JP2011059235A - 現像ローラ、現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像ローラ、現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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淳 竹原
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Abstract

【課題】高温高湿又は低温低湿環境下においても、トナー濃度の影響が抑制されて優れた階調性を有する濃度ムラの抑制された画像を得ることのできる現像ローラ、これを備えた現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】本発明による現像ローラ8は、導電性芯金8bと、少なくとも電子導電剤を含有する弾性体によって形成される電子導電層8cと、イオン導電剤を含有する樹脂バインダーによって形成されるイオン導電層8dとを有している。そして、電子導電層8cは、所定間隔で形成された径方向に突出する突部8c1を備えており、突部8c1の頭部8c2は、イオン導電層8dの表面に所定間隔で点在して露出されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、プリンタ、複写機あるいはファクシミリなどに用いられる電子写真法を用いた画像形成装置に使用される現像ローラに係り、特に、非磁性一成分系現像剤を使用する現像ローラ、この現像ローラを備えた現像装置、画像形成装置並びにプロセスカートリッジに関する。
従来、非磁性一成分系現像剤を用いる画像形成装置としては、像担持体としてのドラム状の感光体上に形成された静電潜像に対して、回転しながら感光体と接触して非磁性一成分系現像剤を供給して当該静電潜像をトナー像化する現像ローラを備えた、所謂、接触現像装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
図7に非磁性一成分系現像剤(以下、「現像剤」を「トナー」ともいう)を接触現像装置にて画像形成を行う画像形成装置の従来例の一形態を示す。図7に示すように、従来、この種の画像形成装置は、図中X方向に回転する像担持体であるドラム状感光体100の周囲に、一次帯電装置としての帯電ローラ101、静電潜像形成装置としての露光器102、現像装置103、転写装置としての転写ローラ104、クリーニング装置105が配設される。
現像装置103は、感光体100に接触し、図中Y方向に回転しながら現像を行う現像ローラ107、図中Z方向に回転することによって現像ローラ107の外周面に非磁性一成分系現像用トナーTを供給するトナー供給手段である供給ローラ108、現像ローラ107上のトナーTの塗布量及び帯電量を規制するトナー規制手段である現像ブレード110、トナーTを供給ローラ108に供給するとともに非磁性一成分系現像用トナーを攪拌する攪拌部材109等からなる。この場合、現像ローラ107としては、剛体の感光体100に対して適度の弾性を有して当接するように、金属の芯金107a上にシリコーンゴムやNBRゴム等を成型した、所謂ソリッド単層弾性体層107bを有する弾性現像ローラが使用されている。また現像ブレード110としては、ステンレス等の薄板の現像ローラ107との当接部にウレタンゴム等のゴム部材を貼り付けたタイプの現像ブレードが一般に使用されている。
このような画像形成装置を用いて、転写紙等の転写材に対して画像形成する場合について、図7に基づいて説明する。
外部からのプリント信号により感光体100は矢印X方向に回転し始める。まず感光体100上は帯電ローラ101により一様に帯電される。次に、露光器102による露光により感光体100上には静電潜像が形成され、感光体100の回転により静電潜像が現像装置103の現像ローラ107との接触部に到達する。上記動作と連動して現像装置103は以下の動作を行う。
攪拌部材109により攪拌されたトナーTが、Y方向に回転する現像ローラ107と、Z方向に回転する供給ローラ108との摺擦によって、現像ローラ107上に供給される。現像ローラ107上のトナーTは、現像ブレード110によって所望の帯電量が付与されるとともにトナー量が規制されて、現像ローラ107の外周面上にトナーが担持される。現像ローラ107上に担持されたトナーTが感光体100と接触する部位、即ち現像領域に到達すると、電源(図に示さず)により現像ローラ107に現像バイアスを印加することによって、感光体100表面に形成された静電潜像を、現像ローラ107の外周面に担持されているトナーTで現像し、可視化する。現像に寄与せず現像ローラ107表面に残留したトナーは供給ローラ108を介して現像装置103内に回収される。
感光体100上のトナーTは、感光体100の回転により転写ローラ104の対向部に到達して、転写ローラ104により転写紙P上に転写される。転写紙P上に転写されたトナー像は定着装置106により加熱、加圧されて転写紙P上に定着される。一方、転写ローラ104により転写紙P上に転写されずに残った感光体100上のトナーTはクリーニング装置105により感光体100上から除去、回収される。上記動作を繰り返すことにより、画像形成が繰り返される。
この場合、感光体100上の静電潜像に対して、適切にトナーを供給するために、上記のように、現像ローラ107に現像バイアスを印加して静電気的にトナーを静電潜像に対して供給するようになっている。そのために、現像ローラ107の芯金107a上に形成される弾性体層107bに電子導電剤やイオン導電剤を混入したりすることが行なわれている。しかしながら、このような、弾性体層107bに電子導電剤を混入する場合(電子導電系)や、弾性体層107bにイオン導電剤を混入する場合(イオン導電系)では、それぞれ、次のような問題点がある。
(1)現像ローラとして、電子導電系を用いた場合
現像ローラとして、シリコーンゴムを用いる場合には、カーボン粒子や金属粒子等の電子導電剤をシリコーンゴム中に分散させ、所望の現像ローラ抵抗を得る。このような電子導電剤の分散により所望の抵抗を得る導電形態を一般的に電子導電系という。しかし、1×10Ω程度の低抵抗な電子導電系の現像ローラを用いた場合には、現像特性が2値的になり、所望する階調特性が得られない。2値現像特性を有するということは、文字画像(所謂、線画像)に対しては有利に働くが、階調性のある写真画像(所謂、面画像)においては、ハイライト画像の表現ができなくなり、不利に働くことになる。このように、電子導電系を有する現像ローラにおいては、出力画像において、十分な階調表現を得ることは困難である。
一方、1×10Ω以上の高抵抗な電子導電系の現像ローラとすることで、階調特性を緩やかにすることができる。しかしながら、電子導電系の現像ローラにおいて、抵抗値を高くすると、ゴム中の電子導電剤以外の部分で電荷が蓄積し、同じ静電潜像条件でも現像される濃度が変化し、濃度ムラが発生してしまうという問題が生じる。このような現象は、特に低濃度であるハイライト画像にて顕著であり、所望する均一な濃度の画像が得られない。また、電子導電系では、印加電圧が低い場合には、弾性体の抵抗値が増加するという電圧依存特性を有しており、極端な場合には3オーダー以上も抵抗値が変化し、所望の画像形成が困難となる場合も生じる。
(2)現像ローラとして、イオン導電系を用いた場合
現像ローラの弾性体層107bとして、NBRゴムやウレタンゴム等にイオン導電のためのイオン導電剤を添加して、材料自身がイオン化することで導電経路をつくり、所望の現像ローラ抵抗を得るものがある。このような、イオンの働きによる導電系は、一般的にイオン導電系といわれる。イオン導電系の現像ローラを用いた場合には、電子導電系の現像ローラと異なり、印加電圧に対してほぼ一定の抵抗値が得られる。そのため、面画像のような階調を有する画像形成においては、電子導電系のものより有利である。しかし、イオン導電系においては、材料のイオン化により電流経路が発生するため、周囲の環境によりイオン化の度合いが異なってくる。そのため、高温高湿環境下においては現像ローラ抵抗が低下し、逆に低温低湿環境においては現像ローラ抵抗が上昇してしまう。その結果、高温高湿環境下においては、抵抗が下がることによってトナーの荷電性が低下し、耐久劣化時のベタ追従不良が発生する。このように、イオン導電系を有する現像ローラにおいては、周囲の環境により画像濃度が変動してしまい、安定した画像濃度を得ることは困難である。
以上のように、電子導電系又はイオン導電系における単層弾性体層の現像ローラにおいては、所望の階調性やムラの無い安定した画像濃度を得ることは困難である。
このような問題を解決するために、芯金の表面に、バインダー樹脂中に電子導電剤とイオン導電剤を混合した半導電性被覆層を形成することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3記載のものでは、優れた耐リーク性を発揮して良好な画像鮮明度を得ることが可能となるが、現像ローラの表面に電子導電剤とイオン導電剤が同時に存在するため、電子導電性特有の電圧依存性とイオン導電性特有の環境依存性が大きくなり、特に高温高湿環境下での抵抗低下によるトナー荷電性低下が発生する問題を招く。
また、導電性芯金上に電子導電剤を弾性体中に混在させた電子導電層と、この電子導電層上にイオン導電剤を樹脂中に含有させたイオン導電層とを積層させた現像ローラが提案されている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4記載のものでは、現像ローラの外周表面がイオン導電層単独で形成されているために、イオン導電性特有の環境依存性が大きくなり、特に高温高湿環境下での抵抗低下によるトナー荷電性低下が発生する問題を招く。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、高温高湿又は低温低湿環境下においても、トナー濃度の影響が抑制されて優れた階調性を有する濃度ムラの抑制された画像を得ることのできる現像ローラ、この現像ローラを備えた現像装置、画像形成装置並びにプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、導電性芯金上に、少なくとも電子導電剤を含有する弾性体によって構成され、外周面に所定間隔で径方向に形成される突部を有する電子導電層と、該電子導電層上にイオン導電剤を含有する樹脂バインダーによって構成されるイオン導電層とを有し、かつ、該イオン導電層の表面に、該電子導電層の突部の頭部が所定間隔で露出されていることを特徴とする現像ローラである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の現像ローラにおいて、
前記電子導電層は、1×10〜1×10Ωの電気抵抗を有し、前記現像ローラの電気抵抗が5×10〜1×10Ωとなるように、前記イオン導電層が形成されていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の現像ローラにおいて、
前記イオン導電層は、3μm〜50μmの厚みで形成されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラにおいて、
前記電子導電層の突部の頭部は、前記現像ローラの外周面の前記イオン導電層の表面に、点状又は格子状に所定間隔で露出されていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の現像ローラにおいて、
前記電子導電層の突部の頭部は、当該電子導電層の外周面に所定間隔で突出する突部を有し、当該突部上に前記イオン導電層を形成し、当該イオン導電層の表面を研摩して点状又は格子状に露出されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5記載の現像ローラにおいて、
前記電子導電層の突部は、前記導電性芯金上に導電性付与物質を含有する弾性体で一体成型によって形成されることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項5記載の現像ローラにおいて、
前記電子導電層の突部は、前記導電性芯金上に導電性付与物質を含有する弾性体で一体成型された円柱状成型体の外周表面に、導電性付与物質を含む電子導電性液を所定間隔で塗布して形成されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、一成分系現像剤を担持して、像担持体上に形成された静電潜像に対して前記一成分系現像剤を供給する現像ローラを備えた現像装置であって、
前記現像ローラは、請求項1〜7のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、当該像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、当該帯電装置によって帯電された像担持体表面に静電潜像を形成させる静電潜像形成装置と、一成分系現像剤を前記静電潜像に当接させて現像し、可視像を形成する現像装置とを備えた画像形成装置であって、
前記現像装置は、請求項8に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
また、請求項10に記載の発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、少なくとも一成分系現像剤を前記静電潜像に当接させて現像し可視像を形成する現像装置とを一体に連結し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置は、請求項8に記載の現像装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
本発明によれば、現像ローラは、導電性芯金と、少なくとも当該導電性芯金上に電子導電剤を含有する弾性体によって形成され、外周面に所定間隔で形成される突部を有する電子導電層と、当該電子導電層上にイオン導電剤を含有する樹脂バインダーによって形成されるイオン導電層とを有し、前記イオン導電層の表面に、前記電子導電層の突部の頭部を所定間隔で露出させていることによって、高温高湿又は低温低湿環境下においても、トナー濃度の影響が抑制されて優れた階調性を有する濃度ムラの抑制された画像を得ることのできる現像ローラを提供することができ、また、この現像ローラを備えた現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。 図1の現像ローラの部分を拡大して示す断面図である。 現像ローラの外周面を拡大した平面図である。 本発明による実施例1に係る現像ローラの概略構成を示す図で、(a)は、現像ローラの外周面の拡大平面図、(b)は現像ローラの外周面部分の拡大断面図である。 本発明による実施例2に係る現像ローラの概略構成を示す図で、(a)は、現像ローラの外周面の拡大平面図、(b)は現像ローラの外周面部分の拡大断面図である。 本発明による実施例3に係る現像ローラの概略構成を示す図で、(a)は、現像ローラの外周面の拡大平面図、(b)は現像ローラの外周面部分の拡大断面図である。 従来の画像形成装置の概略構成を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、X方向に回転する像担持体であるドラム状感光体1の周囲に、感光体1の表面を一様に帯電させる帯電ローラ2、このように帯電された感光体1の表面に画像情報に応じた露光Lを照射して感光体1の表面に静電潜像を形成する露光装置3、このようにして形成された静電潜像に対して、一成分系現像剤である非磁性トナーTを供給してトナー像化する現像装置4、このようにして形成されたトナー像を感光体1から転写材としての転写紙P上に転写する転写ローラ5及び、転写紙P上に転写後に残存する感光体1上のトナーを感光体1の表面から除去するクリーニング装置6を備えている。
そして、帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6は、感光体1と一体に連結されてプロセスカートリッジ20を構成し、このプロセスカートリッジ20を画像形成装置から着脱自在に取り付けている。従って、このプロセスカートリッジ20を画像形成装置から取り外して、感光体1、帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6の保守、点検、交換を容易に行なうことが可能となっている。この実施形態においては、感光体1と帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6を一体に連結したプロセスカートリッジ20としているが、感光体1と帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6の全てを一体にしたプロセスカートリッジとする必要はなく、感光体1と少なくとも現像装置4とを一体に連結したプロセスカートリッジであっても良い。
現像装置4は、図1および図2に示すように、X方向に回転する感光体1に接触し、Y方向に回転しながら現像を行なう現像ローラ8、Z方向に回転することによって現像ローラ8の外周面8aに非磁性一成分系現像用トナーTを供給する供給ローラ9及び現像ローラ8の外周面8a上のトナーTの塗布量及び帯電量を規制するトナー規制手段である現像ブレード10を備えている。なお、図1中、符号7は定着装置、符号11はトナーTを供給ローラ9に供給すると共に非磁性一成分系現像用トナーTを攪拌する攪拌部材である。
現像ローラ8は、ステンレス、鉄、アルミニウム等の金属からなる導電性芯金8b上に電子導電層8c及び電子導電層8c上に形成されるイオン導電層8dを備えている。そして、導電性芯金8bに、現像バイアス電源12から現像バイアスが供給され、この現像バイアスは、電子導電層8c及びイオン導電層8dを介して、外周面8a上に担持されたトナーTに供給されるようになっている。なお、電子導電層8c及びイオン導電層8dについては、後述する。
このような、画像形成装置を使用して転写紙P上に画像形成する方法について説明する。
一次帯電装置としての帯電ローラ2は、X方向に回転する感光体1の表面を一様に帯電するように、帯電バイアス電源(図示せず)が接続されており、画像形成動作中は、約−1100Vを帯電ローラ2に印加して、感光体1表面を約−500Vに一様に帯電することができる。帯電ローラ2は、直径10mmであり、感光体1に対して従動である。そして、静電潜像形成装置として通常用いられる、例えば、レーザ又はLEDの露光装置3によって、情報信号により感光体1上を露光走査して、情報信号に応じた露光を行い、感光体1の表面に静電潜像を形成する。このとき、被露光部の電位は約−120Vとなる。
本実施形態においては、感光体1は直径24mmであり、矢印X方向に回転速度Vxで回転し、Vxを120mm/secとすることができる。一方、非磁性一成分系現像剤(トナー)Tを収容する現像装置4は、感光体1と接触し、矢印Y方向に回転速度Vyで回転する現像ローラ8を有する。さらに、トナー規制部材としての現像ブレード10、矢印Z方向に回転する供給ローラ9、トナーTを攪拌する攪拌部材11を備えている。ここで感光体1と現像ローラ8の回転速度の関係はVy>Vxであり、好ましくはVy>1.3Vxである。ここで、Vyは175mm/secで回転している。
現像装置4内に収容されたトナーTを現像ローラ8に付着させるには、トナーTを供給ローラ9と現像ローラ8で摩擦させ、ある程度の電荷付与を行わなければならない。供給ローラ9の材料としては、発泡ウレタンゴム、発泡EPDMゴムの如き公知の材料が用いられる。本実施形態では、発泡ウレタンゴムからなる供給ローラ9を現像ローラ8に対してカウンター回転(回転方向矢印Z)で、速度Vz回転させる。回転速度としては、Vzは150mm/secである。供給ローラ9には、現像バイアス電源12に対して−100vの電位が接続されている。また、本実施形態におけるトナーは、負極性帯電性を有するトナーを用いた。
現像ローラ8上に供給ローラ9により塗布されたトナーは、次にトナー規制部材である現像ブレード10によりトナー量の規制及び摩擦によるトリボ付与が行われる。現像ブレード10は、ステンレス製の薄板(0.1mm)であり、板バネ弾性を有している。現像ブレード10の先端部から約0.4mmの位置を現像ローラ8と反対方向に折り曲げたものであり、該折り曲げ部より現像ローラ回転方向下流側が現像ローラ8に接触する状態で配設する。但し、これにとらわれるものではなく、ウレタンゴムブレードのような弾性ブレードも使用可能である。また、現像ブレード10の接触圧は、線圧15〜45g/cmが好適である。15g/cm未満になると、トナーに対して適切な帯電付与ができず、「かぶり」となって画質を低下させる。45g/cmを超えると、圧力等によりトナーに混合されている外添剤がトナー粒子表面から剥離しやすくなり、トナーを劣化させ、トナーの帯電性が低下していくことになる。なお、ここでいう線圧とは、現像ローラ8に加える現像ブレード10の押圧力を、現像ローラ8の当接部における現像ブレード10軸方向長さで割った値をいう。
上記実施形態においては、現像ブレードは金属製からなるが、トナーへの帯電性付与向上のために、金属製の現像ブレード上に樹脂をコーティングしてもよい。該樹脂としては、トナーの帯電極性が負極性の場合は、ポリアミド樹脂が好適に用いられ、トナーの帯電極性が正極性の場合は、フッ素樹脂が好ましく用いられる。現像ブレード10を通過し、現像ローラ8上に担持される単位面積当たりのトナー量は約4〜7(g/m)であることが好ましい。
また、現像ローラ8は現像バイアス電源12が接続されており、一方、感光体1は接地されている。現像バイアス電源12は負極性のDC電源であり、本実施形態においては、−250Vの電位を印加している。本実施形態においては、被露光部電位が−70Vであるため、現像コントラストは180Vとなる。現像ブレード10により電荷を付与され、現像ローラ8上に担持されたトナーは、上記現像バイアスにより感光体1上に供給されて静電潜像を顕像化する。現像バイアスの印加電位としては、被露光部電位(本実施形態では−70V)に対して、100〜330Vの電位差を有する電位であることが好ましい。この電位差を現像コントラストといい、本実施形態では、現像バイアスとして−170V〜400Vの電位を印加することが好ましい。現像コントラストを上記の範囲に設定した場合には、現像時において静電潜像を乱すことがなく、ハイライト画像の再現を良好に行うことができるようになる。現像コントラストが100V未満である場合には、十分な画像濃度を得るだけのトナーを感光体1側へ転移させることが困難になりやすく、逆に現像コントラストが400Vを超える場合には、感光体1上の非露光部の帯電電位との電位差が小さくなるため、非画像部にもトナーが付着してしまい、カブリが生じやすくなってしまう。
また、現像ローラ8の感光体1に対する当接圧としては、線圧20〜100g/cmが好ましい。線圧20g/cm未満となると接触状態が不安定となり、逆に線圧100g/cmを超えると圧力等によりトナーに混合されている外添剤がトナー粒子表面から剥離しやすくなり、トナーの劣化が生じやすくなる。そのためいずれの場合においても、現像ブレード10によるトナーへの帯電の付与力が低下し、トナーの帯電不足を引き起こす確率が高くなる。現像ローラ8と感光体1の当接部において、静電潜像が乱されるのを抑制するという観点からは、線圧20〜70g/cmがより好ましい。なお、ここでいう線圧とは、感光体1に加える現像ローラ8の押圧力を、感光体1の当接部における現像ローラ8軸方向長さで割った値をいう。
レジストローラ13(図1参照)によりタイミングを合わせて搬送された転写紙Pが転写部Nに到達した時、感光体1表面に形成されたトナー像を転写装置である転写ローラ5により転写紙Pに転写する。転写ローラ5には転写バイアス電源(図示さず)が接続されている。転写バイアス電源では、約+2〜5kVの電圧が印加される。なお、図1中、Nは感光体1と転写ローラ5とで形成されるニップ部を示している。
トナー像が転写された転写紙Pは定着装置7にて加熱ローラ7a、加圧ローラ7bによって加熱、加圧されてトナー像が転写紙P上に熱溶融定着される。転写ローラ5により転写紙P上に転写されず感光体1上に残ったトナーはクリーニングブレード6aを有するクリーニング装置6にて感光体1の表面から除去、回収される。上記動作を繰り返すことによって画像形成が繰り返される。
次に、本発明の特徴である現像ローラについて、図2、図3に基づいて説明する。図2は、図1の現像ローラの部分を拡大して示す断面図である。図3は、現像ローラの外周面を拡大した平面図である。
本発明による現像ローラ8は、図2に示すように、導電性芯金8bと、少なくとも導電性付与物質を含有する弾性体によって形成される電子導電層8cと、イオン導電剤を含有するイオン導電層8dとを有している。そして、電子導電層8cは、図3に示すように、所定間隔で形成された径方向に突出する突部8c1を備えており、突部8c1の頭部8c2は、図3に示すように、イオン導電層8dの表面に所定間隔で点在して露出されている。
このように、現像ローラ8の外周面8aは、後述するように、1×10〜1×10Ωの電気抵抗を有する低抵抗の電子導電層8cの突部8c1の頭部8c2が高抵抗のイオン導電層8d中に小面積で多数、点在して露出されているために、現像ローラ8の外周面8aは、イオン導電層8dの抵抗値とほぼ同じ抵抗値を示すことになり、低抵抗の電子導電層8c及び高いイオン導電性を示すイオン導電層8dのそれぞれの欠点を改善して使用環境に拘わらず良好な画像形成が可能となる。即ち、低抵抗の電子導電層8cによる良好な階調特性の低下、及び高抵抗のイオン導電層8dによる高いイオン導電性による環境変化に伴う抵抗値の変動を適切に抑制して、高温高湿下及び低温低湿下においても優れた階調性を有する濃度ムラを抑制した画像を得ることが可能となる。
このような現像ローラ8は、導電性芯金8bの外周に、表面に千鳥状等の点状或いは、格子状等の突部8c1を有する電子導電層8cを一体成型してソリッド状の弾性ローラを作製し、この電子導電層8cの表面に、イオン導電剤をバインダー中に分散させたイオン導電液を塗布して固着させてイオン導電層8dを形成後、表面を研摩して、突部8c1の頭部8c2の先端を被覆するイオン導電層8cを除去することによって容易に形成することができる。
また、上記弾性ローラとしては、導電性芯金8bの外周に、円筒状の電子導電層を一体成型して円柱状の成型体を作製し、この円柱状成型体の表面に、電子導電剤を分散させた電子導電性塗布液によって、電子導電層の表面に所定形状の突部模様を形成したものも使用することができる。
本発明の現像ローラ8に用いられる電子導電層8cは、弾性体に電子導電剤(電子導電機構による導電性付与物質)が分散されたもので構成することができる。弾性体としては、シリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、アクリルゴム、EPDM(エチレン、プロピレン共重合体)又はこれらが混合されたゴムの如き一般的に用いられるゴムが使用可能である。
電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、金属粒子が挙げられる。上記のゴムを弾性体として用い、それに上記の電子導電剤を分散させることで現像ローラの所望する抵抗値が得られる。電子導電剤の含有量は、弾性体100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。本発明における電子導電層8cとしては、シリコーンゴムにカーボンブラックを分散させたものが特に好ましい。シリコーンゴムを用いて弾性体を形成すると、ソリッドのままで低硬度化しやすく、カーボンブラックの分散性が良好であるためである。
本発明の現像ローラ8に用いられるイオン導電層8dは、イオン導電剤(イオン導電機構による導電性付与物質)が分散された樹脂バインダー液を使用することによって容易に形成することができる。
過塩素酸リチウム、4級アンモニウム塩の如きイオン導電機構による導電性付与物質としてのイオン導電剤を樹脂バインダー中に分散させることで、イオン導電層8dを形成できる。また、上記以外のイオン導電機構による導電性付与物質(イオン導電剤)としては、Li、Na、Kの如き周期率表第1族の金属の塩、例えば、LiCFSO、NaClO、LiClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaCl、あるいはNH4+の塩の如き電解質、又Ca、Baの如き周期率表第2族の金属の塩、例えばCa(ClOやそれ等と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールの如き多価アルコール又はその誘導体との錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルの如きモノオールとの錯体が挙げられる。
イオン導電層8dの樹脂バインダーとしては、負帯電性トナーを用いる場合には、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂が好適に用いられる。また、正帯電性トナーを使用するのであれば、フッ素樹脂が好適に用いられる。更に、電子導電層との弾性への追従性を向上させるため、樹脂中に可溶性ゴムを混合しても良い。本発明におけるイオン導電層8dは、上記イオン導電剤0.1〜2質量部を樹脂バインダー100質量部中に分散することが好ましい。0.1質量部未満では導電性が発揮されないことがあり、2質量部を超えると、表層における抵抗の環境変動が大きくなることがある。
イオン導電層8dの塗工厚さは、3〜50μmであることが好ましい。3μm未満では感光体1との摺擦による削れが懸念され、50μmを超える塗工厚さを得るためには、何度も塗工を繰り返さねばならず生産するのに現実的ではない。環境変動に対する安定性の面から5〜30μmであることがより好ましい。
電子導電層8cの厚さ(突部8c1の高さを除く)は80μm〜3mmであることが好ましい。80μm未満では、弾性効果が不十分でトナーが劣化し、3mmを超えるとローラ外径の環境変動が大きくなる。環境変動に対する安定性の面から80μm〜3mmであることがより好ましい。また、突部8c1の高さ(イオン導電層8dの表面から突出した突部8c1の高さ)は2〜15μmであることが好ましい。2μm未満では、十分なトナー量が得られず、15μmを超えると低湿環境においてトナー量が過多となってしまう。環境変動に対する安定性の面から2〜15μmであることがより好ましい。
本発明の現像ローラ8は、弾性体の硬度(「ゴム硬度」ともいう)が35〜70度(AskerC)のものが好適に使用される。70度(AskerC)超えると、現像ローラ8の摺擦によってトナーが溶融し、ブレード融着やローラ融着を発生させることがあるため好ましくない。また、現像ローラ8と感光体1との当接状態が不安定となりやすいこともある。35度未満となると、圧縮永久歪みによる永久変形により、現像ローラ8としての使用は困難となることがある。更に好ましくは、35〜60度であり、この範囲の低硬度にすることで、本発明の如き、現像ローラ8と感光体1とが接触している画像形成装置においても、トナーに過度なストレスをかけることなく、摩擦帯電をすることができる。
また、現像ローラ8の弾性体の硬度を上記の範囲内にするには、例えば、シリコーンゴムであれば可塑剤の含有量を調整することにより行われる。可塑剤としては、例えば、比較的分子量の低いオルガノポリシロキサンが用いられる。即ち、可塑剤の量を減少させると弾性体の硬度が上がり、可塑剤の量を増加させると弾性体の硬度が低下する。弾性体の硬度は、AskerCゴム硬度計(高分子計器社製)を用いることにより測定できる。
本発明における現像ローラ8の外周面8aの表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、算術平均粗さRaで0.4〜1.5μmが好ましい。使用するトナーの粒径が体積平均粒径で6μm程度であれば、算術平均粗さRaで0.5〜1.2μmが好ましい。トナー粒径がより小さい場合は、算術平均粗さRaをやや小さくすることが好ましい。算術平均粗さRaが0.4μm未満であると、十分なトナー搬送力が得られないことがあり濃度不足となることもある。1.5μm超えると、トナーに十分な帯電が得られないことがあり、非画像部にトナーが付着する所謂「かぶり」が発生することがある。算術平均粗さRaは、JIS B0601に示されている定義を用い、小坂研究所製の表面粗さ試験器「SE−30H」を用いることで測定できる。
本発明において、現像ローラ8の抵抗としては、表層であるイオン導電層8dの抵抗値を電子導電層8cの抵抗値より高くすることが、環境変動を抑制できやすく好ましい。更に、表層であるイオン導電層8dを下層の電子導電層8cより抵抗値を高くし、かつ、表層を薄層に形成することで、イオン導電系の欠点である抵抗の環境変動をより少なくすることができる。即ち、電子導電層8cは高抵抗になるほど抵抗値の電圧依存性(低電圧部での抵抗の上昇)があるため、全体の抵抗値を低く抑えることが好ましい。これにより、電圧依存性を減少させることができる。そして、表層であるイオン導電層8dの抵抗値を高くして、現像剤担持体の全体の抵抗としては、イオン導電層で調整することが好ましい。
また、イオン導電層8dは薄層に形成されているため、環境が変動しても抵抗値の変動分は少なくおさえられることになる。このように、現像ローラの表面を機能分離することで、周囲の環境に左右されず、ローラ表面の部分的な画像濃度の変化もなく、濃度ムラのない画像を忠実に形成できる。
実際の抵抗値は、後述する抵抗測定法にて求められ、電子導電層8cとしては1×10〜1×10Ωが好ましい。さらに好ましくは、5×10〜7×10Ωである。1×10Ω未満となると、現像ローラ8が当接する感光体1に欠陥があった場合に、リークが発生することがある。また、1×10Ωを超えると、現像ローラ8の電圧依存性が強まり、低電圧領域での抵抗値の上昇が生じることがある。電子導電層8cに上記のような抵抗を持たせるには、電子導電層8c中の電子導電剤の含量を調節することにより、実施できる。即ち、電子導電層8c中の電子導電剤の含量を多くすれば抵抗が下がり、少なくすれば抵抗が上がる。
イオン導電層8dの実抵抗としては、ほぼ現像ローラの状態での抵抗値の値となる。従って、現像ローラの状態での抵抗値として、5×10〜1×10Ωが好ましい。より好ましくは、1×10〜5×10Ω、更には1×10〜5×10Ω、特には1×10〜5×10Ωである。イオン導電層8dに上記のような抵抗を持たせるには、イオン導電層8d中のイオン導電剤の含量を調節することにより、実施できる。即ち、イオン導電層8d中のイオン導電剤の含量を多くすれば抵抗が下がり、少なくすれば抵抗が上がる。
上記、現像ローラ8の抵抗の測定として、以下の方法で測定することができる。25℃/55%RHの環境下において、直径20mmのアルミ円筒導体に上方向から現像ローラを当接させる。そのとき、現像ローラ両端には、それぞれ500gの加重としておもりを乗せる。同時に、アルミ円筒導体への侵入量を50μmにするため(現像ローラとアルミ円筒導体との当接領域を一定にするため)に、現像ローラの両端部に現像ローラの外径よりも100μm外径が小さい円筒形状をした侵入量保持部材をはめ込む。そして、現像ローラに電流計及び高圧電源を接続して、電圧を印加する。上記状態で、アルミ円筒導体を約50mm/secで回転させると、現像ローラはアルミ円筒導体により従動回転され、この状態において、電圧を印加し、上記電流計の測定値から抵抗値を算出する。本発明における抵抗値測定における印加電圧は、電子導電層の抵抗測定では30Vとし、現像ローラ全体の抵抗測定においては100Vの電圧を印加した。電子導電層8cの測定においては、抵抗値が低いため印加電圧が30Vより大きい場合にはオーバーレンジになりやすいためである。また、現像ローラ8全体の測定では、電子導電層8cより抵抗値が高いため電圧の低い部分での抵抗の変化が大きく、100V程度以上となると抵抗値の変化量が少なくなるためである。
次に、本発明の現像ローラの製造方法について、実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
内面に千鳥状の凹凸面を有する金型の中心部に、外周に接着及び導電性を確保する接着剤を塗布した導電性芯金8bを配設し、この金型内に導電性付与物質としてのカーボンブラック30重量部をシリコーンゴム120重量部に分散させた液状導電性ゴムを注入し、熱及び圧力を加えて加硫させ、表面に千鳥状の突部を有する電子導電層8cを備えた弾性ゴムローラ60度(AskerC)を作製する。このようにして形成された弾性ゴムローラの外周面に、過塩素酸リチウム(イオン導電剤)0.5重量部をシリコーン樹脂液(固形分:10%)100重量部中に分散させたイオン導電液を、ロールコーター法、スプレー法、ディッピング法の如き方法により塗布してイオン導電層8dを形成する。このようにしてイオン導電層8dを塗工後、図4(a)、(b)に示すように、テープ研磨にて電子導電層8cの突部8c1の頭部8c2のイオン導電層8dを研磨し、電子導電層8cの突部8c1の頭部8c2を現像ローラ8の外周面8a上に露出させる。
因みに、頭部8c2は、短径d1=20μm、長径d2=40μmの長円であり、突部8c1の高さH1は、H1=8μm、イオン導電層8dの厚みH2は、H2=4μmであった。また、突部8c1の頭部8c2の間隔D1、D2、D3はそれぞれD1=100μm、D2=50μm、D3=50μmである。外周面8aに占める露出している電子導電層8cの頭部8c2の面積(表面積、又は投影面積)は15%である。突部8c1を除いた電子導電層8cの厚さは2μmである。また、電子導電層の電気抵抗は5×10Ω、現像ローラの電気抵抗は4×10Ωである。
〔実施例2〕
実施例1において、弾性ゴムローラを形成する金型として内面に平滑な凹面を有する金型を使用して、導電性芯金の外周面にカーボンブラック30重量部をシリコーンゴム120重量部に分散させた液状導電性ゴムを注入し、熱及び圧力を加えて加硫させ、円筒状の電子導電層8c3を形成する。このようにして作製された円柱状の弾性ゴムローラ60度(AskerC)の外周面に、カーボンブラック30重量部をシリコーン樹脂(固形分:25%)100重量部中に分散させた電子導電性塗布液を、グラビア印刷法によって、塗布して所定間隔で離間した千鳥状の導電性の突部8c4を形成する。このようにして形成された千鳥状の突部8c4を有する弾性ゴムローラの外周面に、過塩素酸リチウム(イオン導電剤)0.5重量部をシリコーン樹脂液(固形分:10%)100重量部中に分散させたイオン導電液を、ロールコーター法、スプレー法、ディッピング法の如き方法により塗布してイオン導電層8dを形成する。このようにしてイオン導電層8dを塗工後、図5(a)、(b)に示すように、テープ研磨にて電子導電層8cの突部8c4の頭部8c5のイオン導電層8dを研磨し、電子導電層8cの突部8c4の頭部8c5を現像ローラ8の外周面8a上に露出させる。
因みに、頭部8c5は、短径d1=10μm、長径d2=30μmの長円であり、突部8c1の高さH1は、H1=8μm、イオン導電層8dの厚みH2は、H2=4μmであった。また、突部8c4の頭部8c5の間隔D1、D2、D3はそれぞれD1=100μm、D2=50μm、D3=50μmである。外周面8aに占める露出している電子導電層8cの頭部8c2の面積(表面積、又は投影面積)は20%である。突部8c1を除いた電子導電層8cの厚さは2mmである。また、電子導電層の電気抵抗は7×10Ω、現像ローラの電気抵抗は9×10Ωである。
〔実施例3〕
実施例1において、弾性ゴムローラを形成する金型として内面に格子状の凹凸面を有する金型を使用して、導電性芯金の外周面にカーボンブラック30重量部をシリコーンゴム120重量部中に分散させた格子状の凹凸面8c6を有する電子導電層8cを形成する。このようにして作製された弾性ゴムローラ60度(AskerC)の外周面に、過塩素酸リチウム(イオン導電剤)1重量部をシリコーン樹脂液(固形分:20%)100重量中に分散させたイオン導電液を、ロールコーター法、スプレー法、ディッピング法の如き方法により塗布してイオン導電層8dを形成する。このようにしてイオン導電層8dを形成後、図65(a)、(b)に示すように、テープ研磨にて電子導電層8cの格子状の突部8c1の頭部8c2のイオン導電層8dを研磨し、電子導電層8cの格子状の突部8c1の頭部8c2を現像ローラ8の外周面8a上に露出させる。
因みに、格子状の頭部8c2の幅d3は、d3=15μm、であり、突部8c1の高さH1は、H1=7μm、イオン導電層8dの厚みH2は、H2=5μmであった。また、突部8c1の頭部8c2の間隔D4、D5はそれぞれD4=35μm、D5=70μmである。外周面8aに占める露出している電子導電層8cの頭部8c2の面積(表面積、又は投影面積)は30%である。突部8c1を除いた電子導電層8cの厚さは2mmである。また、電子導電層の電気抵抗は3×10Ω、現像ローラの電気抵抗は2×10Ωである。
〔比較例1〕
実施例2で調製された円柱状の弾性ゴムローラの外周面全面に、一様の厚みで粗さ付与粒子とカーボンブラックとをシリコーン樹脂中に分散させた電子導電性塗布液を塗布して形成された電子導電層を有する現像ローラを調製した。
〔比較例2〕
実施例2で調製された円柱状の弾性ゴムローラの外周面全面に、一様の厚みで粗さ付与粒子と過塩素酸リチウム(イオン導電剤)をシリコーン樹脂液中に分散させたイオン導電液を塗布して形成されたイオン導電層8dを有する現像ローラを調製した。
リコー社製複写機SP S310(現像ローラの感光体に対する当接圧:24g/cm)に各実施例及び比較例で調製された現像ローラを用いて、低温低湿環境(10℃/15%RH)(LL環境)下において、画像をプリントし、連続印字時おける現像ローラ上のトナー量増加に伴う画像ムラ及び12時間放置後における画像ムラを調べた。また、前記画像形成装置に各実施例及び比較例で調製された現像ローラを用いて、高温高湿環境(32℃/85%RH)(HH環境)下において、間欠ジョブにて画像をプリントし、地肌カブリ及びベタ画像追従性を調べた。これらの結果を表1に示す。なお、表中の、○は未発生、△は、発生するが問題ないレベル、×は発生を意味する。

Figure 2011059235
上記結果から明らかなように、比較例1で示すように、電子導電層のみを有する現像ローラを使用した場合には、LL環境下において、現像ローラ上のトナー量増加に伴う画像濃度ムラが発生したり、休止保管後の画像ムラが発生する。また、比較例2で示すように、電子導電層の外周面に一様厚みのイオン導電層を形成した現像ローラを使用した場合には、HH環境下において、地肌カブリが発生したり、ベタ画像追従不良が発生したりする問題を招く。
これに対して、本発明による各実施例で調製された現像ローラを使用した場合には、LL環境下における現像ローラ上のトナー量増加に伴う画像濃度ムラや休止保管後の画像ムラの発生が抑制され、しかもHH環境下において、地肌カブリの発生が抑制され、ベタ画像追従性が良好となる。
(図1〜図6において)
1 感光体
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
6a クリーニングブレード
7 定着装置
7a 加熱ローラ
7b 加圧ローラ
8 現像ローラ
8a 外周面
8b 導電性芯金
8c 電子導電層
8c1、8c4 突部
8c2、8c5 頭部
8c6 凹凸面
8d イオン導電層
9 供給ローラ
10 現像ブレード
11 攪拌部材
12 現像バイアス電源
20 プロセスカートリッジ
L 露光
P 転写紙
T トナー
(図7において)
100 感光体
101 帯電ローラ
102 露光器
103 現像装置
104 転写ローラ
105 クリーニング装置
106 定着装置
107 現像ローラ
108 供給ローラ
109 攪伴部材
110 現像ブレード
L 露光
P 転写紙
T トナー
特公平2−26224号公報 特開平3−261978号公報 特許第3070339号公報 特開2001−147583号公報

Claims (10)

  1. 導電性芯金上に、少なくとも電子導電剤を含有する弾性体によって構成され、外周面に所定間隔で径方向に形成される突部を有する電子導電層と、該電子導電層上にイオン導電剤を含有する樹脂バインダーによって構成されるイオン導電層とを有し、かつ、該イオン導電層の表面に、該電子導電層の突部の頭部が所定間隔で露出されていることを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記電子導電層は、1×10〜1×10Ωの電気抵抗を有し、前記現像ローラの電気抵抗が5×10〜1×10Ωとなるように、前記イオン導電層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  3. 前記イオン導電層は、3μm〜50μmの厚みで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
  4. 前記電子導電層の突部の頭部は、前記現像ローラの外周面の前記イオン導電層の表面に、点状又は格子状に所定間隔で露出されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラ。
  5. 前記電子導電層の突部の頭部は、当該電子導電層の外周面に所定間隔で突出する突部を有し、当該突部上に前記イオン導電層を形成し、当該イオン導電層の表面を研摩して点状又は格子状に露出されていることを特徴とする請求項4に記載の現像ローラ。
  6. 前記電子導電層の突部は、前記導電性芯金上に導電性付与物質を含有する弾性体で一体成型によって形成されることを特徴とする請求項5記載の現像ローラ。
  7. 前記電子導電層の突部は、前記導電性芯金上に導電性付与物質を含有する弾性体で一体成型された円柱状成型体の外周表面に、導電性付与物質を含む電子導電性液を所定間隔で塗布して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の現像ローラ。
  8. 一成分系現像剤を担持して、像担持体上に形成された静電潜像に対して前記一成分系現像剤を供給する現像ローラを備えた現像装置であって、
    前記現像ローラは、請求項1〜7のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とする現像装置。
  9. 静電潜像を担持するための像担持体と、当該像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、当該帯電装置によって帯電された像担持体表面に静電潜像を形成させる静電潜像形成装置と、一成分系現像剤を前記静電潜像に当接させて現像し、可視像を形成する現像装置とを備えた画像形成装置であって、
    前記現像装置は、請求項8に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 静電潜像を担持するための像担持体と、少なくとも一成分系現像剤を前記静電潜像に当接させて現像し可視像を形成する現像装置とを一体に連結し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、
    前記現像装置は、請求項8に記載の現像装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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