JP2001053338A - Iii族窒化物半導体発光素子 - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子

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JP2001053338A
JP2001053338A JP11227075A JP22707599A JP2001053338A JP 2001053338 A JP2001053338 A JP 2001053338A JP 11227075 A JP11227075 A JP 11227075A JP 22707599 A JP22707599 A JP 22707599A JP 2001053338 A JP2001053338 A JP 2001053338A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】III族窒化物半導体からなる発光層を含むp
n接合型ヘテロ接合構造の発光部を具備したIII族窒
化物半導体発光素子にあって、形成するのが煩雑なp形
III族窒化物半導体層に代替して、簡便に形成できる
低抵抗のp形導電層をp形障壁層として、pn接合型ヘ
テロ接合構造の発光部を構成する。 【解決手段】p形伝導を呈する導電性酸化物材料からな
るp形障壁層を利用してpn接合型ヘテロ構造の発光部
を構成する。p形の透明酸化物材料から構成されるp形
障壁層は、p形障壁層及びp形ウィンドウ層として兼用
できるので、高輝度のIII族窒化物半導体発光素子が
提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】III族窒化物半導体以外の
p形伝導層から構成される、pn接合型ヘテロ構造の発
光部を備えたIII族窒化物半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の青色帯或いは緑色帯の発光を呈す
る発光ダイオード(LED)或いはレーザダイオード
(LD)は、有機金属熱分解気相成長(MOCVD)法
によりサファイア(α−Al23単結晶)基板上にエピ
タキシャル成長されたIII族窒化物半導体結晶層を備
えた積層構造体を母体としてもっぱら構成されている
(例えば、Jpn.J.Appl.Phys.,Vo
l.34、Part 2、No.10B(1995)、
L1332〜L1335頁参照)。サファイアに代替し
て、炭化珪素(SiC)を基板とした窒化ガリウム(G
aN)系エピタキシャル構造体からLDを構成する従来
技術もある(「応用物理」、第68巻第7号(199
9)、797〜800頁参照)。また、珪素(Si)単
結晶を基板とし、分子線エピタキシャル(MBE)法で
成膜した窒化アルミニウム(AlN)を含む積層構造体
から青色LEDを構成する例も知られている(Elec
tron.Lett.,Vol.33、No.23(1
997)、1986〜1987頁参照)。此処で云うI
II族窒化物半導体とは、窒素(N)をV族構成元素と
して含む、一般式AlXGaYInZN(0≦X≦1、0
≦Y<1、X+Y+Z=1)や、AlXGaYInZ1-Q
Q(0≦X<1、0≦Y<1、X+Y+Z=1、記号
Mは窒素以外の第V族元素であり、0≦Q<1)で表記
されるIII−V族化合物半導体である。
【0003】LED或いはLD等のIII族窒化物半導
体発光素子に於いて、窒化ガリウム・インジウム(Ga
XIn1-XN:0≦X≦1)は、短波長可視光を放射する
のに適する禁止帯幅を有するが故に、III族窒化物半
導体発光素子の発光層として活用されている(特公昭5
5−3834号参照)。また、これらの発光素子の発光
部は、高強度の短波長可視光を獲得する目的で、pn接
合型のダブルヘテロ(DH)構造から構成されているの
が一般的である(例えば、上記のJpn.J.App
l.Phys.、Vol.34(1995)参照)。更
に、インジウム組成(=1−X)を相違する複数の相
(phase)からなる多相(multi−phas
e)構造からなるGaXIn1-XN(0≦X≦1)から発
光層を構成して、高輝度のIII族窒化物半導体発光素
子を得る技術も開示されている(アメリカ合衆国特許U
S−5,886,367号参照)。
【0004】従来のpn接合型のDH構造にあって、発
光層を挟持するp形或いはn形障壁層は、一般にp形或
いはn形の窒化アルミニウム・ガリウム(AlXGa1-X
N:0≦X≦1)等のIII族窒化物半導体から構成さ
れる。GaN系材料は不純物を故意に添加しない、所
謂、アンドープ(undope)状態でn形の伝導を呈
するため(特開昭53−20882号公報明細書参
照)、n形のAlXGa1-XN層は成膜し易いのは周知で
ある。一方、p形のAlXGa1-XN層はもっぱら、マグ
ネシウム(Mg)をp形不純物としてドーピングする手
段をもって成膜されている。しかしながら、その成膜時
に成長層内に侵入する水素により、Mgが電気的に不活
性化される(特許第2872096号公報参照)。この
ため、as−grown状態では低抵抗のp形AlX
1-XN層が安定して得られないのも公知となっている
(特開昭61−7671号公報明細書参照)。
【0005】pn接合型のDH構造を構成するのに必要
とされる低抵抗のp形AlXGa1-XN層を得るために、
従来では、一旦成膜したp形不純物がドーピングされた
as−grown成長層に対し、成膜後に400℃を以
上の温度で熱処理する手段が採用されている(特許第2
540791号参照)。或いは、as−grown状態
のp形不純物が添加されたAlXGa1-XN成長層を真空
環境下に於いて、電子線を照射してp形不純物を電気的
に活性化させる手段が採られている(特許第25003
19号参照)。
【0006】従来では、p形III族化合物半導体成長
層の表面側から発光を外部に取り出す構成が大勢であ
る。即ち、発光層の上部に配置された例えば、p形Al
XGa1 -XAs(0≦X≦1)障壁層側から発光を外部に
取り出す構成となっている。このため、従来型のGaN
系LEDにあっては、上部障壁層の上方に設ける電極
は、外部への発光の取り出し効率を向上させるために、
透明或いは透光性の材料から主に構成されている。例え
ば、p形不純物を添加したGaN系半導体層を介して、
酸化インジウム・錫(略称:ITO)からなる透明電極
と、その透明電極上に金(Au)とニッケル(Ni)の
重層構造からなる電極を設ける構成が開示されている
(特許第2661009号参照)。AuとNiとの間に
酸化ニッケル(NiO)を挿入した構成からなる電極は
透光性であることが知られている(特許第291642
4号参照)。また、p形GaNからなるコンタクト(c
ontact)層を介在させて、アルミニウム(Al)
が添加された酸化亜鉛(ZnO)層をAu電極のオーミ
ック接触層として配置する技術が開示されている(アメ
リカ合衆国特許US5,889,295号参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、エピタキ
シャル成長法により成膜されたIII族窒化物半導体成
長層を利用して、pn接合型の発光部を構成する手段は
煩雑である。特に、低抵抗のp形III族窒化物半導体
層を得るためのエピタキシャル成長後に、p形不純物を
電気的に活性化させるための特別の処理を要すること
が、工程の煩雑性を増し、III族窒化物半導体発光素
子の生産効率を著しく低下させる一因ともなっている。
この従来技術に於ける問題点は、例えば、p形のIII
族窒化物半導体結晶層とは別の、簡便なる手段をもって
形成できる低抵抗の材料から正孔(hole)供給層を
構成する手段により解決が図られるものと想到される。
【0008】また、透明酸化物からなる透明電極をp形
不純物がドーピングされたIII族窒化物半導体層上に
直接設ける従来の構成では、電極を構成する透明酸化物
材料とIII族窒化物半導体層とで良好なオーミック
(Ohmic)接触性が安定して発現されない不都合が
ある。これは、発光素子を構成するIII族窒化物半導
体結晶層と透明酸化物電極との禁止帯幅の差異が、極め
て大となっていることにも起因している。このため、L
EDにあっては順方向電圧(所謂、Vf)、LDにあっ
ては閾値電圧(所謂、Vth)を効果的に低減できない
という問題を生じている。
【0009】透明導電性酸化物層とLED構成層とのオ
ーミック接触性を高める施策の例は、リン化アルミニウ
ム・ガリウム・インジウム((AlXGa1 XYIn1-Y
P:0≦X≦1、0<Y≦1)LEDに関する従来技術
に見て取れる。例えば特開平11−17220号に記載
される発明では、砒化ガリウム(GaAs)や砒化リン
化ガリウム(GaAsP)等を、オーミック接触性の向
上を期すコンタクト層として挿入した上で、透明酸化物
層を重層させている。また、特開平11−4020号公
報に記載される発明では、ITOやZnOなどの透明酸
化物層直下のp形化合物半導体層全面に、亜鉛(Zn)
膜或いはAu・Zn合金膜を一様に配置する構成からな
るAlGaInP系LEDが開示されている。
【0010】しかし、赤橙色或いは黄色帯域の発光を放
射するAlGaInP系LEDに係わる上記の従来技術
を、より短波長の青色或いは緑色帯域のIII族窒化物
半導体発光素子に単純に流用すると、外部への発光の透
過効率を低下させる不都合を生ずる。上記の金属膜では
尚更のこと、コンタクト層を構成する例えば、GaAs
でも、禁止帯幅が青色光或いは緑色光に相応する禁止帯
幅に比べ小さいため、発光が吸収されてしまう。即ち、
透明酸化物層とのオーミック接触性を良好にするために
金属膜を配置する手段や、透過すべき発光の波長から換
算される禁止帯幅より小とする半導体材料からなる電極
形成(コンタクト)層を配置する従来の手段は、高輝度
のIII族窒化物半導体発光素子には十分に応用できな
い。
【0011】GaXIn1-XN(0≦X≦1)発光層から
出射される短波長の発光を透過するのに充分な性能を有
し、併せて、III族窒化物半導体材料の場合とは異な
る、低抵抗のp形の透明材料で、pn接合型ヘテロ接合
構造の発光部を構成すれば、高輝度のIII族窒化物半
導体発光素子が提供できる。また、III族窒化物半導
体発光素子を構成するIII族窒化物半導体構成層との
良好なオーミック接触性を顕現する材料であれば、高輝
度のIII族窒化物半導体発光素子を獲得するのに更に
好都合となる。しかしながら、現状に於いて、この様な
要求を満足させる構成は開示されるに至っていない。特
に、高強度の発光をもたらすことが知られている多相構
造のGaXIn1-XN(0≦X≦1)からなる発光層につ
いて(英国特許GB2316226B参照)、発光の透
過性に優れるp形の透明導電性材料と良好なオーミック
接触特性を発現するための要件は未知となっている。
【0012】本発明は、上記の従来技術が抱える技術上
の問題点を克服し、高輝度のIII族窒化物半導体発光
素子を簡便に且つ安定して提供することを目的としてな
されたもので、特に、容易に形成可能なp形の伝導層を
用いてpn接合型のヘテロ構造の発光部を構成するため
に必須の要件を、発光層の禁止帯幅を基準として提示す
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記の課題を
解決すべく鋭意努力検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、[1]発光部として、n形のIII族
窒化物半導体からなる障壁層と、インジウム含有III
族窒化物半導体からなる発光層と、酸化物からなるp形
層とを含むことを特徴とするIII族窒化物半導体発光
素子、[2]発光層が、インジウム濃度を相違する複数
相のIII族窒化物半導体(多層構造発光層)から構成
されていることを特徴とする[1]に記載のIII族窒
化物半導体発光素子、[3]酸化物からなるp形層の禁
止帯幅が、発光層から出射される発光波長に対応する禁
止帯幅より大きいことを特徴とする[1]または[2]
に記載のIII族窒化物半導体発光素子、[4]酸化物
からなるp形層が、400nm〜600nmの波長の発
光に対して、40%以上の透過率を有することを特徴と
する[1]〜[3]の何れか1項に記載のIII族窒化
物半導体発光素子、[5]酸化物からなるp形層の禁止
帯幅が、多層構造発光層を構成する主体相の禁止帯幅以
上であることを特徴とする[2]〜[4]の何れか1項
に記載のIII族窒化物半導体発光素子、[6]酸化物
からなるp形層の禁止帯幅と、多層構造発光層を構成す
る主体相の禁止帯幅との差異が1.0eV以下であるこ
とを特徴とする[5]に記載のIII族窒化物半導体発
光素子、[7]酸化物からなるp形層が、銅を含む酸化
物から構成されていることを特徴とする[1]〜[6]
の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子、
[8]酸化物からなるp形層が、CuAlO2であるこ
とを特徴とする[7]に記載のIII族窒化物半導体発
光素子、[9]酸化物からなるp形層の層厚が、5nm
〜500nmであることを特徴とする[8]に記載のI
II族窒化物半導体発光素子、[10]CuAlO
2が、多結晶体であることを特徴とする[8]または
[9]に記載のIII族窒化物半導体発光素子、[1
1]酸化物からなるp形層と発光層との間に、AlX
YInZN(0<X≦1、0≦Y<1、X+Y+Z=
1)で表記されるIII族窒化物半導体層が備えられて
いることを特徴とする[1]〜[10]の何れか1項に
記載のIII族窒化物半導体発光素子、に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態に於ける
特徴は、pn接合型ヘテロ接合構造の発光部を構成する
p形層をp形III族窒化物半導体材料からではなく、
p形の伝導性を呈する酸化物材料から構成することにあ
る。酸化物材料としては、例えば、酸化銅(Cu2O)
や酸化ランタン・ストロンチウム・銅(La2-XSrX
uO4:X=1または2)(Mat.Res.Soc.
Symp.Proc.,Vol.156(1989)、
183〜188頁参照)などのペロブスカイト結晶から
構成できる。また、酸化ランタン・カルシウム・ロジウ
ム(La1-XCaXRhO3)、酸化ランタン・ストロン
チウム・ロジウム(La1-XSrXRhO3)や酸化ラン
タン・バリウム・ロジウム(La1-XBaXRhO3)等
の超伝導酸化物材料(「物性科学選書 電気伝導性酸化
物(改訂版)」((株)裳華房、1997年8月10日
発行、改訂第6版)、29頁参照)からも構成できる。
【0015】n形或いはp形のGaXIn1-XN(0≦X
≦1)などからなる発光層から出射される発光の波長に
対応する禁止帯幅を越え、且つ発光層の禁止帯幅を越え
る禁止帯幅を有するp形伝導性の酸化物材料からは、p
形の障壁層を兼用する透明p形電極層が構成でき好まし
い。即ち、本発明に依れば、p形障壁層をIII族窒化
物半導体材料から構成し、成膜後に後処理工程を必要と
する従来技術の煩雑さが回避でき、尚且、障壁(cla
d)機能を兼用する透明電極層を具備したpn接合ヘテ
ロ構造の発光部が構成できる。pn接合ヘテロ発光部と
は、n形若しくはp形の単一の発光層をp形及びn形双
方の障壁層とで挟持してなるヘテロ構造であり、或いは
単一或いは多重量子井戸構造を挟持してなるpn接合型
ヘテロ発光部である。例えば、n形GaN障壁層/n形
GaXIn1-XN(0≦X≦1)井戸層・n形AlXGa
1-XN(0≦X≦1)障壁層からなる量子井戸構造発光
層/p形酸化物障壁層からなるpn接合型発光部の構成
がある。量子井戸構造の発光層にあって、n形並びにp
形障壁層に接合させるのは、井戸層或いは障壁層の何れ
であっても第1の実施形態に含まれる。
【0016】本発明の第2の実施形態では、発光層をイ
ンジウム濃度を相違する多相構造のIII族窒化物半導
体で構成すると高強度の発光がもたらされ、特にIII
族窒化物半導体をGaXIn1-XN(0≦X≦1)とする
とより好適な発光層を構成できる。
【0017】多相構造とは具体的には、体積的に発光層
の大部分を占有する主体相(matrix−phas
e)と、主体相より占有する体積は小とするものの、イ
ンジウム組成(濃度)を主体相より大とする従属相(s
ub−phase)とから構成される内部結晶組織構造
である(特開平10−56202号公報明細書参照)。
従属相は通常は、主体相内に散在する微結晶体として存
在する。形状を例えば、略球形で且つその直径を均一と
するには、GaXIn1-XN(0≦X≦1)発光層の成膜
終了後に当該発光層が被る昇温或いは降温、冷却サイク
ルに於ける昇温速度若しくは冷却速度の調節をもって達
成できる(上記の英国特許GB2316226B参
照)。この様な内部結晶組織構成を有する発光層にp形
伝導性の酸化物層を組み合わせた構成とすれば、高強度
の発光をもたらすpn接合型ヘテロ構造の発光部が簡便
に構成できる利点がある。
【0018】本発明の第3の実施形態では、発光層の内
部結晶組織の如何に拘わらず、p形酸化物層を、発光層
からの発光波長に相応する禁止帯幅を越える禁止帯幅の
材料から構成すると、外部への発光の透過層(窓(ウィ
ンドウ)層)をも兼ねるp形酸化物層が構成でき得て利
便である。p形酸化物層は好ましくは、発光層のバンド
ギャップ(band−gap)より約0.1〜約0.3
エレクトロンボルト(単位:eV)高くすると、発光を
透過する上でも、また、障壁作用を発揮させる上でも好
都合となる。特に、第4の実施形態に記す如く、インジ
ウム含有III族窒化物半導体発光層から放射される波
長にして400nm〜600nmの範囲にある発光につ
いて、40%以上の透過率を発揮するp形酸化物は、高
輝度のLEDを得るのに特に好適に利用できる。透過率
は高ければ高い程、高輝度のLEDを得るに好都合であ
る。透過率が40%未満であると急激に外部への発光の
取り出し効率が悪化する。
【0019】GaXIn1-XN(0≦X≦1)にあって、
インジウム組成比が大となれば禁止帯幅は小となる(前
出の特公昭55−3834号参照)。従って、例えば、
多相構造のGaXIn1-XN(0≦X≦1)からなる発光
層にあって、従属相を構成するGaX1In1-X1N(0<
X1≦1)の禁止帯幅は、主体相をなすGaX2In1- X2
N(0≦X2<X1<1)のそれより小である。従属相
を基準として、それよりも禁止帯幅を大とする酸化物材
料を選択したとて、必ずしも主体相の禁止帯幅を上回る
とは限らない。従属相よりも禁止帯幅を大として、主体
相を下回る禁止帯幅のp形酸化物層を接合させると、多
相構造発光層とp形酸化物層との接合界面で伝導帯或い
は価電子帯のポテンシャルの“落ち込み”が発生するた
め、キャリア(担体)に及ぼすクラッディング(cla
dding)作用が弱体化し、発光層への「キャリアの
閉じ込め」が充分ではなくなる。従って、高強度の発光
を得るのに不都合となる。故に、第5の実施形態では、
禁止帯幅を相違する成分からなる多相構造の発光層を用
いた場合のp形酸化物層は、主体相の禁止帯幅を基準に
して、それよりも禁止帯幅を大とする酸化物材料から構
成する。
【0020】しかし、p形酸化物層と発光層とのポテン
シャル障壁が不必要に高いと、「発光の閉じ込め」効果
は発揮されるものの、キャリア(担体)の流通が阻害さ
れ、しいてはVf或いはVthを徒に上昇させる不都合
が生ずる。従って、第6の実施形態では、p形酸化物層
の禁止帯幅と、発光層の主体相の禁止帯幅との差を、
1.0eVを以下とする材料から構成するものとする。
【0021】第7の実施形態に記す如く、銅(Cu)を
構成元素として含む酸化物結晶は、一般にその他の酸化
物結晶に比較すれば、低い(小さい)抵抗値を与える酸
化物が得られる。従って、銅を構成元素とするp形酸化
物結晶層は、本発明の実施形態のpn接合発光部を構成
するのにより都合良く利用できる。銅を構成元素とする
酸化物結晶には上記のCu2Oや酸化アルミニウム・銅
(CuAlO2)、酸化ストロンチウム・銅(CuSr
2)、酸化ガリウム・銅(CuGa02)などのデラフ
ォサイト(delafossite)結晶型(CuMO
2:Mは3価の金属イオン)がある。
【0022】特に、CuAlO2は、一般的なスパッタ
リング(sputtering)法或いはレーザーアブ
レーション(laser ablation)法によ
り、抵抗率にして1Ω・cmの低抵抗p形結晶層が簡便
に成膜できる(“Nature”、Vol.389、N
o.6654(1997)、939〜942頁参照)。
従って、CuAlO2からは、成膜後に別途、低抵抗化
のための煩雑な後工程を要さずに、p形電極層を構成す
るに足るp形酸化物層が得られる利点がある。また、C
uAlO2は、室温で禁止帯幅を約3.5eVとする透
明導電性結晶である(上記の“Nature”、Vo
l.389参照)。従って、CuAlO2からは、GaX
In1-XN(0≦X≦1)発光層から放射される近紫外
帯域から緑色帯域の発光を透過するのに充分な発光透過
層(ウィンドウ層)が構成できる。また、禁止帯幅を約
3.4eVとするGaNとの禁止帯幅の差異は約0.1
eVとなる。従って、CuAlO2からは、例えば、G
aNを主体相とする多相構造のGaXIn1-XN(0≦X
≦1)発光層に対して、適度の障壁の高さをもって接合
できる透明で且つp形の導電性を有する酸化物層が構成
される。これ故に第8の実施形態では、p形酸化物層を
CuAlO2から構成するのを好適とする。
【0023】第9の実施形態では、CuAlO2の層厚
を、好ましくは5nm以上に設定する。5nm未満で
は、発光層の表面の全面を均等に被覆するのに至らない
からである。また、p形のCuAlO2をp形障壁層と
して、また正孔供給層として利用する本発明にあって、
層厚が小であると発光層へ充分に正孔が供給できない。
一方、500nmを越える厚さとするとp形CuAlO
2層の表面の凹凸が顕著となり、同層の表面での乱反射
のため発光の外部への取り出し効率が顕著に低下する。
従って、p形CuAlO2層の層厚は最大でも500n
mに制限する。スパッタリング法或いはレーザーアブレ
ーション法に依りp形CuAlO2層を成膜する場合
に、同層の層厚は成膜時間を調整することをもって制御
できる。
【0024】CuAlO2を構成するCuは易拡散性の
元素であり、III族窒化物半導体からなる発光層内に
拡散、侵入する場合が有り得る。銅は、GaN等のII
I族窒化物半導体で発光中心(color cente
r)となる(J.Appl.Phys.,Vol.4
7、No.12(1976)、5387〜5390頁参
照)。従って、銅が混入したIII族窒化物半導体発光
層からは単色性に優れる発光が得られ難くなる。本発明
では、第9の実施形態に記す如く、p形CuAlO2
晶層を多結晶層から構成する。多結晶体とすれば、その
中に多くの粒界を内在させることができる。多くの粒界
を存在させておけば、その粒界により多量の銅が捉えら
れ、それだけ発光層への拡散を抑制できる。例えば、ア
ルゴン(Ar)スパッリング法により多結晶のp形Cu
AlO2結晶層を形成するには、一般には、成膜温度を
室温から約500℃の範囲とするのが推奨される。形成
したp形CuAlO2結晶層が多結晶で在るか否かは、
X線回折分析法や電子線回折法等により確認できる。
【0025】p形酸化物層の構成元素、或いは含有不純
物の、III族窒化物半導体発光層内への拡散、侵入を
より効果的に抑止するには、第10の実施形態に示す如
く、発光層とp形酸化物層との中間に、Alを含有する
III族窒化物半導体層を配置するのが有効となる。A
lを含有するIII族窒化物半導体層は、Alが易酸化
性であるために、上層の酸化物層から遊離して発光層に
拡散、侵入して来る酸素を捕獲し、発光層が酸化される
のを抑制するのにも有効となる。また、Alを構成元素
として含むIII族窒化物半導体は、インジウム含有I
II族窒化物半導体発光層を構成する主体相よりも禁止
帯幅が一般的に大であり、従って、発光層からの発光を
殆ど吸収することなく外部へ取り出せる効果がある。
【0026】発光層上に設けるAl含有III族窒化物
半導体層はまた、その上にp形酸化物層を例えば、スパ
ッタリング法で被着させる際の損傷から発光層を庇護す
る保護層としても有用となる。発光層へ侵入するCu或
いは酸素(O)の濃度を低減し、且つ発光層の損傷を抑
制するのに有効となるAl含有III族窒化物半導体層
の層厚は大凡、1nmを越え約100nm以下の範囲で
ある。III族窒化物半導体発光素子にあって、Al含
有III族窒化物半導体層は、正孔供給層としてのp形
酸化物層から供給される正孔(hole)を効率的にト
ンネル(tunnel)効果に依り発光層へ注入できる
様に、層厚を2nm以上で50nm以下とする低キャリ
ア濃度層であるのが好ましい。
【0027】また、Al含有III族窒化物半導体層の
Al組成比は、発光層から放射される発光の波長に変化
を与える効果を有する。例えば、窒化アルミニウム・ガ
リウム(AlXGa1-XN:0≦X≦1)からなる結晶層
を上記の保護層或いは拡散防止層とした場合、同一の仕
様の発光層から放射される発光の波長は、アルミニウム
組成比(=X)の増加と共により長波長となる。例え
ば、同一の層厚のGa0. 88In0.12N発光層に、層厚を
約20nmとするAl0.85Ga0.15N層を冠した場合の
発光波長は、約450nm〜約460nmとなるのに対
し、層厚を約20nmとするAl0.20Ga0.80N層を被
着させた場合は約510nmから約530nmとなる。
ちなみに、AlXGa1-XN(0≦X≦1)層を冠する場
合、発光層の層厚が小さいほど、長波長の発光が帰結さ
れる傾向にある。これは、AlXGa1-XN層とGaX
1-XN発光層との間において、発光層が被る歪みの大
小により発光波長を変化させられることを示唆してい
る。しかし、アルミニウム組成比があまりにも高いと、
禁止帯幅は大となり発光を透光するのには良いが、素子
動作電流の通流抵抗体となり兼ねない。それ故に、アル
ミニウム含有III族窒化物半導体のアルミニウム組成
比は、高くとも約0.25〜約0.30の範囲とするの
が好ましい。
【0028】本発明に係わる発光素子は、上記の第1〜
10の実施形態に於けるp形酸化物層上にp形台座電極
を被着させて構成する。本発明のp形酸化物層は、水平
方向に素子動作電流を拡散できる導電層であるため、従
来技術の如くp形III族窒化物半導体層の表面に敢え
て、Au−Ni或いはAu−NiO−Auの如くの透過
性を悪化させる金属被膜を設けて電流拡散を果たす必要
はない。また、p形電極層をp形導電性の酸化物層から
構成すると、オーミック接触性に優れる台座電極が形成
され得る。p形台座電極は、公知のNi、NiO、Au
−Zn合金、Au−ベリリウム(Be)合金、In−Z
n合金などから好適に構成できる。一方、n形のオーミ
ック電極は、例えば、Ni、NiO、In、アンチモン
(Sb)、酸化アンチモン、Au−Ge合金、Au−錫
(Sn)合金、In−Sn合金から構成できる。珪素
(Si)或いはSiCまたはリン化ガリウム(GaP)
などの導電性結晶を基板とする場合では、基板の裏面側
に設けることができ利便である。
【0029】
【実施例】(実施例1)本実施例では、p形障壁層、p
形ウィンドウ層及びp形電極層(コンタクト層)を兼ね
る透明なp形導電性酸化物層を備えた積層構造体20か
ら青色LED10を構成する場合を例にして、本発明を
詳細に説明する。図1は本実施例に係わるLED10の
断面模式図である。
【0030】積層構造体20は、Sbドープn形Si単
結晶基板101、閃亜鉛鉱型の立方晶リン化硼素(B
P)を主体としてなる多結晶のn形の第1の緩衝層10
2a及び緩衝層102aより高温で成膜された立方晶B
Pを主体としてなるn形の第2の緩衝層102bからな
るn形緩衝層102、Siドープn形GaNからなる下
部障壁層103、主体相Sをn形GaNとし、平均的な
インジウム組成比を0.1とする窒化ガリウム・インジ
ウム混晶(Ga0.9In0.1N)を従属相Tとする多相構
造のn形発光層104、アンドープでn形のAl0.8
0.2Nからなる保護層105、及びCuAlO2からな
る透明p形導電層106から構成した。
【0031】第1及び第2の緩衝層102a、102b
は、トリエチル硼素((C253B)を硼素(B)源
とし、ホスフィン(PH3)をリン(P)源とするMO
CVD法で成膜した。多結晶の第1の緩衝層102aは
420℃で成膜し、単結晶の第2の緩衝層102bは、
第1の緩衝層102aの成膜を終了した後、ホスフィン
を含む雰囲気中で基板101の温度を1050℃に昇温
して成膜した。エピタキシャル構成層102〜105の
各層は、トリメチルガリウム((CH33Ga)/トリ
メチルアルミニウム((CH33Al)/トリメチルイ
ンジウム((CH33In)/アンモニア(NH3)系
減圧MO−VPE法により成長させた。珪素のドーピン
グ源として、ジシラン(Si26)を約10体積ppm
の濃度で含むジシラン−水素混合ガスを利用した。多相
構造の発光層104の成膜温度は890℃とし、他のI
II族窒化物半導体成長層103、105の成膜温度は
1050℃とした。発光層104の成膜終了後、n形保
護層105の成膜温度へは、アンモニア気流中で毎分約
150℃の速度で昇温した。n形保護層105の成膜を
終えた後は、1050℃から950℃へ毎分約50℃の
速度で降温し、更に800℃へ毎分約15℃の速度で降
温した。800℃から室温近傍の温度への降温は自然冷
却によった。以上の昇温及び降温速度の採用により、多
相構造の発光層104を構成する従属相Tのインジウム
組成、外形状、並びに大きさの均一化を図った。
【0032】第1の緩衝層102aの層厚(d)は約2
0nmとした。第2の緩衝層102bの層厚は約2μm
とし、キャリア濃度(n)は約2×1018cm-3とし
た。下部障壁層103はd=0.5μmとし、n=3×
1018cm-3とした。発光層104はd=0.1μmと
し、キャリア濃度(n)=1×1017cm-3とした。積
層構造体20を構成するn形エピタキシャル成長層10
2〜105を成膜を終え、室温に冷却した後、MOCV
D成長炉より積層構造体20を取り出した。次に、n形
保護層105上にCuAlO2からなる透明p形酸化物
導電層106を、一般的なマグネトロンスパッタリング
法により基板101の温度を約300℃として被着させ
た。スパッタリング時の圧力は約0.1トール(Tor
r)とし、印可する高周波(RF)電力は約150ワッ
ト(W)とした。p形酸化物導電層106の層厚は約
0.15μmとした。同層106の抵抗率は室温で約2
Ω・cmとなった。同一条件で別途、ガラス基板上に成
膜したCuAlO2膜(膜厚=0.15μm)の波長4
50nmの青色帯光についての透過率は約68%であっ
た。多相構造の発光層104を構成する主体相Sをなす
GaN(禁止帯幅=3.4eV)と禁止帯幅が約3.5
eVのCuAlO2との禁止帯幅は約0.1eVとなっ
た。
【0033】p形導電性酸化物層106上には、同層1
06がp形電極層をも兼用できることに鑑み、下層部1
07aをチタン(Ti)とし、上層部107bをAlと
する重層構造からなる台座電極107を設けた。台座電
極107は、直径を約140μmとする円形とした。下
層のTi膜107aの膜厚は約150nmとした。上層
のAl膜107bの膜厚は約1μmとした。導電性のS
i基板101の裏面側の全面には、Al−Sb合金から
なるn形オーミック電極108を被着させた。n形オー
ミック電極108の層厚は約1μmとした。
【0034】一辺を約350μmとするチップ状に分割
し、個別のLED10となした。p形電極107及びn
形オーミック電極108間に順方向に20ミリアンペア
(mA)の電流を通流したところ、p形電極107の外
周囲の領域の略全面からほぼ均一な強度をもって、青色
光が放射された。分光器により測定された発光波長は約
445nmであった。また、発光スペクトルの半値幅は
約28nmであり、単色性に優れる発光が得られた。順
方向電圧(@20mA)は平均して3.2ボルト(V)
となった。チップ状態での発光強度は約22マイクロワ
ット(μW)に到達した。
【0035】(実施例2)本実施例では、透明なp形導
電性酸化物層を備えた積層構造体40から青色LED3
0を構成する場合を例にして、本発明を詳細に説明す
る。図2は本実施例に係わるLED30の断面模式図で
ある。
【0036】積層構造体30は、(0001)サファイ
ア基板101、GaN低温緩衝層102、Siドープn
形GaNからなるn形障壁層103、主体相Sをn形G
0. 95In0.05Nとし、平均的なインジウム組成比を
0.15とする窒化ガリウム・インジウム混晶(Ga
0.85In0.15N)を従属相Tとする多相構造のn形発光
層104、及びCuAlO2からなる透明p形導電層1
06から構成した。
【0037】多結晶の緩衝層102は430℃で成膜し
た。低温緩衝層102以外のIII族窒化合物半導体層
103,104は、トリメチルガリウム/トリメチルア
ルミニウム/シクロペンタジエニルインジウム(C55
In)/アンモニア系常圧MO−VPE法により成長さ
せた。多相構造の発光層104の成膜温度は880℃と
し、他のIII族窒化物半導体成長層103、105の
成膜温度は1030℃とした。発光層104の成膜終了
後は、アンモニア気流中で毎分約15℃の速度で800
℃へ降温した。800℃から室温近傍の温度への降温は
自然に冷却させた。この降温操作により、多相構造の発
光層104を構成する従属相Tのインジウム組成、外形
状、並びに大きさの均一化を図った。珪素のドーピング
源として、ジシランを約10体積ppmの濃度で含むジ
シラン−水素混合ガスを利用した。
【0038】緩衝層102の層厚(d)は約17nmと
した。n形障壁層103はd=0.5μmとし、キャリ
ア濃度(n)=3×1018cm-3とした。発光層104
はd=0.1μmとし、キャリア濃度(n)=1×10
17cm-3とした。積層構造体20を構成するn形エピタ
キシャル成長層103、104を成膜を終え、室温に冷
却した後、MOCVD成長炉より積層構造体20を取り
出した。次に、発光層104上にCuAlO2からなる
透明p形酸化物導電層106を、一般的なレーザーアブ
レーション法により基板101の温度を約300℃とし
て被着させた。被着時の圧力は約0.1Torrとし
た。p形酸化物導電層106の層厚は約0.25μmと
した。同層106の抵抗率は室温で約1Ω・cmとなっ
た。同一条件で別途、ガラス基板上に成膜したCuAl
2膜(膜厚=0.25μm)の波長450nmの青色
帯光についての透過率は約62%であった。多相構造の
発光層104を構成する主体相SをなすGa0.95In
0.05N(禁止帯幅=3.3eV)と禁止帯幅が約3.5
eVのCuAlO2との禁止帯幅は約0.2eVとなっ
た。
【0039】p形導電性酸化物層106上には、同層1
06がp形電極層をも兼用できることに鑑み、下層部1
07aをTiとし、上層部107bをAuとする重層構
造からなる台座電極107を設けた。台座電極107
は、長辺を約300μmとし、短辺を約120μmとす
る長方形とした。下層のTi膜107aの膜厚は約15
0nmとした。上層のAu膜107bの膜厚は約0.8
μmとした。n形オーミック電極108は、その形成予
定領域に在るp形障壁層を兼ねる導電性酸化物層10
6、多相構造の発光層104をAr/メタン(CH4
/水素(H2)混合ガスを用いたプラズマエッチング法
により除去し、露呈させたn形障壁層103の表層部に
形成した。n形オーミック電極108は、Alから構成
し、その層厚は約0.8μmとした。n形オーミック電
極108の平面形状は、長辺を約300μmとし、短辺
を約120μmとする長方形とした。n形及びp形電極
107、108は相互に対向する位置に互いに略平行に
配列した。
【0040】次に、一辺を約350μmとするチップ状
に分割し、個別のLED30となした。p形電極107
及びn形オーミック電極108間に順方向に20mAの
電流を通流したところ、p形電極107の外周囲の領域
の略全面からほぼ均一な強度をもって、青緑色光が放射
された。分光器により測定された発光波長は約478n
mであった。また、発光スペクトルの半値幅は約32n
mとなった。順方向電圧(@20mA)は平均して3.
1Vとなった。チップ状態での発光強度は約16μWに
到達した。
【0041】
【発明の効果】本発明に依れば、発光層上に、p形障壁
層、p形電極層及びp形ウィンドウ層を兼用するp形導
電性を呈する透明酸化物層を設ける構成としたので、従
来の如くIII族窒化物半導体から低抵抗のp形層を形
成する際の煩雑な工程を要せずに、pn接合型ヘテロ接
合構造の発光部が構成でき、この構成からなる発光部を
利用すれば高輝度のIII族窒化物半導体発光素子が簡
便に提供できる。
【0042】また、本発明に依れば、多相構造からなる
発光層を構成する主体相の禁止帯幅を基準として、透明
p形酸化物層を構成することとしたので、順方向電圧が
低く、且つ発光面積が拡大された、高輝度のIII族窒
化物半導体発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に記載のLEDの断面模式図である。
【図2】実施例2に記載のLEDの断面模式図である。
【符号の説明】
10 LED 20 積層構造体 30 LED 40 積層構造体 101 単結晶基板 102 緩衝層 102a 第1の緩衝層 102b 第2の緩衝層 103 下部障壁層 104 発光層 105 保護層 106 透明p形導電性酸化物膜 107 p形台座電極 107a 電極下層部 107b 電極上層部 108 n形オーミック電極 S 多相構造発光層の主体相 T 多相構造発光層の従属相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F041 AA42 CA03 CA40 CA46 5F045 AA04 AA18 AA19 AB14 AB17 AB18 AB40 AC01 AC08 AC09 AC12 AC16 AC19 AD04 AD05 AD06 AD07 AD08 AD09 AF03 AF04 AF05 AF09 BB16 CA09 CA10 CA11 CA12 DA51 DA52 DA53 DA54 DA55 DA62 DA63 DA64 5F073 CA07 EA05 EA24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発光部として、n形のIII族窒化物半導
    体からなる障壁層と、インジウム含有III族窒化物半
    導体からなる発光層と、酸化物からなるp形層とを含む
    ことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】発光層が、インジウム濃度を相違する複数
    相のIII族窒化物半導体(多層構造発光層)から構成
    されていることを特徴とする請求項1に記載のIII族
    窒化物半導体発光素子。
  3. 【請求項3】酸化物からなるp形層の禁止帯幅が、発光
    層から出射される発光波長に対応する禁止帯幅より大き
    いことを特徴とする請求項1または2に記載のIII族
    窒化物半導体発光素子。
  4. 【請求項4】酸化物からなるp形層が、400nm〜6
    00nmの波長の発光に対して、40%以上の透過率を
    有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記
    載のIII族窒化物半導体発光素子。
  5. 【請求項5】酸化物からなるp形層の禁止帯幅が、多層
    構造発光層を構成する主体相の禁止帯幅以上であること
    を特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のIII
    族窒化物半導体発光素子。
  6. 【請求項6】酸化物からなるp形層の禁止帯幅と、多層
    構造発光層を構成する主体相の禁止帯幅との差異が1.
    0eV以下であることを特徴とする請求項5に記載のI
    II族窒化物半導体発光素子。
  7. 【請求項7】酸化物からなるp形層が、銅を含む酸化物
    から構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何
    れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  8. 【請求項8】酸化物からなるp形層が、CuAlO2
    あることを特徴とする請求項7に記載のIII族窒化物
    半導体発光素子。
  9. 【請求項9】酸化物からなるp形層の層厚が、5nm〜
    500nmであることを特徴とする請求項8に記載のI
    II族窒化物半導体発光素子。
  10. 【請求項10】CuAlO2が、多結晶体であることを
    特徴とする請求項8または9に記載のIII族窒化物半
    導体発光素子。
  11. 【請求項11】酸化物からなるp形層と発光層との間
    に、AlXGaYInZN(0<X≦1、0≦Y<1、X
    +Y+Z=1)で表記されるIII族窒化物半導体層が
    備えられていることを特徴とする請求項1〜10の何れ
    か1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
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