JP2001051495A - 現像ローラおよび現像装置 - Google Patents

現像ローラおよび現像装置

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JP2001051495A
JP2001051495A JP22281899A JP22281899A JP2001051495A JP 2001051495 A JP2001051495 A JP 2001051495A JP 22281899 A JP22281899 A JP 22281899A JP 22281899 A JP22281899 A JP 22281899A JP 2001051495 A JP2001051495 A JP 2001051495A
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toner
developing
roller
hardness
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JP22281899A
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Yukihiro Ozeki
行弘 大関
Manami Sekiguchi
真奈実 関口
Katsuhiro Sakaizawa
勝弘 境澤
Makoto Nonomura
真 野々村
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 像担持体と接触した現像ローラ上に担持した
非磁性1成分トナーにより現像するに際し、現像ローラ
を低硬度とすることが可能で、現像時の振動によるトナ
ーの飛び散りを防ぐことができ、低融点トナーに対して
も劣化を防いで、安定した現像を実現可能とした現像ロ
ーラ、およびそれを備えた現像装置である。 【解決手段】 現像ローラ2は、外径6mmの芯金2c
上に、カーボン等の導電剤を分散した厚さ約5mmの弾
性層2bを形成し、その表面にカーボン等の導電粉を分
散した、厚さ約10μmの導電性の帯電付与膜2aをコ
ーティングして構成される。その現像ローラ2の表面の
硬度をアスカーC硬度で50°以下、表面の動摩擦係数
を0.6以下とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式等の
画像形成装置において、像担持体上に形成された静電潜
像を可視化するのに用いられる現像装置、およびその現
像ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法を用いた画像形成装置におい
て、1成分現像剤を使用する現像装置は、現像剤として
用いるトナー(1成分トナー)の種類によって構成を若
干異にする。特にトナー自身の磁性の有無によって、ト
ナーを現像ローラ(現像剤担持体)の表面へ担持させる
力が異なってくる。
【0003】磁性1成分トナーの場合には、現像ローラ
内にマグネットを設けることによって、主に磁力により
トナーを現像ローラ表面に担持して、搬送させることが
可能となる。
【0004】これに対し、非磁性1成分トナーの場合に
は、磁力を用いることができないので、トナー自身の帯
電量によって生じる現像ローラ表面への鏡映力が利用さ
れ、この鏡映力によりトナーを現像ローラに担持して、
搬送させることが可能となる。したがって、非磁性トナ
ーを使用する場合には、マグネットが不要になる代わり
に、現像ローラへのトナーの供給と、トナーに鏡映力を
生じさせる帯電量の付与とを行う手段が必要となる。こ
の手段には、一般に、現像ローラに当接配置されたトナ
ー供給ローラが用いられている。
【0005】トナー供給ローラは、現像ローラへトナー
を供給するとともに、現像ローラとトナー供給ローラと
の当接ニップ領域で、これらとトナーとの間で生じる摺
擦によりトナーを摩擦帯電し、現像ローラに担持させる
のに足る鏡映力を生じる帯電量をトナーに付与する。
【0006】この非磁性1成分トナーは、磁性体を含有
しないのでカラー化が容易に可能であり、現在、カラー
画像形成装置の現像装置で主に使用されているトナーは
非磁性トナーである。
【0007】しかしながら、この非磁性トナーを用いた
従来の現像装置は、解決すべき問題点があるのを見出し
た。以下、非磁性トナーを用いる1成分接触現像装置の
代表的な例を図4により説明する。
【0008】本現像装置101は、内に収容した絶縁性
の非磁性1成分トナーTを担持して図中Y方向に回転す
る、図中X方向に回転する像担持体である感光ドラム1
00に接触した現像ローラ102、この現像ローラ10
2に非磁性1成分トナーTを図中矢印Z方向に回転する
ことによって供給するトナー供給ローラ104、現像ロ
ーラ102上のトナーTの塗布量および帯電量を規制す
るトナー規制手段である現像ブレード103、トナーT
を攪拌するとともにトナー供給ローラ104に供給する
攪拌部材105等から構成されている。
【0009】現像ローラ102が接触する感光ドラム1
00は剛体製とされ、現像ローラ102は弾性を有する
ことが好ましい。また現像ブレード103は金属製のも
のが、非磁性トナーに帯電付与するのに好適に用いられ
る。
【0010】現像ブレード103により規制を受けたト
ナーTは、現像ローラ102の回転にともない、感光ド
ラム100と現像ローラ102とが当接した現像領域に
搬送され、図示しない電源から現像ローラ102に直流
の現像バイアスを印加することによって、鏡映力によっ
て担持された現像ローラ102から感光ドラム100の
表面に形成された静電潜像にトナーを飛翔して付着、現
像し、潜像をトナー像として可視化する。
【0011】現像に寄与せず、現像ローラ102の表面
に残留したトナーは、現像ローラ102の回転にともな
い現像装置101内に戻され、トナー供給ローラ104
を介して回収される。
【0012】現像装置101は、上記のように、基本的
には、トナーTとして絶縁性の非磁性1成分トナーを用
いるものであり、トナー供給ローラ104から供給した
トナーTの現像ローラ102への担持は、トナー供給ロ
ーラ104と現像ローラ102との接触領域でトナーT
を摩擦帯電で生じる鏡映力によって行われる。またトナ
ーTの現像ローラ102への担持量(コート量)の調整
は、現像ローラ102とトナー供給ローラ104との周
速差によって行われる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、現像
ローラ102には、一般に、硬度40〜50°の(JI
S−A)の1層のソリッドゴム層からなる弾性ローラが
多用されている。このゴム弾性ローラからなる現像ロー
ラ102は、上記の硬度を得るため、また負極性帯電性
の非磁性トナーを負に摩擦帯電するために、トナーの帯
電極性と逆極性の正の帯電性を有する材料、たとえばシ
リコーンゴム、ウレタンゴム等が一般に用いられてい
る。
【0014】接触現像系では、典型的には、感光ドラム
100に対し所定の現像量を確保するために、感光ドラ
ム100と現像ローラ102との間で周速差を付けてい
る。このような場合、現像ローラ102のゴム硬度が4
0〜50°と高いので、現像ローラ102の感光ドラム
100との当接を確実にするためには、現像ローラ10
2の感光ドラム100との当接圧を、たとえば約100
gf/cm程度(線圧)に高くする必要があった。
【0015】現像ローラ102の感光ドラム100との
当接圧が低いと、感光ドラム100への当接が不安定に
なり、現像ローラ102が感光ドラム100から離れる
ことがあるため、現像した画像には、現像ローラ102
の回転周期で現像不良やピッチムラ等の画像不良が発生
する。そこで、上記のように、現像ローラ102の感光
ドラム100への当接圧を高くして、画像不良の発生防
止を図っていた。
【0016】しかしながら、現像ローラ102の感光ド
ラム100との当接圧が高いので、低融点のトナーを用
いると、現像領域での高い摺擦力によりトナーが劣化
し、トナーが現像ローラ102の表面に融着することが
起こる。
【0017】これに対し、現像ローラ102の硬度を低
下して、現像領域での摺擦力を低くすることが考えら
れ、本発明者らが確認したところ、現像ローラ102の
硬度を約30〜50°(アスカーC)に低硬度化するこ
とにより、トナー劣化を防止できる可能性があった。こ
のときの現像ローラ102の感光ドラム100への当接
圧は約30〜40gf/cmとされる。
【0018】しかし、現像ローラ102の低硬度化によ
り、出力画像上、トナーの飛び散りが増加する問題点が
生じた。このトナーの飛び散りは、現像ローラ102と
感光ドラム100との当接ニップ領域において、両者間
の摺擦により現像ローラ102の表面が振動するために
発生する現象であり、当然、出力画像上に現れる。
【0019】本発明者らの検討によると、現像ローラ1
02の硬度が40〜50°(JIS−A)と高ければ問
題ないが、上記のようにアスカーCで30〜50°と低
硬度化されていると、摺擦時に発生する現像ローラ10
2の表面に発生する歪みが大きくなり、現像ローラ10
2の表面が大きく振動して、その結果、感光ドラ100
上の現像したトナー像をかき乱し、トナーを飛び散らせ
て、出力画像上、トナーの飛び散りが酷く発生する。
【0020】なお、アスカー(Asker)C硬度は、
JIS−A硬度よりも低硬度を測定するのに適してお
り、そのアスカーC硬度計による測定値は、JIS−A
硬度計による測定値よりも20°ほど高い値となる。
【0021】現像ローラ102の表面の歪みおよび振動
が発生する理由を説明する。弾性体製の現像ローラ10
2は、上記したように、従来、シリコーンゴムやウレタ
ンゴムのソリッド層からなる弾性ローラが用いられてお
り、現像ローラ表面の動摩擦係数はおよそ0.6〜1.
5程度、表面粗さRzはおよそ5から10μm程度とさ
れているのが一般的である。
【0022】ここで、動摩擦係数の測定法を図5に示
す。本発明おける動摩擦係数もこの方法で測定した。現
像ローラ102の周面に厚さ0.03mm、重さW2の
ステンレス薄板110を掛け、その薄板110の一端部
を水平に延出してデジタルフォースゲージ112に取り
付け、薄板110の他端部に重さW1の重り116を取
り付けて鉛直方向に引張り、薄板110が現像ローラ1
02の表面にθ=45°にわたって接するように設置す
る。デジタルフォースゲージ112は、ステンレス薄板
110も重りW1も取り付けない無負荷時に値0に調整
しておく。
【0023】ついで、ステンレス薄板110および重り
W1を取り付けた状態でデジタルフォースゲージ112
の値の読みが安定したら、現像ローラ102を図の矢印
Rで示す反時計方向に回転してステンレス薄板110と
摺擦し、フォースゲージ112でこのときの現像ローラ
102とステンレス薄板110間の摺擦力を測定する。
測定値はフォースゲージ112からのアナログ出力値を
レコーダで周波数10Hzでサンプリングし、サンプリ
ングしたデータをコンピュータ114に導入して、動摩
擦係数μを下記(1)式により計算する。これを現像ロ
ーラ102の1周について行い、その平均値を現像ロー
ラ102の動摩擦係数とする。
【0024】 μ=1/θ×loge(F/W) ・・・・・(1) ただし、μ:動摩擦係数、θ=45°、W:W1+W
2、W1:重りの重さ、W2:ステンレス薄板の重さ、
F:デジタルフォースゲージの測定値である。
【0025】上記のように、ステンレス薄板に対して現
像ローラ102表面の動摩擦係数を測定したのは、現像
ブレード103が一般にステンレス薄板(厚さは0.1
mm程度)のものを使用しており、また感光ドラム10
0もアルミニウム等の基体上に厚さ数10μm程度の感
光層を設けたものを使用しているので、現像ローラ10
2表面の動摩擦係数としては、ステンレス薄板に対する
ものを用いて比較することが現状に近く、より適切であ
ると判断されるからである。
【0026】上記のように測定した動摩擦係数が大きい
と、現像ローラ102と感光ドラム100との間の摺擦
力が大きくなり、現像ローラ102表面の振動が発生す
る。この現象は、現像ローラ102の硬度が低い方がよ
り顕著であり、特に弾性層として低硬度のソリッド層や
スポンジ層を用いた、硬度50°(アスカーC)程度以
下のローラを用いると、現像ローラ102と感光ドラム
100との当接ニップ領域が増加し、現像ローラ102
表面密着力が増し、摺擦力が増加する。このため現像ロ
ーラ102表面の動摩擦係数が大きいと、現像ローラ1
02表面の歪みが大きくなり、振動がより顕著になっ
て、その影響が、出力画像上のトナーの飛び散りとなっ
て現れる。
【0027】また本発明者らの検討によると、現像ロー
ラ102の感光ドラム100への侵入量を小さくすると
(つまり、現像ローラ102と感光ドラム100間の当
接圧を小さくすると)軽減されるが、現像ローラ102
と感光ドラム100との接触不良が生じる機会が高くな
り、現像不良が発生しやすくなり危険である。従来装置
では、現像ローラ102の硬度を高める(一般に硬度4
0〜45°(JIS−A)程度のソリッド層構成の弾性
ローラを用いる)ことによって、現像ローラ102の動
摩擦係数を大きくしても、現像ローラ102の表面に発
生する歪みを軽減し、振動を抑えて、トナーの飛び散り
を抑制していた。
【0028】このように現像ローラ102の硬度を高め
ることは、上記したように、現像ローラ102と感光ド
ラム100との当接圧画の上昇を招き、現像ローラ10
2の駆動トルクが大きくなる。このため駆動モータのト
ルクが不足すると、現像ローラ102の回転ムラが発生
して、現像状態にムラが生じ、その結果、出力画像上、
濃度ムラが発生する。また現像ローラ102と感光ドラ
ム100間の当接圧が上昇することは、これらの間の当
接ニップ領域における非磁性トナーへのダメージが大き
くなり、トナー劣化が促進されて、現像装置の寿命が短
くなる問題を生じる。その傾向は、特に低温定着に有利
な低融点トナーを用いると著しい。
【0029】以上を要するに、従来の現像装置では、現
像ローラ102表面の動摩擦係数μが大きいため、現像
ローラ102と感光ドラム100との間での摺擦が大き
くなり、現像ローラ102の低硬度化を図ろうとする
と、現像ローラ102表面の歪みが大きく、振動がより
顕著になって、出力画像上のトナーの飛び散りを招く。
これを解消しようとして、現像ローラ102の高度を上
げて感光ドラム100との当接を高めると、現像ローラ
102の駆動トルクが増大し、さらにトナーのダメージ
増加によるトナー劣化が生じて、低融点トナーを使用す
ることが困難である問題があった。
【0030】本発明の目的は、像担持体と接触した現像
ローラ上に担持した非磁性1成分トナーにより現像する
に際し、現像ローラを低硬度とすることが可能で、現像
時の振動によるトナーの飛び散りを防ぐことができ、低
融点トナーに対しても劣化を防いで、安定した現像を実
現可能とした現像ローラ、およびそれを備えた現像装置
を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
現像ローラおよび現像装置にて達成される。要約すれ
ば、本発明は、芯金上に少なくとも弾性層および薄層の
表面層を設けた弾性ローラからなり、その表面上に1成
分トナーを担持して回転することにより搬送する現像ロ
ーラにおいて、前記現像ローラは、アスカーC硬度で5
0°以下の硬度を有し、かつ表面の動摩擦係数が0.6
以下であることを特徴とする現像ローラである。
【0032】本発明によれば、前記表面層は、前記トナ
ーの帯電極性と逆極性の帯電性を有する樹脂からなる。
前記トナーが負帯電性であり、前記樹脂がポリアミド樹
脂、シリコーン樹脂またはウレタン樹脂から選択され
る。前記弾性層は、低温硬化型シリコーンゴムからな
る。前記表面層および弾性層は、導電剤を含有すること
により、電気抵抗値が所定値に調整された。
【0033】また本発明は、静電潜像が形成される像担
持体に接触して回転する現像ローラを有し、前記現像ロ
ーラ上に1成分トナーを担持して前記像担持体と対向し
た現像領域へ搬送し、前記像担持体上の静電潜像の現像
に供する現像装置において、前記現像ローラが上記いず
れかの現像ローラであることを特徴とする現像装置であ
る。前記1成分トナーが非磁性トナーであり、前記現像
ローラに接触して回転するトナー供給ローラを有し、前
記1成分トナーが前記トナー供給ローラにより前記現像
ローラに供給して担持される。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施例を図面
に則して更に詳しく説明する。
【0035】実施例1 図1は、本発明の現像装置の一実施例を示す概略構成図
である。
【0036】図1において、符号100は像担持体であ
る負極性の感光ドラムで、本実施例では、外径300m
mのOPC感光体を用いた。
【0037】本実施例の現像装置1は、現像剤担持体と
しての現像ローラ2、トナー供給ローラ4および現像ブ
レード5等を備えてなっており、1成分現像剤の非磁性
トナー6を収容している。
【0038】現像ローラ2は、現像装置1の感光ドラム
100と対向した開口部に配置され、感光ドラム100
に対し所定の侵入量で当接されている。本実施例では、
現像ローラ2として外径16mmの弾性ローラを用い、
現像ローラ2の芯金2cの両端の軸に取り付けた侵入量
規制コロ3の外径を15.5mmとして、コロ3により
現像ローラ2の感光ドラム100への侵入量を250μ
m程度に設定した。現像ローラ2については後述する。
【0039】トナー供給ローラ4は、現像ローラ2の感
光ドラム100とは反対側の位置に、現像ローラ2に接
触して設置している。本実施例では、非磁性トナー6と
して球形で低融点な重合トナーを使用しており、このト
ナーを現像ローラ2の表面に供給するために、トナー供
給ローラ4として、外径16mm、硬度20度(アスカ
ーC)の絶縁性ウレタンスポンジローラを使用し、これ
を現像ローラ2に対する侵入量500μm程度で接触配
置させた。
【0040】現像装置1の現像ローラ2の上方位置に
は、現像剤量規制部材として現像ブレード5が設置さ
れ、この現像ブレード6は、トナー供給ローラ4よりも
回転方向下流側の位置に所定の当接圧で当接している。
現像ブレード5は、現像ローラ2上に担持された非磁性
トナーTを規制して、所定量のトナー層に形成するとと
もに、摩擦帯電により所定量の摩擦帯電量を付与する。
【0041】本現像装置1は、一般的な反転現像系の画
像形成装置(たとえばLBP、LED等のページプリン
ター)に好適に用いることができる。本実施例では、後
述する画像評価試験を、感光ドラム100の帯電電位を
−650V、感光ドラム100上の露光部の電位を−1
00V、現像ローラ2に印加する現像電圧をDC−35
0Vとした画像出力条件で行った。
【0042】本発明者らは、従来の現像装置で問題とな
った低融点トナーを劣化させずに、現像時の現像ローラ
の振動によるトナーの飛び散りやピッチムラを防ぐに
は、現像ローラ2の硬度を低下させると同時に、現像ロ
ーラ2の表面の動摩擦係数を所定値以下に下げればよい
ことを見出した。以下、これについて説明する。
【0043】従来は、現像ローラ2上にコートされるト
ナー量を所定値に設定するには、現像ローラ2の表面粗
さRzを所定値に設定する必要があるとされてきたが、
本発明者らの検討によると、現像ローラ2の表面にコー
トされるトナーコート量は、一概に現像ローラ2の表面
粗さRzとは相関しておらず、むしろ現像ローラ2の表
面にコーティングされる帯電付与膜の材質に大きく依存
していることが判った。たとえば、帯電付与膜としてポ
リアミド樹脂、シリコーン樹脂等を用いると、現像ロー
ラ2の表面粗さRzが小さくても、所定の十分なトナー
コート量を安定して得ることができる。
【0044】この理由は、トナー供給ローラ4による現
像ローラ2へのトナー供給時のトナー6の摩擦帯電での
鏡映力によって、現像ローラ2の表面へのトナー6の担
持力が生じているからであると考えられる。したがっ
て、摩擦帯電性の高い材料で現像ローラ2の表面を形成
しておけば、トナー6の摩擦帯電量による現像ローラ2
表面への鏡映力によって、現像ローラ2上に安定して所
定のトナーコート量を得られる。
【0045】すなわち、現像ローラ2表面の凹凸による
メカニカルな摩擦力による搬送力によらずとも、トナー
6の帯電量による現像ローラ2表面への鏡映力によっ
て、現像ローラ2の表面へのトナーコートを行うことが
可能である。
【0046】本実施例では、現像ローラ2の表面に帯電
付与膜を形成することによって、現像ローラ2の表面の
動摩擦係数を低く抑えても、0.4mg/cm2程度の
トナーコート量を確保することができる。現像ローラ2
の周速を感光ドラム100の周速の150%程度に設定
すれば、本実施例における現像効率が100%(現像ロ
ーラ2の表面に存在するトナーがすべて現像に寄与す
る)とすると、感光ドラム100上に約0.6mg/c
2程度の現像トナー量を得ることができる。この現像
トナー量は、画像濃度1.4以上(マクベス濃度計によ
り測定)を得るのに十分な値である。
【0047】本実施例で用いた現像ローラ2についてさ
らに説明する。
【0048】本実施例において、現像ローラ2は、図2
に示すように、外径6mmの芯金2c上に、カーボン等
の導電剤を分散した厚さ約5mmの弾性層2bを形成
し、その表面にカーボン等の導電粉を分散した、厚さ約
10μmの導電性の帯電付与膜2aをコーティングして
なっている。帯電付与膜2aの形成方法は、スプレーコ
ーティングでもディッピングでもよい。帯電付与膜2a
の厚さとしては10〜20μm程度がよい。帯電付与膜
2aの樹脂としては、トナーに対する負の帯電付与性を
持たせるために、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ウ
レタン樹脂等の正帯電性の樹脂を用いることができる。
帯電付与膜2aを形成した現像ローラ2表面の動摩擦係
数は、この樹脂の選択によって制御することができる。
【0049】現像ローラ2の電気抵抗値は、現像ローラ
2からの感光ドラム100へのリークが生じない抵抗で
ある約102Ωcm程度を下限とすることが好ましい。
上限は通常約108Ωcm程度にすればよい。本実施例
では、カーボン分散により現像ローラ2の体積抵抗率を
105Ωcm程度に調整した。現像ローラ2の周方向上
の抵抗値ムラは、1オーダー程度あっても、出力画像上
は問題ない。これは、現像ローラ2の抵抗値が感光ドラ
ム100の表面抵抗よりかなり(数オーダー程度)低い
ため、現像ローラ2の周方向に抵抗値ムラがあっても、
現像電界にほとんど影響を与えないからである。
【0050】現像ローラ2の表面粗さは、Rzが約7μ
m程度、Rmax(JIS B0601)が15μm以
下が好ましい。この表面粗さは弾性層2bの表面を研磨
することによって調整することができる。
【0051】本実施例において、現像ローラ2の硬度お
よび動摩擦係数よる効果の相違を見るために、画像評価
実験を行った。現像ローラ2として、表1に示すよう
に、硬度および動摩擦係数をいくつかに変えて、No1
〜12の12種類の弾性ローラを作成した。現像ローラ
2の硬度は、弾性層2bに使用するLTV(低温硬化
型)シリコーンゴムの種類を変更することによって変え
た。現像ローラ2の動摩擦係数は、帯電付与膜2aに使
用する樹脂の種類を変更することによって変えた。な
お、現像ローラNo6、7、12では帯電付与膜を形成
しなかった。動摩擦係数は、先に説明した図5に示す方
法で測定した。
【0052】現像ローラの硬度は、アスカーC硬度計お
よびJIS−A硬度計の両方で測定した。前述したよう
に、低硬度現像ローラの硬度測定にはアスカーC硬度計
が適し、高硬度現像ローラの高度測定にはJIS−A硬
度計が適している。表1中、現像ローラNo1〜7は低
硬度現像ローラに属し、アスカーC硬度計による硬度測
定が適しているので、JIS−A硬度計による測定値は
参考値として掲げた。同様に、現像ローラNo8〜12
は高硬度現像ローラに属し、JIS−A硬度計による硬
度測定が適しているので、アスカーCによる測定値は参
考値として掲げた。
【0053】
【表1】 上記の各現像ローラNo1〜12を図1の現像装置に装
着し、前述したように、感光ドラム100の帯電電位を
−650V、感光ドラム100上の露光部の電位を−1
00V、現像ローラ2に印加する現像電圧をDC−35
0Vとした画像出力条件で画像形成し、画像評価を行っ
た。結果を図3のグラフ示す。
【0054】図3において、各プロットの記号の意味
は、○および●:出力画像上、トナー飛び散りおよびピ
ッチムラが全く生じなかった場合を示し、△:ややトナ
ー飛び散りが発生したことを示し、×:トナー飛び散り
がかなり多く発生し、画像品質が低下したことを示す。
各プロットには現像ローラのナンバーを付してある。図
3から明らかなように、低硬度の現像ローラNo1〜7
の場合は○、△、×のいずれかの結果に、高硬度の現像
ローラNo8〜12の場合は●の結果になっている。
【0055】図3には、現像動作中の現像ブレード上の
トナー融着の発生状況も示した。アスカーC硬度50°
(JIS−A硬度30°)を示すラインBの右側がトナ
ー融着発生領域、左側がトナー融着不発生領域である。
現像ローラとしてアスカーC硬度が約50°以上で、現
像ブレードへのトナー融着が見られた。現像ローラNo
12では、現像ローラ表面にもトナー融着が認められ
た。これに対し、アスカーC硬度が50°以下では、現
像ブレード上、現像ローラ上の両者とも、トナー融着が
認められなかった。
【0056】図3に示すように、アスカーC硬度が50
°以上では、現像ローラ表面の動摩擦係数の数値によら
ずに、トナー飛び散り等は発生せず、画像品質は良好で
あった。アスカーC硬度が50°以下では、現像ローラ
表面の動摩擦係数が0.2程度で、トナー飛び散り等が
発生しなかったが、約0.6程度で若干トナートナー飛
び散りが発生した。動摩擦係数が1.0程度では、トナ
ー飛び散りおよびピッチムラがかなり発生し、画像品質
は不良となった。
【0057】つまり、ラインAより下側は、トナー融着
不発生領域において、画像評価のレベルが許容できる範
囲であった。ラインAより上側は、トナー融着不発生領
域において、画像評価のレベルが不良な範囲であった。
【0058】このように、現像ローラ2の表面の動摩擦
係数μと現像時のトナー飛び散り、および現像ローラ硬
度とトナー劣化は相関しており、現像ローラ表面の動摩
擦係数の低下と、現像ローラ表面の硬度低下とにより、
トナーの劣化を防止し、かつ現像時に生じるトナー飛び
散り等を防止することが可能となる。
【0059】以下、その理由を記す。従来、一般に用い
られているアスカーCで約50°以上の高硬度の現像ロ
ーラでは、本実施例の感光ドラム100への侵入量が約
250μmの設定条件で、感光ドラムに対する当接圧が
約100gf/cmとなる。これに対し、本発明で用い
るアスカーCで約50°以下の低硬度な現像ローラで
は、当接圧が上記の侵入量設定条件で約30gf/cm
程度となり、従来の1/3程度に低減されるため、現像
ローラ2の表面の動摩擦係数を、図3に示すように、約
0.6以下に低下させれば、現像ローラ表面の摺擦力の
低下と相俟って、現像ローラと感光ドラム100間の摺
擦によるトナーへのストレスが減少する。これにより、
トナーへのダメージが減って、トナー劣化が防止される
とともに、現像領域中における現像ローラ表面の振動が
低下し、トナーの飛び散りの発生が防止できる。
【0060】以上から、本発明では、表面に電荷付与層
を有する弾性ローラからなる現像ローラ2について、表
面の硬度をアスカーC硬度で50°以下、表面の動摩擦
係数を0.6以下とする。これにより、低融点のトナー
を用いて接触現像を行っても、トナーの劣化を防止で
き、またトナーの飛び散り、ピッチムラのない良好な出
力画像を得ることができる。
【0061】実施例2 実施例1では、現像ローラ2の弾性層2bをLTVシリ
コーンゴムによるソリッドゴム弾性体で形成したが、現
像ローラ2のさらなる低硬度化を図るために、弾性層2
bをスポンジで形成してもよい。
【0062】このスポンジにはシリコーンスポンジ等を
用いることができる。このスポンジ層表面には厚さ50
0μm程度のソリッド層を形成することが重要である。
スポンジ層表面に直接、帯電付与膜を形成すると、スポ
ンジ層表面の凹凸形状が現像ローラ表面に現れてしま
い、所定の表面粗さRmax、Rzを得ることができな
い。
【0063】スポンジ層表面にソリッド層を設けておけ
ば、スポンジ層の歪み、うねり等を補正することが可能
となり、現像ローラ2表面の粗さRmaxを大きくする
ことができる。ただし、表面粗さRmaxは15μm以
上になると、現像ローラ表面の粗さが出力画像に現れて
しまい、画像品質が著しく低下する。
【0064】ソリッド層の厚さは、薄いとスポンジ層表
面の凹凸が現像ローラ表面に現われ、また厚いと現像ロ
ーラの硬度が上昇するので、本発明者らの検討によれ
ば、ソリッド層の厚さを500μm〜1mm程度にする
のが好適である。
【0065】本発明は、上記のように、現像ローラ2の
弾性層2bがスポンジからなる場合にも適用することが
でき、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弾性層および薄層の表面層を設けた弾性ローラ製の現像
ローラを像担持体に接触して、現像ローラ上に担持した
1成分トナーにより像担持体上の静電潜像を現像するに
際し、現像ローラの硬度をアスカーC硬度で50°以
下、表面の動摩擦係数を0.6以下としたので、現像ロ
ーラが低硬度で、かつ現像時の振動によるトナーの飛び
散りを防ぐことができ、低融点トナーに対しても劣化を
防いで、安定した現像を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像装置の一実施例を示す断面図であ
る。
【図2】図1の現像装置に設置した現像ローラの層構成
を示す図である。
【図3】図2の現像ローラの硬度と動摩擦係数とに対す
る画質の良否の分布領域を示したグラフである。
【図4】従来の現像装置を示す断面図である。
【図5】動摩擦係数の測定法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 現像装置 2 現像ローラ 2a 帯電付与膜 2b 弾性層 2c 芯金 4 トナー供給ローラ 5 現像ブレード 6 非磁性トナー 100 感光ドラム
フロントページの続き (72)発明者 境澤 勝弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 野々村 真 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H077 AD06 AD35 AE02 EA14 EA15 FA01 FA13 FA21 FA22 FA27 GA17 3J103 AA02 AA14 AA23 AA51 BA41 FA30 GA02 GA52 GA56 HA12 HA20 HA22 HA41 HA46 HA47 HA52 HA53

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯金上に少なくとも弾性層および薄層の
    表面層を設けた弾性ローラからなり、その表面上に1成
    分トナーを担持して回転することにより搬送する現像ロ
    ーラにおいて、前記現像ローラは、アスカーC硬度で5
    0°以下の硬度を有し、かつ表面の動摩擦係数が0.6
    以下であることを特徴とする現像ローラ。
  2. 【請求項2】 前記表面層は、前記トナーの帯電極性と
    逆極性の帯電性を有する樹脂からなる請求項1の現像ロ
    ーラ。
  3. 【請求項3】 前記トナーが負帯電性であり、前記樹脂
    がポリアミド樹脂、シリコーン樹脂またはウレタン樹脂
    から選択される請求項1または2の現像ローラ。
  4. 【請求項4】 前記弾性層は、低温硬化型シリコーンゴ
    ムからなる請求項1〜3のいずれかの項に記載の現像ロ
    ーラ。
  5. 【請求項5】 前記表面層および弾性層は、導電剤を含
    有することにより、電気抵抗値が所定値に調整された請
    求項1〜4のいずれかの項に記載の現像ローラ。
  6. 【請求項6】 静電潜像が形成される像担持体に接触し
    て回転する現像ローラを有し、前記現像ローラ上に1成
    分トナーを担持して前記像担持体と対向した現像領域へ
    搬送し、前記像担持体上の静電潜像の現像に供する現像
    装置において、前記現像ローラが請求項1〜5のいずれ
    かの項に記載の現像ローラであることを特徴とする現像
    装置。
  7. 【請求項7】 前記1成分トナーが非磁性トナーであ
    り、前記現像ローラに接触して回転するトナー供給ロー
    ラを有し、前記1成分トナーが前記トナー供給ローラに
    より前記現像ローラに供給して担持される請求項6の現
    像装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002357950A (ja) * 2001-03-30 2002-12-13 Bridgestone Corp トナー担持体及びそれを用いた画像形成装置
US8041270B2 (en) 2007-03-16 2011-10-18 Ricoh Company, Limited Image developer using one-component developer
JP2016070996A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 信越ポリマー株式会社 導電性ローラ、現像装置及び画像形成装置

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US8041270B2 (en) 2007-03-16 2011-10-18 Ricoh Company, Limited Image developer using one-component developer
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