JP2001057265A - 端子金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接触端子に接触されるタイプのもので、且つ
キャビティに対する挿入姿勢が反転可能な端子金具を提
供する。 【解決手段】 端子本体３１には、比較的強度の高いカ
バー４０が接続部３２のほぼ全体を覆うようにして一体
的に固着されている。カバー４０の両側壁には、弾性変
形可能な金属ランス４２が外側へ切り起こして形成され
ている。この金属ランス４２を設けた側壁に隣り合う面
には開放部４５がそれぞれ設けられており、この開放部
４５からは、カバー４０の内側の接続部３２に設けら
れ、ショート端子と接触可能な接触部３６が露出されて
いる。これら接触部３６と金属ランス４２は、ほぼ９０
度角度間隔を隔てた面に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、キャビティに挿入
されると同時に、このキャビティの側壁に臨んだ接触端
子に接触するようにして用いられる端子金具に関する。

【０００２】

【従来の技術】小型の端子金具では素材の金属板が薄肉
となる傾向にあるため、端子金具側に抜け止め用のラン
スを切り起こして形成しようとすると、強度が不足する
おそれがある。そこで、端子金具の先端側に比較的高強
度のステンレス鋼板製のカバーを別に被着し、このカバ
ーにランスを形成することが提案され、例えば特開平１
０−１８９１１９号公報に記載されている。

【０００３】この種の端子金具ではコネクタハウジング
内において、隣り合った端子金具同士を短絡させて使用
するようにしたものがある。具体的には、隣り合ったキ
ャビティの外側にショート端子を配しておくとともに、
このショート端子の接触部を両キャビティの側壁に設け
た開口部から内部に臨ませ、両キャビティに端子金具が
挿入されると、ランスにより抜け止めされるとともに、
ショート端子の両接触部が各端子金具におけるカバーの
被着位置よりも後方部分に接触し、両端子金具間が短絡
されるという構造である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この端子金
具はキャビティに挿入する際に、その挿入向きを一の向
きに特定する必要があり、その特定操作が面倒なものと
なっていた。そこで、作業者の負担を軽くするために、
端子金具を上下反転したいずれの姿勢でも挿入できるよ
うにしたものが提案されている。上記構造の端子金具に
これを適用しようとすると、単に抜け止め機能のみを考
えれば、例えばカバーの上下両面に一対のランスを形成
すれば足り、すなわち端子金具を上下反転したいずれの
姿勢で挿入しても、いずれかのランスがキャビティ内の
係止部位に係止できることになる。

【０００５】しかしながら、ショート端子に接触させる
機能まで含めて考慮すると、単に上下一対のランスを設
けただけでは、例えば端子金具をキャビティから挿抜す
る際に、遊んでいる方のランスがショート端子や開口部
に引っ掛かるおそれがあり、簡単には対応できなかっ
た。本発明は上記のような事情に基づいて完成されたも
のであって、接触端子に接触されるものであって、キャ
ビティに対する挿入姿勢を反転可能な端子金具を提供す
ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの手段として、請求項１の発明は、コネクタハウジン
グのキャビティに挿入して収容され、かつこのキャビテ
ィの側壁に臨んで装着された接触端子に接触される端子
金具であって、外面の所定位置には、前記キャビティ内
に配されたキャビティ側係止部と係止可能な端子側係止
部が設けられ、これらキャビティ側係止部と端子側係止
部のうち少なくともいずれか一方が一対設けられること
で、前記キャビティに対する挿入姿勢が１８０度反転し
たいずれの向きにおいても抜け止め可能とされており、
前記端子側係止部を備えた面から両側にほぼ９０度の角
度間隔を隔てた面には、前記接触端子が接触可能な接触
部がそれぞれ設けられている構成としたところに特徴を
有する。

【０００７】請求項２の発明は、請求項１に記載のもの
において、相手の端子金具と接続される端子本体の外側
に、前記端子側係止部を備えたカバーが一体的に嵌着さ
れているものにおいて、前記接触部が前記端子本体の外
面上に外方に突出して形成されているとともに、前記カ
バーにはこの接触部を露出させる開放部が設けられてい
るところに特徴を有する。

【０００８】

【発明の作用及び効果】＜請求項１の発明＞端子側係止
部と、接触端子との接触部とがほぼ９０度角度間隔をず
らして設定され、言い換えると、キャビティ側係止部
と、接触端子が臨んだ位置とがほぼ９０度ずれていて、
端子金具が１８０度反転されたいずれの姿勢でコネクタ
ハウジングのキャビティに挿抜される場合にも、端子側
係止部の通過経路が接触端子の配設位置からは外れてい
て、端子側係止部が接触端子と干渉することが無い。よ
って、接触端子と接触されるようにして用いられる場合
でも、端子金具を１８０度反転した姿勢で挿入すること
が可能となる。

【０００９】＜請求項２の発明＞端子本体に設けられた
接触部がカバーの開放部を通して露出されて、接触端子
と接触される。カバーが被着されている場合にも、端子
本体に接触端子を直接に導通接触することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図１ないし
図１１によって説明する。本実施形態では、雌側の端子
金具について示す。この雌側端子金具３０は、図１に示
すように、雌コネクタハウジング１０（以下、雌ハウジ
ング１０という）内に収容された状態で、ショート端子
２０に接触されるようになっている。

【００１１】雌ハウジング１０には、図３に示すよう
に、雌側端子金具３０を収容可能なキャビティ１１が左
右に２室並んで設けられている。これらのキャビティ１
１の上方には、両キャビティ１１間を跨ぐようにしてシ
ョート端子２０を収容するための収容室１２が前方に開
口して設けられている。この収容室１２の上面側の両脇
には溝１３が設けられており、この溝１３にショート端
子２０の平板状の基部２１が挿入されることで、ショー
ト端子２０は収容室１２内に取り付けられている。この
収容室１２の奥部分の下面には、図１に示すように、下
方の２室のキャビティ１１にそれぞれ連通する開口部１
４が設けられている。この開口部１４には、ショート端
子２０における基部２１から下方へ延出して設けられた
２本の撓み変形可能な接触片２２が通されるようになっ
ており、両接触片２２は、各キャビティ１１内の雌側端
子金具３０に接触可能とされている。これらが接触され
ることで、隣り合う２本の雌側端子金具３０が短絡され
るようになっている。また、収容室１２の後方には、キ
ャビティ１１内に挿入された雌側端子金具３０を抜け止
めするためのリテーナ１６を取り付けるための取付溝１
５が設けられている。

【００１２】キャビティ１１の左右の側面の前端部分に
は、図１及び図２に示すように、雌側端子金具３０の金
属ランス４２を係止可能な係止溝１７が２本対向して設
けられている。これらの係止溝１７は、前方へ開放して
形成されており、前方から金属ランス４２の係止状態を
解除するための治具が挿入可能とされている。また、こ
の係止溝１７の後方には、雌側端子金具３０のスタビラ
イザ４４を挿通可能な挿通溝１８が上下に一対ずつ設け
られている。

【００１３】雌側端子金具３０は、図４または図５に示
すように、銅合金等の板材から形成されるとともに表面
に導通性を高めるための金メッキ処理が施されている端
子本体３１に、比較的高い強度を備えたステンレス鋼板
等から形成されているカバー４０を一体的に固着するこ
とで形成されている。そして、この雌側端子金具３０
は、詳しくは後記するようにキャビティ１１に対して上
下反転したどちらの向きでも挿入できるようになってい
る。

【００１４】端子本体３１は、相手側の図示しない雄側
端子金具に接続可能な接続部３２と、電線Ｗをかしめ接
続するバレル部３３とから形成されている。このうち接
続部３２には、図６に示すように、先細り状の一対の弾
性接触片３４が備えられている。これら両弾性接触片３
４における互いに内側に接近した部位には、前方から接
続部３２内に挿入される雄側端子金具のタブが接触可能
とされており、弾性接触片３４はタブを弾性的に保持す
るようになっている。

【００１５】カバー４０は、略箱形に形成されていると
ともに、端子本体３１のうちの接続部３２のほぼ全体を
覆うようにして取り付けられている。カバー４０の後側
における両側壁からは、図５に示すように、一対の固定
片４１が突出して設けられており、内側の接続部３２に
設けられた凹部３５をかしめるように折り曲げられるこ
とで、カバー４０を端子本体３１に固定できるようにな
っている。また、カバー４０の後端面には、キャビティ
１１内においてリテーナ１６が係止されるようになって
いる（図８参照）。

【００１６】このカバー４０の前側における図２に示す
キャビティ１１の左右の側面に対応した両側壁からは、
図４に示すように、それぞれ金属ランス４２が外側へ切
り起こして形成されている。これらの金属ランス４２
は、内側へ弾性的に撓み変形可能とされている。金属ラ
ンス４２の自由端には、内側へ張り出した張出部４３が
設けられており、この張出部４３を含めた金属ランス４
２の自由端面は、キャビティ１１内における係止溝１７
に係止可能とされている。また、金属ランス４２よりも
後方で、カバー４０における図１に示すキャビティ１１
の上下面に対応した上下の壁からは、図４，図５及び図
７に示すように、それぞれスタビライザ４４が外側へ突
出して形成されており、両金属ランス４２に対応して一
対ずつ設けられている。

【００１７】カバー４０の後側における上下の壁には、
図４に示すように、長方形状の開放部４５がそれぞれ外
部に開放して設けられている。これらの開放部４５は、
カバー４０の後方へも開放されており、開放部４５から
は、内側の端子本体３１の接続部３２が外部へ露出され
ている。そして、この接続部３２における露出部分に
は、ショート端子２０の接触片２２が接触される接触部
３６がそれぞれ設けられている。

【００１８】これらの接触部３６は、金属ランス４２が
設けられた側の面に対してほぼ９０度角度間隔をずらし
た面である接続部３２の上下面にそれぞれ設けられてい
る。これらの接触部３６は、図６に示すように、外側へ
叩き出すようにして膨出して形成されており、接触部３
６の外面がカバー４０の外面とほぼ面一とされている。
このように接続部３２の上下の面に１つずつ接触部３６
を設けるようにすることで、キャビティ１１に対する雌
側端子金具３０の挿入向きが上下に１８０度反転したい
ずれの向きであっても、いずれか一方の接触部３６がシ
ョート端子２０の接触片２２に接触されるようになって
いる。

【００１９】本実施形態は以上のような構造であり、続
いてその作用について説明する。雌ハウジング１０のキ
ャビティ１１内に雌側端子金具３０を挿入するのにあた
って、雌側端子金具３０のキャビティ１１に対する挿入
向きは上下に１８０度反転したどちらの向きでもよく、
例えば図１及び図２に示すように、バレル部３３の表側
が図１に示す手前側を向いた向きで挿入する。

【００２０】雌側端子金具３０は、スタビライザ４４が
挿通溝１８に挿通されるとともに、金属ランス４２がキ
ャビティ１１の側面に当たって内側へ撓み変形した状態
でキャビティ１１の奥方へと進入される。ここで、雌側
端子金具３０の側面に設けられた金属ランス４２に対し
て、ショート端子２０の接触片２２はほぼ９０度角度間
隔がずれた上面側からキャビティ１１内に突出している
から、金属ランス４２が通過する経路には、ショート端
子２０の接触片２２及び開口部１４が配されておらず、
金属ランス４２がショート端子２０の接触片２２や開口
部１４における前端の段付き部分に干渉することがな
い。

【００２１】雌側端子金具３０が正規の深さまで挿入さ
れると、図８に示すように、ショート端子２０の接触片
２２が接触部３６に弾性的に接触される。この接触部３
６は、カバー４０の開放部４５により外側に膨出して形
成されているから、接触片２２による接圧を十分に得た
状態で、導通性の良好な端子本体３１に直接にショート
端子２０を接触させることができる。雌側端子金具３０
が隣り合う両方のキャビティ１１に挿入されることで、
両雌側端子金具３０がショート端子２０によって短絡さ
れる。

【００２２】一方、金属ランス４２は、図９に示すよう
に、係止溝１７に達したところで弾性復帰して、自由端
面が係止溝１７に係止されて、雌側端子金具３０の抜け
止めが図られる。また、この雌側端子金具３０は、取付
溝１５に取り付けられたリテーナ１６がカバー４０の後
端面に係止されることで、二重に抜け止め保持される。

【００２３】ところで、上記とは雌側端子金具３０の挿
入向きが上下に１８０度反転していて、図１０に示すよ
うに、バレル部３３の裏側が図１０に示す手前側を向い
た向きでキャビティ１１内に挿入されると、ショート端
子２０の接触片２２は、上記とは反対側の接触部３６に
接触され、図１１に示すように、金属ランス４２は係止
溝１７に係止される。このように、雌側端子金具３０の
上下の挿入向きを気にせずに挿入できるから、挿入作業
が簡単なものとなる。特に雌側端子金具３０が小型のも
のである場合は、雌側端子金具３０の挿入向きを特定す
るのは面倒なものとなるから有効である。

【００２４】以上説明したように本実施形態によれば、
雌側端子金具３０をキャビティ１１に挿入する際に金属
ランス４２が通過する経路にショート端子２０が配され
ないようになっているから、金属ランス４２がショート
端子２０や開口部１４に干渉することが確実に防がれ
る。

【００２５】＜他の実施形態＞本発明は上記記述及び図
面によって説明した実施形態に限定されるものではな
く、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に
含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内
で種々変更して実施することができる。 （１）上記した実施形態では、キャビティ側に一対の係
止溝を設けるとともに、雌側端子金具側にも一対の金属
ランスを設けるようにした場合を示したが、雌側端子金
具の挿入向きを１８０度反転させることのみを考える
と、係止溝と金属ランスのうちのいずれか一方側のみを
一対設けるようにし、他方側を１つだけ設けるようにし
てもよく、そのようなものも本発明に含まれる。

【００２６】（２）上記した実施形態では、雌側端子金
具に金属ランスを一対設けるようにした場合を示した
が、係止力が十分得られるのであれば金属ランスは１本
でもよい。

【００２７】（３）上記した実施形態では、雌側端子金
具側の金属ランスをキャビティ側の係止溝に係止させる
場合を示したが、これに限らず、例えばキャビティ側に
設けるようにした樹脂製のランスを端子金具側に設ける
ようにした係止孔に係止させる形態のものも本発明に含
まれる。

【００２８】（４）上記した実施形態では、金属ランス
を備えたカバーを端子本体に固着させる場合を示した
が、金属ランスの強度が十分に得られるのであれば、端
子本体に金属ランスを設けるようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る雌側端子金具を挿入
する前の雌ハウジングの側断面図

【図２】雌側端子金具を挿入する前の雌ハウジングの平
断面図

【図３】雌ハウジングの部分正面図

【図４】雌側端子金具の平面図

【図５】雌側端子金具の側面図

【図６】雌側端子金具の側断面図

【図７】雌側端子金具の正面図

【図８】雌側端子金具をキャビティ内に挿入した状態を
示す側断面図

【図９】同平断面図

【図１０】図８とは反転した姿勢で雌側端子金具をキャ
ビティ内に挿入した状態を示す側断面図

【図１１】同平断面図

【符号の説明】

１０…雌コネクタハウジング（コネクタハウジング） １１…キャビティ １７…係止溝（キャビティ側係止部） ２０…ショート端子（接触端子） ３０…雌側端子金具（端子金具） ３１…端子本体 ３６…接触部 ４０…カバー ４２…金属ランス（端子側係止部） ４５…開放部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コネクタハウジングのキャビティに挿入
   して収容され、かつこのキャビティの側壁に臨んで装着
   された接触端子に接触される端子金具であって、 外面の所定位置には、前記キャビティ内に配されたキャ
   ビティ側係止部と係止可能な端子側係止部が設けられ、
   これらキャビティ側係止部と端子側係止部のうち少なく
   ともいずれか一方が一対設けられることで、前記キャビ
   ティに対する挿入姿勢が１８０度反転したいずれの向き
   においても抜け止め可能とされており、前記端子側係止
   部を備えた面から両側にほぼ９０度の角度間隔を隔てた
   面には、前記接触端子が接触可能な接触部がそれぞれ設
   けられていることを特徴とする端子金具。
2. 【請求項２】 相手の端子金具と接続される端子本体の
   外側に、前記端子側係止部を備えたカバーが一体的に嵌
   着されているものにおいて、 前記接触部が前記端子本体の外面上に外方に突出して形
   成されているとともに、前記カバーにはこの接触部を露
   出させる開放部が設けられていることを特徴とする請求
   項１記載の端子金具。