。そして、PTCサー
ミスタ層23(231 〜236 )のうち互いに対向する
PTCサーミスタ層231 ,232 間、PTCサーミス
タ層233 ,234 間、PTCサーミスタ層235 ,2
6 間には、絶縁層24(241 〜243 )が介在して
いる。
【0020】PTCサーミスタは、正特性サーミスタと
も呼ばれており、温度上昇により抵抗を増大させる特性
を有している。従って、PTCサーミスタ層23(23
1 〜236 )は、常温では抵抗が小さい電極として機能
し、後述するように圧電アクチュエータ16の製造工程
の分極化処理においては温度上昇に伴って抵抗が増大し
て通電されない状態に変化する。
【0021】また、圧電層22(221 〜224 )は、
分極化処理により矢印で示すA方向が分極方向になって
いる。この分極方向とは、PTCサーミスタ層23(2
1〜236 )及び表面電極層25に電圧が印加された
場合に剪断変形を発生する方向であり、後述する分極化
処理によって規定される。また、PTCサーミスタ層2
3は、キュリー点(およそ150°C)を境に高温側で
低抗率が急激に高くなる性質を有している。そのため、
分極用の側面電極を形成した後、PTCサーミスタ層2
3のキュリー点以上に温度を上げることでPTCサーミ
スタ層23(231 〜236 )が絶縁体となり、圧電層
22(22 1 〜224 )を分極化することができる。
【0022】従来は、圧電層22(221 〜224 )を
積層した状態で分極化すると、PTCサーミスタ層23
(231 〜236 )に電流が流れてしまうので圧電層2
2(221 〜224 )を分極化できず、結局、単層の圧
電層でしか分極することができないので、積層化するこ
とが難しく、アクチュエータとしての変位量を確保でき
なかった。
【0023】しかしながら、本発明の圧電アクチュエー
タ16では、PTCサーミスタ層23(231 〜2
6 )を内部電極に用いることによりPTCサーミスタ
層23(231 〜236 )が介在された積層状態のまま
圧電層22(221 〜224 )を分極することが可能と
なる。よって、本発明では、これまで不可能とされてい
た多層圧電体の分極化を可能として圧電アクチュエータ
16による磁気ヘッド12の位置決め精度を高めると共
に、磁気ヘッド12の微動制御速度を高めることができ
る。
【0024】さらに、圧電アクチュエータ16は、薄型
化と共に多層化されており、同じ電圧でも剪断変形によ
る変位量が大きく、低電圧化が図られている。図5は圧
電アクチュエータ16を駆動する構成を示す構成図であ
る。図5に示されるように、圧電アクチュエータ16の
PTCサーミスタ層23(231 〜236 )及び表面電
極層25は、夫々電圧を印加する電圧制御部26に接続
されている。この電圧制御部26は、磁気ヘッド12の
位置決め制御システムの制御量に応じた電圧をPTCサ
ーミスタ層23(231 〜236 )及び表面電極層25
に印加するように印加電圧を制御している。
【0025】例えば各圧電層22(221 〜224 )の
下面側の電極が+、各圧電層22(221 〜224 )の
下面側の電極が−となるように電圧を印加すると、各圧
電層22(221 〜224 )はA方向に剪断変形する。
また、これと逆極性の電圧を印加すると、各圧電層22
(221 〜224 )はB方向に剪断変形する。圧電アク
チュエータ16は、印加電圧の大きさに応じて各圧電層
22(221〜224 )が分極方向に剪断変形するた
め、図5中破線で示すように分極方向に階段状に変位す
る。そのため、圧電アクチュエータ16では、上段の圧
電層22の剪断変形に下段の圧電層22に剪断変形が加
算され、最上段の圧電層221 が最も大きく変位する。
【0026】このように、複数の圧電層22(221
224 )が積層された圧電アクチュエータ16では、同
じ電圧が印加されても単層のものよりも大きい変位量を
発生することができる。尚、PTCサーミスタ層23
(231 〜236 )は、キュリー点(変態点)がアクチ
ュエータとしての使用温度より高く、圧電層22(22
1 〜224 )のキュリー点(変態点)より低くなくては
ならず、例えば50°C〜500°C、好ましくは10
0°C〜300°Cが適している、そのため、PTCサ
ーミスタ材としては、上記温度範囲100°C〜300
°Cにキュリー点を持ち、抵抗の変化率が大きい材料で
ある必要があり、一例としてはチタン酸バリウム(Ba
TiO3 )系などが適している、また、圧電層22(2
1 〜224 )に用いられる圧電材料としては、100
°C以上にキュリー点(変態点)があり、圧電定数が大
きく、分極の劣化が起こりにくいハード材が好適であ
り、一例としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の圧
電材等が適している。また、その他の圧電材料として
は、例えば上記PTCサーミスタ材と同系のチタン酸バ
リウム(BaTiO3 )系の圧電材等を用いることがで
きる。
【0027】また、PTCサーミスタ層23(231
236 )間の絶縁を行う絶縁層24(241 〜243
の材料としては、上記チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)
系でも良い。尚、絶縁層24(241 〜243 )に用い
る絶縁材としては、隣接するPTCサーミスタ、圧電層
の焼成温度で一体焼成できるように、この焼成温度での
耐熱性を持つ材料であれば良いので、例えばアルミナ
(酸化アルミニウム、Al2 2 )、シリカ(酸化ケイ
素、SiO)、ムライト(3Al2 2 ・2Si
2 )、ガラス等の材料を使用することができる。
【0028】次に、圧電アクチュエータ16の製造方法
について説明する。図6(A)〜(C)は圧電アクチュ
エータ16の製造方法の第1実施例を説明するための工
程図(その1)である。また、図7(D)〜(F)は圧
電アクチュエータ16の製造方法の第1実施例を説明す
るための工程図(その2)である。 (第1工程)図6(A)に示されるように、添加剤の制
御によりチタン酸バリウム(BaTiO3 )系材料から
なる絶縁体グリーンシート31、PTCサーミスタグリ
ーンシート32、圧電体グリーンシート33を作成す
る。そして、各圧電体グリーンシート33間に絶縁体グ
リーンシート31、PTCサーミスタグリーンシート3
2を介在させた状態で圧電体グリーンシート33を4層
に積層する。
【0029】(第2工程)図6(B)に示されるよう
に、各圧電体グリーンシート33間に絶縁体グリーンシ
ート31、PTCサーミスタグリーンシート32を介在
させた状態で圧電体グリーンシート33を4層に積層し
た状態で、高温状態にして熱間プレスを施して積層され
た各グリーンシート31〜33を一体化する。
【0030】その後、一体化された各グリーンシート3
1〜33の積層体34は、上記表面電極25が形成され
ていない。そのため、積層体34は、焼成する際に表面
電極25の酸化のおそれがないので、不活性ガスを使用
しない炉内で焼成する。このように、高温で焼き固めら
れた積層体34は、各セラミックス層が積層された状態
となる。なお、第1実施例では、圧電層22の厚さは1
00μm、PTCサーミスタ層23の厚さは10μm、
絶縁層24の厚さは10μmに形成される。
【0031】また、圧電層のキュリー点は350°C、
PTCサーミスタ層23のキュリー点は150°Cであ
る。よって、PTCサーミスタ層23のキュリー点は、
圧電層22のキュリー点よりも低い。 (第3工程)図6(C)に示されるように、第2工程で
焼成された積層体34の両側面34a,34bに分極用
電極35,36を焼き付ける。この分極用電極35,3
6は、圧電層22(221 〜224 )の両端面に接触す
るように設けられ、分極方向と直交する上下方向に延在
するように形成される。
【0032】(第4工程)図7(D)に示されるよう
に、積層体34の両側面34a,34bに分極用電極3
5,36を形成した後、積層体34の両側面34a,3
4bに形成された分極用電極35,36を高圧電源37
に接続させる。そして、積層体34は、200°Cのシ
リコンオイルバス中で2KV/mmの電界を印加して分
極化処理が行われる。
【0033】すなわち、積層体34は、PTCサーミス
タ層23のキュリー点(150°C)以上で圧電層22
のキュリー点(350°C)以下の温度範囲での高温環
境下に置いた状態で、分極用電極35,36に高電圧が
印加されて分極化処理が行われる。このように、PTC
サーミスタ層23のキュリー点以上で圧電層22のキュ
リー点以下の温度範囲においては、PTCサーミスタ層
の抵抗が増大して抵抗体となるため、分極用電極35,
36に接触する各圧電層22(221 〜224 )に分極
電圧が印加される。これにより、各圧電層22(221
〜224 )は、PTCサーミスタ層23(231 〜23
6 )を介在させた積層状態のまま分極されて剪断変形方
向が規定される。
【0034】(第5工程)図7(E)に示されるよう
に、分極が終了すると、分極用電極35,36を研磨し
て削除する。そして、積層体34の表面を洗浄する。 (第6工程)図7(F)に示されるように、積層体34
の上下面にCr/Ni/Auをスパッタ成膜して表面電
極25を形成する。その後、PTCサーミスタ層により
形成されたPTCサーミスタ層23(231 〜236
に通電用ワイヤ(図示せず)を引出し、積層体34の側
面全周を絶縁材により被覆する。これで、図4に示す圧
電アクチュエータ16が完成する。
【0035】このようにして製造された多層型の圧電ア
クチュエータ16は、同じ厚さのチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)系圧電材からなる単層のアクチュエータに比
べて同じ駆動電圧でおよそ2.5倍のヘッド移動量が得
られる。そのため、圧電アクチュエータ16は、図1に
示す磁気ディスク装置11の微動アーム15を駆動する
アクチュエータに適用されると、ヘッド移動量に対して
電圧を下げることが可能になり、低電圧化を図ることが
できる。 (第2実施例)第2実施例の製造方法は、上記図6
(A)〜(C)、図7(D)〜(F)に示す第1工程〜
第6工程と同様のため、図面は省略する。
【0036】第2実施例の製造方法では、第1工程で
図6(A)に示されるように、添加剤の制御によりチタ
ン酸バリウム(BaTiO3 )系材料からなる絶縁体グ
リーンシート31、PTCサーミスタグリーンシート3
2を作成し、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の圧電
材により圧電体グリーンシート33を作成する。そし
て、圧電層が2層となるように各グリーンシート31〜
33を積層する。
【0037】尚、第2実施例では、圧電層22の厚さは
100μm、PTCサーミスタ層23の厚さは10μ
m、絶縁層24の厚さは10μmに形成される。また、
圧電層22のキュリー点は350°C、PTCサーミス
タ層23のキュリー点は150°Cである。よって、P
TCサーミスタ層23のキュリー点は、圧電層22のキ
ュリー点よりも低い。
【0038】この後の第2工程〜第6工程は、前述した
第1実施例の場合と同様であるので、その説明は省略す
る。尚、第2実施例の製造方法により製造された多層型
の圧電アクチュエータ16は、同じ厚さとされた単層の
圧電体からなるアクチュエータに比べて同じ駆動電圧で
およそ2倍のヘッド移動量が得られる。 (第3実施例)図8は圧電アクチュエータ16の製造方
法の第3実施例を説明するための工程図である。
【0039】図8に示されるように、第3実施例の製造
方法では、チタン酸バリウム(BaTiO3 )系材料か
らなる圧電材グリーンシート33の上面にチタン酸バリ
ウム(BaTiO3 )系PTC材料からなるぺースト4
0をスクリーン印刷する。さらに、チタン酸バリウム
(BaTiO3 )系材料からなる絶縁材グリーンシート
を積層して焼成する。すなわち、圧電材グリーンシート
33の形状に対応するマスキングが施されたスクリーン
38上にチタン酸バリウム(BaTiO3 )系PTC材
料からなるぺースト40を載置し、スキージ39を平行
移動させて圧電材グリーンシート33の上面にPTCサ
ーミスタ層41を積層する。そして、積層数は、圧電層
22が2層となるように各層を積層する。
【0040】第3実施例では、圧電層22の厚さは50
μm、PTCサーミスタ層23の厚さは3μm、絶縁層
24の厚さは10μmに形成される。よって、上記第1
実施例及び第2実施例のものよりもPTCサーミスタ層
23及び圧電層22をより薄く形成することができる。
また、圧電層22のキュリー点は300°C、PTCサ
ーミスタ層23のキュリー点は150°Cである。よっ
て、PTCサーミスタ層23のキュリー点は、圧電層2
2のキュリー点よりも低い。
【0041】この後の第2工程〜第6工程は、前述した
第1実施例の場合と同様であるので、その説明は省略す
る。尚、第3実施例の製造方法により製造された多層型
の圧電アクチュエータ16は、同じ厚さとされた単層の
圧電体からなるアクチュエータに比べて同じ駆動電圧で
およそ2倍のヘッド移動量が得られる。 (第4実施例)図9(A)〜(C)は圧電アクチュエー
タ16の製造方法の第4実施例を説明するための工程図
である。
【0042】(第1工程)図9(A)に示されるよう
に、Y(イットリウム)203が添加された部分安定化
ジルコニア(PSZ)からなる絶縁層42の上下両面に
チタン酸バリウム(BaTiO3 )系PTC材からなる
PTCサーミスタ層43を積層し、さらにチタン酸バリ
ウム(BaTiO3 )系圧電材からなる圧電層44のぺ
ーストをスクリーン印刷して積層体45を形成する。そ
して、上記各層が積層された積層体45を焼成する。
【0043】尚、第4実施例では、絶縁層42の厚さは
20μm、PTCサーミスタ層43の厚さは3μm、圧
電層44の厚さは50μmに形成される。よって、上記
第1実施例及び第2実施例のものよりもPTCサーミス
タ層43及び圧電層44をより薄く形成することができ
る。また、圧電層のキュリー点は300°C、PTCサ
ーミスタ層のキュリー点は150°Cである。よって、
PTCサーミスタ層のキュリー点は、圧電層のキュリー
点よりも低い。
【0044】(第2工程)図9(B)に示されるよう
に、焼成後、外形を所定寸法に切断した後、表面研磨を
施す。そして、積層体45の両側端部分に分極用電極4
6を焼き付けた後、200°Cのシリコンオイルバス中
で2KV/mmの電界を印加して分極化処理を行う。
【0045】(第3工程)図9(C)に示されるよう
に、分極した後、前述した第1実施例と同様に洗浄処理
し、さらに積層体45の上下面にCr/Ni/Auをス
パッタ成膜して表面電極47を形成する。その後、分極
用電極46を研磨により除去し、PTCサーミスタ層4
3から通電用ワイヤを引き出す。さらに、積層体45の
側面全周を絶縁材により被覆する。
【0046】これで、圧電アクチュエータ48が得られ
る。尚、第4実施例の製造方法により製造された多層型
の圧電アクチュエータ48は、同じ厚さとされたチタン
酸ジルコン酸鉛(PZT)系の単層圧電体からなるアク
チュエータに比べて同じ駆動電圧でおよそ1.5倍のヘ
ッド移動量が得られる。
【0047】また、上記実施例では、チタン酸バリウム
(BaTiO3 )あるいはチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)により絶縁層、圧電層、PTCサーミスタ層を形成
する場合を一例として挙げたが、これに限らず、他のセ
ラッミクス材により形成するようにしても良いのは勿論
である。また、圧電材、絶縁材、及び電極は、チタン酸
バリウムを主成分とすれば、圧電材を分極化する際に高
温状態として電極の抵抗を高めることが可能になり、圧
電材を複数層に積層した状態で分極化することが可能に
なる。
【0048】また、圧電材がチタン酸ジルコン酸鉛を主
成分とすれば、圧電定数が大きく、分極の劣化が起こり
にくい。
【0049】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、下記の種々
の効果を実現することができる。上記請求項1記載の発
明によれば、圧電材の分極化処理を行う際に可変抵抗電
極の抵抗を増大させることが可能になり、これにより、
圧電材を多層化すると共に可変抵抗電極を各圧電層間に
介在させた状態で分極化することが可能になる。さら
に、圧電材の多層化が可能になることにより、印加電圧
に対する変位量を増大させることができ、これに伴って
低電圧化を促進することができる。
【0050】また、請求項2記載の発明によれば、圧電
材の分極化処理を行う際に温度を上げることにより可変
抵抗電極の抵抗を増大させることが可能になり、これに
より、圧電材を多層化すると共に可変抵抗電極を各圧電
層間に介在させた状態で分極化することが可能になる。
また、請求項3記載の発明によれば、圧電材に影響しな
い温度で可変抵抗電極の抵抗を増大させることができ、
これにより、圧電材を多層化すると共に可変抵抗電極を
各圧電層間に介在させた状態で分極化することが可能に
なる。
【0051】また、請求項4記載の発明によれば、圧電
材を複数層に積層した状態で分極化することが可能にな
る。また、請求項5記載の発明によれば、磁気ヘッドの
位置決め精度を高めることができ、高密度記録及び磁気
ヘッドの位置決めの高速化にも対応することができる。
【0052】また、請求項6記載の発明によれば、圧電
材を複数層に積層した状態で分極化された圧電アクチュ
エータを得ることができる。また、請求項7記載の発明
によれば、圧電材を複数層に積層した状態で分極化され
た圧電アクチュエータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である圧電アクチュエータが
適用された磁気ディスク装置の構成を示す斜視図であ
る。
【図2】微動アーム15、圧電アクチュエータ16、ベ
ースアーム17の配置の一例を部分的に示す平面図であ
る。
【図3】微動アーム15、圧電アクチュエータ16、ベ
ースアーム17の配置の一例を部分的に示す側面図であ
る。
【図4】圧電アクチュエータ16の積層構造を拡大して
示す縦断面図である。
【図5】圧電アクチュエータ16を駆動する構成を示す
構成図である。
【図6】圧電アクチュエータ16の製造方法の第1実施
例を説明するための工程図(その1)である。
【図7】圧電アクチュエータ16の製造方法の第1実施
例を説明するための工程図(その2)である。
【図8】圧電アクチュエータ16の製造方法の第3実施
例を説明するための工程図である。
【図9】圧電アクチュエータ16の製造方法の第4実施
例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
11 磁気ディスク装置 12 磁気ヘッド 13 磁気ディスク 14 ヘッドアーム駆動機構 15 微動アーム 16,16A,16B 圧電アクチュエータ 17 ベースアーム 18 電磁アクチュエータ 22(221 〜224 ) 圧電層 23(231 〜236 ) PTCサーミスタ層 24(241 〜243 ) 絶縁層 25 表面電極層 26 電圧制御部 31 絶縁体グリーンシート 32 PTCサーミスタグリーンシート 33 圧電体グリーンシート 34 積層体 35,36 分極用電極 37 高圧電源 38 スクリーン 39 スキージ 40 ぺースト 42 絶縁層 43 PTCサーミスタ層 44 圧電層 45 積層体 46 分極用電極 47 表面電極 48 圧電アクチュエータ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電圧の印加により剪断変形する圧電材の
    表面に物理的な環境変化に応じて抵抗が増大する可変抵
    抗電極を形成したことを特徴とする圧電アクチュエー
    タ。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の圧電アクチュエータ
    であって、 前記可変抵抗電極は、温度上昇により抵抗が増大する正
    特性サーミスタよりなることを特徴とする圧電アクチュ
    エータ。
  3. 【請求項3】 前記請求項2記載の圧電アクチュエータ
    であって、 前記可変抵抗電極の変態点が前記圧電材の変態点より低
    いことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の
    圧電アクチュエータであって、 前記圧電材を、電極を介して複数層に積層すると共に、
    少なくとも一対の前記圧電材間に介在する電極を前記可
    変抵抗電極としたことを特徴とする圧電アクチュエー
    タ。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の
    圧電アクチュエータを用いて磁気ヘッドの位置決めを行
    う構成としたことを特徴とする磁気ディスク装置。
  6. 【請求項6】 電圧が印加されると共に剪断変形を行う
    圧電アクチュエータの製造方法において、 圧電材に物理的な環境変化により抵抗が増大する可変抵
    抗電極を形成する工程と、 前記圧電材の分極方向の両端部に分極用電極を形成する
    工程と、 前記可変抵抗電極が抵抗値を増大させる環境下で前記分
    極用電極を用いて前記圧電材に分極化処理を行う工程
    と、 前記分極用電極を除去する工程と、 を有することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記請求項8記載の圧電アクチュエータ
    の製造方法であって、 前記圧電材に前記可変抵抗電極を形成する際、前記可変
    抵抗電極と前記圧電材が層状構造をなすよう積層するこ
    とを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
JP24638899A 1999-08-31 1999-08-31 圧電アクチュエータ及びその製造方法及び磁気ディスク装置 Withdrawn JP2001067823A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100351938C (zh) * 2001-11-02 2007-11-28 松下电器产业株式会社 压电体驱动元件及其制造方法
US7501740B2 (en) 2002-12-27 2009-03-10 Fujitsu Limited Microscale driving unit and recording disk drive

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