JP2001059094A - 低発塵潤滑剤及び低発塵グリース - Google Patents

低発塵潤滑剤及び低発塵グリース

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JP2001059094A
JP2001059094A JP23570299A JP23570299A JP2001059094A JP 2001059094 A JP2001059094 A JP 2001059094A JP 23570299 A JP23570299 A JP 23570299A JP 23570299 A JP23570299 A JP 23570299A JP 2001059094 A JP2001059094 A JP 2001059094A
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low
lubricant
dust
grease
dusting
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JP23570299A
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English (en)
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Masakazu Hirata
正和 平田
Takayuki Kawamura
隆之 川村
Masami Minami
政美 南
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低塵性のみならず、環境上優れ、かつ、高耐
久性及び低騒音性に優れた潤滑剤及びグリースを提供す
ることである。 【解決手段】 25℃における表面張力が小さくとも2
5mN/mである潤滑油を基油とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、低発塵性の潤滑
剤及びグリースに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体製造設備や液晶製造設備
などでは、製造工程において製品や部品に触れる空気中
の浮遊粒状物質量が一定の規定されたレベル以下となる
ように空調管理がなされている。これは、微細な塵埃が
製品や材料に付着すると、製品の歩留りを低下させ、ま
た製造効率を低下させるからである。上記のように、空
気中の浮遊粒状物質量が一定の規定されたレベル以下の
清浄な雰囲気に管理された空間は、一般にクリーンルー
ムと呼ばれる。
【0003】このようなクリーンルーム内で使用される
軸受や直動装置には、潤滑グリースの飛沫が発生しない
ように、低飛散性のグリースを封入した低発塵性転がり
軸受や、ボールねじ又はリニアガイド等の直動装置が使
用されている。
【0004】また、電子計算機のハードディスク等の情
報記録装置においても、記録媒体の表面に微細な塵埃が
付着しただけでも誤作動が起きる可能性があるので、情
報記録装置またはその付近で使用する軸受には、潤滑グ
リースの飛沫(ミスト状の微細な飛沫)が発生しないよ
うなグリースを採用した低発塵性転がり軸受を採用して
いる。
【0005】上記のクリーンルーム用転がり軸受や直動
装置に充填された低発塵性グリースとしては、比重が大
きなフッ素系グリースが用いられてきた。このフッ素系
グリースの代表例としてパーフルオロポリエーテル(P
FPE)を基油とし、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)を増ちょう剤とするものがあげられる。しか
し、フッ素系グリースは、耐熱性は優れているが潤滑性
が不足し、充填した軸受のトルクを大きくする場合があ
った。
【0006】また、鉱油を基油とし、ナトリウムコンプ
レックス石けんを増ちょう剤するアンドックC(商品
名)などのナトリウム石けん系グリースが電子計算機用
グリースとして知られている。しかし、このグリース
は、吸水性が高いのでグリースの性状が経時的に変化し
て潤滑不良を起こしやすく、また、音響性能が良くない
ため、特に低騒音、低振動性が重視される場合には適用
ができなかった。
【0007】これに対し、電子計算機軸受用のグリース
組成物として、鉱油、合成炭化水素油およびポリフェニ
ルエーテル油の群の中から選ばれた少なくとも1種の基
油と水酸基を含まない炭素数12〜24の高級脂肪酸の
リチウム塩を20〜30重量%含有する組成物を使用す
ることが、特開平5−9489号公報に記載されてい
る。また、電子計算機軸受用グリース組成物として、鉱
油および合成炭化水素油から選ばれた少なくとも1種の
基油と、炭素数12〜24の高級脂肪酸のリチウム塩と
高級ヒドロキシ脂肪酸のリチウム塩からなる増ちょう剤
を20〜30重量%含有するグリース組成物を使用する
ことが、特開平6−330070号公報に記載され、さ
らに、ボールねじ装置やリニアガイド装置に上記グリー
ス組成物を封入した低発塵性の直動装置を用いること
が、特開平8−270747号公報に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の低発塵性転がり軸受として、炭素数12〜24の
高級脂肪酸のリチウム塩と高級ヒドロキシ脂肪酸のリチ
ウム塩等の金属石けんを増ちょう剤としたグリースを充
填したものは、グリースが含有する金属元素によって問
題が起こる場合がある。すなわち、最近の製造プロセス
では、重金属ばかりでなくリチウムのような軽金属も汚
染源になるので環境上の問題があり、また金属元素が基
油の酸化反応を促進させるという問題を起こす可能性が
ある。
【0009】さらに、高級脂肪酸や高級ヒドロキシ脂肪
酸のリチウム塩からなる増ちょう剤の耐熱温度(最高使
用可能温度)は約120℃であるが、これより耐熱性を
向上させた場合に、確実に低発塵性を満足する転がり軸
受は知られていない。
【0010】さらにまた、これらグリースの低発塵化は
主にグリースの硬さ(増ちょう剤量)に依存しており、
トルクや音響性能を上げたい場合には対応ができないと
いう状況である。
【0011】そこで、この発明の課題は、低塵性のみな
らず、環境上優れ、かつ、高耐久性及び低騒音性に優れ
た潤滑剤及びグリースを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、25℃における表面張力が小さくとも
25mN/mである潤滑油を基油としたことを特徴とす
る。
【0013】この潤滑油を使用することにより、飛沫
(ミスト状の微細な飛沫)の発生を抑制することがで
き、低発塵性及び環境的に優れ、かつ、高耐久性を有す
る潤滑剤を得ることができ、これをそのまま、または、
それを用いてグリースを調整して転がり軸受、ボールね
じ及びリニアガイドを作製することにより、低発塵性、
環境的に優れ、かつ、高耐久性及び低騒音性に優れた転
がり軸受、ボールねじ及びリニアガイドを得ることがで
きる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0015】この発明にかかる第1の実施形態は、所定
の表面張力を有する潤滑油を基油とした低発塵潤滑剤で
ある。
【0016】上記潤滑油の25℃における表面張力は、
小さくとも25mN/mがよく、30〜55mN/mが
好ましい。表面張力が25mN/mより小さいと、転動
部で潤滑油に加わる力に抗しきれず、潤滑油が表面から
変形、破壊され飛沫を生じ易いので、発塵性の改良効果
が得られにくい。
【0017】また、上記潤滑油の粘度範囲は、10〜2
00mm2 /sがよく、20〜100mm2 /sが好ま
しい。10mm2 /sより小さいと、上記潤滑油の蒸発
量が多くなり寿命が短くなる。また、200mm2 /s
より大きいと、トルクが大きくなりすぎ好ましくない。
【0018】上記潤滑油の例としては、鉱油、合成炭化
水素油、エーテル油等があげられる。上記鉱油として
は、石油からの高度精製油が好ましい。また、パラフィ
ン系油でもナフテン系油でもよいが、ナフテン系油のほ
うが好ましい。
【0019】上記合成炭化水素油としては、ポリ−α−
オレフィン油、ポリ−α−オレフィンとエチレンとのコ
オリゴマー合成油、液状ポリブテン等のオレフィン重合
油、アルキル芳香族油等があげられる。このうち、1−
デセン(CH3 (CH2 7CH=CH2 )のオリゴマ
ーや、ポリ−α−オレフィンとエチレンの共重合体から
なる合成油等を用いることが好ましい。
【0020】また、アルキルシクロペンタン系油を使用
することができる。この具体例としては、Nye社製の
Nye Synthetic Oil 2001A等が
あげられる。
【0021】上記エーテル油としては、市販されている
芳香環数が2〜5のものをいずれも使用することができ
るが、環数が増えるとそれだけ低温域での性能が低下し
高価になる。このため、芳香環が2〜4であって、アル
キル置換基によって低温性能を向上させたジフェニル、
トリフェニル、テトラフェニルのC12〜C20の(ジ)ア
ルキル基が導入されたフェニルエーテル油が好ましく、
より好ましくはアルキルジフェニルエーテル油である。
【0022】上記潤滑油は、1種類のみで基油として使
用できるが、複数種の混合した潤滑油を基油として用い
てもよい。
【0023】上記潤滑油を基油とする低発塵潤滑剤から
なる被膜を、軸受、ボールねじ等の摺動部材の表面に形
成させたり、摺動機能を向上させたい部材を潤滑剤保持
材で構成し、これに上記潤滑油を含浸させることによ
り、低発塵用潤滑機構を形成することができる。この低
発塵用潤滑機構を構成する上記摺動部材や潤滑保持材の
表面に形成される潤滑油の平均厚みは、大きくても10
μmが好ましい。10μmを越えると、上記低発塵潤滑
剤の流動性が大きくなり膜厚維持が困難となる場合があ
る。
【0024】上記の潤滑油保持材としては、フェルト、
焼結金属、多孔質樹脂等があげられるが、潤滑油の保持
能力を有すれば、他の保持材でも使用できる。上記多孔
質樹脂の例としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂等があげられる。多孔質のポリイミド樹脂やポリ
アミドイミド樹脂は、原料粉末を目的の形状に加圧し
て、焼成することにより得られる。
【0025】上記ポリイミド樹脂の例としては、宇部興
産社製:UIP−S,R、オーストリア国レンジング社
製:P84−HT、東レ社製:TI−3000、デュポ
ン社製:ベスペル、三井化学社製:オーラム等があげら
れる。また、上記ポリアミドイミド樹脂の例としては、
米国アモコ社製トーロン等をあげることができる。
【0026】上記潤滑油は、上記摺動部材に被膜した
り、潤滑剤保持材に含浸させて使用する以外に、上記潤
滑油に増ちょう剤を加えたグリースと合成樹脂粉末とを
練り合わせ、樹脂のゲル化温度以上に昇温した後に冷却
して固化させて低発塵潤滑剤(以下、「固化低発塵潤滑
剤」と称する。)として使用することができる。この固
化低発塵潤滑剤は、定形性を有すると共に、固化時に任
意の形状に成形することができるので、低発塵潤滑剤を
使用する装置の一部の部材の代替として使用することが
可能である。
【0027】上記の合成樹脂としては、超高分子量ポリ
エチレン、ポリアミド、ポリオキシメチレン(POM)
等があげられる。
【0028】上記の低発塵潤滑剤及び固化低発塵潤滑剤
には、その機能を損なわない限り、酸化防止剤、極圧
剤、摩耗抑制剤、防錆剤、清浄分散剤等のいわゆる潤滑
油添加剤を添加してもよい。但し、半導体製造設備は金
属を嫌うので、このような設備に使用する場合は、金属
を含まない潤滑油添加剤を添加するのが好ましい。
【0029】この発明にかかる第2の実施形態は、所定
の表面張力を有する潤滑油を基油とし、これに増ちょう
剤を加えた低発塵グリースである。
【0030】上記潤滑油の25℃における表面張力は、
小さくとも25mN/mがよく、30〜55mN/mが
好ましい。表面張力が25mN/mより小さいと、転動
部で潤滑油に加わる力に抗しきれず、潤滑油が表面から
変形、破壊され飛沫を生じ易いので、発塵性の改良効果
が得られにくい。
【0031】また、上記潤滑油の粘度範囲は、10〜2
00mm2 /sがよく、20〜100mm2 /sが好ま
しい。10mm2 /sより小さいと、上記潤滑油の蒸発
量が多くなり寿命が短くなる。また、200mm2 /s
より大きいと、トルクが大きくなりすぎ好ましくない。
【0032】上記潤滑油の例としては、鉱油、合成炭化
水素油、エーテル油等があげられる。上記鉱油として
は、石油からの高度精製油が好ましい。また、パラフィ
ン系油でもナフテン系油でもよいが、ナフテン系油のほ
うが好ましい。
【0033】上記合成炭化水素油としては、ポリ−α−
オレフィン油、ポリ−α−オレフィンとエチレンとのコ
オリゴマー合成油、液状ポリブテン等のオレフィン重合
油、アルキル芳香族油等があげられる。このうち、1−
デセン(CH3 (CH2 7CH=CH2 )のオリゴマ
ーや、ポリ−α−オレフィンとエチレンの共重合体から
なる合成油等を用いることが好ましい。
【0034】また、アルキルシクロペンタン系油を使用
することができる。この具体例としては、Nye社製の
Nye Synthetic Oil 2001A等が
あげられる。
【0035】上記エーテル油としては、市販されている
芳香環数が2〜5のものをいずれも使用することができ
るが、環数が増えるとそれだけ低温域での性能が低下し
高価になる。このため、芳香環が2〜4であって、アル
キル置換基によって低温性能を向上させたジフェニル、
トリフェニル、テトラフェニルのC12〜C20の(ジ)ア
ルキル基が導入されたフェニルエーテル油が好ましく、
より好ましくはアルキルジフェニルエーテル油である。
【0036】上記潤滑油は、1種類のみで基油として使
用できるが、複数種の混合した潤滑油を基油として用い
てもよい。
【0037】上記増ちょう剤としては、飛沫しにくいも
のがよく、また、使用場所によっては金属を嫌う場合が
あるので、金属を使用していないものが好ましい。この
ような例としては、ウレアがあげられる。このウレアの
中でも、芳香族ウレアがより好ましい。
【0038】上記低発塵グリースは、その60回混和ち
ょう度が200〜300のものが好ましい。200より
小さいと硬すぎて、グリースの生産性、軸受への封入性
が低下する。また、300より大きいと、柔らかすぎ
て、グリースの流動性が高く、軸受内で攪拌され易くな
り、発塵が増える場合がある。
【0039】上記潤滑油と増ちょう剤の混合割合は、得
られるグリースに対し、増ちょう剤が15〜35wt%
添加したものが好ましい。15wt%より小さいと柔ら
かすぎて、グリースの流動性が高く、軸受内で攪拌され
易くなり、発塵が増加する場合がある。また、35wt
%より大きいと硬くなりすぎる場合がある。さらに、潤
滑油量が少ないので寿命が短くなる場合がある。
【0040】上記のグリースには、その機能を損なわな
い限り、酸化防止剤、極圧剤、摩耗抑制剤、防錆剤、清
浄分散剤等のいわゆる潤滑油添加剤を添加してもよい。
但し、半導体製造設備は金属を嫌うので、このような設
備に使用する場合は、金属を含まない潤滑油添加剤を添
加するのが好ましい。
【0041】上記の第1の実施形態にかかる低発塵潤滑
油及び固化低発塵潤滑剤、並びに第2の実施形態にかか
る低発塵グリースは、各種の低発塵用の装置に使用する
ことができる。そのような装置としては、転がり軸受
や、ボールねじ、リニアガイド等の直動装置等があげら
れる。そして、これらの装置をクリーンルームの可動部
に用いることができ、また、このクリーンルーム内で使
用される半導体製造装置や液晶製造装置、又は電算機等
に使用することができる。
【0042】
【実施例】(第1の実施形態における実施例)潤滑油を軸受に適用した場合の発塵量 〔実施例1〜10、比較例1〜5〕表1に示す潤滑油を
試験軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm、ナイ
ロン保持器付き、ボール個数7個)に平均膜厚が1μm
又は10μmとなるように塗布した。この試験軸受を用
いて下記の発塵量測定試験1を行った。その結果を表1
に示す。
【0043】なお、比較例5は、潤滑油のかわりにグリ
ースを使用した。すなわち、実施例1〜10と同様に、
試験軸受にグリースを0.1g封入した。
【0044】また、表1中、「PAO」は、ポリ−α−
オレフィン(合成炭化水素油)、「エステル」はエステ
ル油、「DAPE」は、アルキルジフェニルエーテル
油、「PPE」は、ポリフェニルエーテル油を示す。
【0045】発塵量測定試験1 図1に試験装置の概略説明図を示すように、試験台1を
貫通する回転軸2の上部に2つの試験用軸受3をそれぞ
れ挿通するように取付け、クランプ型治具4にコイルば
ね5を介して2つの試験用軸受にスラスト荷重を負荷
し、クランプ型治具4を試験台1上に固定された係止具
6で回転不能の状態に固定した。
【0046】また、試験台1の上面には、クランプ型治
具4を覆う大きさの箱型の気密性カバー7を設け、この
気密性カバー7には、クリーンエア(塵埃を含まない清
浄空気)の導入ダクト8及び排気ダクト9を接続し、排
気ダクト9は吸気ポンプを内蔵するダストカウンタ10
(パーティクルカウンタとも呼ばれる。)に接続した。
なお、回転軸2は試験台1の下方に設置した電動モータ
11で回転駆動し、試験台1の下面と回転軸2は磁性流
体シール12で密封した。
【0047】試験条件は、2つの軸受に対するスラスト
荷重を10Nとし、回転軸の回転速度は1500回転/
分(以下、「rpm」と略する。)、雰囲気温度は室
温、試験は20時間連続して行い、試験終了時にダスト
カウンタ10で粒子径(直径)0.1μm以上の浮遊粒
子の採集個数(個/cf)を測定した。
【0048】
【表1】
【0049】結果 表面張力が25mN/m以上の潤滑剤では、低発塵を発
現できることが明らかとなった。
【0050】固化低発塵潤滑剤をボールねじに適用した
場合の発塵量 〔実施例11〜14、比較例6〕次に、ボールねじのシ
ール部材にこの発明にかかる低発塵潤滑剤を用いた場合
の発塵性について検討した。すなわち、下記ボールねじ
を用い、表2に記載の樹脂粉末、及び潤滑剤又はグリー
スから構成される固化低発塵潤滑剤を成形し、下記ボー
ルねじのシール部材として使用した。なお、比較例6に
おいては、上記固化低発塵潤滑剤のかわりにフッ素グリ
ースを使用した。
【0051】そして、このボールねじを用いて、下記の
発塵量測定試験2を行った。その結果を表2に示す。
【0052】なお、表2中で、「UHMWPE」は、超
高分子量ポリエチレンを示す。また、潤滑剤及びグリー
スのメーカは、表1に示したものと同様である。
【0053】ボールねじ ボールねじの軸径は14mm、リードは4mm、ボール
径は2.381mmで、材質としてSUS440Cのも
のを使用した。具体的形状は、下記のとおりである。
【0054】すなわち、使用したボールねじ20は、図
2(a)に示すように、ネジ軸21の外周面21bに設
けた螺旋溝21aと、ボールナット22の内径面に設け
た螺旋溝22aとの間に複数のボール23を配し、ねじ
軸21とボールナット22とがボール23を介して螺合
したものである。このねじ軸21又はボールナット22
が回転すると、その回転力がボール23の転動循環を介
してボールナット22又はねじ軸21に伝達され、ボー
ルナット22又はねじ軸21が軸方向に移動する。ボー
ルナット22の両端部には、リング上のシール部材25
が装着され、このシール部材25がねじ軸1に接触して
ボールナット2内をシールする。このシール部材5の外
周には、ガータスプリング26が装着されている。
【0055】上記シール部材25は、図2(b)に示す
ように、リング状に成形した後、これを各円周が等分に
なるように4箇所で分割したものである。この4つの分
割部のうち3つの分割部27は、その内径面27bにか
ら内部に突出した突部27aを有し、残りの1つの分割
部28の内径面28bは、他の分割部27の内径面27
bより若干内側に設けられる。すなわち、上記4つの分
割部の外径面は全体で1つの円形状をなすものの、その
内径面は、1つの円形状を構成せず、分割部28の内径
面28bが他の分割部27の内径面27bと突部27a
との間に位置する。
【0056】発塵量測定試験2 図3に試験装置の概略説明図を示すように、試験台31
を貫通する回転軸32の途中にボールねじ33を取付
け、その周囲を気密性カバー34で覆った。
【0057】上記気密性カバー34を、途中にフィルタ
39を有するクリーンエア(塵埃を含まない清浄空気)
の導入ダクト36及び排気ダクト37を接続し、排気ダ
クト37は吸気ポンプを内蔵するダストカウンタ38に
接続した。なお、回転軸2は試験台1の上方に設置した
電動モータ11で回転駆動し、試験台1の下面と回転軸
2は磁性流体シール40で密封した。
【0058】試験条件は、測定回転数1500rpm、
加減速時間0.3秒、停止時間1.0秒でボールねじの
回転及び停止を繰り返した。また、気密性カバー34へ
のエア導入量は、28.3リットル/minであった。
また、フィルタ40は、0.01μm以上の粒子を10
0%カットするものである。
【0059】上記条件下で100時間連続して行い、試
験終了時にダストカウンタ38で粒子径(直径)0.1
μm以上の浮遊粒子の採集個数(個/cf)を測定し
た。
【0060】
【表2】
【0061】結果 表面張力が25mN/m以上の潤滑剤又はグリースを用
いたものでは、低発塵を発現できるできることが明らか
となった。
【0062】固化低発塵潤滑剤を軸受に適用した場合の
発塵量及び音響 〔実施例15〜18、比較例7〜8〕表3に記載の樹脂
粉末、及び潤滑剤又はグリースから構成される固化低発
塵潤滑剤41を図4(a)(b)に示す試験軸受42
(内輪43の内径8mm、外輪44の外径22mm、幅
7mm、鉄板保持器45付き、ボール46の個数7個)
に封入した。この試験軸受42を用いて上記の発塵量測
定試験1及び下記の音響試験を行った。その結果を表3
に示す。
【0063】なお、表3中の潤滑剤及びグリースのメー
カは、表1に示したものと同様である。また、「アンド
ッグC」は、エッソ社製のグリースである。
【0064】音響試験 内径20mm、外径47mm、幅14mmの軸受を18
00rpmで回転させ、軸受から発する音響(dBA)
を測定した。
【0065】
【表3】
【0066】結果 表面張力が25mN/m以上の潤滑剤又はグリースを用
いたものでは、低発塵を発現できると共に、発生音量は
少なかった。
【0067】これに対し、比較例8では、保持器から発
せられる音が発生音中に混ざっていた。
【0068】(第2の実施形態における実施例及び比較
例)潤滑油の特性 各種の潤滑油の動粘度、表面張力、発塵個数を測定し
た。その結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】グリースを軸受及びボールねじに適用した
場合の発塵量 〔実施例19〜25、比較例9〕表5に記載の基油(潤
滑油)及び増ちょう剤からなるグリースを試験軸受(内
径8mm、外径22mm、幅7mm、ナイロン保持器付
き、ボール個数7個)に0.1g封入した。この試験軸
受42を用いて上記の発塵量測定試験1を行った。その
結果を表4の「試験I」に示す。なお、このときの回転
速度を3000rpm、試験温度を80℃、試験時間を
500時間とした。
【0071】また、実施例11に記載の方法と同様にし
て、上記グリースをボールねじのシール部材として使用
し、ボールねじの発塵量測定試験2を行った。その結果
を表5の「試験II」に示す。
【0072】また、ちょう度とは、グリースのみかけ硬
さで、規定円すいが試料に貫入した深さをmm単位の1
0倍で表した数値をいい、JIS K 2220に規定
された方法で測定した。
【0073】なお、表5における脂肪族ウレア、脂環ウ
レア、芳香族ウレア等のウレア増ちょう剤は、下記の方
法で製造した。
【0074】ウレア増ちょう剤の製造 表6にウレア増ちょう剤の製造に用いた増ちょう剤及び
酸化防止剤を示した。
【0075】このウレアグリースは、イソシアネートと
アミン化合物を反応させることにより製造することがで
きる。まず、基油の半量に表6に記載のイソシアネート
を溶解させ、また、基油の残りの半量に表6に記載の脂
肪族アミン、脂環族アミン又は芳香族アミンのいずれか
を溶解し、両者を混合した。このときのイソシアネート
とアミン化合物の混合比を1:2(モル比)とした。そ
して、100〜120℃で30分間攪拌を続けて反応さ
せ、グリース状とした。ウレア反応の終了を赤外吸収ス
ペクトルにおけるイソシアネート基(−N=C=O)の
特性吸収(1160cm-1)により判定した。そして、
表6に記載の酸化防止剤を0.5wt%加えた。さら
に、100〜120℃で10分間攪拌し、氷水の敷いた
ステンレスパッドの上に開けて冷却した。十分に冷却し
た後、三本ロールで均質化させ、脂肪族ウレア、脂環ウ
レア、芳香族ウレアのウレア増ちょう剤を製造した。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】結果 表面張力が25mN/m以上の潤滑剤又はグリースを用
いたものでは、通常のフッ素グリースよりも低発塵を発
現することができる。
【0079】
【発明の効果】この発明にかかる低発塵潤滑剤は、微細
な飛沫が発生しにくく、低塵性を有すると共に、高耐久
性及び低騒音性に優れる。
【0080】また、この低発塵潤滑剤は、金属成分を全
く含まない成分とした場合、環境を汚染することなく、
また、潤滑油の酸化を促進させることがないという利点
を有する。
【0081】さらに、この低発塵潤滑剤を用いた転がり
軸受、ボールねじ、リニアガイド等の部材をクリーンル
ーム用低発塵性転がり軸受等の部材に採用すると、クリ
ールーム内に潤滑剤の飛沫からなる浮遊粒子を飛散させ
ることがなくなる。
【0082】さらにまた、この低発塵潤滑剤を用いた転
がり軸受、ボールねじ、リニアガイド等の部材をクリー
ンルーム内で使用される半導体製造装置の転がり軸受等
の部材に採用すると、クリールーム内に潤滑剤の飛沫か
らなる浮遊粒子を飛散させることがなくなると共に、集
積度の高い半導体の製造効率を向上させることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発塵量測定試験の例を示す断面図
【図2】(a)ボールねじの例を示す一部拡大断面図 (b)シール部材の正面図
【図3】他の発塵量測定試験の例を示す断面図
【図4】(a)軸受の例を示す正面図 (b)(a)のA−A断面図
【符号の説明】
1 試験台 2 回転軸 3 試験軸受 4 クランプ型治具 5 コイルばね 6 係止具 7 気密性カバー 8 導入ダクト 9 排気ダクト 10 ダストカウンタ 11 電動モータ 12 磁気流体シール 20 ボールねじ 21 ねじ軸 21a 螺旋溝 22 ボールナット 22a 螺旋溝 23 ボール 25 シール部材 26 ガータスプリング 27 分割部 27a 突部 27b 内径面 28 分割部 28b 内径面 31 試験台 32 回転軸 33 ボールねじ 34 気密性カバー 35 モータ 36 導入ダクト 37 排気ダクト 38 ダストカウンタ 39 フィルタ 40 磁性流体シール 41 固化低塵潤滑剤 42 軸受 43 内輪 44 外輪 45 保持器 46 ボール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 115/08 C10M 115/08 171/06 171/06 F16C 33/66 F16C 33/66 Z // C10N 20:00 20:06 30:00 40:02 40:06 50:10 70:00 (72)発明者 南 政美 三重県桑名市大字東方字尾弓田3066 エヌ ティエヌ株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA52 AA62 AA72 CA31 EA64 FA01 FA60 GA55 4H104 BB08A BE13B CA02A CB14A CE13A CE14B DA02A EA01A EA02Z EA08A EB02 EB06 JA01 LA15 LA20 PA01 PA04 PA38 QA12 QA18 RA03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃における表面張力が小さくとも2
    5mN/mである潤滑油を基油とした低発塵潤滑剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の低発塵潤滑剤を潤滑剤
    保持材に含浸させた低発塵用潤滑機構。
  3. 【請求項3】 上記低発塵潤滑剤の平均膜厚が、大きく
    ても10μmである請求項2に記載の低発塵用潤滑機
    構。
  4. 【請求項4】 上記潤滑剤保持材は、フェルト、焼結金
    属、多孔質樹脂のいずれかである請求項2に記載の低発
    塵用潤滑機構。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の低発塵潤滑剤、又は請
    求項1に記載の低発塵潤滑剤に増ちょう剤を加えたグリ
    ースと合成樹脂粉末とを練り合わせ、樹脂のゲル化温度
    以上に昇温した後に冷却することにより固化させた低発
    塵潤滑剤。
  6. 【請求項6】 25℃における表面張力が小さくとも2
    5mN/mである潤滑油を基油とし、これに増ちょう剤
    を加えたグリースを主成分とする低発塵潤滑剤。
  7. 【請求項7】 25℃における表面張力が小さくとも2
    5mN/mである潤滑油を基油とし、これに増ちょう剤
    を加えた低発塵グリース。
  8. 【請求項8】 上記増ちょう剤は、ウレアである請求項
    7に記載の低発塵グリース。
  9. 【請求項9】 上記ウレアは芳香族ウレアである請求項
    8に記載の低発塵グリース。
  10. 【請求項10】 上記潤滑油はアルキルジフェニルエー
    テル油である請求項7乃至9のいずれかに記載の低発塵
    グリース。
  11. 【請求項11】 上記増ちょう剤量が全体の15〜35
    wt%である請求項7乃至10のいずれかに記載の低発
    塵グリース。
  12. 【請求項12】 60回混和ちょう度が200〜300
    である請求項7乃至11のいずれかに記載の低発塵グリ
    ース。
  13. 【請求項13】 請求項1、5、又は6のいずれかに記
    載の低発塵潤滑剤を使用し、請求項2乃至4のいずれか
    に記載の低発塵用潤滑機構を有し、又は請求項7乃至1
    2のいずれかに記載の低発塵グリースを封入した低発塵
    用転がり軸受。
  14. 【請求項14】 請求項1、5、又は6のいずれかに記
    載の低発塵潤滑剤を使用し、請求項2乃至4のいずれか
    に記載の低発塵用潤滑機構を有し、又は請求項7乃至1
    2のいずれかに記載の低発塵グリースを封入した低発塵
    用ボールねじ。
  15. 【請求項15】 請求項1、5、又は6のいずれかに記
    載の低発塵潤滑剤を使用し、請求項2乃至4のいずれか
    に記載の低発塵用潤滑機構を有し、又は請求項7乃至1
    2のいずれかに記載の低発塵グリースを封入したリニア
    ガイド。
  16. 【請求項16】 請求項13に記載の低発塵用転がり軸
    受、請求項14に記載の低発塵用ボールねじ、又は請求
    項15に記載のリニアガイドを可動部に用いたクリーン
    ルーム。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載のクリーンルーム内
    で使用される半導体製造設備。
  18. 【請求項18】 請求項13に記載の低発塵用転がり軸
    受を用いた電算機。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002146377A (ja) * 2000-11-06 2002-05-22 Seiko Instruments Inc ハードディスク装置用グリース組成物及びその製造方法
JP2006316083A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Ntn Corp 固形潤滑剤および固形潤滑剤封入転がり軸受
US7278332B2 (en) 2002-01-17 2007-10-09 Nsk Ltd. Linear motion device
US8673830B2 (en) 2008-04-11 2014-03-18 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Grease composition and direct-acting devices with the grease composition

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