JP2001059183A - フラックスレスロウ付け用アルミニウムへのkf溶液からの化成被膜 - Google Patents

フラックスレスロウ付け用アルミニウムへのkf溶液からの化成被膜

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JP2001059183A JP2000204897A JP2000204897A JP2001059183A JP 2001059183 A JP2001059183 A JP 2001059183A JP 2000204897 A JP2000204897 A JP 2000204897A JP 2000204897 A JP2000204897 A JP 2000204897A JP 2001059183 A JP2001059183 A JP 2001059183A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラックスの必要性無しにアルミニウムのロ
ウ付け接合を可能とする。 【解決手段】 本発明によれば、アルミニウム表面が、
最初に熱脱脂又はアルカリ水溶液脱脂により表面を処理
し、次に処理面をKFの水溶液に接触させることで、化
成被覆される。溶液中のKFの濃度は、2.0から25.0 w
t.%であり、温度は少なくとも5秒間32℃から100℃であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1998年8月6日に提出され、名称が“ Metho
d of Simultaneous Cleaning and Fluxing of Aluminum
Cylinder Block Bore Surfaces For Thermal Spray Co
atingAdhesion”である米国特許出願09/130,014号が参
照される。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然アルミニウム
表面酸化物を、ろう付を促進する安定化成被覆で置換す
ることに関する。より具体的には、まず熱脱脂あるいは
アルカリ水溶液の脱脂によりアルミニウムを処理し、続
いて処理済のアルミニウムをフッ化カリウム水溶液に晒
すことにより、化成被膜が形成される。
【0003】
【従来の技術】この分野において、アルミニウム合金部
品を接合するためにロウ付けを用いる場合が多く、具体
的には、アルミニウム製熱交換器組立体を接合する方法
として、ロウ付けが好まれている。しかしながら、アル
ミニウム及びアルミニウム合金は一般的に、室温で大気
に接触すると、非常に反応しやすく、表面酸化物被膜
(厚さ5から100 nm)を急速に形成する。そのような酸
化物の薄膜は、接合されるべき部材間の、強固で、高品
質な、そして欠陥のない結合部の形成を妨げる。それ
で、アルミニウムあるいはアルミニウム合金間の、冶金
的、化学的にあるいは金属間結合を有効なものとするた
めには、そのような酸化物の薄膜を除去、溶解又は粉砕
することが必要であると考えられている。例えば、米国
特許5,820,015号で述べられている様に、フッ化カリウ
ム(KF)のエッチング液を用いた化学的エッチングに
より、酸化物層が除去される場合がある。それは、特
に、そのようなエッチングにより、ロウ付可能なアルミ
ニウム合金の面形成能力を向上することが出来ることを
教示している。酸化物層を粉砕する、他の一般的な方法
は、NOCOLOK(商標)のようなフラックスを接合面に塗
布することである。脱脂されたアルミニウム部品上に噴
霧することが出来るのは KAlF4 + K3AlF6 溶液の懸濁水
であり、乾燥させた後、その部品を炉においてろう付す
ることが出来る。フラックスは、565−575℃の温度で溶
け、表面アルミニウム酸化物と反応する。これは、585
−600℃の間のろう付温度に達したとき、表面が溶解さ
れると同時にさらなる酸化から保護される様にする。し
かしながら、フラックスを使用するこの方法の欠点の一
つは、フラックスを塗布する効率が低いことである。す
なわち、フラックス粉末は、液体溶媒中に懸濁され、組
立の前後に表面に噴霧され、その後乾燥される必要があ
る。粉末フラックスはまた、生産設備における管理上の
問題を引き起こす可能性がある。フラックスに伴なう問
題を解決するために、フラックスレス・ロウ付が開発さ
れてきた。
【0004】一つの形式のフラックスレス・ロウ付にお
いて、ロウ付されるアルミニウム表面の化成処理により
フラックス層が担持される。そのような方法がヨーロッ
パ特許0140267 B1号に開示されており、形成される層は
カリウム・ペンタフルオロアルミネート (K2AlF5)から
なる。その方法においては、ロウ付工程は、アルミニウ
ムと相手材料をロウ付合金で接合するために、フラック
ス層をアルミニウムの融点より低くロウ付合金の融点よ
り高い温度に加熱する工程を含む。熱交換器のような用
途に必要とされる、完全な漏れの無い接合を行うこと
は、この処理では困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、従来技術
の処理の欠陥を解消する、フラックスレス・ロウ付けが
可能なアルミニウム又はアルミニウム合金の表面が得ら
れることを、予期せず発見した。それには特に、高温脱
脂又はアルカリ水溶液を用いた脱脂によりアルミニウム
又はアルミニウム合金を処理する工程が含まれる。この
工程は、化成被覆工程との組み合わせにより、強固なロ
ウ付接合を行うのに重要であることが、予期せず発見さ
れた。本発明の、これらのものなどの観点が、以下に詳
細に記載されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミニウム
(アルミニウム合金を含む)の表面に、ろう付可能な化
成被膜を形成する方法である。その方法は、処理済の表
面に油脂や油分をほぼ完全に持たない様に高温脱脂又は
アルカリ水溶液の脱脂により処理されたアルミニウム表
面を必要とする。その方法には、これら2つの特別な処
理のうち1つが用いられるということが、非常に重要で
ある。その後、処理済み表面は、その処理済み表面上に
少なくとも K3AlF6 及び選択的に KAlF4 から本質的に
なるロウ付可能な化成被膜を設けるために、少なくとも
5秒間、32℃(90°F)から100℃(212°F)の温度で
2.0−25.0 wt.%のKF水溶液に接触させられる。この
方法は、化成被覆されたアルミニウム表面をフラックス
の使用なしにロウ付けするのを可能とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は全般的には、アルミニウ
ム(アルミニウム合金を含む)の表面に、少なくとも K
3AlF6 及び選択的に KAlF4 から本質的になるロウ付可
能な化成被膜を得るために、KFが2.0から25.0 wt.%の
水溶液に処理済のアルミニウム表面を接触させる工程を
含む。アルミニウムは、酸化物被膜を除去している間
に、表面層に特別な結晶を成長するために、用いられる
ので有利である。つまり、この処理は、少なくとも K3A
lF6 及び選択的に KAlF4 からなる層を、その場に形成
する。ろう付工程の間に、例えば585 と 600℃との間の
温度に加熱されたとき、この化成被膜層の形成が酸化物
層を分解し、同時にアルミニウム表面を更なる酸化から
保護する、と考えられている。本発明は、弗化物のフラ
ックスの組成と同様の被膜をアルミニウム上に析出する
ものと考えられるが、本発明の化成被膜組成は、従来の
フラックスとはかなり異なる挙動を示す。つまり、以下
の理論に固執するものではないが、ロウ付けに良くある
様に、アルミニウムがクラッド層を担持する場合、NOCO
LOK(商標)とは異なり、ロウ付可能な化成被膜がクラ
ッド層より先に融けることはない、と考えられる。化成
被膜は、アルミニウム酸化物の代わりとして機能し、そ
して、粘りがそれ程ないので、融点に達したときにはク
ラッド層の流動を許容する。この本質的な違いが、ロウ
付けにより接合されるアルミニウム表面間に、従来のア
ルミン酸カリウムのフラックスで出来るよりも優れたロ
ウ付アルミニウム接合を与える、と考えられる。
【0008】しかしながら、単にアルミニウム表面をフ
ッ化カリウム溶液にさらすだけでは、商業的に有用なロ
ウ付可能な表面は得られないということが見出された。
むしろ、本発明について重要なことは、アルミニウム表
面にまず、たとえば揮発性油などを用いた熱脱脂処理が
施されるか、あるいはアルカリ水溶液、たとえば水酸化
カリウムや水酸化ナトリウムなどの弱アルカリ性水溶
液、による脱脂処理が施される、ということである。そ
のような脱脂技術は、当業者にはよく知られている。ま
た、上述の技術に使用される他の物質や処理条件は、本
明細書の内容を考慮すると、当業者には自明のものであ
ろう。熱脱脂又はアルカリ水溶液による脱脂の具体的な
処理工程は、結果的に表面が脱脂される限り、材料、時
間及び温度に関して変り得るものである。アルカリ水溶
液の使用は、好ましいものである。脱脂の有用な例の一
つは、60℃の温度で45秒間でアルミニウム表面を洗浄出
来ることとされた1%のKOH溶液(pH 11.0)を使用す
ることである。洗浄剤にさらした後で処理済表面が濯が
れるのが普通である。上述の様に、脱脂におけるこれら
具体的な態様の使用が、本発明に重要である。この特定
の処理工程を用いないで、代わりにアセトンなどによる
他の従来の脱脂処理を行った場合、結果として例6及び
7にて説明される様な、極めて小さな面形成となる(商
業的に有用ではない)ことを、本件発明者は予期せず見
出した。
【0009】本発明においては、本発明の化成被覆が施
されるアルミニウム表面は、鋼などの別の材料に担持さ
れても良いし、アルミニウム製物品の全体を占めても良
い。またアルミニウムは、薄板状であっても、あるいは
三次元物品であっても良い。例えば、本発明により設け
られるロウ付可能化成被膜は、冷間ミリングにより後で
芯材にクラッドされるアルミニウム薄板の表面に施して
も良く、その様な状況において本発明による化成被覆処
理はクラッドの片面に施しても両面に施しても良い。フ
ラックスを薄板に塗布しそしてフラックスを板材表面に
機械的に埋め込むことにより、ブレージング・シートを
製造する方法が、ここでの参照によりここに組み込まれ
る1998年11月17日になされた米国特許出願09/193,364号
に記載されている。フラックスを機械的に埋め込む技術
は、本発明の化成被覆アルミニウム薄板が上記米国特許
出願のフラックス・シートに置き換わった本発明の改良
案において、用いることが出来る。上述のように、本発
明のロウ付可能化成被覆処理が施されるアルミニウム材
は、ここではアルミニウム又はアルミニウム合金材を意
味する。アルミニウム合金材の例には、ほとんどがアル
ミニウムで、珪素、銅、マンガン、亜鉛、チタン、鉄、
クロム、ジルコニウム、マグネシウムなどの合金の少な
くとも一つを含有する合金が含まれる。特定の例として
は、米国アルミニウム協会規定の1000系、3000系、4000
系、5000系及び6000系のアルミニウム合金のような、ア
ルミニウム合金材がある。熱交換器の製造という用途の
ためのアルミニウムとしては、純アルミニウム又は、40
45, 4047又は4343を持つ3003又は3003クラッドの様なア
ルミニウム合金が最適であろう。
【0010】上述の様に芯材上に最初に設けられるクラ
ッド層である場合があるアルミニウム表面は、まず上述
のように油分及び油脂が本質的にない状態へ処理され
る。その後、水中のKFが2.0から25.0 wt.%の濃度を持
つことが要求される希釈KF水溶液にさらされる。本発
明に最適なものとされたこの溶液は、本質的に水中のK
Fからなる。そのKF溶液は、粉末が製造設備に持ち込
まれることのないように、例えば水中にフッ化カリウム
(KF)を溶解させることにより又は、例えば40%溶液
である商業的に入手可能な溶液を希釈化することによ
り、作ることが出来る。化成被覆浴のKFの濃度が2.5%
から 4.0%であればより好ましく、2.5% から3.5%であ
れば最も好ましい。好ましい範囲においては、高品質の
ロウ付を、低コストで環境に好ましい方法で、最適に得
ることが出来る。
【0011】本件発明者らは、KF浴の濃度が本発明の
方法に必要とされる最低KF濃度の2.0 wt. %よりも低
い時には、ここで述べられたロウ付可能化成被覆が形成
されないことを、驚きと共に見出した。むしろ、上述の
米国特許5,820,015号のように、アルミニウムが単にエ
ッチングされる。例えば、図1および図2は、4045アル
ミニウムに3003クラッドを施したものを、それぞれ0.5
wt %及び1.5 wt %のKF溶液に浸した結果生じたエッチン
グ面を示している。図1及び図2に示されるアルミニウ
ム表面には棒の様な形状が存在するものの、 K3AlF6
晶が形成せず、商業的に有用なロウ付可能表面を生成し
ない。発明者は、これはKF濃度の低さに起因すると考
えている。対照的に、図3及び4は、本発明により3.0
wt %及び4.0 wt %のKF水溶液がそれぞれ代わりに用い
られた場合に形成される化成被膜を示している。違い
が、形成された表面にあることは、明らかである。アル
ミニウム表面の脱脂処理は、上記全てについて同じであ
った。発明者は、本発明の実施形態のアルミニウム化成
被膜表面(3.0及び4.0 wt. %)がフラックス無しのロウ
付を可能にし、その一方KF濃度が K3AlF6 の表面化成
被膜を形成するのに十分ではない単なるエッチング面
は、酸化物が減少したアルミニウム表面を与えるだけで
ある、と考えている。本発明の化成被膜は、アルミニウ
ムに強固に固着し、本質的に全てが K3AlF6 からなる
か、あるいは微量の KAlF4 との K3AlF6 の混合物から
なることが、見出された。この被覆は、フラックス材料
と組成が類似しているが、以下の点で異なると考えられ
る。ロウ付けにおいてよくある様にアルミニウムがクラ
ッド層を移動する場合、NOCOLOK(商標)とは異なり、
化成被膜がクラッド層より先に融けることはない。化成
被膜はアルミニウム酸化物を置換する機能をし、それ程
保持力がないので、クラッド層が融点に達したときには
クラッド層の流動を許容する。この本質的な違いが、従
来のアルミン酸カリウムのフラックスを持つ物品よりも
優れたロウ付用物品がもたらすと、考えられる。
【0012】化成被膜を生成する方法において、被膜層
を形成するためには、洗浄済アルミニウムを、浸漬、被
覆、噴霧などによりKF水溶液に接触させることが出来
る。浸漬は特に商業的に有用である。アルミニウムに接
触すると、化学的に反応して上述の被膜を形成するカリ
ウム及びフッ素を含むKF溶液は、アルミニウムの表面
に固く結合する。希釈KF溶液は、32から100℃(90か
ら212°F)の温度で用いられ、その温度は好ましくは4
9から65℃(120から150°F)、より好ましくは54から6
5℃(130から150°F)である。これは、54から63℃(1
30から145°F)が理想的であろう。被膜を作るため
に、アルミニウムは、少なくとも5秒間接触させられ、
この時間は、最大で約4分間が適切であり、15から60秒
までが好ましく、最も好ましくは30から60秒である。化
成被覆を施すのに最適なパラメーターの選択は、本明細
書から当業者には明らかであろう。明らかな様に、アル
ミニウムの化成被覆浴溶液との接触時間が長くなると、
ロウ付け可能被膜の厚さが増加する。同様に、温度が高
まるにつれ、与えられた厚さの化成被膜の形成に要する
時間は短くなる。発明者は、この被膜は非常に安定であ
り、化成被覆されたアルミニウムはいかなる特性の低下
もなしにロウ付け前の少なくとも2週間の保管が可能で
あることを、見出した。
【0013】本発明の処理は、自動車において用いられ
る様な、空調システム用コンデンサーの様な熱交換器組
立体の組立に用いられる場合がある。その様な熱交換器
組立体は、少なくとも一つで、好ましくは複数の、上述
のものの様なアルミニウム金属から出来たチューブを含
む。最適品質のロウ付け可能表面を得るためには、芯材
が約0.20 %以下のマグネシウムを含むのが、好ましい。
各チューブは、内面及び外面を持つ。チューブの内面及
び外面はそれぞれ、アルミニウム合金クラッドを持つの
が一般的である。熱交換器組立体用のその様なクラッド
の一つが、その様な内容について参照することでここに
組込まれる米国特許5,771,962号に開示されている。そ
の明細書に開示されている様に、クラッドは、重量パー
セントで、0.01から0.3 wt. %のリチウム、0.2から0.7
wt. %のマグネシウム、0.01から0.1wt. %のナトリウ
ム、4から13 wt. %の珪素、0から1 wt. %のマンガン、
0.01から0.1 wt. %の銅、0から0.3 wt. %の亜鉛、0.01
から0.7 wt. %のベリリウム及び、合計が1 wt. %を越え
ない不純物、そして残部アルミニウムからなる。アルミ
ニウムのクラッドは、それがクラッドされるアルミニウ
ムよりも10から100℃低い融点を持つのが一般的で、例
えば、Al−Si共晶合金は7から12 wt. %の Si を表面に
含む。
【0014】本発明の化成被覆は、ロウ付け前に、何回
でも施すことが出来る。例えば、製造設備における熱交
換器の様な物品の組立前後に拘らず施すことが出来る。
代わりに、アルミニウムのブレージング・シートへプレ
ス作業の前後いずれにおいても、被覆を施すことが出来
る。更に、上述の様に化成被覆は、蒸発性化成油及び熱
脱脂を用いる最終転造作業の前(上述の米国特許出願09
/193,364号による)又は後のいずれかにおいてロウ付け
可能層を設けるために、冷間転造作業中に基板に施すこ
とが出来る。ここに開示されたアルミニウムにロウ付け
可能な化成被覆を施す本発明の思想の範囲内のこれらの
ものなどの観点は全て、本発明に含まれる。
【0015】
【実施例】[例1]アルミニウム・シートとして、大き
さが3cm × 3cmの4045シートを持つ3003クラッドが10
枚、10本の長さ2.0 cmの3003チューブと共に、10回のチ
ューブ/シート・ロウ付け試験のために、準備された。
これらシートとチューブの9対の試料がまず、本発明の
実施形態に従いKOHの希釈溶液中で洗浄することによ
り、個別に処理された。化成被覆工程を行なう意図でカ
リウムとフッ素を含む処理溶液中に、10対全てが浸漬さ
れた。そのKF溶液は表1に与えられる。試料は、洗浄
及びKF浸漬後に、蒸留水で濯がれた。そして、試料は
49℃(120°F)で乾燥され、ロウ付けが行われた。試料
10は、アルカリ洗浄されなかったので、本発明の実施形
態に従わない唯一の試料である。1を最高の等級とする
1から5までの目盛に基いたこれら10個の試料のチュー
ブ/シート接合性評価結果が、表1に列挙されている。
この表から、試料8は本発明の他の試料程には良くな
く、そして試料10(本発明ではない)のチューブ/シー
ト接合性は低いことが判る。試料8は本発明に従うもの
であるが、処理条件が最適範囲からやや外れている。そ
して、試料10は、洗浄処理が実行されなかったので、本
発明の実施形態に従い準備されたものではない。
【0016】更に、K3AlF6 が形成されたことを確認す
るために、各材料の表面についてのX線解析パターンが
得られた。それは、試料10を含む全ての試料に形成され
ていることが見出された。しかしながら、本発明に従っ
ていない試料10には K3AlF6 が存在しているにも拘ら
ず、化成被覆された材料が良くロウ付けされていなかっ
た。試料1のアルミニウム材料から得られたX線解析パ
ターンが、図5に示されている。更に、試料1の表面形
態が図3に示されている。
【表1】
【0017】[例2]10個のミニ・ヒーター・コア10が
図6に示される様に組立てられた。4045アルミニウムと
共に3003アルミニウム・クラッドから出来た1.5 × 4.0
cmの2本のアルミニウム・チューブ2、4045アルミニウ
ムと共に3003アルミニウム・クラッドから出来た5.0 ×
2.0 cmの2つのヒーター・コア4及び11 cmの長さの300
3フィン材料6が、図6に従い組立てられた。10個のミニ
・コアが試料1乃至10に従い例1と同様に取扱われて、
ロウ付けの対象とされた。ミニ・コアの接合性評価結果
が上記表1の最終列に与えられる。この表より、60℃
(140°F)に維持された1 %の濃度のアルカリ洗浄液の
45秒間の使用と、54から66℃(130から150°F)の温度
範囲に維持された2.5から3.5%の濃度範囲でのKFの使
用により、製造過程についての最適なロウ付け結果が得
られることが、判る。加えて、この表の結果は、最適パ
ラメーター範囲を外れると、製造利用で許容出来なくす
る程、急激にロウ付け品質が落ちることを、示してい
る。その上、表によると、アルカリ洗浄液を使って予め
精密な洗浄をしないで、ロウ付け可能な被覆を施すため
にKF水溶液を使うと、その製品の品質はロウ付け工程
を経ないことになる。
【0018】[例3]3cm × 3cm の4045アルミニウム
を持った3003アルミニウム合金クラッドが準備された。
その合金には蒸発油が塗付され、177℃(350°F)で熱
脱脂された。合金は、3 wt. %のKFに60℃で30秒間浸
漬され、蒸留水で濯がれ、乾燥され、そして、X線解析
が K3AlF6 の存在を示した。
【0019】[例4]例2と同様にミニ・ヒーター・コ
アが組立てられ、例3に従い処理され、良好な品質の完
全ロウ付け接合が得られた。
【0020】[例5]3cm × 3cmの4045アルミニウムを
持った3003アルミニウム合金クラッド2枚が水性脱脂
(1%のKOH、60℃(140°F)、45秒)され、濯がれ
た。試料は、3 wt.%のKF溶液に30秒間60℃(140°
F)で浸漬された。プレスの準備における蒸発油の塗付
の後、試料は2.0 cm × 2.0 cmの2枚のカップへとプレ
ス成形され、組立てられ、そして、ロウ付けされた。蒸
発油は、ロウ付けサイクル中に燃え尽きた。品質の良好
な完全ロウ付け接合が得られた。
【0021】例5は、化成被膜がプレス又は成形前に塗
付される場合にも、アルミニウムにロウ付け可能表面を
与えることを、示すものである。
【0022】[例6]これは、本発明の実施形態に従っ
て作られていない比較例である。例2と同様のミニ・コ
ア組立体が、アセトンで20秒間脱脂され、空気中で乾燥
され、そして、5% KFの水溶液に93℃(200°F)で15
秒間浸漬された。アセトンによる処理は、本発明で要求
される熱脱脂又はアルカリ水脱脂処理の範疇には入らな
い。組立体はその後蒸留水で濯がれ、そして乾燥され
た。組立体は、そして、透明な実験用CAB炉に置か
れ、600から605℃のロウ付け温度に3分間留められる。
ロウ付け後の観察結果は最大で50%の面形成を示し、ク
ラッドの殆どは部品の底に溜まった。化成被膜における
のと同様に表面に K3AlF6 結晶が出来たのが観察された
が、この被膜は、商業的用途では有用でない品質の低い
ロウ付けを生じるものであった。
【0023】[例7]これは、本発明に従い作られてい
ない比較例である。例2の様なミニ・コア組立体が、ア
セトン中に20秒間漬けられ、空気中で乾燥され、1,1,1-
トリクロロエタンに20秒間漬けられ、空気中で乾燥さ
れ、そして、3%のKF溶液に60℃で30秒間漬けられた。
アセトンとトリクロロエタンを用いたこの処理は、本発
明で要求される処理の範疇ではない。ロウ付け後の観察
は、最大で50%の面形成を示し、クラッドの殆どは部品
の底に溜まった。それで、これは商業用途に有用ではな
い。
【0024】[例8]これは、本発明において特定され
るものより低い濃度範囲での比較例である。例2におけ
る様なミニ・コア組立体が、本発明の脱脂の実施形態に
従いKOHの希釈溶液で洗浄され、濯がれ、それから、
1.5%のKF水溶液(本発明において要求される最小値よ
りも濃度が低い)に60℃で60秒間浸された。蒸留水で濯
ぎ、49℃(120°F)で乾燥した後、ロウ付けが実行さ
れた。ロウ付け後の観察は、最大で20%の面形成を示
し、クラッドの殆どが部品の底に溜まった。
【0025】上記の様に処理されロウ付けされていない
試料のX線解析は、 K3AlF6 の存在を示さなかった。表
面形態が図1に示されている。このKF濃度は、浸漬に
よる K 3AlF6 結晶の生成には不十分である。
【0026】[例9]これは、本発明において特定され
たものよりも低い濃度範囲における比較例である。例2
における様なミニ・コア組立体が、本発明の実施形態に
従うKOHの希釈溶液で洗浄され、濯がれ、それから、
0.5%のKF水溶液(本発明において要求される最小値よ
りも濃度が低い)に60℃で30秒間浸された。蒸留水で濯
ぎ、49℃(120°F)で乾燥した後、ロウ付けが実行さ
れた。ロウ付け後の観察は、最大で20%の面形成を示
し、クラッドの殆どが部品の底に溜まった。
【0027】上記の様に処理されロウ付けされていない
試料のX線解析は、 K3AlF6 の存在を示さなかった。表
面形態が図2に示されている。これから判る通り、基地
のアルミニウムが露出し、 K3AlF6 結晶は存在していな
い。
【0028】本発明の特定の実施形態を示し記載したき
たが、本発明から逸脱することなしに種々の変更及び改
良が可能であることが当業者であれば想到するであろう
し、添付の請求項においては、本発明の思想及び範囲に
入る全ての改良案及び均等物に及ぶことが意図されてい
る。
【0029】
【発明の効果】本発明は、従来のフラックスの使用なし
に、耐久性があり、高い品質のロウ付け接合をアルミニ
ウム表面に施すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】KF濃度が本発明の範囲外である、0.5% KF/6
0℃/45秒の条件で処理された1 cm × 1cmの3003/4045
合金の表面形態を示す図である。
【図2】KF濃度が本発明の範囲外である、1.5% KF/6
0℃/45秒の条件で処理された1cm× 1cmの3003/4045合
金の表明形態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による、3.0% KF/60℃/45
秒の条件で処理された1cm × 1cmの3003/4045合金の表
明形態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による、4.0% KF/60℃/45
秒の条件で処理された1cm × 1cmの3003/4045合金の表
明形態を示す図である。
【図5】標準解析パターンと比較した、図3の被膜につ
いてのX線解析パターンである。
【図6】例2において製作されたミニ・ヒーター・コア
組立体の概略を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 キンバリー エー.ラーツァルス アメリカ合衆国 ミシガン州 48120,デ ィアボーン ウッドランド アパートメン ト 106 15621 (72)発明者 マシュー ジョン ザルゼック アメリカ合衆国 ミシガン州 48188,カ ントン カントリー クラブ レーン 310 (72)発明者 ティモシー ヴァン エヴァンス アメリカ合衆国 ミシガン州 48103,ア ン アーバー モンゴメリー アヴェニュ ー 409

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)油脂及び油分をほぼ完全に持たなく
    なるまで、熱脱脂又はアルカリ水溶液脱脂により、アル
    ミニウム表面を処理する工程、 (b)少なくともK3AlF6及び選択的にKAlF4から本質的にな
    る化成被膜を上記処理面上に形成するために、該処理面
    を2.0から25.0 wt.%のKF水溶液に32から100℃の温度
    で少なくとも5秒間接触させる工程、 を有する、上記化成被膜のフラックスレス・ロウ付けを
    可能とするための、アルミニウム表面上の化成被膜を形
    成する方法。
  2. 【請求項2】 上記アルカリ水溶液による脱脂工程が、
    上記表面を水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶
    液に晒す工程、を有する、請求項1の方法。
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