JP2001062585A - はんだ合金組成物 - Google Patents

はんだ合金組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境や人体に対しての問題がなく、かつ、良
好なはんだ付け特性を有するはんだ合金組成物を提供す
る。 【解決手段】 Snと、Ag,Cu,Bi,In,Zn
及びGeからなる群から任意に選ばれる少なくとも1種
の金属と、Pbとからなり、Pbの含有率が0.01〜
0.3重量%であるはんだ合金組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、はんだ合金組成物
に関し、特に、電子機器のはんだ付けに好適に利用する
ことができるはんだ合金組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりはんだ合金組成物としては、S
n−Pbの共晶組成付近のもの(Pb約40重量%、融
点はほぼ183℃)が代表的なものとして周知であり、
濡れ性の良い、良好なはんだ合金組成物として使用され
ていた。これに対し近年、地球環境問題への関心の高ま
りから、鉛が環境や人体に及ぼす有害性が問題視される
ようになって来ている。
【0003】上記の状況の中で、Pbを含まないSn−
Ag系はんだ、Sn−Zn系はんだのような、いわゆる
無鉛はんだが注目されるようになって来た。しかしこれ
ら従来より提案されて来ている無鉛はんだは濡れ性が必
ずしも満足の行くものではなく、よってはんだ付け特性
の点で、改良が望まれる。
【0004】上述した事情から、環境や人体に対しての
問題がなく、かつ、良好なはんだ付け特性を有するはん
だ合金組成物の開発が要請されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記要請に
基づいてなされたもので、その目的は、環境や人体に対
しての問題がなく、かつ、良好なはんだ付け特性を有す
るはんだ合金組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
事情に鑑みて鋭意検討を行った結果、Snに、Agや、
Cu,Bi,In,Zn,Geの少なくとも1種を添加
してなる合金に、Pbを特定の極微量添加することで、
上記要請を満たす良好なはんだ付け特性を有するはんだ
合金組成物が得られることを見出すに至った。
【0007】すなわち、本発明に係るはんだ合金組成物
は、Snと、Ag,Cu,Bi,In,Zn及びGeか
らなる群から任意に選ばれる少なくとも1種の金属と、
Pbとからなり、Pbの含有率が0.01〜0.3重量
%であることを特徴とするものである。
【0008】本発明によれば、Snと特定の金属群から
選ばれる1種以上の金属と、さらに特定の範囲の極微量
のPbとからなるはんだ合金組成物としたことで、濡れ
性の良い、良好なはんだ付け特性が得られ、かつ、組成
物中のPbの含有量が極めて抑制されたものであること
から、環境負荷の低減を大幅に図ることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施の形態
について説明し、またその具体的構成例について、デー
タをもって説明する。但し当然のことではあるが、本発
明は以下述べる実施の形態の記述例に限定されるもので
はない。
【0010】本発明に係るはんだ合金組成物は、Sn
と、Ag,Cu,Bi,In,Zn及びGeからなる群
から任意に選ばれる少なくとも1種の金属と、Pbとか
らなり、このはんだ合金組成物中のPbの含有率は、
0.01〜0.3重量%であるものである。
【0011】Pbの含有率が上記範囲を下回ると、良好
なはんだ付け特性を得ることが困難になる。一方、Pb
の含有率が上記範囲を超えても、はんだ付け特性はもは
や格別に向上しない。環境や人体に及ぼす有害性低減の
観点から、はんだ合金組成物中のPbは、少なくするこ
とが望ましい。
【0012】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Pbの含有率は、好ましくは、0.04〜0.1重量%
である。
【0013】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Snが主成分であることが好ましい。特に、Snの含有
率が90重量%以上であることが好ましい。この範囲で
あると、はんだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け
性が良く、また、適正溶融温度にできる。
【0014】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Agを含有する場合、該Agの含有率は、0.2〜4.
0重量%であることが好ましい。この範囲であると、は
んだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け性が良い。
なお、Sn−3.5Agが共晶であるところから、Ag
の含有率が4.0重量を超えると針状結晶析出のおそれ
があり好ましくない。また、Agの含有率が低すぎる
と、はんだの溶融温度が高くなったり、破断強度や延び
が不足する場合がある。
【0015】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Cuを含有する場合、該Cuの含有率は、0.1〜3.
0重量%であることが好ましい。この範囲であると、は
んだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け性が良い。
また、溶融温度を適正にし、また接合部に銅パッドがあ
る場合、その銅がはんだに拡散することを防ぐ意味で
も、上記の範囲であることが好ましい。
【0016】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Biを含有する場合、該Biの含有率が0.01〜2.
0重量%であることが好ましい。この範囲であると、は
んだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け性が良い。
また、Biの含有率が大きすぎると、強度は大きくなる
が、延びがわるくなり、脆化する傾向が出る。
【0017】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Inを含有する場合、該Inの含有率は、0.1〜9.
0重量%であることが好ましい。この範囲であると、は
んだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け性が良く、
また、適正溶融温度にできる。(なお、上記Ag、C
u、Bi、Inの添加について、及びそのような場合の
Siの含有率についてさらに詳細には、本出願人による
特願平9−124445号の明細書参照)。
【0018】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Znを含有する場合、該Znの含有率は、0.1〜9.
0重量%であることが好ましい。この範囲であると、は
んだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け性が良い。
なお、Znの含有率がこの範囲を超えると、はんだの延
性が低下して配線としたときに破断が生じやすくなった
り、酸化し易くなるおそれが出る。(なお、Znの添加
についてさらに詳細には、本出願人による特願平9−0
56539号の明細書参照)。
【0019】本発明に係るはんだ合金組成物において、
Geを含有する場合、該Geの含有率は、0.005〜
0.5重量%であることが好ましい。この範囲である
と、はんだの濡れ性が特に良好であり、はんだ付け性が
良い。またGeにはドロスと称される酸化物の発生も抑
制する作用がある。(なお、Geの添加についてさらに
詳細には、本出願人による特願平9−348212号
(特開平10−230384号)の明細書参照)。
【0020】すなわち、上記Ag,Cu,Bi,In,
Zn及びGeの各金属について、各金属成分が上述の範
囲内にあれば、Pbを添加した際の効果、特に濡れ性の
向上の効果を十分に発揮させることが容易に実現でき
る。
【0021】上記Sn及びPb以外のAg,Cu,B
i,In,Zn及びGeの各金属については、各金属は
少なくとも1種含有されていれば良い。これらの金属
は、はんだ合金組成物の濡れ性を向上させるほか、はん
だ合金の機械的強度や伸び、耐熱疲労性を向上させた
り、融点を下げたり、ドロスの発生量を低減させたりす
る点で、効果がある。
【0022】本発明に係るはんだ合金組成物において、
はんだの表面特性の向上の観点から、組成物中に含まれ
る酸素濃度や、窒素濃度を限定してもよい。酸素濃度は
好ましくは1〜1000ppmが良い。1000ppm
以下であると酸素添加による合金の脆化のおそれがな
く、1ppm以上であれば合金の精製が容易で、コスト
的にも有利である。酸素濃度はより好ましくは、10〜
500ppmが良い。窒素濃度は好ましくは1〜100
0ppmが良い。窒素添加は合金の酸化を防止する。窒
素濃度が1000ppm以下であるとやはり窒素添加に
よる合金の脆化のおそれがなく、1ppm以上であれば
合金の精製が容易で、コスト的にも有利である。窒素濃
度はより好ましくは、10〜500ppmが良い。
【0023】以下、具体的な実施の形態例について、詳
しく説明する。ここでは表1に示す15種の試料を用い
て、15回の実施(Run)を行った。表1における各
はんだ合金組成物は、Sn以外の金属について重量%を
示し、残余はSnとしたものである。
【0024】本実施の形態例では、各種金属を秤量した
後、磁性るつぼに入れ、400℃窒素雰囲気の電気炉で
2時間加熱溶融する。これにより作成した各はんだ合金
組成物について、濡れ性の評価を行った。
【0025】作成した試料は、濡れ性を評価する手法と
して、動的な濡れ現象を定量的に、しかも容易に測定で
きるウェッティングバランス法を用いることで、濡れ性
の評価試験を行った。試験で使用した評価装置は、MU
LTICORE MUSTSYSTEM IIで、試験
片は、0.6MMΦの無酸素銅線、フラックスは、弘輝
製のIS64MSSである。実験条件は、はんだへの試
験片浸漬速度を10mm/sec、浸漬深さを2mm、
浸漬時間を10秒、はんだ温度は240℃とした。
【0026】濡れ性を評価する際に重要なのは、濡れ時
間(Wetting time)と、濡れ力(Wett
ing force)であり、濡れ時間は短いが、濡れ
力は大きい方が濡れが良いと判断する。濡れ時間は、試
験片がはんだと接触後、濡れ力が0に戻るまでの時間
(Tb)、濡れ力は、試験片がはんだに浸漬後、10秒
経過時の値(F2)とした。
【0027】下記表1に、各種組成のはんだ合金組成物
について、その濡れ性に関する測定結果を示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示した評価結果より、以下の知見が
得られる。
【0030】表1中のRun1(比較)とRun2(本
発明)とRun2’(本発明)との対比により、次のこ
とがわかる。すなわち、Sn−Ag−Cu系組成の合金
(Run1)にPbを0.03重量%(Run2)、ま
た0.04重量%添加した組成(Run2’)とするこ
とにより、濡れ時間が低下し、濡れ力が増加することか
ら、濡れ性が向上することがわかる。
【0031】表1中のRun3(比較)とRun4(本
発明)との対比により、次のことがわかる。すなわち、
Sn−Bi−Ag−Cu系組成の合金(Run3)にP
bを0.1重量%添加した組成(Run4)とすること
により、濡れ時間が低下し、濡れ力が増加することか
ら、濡れ性が向上することがわかる。
【0032】また、Sn−Bi−Ag−Cu系組成の合
金(Run3)にPbを0.4重量%添加(Run5)
しても、0.1重量%添加した場合(Run4)と大き
な差異はない。このことから、Pbを0.3重量%を超
えて含有させても、濡れ性の向上効果はそれより大きく
はならないことがわかる。
【0033】次に表1中のRun6(比較),Run8
(比較)と、Run6’(本発明),Run7(本発
明),Run9(本発明)との対比により、次のことが
わかる。すなわち、Sn−Ag系組成の合金(Run
6,8)にPbを0.02重量%または0.05重量%
添加した組成(Run6’,7,9)とすることによ
り、濡れ時間が低下し、濡れ力が増加することから、濡
れ性が向上することがわかる。
【0034】さらに、Run6’(本発明)とRun7
(本発明)との対比、及び前記Run2(本発明)とR
un2’(本発明)との対比により、本発明に係る試料
の内でも、Pbの含有率が0.04重量%以上である場
合が好ましいことが理解される。
【0035】次に表1中のRun10(比較)とRun
11(本発明)との対比により、次のことがわかる。す
なわち、Sn−Ag−In系組成の合金(Run10)
にPbを0.2重量%添加した組成(Run11)とす
ることにより、濡れ時間が低下し、濡れ力が増加するこ
とから、濡れ性が向上することがわかる。
【0036】次に表1中のRun12(比較)とRun
13(本発明)との対比により、次のことがわかる。す
なわち、Sn−Zn系組成の合金(Run10)にPb
を0.3重量%添加した組成(Run13)とすること
により、濡れ時間が低下し、濡れ力が増加することか
ら、濡れ性が向上することがわかる。
【0037】次に表1中のRun14(比較)とRun
15(本発明)との対比により、次のことがわかる。す
なわち、Sn−Ag−Ge系組成の合金(Run14)
にPbを0.1重量%添加した組成(Run15)とす
ることにより、濡れ時間が低下し、濡れ力が増加するこ
とから、濡れ性が向上することがわかる。
【0038】以上の結果より、Snと、Ag,Cu,B
i,In,Zn及びGeからなる群から任意に選ばれる
少なくとも1種の金属と、Pbとからなり、Pbの含有
率が0.01〜0.3重量%であるはんだ合金組成物
は、濡れ性(はんだ付け特性)に優れることがわかる。
よって、Pbの含有率が極微量であって環境負荷が極め
て少ないはんだ合金で、かつ、はんだ付け特性が優れた
はんだ合金組成物が得られることがわかる。
【0039】
【発明の効果】上述したように、本発明に係るはんだ合
金組成物によれば、環境や人体に対しての問題がなく、
かつ、良好なはんだ付け特性を有するはんだ合金組成物
を提供することつきを防止することができた。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Snと、Ag,Cu,Bi,In,Zn
    及びGeからなる群から任意に選ばれる少なくとも1種
    の金属と、Pbとからなり、 Pbの含有率が0.01〜0.3重量%であることを特
    徴とするはんだ合金組成物。
  2. 【請求項2】 Snの含有率が90重量%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のはんだ合金組成物。
  3. 【請求項3】 Agを含有し、該Agの含有率が0.2
    〜4.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載
    のはんだ合金組成物。
  4. 【請求項4】 Cuを含有し、該Cuの含有率が0.1
    〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載
    のはんだ合金組成物。
  5. 【請求項5】 Biを含有し、該Biの含有率が0.0
    1〜2.0重量%であることを特徴とする請求項1に記
    載のはんだ合金組成物。
  6. 【請求項6】 Inを含有し、該Inの含有率が0.1
    〜9.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載
    のはんだ合金組成物。
  7. 【請求項7】 Znを含有し、該Znの含有率が0.1
    〜9.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載
    のはんだ合金組成物。
  8. 【請求項8】 Geを含有し、該Geの含有率が0.0
    05〜0.5重量%であることを特徴とする請求項1に
    記載のはんだ合金組成物。
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GB2419137A (en) * 2004-10-15 2006-04-19 Alpha Fry Ltd Solder alloy
CN110497113A (zh) * 2019-08-23 2019-11-26 哈尔滨工业大学(威海) 一种低能耗多用途的水下湿法焊接自保护药芯焊丝
CN110497114A (zh) * 2019-08-23 2019-11-26 哈尔滨工业大学(威海) 一种低合金钢用热剂辅助水下湿法焊接自保护药芯焊丝

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CN110497113B (zh) * 2019-08-23 2021-06-01 哈尔滨工业大学(威海) 一种低能耗多用途的水下湿法焊接自保护药芯焊丝

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