JP2001059162A - レーザ蒸着法によるSi薄膜の形成方法及びその薄膜を構成要素として含む光電変換素子 - Google Patents

レーザ蒸着法によるSi薄膜の形成方法及びその薄膜を構成要素として含む光電変換素子

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JP2001059162A
JP2001059162A JP11236969A JP23696999A JP2001059162A JP 2001059162 A JP2001059162 A JP 2001059162A JP 11236969 A JP11236969 A JP 11236969A JP 23696999 A JP23696999 A JP 23696999A JP 2001059162 A JP2001059162 A JP 2001059162A
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Naoki Koide
直城 小出
Yuji Komatsu
雄爾 小松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光電変換効果を有する高品質な微粒子Si薄
膜をレーザ蒸着法を用いて形成する。及び、非晶質Si
薄膜を用いた光電変換素子よりも出力電圧が高く、光劣
化の少ないSi薄膜系の光電変換素子を提供する。 【解決手段】 Siターゲットにパルスレーザ光を照射
して、基板上にSi薄膜を堆積させるSi薄膜の形成方
法において、不活性ガスを導入して基板上に微粒子Si
薄膜層を形成する工程1と、不活性ガスの導入を停止し
て基板上にSi薄膜層を形成する工程2を有し、工程1
と工程2を少なくとも一回ずつ以上繰り返すことで基板
上に製膜を行う。一回の工程1で形成される微粒子Si
薄膜層の膜厚t1を5〜100nmに設定し、一回の工
程2で形成されるSi薄膜層の膜厚t2がt1の1〜2倍
であるような条件で成膜を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ蒸着法によ
りSi薄膜を形成する方法、及びその薄膜を用いた光電
変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】埋蔵量も多く、環境汚染フリーなSiを
用い、省資源化が可能な薄膜系の光電変換素子材料とし
て、一般的に水素化非晶質Siが利用されている。この
非晶質Siは原子配列に長距離秩序のない構造を持って
おり、並進対称性が失われたために光学遷移過程におい
て運動量保存則を満たす必要がなく、結晶質Siに比べ
て光吸収係数が大きくなるという特徴がある。また、バ
ルク(結晶性)のSiに比べてバンドギャップが広いと
いう特徴も有している。すなわち、光吸収係数が大きい
ことから素子の薄膜化・省資源化が可能であり、原料コ
ストや製造コストを下げることができると同時に、広バ
ンドギャップ材料であることから高い出力電圧を得られ
るという利点を有している。しかし、上記非晶質Siに
は未結合手(ダングリングボンド)と呼ばれる不対電子
が存在し、少数キャリア特性等の半導体特性が結晶質S
iと比較して劣っている。また、非晶質Siを用いた光
電変換素子には光照射によって特性の劣化が起こる等の
問題が生じている。
【0003】一方、粒径がナノメートルオーダーの微粒
子状Siからなる薄膜(以下、微粒子Si薄膜と称す
る)は、非晶質Siからなる薄膜と同様に原子配列に長
距離秩序が存在しないため、結晶質Siに比べて光吸収
係数が大きくなるという特徴がある。また、バルクのS
iに比べてバンドギャップが広いという特徴も有してい
る。更には、微粒子Siの内部には未結合手は存在しな
い。従って、これを使用することにより、出力電圧が高
く、かつ光劣化のないSi系光電変換素子が期待でき
る。
【0004】このような微粒子Si薄膜を作製する方法
として、レーザ蒸着法が挙げられる。次に、レーザ蒸着
法について説明する。一般に、レーザ蒸着法は、大きな
エネルギー密度をもったレーザ光を減圧下でターゲット
に照射し、ターゲットからその構成物(ターゲット種)
を蒸発させて、基板物質上にターゲット組成に近い組成
を有する薄膜を蒸着により形成する方法である。
【0005】レーザ蒸着法は、成膜時の圧力、基板温
度、雰囲気、レーザ光のエネルギー密度等多くのパラメ
ータを独立に選択することが可能であること、薄膜の組
成の制御が容易であること、成膜速度が高いこと等の多
くの利点が挙げられる。また、非常にエネルギーの高い
パルスレーザ光を照射することにより、ターゲットから
放出されるターゲット種は高い運動エネルギーを持つこ
ととなり、比較的低い基板温度においても結晶性の高い
膜を得ることが可能である。更には、一切の電磁場を必
要としないので、ターゲット種中に荷電粒子が含まれて
いてもそれによる影響を受けることがない。従って、高
品質の薄膜を作製するのに適した方法であり、実際、こ
のような利点を有するレーザ蒸着法を利用して特性の優
れた酸化物超伝導薄膜や光電デバイスに応用可能な半導
体薄膜等を作製することが研究されている。
【0006】特に、HeやAr等の不活性ガス雰囲気中
でレーザ蒸着を行うことにより、粒径がナノメートル
(10-9m)オーダーの微粒子薄膜を形成する技術が、
特開平9−275075号公報、特開平10−2149
95号公報等に記載されている。また、Journal
of Applied Physics, Vol.83
(1998),5427頁では、微粒子Si薄膜を利用
したEL発光デバイスの作製例が報告されている。
【0007】微粒子Si薄膜は、その量子閉じ込め効果
により、微粒子粒径の減少に伴いバルクのSi(1.1
eV)に比べてバンドギャップが増大し、可視域(約
1.5〜3.0eV)にも達する。その結果、バルクの
Siでは実現できなかったSiによる室温可視発光が実
験室レベルで観測されており、今後、Si薄膜系光電変
換素子等への応用も期待されている。
【0008】一方、製膜中の不活性ガスを断続的に変化
させるという観点では、二酸化錫ウィスカーの形成方法
に関し、反応炉内で錫蒸気が存在する雰囲気中に不活性
ガスを断続的に送入することで、炉内の錫蒸気濃度を制
御し、二酸化錫ウィスカーの成長、収率を制御するとい
う技術が特開平5−17145号公報に記載されてい
る。しかし、この技術ではウィスカーは高収率で得られ
るものの、同時にボイド(隙間)成分が多く含まれる膜
しか得ることはできない。レーザ蒸着法において、不活
性ガスを断続的に送入しながら薄膜を形成するという技
術は報告されていないが、一般的に不活性ガスを断続的
に送入しても膜中のボイド成分を少なくする効果はない
ものと考えられていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーザ蒸着法で
不活性ガスを導入して作製した微粒子Si薄膜には、ボ
イド(隙間)成分が多く含まれ、吸収した電流が効率よ
く取り出せないという問題点があった。これは、ナノメ
ートルオーダーの微粒子が降り積もる形で薄膜が形成さ
れるために微粒子と微粒子の間に隙間が生じやすく、ボ
イド成分が多く含まれてしまうのが一因であった。従来
のレーザ蒸着法により形成された微粒子Si薄膜の断面
の概念図を図3に示す。図中、1は基板、100は微粒
子Si、102はボイド成分を意味する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、レ
ーザ蒸着法によりSi薄膜を形成する方法において、不
活性ガスを断続的に送入すれば、広バンドギャップであ
りながらボイド成分の少ない高品質な微粒子Si薄膜を
レーザ蒸着法を用いて形成することができることを見出
し、得られたその薄膜を用いることで、非晶質Si薄膜
を用いた光電変換素子よりも出力電圧が高く、光劣化の
少ない光電変換素子が得られることを見出し本発明に至
った。
【0011】かくして本発明によれば、Siターゲット
を用いたレーザ蒸着法による基板上へのSi薄膜の形成
方法であって、Si薄膜を、不活性ガスを導入しつつ微
粒子状Siからなる薄膜層を形成する工程1と、不活性
ガスを導入しないで非晶質Siからなる薄膜層を形成す
る工程2とを少なくとも一回ずつ行うことにより形成す
ることを特徴とするSi薄膜の形成方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記方法により形成されたSi
薄膜を構成要素として含む光電変換素子が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明によれば、Siターゲット
を用いたレーザ蒸着法による基板上へSi薄膜を形成す
る工程が、不活性ガスを導入しつつ微粒子状Siからな
る薄膜層を形成する工程1と、不活性ガスを導入しない
で非晶質Siからなる薄膜層を形成する工程2の少なく
とも一回ずつからなる。この工程により得られるSi薄
膜は、図1に示すように、工程1で形成された微粒子S
i薄膜100の隙間を、工程2で形成される緻密なSi
膜101で埋めた構成を有している。従って、ボイド成
分が減少し、その結果電気伝導特性が改善される。
【0013】これは、工程2により、緻密で、電気伝導
特性が微粒子Si薄膜よりも高い非晶質Si薄膜が形成
されるからである。その結果、量子サイズ効果によって
ワイドバンドギャップ化した微粒子Si薄膜層内部にお
いて、吸収した電流を効率よく取り出すことが可能とな
る。ここで、工程1と工程2は、両工程を一組として、
それを少なくとも一回繰り返すことが好ましい。また、
両工程のうち、工程1から始めることが好ましい。更
に、両工程のうち、工程2で終了することが好ましい。
【0014】上記工程1に使用することができる不活性
ガスとしては、例えば、He、Ne、Ar等が挙げられ
る。この不活性ガスは、純度が高いことが好ましい。更
に、工程1は1〜10Torr、工程2は10-11
0.01Torrの圧力下で行うことが好ましい。ここ
で、工程1で一回に形成される薄膜層は、5〜100n
mの膜厚(t1)を有することが好ましい。この範囲で
あれば、広バンドギャップでありながらよりボイド成分
の少ない高品質な微粒子Si薄膜層の形成が可能であ
り、Si薄膜の電気特性を更に改善させることができ
る。なお、微粒子Si薄膜層中のボイド成分は膜厚の増
大に伴い増加する傾向がある。そのため、t1が100
nmを超えると、膜中のボイド成分が増大してしまい、
工程2において緻密なSi薄膜を堆積させてもボイド成
分を埋め尽くすことが困難となる。従って、t1は10
0nm以下であることが望ましい。また、t1が薄すぎ
ると従来の非晶質Si膜に対する微粒子Si薄膜の利点
が現れにくくなる。そのため、t1は5nm以上である
ことが好ましい。より好ましいt1は10nm〜100
nmである。
【0015】次に、工程2で一回に形成される薄膜層
は、工程1で一回に形成される薄膜層の1〜2倍の膜厚
(t2)を有することが好ましい。この範囲であれば、
非晶質Siよりも出力電圧が高く、効率よく光電流を取
り出すことができ、光劣化の少ない光電変換効果を有す
るSi薄膜を形成することができる。なお、t2がt1
1倍未満であると、微粒子Si薄膜層中のボイド成分を
十分に低減しづらくなり、効率よく光電流を取り出すこ
とが困難となる。一方、t2がt1の2倍を超えると、工
程2で形成される非晶質Si成分の膜中における割合が
増加し、光劣化をおこす割合が増大する恐れがある。工
程1と2は、所望する膜厚のSi薄膜を得ることができ
るまで、繰り返される。ここで、一般的に光電変換素子
に使用されるSi薄膜は、0.3〜10μmの膜厚を有
している。この場合、工程1と2を3〜1000回繰り
返すことが好ましい。
【0016】次に、本発明の形成方法に使用できる図2
のレーザ蒸着装置を参照しつつ、本発明の実施形態を説
明する。なお、以下の説明は、例示であり、種々の変更
が可能である。図2のレーザ蒸着装置は、レーザ発振部
7を備えている。このレーザ発振部7から発生されるレ
ーザ光3としては、エキシマレーザ、Nd:YAGレー
ザの高調波等を使用することが望ましく、より具体的に
は、Nd:YAGレーザの第4高調波(波長266n
m)を使用することができる。
【0017】気密チャンバ4には、レーザ光導入窓11
が設けられ、このレーザ光導入窓11に近接してレーザ
発振部7から発振したレーザ光3を集光してチャンバ4
内に誘導する集光レンズ8が配置されている。気密チャ
ンバ4内には、基板1を保持する基板ホルダ5、ターゲ
ット2を保持するターゲットホルダ6及び真空排気ポン
プ9が設けられている。更に、チャンバ4内に雰囲気ガ
スを導入するための雰囲気ガス導入管10の一端が開口
しており、内部の圧力及び雰囲気を任意に変更すること
が可能である。
【0018】上記の基板ホルダ5は、基板1がレーザ光
3の光軸に対して平行な平面上に位置するように配置さ
れている。そして、この基板ホルダ5は、その内蔵した
モータ(図示せず)によって搭載した基板1をその表面
の成膜面内で回転可能、かつ、基板1の位置を回転軸方
向に対し垂直な方向に移動可能に設けられて、ターゲッ
ト2と基板1との間の距離を調節できるようになってい
る。例えば、最短で約10mmまで近づけることができ
る。更に、基板ホルダ5の内部には基板1を所定の温度
に加熱するためのヒータ(図示せず)が内蔵されてい
る。
【0019】また、上記のターゲットホルダ6は、内蔵
したモータ(図示せず)によって搭載したターゲット2
をターゲット表面内で回転可能に設けられていて、レー
ザ光導入窓11から入射したレーザ光3がターゲット2
に当たるように、入射するレーザ光3の光軸上の位置に
配置されている。よって、レーザ発振部7から発振した
レーザ光3は、ミラーを介することなく、直接に集光レ
ンズ8に誘導され、レーザ光導入窓11を通して気密チ
ャンバ4内に入射してターゲット2上に集光されるよう
になっている。
【0020】更に、気密チャンバ4には、ターゲットホ
ルダ6をターゲット2ともにレーザ光の光軸に沿って移
動可能とするためのターゲット駆動装置12が取り付け
られている。この場合、ターゲット2がレーザ光3の光
軸上を移動すると、ターゲット2上に集光されたレーザ
光3の光径が変化してしまうので、これを防ぐために、
集光レンズ8に集光レンズ駆動装置13が連設されてい
る。このレンズ駆動装置13によって集光レンズ8がレ
ーザ光3の光軸方向及び光軸に垂直な方向にそれぞれ駆
動されるようになっている。
【0021】14は上記のターゲット駆動装置13及び
集光レンズ駆動装置12を連動させるための制御装置で
ある。この連動駆動装置14は、単にターゲット2と集
光レンズ8との間を等距離に保って連動するだけの簡単
な装置であってもよいし、これよりも一層正確な制御を
必要とする場合は、コンピュータ等を用いた制御装置で
あってもよい。
【0022】次に、上記構成のレーザ蒸着装置を用いた
レーザ蒸着方法について説明する。レーザ蒸着による成
膜に際しては、予め基板ホルダ5を上下動させてターゲ
ット2と基板1との間の距離を適切な値になるように設
定しておくことが好ましい。更に、雰囲気ガス導入管1
0から不活性ガス(例えば、高純度Heガス)を導入す
る。この際、弁の開閉、マスフローコントローラー(図
示せず)による不活性ガス流量の制御、及び真空排気ポ
ンプ9のコンダクタンス弁(図示せず)の調整を組み合
わせることにより、内部の圧力及び雰囲気を任意に適切
な値になるように設定しておくことが好ましい。
【0023】レーザ発振部7からレーザ光3が発生し、
このレーザ光3が集光レンズ8を介して気密チャンバ4
内に誘導され、ターゲット2上に集光される。そして、
ターゲット2にレーザ光3を照射することにより発生さ
れるターゲット種は、基板1上に蒸着されて薄膜が形成
される。その際、均一な膜質の薄膜を得るために、基板
1及びターゲット2はそれぞれの回転軸を中心として回
転していることが好ましい。
【0024】また、ターゲットホルダ6は、ターゲット
駆動装置12によってレーザ光3の光軸に沿って水平移
動され、ターゲット2が基板1の広い範囲にわたって走
査される。このとき、集光レンズ8も集光レンズ駆動装
置13によってターゲット2に連動するため、ターゲッ
ト2上でのレーザ光3の口径がターゲット2の移動位置
にかかわらず一定に保たれる。その結果、ターゲット2
上でのレーザ光3の入射エネルギー密度が常に一定にな
り、ターゲット2から発生するプルーム16が安定する
こととなる。
【0025】また、ターゲット2と基板1との間の距離
は、ターゲット2が水平移動しても変化せずに一定であ
るから、ターゲット2を基板1に十分に近づけた状態の
まま成膜が行え、プルームと基板1との距離も安定す
る。これにより、基板1上に、均一な膜質の薄膜を形成
することが可能である。
【0026】上記Si薄膜は、光電変換素子の構成要素
として使用することができる。光電変換素子の具体的な
構成は、Si薄膜を要素として含みさえすれば、特に限
定されず公知の構成(例えば、ショットキー接合型、P
IN接合型)をいずれも使用することができる。具体的
には、第1導電型の基板の表面上に、上記方法で形成さ
れたSi薄膜、基板の裏面に形成された裏面電極、Si
薄膜上に形成された表面電極とから構成されている。こ
こで、基板とは例えばシリコン基板が挙げられる。第1
導電型とは、p型又はn型を意味する。例えば、基板が
シリコン基板の場合、p型を与える不純物としてはホウ
素が挙げられ、n型を与える不純物としてはリンが挙げ
られる。
【0027】また、裏面電極及び表面電極は、銀、マグ
ネシウム、インジウム、アルミニウム、金、白金、タン
グステン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、
ニッケル、パラジウム等の金属や、その酸化物等から形
成することができる。なお、Si薄膜には、所望に応じ
て、不純物を注入してp型又はn型の薄膜としてもよ
い。
【0028】
【実施例】以下、本発明の方法を用いた実施例につい
て、具体的に説明する。 実施例1 図2で示したレーザ蒸着装置を使用して、以下で説明す
る本発明の方法でSi薄膜の形成を行った。ターゲット
2には、直径20mm、厚さ10mmの円板状のSi単
結晶を使用し、基板1には直径10cm、厚さ0.7m
mの石英基板を使用した。レーザ光3とターゲット2の
法線のなす角θは45°に設定した。基板1の表面温度
は室温、基板1とレーザ光3の光軸との間の距離を20
mm、レーザ光3のエネルギーを40mJ/パルス、レ
ーザパルスレートを10Hz、ターゲット2の回転速度
を20rpmに設定した。また、ターゲット2、集光レ
ンズ8及び基板1の位置は固定とし、基板1の回転は行
わずに以下の条件で薄膜の形成を行った。
【0029】まず、雰囲気ガス導入管10から高純度H
eガスを導入した。マスフローコントローラー(図示せ
ず)によりHeガス流量を70sccmに設定し、真空
排気ポンプ9のコンダクタンス弁を調整して、気密チャ
ンバ4内の圧力を1.0Torrに調整した。この状態
でレーザ光3をターゲット2に照射、基板1上に膜厚1
0nmの微粒子Si薄膜層を形成した(以上が工程1で
ある。)。次に、工程1が終了すると同時にレーザ光3
の照射を停止し、雰囲気ガス導入管10の弁を閉じた。
真空度が0.01Torr以下に達したら、レーザ光3
を再びターゲット2に照射、基板1上に膜厚10nmの
Si薄膜層を形成した(以上が工程2である。)。
【0030】更に、工程2が終了すると同時に、レーザ
光3の照射を停止し、雰囲気ガス導入管10の弁を開け
た。真空度が1.0Torrで安定するのを待ち、レー
ザ光3を再びターゲット2に照射、基板1上に更に微粒
子Si薄膜層を10nm形成した(2度目の工程1であ
る。)。以下、上記のような工程1と工程2を各100
回ずつ繰り返し、総膜厚2μmのSi薄膜を得た。
【0031】得られたSi薄膜について、分光エリプソ
メトリー測定による評価を行ったところ、光学ギャップ
は1.7eVであり、有効媒質近似から膜中にはボイド
成分が存在しないことが確認できた。すなわち、広バン
ドギャップでありながらボイド成分の存在しない高品質
な微粒子Si薄膜を形成することができた。
【0032】実施例2 以下で説明する本発明の方法でSi薄膜の形成を行っ
た。実施例2で用いたレーザ蒸着装置は実施例1で使用
した装置と同一の装置であるので、詳細な説明は省略す
る。本実施例において、実施例1の成膜条件と異なる点
は、一回の工程1で形成される微粒子Si薄膜層の膜厚
1及び一回の工程2で形成されるSi薄膜層の膜厚t2
を変更したことにある。また、繰り返し数Nは全体の膜
厚が2μmで一定になるように設定した。具体的には、
実施例1ではt1=t2=10nm(N=100)であっ
たが、実施例2ではt1=t2=5nm、50nm、10
0nm、150nm、200nm、の5条件で成膜を行
った。得られた微粒子Si薄膜について分光エリプソメ
トリー法による測定を行い、有効媒質近似を用いること
で膜中のボイド成分の評価を行ったところ、表1に示す
ような結果が得られた。
【0033】
【表1】
【0034】すなわち、ボイド成分に関しては、t1
5〜100nmのときには十分に少ないが、150nm
以上になると急激に増大した。これは、工程1で形成さ
れる微粒子Si薄膜層が厚くなればなるほど、ボイド成
分が生じやすくなるためと考えられる。
【0035】実施例3 次に、本発明のレーザ蒸着法による微粒子Si薄膜を含
む光電変換素子の形成に関する実施例を説明する。光電
変換素子の基本構造としては、従来報告されている光電
変換素子構造のいずれを使用してもよい。実施例3で
は、ショットキー接合型の構造を採用した。なお、本実
施例で用いたレーザ蒸着装置は実施例1で使用した装置
と同一の装置である。
【0036】まず、基板1には直径10cm、厚さ0.
5mmのn+型単結晶Si基板を用意した。Si基板の
裏面にTi/Ag電極を電子線蒸着法により形成し、H
F10%水溶液で表面の自然酸化膜を除去した後、気密
チャンバ4内にセットした。以下は実施例1と同様にS
i薄膜を形成した。次に、得られた薄膜の上部5mm角
の領域にAuを100Å蒸着した。その結果、Au/微
粒子Siのショットキー接合素子が作製された。膜厚1
00Å程度のAuは300〜1200nmの波長域で5
0%程度の透過率を持つため、このショットキー接合素
子に光を照射すれば、光は微粒子Si内部へ到達する。
その結果、微粒子Si内部で光吸収が起こり、光電変換
効果が観測できた。
【0037】この光電変換素子の開放電圧は1.08V
であり、通常の非晶質Si光電変換素子の開放電圧(約
0.9V)よりも高い値が得られた。またAM1.5の
光を100時間照射し続けたときの短絡電流密度の劣化
率は5%であり、通常の非晶質Si光電変換素子の短絡
電流密度の劣化率(15%程度)に比べて高品質であっ
た。以上のように、本実施例により、従来の非晶質Si
薄膜を利用した光電変換素子よりも出力電圧が高く、か
つ光劣化の少ない微粒子Si薄膜を含む光電変換素子を
提供することができた。
【0038】実施例4 次に、本発明のレーザ蒸着法による微粒子Si薄膜を含
む光電変換素子の形成に関する第2の実施例を説明す
る。この実施例4で用いたレーザ蒸着装置は実施例3で
使用した装置と同一の装置である。本実施例において、
実施例3の成膜条件と異なる点は、一回の工程2で形成
されるSi薄膜層の膜厚t2を変更したことにある。な
お、実施例3ではt2=10nmであったが、実施例4
ではt2=5nm、20nm、30nm、40nm、す
なわち、t2/t1=0.5、2、3、4の4条件で成膜
を行った。得られた光電変換素子について、AM1.5
の光を100時間照射し続けたときの短絡電流密度の劣
化率を測定したところ、表2のような結果が得られた。
【0039】
【表2】
【0040】t2/t1=0.5で作製した光電変換素子
では、分光エリプソメーター測定により有効媒質近似か
ら求めた膜中のボイド成分が40%に達し、光電流を取
り出すことができなかった。一方、t2/t1=2で作製
した光電変換素子では、t2/t1=1の実施例3とほぼ
同様の低い光劣化率が得らた。しかし、t2/t1=3、
4として作製した光電変換素子では、光劣化率は通常の
非晶質Siと同程度の14%、15%に達していた。
【0041】以上の結果から、工程2で形成されるSi
薄膜層の膜厚t2が工程1で形成される微粒子Si薄膜
層の膜厚t1の1〜2倍であるとき、より光劣化の少な
い微粒子Si薄膜を含む光電変換素子を得られることが
分かった。すなわち、t2がt1の1倍未満であると、微
粒子Si薄膜層中のボイド成分を十分に低減することが
できず、効率よく光電流を取り出すことが困難となり好
ましくない。一方、t2がt1の2倍を超えると、工程2
で形成される非晶質Si成分の膜中における割合が増加
し、光劣化をおこす割合が増大してしまうので好ましく
ない。t2がt1の1〜2倍であれば、効率よく光電流を
取り出し、かつ光劣化を抑えることが可能であることが
分かった。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を奏する。 (1)工程1で形成された微粒子Si薄膜層の隙間を、
工程2で形成された非晶質Si薄膜で埋めることが可能
であり、ボイド成分を減少することができる。よって、
電気伝導特性を改善することができる。その結果、量子
サイズ効果によってワイドバンドギャップ化した微粒子
Si薄膜層内部において、吸収した電流を効率よく取り
出せないという問題を解消することができる。 (2)広バンドギャップでありながらボイド成分の少な
い高品質な微粒子Si薄膜層の形成が可能であり、Si
薄膜の電気特性を改善させることができる。 (3)非晶質Siを用いた光電変換素子よりも出力電圧
が高く、光劣化の少ない光電変換効果を有するSi薄膜
を形成することができる。 (4)非晶質Siを用いた光電変換素子よりも出力電圧
が高く、光劣化の少ないSi薄膜系の光電変換素子を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ蒸着法で形成されるSi薄膜の
概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレーザ蒸着装置の構成
図である。
【図3】従来のレーザ蒸着法で形成されたボイド成分を
含む微粒子Si薄膜の概念図である。
【符号の説明】
1 基板 2 ターゲット 3 レーザ光 4 気密チャンバ 5 基板ホルダ 6 ターゲットホルダ 7 レーザ発振部 8 集光レンズ 9 真空排気ポンプ 10 雰囲気ガス導入管 11 レーザ光導入窓 12 ターゲット駆動装置 13 集光レンズ駆動装置 14 制御装置 16 プルーム 100 微粒子Si薄膜 101 非晶質Si薄膜 102 ボイド成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 BA35 BB02 BB10 BC07 BD00 CA01 DB02 DB20 EA01 5F051 AA04 AA05 CA12 CA34 5F103 AA01 BB23 DD16 GG02 GG03 LL04 NN06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siターゲットを用いたレーザ蒸着法に
    よる基板上へのSi薄膜の形成方法であって、Si薄膜
    を、不活性ガスを導入しつつ微粒子状Siからなる薄膜
    層を形成する工程1と、不活性ガスを導入しないで非晶
    質Siからなる薄膜層を形成する工程2とを少なくとも
    一回ずつ行うことにより形成することを特徴とするSi
    薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 工程1で一回に形成される薄膜層が、5
    〜100nmの膜厚を有する請求項1に記載の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 工程2で一回に形成される薄膜層が、工
    程1で一回に形成される薄膜層の1〜2倍の膜厚を有す
    る請求項1又は2に記載の形成方法。
  4. 【請求項4】 Si薄膜が、0.3〜10μmの厚さを
    有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つに記載の方
    法により形成されたSi薄膜を構成要素として含む光電
    変換素子。
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