JP2001057113A - 複合型ケーブル - Google Patents

複合型ケーブル

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JP2001057113A
JP2001057113A JP11233901A JP23390199A JP2001057113A JP 2001057113 A JP2001057113 A JP 2001057113A JP 11233901 A JP11233901 A JP 11233901A JP 23390199 A JP23390199 A JP 23390199A JP 2001057113 A JP2001057113 A JP 2001057113A
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cable
main
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Masaaki Nakano
雅章 中野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】主線材と線心挿通用パイプを集合させた複合ケ
ーブルにおいて、主線材間の隙間に線心挿通用パイプが
入り込み圧迫されたり又は圧壊したり、またケーブル全
体が屈曲を受けたときに主線材と挿通用パイプの一体性
が失われいわゆる「笑い」を生じることがなく、ケーブ
ル延伸時に外力により挿通用パイプが損傷を受け難い、
複合型ケーブルを提供する。 【解決手段】複合型ケーブルの挿通用パイプ11には、
その外周に高さhの螺旋状の凸条13が形成され、主線
材15と凸条13が接する部分では、直径d1の主線材
と直径d2の挿通用パイプを隔離し、他の凸条と主線材
が接しない部分では主線材15と挿通用パイプ11が一
体に撚りあわせられている。この構成が凸条の螺旋のピ
ッチに従い確実に繰り返され、かつd1、d2、hの間
に特定の関係が指定されているので、隔離性と一体性を
同時に奏し、入り込みや「笑い」の発生を防止し、外力
による損傷を受け難い複合型ケーブルが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力用ケーブル等
と情報通信用等に用いられるケーブルを複合した複合型
ケーブルに係り、より詳しくは電力伝送用ケーブル又は
メタル通信ケーブル等の大径の主線材と、情報通信用の
光ファイバーケーブル等を挿通する線心挿通用パイプを
撚りあわせた、電力および情報通信等に兼用の複合型ケ
ーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、ケーブル業界に於いて、配電用お
よび電力用の電力ケーブルを情報通信用の光ファイバー
ケーブル等と撚りあわせた、複合型ケーブルが多く用い
られるようになってきている。これらの複合型ケーブル
では、将来の光心線数の追加に柔軟に対応できるよう
に、電力線心等と光ファイバー線等を挿通する挿通用パ
イプとを撚りあわせて、一体の複合型ケーブルとしてい
る。これらのケーブルは、図5に示す如きいわゆるエア
ブロン工法によって作成している。このエアブロン工法
は、サプライリール41から供給するファイバー心線4
2を挿通用パイプ43内に挿通し、コンプレッサ44に
より圧縮した空気をドライヤ45で乾燥させながら、コ
ントロールユニット46で線心繰り出し量および空気量
等を制御しつつ、圧送ヘッド47を経由して供給し、そ
の風圧で線心42を挿通用パイプ43内に圧送して作成
している。ここで、48はパイプコネクタ、49はチュ
ーブケーブルである。
【0003】上記の複合型ケーブルの一例は実公平5−
5619号に開示されており、その概観を図6に示す。
図6に於いて、51は光ファイバー心線の挿通用パイ
プ、55は電力ケーブルである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような実公平5−
5619号公報等に開示されているパイプ複合型ケーブ
ルにおいては、製造時に主線材である電力心線と挿通用
パイプとを撚り合わせて作成しているが、製造時や巻替
え作業中または敷設工事中に撚りあわせが緩んだり撚り
あわせ力が弱くなると、主線材と光ファイバー用パイプ
が最密充填を保てなくなり、密着しているべき主線材間
に間隙を生じ、挿通用パイプがその間隙に入り込むこと
により、脆弱な線心挿通用パイプが強固な主線材の間に
挟まれて過度な側圧が挿通用パイプに賦課され、これを
光ファイバーケーブルとした場合には光伝送ロスが増加
したり、また極端な場合には圧壊されて線心の挿通が不
可能になることがあった。
【0005】この対策として例えば図7および図8にそ
の概観図を示す、特開平10−233129号に開示さ
れているような、その外周に1つの直線状の凸条53を
設けた光ファイバーの挿通用パイプ51を用いること
で、挿通用パイプ51の主線材55への入り込みを防止
して圧壊を防ぐことが提案されている。しかしながら特
開平10−233129号に示されている主線材55と
ともに撚りあわせられる挿通用パイプ51には、撚りあ
わせ時などには常に捻り応力が加えられるので、挿通用
パイプ51が作業中に自転してその外周上の直線状の凸
条53がその相対位置を変動し、主線材55と凸条53
が期待した位置関係からはずれてしまい、さらに凸条が
直線で構成されているためにそのはずれた位置をある長
さの間継続する。このため、長い区間にわたって期待し
た効果を奏せず、主線材55と挿通用パイプ51が最密
充填を保てなくなると、挿通用パイプ51の外周上に凸
条53を有さないものと同様に、挿通用パイプ51が主
線材55の間隙に入り込んでしまい、従来と同じ主線材
による圧迫や圧壊を受け、極端な場合は高圧空気による
圧送を行っても、光ファイバー等の線心が挿通不可能に
なるなどの不具合を依然として生じている。
【0006】上記の特開平10−233129号には、
直線状の凸条を複数個とした構造も開示されているが、
このような場合には、捻り応力による自転のための相対
位置の変動の影響は、別の凸条による隔離効果で減殺さ
れるものの、多数の凸条の製造コストの増大の他に、多
数の凸条により挿通用パイプが主線材から遊離して浮き
上がるために主線材との一体性を失い、製造時等にケー
ブルが屈曲を受けるといわゆる「笑い」を生じて挿通用
パイプの脱落が発生する等の種々の問題を生じている。
特にこの構造を需要の多いトリプレックス型ケーブルに
適用した場合には、近年トリプレックス型ケーブルがロ
ングピッチで撚りあわされることが多くなっているの
で、「笑い」の発生による不具合が顕著になってきてい
る。このように、入り込みを防止するために主線材と挿
通用パイプを隔離する手段を採用して、その隔離効果を
確実にしようとすると複合型ケーブルの一体性が失われ
脱落を生じるようになり、入り込みと脱落の問題はトレ
ードオフの関係に陥り、二つの課題が同時に充足された
複合型ケーブルはいまだに得られていない。
【0007】本発明の目的は、挿通用パイプが主線材の
間に入り込んで過度の側圧を賦課されて光ファイバーで
の伝送ロスを増加させたり、また挿通用パイプが圧壊さ
れたり、ケーブル屈曲時に挿通用パイプが主線材から脱
落したりすることのない、入り込みと脱落を同時に充足
する複合型ケーブルを安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の請求項1に係る複合型ケーブルは、2本又
はそれ以上の主線材と、線心の挿通用パイプとを集合さ
せ撚りあわせてなる複合型ケーブルにおいて、上記線心
の挿通用パイプはその外周に螺旋状に形成した凸条を有
することを特徴とする。かかる構成により、本発明の請
求項1に従う複合型ケーブルにおける線心の挿通用パイ
プは、捻り応力の賦課によりそれがどのような捻れ方を
していても、その外周に螺旋状に形成した凸条が螺旋の
1ピッチの間に対向する各々の主線材と確実に一度接触
して各々の主線材との距離を隔離して保ち、かつ凸条に
より見かけの外径を大きくするので、撚りあわせ時や巻
替え作業中および敷設工事中等に撚りあわせ力が偶々弱
くなったときも、各主線材間の間隙に落ち込むことがな
い。一方残余の大部分である1ピッチ中の凸条と主線材
とが接触していない部分では、挿通用パイプ自身が凸条
を介さないで主線材と密接に接触しているので、挿通用
パイプと主線材の一体性が保たれ、ケーブル全体が屈曲
を受けた場合にも主線材と挿通用パイプが同様に屈曲
し、いわゆる「笑い」が発生して挿通用パイプが主線材
から脱落することが防止され、これらの2つの状態が螺
旋状に形成した凸条による旋回のピッチごとに周期的に
確実に繰り返され、安価な一本のみの凸条の配設によっ
ても、上記のトレードオフの課題が同時に解決された複
合型ケーブルを得ることができる。
【0009】又本発明の請求項2に係る複合型ケーブル
は、上記主線材が3本の主線材であって、上記凸条を有
する挿通用パイプが、最密充填した上記3本の主線材が
構成する外接円より内側に配置されていることを特徴と
する。かかる構成により、3本の主線材が構成する仮想
の外接円内に凸条を含めた挿通用パイプが収まり、複合
型ケーブルの延伸時等に受ける外力はおもに主線材によ
り負担され、挿通用パイプが外力を直接受けることが少
ない。これにより、脆弱な挿通用パイプが主線材の外接
円より外に出っ張ることで外力が直接賦課されて損傷を
受けたり、圧壊されたりすることがない。
【0010】又本発明の請求項3に係る複合型ケーブル
は、上記主線材がその直径をd1とする3本の主線材で
あって、上記挿通用パイプはその直径がd2、上記螺旋
状の凸条の高さがhであるときに、d1およびd2、h
は、以下の式に規定される関係を有することを特徴とす
る。 〔式〕 0.483d1 > d2 + h かかる構成により、本発明の請求項3に従う複合型ケー
ブル心線の挿通用パイプは、上記の不等式の関係を充足
して、以下に詳しく説明されるように、3本の等しい直
径の主線材が構成する仮想の外接円内に凸条を含めた挿
通用パイプが収まり、複合型ケーブルの延伸時等に受け
る外力はおもに主線材により負担され、挿通用パイプが
外力を直接受けることが少ない。これにより、脆弱な挿
通用パイプが主線材の外接円より外に出っ張ることで外
力が直接賦課されて損傷を受けたり、圧壊されたりする
ことがない。
【0011】又本発明の請求項4に係る複合型ケーブル
は、上記挿通用パイプには、導体被覆線心又は光ファイ
バー線心が挿通されていることを特徴とする。かかる構
成により、本発明の請求項4に従う複合型ケーブルは、
電力の送配電用ケーブルと情報通信用の導体被覆線心又
は光ファイバー線心が複合して形成され、一度の架設で
電力等と情報通信等の二種類の配線インフラストラクチ
ュアが完成でき、電力用等と情報通信用等の二種類の配
線の保守保全も同時に並行して作業し完了することがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の複合型ケー
ブルに使用される挿通用パイプの一例を示した概観図
で、図2は本発明の挿通用パイプを1本使用して複合型
ケーブルとした例を示す概観図で、図3は本発明の挿通
用パイプを3本使用して複合型ケーブルとした他の例を
示す断面図で、図4は3本の主線材の半径が全て等しい
複合型ケーブルの各線材の半径と層心径の関係を示す説
明図である。
【0013】図1には、本発明の複合型ケーブルに用い
られる挿通用パイプの一例が示されている。本発明に係
る複合型ケーブルの挿通用パイプ11は、光ファイバー
や導体被覆線心等の線心挿通のために内部壁面の摩擦を
考慮して、ポリエチレン又はポリプロピレンにより形成
された内部パイプ12と、その周囲に高さhの凸条13
が螺旋状に形成されたポリ塩化ビニルである外径d2の
保護被覆14とからなる二層構造を有している。この螺
旋状の凸条13を有する挿通用パイプ11は、周知のロ
ーテーションヘッド押出機を用いて内部パイプ12をサ
プライより前記ヘッド押出機に導入して、凸条の金型と
して外部のモーターにより回転駆動される、所定の深さ
と幅を有する溝付きダイニップルを通過させることによ
り、所定の高さと幅を有する凸条13が設けられた保護
被覆14を形成して製造されている。このとき、内部パ
イプ12の上記ローテーションヘッドへの導入速度と、
ダイニップルの回転速度の比を適宜に選択すれば、その
ピッチを任意の所定の値とすることができる。
【0014】このような方法によって作成した外周に凸
条を有する挿通用パイプを用いて、3本の主線材と撚り
合わせて複合ケーブルを構成した場合、挿通用パイプが
細密充填をした上記3本の主線材が構成する外接円より
内側に配置されていると、3本の主線材が構成する仮想
の外接円内に凸条を含めた挿通用パイプが収まり、複合
型ケーブルの延伸時等に受ける外力はおもに主線材によ
り負担され、挿通用パイプが外力を直接受けることが少
ない。これにより、脆弱な挿通用パイプが主線材の外接
円より外に出っ張ることで外力が直接賦課されて損傷を
受けたり、圧壊されたりすることがない。
【0015】図2および図3は、上記の方法によって製
造した、高さh=2.4mmの凸条13を有する図1の
挿通用パイプ11を、それぞれ1本のみおよび3本用い
て、3本の半径が全て等しい主線材15と撚り合わせ、
図2の場合はアナログ電話用の導体被覆線心を、図3の
場合はデジタル通信用の光ファイバーを挿通して複合型
ケーブルを作成し、3本の主線材が構成する外接円より
内側に配置した例を示す概観図および断面図である。
【0016】これらの図2に示すケーブルと図3に示す
ケーブルとは、線心挿通用パイプの本数が異なるだけ
で、他は同一の以下の諸元を有する。
【0017】 導体サイズ 150平方mm 単心シース外径 30.0mm 仕上がり外径 64.6mm 層心径 34.6mm 挿通用パイプ外径 12.0mm(凸条を除く) 凸条高さ 2.4mm 挿通用パイプ内径 6.0mm 撚りあわせピッチ 900.0mm これらの具体例では、前記主線材15がその直径を全て
等しい値d1=30mmとする3本でトリプレックスケ
ーブルを構成し、前記挿通用パイプ11はその直径がd
2=12mm、前記凸条の高さがh=2.4mmである
ものが、それぞれ1本および3本用いられて複合型ケー
ブルを形成している。
【0018】図4は、主線材が全て等しい直径を有する
複合型ケーブルの、各線材の半径と層心径の関係を示す
ための説明図である。記述と計算の簡単のため、挿通用
パイプ11は凸条13を含まない、従来のものを示して
いる。ここでトリプレックス型複合ケーブルの中心の位
置をC、主線材15の半径をr1、その中心の位置をC
1、この主線材15の層心半径をPr1、挿通用パイプ
11の半径をr2、挿通用パイプの中心の位置をC2、
挿通用パイプ11の層心の半径をPr2とすると、Pr
1はCC1の、Pr2はCC2の距離になり、3本の主
線材15の各中心C1は正三角形を構成する。
【0019】ここで記載の簡便化のために、kの2乗を
sq[k]、kの平方根をrt[k]と記載し、1/r
t[3]をtとおくことにすると、初等幾何学から、 Pr1=2t・r1 (1) Pr2= t・r1+rt[sq[r1+r2]−sq[r1]](2) ここで、半径r2の挿通用パイプ11が3本の主線材1
5の外接円に接する時には、 Pr1+r1=Pr2+r2 (3) これを(1)、(2)に代入して演算すると r2=(sq[t+1]/(2・(t+2)))・r1 =0.483r1 これを本発明の凸条を有する挿通用パイプに適用する
と、2r1=d1、2r2=d2+hであり、本発明の
挿通用パイプは外接円より内側に配置されているので、
0.483d1 > d2 + h となる。
【0020】以上から、損傷や圧壊を受けにくい高さh
の凸条13がある直径d2の挿通用パイプ11と、直径
d1の主線材15を3本撚りあわせたトリプレックス型
複合ケーブルでは、本発明の請求項3に規定された、式
の関係が充足されなければならない。
【0021】本発明に係る挿通用パイプ11は、その外
周に高さhの螺旋状の凸条13が保護被覆の上にポリ塩
化ビニルで形成されているので、主線材15との接触に
於いて上記凸条13はポリ塩化ビニルの硬度により接触
しても変形を受けずその形態を保ち、主線材15と挿通
用パイプ11を隔離する。この隔離は挿通用パイプ11
と凸条13が主線材15に接触し始める位置から接触を
終了する位置まで、即ち上記の諸元を有する複合型ケー
ブルの場合には、いずれの場合も挿通用パイプの中心か
ら見て、主線材との接点を挟み角度α(ただしαは[d
2/2+h]cosα=d2/2となる角度)、即ち上
記の図2と図3の実施例では、d2=12mm、h=
2.4mmで α=±19度の角度範囲で凸条13が主
線材15と接触する。凸条13は挿通用パイプ11の保
護被覆14の素材であるポリ塩化ビニルで形成されてい
るので、主線材15との静的な接触に対しては十分な強
度があり、その形態を保持したまま19×2/360
即ち1ピッチの約10%の領域で、主線材と挿通用パイ
プの中心点間の距離を、0〜2.4mmだけ拡張する。
【0022】これにより一つの主線材15に対して、螺
旋状の凸条13の1ピッチの残りの約90%の区間で
は、主線材15と挿通用パイプ11が一体となり、製造
時等にケーブル全体が屈曲を受けても「笑い」を生じて
挿通用パイプ11が脱落することが無い。同時に作業中
に挿通用パイプに捻り応力による自転が発生していかな
る方向を向くようなことがあっても、螺旋状の凸条の1
ピッチの約10%の区間、即ち上述のトリプレックス型
への適用例では対向する主線材が2本なので、それに対
して合計約20%の区間で、効果的かつ確実に主線材1
5と挿通用パイプ11との相互の距離を隔て、螺旋状に
形成された凸条の効果により、片側にhづつ即ち螺旋の
1ピッチを通しては両側でh+hの増加をもたらす。こ
れにより見かけの直径を合計でd2+2hとする挿通用
パイプを有する複合型ケーブルが一本の凸条により得ら
れ、挿通用パイプが主線材の間に入り込んだり圧壊を受
けることがなくなる。
【0023】図2の導体被覆線心を挿通した例では、脆
弱なアナログ電話用導体被覆線心を敷設するときに強固
な電力用主線材と共に敷設することができ、電力用と電
話用の2種の異なるインフラストラクチュアを、安価か
つ強度を向上しさらに脆弱な導体被覆線心を損傷させる
ことなく、一度に構築することが出来る。脆弱で損傷し
やすい導体被覆線心は単独では長い距離にわたって装架
することは困難であったが、複合型ケーブルとすること
により、それらの不具合を解消し、かつ複合型ケーブル
の欠点であった主線材による損傷も凸条により解消する
ことができる。また、図3の光ファイバー線心を挿通し
た場合にも主線材への入り込みの側圧による伝送ロスの
発生や、製造時に線心の挿通が不可能になったりする等
の巻替え作業中や敷設工事中のトラブルの発生を防止す
ることができる複合型ケーブルが得られる。
【0024】なお、これらの具体例では、挿通用パイプ
の保護被覆14の素材をポリ塩化ビニルとしたが、公知
のポリエチレンやナイロンでも同様に作成して使用する
ことができる。
【0025】また上記の具体例では、挿通用パイプ11
の外周に設けた凸条13を1本としたが、複数本でも同
様の効果を奏することは勿論であるが、上記の実施例の
ようにr2/h=5である場合、凸条が1本増えるごと
に隔離効果を示す領域が20%ずつ増加するので、あま
り多くなると主線材と挿通用パイプの一体性を呈する領
域が減少することになる。また同時に、凸条の材料費分
の製造コストが増大して好ましくない。
【0026】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明に係る複合
型ケーブルによれば、線心の挿通用パイプに螺旋状の突
起が設けられているため、凸条が対向する1本の主線材
と接している約10%の区間で、即ち最も需要の多いト
リプレックス型の複合ケーブルとしたときには、対向す
る2本の主線材に対して合計約20%の部分で挿通用パ
イプと主線材を隔離して、その中心間の距離を拡張し見
かけの直径を大きくしているので、巻替え作業中や敷設
工事中に挿通用パイプが主線材の間に入り込んで圧壊さ
れることがなく、同時に残余の約80%の部分では、挿
通用パイプと主線材の一体性が確実に保たれているの
で、ケーブルの屈曲時に挿通用パイプが主線材から脱落
することがない。この2つの隔離性と一体性を呈する状
態が螺旋状の凸条のピッチに従い、間断なく確実に繰り
返されているので、入り込みによる不具合と脱落による
不具合が同時に両立して解決されている複合型ケーブル
を、挿通用パイプに一本の凸条の設けるのみで安価に得
ることができる。
【0027】さらに、その挿通用パイプが需要の多いト
リプレックス型ケーブルと集合して撚りあわされたとき
に、主線材の直径と挿通用パイプの直径および凸条の高
さの間の望ましい関係が見いだされて充足されているの
で、ケーブル延伸時に挿通用パイプが外部圧力により損
傷を受けることがないトリプレックス型複合ケーブルを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合型ケーブルに用いる挿通用パ
イプの概観図。
【図2】本発明の、挿通用パイプを1本としたトリプレ
ックス型複合ケーブルの概観図。
【図3】本発明の、挿通用パイプを3本としたトリプレ
ックス型複合ケーブルの断面図。
【図4】複合型ケーブルの線材の半径と層心径の関係を
示す説明図。
【図5】エアブロン工法の説明図。
【図6】従来の複合型ケーブルの一例の概観図。
【図7】他の従来例の複合型ケーブルの概観図。
【図8】従来例の挿通用パイプの概観図。
【符号の説明】
11 挿通用パイプ 12 挿通用パイプの内部パイプ 13 凸条 14 保護被覆 15 主線材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本又はそれ以上の主線材と、線心挿通
    用パイプとを集合させ撚りあわせてなる複合型ケーブル
    において、前記線心挿通用パイプはその外周に螺旋状に
    形成した凸条を有することを特徴とする複合型ケーブ
    ル。
  2. 【請求項2】 前記主線材が3本の主線材であって、前
    記凸条を有する挿通用パイプが、最密充填した前記3本
    の主線材が構成する外接円より内側に配置されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の複合型ケーブル。
  3. 【請求項3】 前記主線材がその直径をd1とする3本
    の主線材であって、前記挿通用パイプはその直径がd
    2、前記螺旋状の凸条13の高さがhであるときに、d
    1およびd2、hは、以下の式に規定される関係を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の複合型ケーブル。 式 0.483d1 > d2 + h
  4. 【請求項4】 前記挿通用パイプには、導体被覆線心又
    は光ファイバー線心が挿通されていることを特徴とする
    請求項1、2または3に記載の複合型ケーブル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115101248A (zh) * 2022-06-14 2022-09-23 上海蓝昊电气江苏有限公司 功能单元线芯及其制造方法、智能复合采煤机电缆
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