JP2005010272A - 現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境対応性に優れ、現像装置寿命まで安定してはき寄せ画像という現象を解決する。
【解決手段】感光ドラム1と現像ローラ2の対向部において現像剤が飛翔する領域を規制する飛翔現像剤規制部材5を有し、この飛翔現像剤規制部材5は、絶縁性もしくは電気的にフロートの部材である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体と現像剤担持体との間の対向部において、両者の間に振動電界を形成し、現像剤担持体から像担持体へ現像剤を飛翔させて現像を行なう現像装置に関するものであり、この現像装置は、非磁性一成分現像剤を用いるのに適しており、電子写真方式、静電記録方式を利用した画像形成装置に好ましく用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザビームプリンタや、複写機としては図14に示したような電子写真法を用いた画像形成装置が提案されている。これらの基本動作について以下に説明する。
【0003】
像担持体としての通常ドラム状とされる電子写真感光体(以下感光ドラムと示す)11は、一次帯電器12にて一様に帯電される。次に外部装置より入力された画像情報に対応して露光装置13より感光ドラム11上に光照射を行い、静電潜像が形成される。この感光ドラム11上の静電潜像は、現像装置60において、一次帯電器12の印加電圧と同極性の摩擦帯電極性を有する現像剤(以下トナーと示す)Tにより可視像すなわちトナー像とされる。前記トナー像は転写帯電器14にて転写材Qに転写される。転写材Qは感光体11より分離され、続いて定着装置16に搬送されて、定着後に永久像となる。また、転写帯電器14で転写されずに残った感光体ドラム11上の現像剤Tは、クリーニング装置15にて除去され、感光ドラム11は次の画像形成プロセスに供される。
【0004】
トナーTは負帯電性であり、かつイエロー・マゼンタ・シアン・ブラック各色いずれかの顔料を含有した負帯電性非磁性一成分トナーである。攪拌部材64については、各種形状に加工された板状もしくはスクリュー等からなるトナー第1撹拌部材64、トナー第2撹拌部材65が図中矢印の方向に回転して存在しており、トナー収納部中のトナーTを現像剤担持体としての現像ローラ61(以下現像ローラと示す)へ搬送している。ここで撹拌部材は2個である必要はなく、各種現像器構成にあわせて、現像容器端部から現像剤担持体近傍までトナーを搬送することが出来れば撹拌部材の個数は問わない。
【0005】
図中66は現像容器仕切り板であり、常に一定量のトナーを現像ローラ61近傍の現像剤供給剥ぎ取りローラ62上に供給すべく仕切り板の高さは適正化されている。
【0006】
非磁性一成分現像法においては、磁力によるトナー供給が不可能となるため、現像ローラ61にはウレタンスポンジ製の現像剤供給剥ぎ取りローラ62が当接されている。現像剤供給剥ぎ取りローラ62は、現像ローラ61とニップ部でカウンタ方向に回転することでトナーTを現像ローラ61上に供給すると同時に、感光ドラム対向位置を通過しても現像されなかった現像ローラ61上のトナーを剥ぎ取っている。
【0007】
現像ローラ61には、トナー量規制部材として規制ブレード63が当接されており、現像ローラ61上のトナーを規制してトナー薄層を形成し、現像領域(ドラム対向位置)に搬送されるトナー量を規定している。現像領域に搬送されるトナー量は、現像ローラ61上に接触する規制ブレード63の当接圧や当接長さ等により決定される。
【0008】
規制ブレード63は、厚さ数百μmのリン青銅・ステンレス等の金属薄板上に接着もしくは溶着されており、金属薄板の弾性によって規制ブレード63は均一に現像ローラ61に当接されているチップブレードである。このとき金属薄板の材質、厚さ、侵入量、設定角によって規制ブレード63の当接条件が決定される。
【0009】
また、上記現像ローラは現像領域Aで上記感光ドラム表面と所定の間隔(以下SDギャップと呼ぶ)をおいて対向し、バイアスを印加することで振動電界を形成している。
【0010】
上記の構成において所望の帯電量と所望の層厚で現像ローラ表面に付着して現像領域70に搬送されてきてトナーは、上記交流電界によって現像ローラ表面に付着したトナーTが現像ローラ61と感光ドラム11との間で往復運動を行うことで感光ドラム表面に形成された静電潜像を可視化する。
【0011】
上記振動電界によって現像を行う現像装置において、はき寄せと呼ばれる画像不良が発生する問題が知られている。このはき寄せによる問題を解決するものが例えば特許文献1で知られている。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−22185号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以下に図15を用いて、はき寄せ現象を説明する。図15は感光ドラム11と現像ローラ61を長手方向から観測したモデル図である。
【0014】
はき寄せとは、図中Hのように画像後端部にトナーが多く集まる現象である。このようなトナー像が形成されると、画像に濃度が濃くなった部分が見られる画像欠陥を引き起こしてしまうのである。
【0015】
図15のように感光ドラム11と現像ローラ61の間にACバイアスを印加すると、樽型の電界が生じる。すると、現像ローラ表面に付着しているトナーは電界によって形成される電気力線に沿って、感光ドラム11と現像ローラ61の間を往復運動するため、感光ドラム11と現像ローラ61の最近接点Sよりも外側に向かって移動する。つまり、ACバイアスを印加すると、現像領域内のトナーT1は常に現像領域外方向に移動する速度成分を持つようになる。
【0016】
次に、感光ドラム11と現像ローラ61が図中矢印方向に回転し、潜像が作られている場合、つまり、実際の現像中の場合について説明する。図中−100Vの位置が潜像部分(トナーが付着することになる明部電位)であり、トナー像を形成する領域であり、−500Vは感光ドラムの基準電位(トナーが付着しないことになる暗部電位)であり、トナー像が形成されない領域である。潜像部分が現像領域内に達したとき、現像ローラ上のトナーは潜像部分に付着していくが、上記したように飛翔トナーT1には現像領域外方向に移動する速度成分があるため、潜像部分の上流側へと移動する。また、‐100Vと‐500Vの境目においては、‐500Vから‐100Vに向かう電界が生じている。それにより、潜像部分の上流側へと移動してきたトナーT1は、この境目で止まってしまう。そのため、潜像部分の上流及び中央部よりも後端部のトナー量が多くなってしまう。このよう、画像後端部にてトナー量が多くなる、トナーのはき寄せHが形成される。
【0017】
従来、はき寄せ画像を低減させる方法として、感光ドラムと現像ローラの間に電極部材からなる板状部材を設けたものが提案されている。(特許文献1)。しかしながら、この方法においてもはき寄せを防止するのに十分ではなかった。特に非磁性一成分現像剤を用いた現像装置においては、はき寄せ画像が発生してしまう場合がある。
【0018】
本発明の目的は、簡易な方法で且つ環境対応性に優れ、現像装置寿命まで安定して上記問題点を解決する現像装置を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、はき寄せによる画像不良を防止する現像装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、像担持体に対向し、現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有し、前記像担持体と前記現像剤担持体との間の対向部において、前記像担持体と前記現像剤担持体との間に振動電界を形成し、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を飛翔させて前記像担持体上に形成された静電像を現像する現像装置において、前記対向部において現像剤が飛翔する領域を規制する飛翔現像剤規制部材を有し、この飛翔現像剤規制部材は、絶縁性もしくは電気的にフロートの部材であることを特徴とする現像装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施例1)
本実施例における現像装置を図1に示す。図1に示す現像装置100は、非磁性一成分非接触現像方式の現像器に本発明を適用したものである。現像装置以外の画像形成装置の構成については、図14に示した画像形成装置を適用可能であるので、説明を省略する。以下現像装置100について詳細に説明する。
【0023】
図1において、像担持体としての感光ドラム1と、現像剤担持体としての現像ローラ(現像スリーブ)2と、現像剤供給部材としての現像剤供給剥ぎ取りローラ3と、トナー量規制部材4と、現像剤が飛翔する領域を規制する飛翔現像剤規制部材としての飛翔現像剤制御部材5と、絶縁性の非磁性一成分現像剤であるトナーTと、板状のトナー攪拌部材6が存在する。
【0024】
現像装置内の各部材について説明する。
【0025】
感光ドラム1として、φ30mmのアルミニウム素管表面に、OPC等の感光材料を塗工して構成されている部材を用いた。現像ローラ2として、φ16mmのアルミニウム素管表面に、カーボン、グラファイトを分散したフェノール樹脂溶液をスプレー塗工した部材を用いた。現像ローラ両端部にはSD(スリーブ−ドラム)コロを設置し、感光ドラム表面に突き当てることで、SD(スリーブ−ドラム)ギャップを保つ。SDギャップとして300μmとした。現像剤供給剥ぎ取りローラ3として、φ5の金属芯金に厚さ4.5mmのウレタンフォームを外周に形成した部材を用いた。トナー規制部材4として厚さ0.1mmのリン青銅板を用いた。
【0026】
現像装置100の動作について説明する。
【0027】
トナーTは負帯電性であり、かつイエロー・マゼンタ・シアン・ブラック各色いずれかの顔料を含有した負帯電性非磁性一成分トナーである。トナー撹拌部材6が図中矢印の方向に回転できるように配置し、トナー収納部中のトナーTを現像ローラ2へ搬送している。図中7は現像容器仕切り板であり、常に一定量のトナーを現像ローラ2近傍の現像剤供給剥ぎ取りローラ3上に供給すべく仕切り板の高さは適正化されている。
【0028】
現像剤供給剥ぎ取りローラ3は、現像ローラ2に当接されており、ニップ部でカウンタ方向に回転することでトナーTを現像ローラ2上に供給すると同時に、感光ドラム1対向位置を通過しても現像されなかった現像ローラ2上のトナーを剥ぎ取っている。
【0029】
現像ローラ2には、トナー量規制部材として規制ブレード4が当接されており、現像ローラ2上のトナーを規制してトナー薄層を形成し、現像領域に搬送されるトナー量を規定すると同時に、トナーを帯電させている。
【0030】
上記の構成において所望の帯電量と所望の層厚で現像ローラ表面に付着して現像領域に搬送されてきてトナーは、現像ローラに印加される現像バイアスによって現像ローラ表面に付着したトナーが現像ローラと感光ドラムとの間で往復運動を行うことで感光ドラム表面に形成された静電潜像を可視化する。現像バイアスとしては、感光ドラムと現像ローラとの間に振動電界が形成されるような、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が用いられる。
【0031】
現像装置100における各設定条件を説明する。
【0032】
感光ドラム1は図中の矢印方向に回転し、現像ローラ2は図中の矢印方向に回転する。現像バイアスとして、交流ピーク間電圧2kV、交流周波数3kHzの交流バイアスに−260Vの直流バイアスを重畳させたものを用いた。現像ローラ表層のトナーを均一な薄層にするため、現像ローラ2にはトナー規制部材4が現像ローラ2の回転方向に対してカウンタ方向に30g/cmの線圧で現像ローラ2と当接している。
【0033】
飛翔現像剤制御部材5について、図2を用いて説明する。
【0034】
図2は本実施例1の現像装置における現像領域付近の拡大図である。図中5は飛翔現像剤制御部材であり、その先端は現像領域内の感光ドラム1と現像ローラ2との中心を結んだ線上P付近に侵入するように配置して、現像剤の飛翔を制御する。また、飛翔現像剤制御部材5は、感光ドラム1にも現像ローラ2にも非接触に設けられる。飛翔現像剤制御部材51は、例えば絶縁性の樹脂シートである。
【0035】
ここで、現像領域を定義するとともにその測定方法を示す。
【0036】
上記現像装置において、現像ローラ表面に帯電されたトナーが付着している状態で、且つ感光ドラム1及び現像ローラ2を停止した状態で、現像ローラ2上のトナーが充分飛翔可能なACバイアスを印加する。このACバイアスは、通常の現像時に現像ローラ2に印加する現像バイアス電圧で良く、感光ドラム1にベタ黒(全面黒)画像を形成した場合に、その画像濃度がマクベス濃度にて1.4となるような電圧とする。
【0037】
そのとき感光ドラム表面が対向する現像ローラ表面において、トナーTが存在しない、もしくは、周りよりもトナー層の少ない領域と、その領域の両端でトナー層の厚い領域と、が発生する。その様子をモデル化したものを図3に示す。図中a−b間、及びc−d間がトナー層の厚い領域であり、b−c間がトナーの存在しない、もしくは、周りよりもトナー層の少ない領域である。ここで、図3においてa−d間を現像領域とする。現像領域は、1気圧、温度20℃、湿度60%の環境下のもとで、現像ローラ上トナーの平均帯電量を40μC/g、現像ローラ上表面単位面積当たりのトナー付着量を0.5mg/cm、ACバイアス印加時間を1秒として測定する。
【0038】
現像領域の幅は、感光ドラム1及び現像ローラ2の径、SDギャップ、温度、湿度、気圧等の環境、現像バイアス、現像バイアス印加時間、トナーの帯電量及び現像ローラ上トナー付着量によって変化する。
【0039】
本発明者らの実験によれば、感光ドラムの直径30mm、現像ローラの直径を16mm、SDギャップを300μm、現像ローラ上トナーの平均帯電量を40μC/g、現像ローラ上表面単位面積当たりのトナー付着量を0.5mg/cm、として、1気圧、温度20℃、湿度60%の環境下のもと感光ドラムと現像ローラとの間に、周波数2500Hz、交流ピーク間電圧2000VのACバイアスを1秒間印加した場合、現像領域は4mmとなった。
【0040】
本例の飛翔現像剤制御部材5の設置位置について説明する。
【0041】
まず、はき寄せ画像とその評価方法を説明する。
【0042】
はき寄せは、感光ドラム上の潜像電位差が大きいほど目立つ。例えば、ベタ画像の次にベタ白画像が存在するような画像である。図4は本発明の効果を調べる為に用いた画像パターンの一部である。X座標は、感光ドラムの回転軸方向(長手方向)であり、Y座標は、感光ドラムの回転方向(転写材の進行方向)である。
【0043】
縦×横が30mm×20mmのベタ画像の次にベタ白画像が続く画像である。この画像を画像スキャナシステムにてPC(パーソナルコンピュータ)内に取り込み、画像濃度を0から255の数値データに変換する。図5はサンプル画像のY軸に対する濃度分布を示す。
【0044】
次に、はき寄せ部の数値化の測定方法を説明する。
【0045】
図5において、YbからYcの範囲がYaからYbの範囲よりも濃度が大きい。つまり、YbからYcまでがトナーのはき寄せ領域である。図5中の斜線部分がはき寄せ濃度の積分値であり、1ミリメートルあたりの濃度変化をはき寄せ値とした。図5で示したはき寄せデータの場合、はき寄せ領域Yb−Ycの値が4(mm)、はき寄せ濃度の積分値(図中斜線部分)が160(dig)である。したがって、はき寄せ値は160/4=40(dig/mm)となる。
【0046】
本発明者らの実験によれば、はき寄せ値が20(dig/mm)以下になれば、目視によるはき寄せは目立たなくなる。そこで、はき寄せ値20以下を良好画像とした。
【0047】
図6は本実施例における現像領域付近の拡大図である。ポイントaからdの範囲が現像領域でありその長さをL、飛翔現像剤制御部材5の先端位置からポイントdの範囲が、飛翔現像剤制御部材5の現像領域侵入量、即ち、感光ドラム1の移動方向において現像領域の上流側端部位置dから飛翔現像剤規制部材の先端位置までの長さ、でありその長さをNとした。図6において飛翔現像剤制御部材5は、感光ドラム1にも現像ローラ2にも接触しないように設けられている。
【0048】
図7にN/Lの値を変化させたときのはき寄せ値の推移を示す。図7に示すように、N/L値が0.1以上から、はき寄せ値は20以下になり、良好画像を得ることができる。
【0049】
図8にN/Lの値を変化させたときの上記評価画像のべた濃度の推移を示す。濃度の測定には、Macbeth Series1200を用いた。図8に示すように、N/Lの値が0.9以上になると画像濃度が薄くなってしまう。つまり、0.1≦N/L≦0.9になるように飛翔現像剤制御部材5を配置することで、はき寄せを低減できる。
【0050】
また、はき寄せ値10以下(図7でN/Lが0.3以上)になると、目視によるはき寄せが確認できない。また、ベタ濃度(マクベス濃度)1.4以上(図8でN/Lが0.6以下)で、低温、低湿などのトナーが飛翔し難い環境下においても良好が画像を得ることができる。そこで、0.3≦N/L≦0.6になるように飛翔現像剤制御部材5を配置することが望ましい。
【0051】
以下に別の実施例を用いて本発明の効果を説明する。
【0052】
(実施例2)
本実施例では、飛翔現像剤制御部材5の先端を現像ローラ2上に付着するトナーTと接触させて設けた。その他の構成については実施例1と同様である。この構成においてもある程度、はき寄せ画像防止に効果が得られる。
【0053】
しかしながら、実施例2において、現像ローラ2上のトナー層に飛翔現像剤制御部材5が現像領域内で接触している為、現像ローラ上のトナーコート状態を乱し易い。特に、本実施例のような一成分現像方式においては、このトナーコートの乱れが画像に出てきやすく、画像欠陥が生じ易い。また、画像形成動作を繰り返しおこなうと、飛翔現像剤制御部材5の感光ドラム側面上に飛翔したトナーが回り込んでしまう。すると、回り込んだトナーが感光ドラム1と飛翔現像剤制御部材5の間で往復運動をおこなうため、はき寄せ画像が生じてしまう。また、潜像領域以外の感光ドラム上にトナーが付着するかぶりと呼ばれる画像欠陥が生じたりする。
【0054】
それに対し実施例1の現像装置は、現像ローラ上のトナー層に触れることなく飛翔現像剤制御部材を設置してある為、実施例2に比べて上記した画像欠陥を発生させること無く、はき寄せ画像を防止するために有利となる。
【0055】
(比較例1)
比較例1の現像装置は、特開平8−22185号公報に記載された二成分現像剤を用いた現像装置であり、制御電極板(飛翔現像剤制御部材)の電極部に電圧が印加されている。現像スリーブには直流成分に交流成分を重畳したバイアス電圧が印加され、制御電極板の電極部には直流成分のみのバイアス電圧が印加される。これによって、電極部と現像スリーブとの間に第1の振動電界が形成され、感光体と現像スリーブとの間に第2の振動電界が形成される。比較例1における現像装置のその他の構成及び動作については説明を省略する。
【0056】
図9に比較例1の現像装置における感光ドラム上におけるベタ黒画像のトナー付着量と制御電極板先端部の位置の関係と、実施例1の一成分現像装置における感光ドラム上におけるベタ黒画像のトナー付着量と飛翔現像剤制御部材先端位置の関係と、を示した。なお、中心とは、感光ドラムと現像ローラとの最近接位置であり、横軸のプラス側は、最近接位置よりもドラム回転方向上流側、マイナス側は、最近接位置よりもドラム回転方向下流側である。
【0057】
図9に示すように、比較例1では、制御電極板先端部の位置が中心から3mm付近でトナー付着量が減少し始め、トナー付着量が約20%から30%減少した範囲で、はき寄せが良好な範囲となった。なお、はき寄せが良好な範囲のときの制御電極板先端部の位置範囲は中心から±1mmであった。それに対し、本発明(実施例1)の場合、トナー付着量が減少していない位置(中心から3mm)からはき寄せが良好であり、飛翔現像剤制御先端位置を中心から−1mm付近からトナー付着量が減少し始めた。
【0058】
比較例1では、電極部材と現像ローラとの間に振動電界が形成されている。そのため、制御電極板の感光ドラム側面上にトナーが付着し、制御電極板先端部の位置を中心近くにまで侵入させ、感光ドラムに付着するトナー量を減らすことで、初めて、はき寄せ画像を低減できる。それに対して、本発明は、はき寄せ部を形成しているトナーを防止している為、感光ドラムに付着するトナー量を変化させない領域においてもはき寄せを低減できる。
【0059】
また、比較例1では、電極にバイアスを印加している為、低気圧環境下で、その電極部材を介して感光ドラムと現像ローラとの間で、放電現象が発生し、画像欠陥が生じてしまった。具体的には、気圧70kPaにおいてリーク電界強度は3.2V/μmであった。それに対して、本発明の場合、気圧70kPaにおいてリーク電界強度は5.5V/μmであった。
【0060】
さらに、飛翔現像剤制御部材に電極を設けて給電を行う構成は電極と現像ローラ間に強い静電力が働くようになり飛翔現像剤制御部材の振動と共に現像音の増加が大きく、感光ドラムとの当接部や現像ローラとの当接部でビビリが発生しやすい。ビビリが発生すると飛翔現像剤制御部材の感光ドラムと対向する面上に現像剤が回り込み、はき寄せ画像防止効果が減少するため好ましくない。このため、本実施例1のように飛翔現像剤制御部材には電極を設けない、もしくは電極があっても給電せず、フロートにされている構成がより好ましい。
【0061】
(実施例3)
図10は実施例3における現像装置の概略構成図を示す。
【0062】
構成及び動作について、実施例1と同様であるものに対しては同符号を用い、その説明を省略する。
【0063】
実施例3の特徴として、飛翔現像剤制御部材51は現像領域内の現像ローラ2上トナーコート層に接触することなく配置されている。また、飛翔現像剤制御部材51は現像領域内で感光ドラム1に接触している。
【0064】
以下に別の実施例を用いて本発明の効果を説明する。
【0065】
(実施例4)
図11は実施例4における現像付近の拡大図である。図11に示すように飛翔現像剤制御部材52の先端が現像ローラ2上に付着するトナーTと接触していて、感光ドラム1には接触していない。その他は実施例1と同様である。
【0066】
実施例4において、現像ローラ上のトナー層に飛翔現像剤制御部材が現像領域内で接触している為、実施例3に比べて現像ローラ上のトナーコート状態を乱し易くなる。特に一成分現像方式においては、このトナーコートの乱れが画像に出てきてしまう画像欠陥が生じてしまう。また、画像形成動作を繰り返しおこなうと、飛翔現像剤制御部材52の感光ドラム側面上に飛翔したトナーが回り込んでしまう。すると、回り込んだトナーが感光ドラム1と飛翔現像剤制御部材52の間で往復運動をおこなうため、実施例3に比べてはき寄せ画像が生じやすくなる。また、潜像領域以外の感光ドラム上にトナーが付着するかぶりと呼ばれる画像欠陥が生じたりする。
【0067】
それに対し実施例3の現像装置は、現像ローラ上のトナー層に触れることなく飛翔現像剤制御部材を設置してある為、実施例4に比べて上記した画像欠陥を発生させること無く、はき寄せ画像を防止することが可能となる。
【0068】
(実施例5)
図12は実施例5における現像装置の概略構成図を示す。
【0069】
構成及び動作について、実施例1と同様であるものに対しては同符号を用い、その説明を省略する。
【0070】
実施例5の特徴として、飛翔現像剤制御部材53は感光ドラムと現像ローラとの中心を結んだ線上Pで、感光ドラム側に侵入させたポイントAに向かって設置されている。それにより、飛翔現像剤制御部材53は感光ドラム表面に押圧接触される。飛翔現像剤制御部材53として、弾性を有するシート部材として厚さ50μmのPETフィルムを用いた。
【0071】
実施例5の効果を説明する。
【0072】
飛翔現像剤制御部材53はSDギャップ300μmの間に精度良く挿入しなければならない。そこで、弾性を有するシート部材を用い、感光ドラム1に押圧接触させることで、飛翔現像剤制御部材先端位置を希望する位置に精度良く設置することが可能となる。
【0073】
また、感光ドラムと飛翔現像剤制御部材を接触させることで、飛翔現像剤制御部材53の感光ドラム側の面にトナーが付着することを防ぐ。そのため、現像動作を繰り返し行っても、はき寄せ画像を発生させることがない。
【0074】
さらに、飛翔現像剤制御部材53に絶縁性部材を用いたことで、低気圧の環境下においても放電現象による画像欠陥の発生電圧が、飛翔現像剤制御部材が無い場合と同等であった。
【0075】
(実施例6)
図13は実施例6における現像装置の概略構成図を示す。
【0076】
構成及び動作について、実施例1と同様であるものに対しては同符号を用い、その説明を省略する。
【0077】
実施例6の特徴として、図13に示すように導電性部材である電極91を有し、その周囲を絶縁部材92で覆った板状の飛翔現像剤制御部材90を現像領域内に挿入して設置させた。ただし、電極には電気的な接続がないフロート状態で設置する。
【0078】
実施例6においても実施例1と同様な効果を得ることが可能である。
【0079】
以下に上記実施例6の構成で、電極部に給電を行ったときを比較例2として説明する。
【0080】
(比較例2)
比較例2において、上記実施例6の電極部材に直流バイアスを印加する構成であり、その他は実施例6と同様である。
【0081】
比較例2において、振動電界を印加すると、電極部材91と現像ローラ2とで形成する振動電界によって、飛翔現像剤制御部材90の固定端を支点として飛翔現像剤制御部材90自身が振動する。この振動によって、飛翔現像剤制御部材90の先端は感光ドラムと現像ローラに接触してしまう。飛翔現像剤制御部材90の先端が現像ローラ上のトナーに接触及び近接した状態のときに、飛翔現像剤制御部材90の感光ドラム側面上と現像ローラとで形成される電界によって、現像ローラ上のトナーは、積極的に飛翔現像剤制御部材90の感光ドラム対向面側に付着する。そして、付着したトナーは飛翔現像剤制御部材と感光ドラムとの間で形成される電界によって、はき寄せ画像を形成してしまう。
【0082】
ここで、飛翔現像剤制御部材の振動について説明する。
【0083】
一成分現像装置を用いた場合、二成分現像装置等と違い、現像領域内でキャリア等による穂立ちが発生しない。そこで、非接触現像方式を行う場合、一成分現像方式で十分な濃度を確保するために、SDギャップを狭く設定するのが良い。SDギャップは、200μmから400μmが好ましい。また、上記した理由から飛翔現像剤制御部材を現像ローラ上のトナー層に接触させないで挿入させる場合、飛翔現像剤制御部材の厚みはSDギャップに合わせて10μmから300μmが妥当になる。このような飛翔現像剤制御部材を用いたとき、SDギャップにあわせた振動電界中に挿入した場合、上記したように、飛翔現像剤制御部材自身が振動してしまう。
【0084】
本実施例6のように、飛翔現像剤制御部材が絶縁部材もしくは電極を有していても電極部がフロート状態にある場合、振動電界によって振動されていても飛翔現像剤制御部材と現像ローラとで形成する電界が存在しない為、飛翔現像剤制御部材上面部にトナーが回り込んで付着することがほとんどない。したがって、現像動作を繰り返し行ってもはき寄せ画像を防止することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を用いることで、環境対応性に優れ、現像装置寿命まで安定してはき寄せ画像という問題を解決する現像装置を提供することができる。
【0086】
特に、非磁性一成分非接触現像方式においても、弊害画像を出すことなく、且つ、低気圧環境下においても、放電現象の発生を助長することなく、はき寄せ画像を防止することができる。飛翔現像剤規制部材を像担持体に押圧接触させれば、飛翔現像剤規制部材の先端位置を現像領域内に精度良くに設置することができる。また、飛翔現像剤規制部材のトナー汚れを防止できるために、現像動作を繰り返し行ってもはき寄せ画像を発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る現像装置の構成説明図である。
【図2】本発明の実施例1に係る現像領域付近の拡大説明図である。
【図3】本発明に係る現像領域の定義を説明する図である。
【図4】本発明の実施例に係るはき寄せのサンプル画像の説明図である。
【図5】本発明の実施例に係るはき寄せの数値化を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例に係る現像領域を説明するモデル図である。
【図7】本発明の実施例に係るはき寄せ値とN/Lとの関係を示した図である。
【図8】本発明の実施例に係るサンプル画像濃度とN/Lとの関係を示した図である。
【図9】比較例の構成及び本発明に係る制御板先端位置と感光ドラムへのトナー付着量の関係を示す図である。
【図10】他の実施例に係る現像領域付近の拡大説明図である。
【図11】他の実施例に係る現像領域付近の拡大説明図である。
【図12】他の実施例に係る現像領域付近の拡大説明図である。
【図13】他の実施例に係る現像領域付近の拡大説明図である。
【図14】従来の電子写真装置の概略構成図である。
【図15】本発明に係るはき寄せ画像を説明する図である。
【符号の説明】
100 現像装置
1 感光ドラム
2 現像ローラ
3 トナー供給部材
4 トナー規制部材
51 飛翔現像剤制御部材(飛翔現像剤制御部材)
52 飛翔現像剤制御部材の台座部材
53 飛翔現像剤制御部材の台座部材の座面
P 感光ドラムと現像ローラの中心を結んだ線分
T トナー

Claims (10)

  1. 像担持体に対向し、現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有し、前記像担持体と前記現像剤担持体との間の対向部において、前記像担持体と前記現像剤担持体との間に振動電界を形成し、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を飛翔させて前記像担持体上に形成された静電像を現像する現像装置において、
    前記対向部において現像剤が飛翔する領域を規制する飛翔現像剤規制部材を有し、この飛翔現像剤規制部材は、絶縁性もしくは電気的にフロートの部材であることを特徴とする現像装置。
  2. 前記電気的にフロートの部材は、導電性であることを特徴とする請求項1の現像装置。
  3. 前記飛翔現像剤規制部材は、前記像担持体と前記現像剤担持体との現像領域内で、前記現像剤担持体に担持される現像剤から離間して設けられることを特徴とする請求項1又は2の現像装置。
  4. 前記飛翔現像剤規制部材は、前記現像剤担持体に担持される現像剤から離間して設けられることを特徴とする請求項1又は2の現像装置。
  5. 前記飛翔現像剤規制部材は、前記像担持体移動方向において前記対向部の上流側で現像剤が飛翔する領域を規制することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの現像装置。
  6. 前記像担持体と前記現像剤担持体との現像領域の長さをL、前記像担持体移動方向において前記現像領域の上流側端部位置から前記飛翔現像剤規制部材の先端位置の長さをN、とするとき、0.1≦N/L≦0.9であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の現像装置。
  7. 前記像担持体と前記現像剤担持体との現像領域の長さをL、前記像担持体移動方向において前記現像領域の上流側端部位置から前記飛翔現像剤規制部材の先端位置の長さをN、とするとき、0.3≦N/L≦0.6であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の現像装置。
  8. 前記飛翔現像剤規制部材は、前記像担持体表面に押圧接触して設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの現像装置。
  9. 前記飛翔現像剤規制部材は、弾性を備えるシート状の部材であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかの現像装置。
  10. 現像剤は、非磁性一成分現像剤であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの現像装置。
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