JP2001040388A - 植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法 - Google Patents
植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法Info
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Abstract
テロールを植物ステロール脂肪酸エステルとして高含量
含有し、植物ステロールを高含量含有していてもその結
晶が析出することなく、風味良好な植物ステロール脂肪
酸エステル含有組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 植物ステロールと脂肪酸エステル及び/
又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒とし
てエステル化反応を行うことを特徴とする植物ステロー
ル脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。
Description
抑制作用を有する植物ステロール脂肪酸エステル含有組
成物の製造方法に関するものである。
テロールには小腸からのコレステロールの吸収抑制作用
があることが古くから知られており、血漿コレステロー
ル濃度低下剤として用いられている。コレステロールの
吸収は、コレステロールが胆汁酸ミセルへ溶解すること
が必要である。しかし、コレステロールの胆汁酸への溶
解量は低く、大部分はエマルジョンの状態にある。
ールとほぼ同程度の量が胆汁酸ミセルへ溶解する。従っ
て、コレステロールと植物ステロールが共存すると、コ
レステロールの胆汁酸ミセルへの溶解量が減少すること
になる。また、植物ステロールの小腸からの吸収率は低
く、小腸内腔に残存するため、コレステロールの胆汁酸
ミセルへの溶解量は制限されたままとなり、コレステロ
ールの吸収が抑制されることなる。従って、食事から摂
取するコレステロールの影響を受けやすいヒトの場合、
植物ステロールは有効な血漿コレステロール低下剤とし
て、臨床的に利用されている。
麦等に含まれており、日常の食事で摂取しているが、そ
の量はごく僅かなものである。コレステロールの吸収を
抑制させるためには、1日約1〜2gの植物ステロール
が必要であり、通常のヒトの食事でそのような多量の植
物ステロールを摂取することは困難である。
るために、油脂への溶解性を高める方法が数多く提案さ
れている。特公昭57−26732号公報には、油脂中
の遊離脂肪酸の含量を高めることによって植物ステロー
ルの溶解性を高める方法が提案されている。この方法で
は、植物ステロールの溶解性は向上するが、油脂中の遊
離脂肪酸含量が高くそのまま製品化するのは難しい。
臭スカムを食用油脂に添加し、それを精製して油脂中の
植物ステロール含量を高める方法が、特開昭57−39
736号公報には、食用油脂から有機溶剤を用いて植物
ステロールを抽出し、それを添加した油脂組成物が提案
されているが、これらの方法で調製した油脂中の植物ス
テロールの含量はごく僅かなものであり満足できるもの
ではない。
物ステロールを0.5 〜30重量%含有した食用油脂
が提案されている。植物ステロールの油脂への溶解性は
僅かであるため単に植物ステロールを油脂に混ぜただけ
では、油脂への溶解性を改良したことにはなっていな
い。
起きることなく、その含量の高い油脂の製造方法は現在
のところ見つかっていない。
肪酸エステルにして油脂への溶解性を高めた方法もあ
る。植物ステロール脂肪酸エステルは、小腸内で遊離の
植物ステロールと脂肪酸に加水分解されるため、植物ス
テロールと同様にコレステロール吸収抑制作用を有す
る。
ステロール脂肪酸エステルを0.5〜10重量%添加し
たサラダ油が開示されている。この特許は、植物ステロ
ール脂肪酸エステルを植物ステロールと脂肪酸無水物と
の化学的エステル交換反応で調製し、油脂へ添加すると
いう方法である。この方法は、植物ステロール脂肪酸エ
ステルを調製した後、多工程の精製が必要となり、収率
及びコスト的に劣る方法である。さらに、植物ステロー
ル脂肪酸エステルの調製方法も化学的方法としか言及さ
れておらず、その方法も食品に適するものではない。
は、植物ステロールを硬化した植物スタノールと脂肪酸
低級アルコールエステルをアルカリ触媒でエステル交換
して植物スタノール脂肪酸エステルを調製し、それを含
有した油脂組成物が提案されている。この方法も植物ス
タノール脂肪酸エステルの調製は化学法とのみしか言及
されておらず、植物スタノール脂肪酸エステルを調製し
た後、多工程の精製が必要で、収率及びコスト的に有効
な方法ではない。
媒系及び/又は含水有機溶媒系下でリパーゼを触媒とし
て脂肪酸又は脂肪酸エステルと植物ステロールのエステ
ル化反応が開示されているが、この反応は溶媒を使用す
るため脱溶媒工程が必要なこと、含水溶媒で反応を行う
ため得られる組成物の酸価も高いという欠点がある。
ステロールと植物ステロールエステル(植物ステロール
フィチン酸エステル)を特定の比率で配合したマーガリ
ン類が提案されているが、これも後述する本発明とは明
らかに異なるものである。
スカムより産出するものであり、その風味は良好なもの
とは言えない。このため、植物ステロールを多量に配合
すると当然風味は悪くなる。上記方法では、油脂中の植
物ステロールの含量を高める方法については数多くの提
案があるものの、精製油の風味について記載しているも
のは見当たらない。
吸収抑制作用を有する植物ステロールを植物ステロール
脂肪酸エステルとして高含量含有し、植物ステロールを
高含量含有していてもその結晶が析出することなく、風
味良好な植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製
造方法を提供することにある。
た結果、植物ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂
肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒としてエス
テル化反応を行うことを特徴とする植物ステロール脂肪
酸エステル含有組成物の製造方法を提供することによ
り、上記目的を達成したものである。
酸エステル含有組成物の製造方法について詳細に説明す
る。
豆、菜種、綿実等の種子油の不けん化物中に含まれてお
り、主に植物油の脱臭工程で産出される脱臭スカムより
分離して得られるものである。
ステロール、スチグマステロール、カンペステロール、
ブラシカステロール等が知られている。本発明で用いら
れる植物ステロールは、これらの分離単独品である必要
はなく、上記ステロールの混合物で十分である。また、
本発明に用いられる植物ステロールは、上記ステロール
を水素添加したスタノールを含んでいてもよい。
トリグリセリドを主成分とした油脂及び/又は脂肪酸低
級アルコールエステルからなるものである。
4の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からなる油脂で、具体
的にはパーム油、パームオレイン、スーパーオレイン、
パームステアリン、パーム中融点部等のパーム系油脂、
大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、
サンフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、米糠
油等の液状油、パーム核油、ヤシ油等のラウリン系油
脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の動物油脂、これらの油
脂の硬化油、分別油あるいはエステル交換油を単独ある
いは配合して用いることができる。しかし、健康面を考
えると植物性油脂を使用する方が好ましい。また特にマ
ーガリン、ファットスプレッド等に使用する場合、多不
飽和脂肪酸を30重量%以上含むような油脂配合物を使
用するのが好ましい。
エステルの脂肪酸部分としては、好ましくは炭素数4〜
24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数
16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸で、アルコール部分
は、エタノール、メタノール等の加水分解されたときに
遊離するアルコールの沸点が100℃以下の低級アルコ
ールが好ましい。
くは炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、さらに好
ましくは炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸を用
いるのがよい。
エステル及び/又は脂肪酸との混合物の割合としては、
以下のような範囲に入ることが好ましい。つまり植物ス
テロールのモル数をa、油脂のモル数をb、脂肪酸及び
/又は脂肪酸低級アルコールエステルのモル数をcとし
たとき、(7a−9b)/10≦cの範囲となるような
割合で混合するのが好ましく、さらに好ましくは(4a
−3b)/5≦cの範囲となるような割合で混合するの
がよい。
級アルコールエステル)の割合が(7a−9b)/10
よりも小さくなると遊離の植物ステロールが残存し、植
物ステロール脂肪酸エステルの生成率が低下しやすい。
てエステル化反応を行う場合の植物ステロールと油脂の
混合割合は、好ましくは油脂を99〜65重量%と植物
ステロールを1〜35重量%、さらに好ましくは油脂を
95〜65重量%と植物ステロールを5〜35重量%、
最も好ましくは油脂を90〜75重量%と植物ステロー
ルを10〜25重量%混合したもの用いる。植物ステロ
ールの配合量が35重量%よりも多いと、未反応の植物
ステロールが残存し、口どけが悪くなりやすく、1重量
%よりも少ないとコレステロール吸収抑制効果が発揮さ
れにくい。
パーゼは特に制限はないが、位置選択性が無いものを使
用するのが好ましい。
体的にはAlcaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseudo
monas 属、Humicola属から得られる酵素等が好ましく、
この中で、Alcaligenes 属、Chromobacterium 属、Pseu
domonas 属から得られる酵素等がさらに好ましく、Alca
ligenes 属から得られる酵素が最も好ましい。これらの
酵素は、酵素粉末のままで使用することも可能である
が、ケイソウ土、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭、
セラミック等の担体に固定化して用いてもかまわない。
また本発明ではリパーゼとして、固体状のもの、つまり
粉末状のものや上記のような担体に固定化したものを用
いるのが好ましく、リパーゼを水溶液として用いるのは
好ましくない。
媒下でエステル化反応を行う場合、使用するリパーゼの
エステル交換活性が好ましくは0.4mol/hr・k
g以上、さらに好ましくは0.45mol/hr・kg
以上、最も好ましくは0.5mol/hr・kg以上と
なるようにエステル化反応を行うのがよい。
物を無溶媒下で、位置選択性の無いリパーゼを触媒とし
てエステル化反応を行う場合、(2位脂肪酸変化率)/
(エステル交換率)が、好ましくは0.4以上、更に好
ましくは0.5以上、最も好ましくは0.6以上となる
ように反応させるのが好ましい。
によって異なるが、植物ステロールと脂肪酸エステル及
び/又は脂肪酸との混合物100重量部に対して、0.
03〜10重量部とするのが好ましく、さらに好ましく
は0.03〜5重量部、最も好ましくは0.05〜3重
量部である。
下で行う。無溶媒とすることによりエステル化反応後に
脱溶剤を行なう必要がない。反応温度は、好ましくは4
5〜100℃、さらに好ましくは55〜90℃、最も好
ましくは60〜80℃で行う。反応温度が45℃よりも
低いと反応が完全に起こりにくく、100℃よりも高い
と酵素の失活が大きく効率的でない。
好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは500
ppm以下であることが、反応油の加水分解をできるだ
け低くし、脱臭工程での損失を低くできるため望まし
い。
及び/又は脂肪酸との混合物中の水分量は、好ましくは
900ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下
であることが望ましい。
で行うことが好ましい。このとき好ましくは6,650
Pa(50torr)以下、さらに好ましくは3,99
0Pa(30torr)以下、一層好ましくは2,66
0Pa(20torr)以下、最も好ましくは1,33
0Pa(10torr)以下の減圧下でエステル化反応
を行う。減圧下でエステル化反応を行うことにより、エ
ステル化反応により生成したアルコールや水が気相に移
行するので、脱アルコールや脱水を同時に行うことがで
きる。エステル化反応を減圧下で行うことにより、植物
ステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合
物において、エステル化反応を完全に行い、植物ステロ
ール脂肪酸エステルの収率を高めることができる。エス
テル化反応を減圧下で行わないと、エステル化反応を完
全に行うことができないので、遊離の植物ステロールが
残存してしまい、植物ステロール脂肪酸エステルの収率
が悪くなりやすい。さらに、減圧下でエステル化反応を
行わないと、生成したアルコールによって酵素が失活す
る可能性がある。
用いる方法であるので、ソジウムメチラートのようなア
ルカリ触媒を用いたエステル化反応とは異なり水洗や中
和工程を行うことなく、そのまま精製(漂白、脱臭)
し、使用することができるため、収率及び精製コストの
点から非常に効率的な方法である。
式の回分反応、半連続式の反応、カラム等の連続反応で
も反応を行うことができる。特にバッチ式の回分反応で
エステル化反応を行うのが、反応温度を低くすることが
でき、酵素の熱失活や酵素の酸化劣化を抑制でき、また
減圧下でエステル化反応を行うのが容易であるので好ま
しい。
とする。またカラム反応では植物ステロールと脂肪酸エ
ステル及び/又は脂肪酸との混合物を完全に溶解したも
のを通液しなければならず、植物ステロールの配合量が
多くなるにしたがい、反応温度は高くする。例えば植物
ステロールの配合量が植物ステロールと脂肪酸エステル
及び/又は脂肪酸との混合物中10重量%未満のときは
65℃以上、10重量%以上25重量%未満のときは7
0℃以上、25重量%以上35重量%以下のときは80
℃以上とする。
度は45〜65℃とする。回分反応の場合、植物ステロ
ールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物が完
全に溶解していた方が反応時間は速いが、完全に溶解し
ていなくても反応を行うことができる。これは、植物ス
テロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物
中に溶解していない植物ステロールが残存していても、
一部溶解している植物ステロールが反応し、植物ステロ
ール脂肪酸エステルになる。植物ステロール脂肪酸エス
テルは脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸への溶解性が大
きいため、反応した分の植物ステロールがさらに溶解す
ることになる。この繰り返しによって、植物ステロール
と脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸との混合物中の植物
ステロールが完全に植物ステロール脂肪酸エステルに変
化する。このため、回分反応では反応温度をカラム反応
に比べ低くすることができる。
の混合物を完全に溶解させた後、植物ステロールを少量
づつ添加し、無溶媒下でリパーゼによるエステル化反応
を行ない、反応が終了したら、さらに植物ステロールを
添加し、無溶媒下でリパーゼによるエステル化反応を行
なうこともできる。
及び/又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触
媒としてエステル化反応を行うことにより得られた植物
ステロール脂肪酸エステル含有組成物は、通常、漂白、
脱臭又は脱酸、漂白、脱臭を行うことによって精製す
る。漂白工程は、活性白土、シリカ、活性炭等の吸着剤
で処理することによって行う。
50〜265℃のような高温で行われるが、本発明では
好ましくは250℃以下、特に好ましくは120〜23
0℃で行う。これは、脱臭温度が250℃よりも高いと
生成した植物ステロール脂肪酸エステルのロスが多くな
りやすいためである。
や残存している得られた植物ステロール脂肪酸エステル
含有組成物の酸価によって異なるが通常30〜180分
で行う。
ロール脂肪酸エステルが生成する。植物ステロールと油
脂のエステル化反応は、アルコリシス反応であり、この
ような方法により得られた植物ステロール脂肪酸エステ
ル含有組成物は反応によってエステル交換されたトリグ
リセリド( 以下、TGと略す)、ジアシルグリセリン(
以下、DGと略す)と植物ステロール脂肪酸エステルが
生成する。この植物ステロール脂肪酸エステルは、反応
する油脂の脂肪酸組成によって異なるが炭素数4〜24
の飽和又は不飽和脂肪酸からなるものである。
合、得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物
におけるDGと植物ステロール脂肪酸エステルとの含有
比率は、好ましくはDGが3〜25重量%及び植物ステ
ロール脂肪酸エステルが2〜80重量%である。上記の
植物ステロールと油脂の混合物を用いた場合とは、脂肪
酸低級アルコール及び/又は脂肪酸を添加している場合
も含まれる。
脂との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒としたエステ
ル化反応を行うことによって、植物ステロール脂肪酸エ
ステル含量が高いだけでなく、DG含量も高い植物ステ
ロール脂肪酸エステル含有組成物を得ることができる。
中のDG含量が高くなると、遊離の植物ステロールの溶
解性が向上する。このため、エステル化反応で生成した
植物ステロール脂肪酸エステルの他に、遊離の植物ステ
ロールの溶解性も向上するため、油脂中の植物ステロー
ルの含量をさらに高めることができる。
ルエステル及び/又は脂肪酸との混合物(油脂を含まな
い)を無溶媒下でリパーゼを触媒としたエステル化反応
を行うことによって、植物ステロール脂肪酸エステルを
主成分とした植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物
となる。
ステロール脂肪酸エステルの生成率は70〜100%、
好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜1
00%である。尚、ここでいう植物ステロール脂肪酸エ
ステルの生成率とは、 (A/B)×100 A:反応油中の植物ステロール含有量(植物ステロール
脂肪酸エステル画分;重量%) B:反応前の全植物ステロールの含有量(重量%)で求
めた値である。
有組成物の製造方法で得られた組成物は、植物ステロー
ル脂肪酸エステルを5重量%以上含有し、好ましくは1
0重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、最も
好ましくは30重量%以上含有しており、そのままある
いは他の油脂と配合することによってフライ油脂、パ
ン、ケーキ、クッキー用ショートニング、マーガリン、
ロールイン用油脂、ホイップクリーム用油脂、マヨネー
ズ用等油脂として用いることができる。また上記用途に
本発明により得られた組成物を用いた場合、植物ステロ
ール脂肪酸エステルには乳化力があるので、乳化剤を添
加しなくても乳化安定性を付与することができる。
するが、本発明はこれらの実施例により何等制限される
ものではない。なお、例中に示す%は、重量%を意味す
る(但し;植物ステロール脂肪酸エステルの生成率、エ
ステル交換率、トリグリセリドの2位の脂肪酸の交換率
を除く)。
lの三角フラスコに原料油(オリーブ油:トリミリスチ
ン=9 :1)20gを入れ、60℃で完全に溶解し
た。原料油が完全に溶解した後、酵素0.2g(対油1
%)を添加し、反応温度60℃でエステル交換反応を行
った。なお、原料油の水分は200ppmに調節して反
応を行った。24時間後、反応油の組成を分析し、以下
のように酵素のエステル交換活性(mol/hr・k
g)を求めた。 エステル交換活性 R=(w/Mw×Xt/100)/tW =0.138Xt/tW w :トリミリスチンの重量(g) Mw:トリミリスチンの分子量 Xt:エステル交換率=(TMO−TMt)/(TMO
−TMeq)×100 TMO :原料油トリミリスチン含量 TMt :t(hr)反応後のトリミリスチン含量 TMeq:全ランダム計算値におけるトリミリスチン含
量 t :反応時間 W :酵素重量(kg)
計算方法)100mlの三角フラスコに原料油(オリー
ブ油:トリミリスチン=9:1)20gを入れ、60℃
で完全に溶解した。原料油が完全に溶解した後、酵素
0.2g(対油1%)を添加し、反応温度60℃でエス
テル交換反応を行った。なお、原料油の水分は200p
pmに調節して反応を行った。40時間後、反応油の組
成を分析し、下記に示す式により、エステル交換率及
びトリグリセリドの2位脂肪酸の交換率を求め、/
を求めた。 エステル交換率 Xt=(TMO−TMt)/(TMO−TMeq)×1
00 TMO :原料油のトリミリスチン含量 TMt :t(hr)反応後のトリミリスチン含量 TMeq:全ランダム計算値におけるトリミリスチン含
量 トリグリセリドの2位脂肪酸の交換率 X2t=(PO−Pt)/(PO−Peq)×100 PO :原料油の2位のパルミチン酸含量 Pt :t(hr)反応後の2位のパルミチン酸含量 Peq:全ランダム計算値における2位パルミチン酸含
量
次の分子量を用いてモル数を計算した。 菜種油トリグリセリド:MW884 植物ステロール :MW414 オレイン酸エチル :MW310.5 オレイン酸メチル :MW296 オレイン酸 :MW282
油(ナタネ油90%及び植物ステロール10%の混合
油)200gを入れ、65℃で完全に溶解した。このと
きのナタネ油は低エルカ酸ナタネ油を、植物ステロール
はタマ生化学(株)製のフィトステロールF(植物ステ
ロール含量99%) を使用した。原料油が完全に溶解し
た後、リパーゼQL0.63gを添加し、反応温度を6
5℃とし、反応時間40時間で、エステル交換反応を行
った。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。なお、原料油の水分は150ppm
に調節して反応を行った。また、得られた反応精製油
(エステル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの
生成率を表3に示す。
Lを0.63g添加するところを、リパーゼQLCを
2.0g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエス
テル交換反応を行った。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステ
ル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を
表3に示す。
Lを0.63g添加するところを、リパーゼPLCを
5.8g添加したほかは実施例1と同様の方法にてエス
テル交換反応を行った。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステ
ル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を
表3に示す。
Lを0.63g添加するところを、CHIRAZYME
L1を0.69g添加したほかは実施例1と同様の方
法にてエステル交換反応を行った。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油(エステ
ル交換油)の植物ステロール脂肪酸エステルの生成率を
表3に示す。
素の添加量はエステル交換活性が同じになるような酵素
量とした。
次のようにして求めた。 植物ステロール脂肪酸エステルの生成率=(A/B)×
100 A:反応油中の植物ステロール含量(植物ステロール
画分;重量%) B:反応前の全植物ステロール含量(重量%)
反応油2gをフロリジルカラム20gにて分画した。分
画は、n−Hex150mlで行った。n−Hex抽出
画分に遊離の植物ステロールが含まれていないのを確か
めた後、それのステロール含量を測定した。このn−H
ex抽出画分のステロール含量を基準油脂分析法(日本
油化学協会)の2.4.9.1−1996ステロール
(薄層クロマトグラフ−ガスクロマトグラフ法)に準じ
て測定した。
料油200gにリパーゼQLCを2g添加し、反応温度
65℃、反応時間40時間でエステル交換反応を行っ
た。なお、原料油の水分は150ppmに調節した。得
られた油脂組成物(反応油)の組成及び植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率を表4に示す。
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
ルを混合した原料油をエステル交換すると、植物ステロ
ール脂肪酸エステルとジアシルグリセリン(DG)を高
含量含んだ油脂組成物を調製できることが判る。また、
植物ステロールの配合量が多くなると未反応の植物ステ
ロールが残存することが判る。
油(植物ステロール30%、ナタネ油44%、オレイン
酸エチルエステル26%の配合油)250gを入れ、リ
パーゼQLC5.0g(対油2.0%)を添加し、反応
温度65℃、減圧下(1,330Pa;10torr)
でエタノール除去しながらエステル化反応を行い、エタ
ノールを除去できなくなるまで反応を行った。反応終了
後、常法で漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を
1%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処
理)、温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分
間水蒸気蒸留を行う脱臭にて、未反応の脂肪酸エチルを
除去し、反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。なお、ナタネ油は低エルカ酸ナタネ油
を、オレイン酸エチルエステルは和光純薬(株)製を使
用した。
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
QLC5.0g(対油2.0%)をリパーゼQL2.5
g(対油1.0%)に変更したほかは実施例9と同様の
方法にて反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。
ネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
QLC5.0g(対油2.0%)をリパーゼPLC1
0.0g(対油4.0%)に変更したほかは実施例9と
同様の方法にて反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。
ネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
QLC5.0g(対油2.0%)をCHIRAZYME
L1 2.5g(対油1.0%)に変更したほかは実
施例9と同様の方法にて反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表5に示した。
ネ油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.18
(a)、0.12(b)、0.21(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018 <0.21とな
り、上記範囲を満たしていた。
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
料油(植物ステロール24%、ナタネ油55%、オレイ
ン酸エチルエステル21%の配合油)250gを入れ、
リパーゼQL2.5g(対油1.0%)を添加し、反応
温度65℃、減圧下(1,330Pa;10torr)
でエタノール除去しながらエステル化反応を行い、エタ
ノールを除去できなくなるまで反応を行った。反応終了
後、常法で漂白(温度85℃にて、反応物に対し白土を
1%添加し、1,330Pa以下の減圧下で30分間処
理)、温度200℃、399Pa以下の減圧下で60分
間水蒸気蒸留を行う脱臭にて、未反応の脂肪酸エチルを
除去し、反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.14
(a)、0.16(b)、0.17(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると−0.046 <0.17と
なり、上記範囲を満たしていた。
4.5%、ナタネ油34.5%、オレイン酸エチルエス
テル31%の配合油を使用し、反応温度を75℃に変え
た以外は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得
た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.21
(a)、0.10(b)、0.25(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.057<0.25とな
り、上記範囲を満たしていた。
3%、ナタネ油19%、オレイン酸エチルエステル38
%の配合油を使用し、反応温度を75℃に変えた以外
は、実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.26
(a)、0.05(b)、0.25(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.137<0.25とな
り、上記範囲を満たしていた。
5%、ナタネ油0%、オレイン酸エチルエステル45%
の配合油を使用し、反応温度を95℃に変えた以外は、
実施例13と同様の方法にて反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
油、オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.33
(a)、0(b)、0.36(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.231<0.36とな
り、上記範囲を満たしていた。
1%、ナタネ油80%、オレイン酸エチルエステル9%
の配合油を使用した以外は、実施例13と同様の方法に
て反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.07
(a)、0.23(b)、0.07(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると−0.158≦0.07とな
り、上記範囲を満たしていた。
5%、ナタネ油0%、オレイン酸エチルエステル65%
の配合油を使用した以外は、実施例13と同様の方法に
て反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表6に示した。
オレイン酸エチルエステルの各モル数は0.21
(a)、0(b)、0.52(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.147≦0.52とな
り、上記範囲を満たしていた。
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
0%、ナタネ油44%、オレイン酸メチルエステル(和
光純薬(株)製)26%の配合油を使用し、1,330
Pa以下の減圧下で脱メタノールしながら反応を行った
以外は実施例9と同様の方法で反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
オレイン酸メチルエステルの各モル数は 0.18
(a)、0.12(b)、0.22(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018≦0.22とな
り、上記範囲を満たしていた。
0%、ナタネ油44%、オレイン酸(和光純薬(株)
製)26%の配合油を使用し、1,330Pa以下の減
圧下で脱水を行いながら反応を行った以外は、実施例9
と同様の方法で反応精製油を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
オレイン酸の各モル数は0.18(a)、0.12
(b)、0.23(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.018≦0.23とな
り、上記範囲を満たしていた。
5%、ナタネ油 0%、オレイン酸45%の配合油を使
用し、1,330以下の減圧下で脱水を行いながら反応
を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油を
得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
オレイン酸の各モル数は0.33(a)、0(b)、
0.40(c)である。 (7a−9b)/5≦c に、各モル数を代入すると0.231≦0.40とな
り、上記範囲を満たしていた。
5%、ナタネ油0%、オレイン酸65%の配合油を使用
し、1,330Pa以下の減圧下で脱水を行いながら反
応を行った以外は、実施例9と同様の方法で反応精製油
を得た。
1に、(2位脂肪酸変化率)/(エステル交換率)を表
2にそれぞれ示す。また、得られた反応精製油の組成を
表7に示した。
オレイン酸の各モル数は0.21(a)、0(b)、
0.58(c)である。 (7a−9b)/10≦c に、各モル数を代入すると0.147≦0.58とな
り、上記範囲を満たしていた。
トロスキャンでの分析値を示す。また、植物ステロール
脂肪酸エステルの生成率は、実施例1と同様に求めた。
水)されるアルコールの沸点が100℃以下の脂肪酸エ
ステルを使用すると、植物ステロール脂肪酸エステルを
高含量含んだ油脂組成物が得られることが判る。
ール吸収抑制作用を有する有する植物ステロールを植物
ステロール脂肪酸エステルとして高含量含有し、植物ス
テロールを高含量含有していてもその結晶が析出するこ
とのない、風味良好な植物ステロール脂肪酸エステル含
有組成物を提供することができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 植物ステロールと脂肪酸エステル及び/
又は脂肪酸との混合物を無溶媒下でリパーゼを触媒とし
てエステル化反応を行うことを特徴とする植物ステロー
ル脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。 - 【請求項2】 上記脂肪酸エステルが、油脂及び/又は
脂肪酸低級アルコールエステルからなることを特徴とす
る請求項1記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組
成物の製造方法。 - 【請求項3】 上記リパーゼが、位置選択性の無いリパ
ーゼであることを特徴とする請求項1記載の植物ステロ
ール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。 - 【請求項4】 上記エステル化反応を減圧下で行うこと
を特徴とする請求項1記載の植物ステロール脂肪酸エス
テル含有組成物の製造方法。 - 【請求項5】 上記混合物の水分が、900ppm以下
であることを特徴とする請求項1記載の植物ステロール
脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。 - 【請求項6】 上記混合物が植物ステロールと油脂との
混合物であることを特徴とする請求項1記載の植物ステ
ロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方法。 - 【請求項7】 (2位脂肪酸変化率)/(エステル交換
率)が0.4以上であることを特徴とする請求項6記載
の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の製造方
法。 - 【請求項8】 リパーゼのエステル交換活性が0.4m
ol/(hr・kg)以上であることを特徴とする請求
項6記載の植物ステロール脂肪酸エステル含有組成物の
製造方法。 - 【請求項9】 ジアシルグリセリン及び植物ステロール
脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項6〜
8のいずれかに記載の植物ステロール脂肪酸エステル含
有組成物の製造方法。
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