JP2001052682A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池

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JP2001052682A
JP2001052682A JP11223089A JP22308999A JP2001052682A JP 2001052682 A JP2001052682 A JP 2001052682A JP 11223089 A JP11223089 A JP 11223089A JP 22308999 A JP22308999 A JP 22308999A JP 2001052682 A JP2001052682 A JP 2001052682A
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ion secondary
lithium ion
negative electrode
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Kenichi Kizu
賢一 木津
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温下での電池性能を低下させることなく低
温特性の改善を図り得るリチウムイオン二次電池を提供
することにある。 【解決手段】 リチウムイオン二次電池において、電解
液の溶媒として、ジエチルカーボネートおよびエチルメ
チルカーボネートから選ばれる少なくとも一種40体積
%〜50体積%と、エチレンカーボネート4体積%〜1
0体積%と、プロピレンカーボネート10体積%〜17
体積%と、ジメチルカーボネート30体積%〜40体積
%との混合溶媒を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウムイオン二次
電池、詳しくは低温環境(例えば−20℃以下)におい
て優れた性能を発揮し得るリチウムイオン二次電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やノート型パソコンとい
った携帯機器の駆動源として、リチウムイオン二次電池
の採用が急速に進んでいる。リチウムイオン二次電池の
好ましい特性としては、ニッカド電池等に比べ高エネル
ギー密度、高電圧であることが挙げられる。そのため、
将来的には採用機器の拡大が見込まれている。
【0003】反面、好ましくない特性としては、低温
(−20℃以下、特に−35℃以下)で放電を行うと、
室温で行う場合に比べて放電容量および放電電圧が大き
く低下する低温特性が挙げられる。このため、観測機器
や通信機器、更には電気自動車や電力貯蔵機器といった
低温下での使用が想定される機器においては、採用が進
んでいないのが現状である。但し、電池位置の工夫や加
熱用のヒーターの取り付けといった機器側での改良によ
って、電池の温度が一定以下とならないようにすれば上
記の機器への採用は可能である。しかし、機器のコスト
アップ等につながるため、低温特性の改善はリチウムイ
オン二次電池の研究課題となっている。
【0004】ところで、一般にリチウムイオン二次電池
は、シート状の正極とシート状の負極とをセパレータを
介して対向させ、両極間を電解液で満たした構造を有し
ている。正極および負極は、正極活物質または負極活物
質に導電材やバインダー等を混合させてなる正極活物質
層または負極活物質層を、金属箔などの集電体上に設け
て形成される。正極活物質および負極活物質としては粒
状物が用いられており、正極および負極にはこれらの粒
子による隙間が生じている。このため、電解液はこの隙
間を通って電極内部へと浸透でき、電極内部においても
充放電のための化学変化が行われる。
【0005】このように電極内部においても化学変化が
行われるようにすることは、電池容量やレート特性、更
には低温特性の改善につながる。特に、低温下では電解
液の粘度が高くなり、リチウムイオンの拡散速度が低下
するため、低温特性の改善にはリチウムイオンの移動に
十分な隙間を確保することが重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この十分な隙間を確保
する手段としては、活物質の粒子をできる限り大きくし
て隙間を拡大するという手段が考えられる。しかしなが
ら、活物質の粒子の大きさを大きくすると活物質の充填
密度を低下させるため、体積あたりの電池容量の低下を
招いてしまう。
【0007】一方、低温下において粘度が高くならない
電解液を使用すれば、活物質密度を低下させることな
く、低温下において電極内部に電解液を浸透させること
ができるため、低温特性の改善を図ることができると考
えられる。しかしながら、従来の電解液においては、粘
度を低くしようとすると、却って凝固点を上昇させてし
まうという問題がある。例えば、従来より電解液に配合
される成分のうちジメチルカーボネートは、配合比を高
めることで電解液の粘度を低くする作用があるが、逆に
電解液の凝固点を上昇させてしまう。
【0008】本発明の課題は、上記問題を解決し、低温
特性の改善を図り得るリチウムイオン二次電池を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウムイオン
二次電池は、次の特徴を有するものである。 (1) 電解液の溶媒がジエチルカーボネートおよびエ
チルメチルカーボネートから選ばれる少なくとも一種4
0体積%〜50体積%と、エチレンカーボネート4体積
%〜10体積%と、プロピレンカーボネート10体積%
〜17体積%と、ジメチルカーボネート30体積%〜4
0体積%との混合溶媒であることを特徴とするリチウム
イオン二次電池。
【0010】(2) 正極を形成する正極活物質層の充
填率が65%〜85%、負極を形成する負極活物質層の
充填率が65%〜80%である上記(1)記載のリチウ
ムイオン二次電池。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池において、電解液の溶
媒としては、ジエチルカーボネート(以下「DEC」
という。)およびエチルメチルカーボネート(以下「E
MC」という。)から選ばれる少なくとも一種と、エ
チレンカーボネート(以下「EC」という。)と、プ
ロピレンカーボネート(以下「PC」という。)と、
ジメチルカーボネート(以下「DMC」という。)との
混合溶媒が用いられる。
【0012】上記混合溶媒において、DECおよびEM
Cから選ばれる少なくとも一種の混合比は、40体積%
〜50体積%、好ましくは42体積%〜48体積%とす
る。これは、40体積%未満であると低温下で電解液が
凍結し、リチウムイオンの移動が阻害され、低温特性の
向上が図れないからである。また、50体積%を越える
と電解液の粘度が高くなり、その結果イオン伝導度が低
くなって、低温特性の向上が図れないからである。
【0013】上記混合溶媒において、ECの混合比は4
体積%〜10体積%、好ましくは6体積%〜9体積%と
する。これは、4体積%未満であるとリチウム塩の解離
が十分に行われず、イオン伝導度が低くなって、低温特
性の向上が図れないからである。また、10体積%を越
えると電解液の粘度が高くなり、その結果イオン伝導度
が低くなって、低温特性の向上が図れないからである。
【0014】また、上記混合溶媒において、PCの混合
比は、10体積%〜17体積%、好ましくは11体積%
〜14体積%とする。これは、10体積%未満であると
リチウム塩の解離が十分に行われず、イオン伝導度が低
くなって、低温特性の向上が図れないからである。ま
た、17体積%を越えると電解液の粘度が高くなり、そ
の結果イオン伝導度が低くなって、低温特性の向上が図
れないからである。
【0015】さらに、上記混合溶媒において、DMCの
混合比は、30体積%〜40体積%、好ましくは32体
積%〜38体積%とする。これは、30体積%未満であ
ると、電解液の粘度が高くなり、その結果イオン伝導度
が低くなって、低温特性の向上を図れないからである。
また、40体積%を越えると低温下で電解液が凍結し、
リチウムイオンの移動が阻害され、低温特性の向上が図
れないからである。
【0016】本発明において電解液に溶解されるリチウ
ム塩としては、例えば、LiClO 4 、LiBF4 、L
iPF6 、LiAsF6 、LiAlCl4 、Li(CF
3 SO2 2 Nなどが挙げられる。これらのうち一種の
みを用いても良いし、二種以上を用いても良い。但し、
本発明においては、解離定数が大きく、熱安定性が高
く、又毒性が少ない点から、これらのうちLiPF6
好ましく用いられる。
【0017】電解液に溶解させるリチウム塩を増加させ
ることは、常温以上においては、限界電流密度を増加さ
せる点から有効といえる。しかし、低温下では、塩の解
離に限界がある。そのため、リチウム塩を増量しても電
荷を運ぶのに有効なリチウム塩の増加は望めず、逆に、
電解液の粘度を増加させ、リチウムイオンの拡散速度を
遅くしてしまい、結果、低温特性を低下させてしまう。
従って、本発明においては、リチウム塩の濃度が0.5
モル/L〜1.5モル/L、好ましくは0.7モル/L
〜1.2モル/Lとなるように電解液を調製するのが良
い。
【0018】本発明のリチウムイオン二次電池において
も、従来のリチウムイオン二次電池と同様に、正極及び
負極の各電極は集電体に活物質層を設けて形成される。
正極活物質層及び負極活物質層の各活物質層も、従来と
同様に、正極活物質または負極活物質に導電材やバイン
ダーなどを混合して形成される。但し、本発明において
は、各活物質層は、その充填率が65%〜85%、特に
は65%〜75%となるように形成されているのが好ま
しい。各活物質層の充填率が65%未満であると電池容
量を確保できなくなるからであり、85%を越えると活
物質の粒子間の隙間が小さくなって低温特性の向上が図
れなくなるからである。このような充填率は、以下に示
す正極活物質および負極活物質を用いることで達成でき
る。
【0019】なお、本発明でいう正極活物質層および負
極活物質層の充填率は、集電体に設けられた状態の活物
質層から求められる密度(粒子間の隙間を含めて算出さ
れる)を、活物質層を構成する固形成分のみから求めら
れる密度(粒子間の隙間を含めないで算出される)で割
って求められる。
【0020】本発明において負極活物質としては、従来
よりリチウムイオン二次電池で用いられているものを利
用することができるが、放電容量やサイクル特性を向上
でき、又熱安定性が高いという理由から、黒鉛化炭素が
好ましく用いられる。さらに、黒鉛化炭素のうち、比表
面積が2.0m2 /g以下、特には0.5m 2 /g〜
1.5m2 /g、結晶格子の面間距離(d002 )が0.
3380nm以下、特には0.3355nm〜0.33
70nm、c軸方向の結晶子寸法(Lc)が30nm以
上、特には40nm〜70nmの黒鉛化炭素が好ましく
用いられる。上記の数値範囲を満たす黒鉛化炭素として
は、例えばメソフェーズ系黒鉛化炭素が挙げられる。
【0021】比表面積が2.0m2 /gより大きいと、
充電時にPCの分解反応が起こりがちとなって電池容量
が低下する傾向があるからである。一方、結晶格子の面
間距離(d002 )が0.3380nmより大きいもの
や、c軸方向の結晶子寸法(Lc)が30nm未満のも
のを使用すると、負極の電位が上昇して電池の平均放電
電位が低下する傾向があるからである。
【0022】本発明における負極活物質も従来と同様に
粒状で用いられる。負極活物質を構成する粒子の形状は
特に限定されるものではなく、鱗片状、繊維状、球状、
擬似球状、塊状、ウィスカー状等であれば良い。但し、
負極活物質が黒鉛化炭素であるならば、負極集電体上へ
の塗布が容易である点、および塗布された粒子の配向が
リチウムの吸放出に有利なものとなる点から、粒子の形
状は繊維状であるのが好ましい。
【0023】これらの点から本発明においては、黒鉛化
炭素として繊維状のメソフェーズ系黒鉛化炭素、即ちメ
ソフェーズ系黒鉛化炭素繊維が好ましく用いられる。メ
ソフェーズ系黒鉛化炭素繊維の製造方法の一例を以下に
示す。最初に、石油ピッチ、コールタールピッチなどの
ピッチ類、就中、メソフェーズの含有量が70体積%以
上のメソフェーズピッチを溶融ブロー法により長さ20
0μm〜300μm程度、平均繊維径1μm〜20μm
程度の繊維に紡糸する。次に、この繊維を800℃〜1
500℃で炭素化し、ついで適当な大きさ例えば平均繊
維長1μm〜100μm程度、平均繊維径1μm〜15
μm程度に粉砕する。続いて、この粉砕された繊維を2
500℃〜3200℃、好ましくは2800℃〜320
0℃で加熱して黒鉛化することでメソフェーズ系黒鉛化
炭素繊維が得られる。
【0024】但し、上述の負極活物質層の充填率を満た
すためには、上記の粉砕は平均繊維長が1μm〜100
μm、特には3μm〜50μm、更には2〜25μmと
なるように、平均繊維径が0.5μm〜15μm、特に
1μm〜12μm、更には8μm〜10μmとなるよう
に行うのが好ましい。この時、アスペクト比(平均繊維
径に対する平均繊維長の比)は、1〜5となるのが好ま
しい。
【0025】なお、本発明において黒鉛化炭素の比表面
積は、「粉体の材料化学」〔荒井康夫著、初版第9刷、
培風館(東京)発行、1995年〕の第178頁〜第1
84頁に記載された吸着法のうち、窒素を吸着体とする
気相吸着法(一点法)により行うことができる。
【0026】本発明において黒鉛化炭素の結晶格子の面
間距離(d002 )およびc軸方向の結晶子寸法(Lc)
は、日本学術振興会法により測定することができる。以
下に具体的に説明する。最初に、X線標準用高純度シリ
コンをメノウ乳鉢で325メッシュ標準篩以下に粉砕し
て標準物質を作製し、この標準物質と被測定試料の黒鉛
化炭素とをメノウ乳鉢で混合(標準物質:10重量部、
黒鉛化炭素100重量部)してX線用試料を作製する。
このX線用試料は、X線回析装置(理学電機社製RIN
T2000、X線源:CuKα線)の試料板に均一に充
填する。次に、X線管球への印加電圧を40kV、印加
電流を50mAに設定し、更に走査範囲を2θ=23.
5度〜29.5度、スキャンスピードを0.25度/m
inとして、炭素の002ピークおよび標準物質の11
1ピークを測定する。続いて、得られたピーク位置およ
びその半値幅から、上記のX線回析装置に付属の黒鉛化
度計算用ソフトを用いて、結晶格子の面間距離(d002
)およびc軸方向の結晶子寸法(Lc)を算出する。
【0027】本発明において負極活物質層を形成するた
めのバインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレン、エチレ
ン−プロピレン−ジエン系ポリマー等を用いることがで
きる。バインダーの使用量は、活物質100重量部に対
して4重量部〜20重量部、好ましくは5重量部〜10
重量部とするのが良い。
【0028】本発明において負極活物質層を形成するた
めの導電材は、特に必要ではないが、必要に応じて平均
粒径が5μm以下の天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラ
ック、アセチレンブラック等を用いることができる。導
電材を使用する場合の使用量は、活物質100重量部に
対して0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重
量部〜5重量部とするのが良い。
【0029】本発明において正極活物質としては、従来
よりリチウムイオン二次電池で用いられているものを利
用することができ、例えば下記の一般式(1)または
(2)で示されるLi−遷移金属複合酸化物が例示され
る。 LiA 1-X Mex 2 (1) LiA 2-x Mex 4 (2) 式(1)において、Mは例えばCo、Ni、Mn、V、
Geなどの遷移金属を示す。式(2)において、Mは例
えばMn、Fe、Niなどの遷移金属を示す。式(1)
及び(2)において、Meは、周期率表の3〜10族元
素、例えばZr、V、Cr、Mo、Fe、Co、Mn、
Niなど、または13〜15族元素、例えばB、Al、
Ge、Pb、Sn、Sbなどを示す。但し、Meとして
は、Mとして選択された元素と異なる元素を選択する。
なお、Meは二種以上の元素であっても良い。
【0030】式(1)においてAの値は、0.05〜
1.5、好ましくは0.1〜1.1である。式(2)に
おいてAの値は、0.05〜2.5、好ましくは0.5
〜1.5である。Xの値は、式(1)及び(2)におい
て、0または0.01〜0.5、好ましくは0.02〜
0.2である。Meが二種以上の元素である場合、Xは
二種以上の元素の合計量とする。
【0031】式(1)、(2)で示されるLi−遷移金
属複合酸化物の好ましい例を挙げると、LiCoO2
LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn(1-X) MgX
2 、LiMn(1-X) AlX 2 、LiMn(1-X) CoX
2 、LiMn(1-X-Y) Al X CoY 2 、LiMn2
4 、LiMn2-x Cox 4 、LiMn2-x CoX
Y 4 、LiNi(1-X) AlX 2 、LiNi(1-X)
CoX 2 等が挙げられる(なお、上記の例示におい
て、0.1≦X、Y≦0.1)。これらのうち、本発明
においてはLiCoO2 が特に好ましいものとして挙げ
られる。さらに、上述の正極活物質層の充填率を満たす
ためには、LiCoO2 は比表面積と平均粒径との積が
下式(3)を満足する粒状物であるのが良い。比表面積
の算出は上述の黒鉛化炭素の場合と同様にして行うこと
ができる。 7≦〔20/(比表面積×平均粒径)〕≦9 (3)
【0032】平均粒径の測定は以下の方法により行うこ
とができる。最初に、測定対象となる粒状物を、水やエ
タノールなどの有機液体に投入し、35kHz〜40k
Hz程度の超音波を付与して約2分間分散処理を行う。
なお、測定対象となる粒状物の量は、分散処理後の分散
液のレーザ透過率(入射光量に対する出力光量の比)が
70%〜95%となる量とする。次に、この分散液をマ
イクロトラック粒度分析計にかけ、レーザー光の散乱に
より個々の粒状物の粒径(D1 、D2 、D3 ・・)、お
よび各粒径毎の存在個数(N1 、N2 、N3 ・・・)を
計測する(個々の粒状物の粒径(D)は、マイクロトラ
ック粒度分析計によって種々の形状の粒状物毎に球相当
径が自動的に測定される。)。平均粒径(μm)は、視
野内に存在する個々の粒子の個数(N)と各粒径(D)
とから下式(4)にて算出される。 平均粒径(μm)=(ΣND3 /ΣN) 1/ 3 (4)
【0033】本発明において正極活物質層を形成するた
めのバインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレン、エチレ
ン−プロピレン−ジエン系ポリマー等を用いることがで
きる。バインダーの使用量は、活物質100重量部に対
して2重量部〜8重量部、好ましくは3重量部〜5重量
部とするのが良い。
【0034】本発明において正極活物質層を形成するた
めの導電剤としては、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、
球状黒鉛といった天然又は人造の黒鉛類や、導電性カー
ボンブラックなどを用いることができる。導電材の使用
量は、活物質100重量部に対して4重量部〜10重量
部、好ましくは6重量部〜8重量部とするのが良い。
【0035】本発明において正極または負極に用いられ
る集電体としては、従来よりリチウムイオン二次電池で
用いられているものが利用できる。例えば、導電性金属
で形成された箔や穴あき箔、エキスパンドメタルなど挙
げられる。なお、この導電性金属としては、正極集電体
においては、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン
等が挙げられる。負極集電体においては、銅、ニッケ
ル、銀、ステンレス等が挙げられる。
【0036】本発明のリチウムイオン二次電池は、円筒
型、角型、シート型等の各種のリチウムイオン二次電池
として用いることができ、その形状は特に限定されるも
のではない。本発明のリチウムイオン二次電池におい
て、電池缶、電池蓋、安全構造、電極端子等の上述して
いない各種の構成部材としては、既存のものや今後開発
されるものを利用できる。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示
す。実際に、本発明のリチウムイオン二次電池の作製を
行なった。
【0038】〔電解液の調製〕実施例1〜9および比較
例1〜5のリチウムイオン二次電池について、下記の表
1に示す混合比で電解液の溶媒を調製した。さらに、各
溶媒には表1に示す濃度となるようにLiPF6 を溶解
し、各リチウムイオン二次電池の電解液を得た。
【0039】〔正極の作製〕正極活物質となるLiCo
2 (平均粒径17.5μm(島津製作所製SALD−
3000Jで測定)、比表面積0.154m2 /g)9
1重量部と、正極導電材となる黒鉛微粉6重量部と、正
極バインダーとなるポリフッ化ビニリデン3重量部と、
N−メチル2ピロリドン50重量部とを混合してスラリ
ー化し、このスラリーを集電体となるアルミニウム箔
(大きさ550mm×55mm、厚み20μm)の両面
に塗布し、乾燥させた。次に、このアルミニウム箔に圧
延処理を行い、正極を得た。正極活物質層の充填率は7
0%であった。なお、この正極は、実施例1〜8および
比較例1〜5のリチウムイオン二次電池用に13個作製
した。
【0040】さらに、平均粒径が16.9μm、比表面
積が0.138m2 /gであるLiCoを用いる以外は
上記と同様にして別の正極の作製も行なった。この正極
においては正極活物質層の充填率は74%であった。こ
の正極は実施例9のリチウムイオン二次電池に用いた。
【0041】〔負極の作製〕負極活物質となる炭素繊維
(平均繊維長40μm、平均繊維径8.8μm)95重
量部部と、負極バインダーとなるポリフッ化ビニリデン
5重量部と、N−メチル2ピロリドン100重量部とを
混合してスラリー化し、このスラリーを集電体となる銅
箔(大きさ595mm×57mm、厚み14μm)の両
面に塗布し、乾燥させた。次に、この銅箔に圧延処理を
行い、負極を得た。負極活物質層の充填率は69%であ
った。なお、この負極は、実施例1〜8および比較例1
〜5のリチウムイオン二次電池用に13個作製した。
【0042】さらに、平均繊維長が35μm、平均繊維
径が10μmである炭素繊維を用いる以外は上記と同様
にして別の負極の作製も行なった。この負極においては
負極活物質層の充填率は72%であった。この負極は実
施例9のリチウムイオン二次電池に用いた。
【0043】〔リチウムイオン二次電池の組立〕上記で
作製した各正極と各負極とを、多孔質のポリエチレン−
ポリプロピレン複合セパレータを介して捲巻し、これを
円筒型の電池缶(外径18mm、高さ65mm)に収容
した。さらに、上記で得た各電解液を正極と負極との間
に含浸させ、実施例1〜9および比較例1〜5のリチウ
ムイオン二次電池(設計容量:1600mAh)を得
た。
【0044】〔評価〕上記で得られた実施例1〜9およ
び比較例1〜5の各リチウムイオン二次電池について室
温で充電を行なった。1C(1600mA)定電流で
4.2Vまで充電を行なった後、続いて4.2V定電圧
で充電を行い、全充電時間が2.5時間になったところ
で充電終了とした。その後、各リチウムイオン二次電池
を−35℃の恒温槽中に移し、0.5C(800mA
h)/2.5Vカットオフで放電を行なった。
【0045】次に、各リチウムイオン二次電池ごとに、
このときの放電電流値と放電時間とを測定し、これらか
ら放電容量〔mAh〕を算出する。更に、この放電容量
〔mAh〕を、室温で同様の放電を行なったときの放電
容量〔mAh〕で割って100を掛け、求められた値を
放電容量変化率〔%〕として表1に示す。また、表1に
は、放電時のエネルギー〔mWh〕を放電時の放電容量
〔mAh〕で割って求められる中間電圧についても示
す。
【0046】
【表1】
【0047】上記表1から分かるように、実施例1〜9
のリチウムイオン二次電池を用いれば、比較例1〜5の
リチウムイオン二次電池に比べ、低温時の放電容量〔m
Ah〕や中間電圧の低下を抑制できる。即ち、電解液の
各成分の混合比を適切な値とすることが低温特性の改善
に貢献できることが確認できる。
【0048】
【発明の効果】このように本発明のリチウム二次電池を
用いれば、従来のリチウムイオン二次電池に比べ低温特
性の向上を図ることができる。即ち、本発明のリチウム
イオン二次電池を用いれば、−20℃以下の低温下、特
に−35℃以下において放電容量が低下しすぎることが
なく、又放電時の電圧も高く維持できるので、極寒地で
の機器の安定動作に寄与することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液の溶媒がジエチルカーボネートお
    よびエチルメチルカーボネートから選ばれる少なくとも
    一種40体積%〜50体積%と、エチレンカーボネート
    4体積%〜10体積%と、プロピレンカーボネート10
    体積%〜17体積%と、ジメチルカーボネート30体積
    %〜40体積%との混合溶媒であることを特徴とするリ
    チウムイオン二次電池。
  2. 【請求項2】 正極を形成する正極活物質層の充填率が
    65%〜85%、負極を形成する負極活物質層の充填率
    が65%〜80%である請求項1記載のリチウムイオン
    二次電池。
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