JP2001053422A - カバーレイフィルム - Google Patents
カバーレイフィルムInfo
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Abstract
温の加熱条件でプリント配線板と良好な接着性を示し、
低温かつ短時間で効率よく接着可能で絶縁性の良いプリ
ント配線板の導体回路保護用のカバーレイフィルムを提
供する。 【解決手段】プリント配線板の導体回路保護用のカバー
レイフィルムが、シンジオタクチック構造を有するスチ
レン系樹脂組成物と、該スチレン系樹脂組成物と相溶性
のある熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組
成物の含有率が35重量%以上であって、示差走査熱量
測定で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が2
60℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶
化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が下記の式
(I)で示される関係を満たす特性であることを特徴とす
るカバーレイフィルム。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.6
Description
ント配線板などの表面を保護する導体回路保護用のカバ
ーレイフィルムに関する。
ト配線板の表面には、精密に設計された導体回路が印刷
の手法で形成されており、導体回路の絶縁、防錆、傷付
き防止等といった保護のためにカバーレイフィルムが被
覆されている。
無接着剤タイプの2種類があり、接着剤タイプには、ポ
リイミド(PI)やポリエチレンテレフタレート(PE
T)のフィルムの片面にアクリル系やエポキシ系の半硬
化タイプの接着剤が塗られ、その上に離型フィルムが貼
り付けられた薄く柔軟なフィルムとして市販されてい
る。
られている。また、カバーレイフィルムをプリント配線
板の表面に被覆するには工程として2つが考えられてお
り、そのうちの1つは、カバーレイフィルムにNCドリ
ルで穴を開け、その後にFPC基材に被覆する方法と、
もう一つはカバーレイフィルムを基材に被覆した後にレ
ーザーで穴開けする方法である。前者は、最小穴径も大
きく、穴加工精度や位置精度に難点があり、高密度タイ
プに対応できない方法である。
硬化状態の接着剤を使用するため、充分な保存管理が必
要である。また、接着剤自体の耐熱性が悪いため、半田
耐熱性に乏しい面がある。また、無接着剤タイプである
熱可塑性ポリイミドのカバーレイフィルムの場合は、基
板に被覆する際に300℃に近い高温でプレスする必要
があるため、汎用のプレス機が使えないという欠点があ
る。
ーレイフィルムの片面に接着剤を塗布することは、カバ
ーレイフィルムの製造工程数を増加させて製造原価を高
める要因となっている。また、比較的に低温低圧で接着
硬化する耐熱性の低い接着剤を使用すれば、充分な耐熱
性が得られず、逆に耐熱性の良い接着剤は、高温高圧の
条件でなければカバーレイフィルムを接着することが困
難であるという問題点がある。
解決し、耐熱性に優れていると共に、260℃以下の低
温の加熱条件でプリント配線板と良好な接着性を示し、
すなわち低温かつ短時間で効率よく接着可能な絶縁性の
良いプリント配線板の導体回路保護用のカバーレイフィ
ルムを提供することである。
めに、本発明においては、プリント配線板の導体回路保
護用のカバーレイフィルムにおいて、このカバーレイフ
ィルムが、シンジオタクチック構造を有するスチレン系
樹脂組成物と、該スチレン系樹脂組成物と相溶性のある
熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の
含有率が35重量%以上であって、示差走査熱量測定で
昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃
以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化によ
り発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が下記の式(I)で
示される関係を満たす特性であることを特徴とするカバ
ーレイフィルムとしたのである。
る熱可塑性樹脂の結晶融解ピーク温度が260℃以上の
ものであり、かつ結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化
により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が前記式(I)
で示される関係を満たすものであって、加熱加圧による
熱融着時には190℃以下という比較的低温の条件で熱
可塑性樹脂の弾性率が適度に低下するので、導体回路の
微細な配線ピッチにも熱可塑性樹脂が確実に充填され
て、電気的絶縁の信頼性が極めて高いカバーレイフィル
ムである。
時の加熱によりシンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系樹脂の結晶性を適当に進行させるので、260℃以
上の耐熱性を確実に発揮すると共に充分な絶縁性を示
し、機械的強度および電気的絶縁性にも優れており、優
れた保護層を形成する。
製の導体箔との接着強度が大きいので、表面に導体箔か
らなる導体回路を有するフレキシブルプリント配線板等
のプリント配線板と、これに重ねたカバーレイフィルム
は強固に接着される。通常、表面粗化銅箔等の表面が粗
化されている金属製の導体箔が採用されるが、表面が粗
化された被接着物は粗化されていない被接着物に比べて
より接着強度が大きくなる。
ムを構成する第1の成分であるシンジオタクチック構造
を有するスチレン系樹脂は、立体化学構造がシンジオタ
クチック構造、すなわちC−C結合から形成される主鎖
に対して、側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交
互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。
フィルムの35重量%以上、35〜70重量%の範囲が
好適であり、35重量%未満でははんだ耐熱性に劣り、
70重量%を越えると導体箔との接着性に劣り易い傾向
がある。
の成分である上記スチレン系樹脂と相溶性のある熱可塑
性樹脂としては、溶融成形時に均一な分散が可能な樹脂
であればよく、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポ
リエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンエーテル
系、ポリフェニレンスルフィド系の樹脂などが挙げられ
るが、これに限定されるものではない。本発明において
は、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)が好適
に使用される。このスチレン系樹脂と相溶性のある熱可
塑性樹脂の含有量はカバーレイフィルムの30〜65重
量%の範囲が好適であり、30重量%未満では導体箔と
の接着性に劣り易い傾向があり、65重量%を越えると
はんだ耐熱性に劣り易い傾向がある。
械的強度を向上する目的で、さらに、ゴム状弾性体を含
有させてもよく、ゴム状弾性体としては、スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン
−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、
水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重
合体(SEBS)などが挙げられるが、これに限定され
るものではない。本発明においては、上記ゴム状弾性体
のうちSEBSが好適に使用される。ゴム状弾性体はカ
バーレイフィルムの10〜20重量%の範囲で含有する
のが好ましく、10重量%未満では強度の改良効果が少
なく、20重量%を越えるものでは耐熱性が低下する傾
向がある。
ーレイフィルムの熱融着前の熱特性は、結晶融解熱量Δ
Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHc
との関係が下記の式(I) で示される関係を満たすことで
ある。
S K 7121、JIS K7122に準じた示差走
査熱量測定で昇温したときのDSC曲線に現れる2つの
転移熱の測定値、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶
化熱量ΔHc(J/g)の値から算出される。 (ΔH
m−ΔHc)/ΔHmで示される式の値は、原料ポリマ
ーの種類や分子量、組成物の配合比率にも依存している
が、カバーレイフィルムの成形・加工条件に大きく影響
する。すなわち、カバーレイフィルムを製膜する際に、
原料ポリマーを溶融させた後、速やかに冷却することに
より、前記式の値を小さくすることができる。また、こ
れらの数値は、各工程でかかる熱履歴を調整することに
より、制御することができる。ここでいう熱履歴とは、
カバーレイフィルムの温度と、その温度になっていた時
間を指し、温度が高いほど、この数値は大きくなる傾向
がある。
ついては、前記式(I) の右辺で示される値ができるだけ
小さいほうが接着性を改良できて好ましい。より好まし
い前記式(I) の右辺の値は0.40以下である。そし
て、熱融着後のカバーレイフィルムの熱特性は、下記式
(II)の関係を満たすようにすることが好ましい。
樹脂組成物の結晶化が不充分であり、特に260℃以上
の耐熱性を充分に発揮させることが難しい。このように
すると、熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解ピーク温度
(Tc ) 付近まで加熱されてプリント配線板の導体回路
の表面と確実に熱融着しかつ絶縁し、また熱可塑性樹脂
組成物の結晶化が進むので、耐熱性に優れたプリント配
線板を製造できる。
の厚みを特に限定せずに被接着物の接着用途に合わせて
設定できるものであり、例えば5〜300μm程度のフ
ィルムであるものを含む。
Tダイを用いた押出キャスト法やカレンダー法などの周
知の製法を採用すればよい。なお、製膜性や安定生産性
の面からTダイを用いた押出キャスト法を採用すること
が好ましい。押出キャスト法の成形温度は、組成物の流
動特性や製膜特性によって適宜に調節するが、概ね組成
物の融点以上、300℃以下である。
する熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しな
い程度に、主成分以外の樹脂その他の添加剤を配合して
もよい。添加剤の具体例としては、熱安定剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、着色剤、滑剤、難燃剤、無機フィラー
などが挙げられる。また、カバーレイフィルムの表面
に、ハンドリング性改良等のためのエンボス化工やコロ
ナ処理などを施してもよい。
プリント配線板は、通常はフレキシブルプリント配線板
に適用性があるが、必要であれば絶縁層の基材や樹脂の
種類を特に限定せずに使用することができ、例えばガラ
ス布基材エポキシ樹脂、紙基材エポキシ樹脂、ガラス布
基材ポリイミド樹脂、その他周知の材質からなる絶縁層
を有するプリント配線板を被覆することもできる。
およびこれに対比するための比較例1、2について以下
に説明する。
するスチレン系樹脂組[出光石油化学(株)製、ザレッ
ク](以下、単にSPSと略記することがある)60重
量%と、変性PPE[三菱エンジニアリングプラスチッ
クス社製、ユピエース]40重量%とからなる混合組成
物を、Tダイを備えた三菱重工(株)製40mmφ二軸
混練押出機(L/D=35)を用いて押し出し、調温機
能を備えたキャストロールに直ちに接触させて固化させ
て、厚さ25μmのカバーレイフィルムを製造した。
物の配合割合をSPS40重量%、変性PPE60重量
%としたこと以外は、同様にしてカバーレイフィルムを
製造した。
物の配合割合をSPS40重量%、変性PPE45重量
%、SEBSを15重量%したこと以外は、同様にして
カバーレイフィルムを製造した。 〔比較例1、2〕実施例1において、混合組成物の配合
割合をSPS100重量%(比較例1)、または変性P
PE100重量%(比較例2)としたこと以外は、同様
にしてそれぞれのカバーレイフィルムを製造した。
ルムの物性を調べるため、以下の(1) および(2) に示す
項目を測定または測定値から計算値を算出した。これら
の結果は、表1にまとめて示した。
(℃)、結晶融解ピーク温度(℃) JIS K7121に準じ、試料10mgを使用し、パ
ーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を1
0℃/分で昇温した時の上記各温度をサーモグラムから
求めた。
ーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を1
0℃/分で昇温した時のサーモグラムから結晶融解熱量
ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)を求
め、上記式の値を算出した。
験〕ポリイミド樹脂基板の両面銅張積層板にサブトラク
ティブ法によって回路パターンを形成し、導電性回路を
エッチングにより形成したフレキシブルプリント配線基
板を試験対象品とした。
ム3(実施例1〜3、比較例1、2)を上記プリント配
線基板の表面に重ねて真空雰囲気下760mmHgでプ
レス温度190℃、プレス圧力30kg/cm2 、プ
レス時間20分の条件で熱融着した。
キシブルプリント配線基板の回路パターン近傍への樹脂
の回り込み状態を走査型電子顕微鏡(下記の(3) の方
法)で観察し、耐熱性を下記の(4) の試験方法で調べ、
これらの結果を表1中に併記した。 (3) 層間剥離の有無 カバーレイフィルムで被覆されたフレキシブルプリント
配線板をエポキシ樹脂に包埋し、精密切断機で断面観察
用サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)で切
断面を観察し、カバーレイフィルムと銅箔製の導電性回
路との層間剥離の有無を評価した。
60℃のハンダ浴に試験片の銅箔側がハンダ浴に接触す
る状態で10秒間浮かべた後、浴から取り出して室温ま
で放冷し、その膨れや剥がれ箇所の有無を目視観察し、
その良否を評価した。
速度が速いためにプレス温度190℃ではフレキシブル
プリント配線板に接着できなかった。また、比較例2の
カバーレイフィルムは、プレス温度190℃では接着性
が充分になく、積層体の層間の一部に剥離の発生が観察
され、耐熱性も不充分であった。これに対して、実施例
1〜3のカバーレイフィルムは、プレス温度190℃で
接着性が充分であると共に結晶化も進行し、結晶融解ピ
ーク温度が260℃以上であるという優れた耐熱性があ
り、またプリント配線板の導体回路との層間剥離もな
く、ハンダ耐熱性も備えていた。
明したように、プリント配線板に用いられるカバーレイ
フィルムを、所定の耐熱性を示すシンジオタクチック構
造を有するスチレン系樹脂組成物と、該スチレン系樹脂
組成物と相溶性のある熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹
脂組成物で形成し、スチレン系樹脂の結晶性を適当に進
行させた特性のものを採用したので、このようなカバー
レイフィルムは、190℃以下の低温に加熱した際にプ
リント配線板の表面との接着に適した特性を示して比較
的短時間で接着可能であり、しかも熱融着後には260
℃に耐える耐熱性を示し、機械的強度および電気絶縁性
にも優れた絶縁性を示すという利点がある。
Claims (3)
- 【請求項1】 プリント配線板の導体回路保護用のカバ
ーレイフィルムにおいて、このカバーレイフィルムが、
シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物
と、該スチレン系樹脂組成物と相溶性のある熱可塑性樹
脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の含有率が3
5重量%以上であって、示差走査熱量測定で昇温した時
に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であ
り、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生す
る結晶化熱量ΔHcとの関係が下記の式(I)で示される
関係を満たす特性であることを特徴とするカバーレイフ
ィルム。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.6 - 【請求項2】 スチレン系樹脂組成物と相溶性のある熱
可塑性樹脂が変性ポリフェニレンエーテル樹脂である請
求項1記載のカバーレイフィルム。 - 【請求項3】 ゴム状弾性体を10〜20重量%の範囲
で含有してなることを特徴とする請求項1乃至2記載の
カバーレイフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22492399A JP3947329B2 (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | カバーレイフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22492399A JP3947329B2 (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | カバーレイフィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001053422A true JP2001053422A (ja) | 2001-02-23 |
JP3947329B2 JP3947329B2 (ja) | 2007-07-18 |
Family
ID=16821296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22492399A Expired - Fee Related JP3947329B2 (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | カバーレイフィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3947329B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011121993A (ja) * | 2009-12-08 | 2011-06-23 | Idemitsu Kosan Co Ltd | シンジオタクチックポリスチレン系樹脂フィルム |
-
1999
- 1999-08-09 JP JP22492399A patent/JP3947329B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011121993A (ja) * | 2009-12-08 | 2011-06-23 | Idemitsu Kosan Co Ltd | シンジオタクチックポリスチレン系樹脂フィルム |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3947329B2 (ja) | 2007-07-18 |
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