JP2001040388A - 植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法 - Google Patents

植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コレステロール吸収抑制作用を有する植物ス
テロールを植物ステロール脂肪酸エステルとして高含量
含有し、植物ステロールを高含量含有していてもその結
晶が析出することなく、風味良好な植物ステロール脂肪
酸エステル含有組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 植物ステロールと脂肪酸エステル及び/
又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒とし
てエステル化反応を行うことを特徴とする植物ステロー
ル脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコレステロール吸収
抑制作用を有する植物ステロール脂肪酸エステル含有組
成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】植物ス
テロールには小腸からのコレステロールの吸収抑制作用
があることが古くから知られており、血漿コレステロー
ル濃度低下剤として用いられている。コレステロールの
吸収は、コレステロールが胆汁酸ミセルへ溶解すること
が必要である。しかし、コレステロールの胆汁酸への溶
解量は低く、大部分はエマルジョンの状態にある。
【0003】一方、植物ステロールの場合もコレステロ
ールとほぼ同程度の量が胆汁酸ミセルへ溶解する。従っ
て、コレステロールと植物ステロールが共存すると、コ
レステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量が減少すること
になる。また、植物ステロールの小腸からの吸収率は低
く、小腸内腔に残存するため、コレステロールの胆汁酸
ミセルへの溶解量は制限されたままとなり、コレステロ
ールの吸収が抑制されることなる。従って、食事から摂
取するコレステロールの影響を受けやすいヒトの場合、
植物ステロールは有効な血漿コレステロール低下剤とし
て、臨床的に利用されている。
【0004】この植物ステロールは植物油脂や大豆、小
麦等に含まれており、日常の食事で摂取しているが、そ
の量はごく僅かなものである。コレステロールの吸収を
抑制させるためには、1日約1〜2gの植物ステロール
が必要であり、通常のヒトの食事でそのような多量の植
物ステロールを摂取することは困難である。
【0005】最近、植物ステロールを油脂製品に利用す
るために、油脂への溶解性を高める方法が数多く提案さ
れている。特公昭57−26732号公報には、油脂中
の遊離脂肪酸の含量を高めることによって植物ステロー
ルの溶解性を高める方法が提案されている。この方法で
は、植物ステロールの溶解性は向上するが、油脂中の遊
離脂肪酸含量が高くそのまま製品化するのは難しい。
【0006】特開昭59−147099号公報には、脱
臭スカムを食用油脂に添加し、それを精製して油脂中の
植物ステロール含量を高める方法が、特開昭57−39
736号公報には、食用油脂から有機溶剤を用いて植物
ステロールを抽出し、それを添加した油脂組成物が提案
されているが、これらの方法で調製した油脂中の植物ス
テロールの含量はごく僅かなものであり満足できるもの
ではない。
【0007】特開昭57−206336号公報には、植
物ステロールを0.5 〜30重量%含有した食用油脂
が提案されている。植物ステロールの油脂への溶解性は
僅かであるため単に植物ステロールを油脂に混ぜただけ
では、油脂への溶解性を改良したことにはなっていな
い。
【0008】つまり、常温で植物ステロールの結晶化が
起きることなく、その含量の高い油脂の製造方法は現在
のところ見つかっていない。
【0009】他方、植物ステロールを植物ステロール脂
肪酸エステルにして油脂への溶解性を高めた方法もあ
る。植物ステロール脂肪酸エステルは、小腸内で遊離の
植物ステロールと脂肪酸に加水分解されるため、植物ス
テロールと同様にコレステロール吸収抑制作用を有す
る。
【0010】ベルギー特許第753648号には、植物
ステロール脂肪酸エステルを0.5〜10重量%添加し
たサラダ油が開示されている。この特許は、植物ステロ
ール脂肪酸エステルを植物ステロールと脂肪酸無水物と
の化学的エステル交換反応で調製し、油脂へ添加すると
いう方法である。この方法は、植物ステロール脂肪酸エ
ステルを調製した後、多工程の精製が必要となり、収率
及びコスト的に劣る方法である。さらに、植物ステロー
ル脂肪酸エステルの調製方法も化学的方法としか言及さ
れておらず、その方法も食品に適するものではない。
【0011】また、特表平6−506909号公報で
は、植物ステロールを硬化した植物スタノールと脂肪酸
低級アルコールエステルをアルカリ触媒でエステル交換
して植物スタノール脂肪酸エステルを調製し、それを含
有した油脂組成物が提案されている。この方法も植物ス
タノール脂肪酸エステルの調製は化学法とのみしか言及
されておらず、植物スタノール脂肪酸エステルを調製し
た後、多工程の精製が必要で、収率及びコスト的に有効
な方法ではない。
【0012】特開昭62−166895号公報では、水
媒系及び/又は含水有機溶媒系下でリパーゼを触媒とし
て脂肪酸又は脂肪酸エステルと植物ステロールのエステ
ル化反応が開示されているが、この反応は溶媒を使用す
るため脱溶媒工程が必要なこと、含水溶媒で反応を行う
ため得られる組成物の酸価も高いという欠点がある。
【0013】WO9742830号には、液状油に植物
ステロールと植物ステロールエステル(植物ステロール
フィチン酸エステル)を特定の比率で配合したマーガリ
ン類が提案されているが、これも後述する本発明とは明
らかに異なるものである。
【0014】また、一般に植物ステロールは油脂の脱臭
スカムより産出するものであり、その風味は良好なもの
とは言えない。このため、植物ステロールを多量に配合
すると当然風味は悪くなる。上記方法では、油脂中の植
物ステロールの含量を高める方法については数多くの提
案があるものの、精製油の風味について記載しているも
のは見当たらない。
【0015】従って、本発明の目的は、コレステロール
吸収抑制作用を有する植物ステロールを植物ステロール
脂肪酸エステルとして高含量含有し、植物ステロールを
高含量含有していてもその結晶が析出することなく、風
味良好な植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製
造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究し
た結果、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂
肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒としてエス
テル化反応を行うことを特徴とする植物ステロール脂肪
酸エステル含有組成物の製造方法を提供することによ
り、上記目的を達成したものである。
【0017】
【発明の実施形態】以下、本発明の植物ステロール脂肪
酸エステル含有組成物の製造方法について詳細に説明す
る。
【0018】本発明で用いられる植物ステロールは、大
豆、菜種、綿実等の種子油の不けん化物中に含まれてお
り、主に植物油の脱臭工程で産出される脱臭スカムより
分離して得られるものである。
【0019】植物ステロールとしては、一般にβ−シト
ステロール、スチグマステロール、カンペステロール、
ブラシカステロール等が知られている。本発明で用いら
れる植物ステロールは、これらの分離単独品である必要
はなく、上記ステロールの混合物で十分である。また、
本発明に用いられる植物ステロールは、上記ステロール
を水素添加したスタノールを含んでいてもよい。
【0020】本発明で用いられる脂肪酸エステルとは、
トリグリセリドを主成分とした油脂及び/又は脂肪酸低
級アルコールエステルからなるものである。
【0021】油脂としては、脂肪酸組成が炭素数4〜2
4の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からなる油脂で、具体
的にはパーム油、パームオレイン、スーパーオレイン、
パームステアリン、パーム中融点部等のパーム系油脂、
大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、
サンフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、米糠
油等の液状油、パーム核油、ヤシ油等のラウリン系油
脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の動物油脂、これらの油
脂の硬化油、分別油あるいはエステル交換油を単独ある
いは配合して用いることができる。しかし、健康面を考
えると植物性油脂を使用する方が好ましい。また特にマ
ーガリン、ファットスプレッド等に使用する場合、多不
飽和脂肪酸を30重量%以上含むような油脂配合物を使
用するのが好ましい。
【0022】本発明で用いられる脂肪酸低級アルコール
エステルの脂肪酸部分としては、好ましくは炭素数4〜
24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数
16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸で、アルコール部分
は、エタノール、メタノール等の加水分解されたときに
遊離するアルコールの沸点が100℃以下の低級アルコ
ールが好ましい。
【0023】また本発明で用いられる脂肪酸は、好まし
くは炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好
ましくは炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸を用
いるのがよい。
【0024】本発明において、植物ステロールと脂肪酸
エステル及び/又は脂肪酸との混合物の割合としては、
以下のような範囲に入ることが好ましい。つまり植物ス
テロールのモル数をa、油脂のモル数をb、脂肪酸及び
/又は脂肪酸低級アルコールエステルのモル数をcとし
たとき、(7a−9b)/10≦cの範囲となるような
割合で混合するのが好ましく、さらに好ましくは(4a
−3b)/5≦cの範囲となるような割合で混合するの
がよい。
【0025】混合物中のc(脂肪酸及び/又は脂肪酸低
級アルコールエステル)の割合が(7a−9b)/10
よりも小さくなると遊離の植物ステロールが残存し、植
物ステロール脂肪酸エステルの生成率が低下しやすい。
【0026】特に植物ステロールと油脂の混合物を用い
てエステル化反応を行う場合の植物ステロールと油脂の
混合割合は、好ましくは油脂を99〜65重量%と植物
ステロールを1〜35重量%、さらに好ましくは油脂を
95〜65重量%と植物ステロールを5〜35重量%、
最も好ましくは油脂を90〜75重量%と植物ステロー
ルを10〜25重量%混合したもの用いる。植物ステロ
ールの配合量が35重量%よりも多いと、未反応の植物
ステロールが残存し、口どけが悪くなりやすく、1重量
%よりも少ないとコレステロール吸収抑制効果が発揮さ
れにくい。
【0027】本発明に係るエステル化反応に使用するリ
パーゼは特に制限はないが、位置選択性が無いものを使
用するのが好ましい。
【0028】本発明で用いられるリパーゼとしては、具
体的にはAlcaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseudo
monas 属、Humicola属から得られる酵素等が好ましく、
この中で、Alcaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseu
domonas 属から得られる酵素等がさらに好ましく、Alca
ligenes 属から得られる酵素が最も好ましい。これらの
酵素は、酵素粉末のままで使用することも可能である
が、ケイソウ土、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭、
セラミック等の担体に固定化して用いてもかまわない。
また本発明ではリパーゼとして、固体状のもの、つまり
粉末状のものや上記のような担体に固定化したものを用
いるのが好ましく、リパーゼを水溶液として用いるのは
好ましくない。
【0029】また植物ステロールと油脂の混合物を無溶
媒下でエステル化反応を行う場合、使用するリパーゼの
エステル交換活性が好ましくは0.4mol/hr・k
g以上、さらに好ましくは0.45mol/hr・kg
以上、最も好ましくは0.5mol/hr・kg以上と
なるようにエステル化反応を行うのがよい。
【0030】本発明では、植物ステロールと油脂の混合
物を無溶媒下で、位置選択性の無いリパーゼを触媒とし
てエステル化反応を行う場合、(2位脂肪酸変化率)/
(エステル交換率)が、好ましくは0.4以上、更に好
ましくは0.5以上、最も好ましくは0.6以上となる
ように反応させるのが好ましい。
【0031】リパーゼの使用量は、そのリパーゼの活性
によって異なるが、植物ステロールと脂肪酸エステル及
び/又は脂肪酸との混合物100重量部に対して、0.
03〜10重量部とするのが好ましく、さらに好ましく
は0.03〜5重量部、最も好ましくは0.05〜3重
量部である。
【0032】本発明におけるエステル化反応は、無溶媒
下で行う。無溶媒とすることによりエステル化反応後に
脱溶剤を行なう必要がない。反応温度は、好ましくは4
5〜100℃、さらに好ましくは55〜90℃、最も好
ましくは60〜80℃で行う。反応温度が45℃よりも
低いと反応が完全に起こりにくく、100℃よりも高い
と酵素の失活が大きく効率的でない。
【0033】また、エステル交換の反応系の水分量は、
好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは500
ppm以下であることが、反応油の加水分解をできるだ
け低くし、脱臭工程での損失を低くできるため望まし
い。
【0034】従って、植物ステロールと脂肪酸エステル
及び/又は脂肪酸との混合物中の水分量は、好ましくは
900ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下
であることが望ましい。
【0035】本発明におけるエステル化反応は、減圧下
で行うことが好ましい。このとき好ましくは6,650
Pa(50torr)以下、さらに好ましくは3,99
0Pa(30torr)以下、一層好ましくは2,66
0Pa(20torr)以下、最も好ましくは1,33
0Pa(10torr)以下の減圧下でエステル化反応
を行う。減圧下でエステル化反応を行うことにより、エ
ステル化反応により生成したアルコールや水が気相に移
行するので、脱アルコールや脱水を同時に行うことがで
きる。エステル化反応を減圧下で行うことにより、植物
ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合
物において、エステル化反応を完全に行い、植物ステロ
ール脂肪酸エステルの収率を高めることができる。エス
テル化反応を減圧下で行わないと、エステル化反応を完
全に行うことができないので、遊離の植物ステロールが
残存してしまい、植物ステロール脂肪酸エステルの収率
が悪くなりやすい。さらに、減圧下でエステル化反応を
行わないと、生成したアルコールによって酵素が失活す
る可能性がある。
【0036】本発明におけるエステル化反応は、酵素を
用いる方法であるので、ソジウムメチラートのようなア
ルカリ触媒を用いたエステル化反応とは異なり水洗や中
和工程を行うことなく、そのまま精製(漂白、脱臭)
し、使用することができるため、収率及び精製コストの
点から非常に効率的な方法である。
【0037】本発明におけるエステル化反応は、バッチ
式の回分反応、半連続式の反応、カラム等の連続反応で
も反応を行うことができる。特にバッチ式の回分反応で
エステル化反応を行うのが、反応温度を低くすることが
でき、酵素の熱失活や酵素の酸化劣化を抑制でき、また
減圧下でエステル化反応を行うのが容易であるので好ま
しい。
【0038】カラム反応の場合、反応温度は65℃以上
とする。またカラム反応では植物ステロールと脂肪酸エ
ステル及び/又は脂肪酸との混合物を完全に溶解したも
のを通液しなければならず、植物ステロールの配合量が
多くなるにしたがい、反応温度は高くする。例えば植物
ステロールの配合量が植物ステロールと脂肪酸エステル
及び/又は脂肪酸との混合物中10重量%未満のときは
65℃以上、10重量%以上25重量%未満のときは7
0℃以上、25重量%以上35重量%以下のときは80
℃以上とする。
【0039】一方、バッチ式の回分反応の場合、反応温
度は45〜65℃とする。回分反応の場合、植物ステロ
ールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物が完
全に溶解していた方が反応時間は速いが、完全に溶解し
ていなくても反応を行うことができる。これは、植物ス
テロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物
中に溶解していない植物ステロールが残存していても、
一部溶解している植物ステロールが反応し、植物ステロ
ール脂肪酸エステルになる。植物ステロール脂肪酸エス
テルは脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸への溶解性が大
きいため、反応した分の植物ステロールがさらに溶解す
ることになる。この繰り返しによって、植物ステロール
と脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物中の植物
ステロールが完全に植物ステロール脂肪酸エステルに変
化する。このため、回分反応では反応温度をカラム反応
に比べ低くすることができる。
【0040】また、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸と
の混合物を完全に溶解させた後、植物ステロールを少量
づつ添加し、無溶媒下でリパーゼによるエステル化反応
を行ない、反応が終了したら、さらに植物ステロールを
添加し、無溶媒下でリパーゼによるエステル化反応を行
なうこともできる。
【0041】本発明の植物ステロールと脂肪酸エステル
及び/又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触
媒としてエステル化反応を行うことにより得られた植物
ステロール脂肪酸エステル含有組成物は、通常、漂白、
脱臭又は脱酸、漂白、脱臭を行うことによって精製す
る。漂白工程は、活性白土、シリカ、活性炭等の吸着剤
で処理することによって行う。
【0042】また脱臭工程における、脱臭温度は通常2
50〜265℃のような高温で行われるが、本発明では
好ましくは250℃以下、特に好ましくは120〜23
0℃で行う。これは、脱臭温度が250℃よりも高いと
生成した植物ステロール脂肪酸エステルのロスが多くな
りやすいためである。
【0043】また、脱臭時間は脱臭温度と反応油の酸価
や残存している得られた植物ステロール脂肪酸エステル
含有組成物の酸価によって異なるが通常30〜180分
で行う。
【0044】本発明のエステル化反応により、植物ステ
ロール脂肪酸エステルが生成する。植物ステロールと油
脂のエステル化反応は、アルコリシス反応であり、この
ような方法により得られた植物ステロール脂肪酸エステ
ル含有組成物は反応によってエステル交換されたトリグ
リセリド( 以下、TGと略す)、ジアシルグリセリン(
以下、DGと略す)と植物ステロール脂肪酸エステルが
生成する。この植物ステロール脂肪酸エステルは、反応
する油脂の脂肪酸組成によって異なるが炭素数4〜24
の飽和又は不飽和脂肪酸からなるものである。
【0045】植物ステロールと油脂の混合物を用いた場
合、得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物
におけるDGと植物ステロール脂肪酸エステルとの含有
比率は、好ましくはDGが3〜25重量%及び植物ステ
ロール脂肪酸エステルが2〜80重量%である。上記の
植物ステロールと油脂の混合物を用いた場合とは、脂肪
酸低級アルコール及び/又は脂肪酸を添加している場合
も含まれる。
【0046】このように、本発明の植物ステロールと油
脂との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒としたエステ
ル化反応を行うことによって、植物ステロール脂肪酸エ
ステル含量が高いだけでなく、DG含量も高い植物ステ
ロール脂肪酸エステル含有組成物を得ることができる。
【0047】植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物
中のDG含量が高くなると、遊離の植物ステロールの溶
解性が向上する。このため、エステル化反応で生成した
植物ステロール脂肪酸エステルの他に、遊離の植物ステ
ロールの溶解性も向上するため、油脂中の植物ステロー
ルの含量をさらに高めることができる。
【0048】また植物ステロールと脂肪酸低級アルコー
ルエステル及び/又は脂肪酸との混合物(油脂を含まな
い)を無溶媒下でリパーゼを触媒としたエステル化反応
を行うことによって、植物ステロール脂肪酸エステルを
主成分とした植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物
となる。
【0049】本発明に係わるエステル化反応による植物
ステロール脂肪酸エステルの生成率は70〜100%、
好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜1
00%である。尚、ここでいう植物ステロール脂肪酸エ
ステルの生成率とは、 (A/B)×100 A:反応油中の植物ステロール含有量(植物ステロール
脂肪酸エステル画分;重量%) B:反応前の全植物ステロールの含有量(重量%)で求
めた値である。
【0050】本発明の植物ステロール脂肪酸エステル含
有組成物の製造方法で得られた組成物は、植物ステロー
ル脂肪酸エステルを5重量%以上含有し、好ましくは1
0重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、最も
好ましくは30重量%以上含有しており、そのままある
いは他の油脂と配合することによってフライ油脂、パ
ン、ケーキ、クッキー用ショートニング、マーガリン、
ロールイン用油脂、ホイップクリーム用油脂、マヨネー
ズ用等油脂として用いることができる。また上記用途に
本発明により得られた組成物を用いた場合、植物ステロ
ール脂肪酸エステルには乳化力があるので、乳化剤を添
加しなくても乳化安定性を付与することができる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何等制限される
ものではない。なお、例中に示す%は、重量%を意味す
る(但し;植物ステロール脂肪酸エステルの生成率、エ
ステル交換率、トリグリセリドの2位の脂肪酸の交換率
を除く)。
【0052】(エステル交換活性の計算方法)100m
lの三角フラスコに原料油(オリーブ油:トリミリスチ
ン=9 :1)20gを入れ、60℃で完全に溶解し
た。原料油が完全に溶解した後、酵素0.2g(対油1
%)を添加し、反応温度60℃でエステル交換反応を行
った。なお、原料油の水分は200ppmに調節して反
応を行った。24時間後、反応油の組成を分析し、以下
のように酵素のエステル交換活性(mol/hr・k
g)を求めた。 エステル交換活性 R=(w/Mw×Xt/100)/tW =0.138Xt/tW w :トリミリスチンの重量(g) Mw:トリミリスチンの分子量 Xt:エステル交換率=(TMO−TMt)/(TMO
−TMeq)×100 TMO :原料油トリミリスチン含量 TMt :t(hr)反応後のトリミリスチン含量 TMeq:全ランダム計算値におけるトリミリスチン含
量 t :反応時間 W :酵素重量(kg)
【0053】(2位脂肪酸の交換率/エステル交換率の
計算方法)100mlの三角フラスコに原料油(オリー
ブ油:トリミリスチン=9:1)20gを入れ、60℃
で完全に溶解した。原料油が完全に溶解した後、酵素
0.2g(対油1%)を添加し、反応温度60℃でエス
テル交換反応を行った。なお、原料油の水分は200p
pmに調節して反応を行った。40時間後、反応油の組
成を分析し、下記に示す式により、エステル交換率及
びトリグリセリドの2位脂肪酸の交換率を求め、/
を求めた。 エステル交換率 Xt=(TMO−TMt)/(TMO−TMeq)×1
00 TMO :原料油のトリミリスチン含量 TMt :t(hr)反応後のトリミリスチン含量 TMeq:全ランダム計算値におけるトリミリスチン含
量 トリグリセリドの2位脂肪酸の交換率 X2t=(PO−Pt)/(PO−Peq)×100 PO :原料油の2位のパルミチン酸含量 Pt :t(hr)反応後の2位のパルミチン酸含量 Peq:全ランダム計算値における2位パルミチン酸含
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】以下の実施例で、原料油脂中の各成分は、
次の分子量を用いてモル数を計算した。 菜種油トリグリセリド:MW884 植物ステロール :MW414 オレイン酸エチル :MW310.5 オレイン酸メチル :MW296 オレイン酸 :MW282
【0057】〔実施例1〕1リットルのフラスコに原料
油(ナタネ油90%及び植物ステロール10%の混合
油)200gを入れ、65℃で完全に溶解した。このと
きのナタネ油は低エルカ酸ナタネ油を、植物ステロール
はタマ生化学(株)製のフィトステロールF(植物ステ
ロール含量99%) を使用した。原料油が完全に溶解し
た後、リパーゼQL0.63gを添加し、反応温度を6
5℃とし、反応時間40時間で、エステル交換反応を行
った。
【0058】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。なお、原料油の水分は150ppm
に調節して反応を行った。また、得られた反応精製油
(エステル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの
生成率を表3に示す。
【0059】〔実施例2〕実施例1においてリパーゼQ
Lを0.63g添加するところを、リパーゼQLCを
2.0g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエス
テル交換反応を行った。
【0060】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステ
ル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を
表3に示す。
【0061】〔実施例3〕実施例1においてリパーゼQ
Lを0.63g添加するところを、リパーゼPLCを
5.8g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエス
テル交換反応を行った。
【0062】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステ
ル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を
表3に示す。
【0063】〔実施例4〕実施例1においてリパーゼQ
Lを0.63g添加するところを、CHIRAZYME
L1を0.69g添加したほかは実施例1と同様の方
法にてエステル交換反応を行った。
【0064】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステ
ル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を
表3に示す。
【0065】上記の実施例1〜実施例4においては、酵
素の添加量はエステル交換活性が同じになるような酵素
量とした。
【0066】
【表3】
【0067】植物ステロール脂肪酸エステルの生成率は
次のようにして求めた。 植物ステロール脂肪酸エステルの生成率=(A/B)×
100 A:反応油中の植物ステロール含量(植物ステロール
画分;重量%) B:反応前の全植物ステロール含量(重量%)
【0068】また、反応油中の植物ステロール含量は、
反応油2gをフロリジルカラム20gにて分画した。分
画は、n−Hex150mlで行った。n−Hex抽出
画分に遊離の植物ステロールが含まれていないのを確か
めた後、それのステロール含量を測定した。このn−H
ex抽出画分のステロール含量を基準油脂分析法(日本
油化学協会)の2.4.9.1−1996ステロール
(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じ
て測定した。
【0069】〔実施例5〜8〕表4に示す混合割合の原
料油200gにリパーゼQLCを2g添加し、反応温度
65℃、反応時間40時間でエステル交換反応を行っ
た。なお、原料油の水分は150ppmに調節した。得
られた油脂組成物(反応油)の組成及び植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】表4において、反応精製油の組成は、イア
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0072】表4の結果より、ナタネ油と植物ステロー
ルを混合した原料油をエステル交換すると、植物ステロ
ール脂肪酸エステルとジアシルグリセリン(DG)を高
含量含んだ油脂組成物を調製できることが判る。また、
植物ステロールの配合量が多くなると未反応の植物ステ
ロールが残存することが判る。
【0073】〔実施例9〕1リットルのフラスコに原料
油(植物ステロール30%、ナタネ油44%、オレイン
酸エチルエステル26%の配合油)250gを入れ、リ
パーゼQLC5.0g(対油2.0%)を添加し、反応
温度65℃、減圧下(1,330Pa;10torr)
でエタノール除去しながらエステル化反応を行い、エタ
ノールを除去できなくなるまで反応を行った。反応終了
後、常法で漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を
1%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処
理)、温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分
間水蒸気蒸留を行う脱臭にて、未反応の脂肪酸エチルを
除去し、反応精製油を得た。
【0074】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。なお、ナタネ油は低エルカ酸ナタネ油
を、オレイン酸エチルエステルは和光純薬(株)製を使
用した。
【0075】また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0076】〔実施例10〕実施例9においてリパーゼ
QLC5.0g(対油2.0%)をリパーゼQL2.5
g(対油1.0%)に変更したほかは実施例9と同様の
方法にて反応精製油を得た。
【0077】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。
【0078】そして原料油脂中の植物ステロール、ナタ
ネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0079】〔実施例11〕実施例9においてリパーゼ
QLC5.0g(対油2.0%)をリパーゼPLC1
0.0g(対油4.0%)に変更したほかは実施例9と
同様の方法にて反応精製油を得た。
【0080】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。
【0081】そして原料油脂中の植物ステロール、ナタ
ネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0082】〔実施例12〕実施例9においてリパーゼ
QLC5.0g(対油2.0%)をCHIRAZYME
L1 2.5g(対油1.0%)に変更したほかは実
施例9と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0083】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。
【0084】そして原料油脂中の植物ステロール、ナタ
ネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0085】
【表5】
【0086】表5において、反応精製油の組成は、イア
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0087】〔実施例13〕1リットルのフラスコに原
料油(植物ステロール24%、ナタネ油55%、オレイ
ン酸エチルエステル21%の配合油)250gを入れ、
リパーゼQL2.5g(対油1.0%)を添加し、反応
温度65℃、減圧下(1,330Pa;10torr)
でエタノール除去しながらエステル化反応を行い、エタ
ノールを除去できなくなるまで反応を行った。反応終了
後、常法で漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を
1%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処
理)、温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分
間水蒸気蒸留を行う脱臭にて、未反応の脂肪酸エチルを
除去し、反応精製油を得た。
【0088】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
【0089】また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.14
(a)、0.16(b)、0.17(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると−0.046 <0.17と
なり、上記範囲を満たしていた。
【0090】〔実施例14〕原料油を植物ステロール3
4.5%、ナタネ油34.5%、オレイン酸エチルエス
テル31%の配合油を使用し、反応温度を75℃に変え
た以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得
た。
【0091】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
【0092】また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.21
(a)、0.10(b)、0.25(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.057<0.25とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0093】〔実施例15〕原料油を植物ステロール4
3%、ナタネ油19%、オレイン酸エチルエステル38
%の配合油を使用し、反応温度を75℃に変えた以外
は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0094】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
【0095】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.26
(a)、0.05(b)、0.25(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.137<0.25とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0096】〔実施例16〕原料油を植物ステロール5
5%、ナタネ油0%、オレイン酸エチルエステル45%
の配合油を使用し、反応温度を95℃に変えた以外は、
実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
【0097】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
【0098】また原料油脂中の植物ステロール、ナタネ
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.33
(a)、0(b)、0.36(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.231<0.36とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0099】〔実施例17〕原料油を植物ステロール1
1%、ナタネ油80%、オレイン酸エチルエステル9%
の配合油を使用した以外は、実施例13と同様の方法に
て反応精製油を得た。
【0100】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
【0101】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.07
(a)、0.23(b)、0.07(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると−0.158≦0.07とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0102】〔実施例18〕原料油を植物ステロール3
5%、ナタネ油0%、オレイン酸エチルエステル65%
の配合油を使用した以外は、実施例13と同様の方法に
て反応精製油を得た。
【0103】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
【0104】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.21
(a)、0(b)、0.52(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.147≦0.52とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0105】
【表6】
【0106】表6において、反応精製油の組成は、イア
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0107】〔実施例19〕原料油を植物ステロール3
0%、ナタネ油44%、オレイン酸メチルエステル(和
光純薬(株)製)26%の配合油を使用し、1,330
Pa以下の減圧下で脱メタノールしながら反応を行った
以外は実施例9と同様の方法で反応精製油を得た。
【0108】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
【0109】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸メチルエステルの各モル数は 0.18
(a)、0.12(b)、0.22(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018≦0.22とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0110】〔実施例20〕原料油を植物ステロール3
0%、ナタネ油44%、オレイン酸(和光純薬(株)
製)26%の配合油を使用し、1,330Pa以下の減
圧下で脱水を行いながら反応を行った以外は、実施例9
と同様の方法で反応精製油を得た。
【0111】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
【0112】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸の各モル数は0.18(a)、0.12
(b)、0.23(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018≦0.23とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0113】〔実施例21〕原料油を植物ステロール5
5%、ナタネ油 0%、オレイン酸45%の配合油を使
用し、1,330以下の減圧下で脱水を行いながら反応
を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油を
得た。
【0114】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
【0115】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸の各モル数は0.33(a)、0(b)、
0.40(c)である。 (7a−9b)/5≦c に、各モル数を代入すると0.231≦0.40とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0116】〔実施例22〕原料油を植物ステロール3
5%、ナタネ油0%、オレイン酸65%の配合油を使用
し、1,330Pa以下の減圧下で脱水を行いながら反
応を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油
を得た。
【0117】使用したリパーゼのエステル交換活性を表
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
【0118】また油脂中の植物ステロール、ナタネ油、
オレイン酸の各モル数は0.21(a)、0(b)、
0.58(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.147≦0.58とな
り、上記範囲を満たしていた。
【0119】
【表7】
【0120】表7において、反応精製油の組成は、イア
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
【0121】表7の結果より、脱アルコール(含む脱
水)されるアルコールの沸点が100℃以下の脂肪酸エ
ステルを使用すると、植物ステロール脂肪酸エステルを
高含量含んだ油脂組成物が得られることが判る。
【0122】
【発明の効果】本発明の製造方法によって、コレステロ
ール吸収抑制作用を有する有する植物ステロールを植物
ステロール脂肪酸エステルとして高含量含有し、植物ス
テロールを高含量含有していてもその結晶が析出するこ
とのない、風味良好な植物ステロール脂肪酸エステル含
有組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸銭 詔司 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B026 DC05 DG01 DG11 DH01 DL09 DP03 DX01 4H059 BA26 BA30 BA34 BA35 BB02 BB03 BB13 BB18 BB44 BB45 BB57 BC03 BC13 BC48 CA35 CA48 CA73 4J002 AE001 EH046

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物ステロールと脂肪酸エステル及び/
    又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒とし
    てエステル化反応を行うことを特徴とする植物ステロー
    ル脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記脂肪酸エステルが、油脂及び/又は
    脂肪酸低級アルコールエステルからなることを特徴とす
    る請求項1記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組
    成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記リパーゼが、位置選択性の無いリパ
    ーゼであることを特徴とする請求項1記載の植物ステロ
    ール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記エステル化反応を減圧下で行うこと
    を特徴とする請求項1記載の植物ステロール脂肪酸エス
    テル含有組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記混合物の水分が、900ppm以下
    であることを特徴とする請求項1記載の植物ステロール
    脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記混合物が植物ステロールと油脂との
    混合物であることを特徴とする請求項1記載の植物ステ
    ロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 (2位脂肪酸変化率)/(エステル交換
    率)が0.4以上であることを特徴とする請求項6記載
    の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 リパーゼのエステル交換活性が0.4m
    ol/(hr・kg)以上であることを特徴とする請求
    項6記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 ジアシルグリセリン及び植物ステロール
    脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項6〜
    8のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含
    有組成物の製造方法。
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