JP4063493B2 - 結晶薄膜製造装置、結晶薄膜製造方法および結晶薄膜素子 - Google Patents

結晶薄膜製造装置、結晶薄膜製造方法および結晶薄膜素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多結晶シリコン薄膜などの結晶薄膜の製造装置、製造方法、および、前記結晶薄膜を用いた結晶薄膜素子に関する。特に、本発明は、厚膜の高品質結晶薄膜を、低温プロセスにて高スループットで形成する場合に有用であり、太陽電池などの結晶薄膜素子の高性能化、高スループット化に効果的である。
【0002】
【従来の技術】
TFT,薄膜太陽電池などのSi薄膜を用いたデバイスにおいては、その高性能化のために、高品質の多結晶Si薄膜が要望されている。多結晶Si薄膜の形成技術としては、低温プロセスにて高品質の結晶を形成できる事から、レーザアニール技術が有望視されている。
【0003】
レーザアニール技術による多結晶Si薄膜の形成方法を、図12を参照して説明する。図において、1001は成膜装置,1101はレーザアニール装置である。成膜装置1001としては、減圧CVD装置,スパッタ装置,プラズマCVD装置などが用いられるが、図には、プラズマCVD装置を用いた場合の例を示している。1002は成膜チャンバ,1003は放電電極,1004は基板ホルダ,1005は高周波電源である。ガラスなどの基板1006は、基板ホルダ1004上に搭載され、放電電極1003と対向して配置される。成膜チャンバ1002内には、図示しないガス供給排気機構より成膜用ガスが導入され、所定の圧力に維持される。成膜用ガスとしては、例えば、SiH4とH2との混合ガスが用いられる。上記の構成において、高周波電源1005から放電電極1003に高周波電力を供給すると、成膜用ガスが分解,励起されて、プラズマPPが発生する。そして、プラズマPP中の反応種の作用によって、基板1006上にアモルファスSi薄膜が堆積される。
【0004】
成膜装置1001によってアモルファスSi薄膜が成膜された基板1006は、成膜装置1001から取り出され、図示しない搬送機構によって、レーザアニール装置1101まで運ばれる。そして、レーザアニールチャンバ1102の中に設置される。レーザアニールチャンバ1102の上面の一部には、レーザ透過用の窓部1103が設けられている。1109は、基板1006が搭載される基板ホルダで、図中のXR方向に移動可能となされている。レーザアニールチャンバ1102の窓部1103の上方には、レーザ照射部1105が配置されている。レーザビームLBBは、パルスレーザ発振器1107からパルス的に出射され、光学系1108を介して、レーザ照射部1105に導かれる。
【0005】
レーザとしては、一般的には、XeClなどのエキシマレーザが用いられ、基板1006に照射されるレーザビームLBBのXR方向の長さは、その方向の基板1006の長さに比べて遥かに短い。レーザビームのエネルギは数100mJ/cm2/パルス程度、パルス幅は数10ns程度であり、発振周波数は数100Hz程度である。この構成において、基板1006をXR方向に連続的に移動させながら、レーザ照射部1105より基板1006にレーザビームLBBを照射すると、基板1006上のアモルファスSiが順次連続的に、溶融・結晶化し、多結晶Si薄膜が形成される(レーザアニールが施される)。
【0006】
上記したレーザアニール技術、特にXeClなどのエキシマレーザを用いたレーザアニール技術では、アモルファスSi薄膜のみがレーザを吸収して溶融し、溶融したSi薄膜がレーザ照射終了後の基板側への熱流出によって冷却されるため、100ns程度の極短時間内にSi薄膜の溶融・結晶化が完了する。このため、基板1006を温度上昇させる事なく、低温プロセスにて高品質の多結晶Si薄膜を形成する事ができる。
【0007】
レーザアニール技術により形成した多結晶Si薄膜を用いる事により、高移動度のTFTや、高効率の薄膜太陽電池を作製する事ができる。レーザアニール技術を用いた薄膜多結晶Si太陽電池については特開平7−94766号公報に開示されている。なお、該公報のレーザアニールでは、膜厚の薄い多結晶Si薄膜を形成する場合にはエキシマレーザを用いているが、膜厚の厚い多結晶Si薄膜を形成する場合にはYAGレーザ、Arレーザなどの長波長レーザを用いている。
【0008】
以下、該公報の開示内容について図13を参照して説明する。図13は、薄膜多結晶Si太陽電池の断面構造図を示す。図において1006は基板で、この例においてはガラスである。基板1006上には反射防止膜1201がCVD法によって形成されている。
反射防止膜1201の上には、CVD法によって、数100Å程度のp+型のアモルファスSi薄膜が成膜される。次に、このp+型アモルファスSi薄膜がエキシマレーザ照射によってレーザアニールされ、p+型多結晶Si薄膜1202が形成される。
【0009】
続いて、p+型多結晶Si薄膜1202の上に、CVD法によって、n型のアモルファスSi薄膜が約2μm成膜される。そして、このn型アモルファスSi薄膜にYAGレーザ、Arレーザなどの長波長レーザが照射され、n型多結晶Si膜1203が形成される。このように、p+型多結晶Si薄膜1202の上に、n型多結晶Si薄膜1203が積層される事により、pn接合が形成される。ここで、n型多結晶Si薄膜1203が2μm程度の厚膜とされているのは、この領域が太陽光発電領域となるためであり、これを薄くする事はできない。また、n型多結晶Si薄膜1203を形成するのに長波長レーザが用いられているのは、2μm程度の厚膜のアモルファスSi薄膜に対してレーザエネルギを吸収させるためである。したがって、この領域のレーザアニールでは、レーザ照射を、エキシマレーザに変更する事はできない。
【0010】
次に、n型多結晶Si薄膜1203の上に、CVD法によって、n+型のアモルファスSi薄膜が成膜される。そして、このn+型アモルファスSi薄膜がエキシマレーザ照射によってレーザアニールされ、n+型多結晶Si薄膜1204が形成される。n+型多結晶Si薄膜1204の上には、裏面電極1205が形成される。
【0011】
上記の太陽電池は、レーザアニールにより形成した多結晶Si薄膜を順次積層した構造をなしている。したがって、各層において、高品質の多結晶Si薄膜が得られる。更に、前記積層構造とする事により、n型多結晶Si薄膜1203の面方位を、下層のp+型多結晶Si薄膜1202の面方位を反映させたものとする事ができる。これらの結果、キャリア拡散長を長くでき、また、良好なpn接合が得られるので、高い変換効率を得る事ができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーザアニール技術には、以下のような解決すべき課題があった。
▲1▼μmオーダーの厚膜の高品質結晶を得にくい事
▲2▼スループットが低い事
上記課題について、具体的に説明する。
【0013】
(1)厚膜の高品質結晶を得にくい事について。
図13に示したn型多結晶Si薄膜1203のような、2μm程度の厚膜の多結晶Si薄膜を形成するためには、初期膜である厚膜のアモルファスSi薄膜に対してエネルギが十分吸収されるように、長波長のレーザを使用しなければならない。しかしながら、このような長波長レーザにより厚膜のアモルファスSi薄膜を溶融させる事は、基板1006を温度上昇させる事を意味し、ガラスなどの低融点の基板を用いる事が困難となる。
【0014】
また、長波長レーザではエキシマレーザのような大出力を出す事ができず、更に、アモルファスSi薄膜が厚膜である事の寄与も加わり、長時間に亙るレーザ照射を要する。その結果、アモルファスSiの溶融時間がかなり長くなってしまう。このため、基板1006からの汚染が発生し、また、スループットの低下にも繋がる。更に、厚膜のアモルファスSi薄膜に対するレーザアニールでは、結晶核が膜厚方向にランダムに生じやすく、膜厚方向を横切る結晶粒界が生じてしまう。この事は、太陽電池など、膜厚方向のキャリア拡散長が重視されるような用途においては、特に問題となる。すなわち、従来のレーザアニール技術では、厚膜の高品質結晶を得る事が困難であった。
【0015】
(2)スループットが低いことについて。
従来のレーザアニール技術では、図12に示す如くに、成膜装置1001によってアモルファスSi薄膜を成膜し、その後、成膜装置1001から基板1006を取り出し、レーザアニール装置1101まで搬送する。その後に、レーザアニール装置1101によって、基板1006上のアモルファスSi薄膜に対してレーザアニールを施す。このように別個の装置間で基板1006のやりとりを行うため、スループットが低くなる。
ここで、成膜処理とレーザアニール処理とを一つのチャンバで行うことも考えられるかもしれない。しかし、この場合、それら二つの処理が同じガス雰囲気で行われるか、少なくとも一方の処理が不純ガスを含んだ状態で行われることになるので、高品質結晶を得ることが難しくなる。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、レーザアニール技術を用いた結晶薄膜の製造方法において、▲1▼厚膜の高品質結晶を得る事、▲2▼スループットを高める事を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、放電電極を有し、基板に放電により非結晶薄膜を成膜処理する成膜チャンバと、
レーザ照射部を有し、基板に成膜処理された非結晶薄膜を、該非結晶薄膜にレーザ照射によりアニール処理を施し結晶化させるレーザアニールチャンバと、
このレーザアニールチャンバおよび前記成膜チャンバにそれぞれチャンバガスを供給するチャンバガス供給手段と、
基板を保持するための基板ホルダと、
前記成膜チャンバとレーザアニールチャンバとを、基板ホルダが基板を保持した状態で移動可能で、かつ両チャンバを異なる雰囲気に維持可能に連通させる狭くて長い連通口と、
前記基板ホルダを、前記成膜チャンバから前記連通口を介して前記レーザアニールチャンバへ連続的に移動させ、それによって、前記基板ホルダに保持されて移動する基板に対して放電による成膜処理とレーザによるアニール処理とを順次連続的に施す移動機構と
を備えてなることを特徴とする結晶薄膜製造装置を提供する。
【0018】
すなわち、本発明は、基板ホルダを、成膜チャンバからレーザアニールチャンバへ、基板ホルダが基板を保持した状態で移動可能で、かつ両チャンバを異なる雰囲気に維持可能にして両チャンバ間を連通させる狭くて長い連通口を介して、連続的に移動させる移動機構を備えているので、非結晶薄膜の成膜と、その非結晶薄膜の結晶化とを、不純ガスを含まない状態で連続的にインラインにて繰り返すことができ、それによって厚膜の高品質の結晶薄膜を高いスループットで得ることができる。
ここで、結晶薄膜製造装置の成膜チャンバは、放電電極を更に備え、移動機構が基板ホルダを前記放電電極に対して連続的に移動させ、基板に非結晶薄膜を順次連続的に成膜してもよい。また非結晶薄膜成膜用のガス供給口およびガス排気口を放電電極の直近に更に備えることもでき、さらに成膜チャンバは、カバー体を更に備え、放電電極と、前記カバー体と、基板ホルダとにより、非結晶薄膜成膜用のガス供給口からガス排気口に通じるガス流路を形成できる。
【0019】
そして、このガス流路を略U字形に形成できる。
更に、成膜チャンバは、触媒体を更に備え、移動機構が、前記触媒体に対して基板ホルダを連続的に移動させ、基板に非結晶薄膜を順次連続的に成膜することができる。また、成膜チャンバは、非結晶薄膜成膜用のガス流路を形成するガス流路形成部材を更に備え、触媒体を前記ガス流路中に配置でき、ガス流路を略U字形に形成できる。ここで、好ましい触媒体としては、タングステン、モリブデン、タンタルなどが挙げられる。
【0020】
一方、レーザアニールチャンバは、レーザ照射部を更に備え、移動機構が、前記レーザ照射部に対して基板ホルダを連続的に移動させ、基板に成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を順次連続的に施し結晶化させることができる。
ここで、移動機構は、基板ホルダを往復移動させてもよい。
【0021】
本発明は、別の観点によれば、基板に非結晶薄膜を成膜し、この成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を施して結晶化させ、基板に結晶薄膜を形成することよりなり、
請求項1に記載の結晶薄膜製造装置を用い、
前記基板に非結晶薄膜を成膜するための成膜チャンバ内の雰囲気と、前記レーザによるアニール処理を施すためのレーザアニールチャンバ内の雰囲気とを、各々異なる雰囲気とした状態で、前記成膜チャンバから前記レーザアニールチャンバへ、基板を、この基板を保持する基板ホルダを移動させる移動機構により連続的に移動させることによって、
前記成膜処理と、前記レーザによるアニール処理とを、移動する基板に対して順次連続的に施すことを特徴とする結晶薄膜製造方法を提供できる。
本発明は、さらに別の観点によれば、基板に非結晶薄膜を成膜し、この成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を施して結晶化させ、基板に結晶薄膜を形成することよりなり、
請求項4に記載の結晶薄膜製造装置を用い、
前記基板に非結晶薄膜を成膜するための成膜チャンバ内の雰囲気と、前記レーザによるアニール処理を施すためのレーザアニールチャンバ内の雰囲気とを、各々異なる雰囲気とした状態で、前記成膜チャンバから前記レーザアニールチャンバへ、基板を、この基板を保持する基板ホルダを移動させる移動機構により連続的に移動させることによって、
前記成膜処理と、前記レーザによるアニール処理とを、移動する基板に対して順次連続的に施すことを特徴とする結晶薄膜製造方法を提供できる。
【0022】
本発明はさらに別の観点によれば、請求項9〜13のいずれか1つに記載の結晶薄膜製造方法により形成される結晶薄膜を用いた結晶薄膜素子であって、結晶薄膜素子が異なる導電型の半導体薄膜の積層構造からなることを特徴とする結晶薄膜素子を提供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態に基づいて本発明を詳述する。なお、これによって本発明は限定されるものではない。
【0024】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図3を用いて説明する。まず、本実施形態に係る結晶薄膜製造装置100の構成を、図1、図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る結晶薄膜製造装置100の断面図を示す。図2は、後述する連通口3および放電電極7の近傍の部分断面斜視図を示す。
【0025】
図において、1は成膜チャンバ,2はレーザアニールチャンバで、各々のチャンバ1,2は、連通口3を介して連通している。4はガラスなどの基板で、基板ホルダ5の上に搭載されている。基板ホルダ5の内部には、図示しないヒータが内蔵されており、必要に応じて基板4を加熱する。
【0026】
基板ホルダ5は、移動機構6と接続され、図中のX方向に往復移動可能となされている。移動機構6として、図1には、駆動部6aがチャンバ1、2の外部に配置された、いわゆる御神輿機構の例を示しているが、これに限らず、ラックピニオン方式,ボールネジ方式などの機構が採用されてもよい。但し、チャンバ1,2内部のパーティクル抑制の観点からは御神輿機構が望ましい。図中の6cはシャフト部、6bは蛇腹部を示している。
【0027】
前記移動機構6によって、基板ホルダ5上の基板4は、連通口3を介して、成膜チャンバ1〜レーザアニールチャンバ2の間を連続的に往復移動できる。連通口3は、基板4および基板ホルダ5が通過できる範囲で、可能な限り狭く設定され、そのX方向の長さは可能な限り長く設定されている。すなわち、連通口3における空間のコンダクタンスが極力小さくなるようになされている。なお、基板4の往復移動の過程において、基板ホルダ5のみが連通口3を通過するような場合が生じるが、そのような場合でも、基板ホルダ5に突出部5aを設けていれば、図2に示す如くに、連通口3と基板ホルダ5との間の間隔を極力小さくすることができる。
【0028】
成膜チャンバ1には、X方向に往復移動する基板4と対向するように、放電電極7が配置されている。放電電極7は、断面が略円弧状なる曲面を有し、高周波電源9と接続されている。8a及び8bは、絶縁体からなる第1及び第2のカバー体であり、第1及び第2のカバー体8a、8bを併せて、カバー体8と称する。第1カバー体8aの外周部は、導体で覆われ接地されていてもよい。カバー体8は、放電電極7及び基板4とともに、略気密な空間を形成する。10は、ガスボンベなどからなる成膜用ガス供給手段、11は、真空ポンプなどからなる成膜用ガス排気手段である。成膜用ガス供給手段10から供給された成膜用ガスは、カバー体8、放電電極7、及び基板4とから形成される前記の略気密な空間を通り、成膜用ガス排気手段11に至る。このようにして形成されたガス流路は、図中のFで示すような滑らかな略U字形状をなし、そのコンダクタンスは非常に大きい。一方、第1カバー体8aの底面部8cは、可能な限り狭い空間を隔てて基板4と対向し、その対向部のX方向の長さは可能な限り長く設定されている。すなわち、成膜用ガスは、ガス流路Fの外部にはほとんどリークせずに、成膜用ガス排気手段11に至る。12および13は夫々、成膜チャンバ1の内部空間の雰囲気を形成するための、第1雰囲気ガス供給手段および、第1雰囲気ガス排気手段である。
【0029】
レーザアニールチャンバ2の上面の一部には、石英などの材質の窓部24が設けられ、この上方に、レーザ照射部21が配置されている。23はレーザ発振器で、XeCl、KrFなどのエキシマレーザをパルス的に出射する。発振周波数は数100Hz程度で、パルス幅は数10ns程度である。レーザ発振器23から出射されたレーザビームは、ホモジナイザなどで構成される光学系22を通ってレーザ照射部21に導かれ、窓部24を介して基板4に照射される。基板4に照射されるレーザビームLBのX方向の長さは1mm程度で、照射エネルギは数100mJ/cm2/パルス程度である。25および26は夫々、レーザアニールチャンバ2の内部空間の雰囲気を形成するための、第2雰囲気ガス供給手段および、第2雰囲気ガス排気手段である。
【0030】
次に、結晶薄膜製造装置100を用いた多結晶Si薄膜の製造方法について説明する。まず、成膜用ガス排気手段11,第1雰囲気ガス排気手段13,および第2雰囲気ガス排気手段26によって、ガス流路F,成膜チャンバ1,およびレーザアニールチャンバ2の内部を減圧する。その後、第1雰囲気ガス供給手段12より、成膜チャンバ1の内部に第1雰囲気ガスを導入する。また、第2雰囲気ガス供給手段25より、レーザアニールチャンバ2の内部に第2雰囲気ガスを導入する。そして、成膜チャンバ1の内部および、レーザアニールチャンバ2の内部を、夫々、所定の圧力に維持する。その後は、この所定の圧力を維持するために、第1雰囲気ガス供給手段12、第1雰囲気ガス排気手段13、第2雰囲気ガス供給手段25、及び第2雰囲気ガス排気手段26を適宜調整しながら動作させておいてもよい。第1雰囲気ガスとしては、He、Arなどの不活性ガスが選ばれ、第2雰囲気ガスとしては、He、Ar、N2などが選ばれる。好ましくは、第1雰囲気ガスと第2雰囲気ガスとは同種のガスとされ、例えばHeが用いられる。
【0031】
次に、成膜用ガス供給手段10と成膜用ガス排気手段11とを同時に動作させ、所定の圧力にて、図1中のFで示すような略U字形状の高速のガス流を形成する。成膜用ガスとしては、成膜に寄与する反応ガスのみ、又は、この反応ガスと不活性ガスとの混合ガスが用いられる。反応ガスとしては、SiH4などのSi原子を含むガスが単体で、又はH2などの他のガスと混合して用いられる。不活性ガスとしては、He、Arなどが用いられるが、第1雰囲気ガスと同種のガスである事が好ましく、例えばHeが用いられる。
【0032】
上記のようにして、ガス流路Fの内部、成膜チャンバ1の内部、及びレーザアニールチャンバ2の内部に、夫々、所定のガス雰囲気を形成する。好ましくは、ガス流路F内の圧力Pp、成膜チャンバ1内の圧力P1、およびレーザアニールチャンバ2内の圧力P2を、夫々、下式の関係を満たすように設定する。
Pp<P1≧P2 (1)
【0033】
例えば、ガス流路F、成膜チャンバ1、及びレーザアニールチャンバ2を、夫々、以下のようなガス雰囲気に設定する。
ガス流路F:He+SiH4(100Torr)
成膜チャンバ1:He(110Torr)
レ−ザアニ−ルチャンバ2:He(105Torr)
【0034】
ここで、成膜チャンバ1の内部空間とガス流路Fとの間で、夫々異なるガス雰囲気を形成できるのは、ガス流路Fが略U字形状をなしているために、そのコンダクタンスが非常に大きい事、および、第1カバー体8aの底面部8cと基板4間の空間のコンダクタンスが非常に小さい事による。
【0035】
すなわち、成膜用ガス供給手段10から供給される成膜用ガスは、ガス流路Fの外部にほとんどリークせず、略U字形状の流線をもって高速に成膜用ガス排気手段11に至るである。また、成膜チャンバ1とレーザアニールチャンバ2との間で、夫々異なるガス雰囲気を形成できるのは、連通口3と基板4(基板ホルダ5)間の空間のコンダクタンスが非常に小さい事による。これらの結果、SiH4などからなる成膜用ガスが、レーザアニールチャンバ2の内部に混入する事を防止できる。また、レーザアニールチャンバ2内で発生する、成膜用ガスとは異なる不純なガスなどが、ガス流路F内に混入する事を防止できる。これらの作用は、上記(1)式の設定を行う事により、更に顕著なものとなる。なお、(1)式の設定を行った場合、成膜チャンバ1内の第1雰囲気ガスがガス流路F内に微量に混入する事も考えられるが、第1雰囲気ガスがHeなどの不活性ガスであって、これが微量に混入したとしても、後述する非結晶Si薄膜の成膜特性にはほとんど影響を与えない。
【0036】
上記のように、ガス流路F,成膜チャンバ1,及びレーザアニールチャンバ2が、夫々所定のガス雰囲気とされた状態で、移動機構6によって基板ホルダ5(基板4)をX方向に連続的に往復移動させる。以下、図3に示すフローチャートも参照し、基板4が左方向の移動から開始する場合を例として説明する。
【0037】
まず、左方向に連続的に移動している基板4は、放電電極7と対向する部分において、成膜用ガス供給手段10より成膜用ガスを供給される。そして、高周波電源9から放電電極7に高周波電力を供給する事により、成膜用ガスに基づくプラズマPが発生し、SiH4などの反応ガス分子が分解、励起される。こうして生成された反応種の作用により(プラズマCVDにより)、基板4上に非結晶のSi薄膜40aが成膜される(STEP1)。なお、本願明細書において、非結晶Si薄膜とは、アモルファスや微結晶のSi薄膜を指す。この非結晶Si薄膜40aは、基板4の左方向移動により、順次連続的に基板4上に成膜される。そして、基板4の右端部まで非結晶Si薄膜40aが成膜された段階で、基板4は左方向の移動を停止し、向きを変えて右方向の移動を開始する。基板4の右方向移動により、非結晶Si薄膜40aの上に、上記と同様の非結晶Si薄膜40bが順次連続的に成膜される(STEP1)。非結晶Si薄膜40a及び40bの厚さは、高周波電力や反応ガス分圧、成膜用ガス流量などの成膜条件によって調整され、後述するエキシマレーザによる結晶化が可能なように、数100Å〜数1000Å程度の厚さとされる。
【0038】
非結晶Si薄膜40bが成膜された基板4は、続く右方向移動により、連通口3を通って、連続的にレーザアニールチャンバ2に入る。非結晶Si薄膜40a、40bからなる非結晶Si薄膜40は、レーザ照射部21と対向する位置にて、エキシマレーザビームLBを照射され、極短時間内に溶融・結晶化して多結晶Si薄膜50が形成される(レーザアニールされる)(STEP2)。このレーザアニールは、基板4の右方向移動により順次連続的に施される。なお、この過程においては、図11に示すように、基板4の比較的右側の部分がレーザアニールを施され、基板4の比較的左側の部分で非結晶Si薄膜が成膜される様な状態も生じる。基板4の左端部まで多結晶Si薄膜50が形成された段階で、基板4は向きを変えて左方向の移動を開始する。基板4の左方向移動により、多結晶Si薄膜50は、再び上記と同様のレーザアニールを順次連続的に施され、より高品質の多結晶Si薄膜50が形成される(STEP2)。
【0039】
多結晶Si薄膜50が形成された基板4は、続く左方向移動により、連通口3を通って、連続的に成膜チャンバ1に入る。基板4が続いて左方向移動し、その後、向きを変えて右方向移動する事により、前記と同様の40a、40bからなる非結晶Si薄膜40が、多結晶Si薄膜50の上に成膜される(STEP3)。
【0040】
非結晶Si薄膜40が成膜された基板4は、続く右方向移動により、連続的にレーザアニールチャンバ2に入る。非結晶Si薄膜40は、レーザ照射部21と対向する位置にてエキシマレーザビームLBを照射されて溶融する。そして、その下地の多結晶Si薄膜50を種として結晶成長し、多結晶Si薄膜51が形成される(STEP4)。このレーザアニールは、基板4の右方向移動により順次連続的に施される。基板4の左端部まで多結晶Si薄膜51が形成された段階で、基板4は向きを変えて左方向に移動する。そして、再び上記と同様のレーザアニールを施され、より高品質の多結晶Si薄膜51が形成される(STEP4)。多結晶Si薄膜50および51のように、基板4の1往復移動によって形成される多結晶Si薄膜を、以下では、1レイヤーの多結晶Si薄膜と称する事にする。ここで、上に形成された多結晶Si薄膜51は、下地の多結晶Si薄膜50を種として結晶化したものであるから、各レイヤーの界面に結晶粒界はほとんど生じない。なお、この作用については、第2レイヤー目以降のレーザアニールにおけるレーザ照射エネルギを、第1レイヤーにおけるエネルギよりも大きくする事により、更に顕著なものとなる。
【0041】
以後、基板4の往復移動によって前記と同様の動作が繰り返され、複数レイヤーの多結晶Si薄膜が、50,51,… といったように積層されて厚膜化し、多結晶Si膜60が形成される。そして、多結晶Si膜60の厚さが所定の厚さtとなった時点で、移動機構6による基板4の往復移動が停止され、成膜チャンバ1またはレーザアニールチャンバ2に設けられた図示しない基板取出し口より、基板4が取り出される。(STEP5)。
【0042】
本実施形態は、成膜チャンバ1〜レーザアニールチャンバ2の間で、基板4を連続的に往復移動させる構成としているから、非結晶Si薄膜の成膜とレーザアニールによる結晶化とを交互に繰り返す事ができる。このため、数μm程度の厚膜の多結晶Si膜60を形成する場合においても、一回のレーザアニールで溶融すべき非結晶Si薄膜40の厚さは数100Å〜数1000Å程度でよい。したがって、エキシマレーザを用いて、短時間内での溶融・結晶化を行う事ができ、その結果、基板温度を上昇させず、また、基板からの汚染も少ない状態で、高品質の多結晶Si薄膜を1レイヤーずつ確実に形成する事ができる。しかも、数100Å〜数1000Å程度の非結晶Si薄膜40のエキシマレーザアニールにおいては、下地の多結晶Si薄膜を種として結晶成長させる事ができるため、膜厚方向を横切るような結晶粒界をほとんど生じさせずに、厚膜の多結晶Si膜60を形成する事ができる。すなわち、本実施形態では、低温プロセスにて、厚膜の高品質結晶を得る事ができ、本発明の第1の目的が達成できた。
【0043】
また、本実施形態では、非結晶Si薄膜の成膜からレーザアニールまでを、一貫してインラインにて行う事ができるから、異なる装置間で基板4のやりとりを行う必要がなくなり、大幅にスループットを向上させる事ができる。すなわち、本発明の第2の目的が達成できた。
【0044】
(第1の実施形態の変形実施例1)
上記の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造装置100は、成膜チャンバ1とレーザアニールチャンバ2とを併設したものであったが、スループットを向上させるために、成膜チャンバ1の両側にレーザアニールチャンバ2を1台ずつ配置してもよい。また、レーザアニールチャンバ2の両側に成膜チャンバ1を1台ずつ配置してもよい。最もスループットが向上するように適宜に配置すればよい。例えば、非結晶Si薄膜の成膜速度を第1の実施形態(図1)よりも2倍に高める事ができる場合には、図4に示す結晶薄膜製造装置200を用いる事により、スループットが向上する。
【0045】
本変形実施例では、成膜チャンバ1による非結晶Si薄膜の成膜速度が、第1の実施形態よりも2倍速い事を前提としているので、基板4の右方向移動または左方向移動のいずれか一方の移動のみで、レーザアニールを施すべき厚さの非結晶Si薄膜40が形成される。そこで、成膜チャンバ1の両側にレーザアニールチャンバ2を1台ずつ配置し、レーザアニールによる律速が起こらないようにしている。その結果、第1の実施形態と同じ膜厚の多結晶Si膜60を形成するのに、基板4の移動速度を一定として、往復回数を半分に減らす事ができる。すなわち、成膜速度が速い事の効果をスループットに反映させる事ができる。その他、結晶薄膜製造装置200の構成要素、基本動作、及び作用効果は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。なお、本変形実施例では、連通口3,3が間隔を隔てて2個設けられているので、これと対応して、基板ホルダ5の突出部5aは第1の実施形態よりも長くなされている。
【0046】
(第1の実施形態の変形実施例2)
上記の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造装置100は、成膜チャンバ1とレーザアニールチャンバ2とを、連通口3を介して併設しているものであった。しかしながら、ガス流路Fの気密性が十分に高ければ、成膜チャンバ1とレーザアニールチャンバ2とを兼ねてもよい。すなわち、成膜用ガスがレーザビームLBを照射される領域に混入せず、また、成膜用ガスとは異なる不純なガスがガス流路F内に混入しなければよい。また、前記の双方の混入があったとしても、これらが微量であって、成膜特性やレーザアニールの特性に影響を与えなければよい。このような場合には、図5に示すような結晶薄膜製造装置300を用いる事ができる。
【0047】
本変形実施例の結晶薄膜製造装置300では、成膜チャンバ1とレーザアニールチャンバ2とを兼ねて、1個のチャンバ301としている。また、チャンバ301内のガス雰囲気を形成するための、雰囲気ガス供給手段302及び雰囲気ガス排気手段303も、夫々1個ずつ設けている。ガス流路F内およびチャンバ301内は、例えば以下のようなガス雰囲気に設定すればよく、特に、このような圧力設定の場合には、SiH4などからなる成膜用ガスがレーザビームLBを照射される領域に混入する事を、かなり防止できる。
ガス流路F:He+SiH4(100Torr)
チャンバ301:He(110Torr)
その他の構成や、基本動作、および作用効果は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0048】
(第1の実施形態の変形実施例3)
上記の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造装置100では、略気密な、成膜用ガスのガス流路Fを形成した。しかしながら、レーザアニールチャンバ2への成膜用ガスの混入が少なく、また、プラズマP部への、成膜用ガスとは異なる不純なガスの混入が少なければ、上記構成には限らない。例えば、図6に示す結晶薄膜製造装置400のように、放電電極407を平板状とし、この直近に成膜用ガス供給口401および成膜用ガス排気口402を設けた構成としてもよい。また、成膜用ガス供給口401は特に設けず、放電電極407を公知のシャワー電極としてもよい。その他の構成や、基本動作、および作用効果は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0049】
(第1の実施形態の変形実施例4)
上記の第1の実施形態では、ガラスなどの平板基板を用いた場合について説明したが、基板4はこれに限らず可撓性のシート状基板であってもよい。この場合には、図7に示すような構成の結晶薄膜製造装置500を用いればよい。図7において、504はステンレスやポリイミドなどの可撓性のシート状基板である。シート状基板504は、第1リール室503内の第1リール501と、第2リール室505内の第2リール502とによって、テンションを付与されながらX方向に連続的に往復移動する。506は接地された対向電極であるが、シート状基板504がステンレスなどの導電性基板の場合には、必ずしも必要ではない。この場合には、リール501,502や図示しないガイドローラを介して、シート状基板504を接地すればよい。その他の構成や、基本動作は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。本変形実施例は、可撓性のシート状基板に対しても、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるものである。
【0050】
(第1の実施形態の変形実施例5)
変形実施例4のようなシート状基板504を用いる場合には、図8に示す結晶薄膜製造装置600によっても、非結晶Si薄膜の成膜とレーザアニールとを交互に繰り返し、厚膜の高品質多結晶Si膜を形成する事ができる。
【0051】
本変形実施例では、可撓性のシート状基板504が、ローラ室605内の第1ローラ601および第2ローラ602によってテンションを付与され、無端状に保持されている。そして、ローラ601,602の1方向の回転によって、シート状基板504は、右方向(XR方向)のみに連続的に移動する。これによって、成膜チャンバ1による非結晶Si薄膜の成膜と、レーザアニールチャンバ2によるレーザアニールとが交互に繰り返される。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。本変形実施例も、変形実施例4と同様に、可撓性のシート状基板に対して第1の実施形態と同様の効果が得られるものである。
【0052】
(第1の実施形態の変形実施例6)
上記の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造装置100は、放電電極7を用いて、プラズマCVD法によって非結晶Si薄膜を成膜するものであった。しかしながら、非結晶Si薄膜の成膜方法はこれに限らず、スパッタ法、cat−CVD法など如何なる成膜方法であってもよい。例えば、スパッタ法の場合には、図1の放電電極7の代わりにターゲットを配置すればよい。また、cat−CVD法の場合には、放電電極7およびカバー体8の代わりに、図1と同じ形状のガス流路を形成するようなガス流路形成部材を配置し、ガス流路中に加熱された触媒体を配置すればよい。
【0053】
特にcat−CVD法においては、特開昭63−40314号公報などに開示されるように膜中の水素含有率を非常に低くできるので、レーザアニール時に、膜中水素の突沸を気にせずにレーザ照射条件を選定する事ができる。cat−CVD法によって非結晶Si薄膜を成膜し、これをレーザアニールする事によって多結晶Si薄膜を形成する場合には、図9に示すような結晶薄膜製造装置700を用いればよい。
【0054】
図9において、708a及び708bは第1及び第2のガス流路形成部材であり、これらを併せて、ガス流路形成部材708と称する。ガス流路形成部材708は、基板4とともに、略気密な空間を形成する。成膜用ガス供給手段10から供給された成膜用ガスは、ガス流路形成部材708及び基板4とから形成される前記の略気密な空間を通り、成膜用ガス排気手段11に至る。このようにして形成されたガス流路F1は、第1の実施形態のガス流路Fと同様に、滑らかな略U字形状をなし、そのコンダクタンスは非常に大きい。一方、第1ガス流路形成部材708aの底面部708cは、可能な限り狭い空間を隔てて基板4と対向し、その対向部のX方向の長さは可能な限り長く設定されている。すなわち、成膜用ガスは、第1の実施形態と同様、ガス流路F1の外部にほとんどリークせずに成膜用ガス排気手段11に至る。701は、前記ガス流路F1の、基板4よりも上流側に配置された触媒体である。触媒体701は、ガス流路F1を流れる成膜用ガスの分子と接触しやすいように、その表面積が広い事が望まれ、例えばコイル状とされている。触媒体701の材質は、タングステン、モリブデン、タンタルなどであり、これが、通電により1500〜2000℃程度に加熱されている。この構成において、ガス流路F1を流れる成膜用ガスの分子は、触媒体701と接触し、触媒反応によって反応種が生成される。そして、この反応種が基板4に輸送されて、非結晶Si薄膜が成膜される。成膜用ガスとしては、第1の実施形態と同様のガスが用いられる。その他の構成は第1の実施形態と同様であり、また、基板4の移動方法やレーザアニールなど、その他の動作についても第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0055】
本変形実施例は、第1の実施形態と同様の効果を呈するものであるが、上記のように、触媒反応に基づいて非結晶Si薄膜を成膜するものであるから、膜中の水素含有率を非常に低くできる。その結果、レーザアニール時に、水素の突沸を気にする事なくレーザ照射条件を選定する事ができる。
【0056】
(第1の実施形態の変形実施例7)
上記の第1の実施形態は、成膜チャンバ1〜レーザアニールチャンバ2の間で、基板4を往復移動させるものであった。しかしながら、TFTに用いられるような、数100Å〜1000Å程度の薄い多結晶Si薄膜を形成する場合には、基板4を必ずしも往復移動させる必要はなく、図1中の右方向のみに基板4を連続移動させてもよい。
本変形実施例は、厚膜の多結晶Si膜を形成するものではないが、非結晶Si薄膜の成膜からレーザアニールまでを、一貫してインラインにて行う事ができる。その結果、異なる装置間で基板4のやりとりを行う必要がなくなり、従来に比べて大幅にスループットを向上させる事ができる。
【0057】
(第1の実施形態の変形実施例8)
上記の第1の実施形態では、結晶薄膜製造装置100によって多結晶Si膜を形成する場合について説明したが、成膜用ガスを変更するのみで、如何なる材質の結晶膜を作製する事も可能である。例えば、SiH4とCH4との混合ガスを含む成膜用ガスを用いて非結晶のSiC薄膜を形成し、これをレーザアニールする事によって結晶性のSiC膜を得る事もできる。また、成膜用ガスに、B26やPH3などのドーピングガスを混合する事によって、p型やn型の多結晶半導体膜を作製する事も可能である。
【0058】
(第1の実施形態の変形実施例9)
上記の第1の実施形態では、複数レイヤーの多結晶Si薄膜を積層し、これによって厚膜の多結晶Si膜を形成する場合について説明した。しかしながら、積層される複数のレイヤーの材質は、必ずしも、第1の実施形態のような同一の材質とされる必要はない。1レイヤー以上のレイヤーからなるレイヤー群の単位で同一の材質とされ、更に、このレイヤー群が、各々異なる材質とされて、複数のレイヤー群が積層されたものであってもよい。このような場合には、基板4の往復移動回数が所定回数に達する毎に、ガス流路F中に流す成膜用ガスを順次切り替えればよい。例えば、図1において、基板4の1往復移動によって形成される1レイヤーの結晶薄膜の厚さが500Åであるとき、以下のような設定を行う事により、n型多結晶Si(500Å)/i型多結晶Si(2μm)/p型多結晶Si(500Å)のような積層構造を形成する事ができる。
【0059】
・1往復目:He+SiH4+H2+B26 (第1レイヤー群)
・2〜41往復目:He+SiH4+H2 (第2レイヤー群)
・42往復目:He+SiH4+H2+PH3 (第3レイヤー群)
この場合、異なるレイヤー群の界面においても、上のレイヤー群の最下レイヤーの非結晶Si薄膜は、エキシマレーザアニールによって、下地の多結晶Si薄膜を種として結晶成長を行う事ができる。このため、異なるレイヤー群の界面においても結晶粒界を少なくできる。
【0060】
(第2の実施形態)
上記の第1の実施形態では、図1に示す結晶薄膜製造装置100による結晶薄膜の製造方法について説明してきた。本実施形態では、第1の実施形態によって形成された結晶薄膜を用いた結晶薄膜素子について、光電変換素子を例にとって説明する。なお、本実施形態の結晶薄膜素子は、図1と同様の結晶薄膜製造装置100が2台併設された、図10に示すような結晶薄膜製造装置800によって作製される。
【0061】
図10において、100aは、p+型またはp型の多結晶Si薄膜を形成するためのp型結晶薄膜製造装置、100bは、n+型の多結晶Si薄膜を形成するためのn型結晶薄膜製造装置であり、2台の結晶薄膜製造装置100a,100bはゲートバルブ801を介して併設されている。
【0062】
図11は、上記の結晶薄膜製造装置800によって作製された光電変換素子900の断面構造図を示している。図11において、4はガラスなどの基板で、その上には、SiNx、SiO2などのベースコート膜901がCVD法などによって形成されている。
【0063】
この基板4はp型結晶薄膜製造装置100aに設置される。そして、第1の実施形態の手法によって、ベースコート膜901の上に、p+型多結晶Si薄膜902が100Å〜5000Å程度形成される。成膜用ガスとしては例えば、He,SiH4,H2及びB26の混合ガスが用いられる。基板4のX方向の往復回数は、p+型多結晶Si薄膜902の厚さに応じて適宜に設定されるが、その厚さが数100Å程度の場合には、右方向の一回移動でもよい。
【0064】
その後、同じくp型結晶薄膜製造装置100aが用いられ、第1の実施形態の手法によって、発電領域となるp型多結晶Si膜903が、p+型多結晶Si薄膜902の上に2〜4μm程度形成される。成膜用ガスとしては、例えば、He,SiH4、H2及びB26の混合ガスが用いられるが、B26の割合はp+型多結晶Si薄膜902を形成した場合よりも小さくされる。基板4のX方向の往復回数は、p型多結晶Si膜903の厚さに応じて適宜に設定される。例えば、1往復移動によって形成される1レイヤーの厚さが500Åとなるように成膜条件を調整しておいて、基板4を40往復させる事によって、2μmのp型多結晶Si膜903が形成される。
【0065】
p型多結晶Si膜903が形成された基板4は、図示しない搬送機構によって、ゲートバルブ801を介してn型結晶薄膜製造装置100bに運ばれる。そして、第1の実施形態の手法によって、p型多結晶Si膜903の上に、n+型多結晶Si薄膜904が100Å〜5000Å程度形成される。このように、p型多結晶Si膜903の上にn+型多結晶Si薄膜904を形成する事により、pn接合が形成される。成膜用ガスとしては、例えば、He,SiH4,H2及びPH3の混合ガスが用いられる。基板4のX方向の往復回数は、n+型多結晶Si薄膜904の厚さに応じて適宜に設定されるが、その厚さが数100Å程度の場合には、右方向の一回移動でもよい。
その後、n+型多結晶Si薄膜904の上にITOなどの透明電極905が形成され、さらに、グリッド状の集電電極906が形成されて、光電変換素子900の作製が完了する。
【0066】
上記光電変換素子900の発電領域となるp型多結晶Si膜903は、第1の実施形態に記載したような高品質の厚膜多結晶Si膜であり、膜厚方向を横切る結晶粒界もほとんどない。この結果、p型多結晶Si膜903は上面側からの入射光を十分に吸収でき、また、これによって発生するキャリアの拡散長を非常に長くする事ができる。また、この上に形成されたn+型多結晶Si薄膜904の最下のレイヤーは、p型多結晶Si膜903を種として結晶成長したものであるから、n+型多結晶Si薄膜904/p型多結晶Si膜903の界面欠陥は非常に少なく、良好なpn接合が形成される。したがって、光電変換素子900を太陽電池として用いた場合には、高い変換効率が得られる。なお、上記では、上面側を光入射面とした構造について説明したが、電極905をAlなどの高反射電極とし、基板4側から光入射させてもよい。但し、この場合には、多結晶Si膜904/903/902をp+型/p型/n+型なるようにして、pn接合界面を多結晶Si膜902と903の界面に配置する方が好ましい。
【0067】
(第2の実施形態の変形実施例10)
上記の第2の実施形態では、光電変換素子900を作製するために、p型結晶薄膜製造装置100aとn型結晶薄膜製造装置100bとを併設した結晶薄膜製造装置800を用いた。しかしながら、図1に示した、1台の結晶薄膜製造装置100を用いるだけでも、図11の光電変換素子900を作製する事ができる。
【0068】
この場合には、第1の実施形態の変形実施例9に記載したように、基板4の往復回数が所定回数に達する毎に、ガス流路F中に流す成膜用ガスを順次切り替えればよい。成膜用ガスは第2の実施形態に記載した通りである。
本変形実施例においては、装置台数を少なくして、第2の実施形態と同等の高い変換効率の太陽電池を作製する事ができる。
【0069】
(第2の実施形態の変形実施例11)
上記の第2の実施形態では、光電変換素子900を、光入射面側から見てn+型/p型/p+型の積層構造としたが、p+型/n型/n+型としても構わない。また、n+型/n型/p型/p+型、p+型/p型/n型/n+型 や、n+型/i型/p+型、p+型/i型/n+型など如何なる形態としてもよい。光入射面も、上面側でも基板側でも何れでもよい。どのような形態としても、発電領域となる多結晶Si膜を高品質の厚膜多結晶Si膜とでき、膜厚方向を横切る結晶粒界もほとんど生じない。また、pn接合界面の欠陥を非常に少なくでき、良好なpn接合を形成できる。これらの結果、第2の実施形態と同様に、高い変換効率の太陽電池を作製する事ができる。
【0070】
なお、上記では、結晶薄膜素子が光電変換素子である場合について説明してきたが、本発明はこれに限らず、ダイオード、トランジスタなど、高品質の結晶性が要求される如何なる素子にも適用可能である。
【0071】
以下に、本発明の実施結果として、図11に示した光電変換素子900の構造による太陽電池の特性について説明する。
【0072】
(実施例1)
ガラス基板4上にプラズマCVD法によって膜厚2000ÅのSiO2膜901を形成し、図10の結晶薄膜製造装置800に設置した。p型結晶薄膜製造装置100a,n型結晶薄膜製造装置100bとも、ガス流路Fの圧力を100Torr、成膜チャンバ1の圧力を110Torr、レ−ザアニ−ルチャンバ2の圧力を105Torrに設定した。ここで、成膜チャンバ1およびレ−ザアニ−ルチャンバ2の内部は、Heガス雰囲気とした。ガス流路Fに流す成膜用ガスは、p型結晶薄膜製造装置100aにおいては、He,SiH4,H2,及びB26の混合ガスとした。また、n型結晶薄膜製造装置100bにおいては、He,SiH4,H2,及びPH3の混合ガスとした。そして第2の実施形態の手法によって、n+型(500Å)/p型(2μm)/p+型(3000Å)なる構造となるように、多結晶Si膜を順次形成した。各々の多結晶Si膜の形成時において、基板の1往復移動による1レイヤーの厚さが500Åとなるように、成膜チャンバ1による非結晶Si薄膜の成膜条件を調整した。また、基板温度は450℃に設定した。各々のレイヤーのレーザアニールにおいては、エネルギ密度400mJ/cm2/パルス、パルス幅30nsのXeClエキシマレーザを照射した。そして、上記の積層構造からなる多結晶Si膜904/903/902が形成された後、スパッタ法によってITO膜905を形成し、次いで、Agからなるグリッド電極906を蒸着して、図11に示す構造の光電変換素子900を作製した。
【0073】
上記のようにして作製された光電変換素子の断面形状を観察したところ、膜厚方向を横切る結晶粒界は見られなかった。そして、この光電変換素子の上面側からAM1.5の太陽光を照射し、その特性を評価したところ、10%の変換効率が得られた。
【0074】
(実施例2)
エキシマレーザによるレーザ光照射条件を一部変更して、実施例1と同じ構造の光電変換素子900を作製した。具体的には、最下レイヤー群であるp+型多結晶Si膜(3000Å)の更に最下レイヤーの形成時にのみ、400mJ/cm2/パルスのレーザを照射し、これより上に形成されるレイヤーについては、420mJ/cm2/パルスのレーザを照射した。
このようにして作製された光電変換素子の上面側からAM1.5の太陽光を照射し、その特性を評価したところ、11%の変換効率が得られた。
【0075】
(比較例1)
基板4として石英を用い、p型多結晶Si膜(2μm)の形成方法のみを変えて、実施例1と同じ構造の光電変換素子900を作製した。具体的には、p+型多結晶Si膜901(3000Å)を形成した後、結晶薄膜製造装置100aにおけるレーザ照射を止めて、p型非結晶Si膜を2μm形成した。その後、このp型非結晶Si膜にYAGレーザを照射し、p型多結晶Si膜903を形成した。以降のプロセスは実施例1と同様である。
上記のようにして作製された光電変換素子の断面形状を観察したところ、p型多結晶Si膜の膜厚方向を横切る多数の結晶粒界が存在していた。そして、この光電変換素子の上面側からAM1.5の太陽光を照射し、その特性を評価したところ、変換効率は5%しか得られなかった。
【0076】
【発明の効果】
本発明による結晶薄膜製造装置は、成膜チャンバとレーザアニールチャンバの間で、連続的に基板を移動させる構成としているから、非結晶薄膜の成膜とレーザアニールによる結晶化とを交互に繰り返す事ができる。このため、数μm程度の厚膜の結晶膜を形成する場合においても、一回のレーザアニールで溶融すべき非結晶薄膜を薄くでき、エキシマレーザを使用する事ができる。その結果、低温プロセスにて、厚膜の高品質結晶を得る事ができる。
【0077】
また、非結晶薄膜の成膜からレーザアニールまでを、一貫してインラインにて行う事ができるから、異なる装置間で基板のやりとりを行う必要がなくなり、大幅にスループットを向上させる事ができる。
そして、上記の装置によって形成される結晶薄膜を用いる事により、高変換効率の薄膜太陽電池のように、結晶薄膜素子の高性能化を図る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造装置100の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造装置100における連通口3および放電電極7の近傍の部分断面斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る結晶薄膜製造方法のフローチャートである。
【図4】本発明の変形実施例1に係る結晶薄膜製造装置200の断面図である。
【図5】本発明の変形実施例2に係る結晶薄膜製造装置300の断面図である。
【図6】本発明の変形実施例3に係る結晶薄膜製造装置400の断面図である。
【図7】本発明の変形実施例4に係る結晶薄膜製造装置500の断面図である。
【図8】本発明の変形実施例5に係る結晶薄膜製造装置600の断面図である。
【図9】本発明の変形実施例6に係る結晶薄膜製造装置700の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る結晶薄膜素子900を作製するために用いる結晶薄膜製造装置800の断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る結晶薄膜素子900の断面構造図である。
【図12】従来技術を説明する図である。
【図13】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
100,100a,100b,200,300,400,500,600,700,800:結晶薄膜製造装置
900:結晶薄膜素子
1:成膜チャンバ,
2:レーザアニールチャンバ,
3:連通口,
4:基板,
504:シート状基板,
5:基板ホルダ,
6:移動機構,
6a:駆動部,
6b:蛇腹部,
6c:シャフト部
7,407:放電電極,
8:カバー体,
8a:第1カバー体,
8b:第2カバー体,
8c:底面部,
9:高周波電源,
10:成膜用ガス供給手段,
11:成膜用ガス排気手段,
12:第1雰囲気ガス供給手段,
13:第1雰囲気ガス排気手段,
21:レーザ照射部,
22:光学系,
23:レーザ発振器,
24:窓部
25:第2雰囲気ガス供給手段,
26:第2雰囲気ガス排気手段
40,40a,40b:非結晶Si薄膜,
50,51,60:多結晶Si膜
301:チャンバ,
302:雰囲気ガス供給手段,
303:雰囲気ガス排気手段,
401:成膜用ガス供給口,
402:成膜用ガス排気口
501:第1リール,
502:第2リール,
503:第1リール室,
505:第2リール室,
506:対向電極
601:第1ローラ,
602:第2ローラ,
605:ローラ室
701:触媒体,
708:ガス流路形成部材,
708a:第1ガス流路形成部材,
708b:第2ガス流路形成部材,
708c:底面部
801:ゲートバルブ
901:ベースコート膜,
902:p+型多結晶Si薄膜,
903:p型多結晶Si膜,
904:n+型多結晶Si薄膜,
905:透明電極,
906:集電電極
P:プラズマ,LB:レーザビーム, F,F1:ガス流路

Claims (17)

  1. 放電電極を有し、基板に放電により非結晶薄膜を成膜処理する成膜チャンバと、
    レーザ照射部を有し、基板に成膜処理された非結晶薄膜を、該非結晶薄膜にレーザ照射によりアニール処理を施し結晶化させるレーザアニールチャンバと、
    このレーザアニールチャンバおよび前記成膜チャンバにそれぞれチャンバガスを供給するチャンバガス供給手段と、
    基板を保持するための基板ホルダと、
    前記成膜チャンバとレーザアニールチャンバとを、基板ホルダが基板を保持した状態で移動可能で、かつ両チャンバを異なる雰囲気に維持可能に連通させる狭くて長い連通口と、
    前記基板ホルダを、前記成膜チャンバから前記連通口を介して前記レーザアニールチャンバへ連続的に移動させ、それによって、前記基板ホルダに保持されて移動する基板に対して放電による成膜処理とレーザによるアニール処理とを順次連続的に施す移動機構と
    を備えてなることを特徴とする結晶薄膜製造装置。
  2. 成膜チャンバは、放電電極をカバーするカバー体を更に備え、成膜チャンバ内に、基板を保持する基板ホルダと、放電電極と、前記カバー体とで非結晶薄膜成膜用の略気密なガス流路を形成する成膜用ガス流路形成部を構成し、かつ前記略気密なガス流路に成膜用ガスを供給する成膜用ガス供給手段を具備し、前記チャンバガス供給手段が、前記成膜用ガス流路形成部の周囲にチャンバガスを供給するとともに、前記成膜用ガス供給手段が、前記略気密なガス流路に前記成膜用ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の結晶薄膜製造装置。
  3. 成膜チャンバがガス供給口とガス排気口とを有し、前記略気密なガス流路が前記ガス供給口から前記ガス排気口に通じる略U字形に形成され、かつこの略U字形の屈曲部分で基板と放電電極とが対向することを特徴とする請求項2に記載の結晶薄膜製造装置。
  4. 基板に非結晶薄膜を成膜処理する成膜チャンバと、
    成膜された非結晶薄膜を、該非結晶薄膜にレーザによるアニール処理を施し結晶化させるレーザアニールチャンバと、
    このレーザアニールチャンバおよび前記成膜チャンバにそれぞれチャンバガスを供給するチャンバガス供給手段と、
    基板を保持するための基板ホルダと、
    前記成膜チャンバとレーザアニールチャンバとを、基板ホルダが基板を保持した状態で移動可能で、かつ両チャンバを異なる雰囲気に維持可能に連通させる狭くて長い連通口と、
    前記基板ホルダを前記成膜チャンバから前記連通口を介して前記レーザアニールチャンバへ連続的に移動させ、それによって、前記基板ホルダに保持されて移動する基板に対して成膜処理とレーザによるアニール処理とを順次連続的に施す移動機構とを備え、
    成膜チャンバは、触媒体を更に備え、移動機構が、前記触媒体に対して基板ホルダを連続的に移動させ、基板に非結晶薄膜を順次連続的に成膜することを特徴とする結晶薄膜製造装置。
  5. 成膜チャンバは、非結晶薄膜成膜用のガス流路を形成するガス流路形成部材を更に備え、触媒体を前記ガス流路中に配置したことを特徴とする請求項4に記載の結晶薄膜製造装置。
  6. ガス流路が略U字形であることを特徴とする請求項5に記載の結晶薄膜製造装置。
  7. レーザアニールチャンバは、レーザ照射部を更に備え、移動機構が、前記レーザ照射部に対して基板ホルダを連続的に移動させ、基板に成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を順次連続的に施し結晶化させることを特徴とする請求項4に記載の結晶薄膜製造装置。
  8. 移動機構は、基板ホルダを往復移動させることを特徴とする請求項1または4に記載の結晶薄膜製造装置。
  9. 基板に非結晶薄膜を成膜し、この成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を施して結晶化させ、基板に結晶薄膜を形成することよりなり、
    請求項1に記載の結晶薄膜製造装置を用い、
    前記基板に非結晶薄膜を成膜するための成膜チャンバ内の雰囲気と、前記レーザによるアニール処理を施すためのレーザアニールチャンバ内の雰囲気とを、各々異なる雰囲気とした状態で、前記成膜チャンバから前記レーザアニールチャンバへ、基板を、この基板を保持する基板ホルダを移動させる移動機構により連続的に移動させることによって、
    前記成膜処理と、前記レーザによるアニール処理とを、移動する基板に対して順次連続的に施すことを特徴とする結晶薄膜製造方法。
  10. 成膜チャンバからレーザアニールチャンバへの基板の移動を繰り返し、複数レイヤーからなる厚膜の結晶薄膜を基板に形成することを特徴とする請求項9に記載の結晶薄膜製造方法。
  11. 基板に非結晶薄膜を成膜し、この成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を施して結晶化させ、基板に結晶薄膜を形成することよりなり、
    請求項4に記載の結晶薄膜製造装置を用い、
    前記基板に非結晶薄膜を成膜するための成膜チャンバ内の雰囲気と、前記レーザによるアニール処理を施すためのレーザアニールチャンバ内の雰囲気とを、各々異なる雰囲気とした状態で、前記成膜チャンバから前記レーザアニールチャンバへ、基板を、この基板を保持する基板ホルダを移動させる移動機構により連続的に移動させることによって、
    前記成膜処理と、前記レーザによるアニール処理とを、移動する基板に対して順次連続的に施すことを特徴とする結晶薄膜製造方法。
  12. 成膜チャンバからレーザアニールチャンバへの基板の移動を繰り返し、複数レイヤーからなる厚膜の結晶薄膜を基板に形成することを特徴とする請求項11に記載の結晶薄膜製造方法。
  13. 基板に非結晶薄膜を成膜し、この成膜された非結晶薄膜を、それにレーザによるアニール処理を施して結晶化させ、基板に結晶薄膜を形成することよりなり、
    基板に非結晶薄膜を成膜するための成膜チャンバと、
    レーザによるアニール処理を施すためのレーザアニールチャンバと、
    このレーザアニールチャンバおよび前記成膜チャンバにそれぞれチャンバガスを供給するチャンバガス供給手段と、
    基板を保持するための基板ホルダと、
    前記成膜チャンバとレーザアニールチャンバとを、基板ホルダが基板を保持した状態で移動可能で、かつ両チャンバを異なる雰囲気に維持可能に連通させる狭くて長い連通口と、を備えた結晶薄膜製造装置を用い、
    基板に非結晶薄膜を成膜した後、レーザによるアニール処理を施すに際し ては、
    前記成膜チャンバから前記レーザアニールチャンバへ、基板を、この基板を保持する基板ホルダを移動させる移動機構により連続的に移動させ、
    成膜チャンバとレーザアニールチャンバとの間で、基板を往復移動させ、複数レイヤーからなる厚膜の結晶薄膜を基板に形成することを特徴とする結晶薄膜製造方法。
  14. 第2レイヤー以降のレイヤーで行うレーザアニール処理におけるレーザ照射エネルギは、第1レイヤーにおけるレーザ照射エネルギよりも大きいことを特徴とする請求項10、12又は13に記載の結晶薄膜製造方法。
  15. 1以上のレイヤーからなる1つのレイヤー群の単位で同一材質とされるレイヤー群が、複数個形成され、それぞれのレイヤー群が同一材質または異なる材質とされることを特徴とする請求項10、12又は13に記載の結晶薄膜製造方法。
  16. 請求項9〜15のいずれか1つに記載の結晶薄膜製造方法により形成される結晶薄膜を用いた結晶薄膜素子であって、結晶薄膜素子が異なる導電型の半導体薄膜の積層構造からなることを特徴とする結晶薄膜素子。
  17. 結晶薄膜素子は、光電変換素子であることを特徴とする請求項16に記載の結晶薄膜素子。
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