JP2001046012A - 風味改良剤及びそれを用いた錠菓様組成物 - Google Patents
風味改良剤及びそれを用いた錠菓様組成物Info
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Abstract
焼けつくような刺激味を、簡単且つ効果的にマスキング
することができる風味改良剤及びそれを用いた錠菓様組
成物を提供する。 【解決手段】ヘキサン酸アリルを含有することを特徴と
する、キシリトール含有の糖アルコールもしくはキシリ
トール含有糖アルコールを含む組成物に対する風味改良
剤、及びキシリトール含有の糖アルコール類と非結晶性
糖類とを主体とする錠菓様組成物であって、該錠菓様組
成物中にヘキサン酸アリルを含有する風味改良剤が含有
されていることを特徴とする錠菓様組成物によって達成
される。
Description
の糖アルコール類特有の喉に焼けつくような刺激味を、
簡単且つ効果的にマスキングすることができる風味改良
剤及びそれを用いた錠菓様組成物に関する。
ては、一般に蔗糖が使用されてきたが、近年は、蔗糖に
代わる新しい甘味源として糖アルコールが広く用いられ
るようになってきている。糖アルコールとは、糖類の還
元性末端基に水素を付加してアルコール基としたのもの
であり、その種類によって少しずつ特性が異なるもの
の、概ね抗う蝕性、低カロリー性等の共通した特性を有
していることから、近年の消費者の虫歯予防やダイエッ
トへの関心の高まりに相応して、糖アルコールを甘味源
として用いたチョコレート、飲料等の食品が数多く市場
に出回っている。
や配合量、あるいは添加食品の種類や他原料との配合の
バランスによっては、喉に焼けつくような強い刺激味を
呈することがあるため、特に錠菓のような、糖類を主体
とし、溶解性の早い食品の場合、その刺激が一度に強く
感じられ、多量に配合する場合には、風味設計が大変難
しく、また、多量に喫食しにくいという問題がある。従
って、上記のような食品等では、糖アルコールの配合量
を低減したり、ショ糖等の他の甘味料を併用する等の配
合調整を行わなければならず、糖アルコールを多量に配
合し、その特性を充分に生かした製品を提供することが
できないのが実情であった。
は、例えば糖アルコールを含有する組成物を調製する場
合に、糖アルコールや他の原料の配合量を細かく調整す
ることなく、簡単且つ効果的に、糖アルコールの刺激味
をマスキングすることができる風味改良剤及びそれを用
いた錠菓様組成物について検討した。その結果、ヘキサ
ン酸アリルを含有する風味改良剤を用いると、刺激味の
マスキング効果が明瞭に現れ、特にキシリトール含有の
糖アルコール類を含有する錠菓様組成物の風味を大幅に
改良できることを見いだし、本発明に到達した。
ものであってその目的とするところは、キシリトール含
有の糖アルコール類にヘキサン酸アリルを含有する風味
改良剤を添加するだけで、特有の刺激味を簡単且つ効果
的にマスキングすることができる風味改良剤及びそれを
用いた錠菓様組成物を提供するにある。
酸アリルを含有することを特徴とする、キシリトール含
有の糖アルコールもしくはキシリトール含有糖アルコー
ルを含む組成物に対する風味改良剤によって達成され
る。また、上記の目的は、キシリトール含有の糖アルコ
ール類と非結晶性糖類とを主体とする錠菓様組成物であ
って、該錠菓様組成物中にヘキサン酸アリルを含有する
風味改良剤が含有されていることを特徴とする錠菓様組
成物によって達成される。
風味改良剤におけるヘキサン酸アリルとは、カプロン酸
アリルとも言われ、化学式CH3(CH2)4COOCH2
CH=CH2で表される構造を有する化合物であり、無
色から淡黄色の透明な液体で、水に不溶で、有機溶媒に
可溶である食品添加物の着香料である。
ルデヒド類やアセタール類の化合物を併用してもよい。
例えばアルデヒド類とは、一般に化学式R−CHO(式
中Rはアルキル基を表す)で表される構造を有する化合
物であり、またアセタール類とは、一般に下記化学式1
で表される構造を有する化合物である。本発明では、こ
れらアルデヒド類及びアセタール類の中でも、特に各種
の植物性もしくは動物性原料の香気成分に含まれるか、
もしくは主に食品用合成香料に用いられる化合物が対象
とされ、例えば次のようなものが挙げられる。アルデヒ
ド類としては、例えば脂肪族アルデヒド(アセトアルデ
ヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、
イソパレラルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒ
ド、イソブチルアルデヒド、n−パレラルアルデヒド、
ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナー
ル、ウンデカナール、ドデカナール、2−メチルウンデ
カナール、トリデカナール、テトラデカナール、ヘキサ
デカナール、トランス−2−ヘキセナール、2,6−ノ
ナジエナール等)、フラン系アルデヒド(5−メチル・
フルフラ−ル、α−アミル−β−フリル・アクロレイ
ン)、テルペン系アルデヒド(シトラール、シトロネラ
ール、ヒドロキシシトロネラール、l−ペリラアルデヒ
ド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、リラール、
シネンサール、イソシトラ−ル、ブプリュウラール、フ
ァルネサール等)、芳香族アルデヒド(ベンズアルデヒ
ド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオ
ンアルデヒド、シンナムアルデヒド、α−アミルシンナ
ムアルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、アニ
スアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘリオトロピン、シ
クラメンアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルジヒ
ドロシンナムアルデヒド、バニリン、プルポナール
等)、水素化芳香族アルデヒド(6−メチル−3−シク
ロヘキサン−1−アルデヒド)、その他アルデヒド類
(γ−ヘプチルブチロラクトン、γ−アミルブチロラク
トン、メチルフェニルグリシド酸エチル等)、もしくは
これらを組み合わせた化合物が挙げられる。また、アセ
タール類としては、例えばシトラールジメチルアセター
ル、シトラールジエチルアセタール、ヒドロキシシトロ
ネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒ
ドジメチルアセタール等)、もしくはこれらを組み合わ
せた化合物が挙げられる。
は医薬品等に使用される香料類及び香料用原料、又は食
品や医薬品素材に由来する香気(香味)の源となる成分
からなる。また、本発明の風味改良剤には、ヘキサン酸
アリルが含有されている。その配合量は風味改良剤全体
重量中、好ましくは10〜50重量%(以下「%」と記
す。)、更に好ましくは20〜40%配合することが望
ましい。すなわち、風味改良剤中のヘキサン酸アリルが
10%未満ではキシリトール含有の糖アルコール類の刺
激味を効果的にマスキングすることができない傾向にあ
る。逆に50%よりも多いと、風味改良の対象物におけ
る風味変化が大きくなる傾向にある。更に、上述のヘキ
サン酸アリルと組み合わせて、ヘキサン酸アリル以外の
アルデヒド類や、アセタール類の他に、例えばエステル
類、アルコール類、ケトン類、フェノール類及びその誘
導体、酸類オキサイド類、ラクトン類、窒素化合物、硫
黄化合物等各種の化合物を適宜添加してもよい。
ば精油,エッセンス,乳化香料,粉末香料等が挙げら
れ、これらは、天然物であっても、合成物であってもよ
い。上記香料の中でも例えば、パイナップル香料は、キ
シリトール含有の糖アルコール類をマスキングした際の
香味の質がより良い点で、好適に用いられる。また、食
品や医薬品素材としては、例えば植物性原料(果皮,果
汁,果肉,果実,種子,豆類,穀類,茶葉類やこれらの
エキス類等)もしくは動物性原料(バター,ミルク,チ
ーズ,ヨーグルト,乳清等の各種乳製品等)、もしくは
これらの加工品等が挙げられる。
を総合したものが、本発明の風味改良剤に相当する。
例えば液体状、粉末(顆粒)状、小片状、ゼリー片状等
に成形されていてもよい。
は、キシリトール含有の糖アルコールもしくはキシリト
ール含有糖アルコールを含む組成物である。具体的に
は、これらを含有する食品で、特に溶解性、崩解性が速
く、糖類を主体とする食品、例えば錠菓や錠菓様の食感
を有する後述の錠菓様組成物や、フォンダンや、ハード
キャンディ等に使用すると好適である。
サン酸アリルの総含有量が、上記風味改良対象物の全体
重量中2%以下、好ましくは0.01〜1%配合されて
いることが望ましい。なお、ヘキサン酸アリルの総含有
量が2%を超えると、逆にキシリトール特有の刺激味を
増強させてしまい、風味が悪くなる傾向にある。
に、キシリトールを用いる。更にその他、例えば、グリ
セロール、リビトール、ソルビトール、イジトール、マ
ルチトール、アラビトール、マンニトール、ガラクチト
ール、ラクチトール、キシロビイトール、パラチニッ
ト、エリスリトール、その他の直鎖オリゴ糖アルコー
ル、分岐オリゴ糖アルコール、還元澱粉分解物(還元澱
粉糖化物)等をキシリトールと組み合わせて用いること
ができ、このような糖アルコールに対し、上記した風味
改良剤が好適に風味改良作用を発揮する。特にキシリト
ール50%以上含有する上記対象物に対して、最も好適
に効果を発揮する。
で多量に食品等に配合した場合に、他の糖アルコールに
比べて格別に強い刺激味を呈する。その理由としては、
糖アルコール類の中でも、比較的甘味度が高く口中での
溶解も速いので、各々の持つ刺激味が特に強く感じられ
やすいものと思われる。従って、例えば約3g/個(ガ
ムベース量30%)のチュ−インガムに対し、キシリト
ールは50%配合すると強い刺激味が感じられるため、
従来はこれらの配合量を減らしつつ他の甘味料を併用
し、甘味度と風味の調整を行わざるをえなかったが、上
記の風味改良剤を用いれば、これらの強い刺激味を充分
にマスキングできるので、各々単独で上記限界量以上配
合することができる。
に応じて上述の糖アルコールとともに、各種の糖質甘味
料(蔗糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、オリゴ糖、水飴
等)やアスパルテーム、ステビア等の非糖質甘味料が単
独もしくは複数併用されていてもよい。
は、上述のキシリトールに直接混合してもよく、更にそ
れを顆粒化、錠剤化、液状化する等の加工を施してもよ
い。また、糖アルコールを含有する食品又は医薬品等の
各種組成物に添加してもよい。食品としては、例えば、
菓子(チュ−インガム,キャンディ,錠菓,ゼリー,ヌ
ガー,キャラメル,グミ等)、又はこれらに糖アルコー
ルを含有する糖衣を施したものや、冷菓(アイスクリー
ム,氷菓等)や、飲料(果汁,コーヒー,紅茶,スー
プ,汁粉等(飲料用粉末を含む))、ベーカリー類(パ
ン,クッキー等)、穀粉・澱粉食品類(餅,飯,パスタ
等)、各種粉末食品、ダイエット用サプリメント類、糖
アルコールを含む甘味剤等またはその加工品等が挙げら
れる。また医薬品としては、例えば経口投与される錠
剤,粉薬,液状薬等が挙げられる。
感を有する口解け、崩解性の早い組成物には好適に用い
られる。本発明の錠菓様組成物は、非結晶性糖類と上述
のキシリトール含有糖アルコールとからなる。まず、本
発明の錠菓様組成物に用いられる非結晶性糖類として
は、水飴、還元水飴、カップリングシュガー等が挙げら
れ、これらは単独でも2種以上併用してもよい。特に、
キシリトールを主体(錠菓様組成物全体重量中に50%
以上含有)とした錠菓用組成物とした場合、還元水飴を
用いると、低粘度であるため、喫食時に液状のようなウ
ォーター感を感じることができ好適である。
(グラニュー糖等)、単糖類(ブドウ糖、果糖等)、二
糖類以上の多糖類(乳糖、麦芽糖、キシロース等)、オ
リゴ糖、砂糖の誘導体(パラチノース等)、トレハロー
ス、カップリングシュガー等や、カルシウム、香料、酸
味料、乳化剤、増粘剤、着色料、調味料、果汁、果肉、
乳製品、エキス等の原料を必要に応じて適宜添加しても
よい。
のようにして製造される。まず、前述の錠菓様組成物原
料と風味改良剤とを、ニーダー等を用いて、5〜10分
程度攪拌混合すれば、本発明の錠菓様組成物となる。
特に限定されず、予め糖アルコールに混合した状態で添
加してもよいし、糖アルコールとは別に、各種原料素材
とともに混合添加するか、または組成物の表面に施与し
てもよい。また、混合ないし施与時期は組成物の製造時
であっても喫食時であってもよい。
それを用いた錠菓様組成物はヘキサン酸アリルが含有さ
れているので、糖アルコール特有の刺激味を簡単且つ効
果的にマスキングして、風味を大幅に改良することがで
きる。特に、より強い刺激味が感じられるキシリトール
が多量に含有された食品、特に錠菓様組成物に対して
も、優れたマスキング効果を発揮するので、抗う蝕性、
冷感等、キシリトールの特性を各種食品に充分付与する
ことができる。従って、例えば錠菓様組成物、キャンデ
ィ等の溶解性、崩解性のよい食品等であっても、細かな
配合調整を行うことなく、糖アルコールを多量に含有さ
せることが可能となり、糖アルコールの様々な特性が充
分に生かされた風味良好な製品とすることができる。
明する。 〈実施例1〜4,比較例1、2〉表1に示す各種原料を
ニーダーで混合したのち、ブロック状(11.0mm×
11.0mm×20.0mm大)で重量約2.6g/個
となるよう成形し、キシリトール含有チューインガムを
得た。なお、ヘキサン酸アリル含有の風味改良剤として
は、パイナップル香料を用い、総含有量をそれぞれ0.
01%,0.1%,1.0%,2.0%,0%に調整し
たもの、またストロベリー香料を調整したものを、順に
実施例1〜4、比較例1、2とした。上記キシリトール
含有チューインガムを専門パネラー20名にて喫食し、
キシリトール特有の刺激味について官能評価した結果を
表1に併せて示す。
はいずれも、キシリトール特有の喉に焼けつくような刺
激味がマスキングされ、しかもキシリトールの後切れの
よい甘味が強調されていた。一方比較例1のチューイン
ガムは、ヘキサン酸アリル含有のパイナップル香料を添
加しなかったり、ヘキサン酸アリルを含有していないス
トロベリー香料を添加したので、強い刺激味を呈してお
り、口中で数回噛んだだけで喫食を中断しなければなら
なかった。
す各種原料を鍋で煮詰めたのち、型枠内で冷却して、1
6.0mm×21.0mm×9.0mm大で重量約4g
/個となるよう成形し、キシリトール含有ハードキャン
ディを得た。なお、ヘキサン酸アリル含有の風味改良剤
としては、パイナップル香料を用い、その総含有量をそ
れぞれ0.01%,0.1%,1.0%,2.0%,0
%に調整したもの、また、ストロベリー香料を調整した
ものを、順に実施例5〜8,比較例3、4とした。次
に、上記キシリトール含有ハードキャンディを専門パネ
ラー20名にて喫食し、キシリトール特有の刺激味につ
いて官能評価した結果を表2に併せて示す。
ィはいずれも、キシリトール特有の喉に焼けつくような
刺激味がマスキングされており、好ましい風味に改良さ
れていた。一方比較例のハードキャンディは、パイナッ
プル香料が添加されていなかったり、ヘキサン酸アリル
を含有していないストロベリー香料を添加したので、強
い刺激味を呈しており、口中で極短時間舐めただけで、
喫食を中断しなければならなかった。
すキシリトール、還元水飴及びヘキサン酸アリル含有の
パイナップル香料、その他原料等をニーダーで混合した
後、予め調製したチューインガムの内部に供給し、キシ
リトール含有錠菓様組成物をセンターに含有するチュー
インガムとした。なお、キシリトール含有とチューイン
ガムの割合は約3:7とした。また、形状は、ブロック
状(11.0mm×13.0mm×20mm大)で重量
約3.1g/個となるように成形した。なお、風味改良
剤である、ヘキサン酸アリル主体のパイナップル香料の
総含有量をそれぞれセンター入りチューインガムの全体
重量中0.01%,0.1%,1.0%,2.0%,0
%に調整したもの、また、ストロベリー香料を調整した
ものを、順に実施例9〜12、比較例5、6とした。上
記キシリトール含有錠菓様組成物をセンターに含有する
チューインガムを専門パネラー20名にて喫食し、キシ
リトール特有の刺激味について官能評価した結果を表3
に併せて示す。
はいずれも、キシリトール特有の喉に焼けつくような刺
激味がマスキングされ、しかもキシリトールの後切れの
よい甘味が強調されていた。また、咀嚼時にセンターの
キシリトール含有錠菓様組成物が口中に溶け出した際
に、ウォーター感(水が口中に広がるような感覚)と冷
感とを伴う新しい感覚を味わうことができ好適であっ
た。一方、比較例5、6のチューインガムは、パイナッ
プル香料が添加されていなかったり、ヘキサン酸アリル
を含有していないストロベリー香料を添加したので、強
い刺激味を呈しており、口中で数回噛んだだけで喫食を
中断しなければならなかった。
Claims (2)
- 【請求項1】 ヘキサン酸アリルを含有することを特徴
とする、キシリトール含有の糖アルコールもしくはキシ
リトール含有糖アルコールを含む組成物に対する風味改
良剤。 - 【請求項2】 キシリトール含有の糖アルコール類と非
結晶性糖類とを主体とする錠菓様組成物であって、該錠
菓様組成物中にヘキサン酸アリルを含有する風味改良剤
が含有されていることを特徴とする錠菓様組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22356499A JP4169876B2 (ja) | 1999-08-06 | 1999-08-06 | 刺激味マスキング剤、それを用いた錠菓様組成物及び刺激味マスキング方法 |
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