JP2001049383A - 缶強度、缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板 - Google Patents
缶強度、缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板Info
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Abstract
り硬質となり缶強度に優れると共に、加工による延性劣
化が小さいためフランジ成形性が良好な極薄容器用鋼板
であり、焼鈍スケジュールフリー化により焼鈍時の生産
性が良好な鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%でN:0.0040〜0.0300%,Al:0.005〜
0.080%を含有し、必要に応じ C≦0.005%,Mn≦1%,更に
Ti≦0.005%, Nb≦0.005%の1種又は2種を含有し、 0.2
%耐力≦430MPa、全伸び: 15〜40%、又は10%の冷間圧
延前後の 0.2%耐力の差が140MPa以上の鋼板であって、
内部摩擦によるQ-1が0.0010以上、又は 5%の冷延加工
に続く200 ℃×1時間の人工時効後の降伏点伸びが 2%
以上である極薄容器用鋼板。
Description
器に利用される、板厚0.4mm以下の缶強度、缶成形性
に優れる極薄軟質鋼板に関するものである。
鋼板については、缶コスト低減のため、素材の薄手化が
求められていいる。この時、薄手化に伴う缶強度の低下
を補うため鋼板自体を高強度化することと、焼鈍工程に
おいて生産効率を阻害するヒートバックルと呼ばれる鋼
板の腰折れ回避のため、焼鈍時には目的とする板厚より
厚い鋼板を通板し、その後再冷延(2CR)を施して目
的とする板厚を得る技術が特公平7−109010号公
報などで開示されている。
CR率の上昇は必然となり、材料の硬質化にともなう延
性劣化が新たな問題となりつつある。代表的には缶胴と
缶底または缶蓋を巻き締める際に、缶胴端部の径を拡げ
る加工(フランジ成形)における割れが問題となる。
ては、固溶Nによる固溶強化や焼付硬化性(BH)など
を利用した技術が特開平5−345926号公報、特開
平6−ll6682号公報などで開示されている。これ
らの技術では缶強度や2ピース缶製造で必要とされる深
絞り性および低異方性は確保できるが、時効性が大きい
ことによる加工時のストレッチャーストレインによる表
面品位劣化の懸念や、BHを付与するための高温熱処理
が不可欠となるばかりでなく、フランジ成形性を確保す
る点でも問題となることがある。
どの特性のみに注目し、缶加工による材質変化に注目し
ていないため、缶成形条件によっては缶成形途中で延性
不足になり破断したり、成形後の缶強度が不足するなど
の問題があった。
の強度、延性が同一であるとしても、鋼板の加工硬化特
性を好ましく制御することで、缶成形後における缶強度
や缶の一部の成形性が良好になるような鋼板を提供する
ことである。
R率が10%以下で製造される板厚0.4mm以下の鋼板
の成分、熱延条件および焼鈍条件と材質、特に缶成形後
の材質との関係を検討するうち、成分、特にNおよびA
l量を特定範囲に限定した鋼板では素材特性および缶成
形条件がほぼ同一でも缶成形後の缶強度やフランジ成形
性などの特性が大きく異なる場合があることを知見し
た。缶成形性との兼ね合いで素材は軟質であり、成形後
は硬質高延性となる条件についてさらなる検討を加える
うち、極低炭素鋼でNを通常より高濃度で含有し、特定
の0.2%耐力、全伸び、加工硬化を示す鋼板では、素
材が軟質であるにもかかわらず缶強度が高く、また、缶
加工を受けたフランジ部の成形性や缶胴部のエキスパン
ド加工性が良好となることを知見した。
て、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)重量%で、N:0.0040〜0.0300%、
Al:0.005〜0.080%を含有し、JIS5号
試験片による引張試験における0.2%耐力:430M
P以下、全伸び:15〜40%の鋼板であって、内部摩
擦によるQ-1が0.0010以上であることを特徴とす
る板厚0.4mm以下の缶強度、缶成形性に優れる容器用
極薄軟質鋼板。 (2)重量%で、N:0.0040〜0.0300%、
Al:0.005〜0.080%を含有し、JIS5号
試験片による引張試験における0.2%耐力:430M
Pa以下、全伸び:15〜40%の鋼板であって、5%
の冷延加工に続く200℃1時間の人工時効後のJIS
5号試験片による引張試験における降伏点伸びが2%以
上であることを特徴とする板厚0.4mm以下の缶強度、
缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板。 (3)重量%で、N:0.0040〜0.0300%、
Al:0.005〜0.080%を含有し、10%の冷
間圧延前後のJ1S5号試験片による引張試験における
0.2%耐力の差が140MPa以上の鋼板であって、
内部摩擦によるQ -1が0.0010以上であることを特
徴とする板厚0.4mm以下の缶強度、缶成形性に優れる
容器用極薄軟質鋼板。 (4)重量%で、N:0.0040〜0.0300%、
Al:0.005〜0.080%を含有し、10%の冷
間圧延前後のJlS5号試験片による引張試験における
0.2%耐力の差が140MPa以上の鋼板であって、
5%の冷延加工に続く200℃1時間の人工時効後のJ
IS5号試験片による引張試験における降伏点伸びが2
%以上であることを特徴とする板厚0.4mm以下の缶強
度、缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板。上記鋼板に
は、重量%で、C:0.005%以下、Mn:1.0%
以下をさらに含有させることができる。またさらに、T
i:0.005%以下、Nb:0.005%以下の1種
または2種を含有させることができる。
まず、成分について説明する。成分はすべて重量%であ
る。Nは本発明の重要規定要件である。0.0040%
未満では本発明の効果は得られない。望ましくは0.0
060%以上である。また上限は鋳造欠陥の可能性や窒
化鉄形成による加工性劣化から0.030%とする。
5%以上含有される。N含有量が高い本発明鋼ではAl
の含有量が高くなると、鋼中に微細に析出するAlNの
析出量が増大し再結晶を抑制するため焼鈍時に高温通板
が必要となり、通板性を著しく劣化させるため、0.0
80%を上限とする。好ましい範囲は0.010〜0.
040%である。
が、0.005%以下とすることで焼鈍条件や熱延条件
の影響をより小さくすることができる。望ましくは0.
003%以下とすることが好ましい。Mnも本発明では
特に限定する必要はないが、過度な添加は材料を硬質化
させ延性を劣化させるため、1.0%以下、好ましくは
0.50%以下とする。
値の特別な向上などの必要がない場合はあえて添加する
必要はない。添加により再結晶温度が上昇し高温焼鈍が
必要となり焼鈍通板性が劣化するので、それぞれ0.0
05%以下の1種または2種、好ましくは0.003%
以下とすることが望ましい。
P,S等は一般に容器用に用いられる鋼板に含有される
程度に含有される。その範囲はSi:0.001〜0.
10%、P:0.002〜0.040%、S:0.00
2〜0.040%である。その他、製鋼工程でのスクラ
ップ使用などで混入する各種の不純物元素も、通常の鋼
板に含有される程度に含有することは本発明の効果を損
なうものではない。
MPa以下、鋼板の全伸びは15%以上に限定する。こ
れは、素材がこの程度以上に高強度化された鋼板であれ
ば本発明によらなくとも缶成形後の缶強度は必然的に高
くなるためである。また、全伸びを40%以下と限定し
た理由は、本発明鋼で全伸びをこれ以上に高くすること
は含有するN量との兼ね合いで本発明の効果を得ること
が困難になるためである。
するに固溶C,Nが大きな役割を果たしていると考えら
れる。この固溶C,Nの量の測定法としては内部摩擦に
よるものがよく知られており、本発明においてもこの内
部摩擦による測定値を用いる。内部摩擦では鋼板に強制
的に与えられた歪みの減衰挙動が鋼板温度の関係で測定
され、その減衰曲線から固溶C量および固溶N量が換算
される。しかし現実の測定では両元素による減衰曲線が
重なって測定されるため、正確な換算は困難である。そ
のため本発明においては、内部摩擦で直接的に得られる
値のQ-1により範囲を限定する。
動させる曲げ振動型の内部摩擦測定装置により測定し
た。測定時の振動周波数は試験片板厚、形状や測定装置
への取り付けなどにより多少変動するが、通常60〜1
20Hzである。そして測定温度を0℃から200℃まで
毎分2℃で変化させながら求めた振動の減衰曲線から測
定に伴うバックグラウンドを差し引いたピークの最大値
を、本発明におけるQ-1と定義した。この値は同じ成分
の鋼でも製造条件により大きく変化し、通常の鋼板であ
れば0〜0.01程度の値が得られる。本発明ではこの
値を0.001以上と限定する。
な要件の一つである。加工硬化挙動は一般には引張試験
の応力−歪曲線における加工硬化指数、いわゆるn値で
表される場合が多いが、本発明鋼が対象としているよう
な加工工程において変形方向が変化する缶成形を経た後
の材料強度の指標としては正確さが十分とはいえない。
本発明では加工方向の変化も考慮した加工硬化挙動の指
標として、鋼板に10%の冷間圧延を施す前後のJlS
5号引張試験における0.2%耐力の上昇量を140M
Pa以上と限定する。
径、パス回数、潤滑、温度などの圧延条件によりわずか
に変動するが、本発明では通常の実験室で行うことがで
きる条件、すなわちロール径100〜400mm、パス回
数は1〜5パス、潤滑はパーム油、温度は室温とした場
合の値で評価される。加工硬化挙動がこの範囲に無い場
合は、缶成形後の缶強度が不足し、フランジ成形性が顕
著に劣化する。
の一つである。特定の0.2%耐力、全伸び、加工硬化
挙動を持った鋼板について、5%の冷延加工に続く20
0℃×1時間の人工時効後の降伏点伸びを2%以上とす
ることにより本発明の効果が得られる。
下と限定する。本発明鋼が特に必要とされるのは延性の
劣化がより顕著となる0.2mm以下、さらに効果が発揮
されるのは0.17mm以下の極薄鋼板においてである。
CR条件により変化し、従来鋼と同様に材質調整される
が、木発明の特徴である加工硬化挙動および時効特性を
制御するには、特に2CR率を20%以下とすることが
発明の効果を得るのに有効である。特に2CR率を10
%以下とすればより顕著な効果を得ることができる。
変動が非常に小さいため、焼鈍温度の限定が不要で、焼
鈍後の組織が再結晶していればよい。通常、材質制御に
は焼鈍温度、特に最高到達温度と高温での保定時間の管
理が重要となる。特に焼鈍温度を変化させるには、変化
中および変化させた後の炉温が安定するまで通板が停滞
または無駄な板を通板する必要がある。このためユーザ
ーの要求に応じ様々な板厚および材質の鋼板を製造する
に当たり、焼鈍炉の温度の変動を極力小さくし通板速度
を一定として製造できるような通板スケジュールを組む
必要が生じるが、このための労力は甚大なものがあり、
また生産性を阻害させない完全なスケジュールを組むこ
とは不可能である。本発明鋼では材質に及ぼす焼鈍条件
の影響が非常に小さいため、実質的にスケジュールフリ
ー化が達成できるというメリットも享受できる。
うな固溶強化または焼付硬化を目的として含有させるも
のもあるが、本発明でのN含有量では本発明が対象とす
るJIS5号引張試験における0.2%耐力が430M
Pa以下の鋼板は必ずしも製造できないばかりでなく、
成分に応じた2CRなど製造条件による0.2%耐力、
加工硬化挙動の制御なくしては延性の劣化が著しい。ま
た、特に2CR率が低い場合には時効性が顕著に劣化
し、加工時の表面性状の劣化などの不具合が発生する。
化促進および延性劣化抑止の目的で行われるもので、成
分ならびに0.2%耐力、伸び、Q-1、加工硬化特性な
どを本発明範囲内に限定することで効果を得ることがで
きる。これらの原因は明らかではないが、Nの存在が、
缶加工時の転位を鋼中に分散させ、均一な交絡により加
工硬化を促進すると共に、破断の起点となるボイドを形
成させるような集中的な交絡を回避させ、その後のフラ
ンジ成形時にバウシンガー効果的な挙動により転位の再
配列を起こさせ、破断までの歪みを増大させるためと考
えられる。
によらない。熱延を行う場合のスラブはインゴット法、
連続鋳造法など製造法は限定されず、また、熱延に至る
までの熱履歴にもよらないため、スラブ再加熱法、鋳造
したスラブを再加熱することなく直接熱延するCC−D
R法、さらには粗圧延などを省略した薄スラブ鋳造によ
っても本発明の効果を得ることができる。
0.0300%、Al:0.005〜0.080%を含
有する鋼の焼鈍した後の冷却条件を制御することで得る
ことができる。例えば、焼鈍均熱温度から650℃まで
の冷却速度を100〜200℃/秒、その後650℃か
ら450℃までの冷却速度を50〜100℃/秒、45
0〜200℃までを0.1〜50℃/秒とし、さらに焼
鈍後の2CR率を20%以下とすることによって製造す
ることが可能である。
する3ピース缶用素材として用いる場合には、溶接部が
硬化し、熱影響部が軟化するためフランジ成形時に熱影
響部に歪が集中し、フランジ成形性が鋼板延性のみなら
ず溶接部および熱影響部の特性に影響される場合があ
る。溶接部および熱影響部の硬度制御のためB,Nbな
どが添加される場合があるが、これらの微量元素を添加
しても本発明の効果が失われるものではない。
として使用されるが、表面処理により本発明の効果はな
んら損なわれるものではない。缶用表面処理としては通
常、錫、クロム(ティンフリー)などが施される。ま
た、近年使用されるようになっている有機皮膜を貼った
ラミネート鋼板用の原板としても、本発明の効果を損な
うことなく使用できる。
件で2ピース缶に製缶加工する際のフランジ成形性およ
び製缶加工後の缶強度で評価した。製缶条件は実際の工
程とほぼ同様の条件で、絞り−しごき−塗装相当熱処理
(200℃10分、一部は熱処理なし)−ネック成形−
フランジ成形評価−缶強度(耐圧強度)評価の手順であ
る。表1に示す各成分の鋼について、熱間圧延、冷間圧
延、焼鈍し、焼鈍後650℃までを150℃/秒、65
0〜450℃までを80℃/秒、450〜200℃を3
0℃/秒で冷却した。次いで2CRを施して板厚0.1
8mmの鋼板を製造し、引張試験により材質を測定した。
を表2に示す。成分および素材材質を本発明の範囲内に
制御することで、良好なフランジ成形性および缶強度が
得られていることが確認できる。また本発明鋼では、焼
鈍工程によらず良好なフランジ成形性および缶強度が達
成されており、焼鈍条件による材質の変動も非常に小さ
いことがわかる。
としては軟質なため缶成形性に優れ、缶成形時の加工に
より硬質となるため缶強度に優れるとともに、加工によ
る延性劣化が小さいためフランジ成形性が良好な極薄容
器用鋼板を焼鈍スケジュールフリーで得ることが可能と
なる。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、N:0.0040〜0.03
00%、Al:0.005〜0.080%を含有し、J
IS5号試験片による引張試験における0.2%耐力:
430MP以下、全伸び:15〜40%の鋼板であっ
て、内部摩擦によるQ-1が0.0010以上であること
を特徴とする板厚0.4mm以下の缶強度、缶成形性に優
れる容器用極薄軟質鋼板。 - 【請求項2】 重量%で、N:0.0040〜0.03
00%、Al:0.005〜0.080%を含有し、J
IS5号試験片による引張試験における0.2%耐力:
430MPa以下、全伸び:15〜40%の鋼板であっ
て、5%の冷延加工に続く200℃1時間の人工時効後
のJIS5号試験片による引張試験における降伏点伸び
が2%以上であることを特徴とする板厚0.4mm以下の
缶強度、缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板。 - 【請求項3】 重量%で、N:0.0040〜0.03
00%、Al:0.005〜0.080%を含有し、1
0%の冷間圧延前後のJ1S5号試験片による引張試験
における0.2%耐力の差が140MPa以上の鋼板で
あって、内部摩擦によるQ-1が0.0010以上である
ことを特徴とする板厚0.4mm以下の缶強度、缶成形性
に優れる容器用極薄軟質鋼板。 - 【請求項4】 重量%で、N:0.0040〜0.03
00%、Al:0.005〜0.080%を含有し、1
0%の冷間圧延前後のJlS5号試験片による引張試験
における0.2%耐力の差が140MPa以上の鋼板で
あって、5%の冷延加工に続く200℃1時間の人工時
効後のJIS5号試験片による引張試験における降伏点
伸びが2%以上であることを特徴とする板厚0.4mm以
下の缶強度、缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板。 - 【請求項5】 重量%で、C:0.005%以下、M
n:1.0%以下をさらに含有する請求項1乃至4のい
ずれか1項に記載の板厚0.4mm以下の缶強度、缶成形
性に優れる容器用極薄軟質鋼板。 - 【請求項6】 重量%で、Ti:0.005%以下、N
b:0.005%以下の1種または2種をさらに含有す
る請求項1乃至5のいずれか1項に記載の板厚0.4mm
以下の缶強度、缶成形性に優れる容器用極薄軟質鋼板。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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- 1999-08-17 JP JP23061899A patent/JP3840004B2/ja not_active Expired - Fee Related
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