JP2001066819A - 静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001066819A
JP2001066819A JP23713799A JP23713799A JP2001066819A JP 2001066819 A JP2001066819 A JP 2001066819A JP 23713799 A JP23713799 A JP 23713799A JP 23713799 A JP23713799 A JP 23713799A JP 2001066819 A JP2001066819 A JP 2001066819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
acid
dispersion
manufactured
black toner
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23713799A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Tanaka
浩之 田中
Takashi Hara
敬 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP23713799A priority Critical patent/JP2001066819A/ja
Publication of JP2001066819A publication Critical patent/JP2001066819A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電性、環境依存性、転写性に優れ、かつ、
良好な画像を形成することが可能な静電荷像現像用黒ト
ナー、およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有
する静電荷像現像用黒トナーにおいて、静電荷像現像用
黒トナー中の残留溶媒量が1〜500ppmの範囲であ
り、静電荷像現像用黒トナーの球形化度(SF1)が1
00〜140の範囲であり、かつ、静電荷像現像用黒ト
ナーの誘電正接(tanδ)が2×10-3〜10×10
-3の範囲であることを特徴とする静電荷像現像用黒トナ
ー、およびその製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法または
静電記録法に用いられ、結着樹脂および着色剤を含有す
る静電荷像現像用トナーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては米国特許第2,29
7,691号明細書、特公昭42−23910号公報
(米国特許第3,666,363号明細書)等に記載さ
れているように、多数の方法が知られているが、一般に
は光導電性物質を利用した感光体層に種々の手段を用い
電気的な潜像を形成する露光工程、トナーを用いて現像
する工程、トナーを紙等の記録材に転写する工程、該ト
ナー画像を加熱、圧力、熱圧あるいは溶剤蒸気などによ
り記録材に定着する工程、感光体層に残存したトナーを
除去する工程といった基本工程から成り立っている。
【0003】近年、省電力や省資源のために、定着温度
の低減、電子写真工程中で感光体上から紙へ転写した後
に残る未転写トナーの量を減らすことが検討されてい
る。これらを実現する方法として、トナー材料の低溶融
化、トナーの球形化がある。電子写真用トナーの製造方
法としては、従来混練粉砕法が知られており、トナーの
配合成分を混練後に粉砕して所望の粒径のトナーを得る
のが一般的であった。しかし、混練粉砕法では工程中の
温度よりトナー材料の低溶融温度化が難しく、さらに粉
砕をおこなうためトナーの形状制御が難しいという問題
があった。
【0004】これらを解決するトナーの作製方法とし
て、特開昭50−120632号公報、特開昭63−2
5664号公報、特開平5−127422号公報、特開
平8−179556号公報のように、トナー成分を溶解
した油性成分液を水性媒体中で粒子化し、溶媒除去後粉
体化する、いわゆる液中乾燥方法や、特公昭36−10
231号公報記載のような、トナーにおける結着樹脂と
して、スチレンおよびその誘導体、α−メチレン脂肪族
モノカルボン酸エステル類を代表例とする、ラジカル重
合が可能な重合性単量体を用いた油性成分を水性媒体中
で微粒子化し、重合後粉体化する、懸濁重合法などの湿
式製法が提案されている。
【0005】これらの水性媒体中でトナー粒子を作製す
る方法(湿式製法)は、トナーの球形化が容易に達成で
きるが、着色剤の分散が難しく、着色剤の分散性が悪い
と転写性や帯電性が低下してしまう。
【0006】一方、着色剤の分散状態の指標として、誘
電損率、誘電正接(tanδ)等の誘電特性が考えられ
る。乾式製法によるトナーでは、例えば特開平9−34
159号公報では、トナーの誘電正接およびカーボンブ
ラックの粒径を規定しているが、トナー形状の制御はな
されていない。また、特開平10−319624号公報
では、湿式製法によるトナーの表面の安定剤を洗浄し、
トナーの誘電損率を下げることについて開示されている
が、特に黒トナーでは、表面の不純物以外に内部のカー
ボンブラックの分散状態についてもトナーの誘電損率に
与える影響が大きい。なお、誘電損率とは、誘電正接と
誘電率の積であり、誘電率が同じであれば誘電損率と誘
電正接とは比例する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、上記課題を解決し、帯電性、環境依存性、転写性
に優れ、かつ、良好な画像を形成することが可能な静電
荷像現像用黒トナー、およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】これらの課題に対して鋭
意検討した結果、少なくとも結着樹脂および着色剤を含
有する静電荷像現像用黒トナー(以下、単に「トナー」
という場合がある。)において、トナー中の残留溶媒量
を1〜500ppmの範囲、トナーの球形化度(SF
1)を100〜140の範囲、かつ、誘電正接(tan
δ)を2×10-3〜10×10-3の範囲にすることで、
上記問題点あるいは不都合点をもたらすことなく課題を
解決し得ることを見いだした。
【0009】これは着色剤が、カーボンブラックである
静電荷像現像用黒トナーにおいて特に有効である。
【0010】上記本発明の静電荷像現像用黒トナーに規
定される条件をクリアするためには、少なくとも、結着
樹脂および着色剤とを溶媒中に溶解もしくは分散させた
油相を、水系媒体中に分散懸濁させる工程を有するトナ
ーの製造方法において、前記工程における分散懸濁の際
の液温を0〜25℃に調整することが効果的である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を
含有する静電荷像現像用黒トナーにおいて、トナー中の
残留溶媒量が1〜500ppmの範囲であり、トナーの
球形化度(SF1)が100〜140の範囲であり、か
つ、トナーの誘電正接(tanδ)が2×10-3〜10
×10-3の範囲にある。
【0012】トナーの誘電正接(tanδ)は、さらに
望ましくは。2×10-3〜8×10 -3の範囲とすること
が好ましい。トナーの誘電正接(tanδ)の値が10
×10-3を超えると転写性および帯電性が悪くなり、特
に、高温高湿下での帯電の立ち上がりが遅くなる。一
方、トナーの誘電正接(tanδ)の値が2×10-3
満となると、トナーの帯電速度が遅くなり、かぶりなど
が生じやすくなる。
【0013】トナーの誘電正接(tanδ)は、以下の
測定方法により測定される。測定対象となるトナー5g
を圧力成型機でペレット成型(直径50mm)し、電極
(SE−71型固体用電極:安藤電気(株)製)間にセ
ットし、LCRメーター(4274A型:横河ヒューレ
ットパッカード製)にて、周波数1kHz、電圧5Vの
条件で測定する。
【0014】湿式製法によるトナーにおいては、有機溶
媒やモノマーなどがトナー中に多量に残っていると、保
存安定性やトナー特性が悪くなるため、トナー中の残留
溶媒量は、1〜500ppmの範囲とすることが好まし
く、1〜250ppmの範囲とすることがより好まし
い。残留溶媒量は、少ないほど望ましいが、トナー中か
らこれを完全に除去するのは非常に手間がかかるため、
一般に1ppm未満にするのが困難となる。
【0015】トナーの残留溶媒量は、以下の測定方法に
より測定される。測定対象となるトナー1重量部に2−
プロパノール2重量部を加え、超音波で30分分散させ
た後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、トナー中の
溶媒を抽出した。上澄み液をガスクロマトグラフィ(G
C−14A,SHIMADZU)で分析し、トナー中の
溶媒および残留モノマーを定量することにより溶媒濃度
を測定した。かかる分析時の測定条件は、以下の通りで
ある。
【0016】 装置 :島津GC−14A カラム:CBP20−M 50−0.25 検出器:FID 注入量:1〜5μl キャリアガス:He 2.5kg/cm2 水素流量:0.6kg/cm2 空気流量:0.5kg/cm2 チャートスピード:5mm/min 感度:Range101×Atten20 カラム温度:40℃ Injection Temp:150℃
【0017】本発明のトナーの形状は、転写性の観点か
ら、球形化度(SF1)が100〜140の範囲内であ
り、100〜120の範囲内であることが好ましい。本
発明においてトナーの球形化度SF1とは、ニレコ社製
画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行い、
下記式より算出して得られた値について、トナーの粒子
100個の平均値である。 SF1=100×πML2/4A ML:トナー粒子の絶対最大長) A:トナー粒子の投影面積
【0018】本発明のトナーにおける結着樹脂は、特に
制限されるものではなく、トナー用の結着樹脂として一
般に用いられる樹脂が使用できる。具体的には、ポリエ
ステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・
アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン
系樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン・酢酸ビニル樹
脂等が挙げられるが、より好ましくはポリエステル樹脂
である。
【0019】ポリエステル樹脂の重合単量体としては次
のものを挙げることができる。アルコール成分として
は、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロ
ピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,
0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチ
レン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン等のジオール、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、イソペンチルグリコール、ジプロピレング
リコール、イソペンチルグリコール、水添ビスフェノー
ルA、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、キシリレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレ
フタレート、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシ
アヌレート、2,2,4−トリメチロールペンタン−
1,3−ジオールなどがあり、更にヒドロキシカルボン
酸成分を加えることができる。
【0020】ヒドロキシカルボン酸成分の具体例として
は、例えばp−オキシ安息香酸、バニリン酸、ジメチロ
ールプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、5−ヒドロキシ
イソフタル酸等が挙げられる。酸成分の具体例として
は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジ
メチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、テレ
フタル酸モノメチルエステル、テトラヒドロテレフタル
酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル
酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンヘ
キサヒドロフタル酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ジ
フェノール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリ
メシン酸、シクロペンタンジカルボン酸、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,
3,4−ブタンテトラカルボン酸、2,2−ビス−(4
−カルボキシフェニル)プロパン、トリメリット酸無水
物と4,4−ジアミノフェニルメタンから得られるジイ
ミドカルボン酸、トリス−(β−カルボキシエチル)イ
ソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミドカ
ルボン酸、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートの三量
化反応物とトリメリット酸無水物から得られるイソシア
ネート環含有ポリイミドカルボン酸などであり、これら
の一種または二種以上が使用される。
【0021】これらのなかで三価以上の多価カルボン
酸、多価アルコールなどの架橋成分を用いると定着強
度、耐オフセット性などの安定性の点で好ましい場合が
ある。これらの原材料から得られるポリエステル樹脂は
通常の方法で製造される。ガラス転移温度(Tg)は4
0〜100℃に設定するのが都合良く、さらに好ましく
は50〜80℃である。
【0022】本発明のトナーにおける結着樹脂には、上
記ポリエステル樹脂を二種類以上組み合せてもよいし、
更に他の樹脂を組み合せても良い。他の樹脂としては、
スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹
脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フ
ェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミド樹
脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹
脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等がある。本発明におい
てはポリエステル樹脂を主成分として、その他の樹脂は
トナー中に0〜30重量部の量で添加するのが好まし
い。
【0023】本発明のトナーにおける着色剤としては、
公知の有機、もしくは、無機の顔料や染料、油溶性染料
を使用することができる。例えばランプブラック(C.
I.No.77266)、カーボンブラック、No.7
7266、アセチレンブラック、ファーネスブラック、
チャンネルブラック、アニリンブラック等を挙げること
ができる。また、カーボンブラックとしては、具体的に
は、カーボンブラック#45、#25B、#4000
(以上、三菱化学社製)、R−330、モーグルL(以
上、キャボット社製)等が挙げられる。なかでも、本発
明においては、着色剤としてカーボンブラックを用いた
場合のトナーの誘電損率を規定することで、優れたトナ
ー特性を得ることができる。
【0024】これらの着色剤は、そのまま用いても良い
が、着色剤の分散性をよくするために、表面処理を行っ
て用いても良い。上記着色剤は、充分な濃度の可視像が
形成されるに十分な割合で含有されることが必要であ
り、着色剤の含有量としては、トナー粒径や現像量に依
存するが、一般にトナー100重量部に対して1〜30
重量部程度の割合が適切である。
【0025】本発明のトナーには、ワックス等の離形剤
を加えることができる。使用できるワックスとしては、
離形性を有する材料であれば特に限定されるものではな
く、例えば、ロウ類およびワックス類としては、カルナ
バワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物
系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、
オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、およびパ
ラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石
油ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスの
外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレ
ンワックス等の合成炭化水素ワックス、12−ヒドロキ
システアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタ
ル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、エステ
ル、ケトン、エーテル等の合成ワックスも使用できる。
さらに低分子量の結晶性高分子樹脂としては、ポリ−n
−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタ
クリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは
共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチ
ルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキ
ル基を有する結晶性高分子等が挙げられる。これらのな
かで、より好ましいワックスとしては、パラフィンワッ
クス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス
あるいは合成ワックスである。これらの離形剤は、その
まま用いてもよいが、湿式造粒法の場合は、あらかじめ
媒体中で微分散させたものを用いることもできる。
【0026】本発明のトナーにおいて、ワックス等の離
形剤の融点としては、100℃以下とすることが好まし
く、60〜90℃の範囲とすることがより好ましい。こ
のように低融点の離型剤を用いることによりトナーの定
着性が良好となる。特に、トナーの製造方法として、後
述の本発明のトナーの製造方法を採用することとすれ
ば、その製造工程における分散懸濁の際の温度が抑えら
れ、低融点の離型剤を用いた場合にも製造適性の高いも
のとなる。
【0027】本発明においては、必要によりトナーに帯
電制御剤を加えてもよい。使用できる帯電制御剤として
は、粉体トナーに於て一般に使用されている、安息香酸
の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の
金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テ
トラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、
アルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる化合
物、さらにこれらの適宣組合せたものが好ましく使用で
きる。トナーに対するこれら帯電制御剤の添加量は、一
般に0〜10重量%、より好ましくは0〜8重量%の範
囲である。10重量%を越えると、トナー抵抗の過度の
低下を引き起こし使いにくくなるからである。
【0028】さらに、上記帯電制御剤と共に、帯電制御
あるいはクリーニング助剤として、金属石鹸、無機また
は有機金属塩を併用することができる。そのような金属
石鹸としては、トリステアリン酸アルミニウム、ジステ
アリン酸アルミニウム、バリウム、カルシウム、鉛およ
び亜鉛のステアリン酸塩、またはコバルト、マンガン、
鉛および亜鉛のリノレン酸塩、アルミニウム、カルシウ
ム、コバルトのオクタン酸塩、カルシウムとコバルトの
オレイン酸塩、パルミチン酸亜鉛、カルシウム、コバル
ト、マンガン、鉛および亜鉛のナフテン酸塩、カルシウ
ム、コバルト、マンガン鉛および亜鉛のレジン酸塩等を
用いることができる。また、無機または有機金属塩とし
ては、例えば金属塩中のカチオン性成分は、周期律表の
第Ia族、第IIa族、および第IIIa族の金属からなる
群より選ばれ、一方、アニオン性の成分としては、ハロ
ゲン、カーボネート、アセテート、サルフェート、ボレ
ート、ニトレート、およびフォスフェートからなる群よ
り選ばれる。
【0029】これら帯電制御あるいはクリーニング助剤
は、一般に、トナー全量に対して0〜10重量%の範囲
添加することが好ましく、より好ましくは0〜5重量%
の範囲である。10重量%を越えると、トナー粉体流動
性の低下等を引き起こし使いにくくなる場合がある。
【0030】次に、本発明のトナーの製造方法について
述べる。本発明において、トナーの製造方法としては特
に制限されるものではなく、トナー製造方法として一般
に用いられる方法が使用できる。混錬粉砕法、懸濁重
合、乳化重合、分散重合等の重合法、トナー成分を有機
溶媒中に溶解または分散した油相を水相中で懸濁造粒す
る液中乾燥法、乳化重合で得られた乳化微粒子を凝集し
て得る乳化凝集法などが挙げられる。球形化などの形状
制御が容易なことから、懸濁重合や液中乾燥法が望まし
く、さらに、カラートナー用結着樹脂として適している
ポリエステル樹脂が使用可能なこと、様々なワックスを
トナー中に含有させられること、などの点から液中乾燥
法が望ましい。また、液中乾燥法では、界面活性剤を用
いなくても粒子作製ができるため、洗浄も容易である。
【0031】液中乾燥法で、結着樹脂および着色剤を溶
媒中に溶解もしくは分散させた油相を、水系媒体中に分
散懸濁させる工程を有し、上記本発明のトナーを製造す
るためには、当該工程における分散懸濁の際の液温を0
〜25℃に調整することが効果的である。液温は分散懸
濁の際のストレスにより、一般に温度上昇が起きる。し
たがって、容器を冷却するなどして、液温を0〜25℃
に保持することが望ましい。液温が25℃を超えると、
着色剤や離形剤の分散性が悪くなる。特にカーボンブラ
ックを顔料として用いる場合に、当該分散性の低下が顕
著である。一方、液温が0℃未満となると、粒度分布が
広がってしまう。分散懸濁の際の液温としては、5〜2
0℃とすることがより好ましい。
【0032】結着樹脂および着色剤を溶媒中に溶解また
は分散させた油相を水系媒体中に分散懸濁させる装置と
しては、一般に乳化機、分散機として市販されているも
のであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウ
ルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマ
ティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業
社製)、ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業
社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製
作所社製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモ
ミックラインフロー(特殊機化工業社製)、コロイドミ
ル(日本精機社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微
粉砕機(三井三池化工機製)、キャビトロン(ユーロテ
ック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等
の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社
製)、フィルミックス(特殊機化工業社製)等のバッチ
又は連続両用乳化機、マイクロフルイダイザー(みづほ
工業社製)、ナノメーカー、ナノマイザー(ナノマイザ
ー社製)、APVゴーリン(ゴーリン社製)等の高圧乳
化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブ
ロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波
ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等
を挙げることができる。
【0033】これら液中乾燥法や、重合法、乳化凝集法
等の湿式製法では、粒径および粒径の分布を制御するた
め分散剤や分散助剤等が用いられる。たとえば、分散剤
としては、無機の炭酸カルシウム、リン酸三カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ヒドロキシアパ
タイト、珪酸ケイソウ土、粘土などの無機の分散剤や、
これら無機の分散剤と併用しても用いられる有機の分散
剤等が挙げられる。有機の分散剤としては、具体的に
は、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロ
ースのアルキルエステル、ヒドロキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等、合成高分子(ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポ
リマレイン酸塩、ポリスチレンスルフォン酸塩)等が挙
げられる。また、分散助剤として、各種界面活性剤など
が用いられる。
【0034】上記の無機分散剤としては、親水性分散剤
を用いることが好ましく、具体的には、シリカ、アルミ
ナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リ
ン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイト等を挙
げることができ、中でも、炭酸カルシウムが特に好まし
い。
【0035】さらに、本発明のトナーの湿式法による製
造方法においては、分散時の分散性およびその安定性を
より高める観点から、上記無機分散剤として、その粒子
表面にカルボキシル基等を有する重合体で被覆された無
機分散剤を用いてもよい。カルボキシル基を有する重合
体で被覆された無機分散剤を用いることにより、親油親
水バランスを最適化することができるため、水相成分と
油相成分とが安定化し、分散媒中に含有される各トナー
成分を均一に分散することができると考えられる。上記
カルボキシル基を有する重合体にアルカリ金属、アルカ
リ土類金属、アンモニウム、アミン等により処理しても
よい。
【0036】本発明のトナーの湿式法による製造方法に
おいて、各製造法に応じてトナーの分散、造粒が行われ
る。そしてトナーの分散、造粒後の液中からは、トナー
にとって不純物となる分散剤の除去が行われる。上記の
炭酸カルシウムやリン酸三カルシウム等の酸に可溶な無
機分散剤を取り除くために塩酸等の酸で溶解させる方法
が用いられる。酸処理の際のトナーの固形分比として
は、1〜50重量%が望ましい。1重量%未満では、ト
ナーに対して、多量の媒体が必要なためトナー作製効率
が大幅に低減する、一方、50重量%を超えると、酸に
よる不溶または難溶成分が析出し、トナー表面および無
機分散剤表面に付着し、これらの除去が困難になる。
【0037】酸に不溶または難溶の分散剤としては、カ
ルボン酸の塩構造を有する分散剤が挙げられる。ナトリ
ウムなどの塩の型で可溶な状態で、酸によって、難溶化
し、カルシウムイオン等によって、さらに不溶化するこ
とが考えられる。これらの難溶化物を除去するために、
水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で洗浄し、難溶化
物を可溶な状態に戻す方法が効果的である。
【0038】また、液中乾燥法では、結着樹脂および着
色剤等のトナー成分を溶媒中に溶解もしくは分散した
後、得られた組成物混合液を水系媒体中に分散懸濁させ
た後に、溶媒を除去する工程の前またはその最中に、イ
オン性物質を添加する工程を含むことが、トナー形状お
よびトナーの表面状態を制御する上で望ましい。
【0039】該イオン性物質としては、水相中へ添加し
た際に、溶解性が良好であり、解離することにより、相
対的に水相の親水性を増大させるものであればいずれで
もよく、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸
化物、炭酸塩、酢酸塩等;アンモニア;および、カルボ
キシル基、水酸基等の親水性基を有する物質;等が挙げ
られる。より具体的には、アルカリ金属の水酸化物、炭
酸塩、酢酸塩等としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウム等およびそれらの炭酸塩、酢酸
塩等が挙げられ、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、酢酸塩等としては、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム、炭酸塩、酢酸塩等等が挙げられる。かかるイ
オン性物質としては、なかでも、アンモニア(水)がよ
り好ましい。また、これらは単独で用いても2種類以上
を混合して用いてもよい。イオン性物質の添加量に関し
ては、溶媒除去前のトナー分散液100重量部に対し
て、0.05〜100mmolが望ましい。さらに望ま
しくは、0.25〜25mmolの範囲が良い。
【0040】本発明のトナーの湿式法による製造方法に
おいて、各製造法に応じてトナーの分散、造粒が行わ
れ、分散剤の除去が行われ、かつ、乾燥することでトナ
ーが製造される。
【0041】本発明において、残留するアンモニウムイ
オン成分等の不純物洗浄除去するために、トナー製造工
程中または製造後の後処理として、水により洗浄する工
程を設けることが望ましい。ここで有効に不純物を洗浄
除去しつつ、トナーの凝集等の問題を起こさせないよう
にするために、洗浄は温水で行うことが望ましい。温水
の温度としては、30〜80℃が好ましく、より好まし
くは35〜50℃である。温度が30℃より低いと洗浄
効果が十分でなく、80℃より高いとトナーの凝集が起
こりやすくなり好ましくない。
【0042】本発明のトナーには、目的に応じて外添剤
として無機粉粒子を表面に付着させてもよい。該無機粉
粒子としては公知のものを用いる事ができる。例えば、
シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、メタチ
タン酸などを挙げる事ができる。また目的に応じて該無
機粉粒子表面に公知の表面処理を施してもよい。外添剤
の粒径、添加量は、その目的や、所望とする性能に応じ
て適宜設定すればよい。
【0043】
【実施例】以下に実施例および比較例をもって説明す
る。ただし下記の実施例および比較例によって本発明が
限定されるものではない。なお、実施例および比較例に
おいて、「部」は「重量部」を意味する。
【0044】<実施例1> (A)顔料分散液の調製 以下の手順でブラック顔料分散液B1を調製した。 1.カーボンブラック顔料(#4000三菱化学製)・
・・・・25部 2.酢酸エチル 75部 上記材料組成の分散液にガラスビーズを加え、サンドミ
ル分散機に投入した。分散容器周りを冷却しながら、高
速撹拌モードで3時間分散しブラック顔料分散液B1を
調製した。
【0045】(B)微粒子化ワックスの調製 以下の手順で微粒子化ワックスの分散液Wを調製した。 1.パラフィンワックス(融点:85℃,融解潜熱:1
93mJ/mg)・・・・・10部 2.酢酸エチル・・・・・90部
【0046】撹拌羽根を装着し容器回りに熱媒を循環さ
せる機能を持った分散機に、上記組成の材料を投入し
た。毎分80回転で撹拌しながら徐々に温度を上げて行
き、最後に100℃に保ったまま3時間撹拌した。次に
撹拌を続けながら毎分約2℃の割合で室温まで冷却し、
微粒子化したワックスを析出させた。レーザ回折/散乱
粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所)を用いて
ワックスの平均粒度を測定すると約1.2μmであっ
た。このワックス分散液を高圧乳化機APV GAUL
IN HOMOGENIZER 15MR型を用い、圧
力500kg/cm 2で再度分散を行い、微粒子化ワッ
クスの分散液を得た。同様に微粒子化ワックスの分散液
中のワックスの平均粒度を測定したところ0.8μmで
あった。作製した微粒子化ワックスの分散液は、ワック
スの重量濃度が10重量%になるように酢酸エチルで希
釈した(微粒子化ワックスの分散液W)。
【0047】(C)油相の調製 以下の手順でトナー油相を調製した。 1.ポリエステル樹脂(ビスフェノールAプロピレンオ
キサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド
付加物/テレフタル酸の共重合、ガラス転移点(T
g):67℃,重量平均分子量:9000)・・・・・
50部 2.ブラック顔料分散液B1(顔料濃度25%)・・・
・・15部 3.微粒子化ワックスの分散液W(ワックス濃度10重
量%)・・・・・50部 4.酢酸エチル・・・・・30部
【0048】上記材料組成の油相をポリエステル樹脂が
充分に溶解したことを確認しつつ調製した。上記油相
を、ホモミキサー(エースホモジナイザー、日本精機社
製)に投入し、毎分15000回転で2分間撹拌し、均
一な油相A1とした。
【0049】(D)水相の調製 以下の手順で水相を調製した。 1.炭酸カルシウム(平均粒径0.03μm)・・・・
・60部 2.純水・・・・・40部 上記材料をボールミルで4日間撹拌し、水相D1を調製
した。レーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700
(堀場製作所製)を用いて炭酸カルシウムの平均粒度を
測定すると約0.08μmであった。
【0050】一方、 1.カルボキシルメチルセルロース(セロゲンBSH;
第一工業製薬)・・・・・2部 2.純水・・・・・98部 を混合し、溶解させ水相E1とした。
【0051】(E)トナーの製造 上記得られた油相A1:60部を容器に秤量し、恒温槽
で液温を予め10℃にしておく。一方、下記組成の材料 1.水相D1(炭酸カルシウム水溶液)・・・・・10
部 2.水相E1(カルボキシルメチルセルロース水溶液)
・・・・・30部 3.純水・・・・・80部 を秤量しステンレス容器に入れ、スリーワンモーターで
攪拌して、均一にした後、氷水槽にステンレス容器を浸
し、液温を10℃に下げる。そこへ先ほど液温を予め1
0℃に冷やしておいた油相A1を加え、ウルトラタラッ
クス(IKA社製)で毎分10000回転で2分間乳化
(分散懸濁)を行い、乳化物を得た。かかる分散懸濁の
際、ステンレス容器は、引き続き氷浴で冷却させてお
き、液温を常に10±5℃に保つようにした。このと
き、分散懸濁の開始時の液温と、終了時の液温とを正確
に記録した。
【0052】次に、得られた乳化物に1%アンモニア水
を70g入れ、ロータリーエバポレータに投入し、30
℃/30mmHgの減圧下で3時間脱溶媒を行った。脱
溶媒後遠心沈降を行い、上澄みを除去し、同量の水を加
え、再び、遠心沈降し上澄みの除去を2回繰り返し、1
2N塩酸をpH2になるまで加え、炭酸カルシウムをト
ナー表面から除去した。その後、水を500ml加え、
遠心沈降を行い、その上澄みを除去後、さらに、前記同
様の水添加、遠心沈降、および上澄みの除去を2回繰り
返し、乾燥して実施例1のトナーを取り出した。
【0053】得られた実施例1のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ4.2
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
7.1μm、トナーの粒度分布の指標であるGSD(体
積平均粒径である、d84/d16のルートを求めたもの)
は1.28、トナーの球形化度(SF1)は121であ
った。
【0054】<実施例2>実施例1の「(E)トナーの
製造」において、油相A1の予め冷やしておく液温を1
0℃から5℃に、水相D1、水相E1および純水を混合
攪拌後冷やす液温を10℃から5℃に、さらに、分散懸
濁の際の液温を10℃±5℃から5℃±5℃に、それぞ
れ変えた他は、実施例1と同様にして実施例2のトナー
を製造した。なお、分散懸濁の開始時の液温と、終了時
の液温とを正確に記録した。
【0055】得られた実施例2のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ5.9
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
6.2μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.35、トナーの球形化度(SF1)は125であっ
た。
【0056】<実施例3> (A)顔料分散液の調製 実施例1の「(A)顔料分散液の調製」において、着色
剤としてのカーボンブラック顔料(#4000、三菱化
学製)をカーボンブラック顔料(#25B、三菱化学社
製)に代えた他は、実施例1と同様にしてブラック顔料
分散液B2を調製した。
【0057】(B)微粒子化ワックスの調製 実施例1の「(B)微粒子化ワックスの調製」と同様に
して、微粒子化ワックスの分散液Wを調製した。
【0058】(C)油相の調製 以下の手順でトナー油相を調製した。 1.スチレンアクリル樹脂(ガラス転移点(Tg);6
5℃、重量平均分子量;200000)・・・・・50
部 2.ブラック顔料分散液B2(顔料濃度25%)・・・
・・25部 3.微粒子化ワックスの分散液W(ワックス濃度10重
量%)・・・・・50部 4.酢酸エチル・・・・・30部 上記材料組成の油相をポリエステル樹脂が充分に溶解し
たことを確認しつつ調製した。上記油相を、ホモミキサ
ー(エースホモジナイザー、日本精機社製)に投入し、
毎分15000回転で2分間撹拌し、均一な油相A2と
した。
【0059】(D)水相の調製 実施例1の「水相の調製」と同様にして、水相D1(炭
酸カルシウム水溶液)および水相E1(カルボキシルメ
チルセルロース水溶液)を調製した。
【0060】(E)トナーの製造 上記得られた油相A2:60部を容器に秤量し、恒温槽
で液温を予め20℃にしておく。一方、下記組成の材料 1.水相D1(炭酸カルシウム水溶液)・・・・・10
部 2.水相E1(カルボキシルメチルセルロース水溶液)
・・・・・30部 3.純水・・・・・80部 を秤量しステンレス容器に入れ、スリーワンモーターで
攪拌して、均一にした後、氷水槽にステンレス容器を浸
し、液温を20℃に下げる。そこへ先ほど液温を予め2
0℃に冷やしておいた油相A2を加え、ウルトラタラッ
クス(IKA社製)で毎分10000回転で1分30秒
間乳化(分散懸濁)を行い、乳化物を得た。かかる分散
懸濁の際、ステンレス容器は、引き続き氷浴で冷却させ
ておき、液温を常に20±5℃に保つようにした。この
とき、分散懸濁の開始時の液温と、終了時の液温とを正
確に記録した。
【0061】次に、得られた乳化物に1%アンモニア水
を50g入れ、撹拌しながら温度を40℃一定に保ち、
ブロワーを用いて分散懸濁液面上の気相を強制更新し
て、17時間そのままに保ち溶媒除去を行った。脱溶媒
後遠心沈降を行い、上澄みを除去した後、水を500m
l加え、さらに同様の遠心沈降と上澄みの除去を行い、
その後12N塩酸をpH2になるまで加え、炭酸カルシ
ウムをトナー表面から除去した。その後、前記同様の水
添加、遠心沈降、および上澄みの除去による水洗を繰り
返し、乾燥して実施例3のトナーを取り出した。
【0062】得られた実施例3のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ7.2
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
5.8μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.29、トナーの球形化度(SF1)は129であっ
た。
【0063】<実施例4> (A)顔料分散液の調製 以下の手順でブラック顔料分散液B3を調製した。 1.カーボンブラック顔料(リーガル330:キャボッ
ト社製)・・・・・25部 2.酢酸エチル・・・・・75部 上記材料組成の分散液にガラスビーズを加え、サンドミ
ル分散機に投入した。分散容器周りを冷却しながら、高
速撹拌モードで3時間分散しブラック顔料分散液B3を
調製した。
【0064】(B)微粒子化ワックスの調製 実施例1の「(B)微粒子化ワックスの調製」と同様に
して、微粒子化ワックスの分散液Wを調製した。
【0065】(C)油相の調製 以下の手順でトナー油相を調製した。 1.ポリエステル樹脂(ビスフェノールAプロピレンオ
キサイド付加物/テレフタル酸の共重合体、Tg;75
℃、重量平均分子量;12000)・・・・・50部 2.ブラック顔料分散液B3(顔料濃度25%)・・・
・・15部 3.微粒子化ワックスの分散液W(ワックス濃度10重
量%)・・・・・50部 4.酢酸エチル・・・・・30部 上記材料組成の油相をポリエステル樹脂が充分に溶解し
たことを確認しつつ調製した。上記油相を、ホモミキサ
ー(エースホモジナイザー、日本精機社製)に投入し、
毎分15000回転で2分間撹拌し、均一な油相A3と
した。
【0066】(D)水相の調製 以下の手順で水相を調製した。 1.リン酸三カルシウム(平均粒径0.09μm)・・
・・・60部 2.純水・・・・・40部 上記材料をボールミルで4日間撹拌し、水相D2を調製
した。レーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700
(堀場製作所製)を用いてリン酸三カルシウムの平均粒
度を測定すると約0.02μmであった。
【0067】一方、 1.ポリビニルアルコール(重合度2000)・・・・
・2部 2.純水・・・・・98部 を混合し、溶解させ水相E2とした。
【0068】(E)トナー製造 上記得られた油相A3:60部を容器に秤量し、恒温槽
で液温を予め10℃にしておく。一方、下記組成の材料 1.水相D2(リン酸三カルシウム水溶液)・・・・・
10部 2.水相E2(ポリビニルアルコール水溶液)・・・・
・30部 3.純水・・・・・80部 を秤量しステンレス容器に入れ、スリーワンモーターで
攪拌して、均一にした後、氷水槽にステンレス容器を浸
し、液温を15℃に下げる。そこへ先ほど液温を予め1
0℃に冷やしておいた油相を加え、ウルトラタラックス
(IKA社製)で毎分10000回転で3分間乳化(分
散懸濁)を行い、乳化物を得た。かかる分散懸濁の際、
ステンレス容器は、引き続き氷浴で冷却させておき、液
温を常に15±5℃に保つようにした。このとき、分散
懸濁の開始時の液温と、終了時の液温とを正確に記録し
た。
【0069】次に、得られた乳化物に1%アンモニア水
を50g入れ、撹拌しながら温度を40℃一定に保ち、
ブロワーを用いて分散懸濁液面上の気相を強制更新し
て、17時間そのままに保ち溶媒除去を行った。脱溶媒
後遠心沈降を行い、上澄みを除去した後、水を500m
l加え、さらに同様の遠心沈降と上澄みの除去を行い、
その後12N塩酸をpH2になるまで加え、リン酸三カ
ルシウムをトナー表面から除去した。その後、前記同様
の水添加、遠心沈降、および上澄みの除去を繰り返し、
乾燥して実施例4のトナーを取り出した。
【0070】得られた実施例4のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ6.5
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
6.5μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.25、トナーの球形化度(SF1)は119であっ
た。
【0071】<実施例5>実施例1の「(C)油相の調
製」において、ブラック顔料分散液B1(顔料濃度25
%)の添加量を、15部から25部に変えた他は、実施
例1と同様にして実施例5のトナーを製造した。なお、
分散懸濁の開始時の液温と、終了時の液温とを正確に記
録した。
【0072】得られた実施例5のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ4.9
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
6.9μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.30、トナーの球形化度(SF1)は123であっ
た。
【0073】<比較例1>実施例1の「(E)トナーの
製造」において、油相A1の予め冷やしておく液温を1
0℃から25℃に、水相D1、水相E1および純水を混
合攪拌後冷やす液温を10℃から30℃に、さらに、分
散懸濁の際、氷浴による冷却をせず液温を成り行き任せ
にした他は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを
製造した。このとき、分散懸濁の開始時の液温と、終了
時の液温とを正確に記録した。終了時の液温は37℃ま
で上昇していた。
【0074】得られた比較例1のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ16.
2×10-3であり、また、コールターカウンターTA−
II型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度
分布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
7.0μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.27、トナーの球形化度(SF1)は119であっ
た。
【0075】<比較例2>以下の材料を溶融混練法を用
い混練し、粉砕後分級し比較例2のトナーを製造した。 1.スチレン・アクリル樹脂:(ガラス転移点Tg;6
5℃、重量平均分子量;200000)・・・・・85
部 2.イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー1(大
日精化社製))・・・・・10部 3.パラフィンワックス(融点:85℃)・・・・・5
【0076】得られた比較例2のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ2.5
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
7.8μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.30、トナーの球形化度(SF1)は151であっ
た。
【0077】<比較例3>実施例1の「(E)トナーの
製造」において、脱溶媒時間を3時間から1.5時間に
変えた他は、実施例1と同様にして比較例3のトナーを
製造した。なお、分散懸濁の開始時の液温と、終了時の
液温とを正確に記録した。
【0078】得られた比較例3のトナーについて、既述
の方法によりトナーの誘電正接を測定したところ4.4
×10-3であり、また、コールターカウンターTA−II
型(コールター社製)を用いトナーの粒径および粒度分
布について測定したところ、トナーの体積平均粒径は
7.3μm、トナーの粒度分布の指標であるGSDは
1.29、トナーの球形化度(SF1)は123であっ
た。
【0079】<トナーの評価方法>上記得られた実施例
1〜5および比較例1〜3の各トナーについて、以下の
評価方法により各種評価を行った。結果は、下記表1に
まとめて示す。 (1)トナーの残留溶媒量 トナーの残留溶媒量について、既述の方法にて測定し
た。
【0080】(2)トナーの帯電性評価 測定対象となるトナー10gと、フェライトの芯材表面
をポリメタクリル酸メチルで被覆(膜厚0.7μm)し
たキャリア100gと、を温度28℃、湿度80%の高
温高湿環境下で、3分間および60分間ターブラーミキ
サーシェーカーTCII型(三田村理研社製)で混合し、
ブローオフトライボ装置を用い、ブローオフ法にてトナ
ーの帯電量を測定した。
【0081】(3)画質の評価 測定対象となるトナー100部にシリカ(商品名:R9
72、日本エアロジル(株)製)1部を加えてサンプル
ミルで1分間混合し、このトナーをA−Color63
5(富士ゼロックス(株)製)に装填し、A4用紙を用
いて1000枚コピーして画像を形成した。初期および
1000枚コピー後の画像濃度および画質を、下記の基
準に従い目視により官能評価した。 ○:充分な画像濃度が得られ、高画質な画像である。 △:若干画像濃度は低いが、実使用上問題なし。 ×:充分な画像濃度が得られず、画質が劣る。
【0082】(4)転写性の評価 上記画質の評価同様のコピーを行い、用紙への転写(初
期)直後の感光体の表面にセロハンテープを貼り剥がし
することにより、感光体表面に残存するトナーの粒子を
採取し、そのトナー量を目視で観察し、下記の指標によ
り転写性の評価を行った。 ○:トナー粒子の残存がない △:微量のトナー粒子の残存が認められたが、実使用上
問題ない ×:多量のトナー粒子の残存が認められた
【0083】(5)流動性の評価 測定対象となるトナー1gを149μmメッシュの金属
ふるい上に採り、振動(ミクロ型電磁振動篩n−2型
(筒井理化社製))を1分間加えたときのメッシュに残
るトナーを目視により観察し、下記の指標によりトナー
の流動性の評価を行った。 ○:トナーの粒子が、ほとんど残存しない。 △:トナーの粒子の残存が、少量認められた。 ×:トナーの粒子の残存が、多量認められた。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の静電荷
像現像用トナーは、トナー中の残留溶媒量、トナーの形
状係数およびトナーの誘電正接を制御することによっ
て、環境依存性が小さく、優れた帯電性、転写性および
流動性を有し、高画質な画像、特にカラー画像を長期に
わたり安定して得る事ができる。また、転写効率が上が
ることで、廃トナーレス、クリーナーレスシステム、さ
らに、低融点ワックスを含むトナーを容易に作製できる
ので、オイルレスシステムが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有
    する静電荷像現像用黒トナーにおいて、静電荷像現像用
    黒トナー中の残留溶媒量が1〜500ppmの範囲であ
    り、静電荷像現像用黒トナーの球形化度(SF1)が1
    00〜140の範囲であり、かつ、静電荷像現像用黒ト
    ナーの誘電正接(tanδ)が2×10-3〜10×10
    -3の範囲であることを特徴とする静電荷像現像用黒トナ
    ー。
  2. 【請求項2】 少なくとも、結着樹脂および着色剤とを
    溶媒中に溶解もしくは分散させた油相を、水系媒体中に
    分散懸濁させる工程を有する請求項1に記載の静電荷像
    現像用黒トナーの製造方法において、前記工程における
    分散懸濁の際の液温を0〜25℃に調整することを特徴
    とする静電荷像現像用黒トナーの製造方法。
JP23713799A 1999-08-24 1999-08-24 静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法 Pending JP2001066819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23713799A JP2001066819A (ja) 1999-08-24 1999-08-24 静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23713799A JP2001066819A (ja) 1999-08-24 1999-08-24 静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001066819A true JP2001066819A (ja) 2001-03-16

Family

ID=17010963

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23713799A Pending JP2001066819A (ja) 1999-08-24 1999-08-24 静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001066819A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010060896A (ja) * 2008-09-04 2010-03-18 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷現像用現像剤、静電荷現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010060896A (ja) * 2008-09-04 2010-03-18 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷現像用現像剤、静電荷現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6921678B2 (ja) トナー製造方法及び重合体
JP3225889B2 (ja) 静電潜像現像剤用トナー、その製造方法、静電潜像現像剤及び画像形成方法
JP4751217B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JPH1144969A (ja) 電子写真用トナー及びその製造方法並びにそのトナーを使用する画像形成方法
JP4439007B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP2014038131A (ja) 光輝性トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
JPH117156A (ja) 静電写真用トナー及びそれを用いる画像形成方法
JPH10301323A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JPH10198070A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP2006267732A (ja) 樹脂微粒子分散液及びその製造方法、並びに、静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JP2016139054A (ja) 光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP6398534B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP3141795B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法
JP2006091564A (ja) 電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、電子写真用現像剤及び画像形成方法
JP3456372B2 (ja) 電子写真用トナー及びその製造方法
JP2005031275A (ja) 静電荷像現像用マゼンタトナー、その製造法、現像剤及び画像形成方法
JP4866721B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP4285255B2 (ja) 静電荷現像用トナー及びその製造方法
JP6821442B2 (ja) トナー
JP2001066822A (ja) 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2009288394A (ja) 画像形成方法、定着方法及び磁性トナー
JP3885434B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2001066819A (ja) 静電荷像現像用黒トナー、およびその製造方法
US9239532B2 (en) Brilliant toner, electrostatic charge image developer, and toner cartridge
JP6217578B2 (ja) 光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050301

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050927